(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<伸縮性部材の製造方法>
先ず、本発明の伸縮性部材の製造方法について添付図面を参照して詳説する。
図1は、伸縮性部材120の製造方法を示す模式図である。伸縮弾性部材120は、後述するパンツタイプ使い捨ておむつ100の外装体12として使用される部材であり、不織布等からなる第1シート(請求項における「シート」)12Sと、不織布等からなる第2シート(請求項における「シート」)12Hと、第1シート12Sと第2シート12Hの間に配置される細長状弾性伸縮部材110を備えて構成されている。
【0018】
第1シート繰出装置(図示省略)から連続的に繰り出された第1シート12Sは、第1シート12Sの上面側(第2シート12Hと対向する面側)に配置された接着剤塗布装置13により所定の間隔を隔てて連続的に第1接着剤(請求項における「第1
接着剤塗布部」)71が塗布される。なお、第1接着剤71が塗布された塗布領域71Aは、
図1,2に示すように、平面視において第1シート12Sの搬送方向であるMD方向に対して直交する辺が長辺を成す略長方形状に形成され、塗布領域71Aと隣接する塗布領域71Aの間には、第1接着剤71が塗布されていない非塗布領域71Bが介在している。
【0019】
第1シート12Sとしては、シート状のものであれば特に制限無く使用できるが、不織布であるのが好ましい。不織布は、その原料繊維が何であるかは特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。
【0020】
第1接着剤71としては、ホットメルト接着剤71が好適に用いられる。ホットメルト接着剤71としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在し、特に限定なく使用できるが、粘着ゴム系(エラストマー系)を使用するのが望ましい。ホットメルト接着剤71の塗布方式は特に限定されるものではないが、シート接合部70の伸縮方向の幅を細く、例えば1mm以下とする場合、ホットメルト接着剤の塗布幅が狭くなり、カーテンやベタ等のようにノズルから噴射する塗布方式による間欠塗布では塗布が困難なため、細幅塗布に好適なパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤71の転写)を採用することが望ましい。
ただし、このようなパターンコートによる塗布方式を採用した場合であっても、ホットメルト接着剤71の種類によってはホットメルト接着剤71が糸引きしてしまい、塗布幅70wの精度の低下や、操業安定性の低下をもたらすおそれがある。よって、ホットメルト接着剤71としては、温度140℃における溶融粘度が10000mpas以下、温度160度における溶融粘度が5000mpas以下、かつループタック接着力が2000g/25mm以上のものを用いることが望ましい。これにより糸引きのおそれが少なくなり、塗布幅制度および操業安定性の向上を図ることができる。
なお、ホットメルト接着剤71のループタック粘着力は、次のように測定される値を意味する。すなわち、ホットメルト接着剤を厚さが50μmのPET板上に50μmの厚みで塗布する。これを、幅25mm、長さ125mmの大きさに切り取り、テープ状とした後、そのテープの両端を重ね合わせることでループ状とする。このループを、LT−100型ループタックテスター(ケムインストルメント社製)に固定した後、PE(ポリエチレン)板に対して、25mm×25mmの接着面積で、接着時間2秒で接着する。次いで、20℃で、引き剥がし速度300mm/分でループ上のテープを引き剥がし、最大の力を測定し、ループタック接着剤とする。
また、ホットメルト接着材71の溶融粘度は、JIS Z 8803に従い、ブルックフィールドB型粘度計(スピンドルNo.027)を用いて、規定の温度で測定されるものである。
後述する細長状弾性伸縮部材110の塗布領域75Aにおいて、細長状弾性伸縮部材110を隣接する塗布領域71A,71Aの間の非塗布領域71Bで切断して伸縮性部材120の外観性を高めるためには、
図2に示す非塗布領域71Bの間隔70dと、塗布領域71Aの塗布幅70Wと、細長状弾性伸縮部材110の切断間隔70Pを数1または数2に示す関係に設定するのが好適である。なお、切断間隔70Pは、
図3,4に示す切断手段130の切断ロール18の隣接する切断刃18A,18Aの切断刃間隔18Bに対応する間隔である。
数1 間隔70d+塗装幅70W = 切断間隔70P
数2 間隔70d > 切断間隔70P > 塗布幅70W
なお、数1の塗布幅70Wは0.5mm〜4mm、切断手段130によって切断された細長状弾性伸縮部材110の切断部の収縮による細長状弾性伸縮部材110と第1シート12Sの塗布領域71Aの剥離を防止するために間隔70dを4〜8mmで、より好ましくは5〜7mmに設定するのが好適である。また、切断ロール18の隣接する切断刃18A,18Aの切断刃間隔18Bは、均一であっても不均一であっても良い。
【0021】
弾性伸縮部材繰出装置(図示省略)から連続的に繰り出された細長状弾性伸縮部材110は、細長状弾性伸縮部材110の前側に配置された接着剤塗布装置14により所定の間隔を隔てて連続的に第2接着剤(請求項における「第2
接着剤塗布部」)75が塗布される。なお、第2接着材75が塗布された塗布領域75Aは、
図2に示すように、平面視において第1接着剤71が塗布された複数の塗布領域71Aを跨る領域に形成され、塗布領域75Aと隣接する塗布領域75Aの間には、第2接着剤75が塗布されていない非塗布領域75Bが介在しとている。
【0022】
細長状弾性伸縮部材110としては、所定の伸長率にされており、細長状弾性伸縮部材110としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
【0023】
第2接着剤75が塗布された細長状弾性伸縮部材110は、ガイドロール14AによってCD方向に所定の間隔を隔てて第1シート12Sの上面に並設される。なお、
図1においては、弾性伸縮部材繰出装置とガイドロール14Aの間に接着剤塗布装置14を配置しているが、ガイドロール14Aに付着した接着剤の除去作業を軽減するために、接着剤塗布装置14をガイドロール14Aの搬送方向の下流側に配置するのが好適である。
【0024】
第2接着剤としては、第1シート12Sに塗布された第1接着剤71よりも第1シート12Sに対する接着力が弱く、細長状弾性伸縮部材110を第1シート12Sに塗布された第1接着剤を介して第1シート12Sに対する接着力よりも第1シート12Sに塗布される第1接着剤と細長状弾性伸縮部材110に塗布された第2接着剤を介して第1シート12Sに対する接着力が強なるように、ループタック接着力が40g/25mm以上の粘着ゴム系(エラストマー系)のホットメルト接着剤を使用することが望ましい。塗布形態としては、細長状弾性伸縮部材110の外周面の全周塗布、外周面の部分塗布形態がある。
切断手段130によって切断された細長状弾性伸縮部材110の切断部の収縮時に発生する細長状弾性伸縮部材110の伸長方向の収縮力による細長状弾性伸縮部材110と第1シート12Sの塗布領域71Aの剥離を防止するために、細長状弾性伸縮部材110には第2接着剤が塗布されている。
また、特に、切断手段130によって切断された細長状弾性伸縮部材110の切断部(請求項における「細長状弾性伸縮部材部」)を効率良く切断部に隣接する塗布領域71A,71Aに移動させるためには、第1シート12Sと対向する細長状弾性伸縮部材110の外周面の部位に第2接着剤を塗布し、第2シート12Hと対向する細長状弾性伸縮部材110の外周面の部位には第2接着剤を塗布しない部分塗布形態がより好適である。
【0025】
第2シート繰出装置(図示省略)から連続的に繰出された第2シート12Hは、プレスロール12Bを介して、第1シート12Sの上面に並設した細長状弾性伸縮部材110の上側から第1シート12Sの上面に配置される。第2シート12Hとしては、第1シート12Sと同様にシート状のものであれば特に限定無く使用できるが、不織布であるのが好ましく、不織布の原料繊維、製造方法には特に制限されない。
【0026】
次に、第1シート12Sと、細長状弾性伸縮部材110と、第2シート12Hの積層体は、上下方向に配置された一対のプレスロール12B,12Bに挿通され、プレスロール12B,12Bの押圧により相互に固着されて中間体120Aとなる。なお、中間体120Aとは、第1シート12Sの隣接する塗布領域71A,71Aの間に位置する接着材75が塗布された細長状弾性伸縮部材110を切断する前の形態である。
【0027】
中間体120Aにおける第1シート12Sと細長状弾性伸縮部材110の固着力、細長状弾性伸縮部材110と第2シート12Hの固着力、第1シート12Sと第2シート12Hの固着力を詳述すると以下のとおりである。
【0028】
細長状弾性伸縮部材110に第2接着剤75が塗布された塗布領域75Aにあっては、第1シート12Sと細長状弾性伸縮部材110は、第1シート12Sの塗布領域71Aと細長状弾性伸縮部材110の塗布領域75Aが重なる部位の固着力は強く、その他の部位における固着力は、第1シート12Sの上面に第1接着剤71が塗布されていないことから、第1シート12Sの塗布領域71Aと細長状弾性伸縮部材110の塗布領域75Aが重なる部位の固着力よりも弱い。
また、細長状弾性伸縮部材110と第2シート12Hの固着力は、第2シート12Hの下面には接着剤が塗布されていないことから、第1シート12Sの塗布領域71Aと細長状弾性伸縮部材110の塗布領域75Aが重なる部位の固着力よりも弱い。
さらに、第1シート12Sと第2シート12Hは、第1シート12Sと細長状弾性伸縮部材110と同様に、第1シート12Sの塗布領域71Aと細長状弾性伸縮部材110の塗布領域75Aが重なる部位の固着力は強く、その他の部位の固着力は、第1シート12Sの塗布領域71Aと細長状弾性伸縮部材110の塗布領域75Aが重なる部位の固着力よりも弱い。
【0029】
一方、細長状弾性伸縮部材110に第2接着剤75が塗布されていない非塗布領域75Bにあっては、第1シート12Sと細長状弾性伸縮部材110は、第1シート12Sの塗布領域71Aと細長状弾性伸縮部材110が重なる部位の固着力は、細長状弾性伸縮部材110に第2接着剤75が塗布されていないことから弱く、その他の部位においては、第1シート12Sの上面に第1接着剤71が塗布されておらず、細長状弾性伸縮部材110に第2接着剤75が塗布されていないことから、固着されていない。
また、細長状弾性伸縮部材110と第2シート12Hは、第2シート12Hの下面には接着剤が塗布されていないことから、固着されていない。
さらに、第1シート12Sと第2シート12Hは、第1シート12Sと細長状弾性伸縮部材110と同様に、第1シート12Sの塗布領域71Aと細長状弾性伸縮部材110が重なる部位の固着力は弱く、その他の部位においては、固着されていない。
【0030】
なお、細長状弾性伸縮部材110に第2接着剤75が塗布されていない非塗布領域75Bにあっては、隣接する第1シート12Sの塗布領域71A,71Aに、細長状弾性伸縮部材110と第2シート12Hが弱く固着され、第1シート12Sの上面と細長状弾性伸縮部材110及び第2シート12Hの下面と細長状弾性伸縮部材110が固着されていないことから、伸縮弾性部材120をパンツタイプ使い捨ておむつ100の外装体12として使用した場合においては、パンツタイプ使い捨ておむつ100の内装体200の幅方向の両側の部位には、それぞれ非塗布領域75B,75Bを配置することにより、一般にプリーツと呼ばれる第1シート材12Sと第2シート材12Hの両者に均等な皺を形成して、パンツタイプ使い捨ておむつ100の内装体200の幅方向の両側部位の外観を良好に形成することができる。一方、伸縮弾性部材120をパンツタイプ使い捨ておむつ100の外装体12として使用した場合においては、パンツタイプ使い捨ておむつ100の幅方向の両端部の部位には、第2接着剤75が塗布された塗布領域75A,75Aを配置することにより、パンツタイプ使い捨ておむつ100の幅方向の両端部で細長状弾性伸縮部材110を強固に固設して細長状弾性伸縮部材110の引抜けを防止することができる。
【0031】
次に、中間体120Aは、プレスロール12B,12Bの搬送方向の下流に配置された切断手段130に搬送される。切断手段130としては、種々の切断装置を使用することができるが、本実施形態にあっては、
図3,4に示すように切断手段130は、第1シート12Sの下側に配置された外周面に所定の間隔を隔てて切断刃18Aが立設された切断ロール18と、第2シート12Hの上側に配置された平滑ロール19を備えて構成されている。
【0032】
制御装置(図示省略)により中間体120Aの搬送方向の下流側への搬送速度と、切断ロール18の回転数は制御されている。細長状弾性伸縮部材110に第2接着剤75が塗布された塗布領域75Aにあっては、第1シート12Sの隣接する塗布領域71A,71Aの間の非塗布領域71B上に配置された細長状弾性伸縮部材110における搬送方向の中心部が切断ロール18の上側に搬送された時に、切断ロール18の切断刃18Aが平滑ロール19と当接して、第1シート12Sの隣接する塗布領域71A,71Aの非塗布領域71B上の中心部と、細長状弾性伸縮部材110の搬送方向の中心部を切断する構成とされている。なお、隣接する塗布領域75Aでは、切断手段130による細長状弾性伸縮部材110の切断は行われない構成とされるのが好適である。
【0033】
また、上述した数1の条件を満たすことにより、中間体120Aの搬送速度と切断ロール18の回転数が完全に同期した状態において、必ず非塗布領域71B上の中心部において細長状弾性伸縮部材110が切断され、塗布領域71Aにおいては切断されない位置制御が容易となり好適である。
【0034】
また、上述した数2の条件を満たすことにより、制御装置により第1シート12Sの隣接する塗布領域71A,71Aの非塗布領域71Bと、切断ロール18の切断刃18Aの位置決め(位置制御)を行わなくても、搬送方向の上流側から下流側に搬送されてくる第1シート12Sの隣接する塗布領域71A,71Aの非塗布領域71Bにおいて、細長状弾性伸縮部材110を必ず切断することができ、且つ、シートに必要以上に切れ込みが入ることを防止することができる。
【0035】
非塗布領域71Bで切断された細長状弾性伸縮部材110は、伸長状態から自然長状態に復元する収縮力により細長状弾性伸縮部材110と第1シート12Sの固着と、細長状弾性伸縮部材110と第2シート12Hの固着が外れて、細長状弾性伸縮部材110の切断端部の後端側は、隣接する第1シート12Sの後側に位置する塗布領域71Aに向かって配置された軌跡を辿って収縮し、細長状弾性伸縮部材110の切断端部の前端側は、隣接する第1シート12Sの前側に位置する塗布領域71Aに向かって配置された軌跡を辿って収縮する。これにより、第1シート12Sと、第2シート12Hの外観の見栄えを悪化させる皺の形成が抑制され、また、第1シート12Sの隣接する塗布領域71A,71Aの中心部の切断部12MのMD方向への開口を防止することができる。
【0036】
伸縮弾性部材120をパンツタイプ使い捨ておむつ100の外装体12として使用した場合においては、パンツタイプ使い捨ておむつ100の内装体200の外面には、伸縮弾性部材120の非塗布領域71Bで切断された細長状弾性伸縮部材110の部位を配置することにより、外観の見栄えを悪化させる皺の形成と、
図3に示す細長状弾性伸縮部材110の切断時に第1シート12Sに形成された切断部12Mの左右方向への開口を防止してパンツタイプ使い捨ておむつ100の内装体200の外側部位の外観を良好に形成することができる。
【0037】
以上の説明では、第2シート12Hには接着剤を塗布していない伸縮性部材120の製造方法について説明したが、第2シート12Hの第1シート12Sと対向する下面に、所定の間隔を隔てて連続的に第3接着剤を塗布して第4塗布領域を形成し、第1シート12Sの第1塗布領域71A上に、第2シート12Hの第4塗布領域を位置させて細長状弾性伸縮部材110を挟持した場合には、切断手段130によって切断された細長状弾性伸縮部材110の切断部の収縮による細長状弾性伸縮部材110と第1シート12Sの塗布領域71Aの剥離をより防止することができる。
なお、第3接着剤としては、第1接着剤71と同様に温度140℃における溶融粘度が10000mpas以下、温度160度における溶融粘度が5000mpas以下、かつループタック接着力が2000g/25mm以上のものを用いることが望ましい。塗布形態としては、パターンコートが望ましい。
【0038】
本発明の伸縮性部材の製造方法で製造された伸縮性部材120は、好適にはパンツタイプ使い捨ておむつ100の外装体12として使用されるものであるが、後述するパンツタイプ使い捨ておむつ100の立体ギャザー60等にも使用することができる。
【0039】
<パンツタイプ使い捨ておむつ>
次に、本発明の伸縮性部材の製造方法で製造された伸縮性部材120を外装シート12に使用したパンツタイプ使い捨ておむつ100について添付図面を参照して詳説する。
図5〜
図11は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例100を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ100は、製品外面(裏面)をなす外装体12と、外装体12の内面に貼り付けられた内装体200とから構成されているものである。符号Yはおむつの全長を示しており、符号Xはおむつの全幅を示している。
【0040】
内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12は着用者に装着するための部分である。なお、断面図における点模様部分は各構成部材を接合する接合部分を示しており、ホットメルト接着剤などのベタ、ビード、カーテン、サミットまたはスパイラル塗布などにより形成されるものである。なお、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつ100の装着状態、すなわちおむつ100の前身頃両側部と後身頃量側部を重ね合わせるようにおむつ100を股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
【0041】
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示の形態では長方形である。内装体200は、
図7〜
図9に示されるように、身体側となる表面シート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、表面シート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、表面シート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側に設けられた、身体側に起立する立体ギャザー60を示している。
【0042】
(表面シート)
表面シート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを例示することができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンボンド法、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、エアスルー法、ポイントボンド法、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
【0043】
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0044】
立体ギャザー60を設ける場合、表面シート30の両側部は、液不透過性シート11と立体ギャザー60との間を通して、吸収要素50の裏側まで回りこませ、液の浸透を防止するために、液不透過性シート11及び立体ギャザー60に対してホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
【0045】
(中間シート)
表面シート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、表面シート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止し、表面シート30上を常に乾燥した状態とすることができる。中間シート40は省略することもできる。
【0046】
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材や、スパンレース、スパンボンド、SMS、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは20〜80g/m
2が好ましく、25〜60g/m
2がより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.2〜10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。なお、目付けとは、次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度20±5℃、相対湿度65%以下)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を相対湿度10〜25%、温度50℃を超えない環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から米坪板(200mm×250mm、±2mm)を使用し、200mm×250mm(±2mm)の寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、20倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
【0047】
図示の形態の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、吸収体56の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0048】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている不透液性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0049】
液不透過性シート11は、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回りこませて吸収要素50の表面シート30側面の両側部まで延在させるのが好ましい。この延在部の幅は、左右それぞれ5〜20mm程度が適当である。
【0050】
液不透過性シート11の内側、特に吸収体56側面に、液分の吸収により色が変化する排泄インジケータを設けることができる。
ホットメルト接着剤は、カーテンやベタ等の塗布方式や、転写方式により種々のパターン形状にすることができるが、外装シート12の内面に内装体200を固着し、且つ、内装体200の通気性を向上させるためには、
図6に示すように、液不透過性シート11の下面に幅方向に所定の間隔を隔てて細幅形状にホットメルト接着剤を連続的に塗布するのが望ましい。また、内装体200の前後方向の端部から外部への通気性を向上させるために、ホットメルト接着剤が塗布された塗布領域(請求項における「固定部」)11Aの幅11Bを、第1シート12Sの非塗布領域71Bの間隔70dよりも小さくするのが好適であり、塗布領域11Aの前後方向の両端部は、それぞれシート接合部70に対向して配置するのがさらに好適である。
ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在し、特に限定なく使用できるが、粘着ゴム系(エラストマー系)を使用するのが望ましい。ホットメルト接着剤の塗布方式は特に限定されるものではないが、塗布領域11Aの幅11Bを細く、例えば1mm以下とする場合、ホットメルト接着剤の塗布幅が狭くなり、カーテンやベタ等のようにノズルから噴射する塗布方式による間欠塗布では塗布が困難なため、細幅塗布に好適なパターンコートを採用することが望ましい。
なお、
図12に示すように、塗布領域11Aの前後方向の中間部には、ホットメルト接着剤が塗布されていない非塗布領域11Cを設けることによりさらに通気性を向上させることができる。
【0051】
(立体ギャザー)
立体ギャザー60は、内装体200の両側部に沿って前後方向全体にわたり延在する帯状部材であり、表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を遮断し、横漏れを防止するために設けられているものである。本実施の形態の立体ギャザー60は、内装体200の側部から起立するように設けられ、付け根側の部分は幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側の部分は幅方向外側に向かって斜めに起立するものである。
【0052】
より詳細には、立体ギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を幅方向に折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状弾性伸縮部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向に間隔をあけて複数本固定してなるものである。立体ギャザー60のうち幅方向において折り返し部分と反対側の端部は内装体200の側縁部の裏面に固定された取付部分65とされ、この取付部分65以外の部分は取付部分65から突出する突出部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、突出部分66のうち前後方向両端部は、取付部分65から内装体200の側部を通り表面シート30の側部表面まで延在し且つこの表面シート30の側部表面に対してホットメルト接着剤やヒートシールによる前後固定部67固定された付け根側部分と、この付け根側部分の先端から幅方向外側に折り返され且つ付け根側部分に固定された先端側部分とからなる。突出部分のうち前後方向中間部は非固定の自由部分(内側自由部分)とされ、この自由部分に前後方向に沿う細長状弾性部材63が伸長状態で固定されている。
【0053】
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができ、繊維目付けは10〜30g/m
2程度とするのが好ましい。細長状弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470〜1240dtexが好ましく、620〜940dtexがより好ましい。固定時の伸長率は、150〜350%が好ましく、200〜300%がより好ましい。なお、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。また、図示のように、二つに折り重ねたギャザーシートの間に防水フィルム64を介在させることもできる。
【0054】
立体ギャザー60の自由部分に設けられる細長状弾性伸縮部材63の本数は2〜6本が好ましく、3〜5本がより好ましい。配置間隔60dは3〜10mmが適当である。このように構成すると、細長状弾性伸縮部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にも細長状弾性伸縮部材63を配置しても良い。
【0055】
立体ギャザー60の取付部分65の固定対象は、内装体200における表面シート30、液不透過性シート11、吸収要素50等適宜の部材とすることができる。
【0056】
かくして構成された立体ギャザー60では、細長状弾性伸縮部材63の収縮力が前後方向両端部を近づけるように作用するが、突出部分66のうち前後方向両端部が起立しないように固定されるのに対して、それらの間は非固定の自由部分とされているため、自由部分のみが
図7に示すように身体側に当接するように起立する。特に、取付部分65が内装体200の裏面側に位置していると、股間部及びその近傍において立体ギャザー60が幅方向外側に開くように起立するため、立体ギャザー60が脚回りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。
【0057】
立体ギャザー60の寸法は適宜定めることができるが、乳幼児用紙おむつの場合は、例えば
図10に示すように、立体ギャザー60の起立高さ(展開状態における突出部分66の幅方向長さ)66wは15〜60mm、特に20〜40mmであるのが好ましい。また、立体ギャザー60をトップシート30表面と平行になるように、平坦に折り畳んだ状態において最も内側に位置する折り目間の離間距離60dは60〜190mm、特に70〜140mmであるのが好ましい。
【0058】
なお、図示形態と異なり、内装体200の左右各側において立体ギャザーを二重に(二列)設けることもできる。
【0059】
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
【0060】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m
2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m
2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
【0061】
吸収体56は長方形形状でも良いが、
図5等にも示すように、前端部、後端部及びこれらの間に位置し、前端部及び後端部と比べて幅が狭い括れ部とを有する砂時計形状を成していると、吸収体56自体と立体ギャザー60の、脚回りへのフィット性が向上するため好ましい。
【0062】
また、吸収体の寸法は適宜定めることができるが、前後方向及び幅方向において、内装体の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の幅を示している。
【0063】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
【0064】
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
【0065】
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。なお、ゲル強度とは、次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:20wt%、食塩:8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.3wt%、酸化マグネシウム七水和物:0.8wt%、純水:70.01wt%)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter−MAX ME−500)でゲル強度を測定する。
【0066】
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m
2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m
2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m
2を超えると、効果が飽和する。
【0067】
必要であれば、高吸収性ポリマー粒子は、吸収体56の平面方向で散布密度あるいは散布量を調整できる。たとえば、液の排泄部位を他の部位より散布量を多くすることができる。男女差を考慮する場合、男用は前側の散布密度(量)を高め、女用は中央部の散布密度(量)を高めることができる。また、吸収体56の平面方向において局所的(例えばスポット状)にポリマーが存在しない部分を設けることもできる。
【0068】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5〜40g/m
2、特に10〜30g/m
2のものが望ましい。
【0069】
包装シート58の包装形態は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻き付け、且つその前後縁部を吸収体56の前後から食み出させ、この食み出し部分を表裏方向に潰してホットメルト接着剤等の接合手段により接合する形態が好ましい。
【0070】
(外装体)
外装体12は、股間部から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、股間部から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されて、
図11に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口部WO及び脚を通すための左右一対の脚開口部LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における前身頃Fのウエスト縁から後身頃Bのウエスト縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
【0071】
外装体12は、ウエスト開口部WOから脚開口部LOの上端に至る前後方向範囲として定まる胴回り部Tと、脚開口部LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール部12Aを有する前後方向領域と間)として定まる中間部Lとを有する。胴回り部Tは、概念的にウエスト開口部の縁部を形成する「ウエスト縁部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下部」Uとに分けることができる。これらの縦方向の長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト縁部Wは15〜40mm、ウエスト下部Uは65〜120mmとすることができる。一方、中間部Lの両側縁は被着者の脚回りに沿うように括れており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。この結果、外装体12は、全体としては略砂時計形状をなしている。外装体12の括れの程度は適宜定めることができ、
図5〜
図11に示す形態のように、すっきりとした外観とするために最も幅が狭い部分では内装体200の幅より狭くすることが好ましいが、最も幅が狭い部分でも内装体200の幅以上となるように定めてもよい。
【0072】
外装体12は、
図7〜
図9に示されるように、二枚のシート材12S,12Hを接合して形成されるものであり、内側に位置する第2シート材12Hはウエスト開口部WOの縁までしか延在していないが、外側に位置する第1シート材12Sは第2シート材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されており、この折り返し部分12rは内装体200のウエスト側端部上までを被覆するように延在されている。
【0073】
より詳細には、後身頃B及び前身頃Fのウエスト縁部Wにおける第2シート材12Hの内側面と第1シート材12Sの折り返し部分12rの外側面との間には、幅方向全体にわたり連続するように、複数のウエスト縁部弾性伸縮部材17が上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17のうち、ウエスト下部Uに隣接する領域に配設される1本または複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト縁部弾性伸縮部材17としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、4〜12mmの間隔で3〜22本程度、それぞれ伸長率150〜400%、特に220〜320%程度で固定するのが好ましい。また、ウエスト縁部弾性伸縮部材17は、その全てが同じ太さと伸長率にする必要はなく、例えばウエスト縁部Wの上部と下部で弾性伸縮部材の太さと伸長率が異なるようにしてもよい。
【0074】
また、前身頃F及び後身頃Bのウエスト下部Uにおける第2シート材12Hの外側面と第1シート材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その上側および幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなるウエスト下部弾性伸縮部材15が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0075】
ウエスト下部弾性伸縮部材15としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、1〜15mm、特に3〜8mmの間隔で5〜30本程度、それぞれ伸長率200〜350%、特に240〜300%程度で固定するのが好ましい。
【0076】
また、前身頃F及び後身頃Bの中間部Lにおける第2シート材12Hの外側面と第1シート材12Sの内側面との間には、内装体200と重なる幅方向中央部を除いて、その幅方向両側の各部位に、幅方向全体にわたり連続するように、細長状弾性伸縮部材からなる中間部弾性伸縮部材16が複数本、上下方向に間隔を空けて、かつ所定の伸長率で幅方向に沿って伸長された状態で固定されている。
【0077】
中間部弾性伸縮部材16としては、太さ155〜1880dtex、特に470〜1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05〜1.5mm
2、特に0.1〜1.0mm
2程度)の糸ゴムを、5〜40mm、特に5〜20mmの間隔で2〜10本程度、それぞれ伸長率150〜300%、特に180〜260%で固定するのが好ましい。
【0078】
なお、図示のように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,16が、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられていると、内装体200が幅方向に必要以上に収縮することがなく、モコモコと見た目が悪かったり吸収性が低下したりすることがない。この形態には、幅方向両側にのみ弾性伸縮部材が存在する形態の他、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで弾性伸縮部材が存在しているが、内装体200と重なる幅方向中央部では弾性伸縮部材が細かく切断され、収縮力が作用せず(実質的には、弾性伸縮部材を設けないことに等しい)に、その幅方向両側のみが収縮力作用部分として構成されている形態も含まれる。もちろんウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,16の配設形態は上記例に限るものではなく、ウエスト下部Uの幅方向全体にわたり伸縮力が作用するように、ウエスト下部弾性伸縮部材及び中間部弾性伸縮部材15,16の一部または全部を、内装体200を横切ってその幅方向一方側から他方側まで設けることもできる。