(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012051
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】自動引き戸用駆動システム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/635 20150101AFI20161011BHJP
E05F 15/74 20150101ALI20161011BHJP
【FI】
E05F15/635
E05F15/74
【請求項の数】23
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-522055(P2013-522055)
(86)(22)【出願日】2011年8月1日
(65)【公表番号】特表2013-543545(P2013-543545A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】AU2011000964
(87)【国際公開番号】WO2012012847
(87)【国際公開日】20120202
【審査請求日】2014年7月31日
(31)【優先権主張番号】12/847,976
(32)【優先日】2010年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513024225
【氏名又は名称】オートスライド プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AUTOSLIDE PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,マーク,スティーヴン
【審査官】
西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第02871009(US,A)
【文献】
実開平04−006477(JP,U)
【文献】
特開昭57−165579(JP,A)
【文献】
実開昭60−095087(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F15/00−15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動引き戸用駆動システムにおいて:
駆動装置と;
前記引き戸に取り付けた対応するラックに動作可能に連結したときに前記引き戸を第1又は第2の方向に摺動させるように構成されたピニオンであって、前記駆動装置に以下の二つの位置:
(a)ドアを前記第1の方向に摺動させる第1の位置と;
(b)前記ドアを前記第2の方向に摺動させる第2の位置と;
で選択的に取り付け可能であるピニオンと;
を具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動システムにおいて、前記ドアが上側部分を有するパネル、または、上側レールと二つの側部框で枠組みされたガラス枠でできていることを特徴とする駆動システム。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動システムにおいて、前記パネルの上側部分又は前記ガラス枠の上側レールが、固定されたガードによって適所に保持されるように構成されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項4】
請求項1に記載の駆動システムにおいて、前記駆動装置がモータとギアボックスを具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項5】
請求項2に記載の駆動システムにおいて、前記ラックが前記パネルの上側部分又は前記ガラス枠の上側レールにコネクタを介して連結されるように構成されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項6】
請求項5に記載の駆動システムにおいて、前記コネクタが前記ドアと前記駆動装置との間の隙間にまたがるように構成されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項7】
請求項6に記載の駆動システムにおいて、前記チャネルが、端部が開放された細長キャビティを有する断面L−字形状であることを特徴とする駆動システム。
【請求項8】
請求項6に記載の駆動システムにおいて、前記チャネルの一またはそれ以上の端部に一致するように構成された一またはそれ以上のキャップを具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動システムにおいて、前記キャップ又は各キャップが、固定手段を受ける少なくとも一の孔を具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項10】
請求項2に記載の駆動システムにおいて、前記ドアが網戸と、短い上側レールが付いたフレームとを有する中庭用ドアである場合、前記ラックが前記側部框か、あるいは、前記側部框から延在する一またはそれ以上のつかみ框に固定されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項11】
請求項1に記載の駆動システムにおいて、前記第2の方向が前記第1の方向の逆方向であることを特徴とする駆動システム。
【請求項12】
請求項5に記載の駆動システムにおいて、前記駆動装置の下側端部と前記ドアの間の隙間にブリッジをかけるように構成されたコンシーラを具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項13】
請求項12に記載の駆動システムにおいて、前記部材が、前記駆動装置の下端と前記ドアとの間の隙間を埋めるように構成されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項14】
請求項1に記載の駆動システムにおいて、前記駆動装置が、前記ドアを4つのモードのうちの一つで動作させる遠隔制御可能な符号化装置に動作可能に接続されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項15】
請求項14に記載の駆動システムにおいて、前記符号化装置が、以下の4つのモード:
前記引き戸が一またはそれ以上のセンサに応答して動作するように構成されている第1のモード;
前記引き戸が閉位置に移動するように構成されている第2のモード;
前記引き戸が開位置に維持されるように構成されている第3のモード;及び
前記符号化装置が対象物の存在に応答するように構成されており、これによって、前記引き戸を前記第1、第2、第3のモードの一またはそれ以上で動作させる、第4のモード;
から選択された一のモードで前記引き戸を動作させ得ることを特徴とする駆動システム。
【請求項16】
請求項14に記載の駆動システムにおいて、前記符号化装置が、別の可動対象物に接続された別の符号化装置に接続されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項17】
請求項16に記載の駆動システムにおいて、前記符号化装置が、前記引き戸と前記その他の可動対象物とを同調して動かすためのマスターアンドスレーブ構成で動作するように設定可能であるように構成されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項18】
請求項14に記載の駆動システムにおいて、前記符号化装置が、対象物に赤外線ビームを発する赤外線エミッタと、前記対象物から反射されたビームを検出するように構成したセンサとを具える起動部に応答するように構成されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項19】
請求項18に記載の駆動システムにおいて、前記起動部が、ドアガード、壁、あるいは天井に固定されるように構成されたホルダに移動可能に接続されていることを特徴とする駆動システム。
【請求項20】
請求項19に記載の駆動システムにおいて、前記ホルダが後部プレートと、このプレートから延在する一対のラチェットバーを具えることを特徴とする駆動システム。
【請求項21】
請求項18に記載の駆動システムにおいて、前記赤外線ビームが、前記起動部の方向によって決まる放射角度で放射され、これによって、動作領域が決定することを特徴とする駆動システム。
【請求項22】
請求項20に記載の駆動システムにおいて、前記起動部が、前記ラチェットバー対と連動して動くことを特徴とする駆動システム。
【請求項23】
請求項22に記載の駆動システムにおいて、前記起動部が、前記ラチェットバーに設けた、選択された傾斜した歯の対によって所望の位置にロックされるように構成されていることを特徴とする駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くには、自動引き戸用駆動システムに関する。本発明はまた、駆動システムが引き戸を駆動するのに適しているかどうかを表示するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、引き戸業界では、その様式やジオメトリに関係なく、現存の引き戸又は窓に組み入れるまたは据え付けることができる駆動システムを提供することが望まれている。
【0003】
更に、過負荷システムを修繕するのはむしろ費用が高く時間がかかるため、自動引き戸の駆動システムの過負荷を回避できるようにすることが望まれている。
【0004】
本発明の課題は、上記の要望を満足できるあるいは少なくとも有益な代替を提供できる駆動システムを提供することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、
ドライバと;
ドアに取り付けた対応するラックに動作可能に連結されたときに第1又は第2の方向にドアをスライドさせるピニオンであって、ドライバの以下の二つの位置:
(a)ドアを第1の方向にスライドさせる第1の位置;
(b)ドアを第2の方向にスライドさせる第2の位置;
に選択的に取り付け可能なピニオンと;
を具える自動引き戸用駆動システムが提供されている。
【0006】
好ましくは、ドアはパネル、又は上側レールと二つの側部框によって枠組みされたガラス枠でできている。パネルの上側部分又はガラスの入った窓枠の上側レールは、ガードによって適所に保持されていることが好ましい。このガードは、通常、天井に取り付けられている。より好ましくは、ドライバがモータとギアボックスを具えている。
【0007】
好ましい実施例では、ラックが、パネルの上側部分又はガラス枠の上側レールにコネクタを介して連結されるように構成されている。これは、標準サイズの上側レールで枠組みされたガラス枠を有する中庭用ドアや、ガードに取り付けたランナを吊るキャリッジを有するキャビティ式ドアに最も適している。コネクタは、ドアとドライバの間の隙間に跨るように構成されたチャネルであることが好ましい。このチャネルは、一般的に断面L字形状である。選択的に、チャネルが、開放端を有する細長キャビティを有する。
【0008】
駆動システムは、チャネルの一またはそれ以上の端部に合うように構成された一またはそれ以上のキャップを具えていてもよい。好ましくは、各キャップがねじなどの固定手段を受ける少なくとも一の孔を具える。
【0009】
代替的に、上側レールが短いフレームを有する中庭用ドアの場合は、ラックが側部框、または側部框から延在する一またはそれ以上のつかみ框に取り付けられていてもよい。
【0010】
好ましくは、第2の方向が第1の方向の逆方向である。
【0011】
好ましい実施例では、この駆動システムは、コネクタ上に相補的に合致するように構成された部材を具える。この部材は、ドライバの下側端部とドアの間の隙間にブリッジをかけるように構成されたコンシーラであることが好ましい。
【0012】
ドライバは、符号化装置に動作可能に接続されていることが好ましい。好ましくは、この符号化装置は遠隔操作可能である。この符号化装置は、引き戸を4つのモードから選択されたモードで動作させることができることが好ましい。第1の(自動)モードは、戸口の内部及び/又は外部に配置した一またはそれ以上のセンサに応じて引き戸を作動させる動作を具える。第2の(ロック)モードは、内部ロック機構によって引き戸を閉位置にロックする動作を具える。内部ロック機構は、モータと一体化した部分、又は、モータに取り付けた部分を形成する。好ましくは、内部ロック機構は、遠隔制御できる。第3の(開保持)モードは、引き戸を開位置に維持する動作を具える。第4の(ペット)モードは、符号化装置がペットの存在に応じて、引き戸を一またはそれ以上の状態に動作させ得る動作を具える。
【0013】
都合の良いことに、符号化装置は、別の可動物体に接続した別の符号化装置に接続されている。これは、例えば、網戸が付いた中庭用ドアに最も適している。好ましくは、符号化装置は、マスターアンドスレーブ構成で作動するように設定できるように構成されている。これによって、中庭用ドアと相補式網戸の動作は、同期させることができる。
【0014】
符号化装置は、対象物に赤外線ビームを発する赤外線エミッタを具える起動部と、対象物から反射されたビームを検出するように構成されたセンサに応答するように構成されている。好ましくは、起動部は、ドアのガード、壁、又は天井に取り付けるように構成したホルダに移動可能に連結されている。ホルダは、後部プレートと、このプレートから延在する一対のラチェットバーを具えることが好ましい。好ましくは、ラチェットバーは、傾斜した歯を伴って湾曲している。この実施例では、赤外線ビームの発光角度が、起動部の方向によって決まり、これによって、動作領域が規定される。起動部の動きは、好ましくは、ラチェットバーの対と連動する。起動部は、ラチェットバーの上に設けた傾斜した歯の選択された対によって所望の位置にロックされる。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、駆動システムが引き戸を駆動するのに適しているかどうかを表示するデバイスが提供されており、このデバイスは:
ユーザが引っ張るように構成した第1の端部と;
一またはそれ以上の目盛を具える領域と;
この目盛の一つに選択的かつ着脱自在に取り付けるように構成された第2の端部と;を具え、前記領域が第1の端部と第2の端部の間に位置している。
【0016】
第1の端部は、ユーザが保持するように構成したループを具えることが好ましい。
【0017】
目盛は、特定の駆動システムに受け入れ可能な負荷に応じて選択され、この駆動システムは、本発明の第1の態様の駆動システムを具える。
【0018】
好ましくは、目盛がついた領域は、第2の端部に固定されている、VELCRO(商標)のループ部、VELCRO(商標)のホック部の少なくとも一部で製造され、あるいはその逆でできている。代替的に、その他の取り付け方法を用いてもよい。
【0019】
使用に際して、ユーザはデバイスを、ドアのハンドルなどの取り付け手段に取り付ける、第2の端部を所望の目盛に取り付けて、第1の端部を用いてドアを選択した方向に引っ張る。この工程で、第2の端部が所望の目盛から外れた場合は、これが、駆動システムが引き戸を駆動するのに適していないことの表示である。このような場合、ユーザは例えば、より丈夫な駆動システムを選択することができる。
【0020】
選択的に、第2の態様のデバイスは、第1の態様の駆動システムが、引き戸の駆動に適しているかどうかを表示するのに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の特徴をよりよく理解するために、本発明の非限定的な好ましい実施例を、図面を参照して例示として説明する。
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施例による駆動システムの側面図であり、ドアが一方向に可動となるように組み込まれている。
【
図2】
図2は、ドアが反対方向に可動であるように組み込んだ、
図1の駆動システムの側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の駆動システムの一実施例の部分分解斜視図であり、ある位置に配置したドライバとピニオンを示す。
【
図4】
図4は、
図3に示す駆動システムの部分分解斜視図であり、別の位置に配置したドライバとピニオンを示す。
【
図5】
図5は、低い上側レールが付いた中庭用ドアに装着した
図3又は4に示す駆動システムの断面図である。
【
図6】
図6は、高い上側レールが付いた中庭用ドアに装着した
図3又は4に示す駆動システムの断面図である。
【
図7】
図7は、キャビティドアに装着した、
図3又は4に示す駆動システムの断面図である。
【
図8】
図8は、キャップとこれに対応するパッカーを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、中庭用ドア框の斜視図であり、
図3又は4に示す駆動システムを有する調整用のラックが装着されている。
【
図11】
図11は、動作状態にある
図1の駆動システムに取り付けた二つの起動部を示す側面図である。
【
図12】
図12は、
図11に示す起動部を支持するように構成したそれぞれのホルダを示す図である。
【
図13】
図13は、駆動システムが引き戸の駆動に適しているかどうかを示す本発明の第2の態様のデバイスの実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の駆動システムが特に家庭用に好ましく設計されていることは明らかである。この駆動システムは、大規模の商業ビルディングの引き戸を駆動するよりパワーの大きいモータを具えるようにしてもよいが、その他の構成要素を適応させる必要がある。
【0023】
図1及び2を参照すると、自動引き戸12用の駆動システム10が、ドライバ14とピニオン16を具える。対応するラック18と組み合わせたピニオン16は、ドア12に取り付けた対応するラック18に動作可能に連結して、ドア12を矢印A(
図1)で示す第1の方向(閉)、又は、矢印B(
図2)で示す第2の(逆)方向に、ドア12を摺動させる。いずれの場合も、閉方向を逆転させてドア12を開くことができる。ドライバ14は、図示しないモータとギアボックスを具える。
【0024】
図3と4に最も良く示すように、ピニオン12は、ドライバ14に対して選択的に二つの位置で取り付け可能である。
図3に示す第1の位置は、ドア12を第1の方向Aに摺動させるように構成されている。逆に、
図4に示す第2の位置は、パネルを第2の方向Bに摺動させるように構成されている。
【0025】
ピニオン16は、ドライバ14に設けた凹み15で受けるシャフト13を有する。ボルト(図示せず)が設けられており、ピニオン16のシャフト13を、凹み15内の適所に固定している。
【0026】
図5乃至7及び
図9を参照すると、様々な実施例のドア12は、パネル20、又は、上側レール24(
図5)、26(
図6)、又は28(
図9)と、二本の側部框30と32(
図9)で枠組みされたガラス枠22でできている。パネルの上側部分34(
図7)、又はガラス枠22の上側レール24、26又は28(
図5、6、及び9)は、ガード36、38又は40によってそれぞれ適所に保持されている。ガード36、38又は40は、天井42に取り付けられている。
【0027】
図5及び6を参照すると、中庭用ドア44及び46は、共に、上側レール24と26で、部分的に枠組みされたガラス枠22を具える。両実施例ともに、ラック18がコネクタを介してガラス枠22の上側レール24又は26に連結されている。コネクタは、断面がほぼL−字形状のチャネル48の形状をしている。チャネル48は、中庭用ドア44、46とドライバ14との間の隙間にまたがっている。チャネル48は、また、端部が開放された細長キャビティ50と二本の溝52と54を有する。中庭用ドア44の上側レール24(
図5)は、中庭用ドア46のレール26より短いことがわかる。このため、チャネル48は、上側レール24が短い場合(
図5)に上向きになり、上側レール24が高い場合(
図6)に下を向く縦壁56とともに配置されている。
図5および6に示すチャネル48は、標準サイズの上側レールによって枠組みされたガラス枠22をそれぞれ有する中庭用ドア44及び46に最も適している。
【0028】
図7を参照すると、駆動システム10が、パネル20でなるキャビティドア58に接続されている。この実施例では、ラック18がパネル20の上側部分34に、チャネル64の形をしたコネクタを介して連結されているが、このチャネル64は、
図5及び6にある端部が開放されたキャビティ50を有していない。キャビティドア58は、ガード40に取り付けたランナ62から宙づりになっているキャリッジ60によって支持されている。
【0029】
図8及び9に示すように、キャップ66が設けられており、チャネル64の端部68と70の上に各々取り付けられている。キャップ66は、チャネル64の溝52、54(
図5及び6)に係合する突起72及び74を有する。キャップ66は、チャネル48の端部(
図5及び6)の上に取り付けるのにも使用することができることは明らかである。
図8に最もよく示すように、キャップ66はねじ(図示せず)などの固定手段を受ける孔76を有する。キャップ66は、ガラス枠22の面に直角にあるいは平行に取り付けられるように構成されている。
【0030】
図8及び9を参照すると、中庭用ドア78の別の実施例は、上側レール28が非常に短いフレームを有する。この場合、ラック64は、一方の端部が側部框30に固定され、他方の端部は側部框32から延在するつかみ框80に固定されている。パッカー82(
図8)が、キャップ66と框30の間に設けられている。パッカー82も、ねじを受ける孔84を具える。パッカー82は、框30にラック64を固定するために、キャップ66とぴったり連結するように構成されている。
【0031】
図10を参照すると、ドライバ14は遠隔操作可能な符号化装置92に動作可能に接続されている。符号化装置92は、ドア12を4つのモードのうちの一つで動作させる。第1(自動)モードには、戸口の内側及び/又は外側に配置した一またはそれ以上のセンサに応答する引き戸の動作が含まれる。第2(ロック)モードには、内部ロック機構によって、ドア12を閉位置でロックする動作が含まれる。内部ロック機構は、一体的部分を形成してもよく、モータに取り付けてもよいと考えられる。ロック機構は、遠隔制御ユニットによって遠隔制御可能である。第3(開保持)モードには、ドア12を開位置で維持する動作が含まれる。第4(ペット)モードには、符号化装置をペットの存在に応答して、これによって引き戸12を一又はそれ以上の状態で作動させる動作が含まれる。この場合、符号化装置を、センサ94に応答するようにプログラムして、これによってセンサ94によって熱を放出して近づく物体に応答する、または、センサ94によって検知できる範囲内で応答するようにできる。符号化装置92は、手動であるいは遠隔操作デバイス98によってオンオフできるモード選択スイッチ96を有している。
【0032】
センサ94は、動いている、あるいはアイドリングしている、あるいは静止状態にある熱を放出する物体を検出できる、あるいはこれに応答できることを意図している。このことは、例えば、ペットがある領域への入り口に静かに立っている場合に、有益である。前述の範囲は、選択された領域をカバーするセンサ94から発した一またはそれ以上のビームによって規定される。また、床圧センサ100、起動IR検出器、動作センサ102などの他のタイプのセンサを、符号化装置92に接続することも意図している。
【0033】
駆動システム10は、既存の引き戸に適用でき、例えば、夏の網戸に容易に移動させることができ、次いで所望に応じて元のドアに戻すことができるように設計されている。
【0034】
さらに、
図10に示すように、符号化装置92は、別の稼働物体に接続した別の符号化装置104に接続することができる。これは、例えば、網戸が併設されている中庭用ドアに最も適している。符号化装置92、104は両方とも、マスターアンドスレーブ構成での動作を設定できるように構成されている。このように、中庭用ドア12と、これに相補の網戸(図示せず)の動きを同調させることができる。マスターアンドスレーブ構成は、それぞれのスイッチ106と108を用いて手動で、あるいは、遠隔制御装置98を用いて電動で起動及び停止させることができる。動作中は、マスターであるエミッタと、スレーブであるレシーバの間に、コマンドを送信する一方向通信チャネルが設定される。
【0035】
ドアの動作が確実に同調するようにするためには、ドアと網戸をトリガするすべてのセンサと遠隔操作が、ワイヤレス通信するか、あるいは配線で接続されたインターフェースを取ることによって、マスター符号化装置92と接続され、開閉のコマンドがすべてマスターによって制御されることは、自明である。
【0036】
図11及び12を参照すると、符号化装置92は、対象物にIRビーム122を発する赤外線エミッタと、対象物からの反射ビームを検出するように構成したセンサを具える起動部110に応答するように設計されている。起動部110と、112は、各々、壁16(
図11)に固定したホルダ114(
図12)に移動可能に連結されている。ホルダ114は、後部プレート118と、このプレートから延在する一対の湾曲したラチェットバー120を具える。
【0037】
図11に示すように、IRビーム122の発光角度θは調整可能であり、起動部110、112の方向によって決まり、これによって、動作領域を規定する。起動部110、112の動きは、ラチェットバーの対120で調整され、手動であるいは電動で動く。起動部110、112は、ラチェットバー120上に設けた傾斜した歯124の選択された対によって、所望の位置にロックされる。縦のビーム角度を用いる場合(すなわち、θが0度のとき)、起動部110、112は、出入り口に障害物があるときは常に一定のトリガを維持し、これによって、障害物の上でドアが閉じることを防止する「安全カーテン」を作る。
【0038】
図13を参照すると、駆動システムが引き戸の駆動に適しているか否かを表示するデバイス126がベルトの形状をしている。ベルト126は、第1の端部128と、第2の端部130と、第1の端部と第2の端部との間に位置する領域132とを具える。第1の端部128は、ユーザが保持するように構成したループ134を有する。領域132は、複数の目盛136を有しており、この目盛のいくつかにラベルがつけられている。第2の端部130は、目盛136の選択された目盛に選択的にかつ着脱自在に取り付けられている。目盛を設けた領域132は、VELCRO(商標)のループ部分でできている。VELCRO(商標)のホック部分は、第2の端部130に固定されている。この構成は逆でもよい。
【0039】
図14を参照すると、使用に際して、ユーザは、まず、ベルト126をドア140のハンドル138の形をした取り付け手段に取り付ける。次いで、第2の端部130を所望の目盛に取り付ける。次いで、ユーザは、第1の端部128を用いてドア140を選択した方向に引っ張る。この手順において、第2の端部130が所望の目盛から外れた場合は、選択した目盛によって示された負荷に対抗できる駆動システムが、引き戸140を駆動するのに適していないことを示す。なぜなら、ドア140は重過ぎるか、あるいはシステムに過大な摩擦があるためである。このような場合は、ユーザは例えば、より重い負荷の駆動システムを選択するか、そのシステムを使用することができる。
【0040】
本発明の好ましい実施例をいくつか詳細に説明したので、駆動システムと表示デバイスが少なくとも以下の利点を提供することが、当業者には明らかである。
1.シンプルで取り付けと適用が容易である。
2.ドアのスタイルや摺動方向に関係なく多くの引き戸に取り付けることができる。
3.中庭用ドアと網戸の開閉を同調させることができる。
4.検出領域の選択を容易に行うことができる
5.表示デバイスによって過負荷、或いは駆動システムの不適切な選択を防止できる。
【0041】
ここに述べた発明が、特に記載したもの以外の変形や変更が可能であることは当業者には自明である。これらの変形及び変更はすべて、その特徴が上記の記載によって決定される本発明の範囲及び精神に入るものと考えられる。