(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012052
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】診断システムに使用する免疫検定検査ストリップ
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-531914(P2013-531914)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2013-539041(P2013-539041A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011054236
(87)【国際公開番号】WO2012044938
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月25日
(31)【優先権主張番号】61/389,171
(32)【優先日】2010年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501214292
【氏名又は名称】ホロジック, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Hologic, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ベイダウン,リナ
【審査官】
草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−086026(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/121794(WO,A1)
【文献】
特表2008−514900(JP,A)
【文献】
特開2006−208386(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0200562(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0018800(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0266025(US,A1)
【文献】
特表2009−517632(JP,A)
【文献】
特開平11−108927(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/145250(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫検定検査ストリップを製造する方法において、患者サンプルの免疫検定検査ストリップの結果が、反射率読取装置を用いて、完成した当該免疫検定検査ストリップの色または他の性質の変化により検出可能であり、当該方法が:
液体サンプルを移動させることができ、その上で免疫反応を起こせる固体担体として機能する多孔性または吸水性部材を基板に当てるステップと;
接触パッドを、前記多孔性または吸水性部材の第一端に隣接した前記基板に接着するステップであって、当該接触パッドの端を前記多孔性または吸水性部材と流体接続するように重ねるステップと;
コンジュゲートパッドを、前記接触パッドに隣接した前記基板に接着するステップであって、当該コンジュゲートパッドの端を前記接触パッドと流体接続するように重ねるステップと;
コンジュゲート試薬を、前記コンジュゲートパッドにストライピング工程を通じて加えるステップであって、前記コンジュゲートパッドがその後実質的に均一なものとして加えられるコンジュゲート試薬を含むようなステップと;
サンプルパッドを、前記コンジュゲートパッドに隣接した前記基板に取り付けるステップであって、当該サンプルパッドの端を前記コンジュゲートパッドと流体接続するように重ね、当該サンプルパッドが液体患者サンプルを受けるのに適した材料を具えるステップと;
吸収パッドを、前記多孔性または吸水性部材の前記第一端とは反対の第二端に隣接した前記基板に取り付けるステップであって、当該吸収パッドの端を前記多孔性または吸水性部材と流体接続するように重ね、当該吸収パッドが、前記サンプルパッドに導入された前記サンプル液体を前記コンジュゲートパッド、接触パッドおよび多孔性または吸水性部材のそれぞれを通じて吸い取るように機能し、
前記ストライピング工程において、過剰な液体コンジュゲート試薬が前記コンジュゲートパッドから前記多孔性または吸水性部材へ吸上するのを前記接触パッドにより防ぎ、その一方でなお、患者サンプル液体およびコンジュゲート試薬の組み合わせが、以降の免疫検定検査の過程において、前記コンジュゲートパッドから前記接触パッドを通じて前記多孔性または吸水性部材へと流れるステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記コンジュゲートパッドが親水性材料を具えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記ストライピング工程中に加えた前記コンジュゲート試薬を、前記サンプルパッドを取り付ける前に乾燥させることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記多孔性または吸水性部材がニトロセルロースを具えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法が、サンプル流体中の関心のある検体の不動化結合パートナーを、前記多孔性または吸水性部材に加えるステップをさらに具えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記不動化結合パートナーが、前記関心のある検体と結合する捕捉抗体を具えることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記コンジュゲートパッドが、前記コンジュゲートパッドおよび前記多孔性または吸水性部材の間で前記接触パッドが長手方向になるように、前記基板に接着していることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記サンプルパッドが、前記サンプルパッドおよび前記接触パッドとの間で前記コンジュゲートパッドが長手方向になるように、前記基板に取り付けていることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、ポイントオブケア診断検査または検定からのデータを含む生化学的データおよび患者履歴データを用いた患者に対する医療診断またはリスク評価の提供、および病状またはリスクを示すための情報処理を補助するシステムおよび方法に関するものである。特に、本願は、米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号に記載された診断システムおよび方法のような診断システムおよび関連方法に使用するための進歩した免疫検定検査ストリップを記載するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6267722号、第6394952号および第6867051号は、イムノクロマトグラフィック法および他の検定検査の結果の分析に関連するエラーを減少させる客観的方法について記載しており、当該方法は、生化学検査および他の検査によるデータを客観的に評価し、診断およびリスク評価にこのようなデータを使用するシステム、方法、デバイスおよび器具を提供すること、およびこのようなシステムに意思決定支援法を組み込み、その結果その診断およびリスク評価能力を高めることを含んでいる。
【0003】
より具体的には、米国特許第6267722号、第6394952号および第6867051号は、患者サンプル内の対象検体レベルを検出して測定し、得られたデータを分析し、診断またはリスク評価を提供するためのシステムおよび方法を記載している。このようなシステムおよび方法は、読取装置、特に、反射率読取装置などのコンピュータ支援読取装置と、データ削除アルゴリズムや曲線適合アルゴリズムを利用するデータ処理ソフトウェアと組み合わせ、任意で生体サンプル内の検体の有無または濃度を正確に特定するために調整されたニューラルネットワークと組み合わせた検定デバイスを含む。この方法は、特別に構成された検査ストリップを用いて患者サンプルに免疫検定を実施するステップと、反射率読取装置を用いてデータを読み取るステップと、データ削除アルゴリズムを利用するデータ処理ソフトウェアを用いて反射率データを処理するステップと、を含む。曲線適合アルゴリズムを含み、任意で調整されたニューラルネットワークと組み合わせたソフトウェアを用いて、所与のサンプル内の検体の有無または量を特定する。読取装置から得たデータは、次いで医療診断システムによって更に処理され、リスク評価や症状の診断を出力として提供することができる。
【0004】
一実施例では、検定デバイスは、読取装置によって読み込まれるよう設計されたハウジング内に入れられた側方流検査ストリップであり、この検定はサンドイッチ免疫検定法である。患者サンプルは、病気、疾患またはそのリスクを示す選択した対象検体に対する抗体と接触する。抗体は物理的に検出可能な標識にコンジュゲートすることで標識化され、対象検体を含むサンプルと接触すると複合体を形成する。この抗体−検体複合体は次いで、固体担体に固定化された、抗原に対する第2の抗体と接触する。この第2の抗体は抗体−検体複合体を捕捉して抗体−検体−抗体のサンドイッチ複合体を形成し、固体担体に固定化された得られる複合体は、標識によって検出することができる。次いで、検査ストリップを読取装置内に挿入し、複合体内の標識からの信号を測定する。さらに、検査ストリップは、読取装置によって読み込まれ、検定デバイスおよび/または検査の実施に関するデータを含むバーコードのようなコードを有するハウジング内に封入することもできる。
【0005】
取得した信号は、データ削除アルゴリズムや曲線適合アルゴリズムを利用するデータ処理ソフトウェアを用いて処理され、任意で調整されたニューラルネットワークと組み合わせて、病気または疾患のリスクまたは有無を示す結果と関連があるサンプル内の検体の定性的結果(すなわち、陽性または陰性)またはその濃度の定量決定の何れかを与える。この結果は、任意で意思決定支援システムに入力し、出力として病状のリスクの高度評価を提供するように処理することができる。全ての工程を自動化および/またはコンピュータ制御することができる。
【0006】
検出される検体は胎児性フィブロネクチン(fFN)であってもよく、取得する結果は妊娠の陽性または陰性表示、または子宮外妊娠、早期陣痛、子癇前症、切迫早産、陣痛誘発および破膜を含む、特定の妊娠に関連する症状または受精および不妊に関連する症状のリスクである。従って、米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号は、側方流検査デバイスを用いる迅速fFN検査を記載するものであり、妊娠中のfFNを検出し、その濃度を定量化し、そのリスクを評価してそれに関連する症状を検出する手段を提供する。その中で提供される読取装置とデバイスの組み合わせによる感度のため、感度が低いシステムによっては検出されない期間を含む妊娠中のfFNをモニタすることができる。
【0007】
ポイントオブケア診断およびリスク評価システム
米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号は、特定の医学的リスクを診断し評価するシステムを記載している。これらのシステムは、患者が検診や検査されるポイントオブケアの現場で使用し、更には現場から離れて操作するように設計されている。これらのシステムは、限定ではないが、生化学的検査データ、身体的検査データ、履歴データおよび他のこのようなデータを含む患者データの形式の入力を受理し、医療診断または病気リスクの指標に関連するデータといった情報を処理して出力するように設計されている。医療記録または履歴といった患者データはシステム内に含むことができる、あるいは、例えば、免疫検定検査データ、血圧値、超音波、X線またはMRIといった、医療検査または医療行為による信号または画像として入力するか、他の形式で取り込むことができる。特定の検査データをデジタル化し、処理し、他の患者情報に組み込むことができる医療診断専門システムに入力することもできる。システムからの出力は、病気リスクの指標または医療診断である。
【0008】
ポイントオブケア検査は、得られる検査をこのシステムを利用しない同等の検査よりも素早く実施できるように、迅速な概算時間内で完了しうるリアルタイムの診断検査のことを指す。例えば、米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号に記載された例示的なfFN免疫検定は、fFNのELISA検定法よりも著しく短時間で、例えば30分以内で実施される。さらに、ポイントオブケア検査は、迅速に、医者の診療室、ベッドサイド、スタット(stat)研究室、緊急救命室といった現場、または特に迅速かつ正確な結果が必要とされるような現場で実施できる検査を指す。一般に、“診断(diagnosis)”とは、病気、疾患または他の病状の存在、非存在、重症度、または治療過程を評価する予測プロセスを指す。本書の目的について、診断とは、治療から生じる結果を特定する予測プロセスも含む。本書で使用するように、リスクとは、特定の結果の可能性を評価する予測プロセスを指す。
【0009】
一実施例では、ポイントオブケア診断およびリスク評価システムは、患者のデータを読み取るための反射率読取装置といった反射または透過の読取装置などの読取装置と、読取装置が読み取るように設計された検査デバイスと、データを分析するソフトウェアとを有している。英数字バーコードまたは他の機械読取可能なコードといったコードを任意に含むプラスチックハウジング内の検査ストリップデバイスは、読取装置とともに使用するように設計され、検査ストリップから生じたデータを分析するよう設計されたソフトウェアも提供されている。
【0010】
検定
米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号は、検定を行うシステムを記載しており、当該システムは、増幅プロトコルおよび非増幅プロトコルを用いる核酸検出、蛍光分析を含む熱量または分光検出に依存する検定、クレアチン、ヘモグロビン、脂質、イオン、血液化学などの蛍光検出を含むが、これらに限定はされない。競合および非競合免疫検定を含む免疫検定法は、その中でも、患者サンプル内の検体の有無または量を特定するのに好ましい。免疫検定法は、第2の物質を有する抗原と、結合相手、通常は、抗原結合部位を有し、胎児性の拘束性抗原のエピトープと選択的に結合する抗体または他の物質との選択的結合を用いる方法であってもよい。本書で使用するような選択的結合とは、選択的かつ通常は特異的な結合相手との間の結合を指し、10%未満、好適には5%未満の交差反応性の非特異的結合を指す。このような免疫検定法は、サンドイッチ法、競合法、凝集法または沈殿法を含むが、これらに限定はされない。既知の免疫検定手段、特に、本書に記載するような側方流デバイスと組み合わせて使用するよう構成することができる手段は、米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号において与えられ、さらに本書において与えられるシステムおよび方法に使用することができる。
【0011】
検査デバイス
反射率読取装置のような読取装置との使用に互換性があり、検定結果を特定するためのデバイスが、本書での使用に意図されている。本書で使用するように、“検査ストリップ”は、患者の検査データまたは他のデータを生成し、画像を形成するように記録または表示する手段、あるいはそれから画像を生成することができる手段を指す。このようなストリップは、側方流デバイスなどの免疫クロマトグラフィック検査ストリップ、シークエンシングゲルから生成されるX線およびフィルムといったX線フィルム、EKGプリントアウト、MRI結果、および画像を生成する、あるいはそれから画像を生成できるような他の手段を含むが、これらに限定はされない。このストリップは、読取装置で走査または読み取るように構成することができる。“ストリップ(strip)”と称しているが、検査ストリップは、長方形、三次元、円形等を含む任意の形態または形状にすることができる。読取装置と組み合わせて使用するように構成することができる検査ストリップは、米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号に記載されている。
【0012】
これらの検査デバイスは一般に、例えば、唾液、血液、漿液、脳脊髄液、頚膣部サンプルなどの生体サンプルに使用することを意図している。細菌または虫等による混入を検査する、食品サンプルといった他の生体サンプルも意図している。対象の検体は、核酸、タンパク質、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)抗原などのペプチド、サルモネラや大腸菌などの細菌を示す抗原、膣カンジタ症または寄生虫感染症、アポリポタンパク質(a)およびリポタンパク質(a)、環境抗原、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、E−3−G、IL−6およびインターフェロンなどのインターロイキンおよび他のサイトカインおよび免疫調節タンパク質、小核リボ核粒子(snRNP)抗原、妊娠に関連する疾患のfFNおよびIGF結合タンパク質−1などの指標を含むが、これらに限定はされない。
【0013】
免疫検定検査ストリップ
米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号に記載された、例示的な先行技術の免疫検定検査ストリップは、
図1Aおよび1Bに示すように液体の経路を規定するメンブレンシステムを有しており、以下に詳述する。このような側方流検査の免疫検定デバイスは、デバイスの中でも免疫検定の実施に好ましく、メンブレンシステムは検査ストリップに沿って1つの流動経路を形成する。このメンブレンシステムは、免疫反応させるために固体担体として機能する構成要素を有する。例えば、ストリップに沿って液体を導くために、多孔性、吸水性、または吸収性の物質を部分的に重なるようにストリップ上に配置することができる、あるいは1つの材料を使用することができる。このようなメンブレン物質を、プラスチック裏材などの裏材の上で支持することができる。例示的な先行技術の実施形態では、検査ストリップは、プラスチック裏材上に支持されたガラス繊維パッド、ニトロセルロースストリップ、および吸収性セルロース紙のストリップを有する。
【0014】
対象の検体および/または検出可能な標識システムと反応する抗体は、固体担体上に固定化される。“固体担体”は、抗体が結合する物質を指す。様々な物質を固体担体として使用することができる。この支持物質は、関心がある分子を取り付けるための支持部として機能しうる任意の物質を含む。これらの物質は、限定ではないが、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、その他のセルロース化合物、デキストラン、デキストラン誘導体およびデキストランのコポリマ、その他の多糖類、ガラス、シリカゲル、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、レーヨン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ビニルポリマ、ポリビニルアルコール、ポリスチレンおよびポリスチレンのコポリマ、ジビニルベンゼン等に交差結合されたポリスチレン、アクリル樹脂、アクリル酸塩およびアクリル酸、アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド混合物、ビニルとアクリルアミドのコポリマ、メタクリレート、メタクリレート誘導体およびコポリマ、様々な官能基を有するその他のポリマおよびコポリマ、ラテックス、ブチルゴムおよび他の合成ゴム、シリコン、ガラス、紙、海綿、不溶性タンパク質、界面活性剤、赤血球、金属、メタロイド、磁性物質、または他の市販の媒体を含む有機または無機ポリマ、自然および合成ポリマを含むが、これらに限定はされない。
【0015】
吸着、イオン結合、ファンデルワールス吸着、静電気結合、共有結合によって、あるいはグルタルアルデヒドなどのカップリング剤を用いることによって、抗体を検査ストリップに結合させることができる。
図1Aおよび1Bに示す先行技術の検査ストリップでは、容量測定用のセラミックピストンポンプディスペンサを用いて、抗体をコンジュゲートパッドおよびニトロセルロースのストリップに適用し、ガラス繊維のコンジュゲートパッドおよびニトロセルロースのストリップ上に、関心がある検体と結合し、標識化した抗体コンジュゲートを含む抗体をストライプさせる。この検査ストリップは、例えば、検査ストリップに沿った流動性を促進させるために糖を用いて、あるいは非特異性の結合部位を遮るためにウシタンパク質(BSA)、他の動物性タンパク質、水溶性ポリアミノ酸、またはカゼインを含む、アルブミンなどの水溶性非免疫性動物性タンパク質を用いて処理してもよく、処理しないでもよい。
【0016】
抗fFN抗体は、fFNと選択的に結合する抗体である。このような抗体は容易に単離することができる。胎児性の拘束性抗原は、妊娠した女性に唯一現れる、あるいは妊娠していない女性と比較して実質的に量が増加する、母体血清、血漿、尿、唾液、汗、涙、および他の体液内の抗原を指す。胎児性フィブロネクチンは、胎盤、羊水および胎児結合組織に見られる胎児性の拘束性抗原であり、成人のフィブロネクチンとは構造上異なっている。胎児性フィブロネクチンは妊婦の血漿または胎盤には著しい量は見られず、抗フィブロネクチン抗体などの一般的な結合抗体、または抗胎児性フィブロネクチン抗体などの抗胎児性の拘束性抗原の抗体を用いて捕捉することができる。
【0017】
検査ストリップのハウジング
検査ストリップは任意に、反射率読取装置内に挿入するように形成された、カスタマイズしたハウジング内に入れることができる。このハウジングは、一連の検定に干渉しないプラスチックまたは他の不活性材料から作ることができる。例示的な先行技術の検定デバイスは、米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号、
図2−5に記載された検査ストリップおよびハウジングアセンブリを含み、以下に詳述する。
【0018】
検査ストリップのハウジングは、検定デバイス、患者のデータおよび/または検査の実施に関連するデータと関連付けることができるバーコードのようなコードを有しうる。例えば、ロット番号、有効期限、検体および強度値などの装置に関する情報、日付、反射率などの検査の実施に関する情報、または他のこのような情報を符号化し、データベース内などで装置にインプリントされたバーコードと関連付けることができる。
図2A、2Bおよび3は、バーコード216および316をそれぞれ任意に有する検定デバイスを示している。
【0019】
抗体
関心のある検体に結合する、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、またはFabフラグメントなどの領域を含む任意の抗体を、本書に記載された検査ストリップと共に使用することを意図している。モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を使用することもできる。例えば、胎児性フィブロネクチンを検出するために、マウスのモノクローナル抗胎児性フィブロネクチン抗体を標識化した抗体コンジュゲートに使用することができ、サンドイッチ複合体を形成するために、ポリクローナルのヤギ抗マウス抗体を使用して胎児性フィブロネクチンを結合させることもできる。胎児性フィブロネクチンと複合化しない標識化した抗体コンジュゲートに結合する抗体を検査ストリップ上に固定化して、制御抗体として使用することができる。例えば、胎児性フィブロネクチンが検体の場合、ポリクローナルのヤギ抗マウス抗体IgG抗体を使用することができる。
【0020】
関心のある検体に結合する抗体は、検出可能な識別にコンジュゲートされる。胎児性フィブロネクチンを検出する特定の実施形態では、青色染料を含むラテックス粒子にコンジュゲートしたマウスのモノクローナル抗fFN検体(例えば、米国特許第5281522号参照)を使用することができる。一実施形態では、ヒトフィブロネクチンに対するヤギのポリクローナル抗体は、金コロイド標識にコンジュゲートされる。例示的な実施形態では、胎児性フィブロネクチンと複合化しない標識化した抗体コンジュゲートに結合する抗体を制御抗体として使用する。例えば、標識化したコンジュゲートがモノクローナルの抗胎児性フィブロネクチン抗体を含む場合、ポリクローナルのヤギ抗マウスIgG抗体を使用する。これらの抗体は、公に入手可能な情報源による方法を利用して培養し、精製することができる。
【0021】
標識への抗体のコンジュゲート
検出可能な標識を含む抗体コンジュゲートを用いて、関心のある検体を結合させることができる。抗体コンジュゲートに使用される検出可能な標識は、反射率読取装置などの読取装置を用いて固体担体上で検出することができ、検定において他の化合物や物質と検出された試薬を区別するように使用することができる、物理的標識または化学的標識であってもよい。適切な抗体の標識は既知である。このような標識は、反応すると色を生成する酵素と基質の組み合わせ、ラテックス粒子などの色付き粒子、金属コロイド、金属、またはカーボンゾルの標識、蛍光標識、標識の凝集により検出されるリポソームまたはポリマ嚢を含むが、これらに限定はされない。例示的な標識は色付きのラテックス粒子である。金コロイドは標識化した抗体コンジュゲートに使用することもできる。
【0022】
カルボキシル基などの官能基を粒子の表面に付着させるなどして、抗体の共有結合を可能にすることにより、抗体を結合させるために標識を誘導体化することができる。既知の結合方法を利用して、抗体を標識にコンジュゲートすることができる。グルタルアルデヒドまたはカルボジイミドなどの結合剤を使用してもよい。これらの標識は、化学的または物理的な結合によって抗体に結合または連結することができる。カルボジイミド結合試薬である1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)を用いて、抗体をラテックス粒子に結合することができる。
【0023】
検体の測定
検定、特に免疫検定を含む比色分析法において検出することができ、疾患と関連付けることができる任意の検体を対象として意図している。適切な検体を、抗体などの特異的な結合相手と共に、あるいは類似体などの競争物と共に検定に使用することができる。検体は、タンパク質、ハプテン、免疫グロブリン、酵素、ホルモン(例えば、hCG、LH、E−3−Gエストロン−3−グルクロニドおよびP−3−G(プロゲステロン−3−グルクロニド))、ポリヌクレオチド、ステロイド、リポタンパク質、薬物、レンサ球菌、ナイセリアおよびクラミジアなどのバクテリアまたはウイルス抗原、リンフォカイン、サイトカイン等を含みうるが、これらに限定はされない。多くの適切な検体が米国特許第5686315号に記載されている。頚膣部サンプル内の胎児性フィブロネクチンの特定について例示されているが、米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号に記載され、さらに本書で提供されたシステムおよび方法は、胎児性フィブロネクチンの検出および測定に限定されるものではなく、特に検査ストリップを発展させるため、または検査ストリップを理解するために、任意の生化学検査に適用される。
【0024】
fFNおよび細胞フィブロネクチンを測定するための検査ストリップ
頚膣部サンプル内の胎児性フィブロネクチンおよび細胞フィブロネクチンのレベルを測定する方法が知られており(例えば、米国特許第5096830号、第5185270号、第5223440号、第5236846号、第5281522号、第5468619号、および第5516702号を参照)、様々な妊娠に関連する病気の診断検査が可能である(例えば、米国特許第5096830号および第5079171号参照)。これらの方法は、本書に記載された免疫検定検査ストリップおよびデバイスと共に使用するよう構成することができる。
【0025】
胎児性フィブロネクチン検定手順
検定の実施につき患者サンプルを取得する。このサンプルは流体および微粒子状の固体を含むことができ、したがって検定検査ストリップに適用する前に濾過することができる。このサンプルは、繊維先端部を有する綿棒、吸引器、吸引装置または洗浄装置、注射器を用いて、あるいは尿または唾液を収集する受動的な方法を含む、身体サンプルを取り除く他の既知の方法を用いて患者から取り出すことができる。特に、このサンプルをバッファ溶液内に抽出し、任意に、例えば37℃に加熱し、濾過することができる。サンプル内の胎児性フィブロネクチンを検出する場合、ダクロンまたは他の繊維先端部を有する綿棒を用いて、後膣円蓋、子宮頸膣部または外側子宮口の付近からサンプルを取得する。
【0026】
次いで、多量の検査サンプルを、生体サンプルを移動させる既知の手段、例えば標準的なプラスチックピペットを用いて検査ストリップに送達する。サンプル内の検体は標識化した抗体に結合し、生じた複合体は検査ストリップに沿って移動する。代替的に、検査ストリップに適用する前に、サンプルを標識化したコンジュゲートと予め混合することもできる。標識化した抗体−検体の複合体が検査ストリップの検出領域に接触すると、そこに固定化された抗体が複合体と結合してサンドイッチ複合体を形成し、これにより、有色ストライプを形成する。結合しなかった、ラテックスがコンジュゲートした抗体は、第2の固定化された抗体またはコンジュゲートと結合することができる他の物質によって捕捉される制御領域へと移動し続け、これにより、染料含有ラテックスビーズの凝集によって第2の有色ストライプを形成する。これは、検定の実施が終了したことを示す。
【0027】
読取装置
読取装置は、検査ストリップ上などにあるデータを検出する、および/または定量化するための機器を指す。このデータは裸眼で可視できてもよいが、可視的である必要はない。このような読取装置は、米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号に記載されている。それらに記載されているように、反射率読取装置は、任意の波長の蛍光、または電磁放射を含む反射光を利用して検査ストリップを読み取るよう構成された機器を指す。反射率は、光検出機または電荷結合素子(CCD)などの検出器を用いて検出することができる。例示的な反射率読取装置は、検査ストリップを収容するよう適合したカセットスロット、発光ダイオード、光ファイバ、検出器であって検査ストリップに沿って検出器を配置する手段を含む検出器、光検出機の出力を読み取り、発光ダイオードのオンオフ動作を制御する制御回路、未加工および/または処理済みのデータを保存するメモリ回路、およびシリコンフォトダイオード検出器などの光検出機を有する。色の変化とは、色の強度または色相の変化を指す、あるいは色が存在しない場合に色の出現を、または色の消滅であってもよいと認識されたい。
【0028】
米国特許第6267722号、第6394952号、および第6867051号に記載された例示的な実施形態では、サンプルが診断用の免疫検定検査ストリップに適用され、有色のバンドまたは濃いバンドが生成される。検査ストリップの検査領域(または検出領域)における有色標識によって反射される色彩強度は、対象の濃度範囲について、検査されたサンプル内にある検体量に直接的に比例する、あるいは関連している。生成された色彩強度は、本実施形態によると、検査ストリップを読み取るよう構成された反射率読取装置などの読取デバイスを用いて読み取られる。検査ストリップの検査領域(または検出領域)における有色標識によって反射される色彩強度は、検査されるサンプル内にある検体の量と直接的に比例する。換言すると、検査領域における濃い色のラインは検体量が多いことを示し、検査領域における薄い色のラインは検体量が少ないことを示している。生成された色彩強度、すなわち有色ラインの濃さまたは薄さは、検査ストリップを読み取るよう構成された反射率読取装置などの読取デバイスを用いて読み取られる。
【0029】
読取デバイスによって取得した反射率測定値は、サンプル内にある検体の有無および/または量に関連している。読取装置はストリップに沿って複数の測定値を取り出し、サンプル内にある検体の有無および/または量を示す結果を生成するために使用されるデータを取得する。このシステムは、このようなデータを疾患、症状またはそのリスクの存在と相互に関連付けることができる。
【0030】
上述したように、検査ストリップを読み取ることに加えて、読取装置は(任意で)バーコードなどのコードを読み取るよう構成されてもよく、このコードは、検査ストリップまたはハウジング上にあり、検査ストリップのデバイスおよび/または検査結果および/または患者、および/または試薬に関する情報、あるいは他の所望の情報を符号化している。通常、関連する情報は遠隔コンピュータのデータベースに保存されるが、手動で保存することもできる。さらに、装置を用いて情報をその中に符号化する時に、コードをインプリントすることもできる。
【発明の概要】
【0031】
免疫検定検査ストリップが提供されており、患者サンプルの免疫検定検査の結果は、反射率読取装置を用いて検出できる検査ストリップの色または他の性質の変化によって検出可能である。一実施形態では、免疫検定検査ストリップは、液体の患者サンプルを受け取るサンプルパッドと;サンプルパッドに流体接続されたコンジュゲートパッドであって、実質的に均一に適用したコンジュゲート試薬を有するコンジュゲートパッドと;コンジュゲートパッドに流体接続された接触パッドと;ニトロセルロースなどから作られ、検査ストリップに沿って液体サンプルを移動させることができる接触パッドに流体接続された多孔性または吸水性部材であって、その上で免疫反応が生じる固体担体として機能する多孔性または吸水性部材と;多孔性または吸水性部材に流体接続され、コンジュゲートパッド、接触パッドおよび多孔性または吸水性部材それぞれを介してサンプルパッドの上に導入されたサンプル流体を吸い込むように機能する吸収パッドとを有する。
【0032】
多孔性または吸水性部材は、検出領域におけるサンプル流体内の関心がある検体に結合する、固定化された捕捉抗体を有しうる。例えば、多孔性または吸水性部材は、拡散的に結合した抗体を有しうる。免疫検定検査の結果は、定性的および/または定量的であってもよい。一実施形態では、この免疫検定検査は、サンプル内の胎児性フィブロネクチンの存在を検出する。
【0033】
本発明の他および更なる実施形態は、添付の図面と併せて以下の詳述を参照すると明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図面に示すシステムおよび装置は必ずしも縮尺に従って描かれてはおらず、その代わりに、図示する実施形態の様々な特徴を強調していると理解されたい。
【
図1A】
図1Aは、先行技術の免疫検定検査ストリップの上面図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1Aおよび
図1Bの検定検査ストリップとハウジングアセンブリを有し、ハウジングに任意に付着させることができるバーコードを示す先行技術の検定デバイスの斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1Aおよび
図1Bの検定検査ストリップとハウジングアセンブリを有し、ハウジングに任意に付着させることができるバーコードを示す先行技術の検定デバイスの代替的な実施形態の斜視図である。
【
図3】
図3は、デバイスの個々の構成要素を示す、
図2Bの検定デバイスの斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1Aおよび1Bの検定検査ストリップ用の例示的な先行技術のハウジングアセンブリの上面図である。
【
図5】
図5は、
図4のハウジングアセンブリの側面組立図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の一実施形態により構成された、向上した免疫検定検査ストリップの上面図である。
【
図7】
図7は、コンジュゲートのストライピング処理がメンブレンシステムのコンジュゲートパッドを視覚的に浸透した後の、
図6Aおよび6Bに示すような検査ストリップを切り取るカードの上面図である。
【
図8】
図8は、
図6Aおよび6Bに示すものと類似の検査ストリップの上面図であり、ストライピング処理の際にコンジュゲートパッドから接触パッドに付着したコンジュゲート物質を有する接触パッドの下部分を露呈するためにコンジュゲートパッドが取り除かれている。
【発明を実施するための形態】
【0035】
米国特許第6867051号から得た先行技術の図面1−5について最初に参照する。
【0036】
図1Aおよび1Bに示すように、米国特許第6867051号に記載された先行技術の検査ストリップ100は、3つの構成要素、すなわち多孔性または吸水性部材102と;コンジュゲートパッド108と;吸収パッド110とを有するメンブレンシステムを具えている。このメンブレンシステムは基板または裏材112の上に載っており、コンジュゲートパッド108および吸収パッド110は、その間に置かれた多孔性または吸水性部材102と僅かに重なっている。見て分かるように、コンジュゲートパッド108上に配置された流体サンプルがコンジュゲートパッド108から多孔性または吸水性部材102へと通じるように、コンジュゲートパッド108は多孔性または吸水性部材102と重なっている。同様に、コンジュゲートパッド108から多孔性または吸水性部材102へと取り込まれた流体サンプルが次いで吸収パッド110に移動するように、吸収パッド110は多孔性または吸水性部材102と重なっている。このようにして、コンジュゲートパッド108、吸収パッド110および多孔性または吸水性部材102はそれぞれ互いに流体連通し、これにより、コンジュゲートパッド108上に配置された流体サンプルは、コンジュゲートパッド108を介して多孔性または吸水性部材102へ、次いで多孔性または吸水性部材102から吸収パッド110へと広がることができる。
【0037】
多孔性または吸水性部材102は検査ストリップに沿って液体サンプルを移動させることができ、その上で免疫反応が生じる固体担体として機能する。対象の検体および/または標識と反応する抗体は、固体担体上に固定化される。想定される固体担体は、紙、セルロースエステルやセルロースエーテルなどのセルロース誘導体、ビニルポリマや部分的に加水分解した派生物などの自然および合成のポリマ物質、重縮合物、コポリマ、および無機物質を含む。このような固体担体の1つはニトロセルロース膜である。図面に見られるように、多孔性または吸水性部材102は、2つの異なる抗体を固定化する2つの別個の領域、検出領域104および制御領域106を有している。この検出領域は関心がある検体と結合する固定化された捕捉抗体を有しており、制御領域は、検体に結合していない標識化した抗体コンジュゲートと結合する抗原などの固定化された抗体または他の要素を有している。コンジュゲートパッド108はサンプルの適用要素として機能し、検出可能な標識にコンジュゲートされた、検体に対する抗体を用いてストライピングされる。特に、標識化した抗体コンジュゲートはコンジュゲートパッド108に拡散的に結合され、液体サンプルを適用すると流動するようになり、検査ストリップ100に沿って移動する。コンジュゲートパッド108は、ガラス繊維などの多孔性材料から作られる。コンジュゲートパッド108は、サンプルのプレフィルタとして機能することもできる。吸収パッド110は、デバイスを通って連続的に液体を吸い込むように機能し、セルロース紙または他の材料といった物質から作ることができる。
【0038】
ここで
図2Aを参照すると、米国特許第6867051号の免疫検定デバイスは検査ストリップ(100)とハウジングアセンブリ200とを有しており、ハウジング202は検査ストリップ100(
図1Aおよび1B)を概ね囲み、それを介して検査サンプルを適用する開口204と、検査サンプル内の検体の量と相関する標識量を読取装置によって測定できるようにする検出領域および制御領域の上の隙間206とを有する。ハウジング202は、その上面208に、ハウジング202を把持するために用いる厚い端部210と、それを介してサンプルをハウジング202内の免疫検定検査ストリップのコンジュゲートパッド108に適用する適用窓204(またはサンプル窓)とを有する。ハウジング202はさらに検査窓214を有し、それを介して免疫検定の検査結果が見える。図示された実施形態によると、検査窓214(またはサンプル窓212)内には窓材料は取り付けない。したがって、ハウジング202の外側から検査窓214を通る免疫検定検査ストリップまでの光路は、透明材料にさえも妨げられない。さらに、
図2Aおよび
図2Bに示すように、ハウジングは、読取装置または別の読取デバイスによって読み取ることができ、特定のデバイスおよび/または検査の実施に関する識別情報または他の情報に関係する、バーコード216または316のようなコードを有しうる。
【0039】
検査デバイスの代替的な実施形態が
図2Bに示されている。このデバイスの構成要素は
図3に図示されており、ハウジングの上下部材302および320と、検査ストリップ100とを有する。さらに、サンプル適用ポート304、検査窓306、および任意に組み込まれたバーコード316を図示している。
【0040】
図4は、
図2Aの免疫検定検査ストリップのハウジング202の上面図を示しており、サンプル窓212、検査窓214、および拡張した把持部210を示している。さらに、ハウジング202内に免疫検定検査アセンブリを保持するための構造402と、ハウジング202の上半分と下半分を互いに固定するための構造404を示している。
【0041】
図5は、検査ストリップのハウジング202の側断面組立図であり、サンプル窓212、検査窓214、およびハウジング202内の定位置に免疫検定検査ストリップのアセンブリを保持するための構造402を示している。見て分かるように、ハウジング202の上半分502は、ハウジング202の下半分504と接続される。免疫検定検査ストリップはハウジング202の上半分502と下半分504の間に挟まれ、上半分502の構造402によって定位置に固定される。免疫検定検査ストリップのアセンブリがハウジング内に固定され、コンジュゲートパッドがサンプル窓212を介して接触可能に配置されると、免疫検定検査ストリップは、検査窓214を介して見ることができるように配置される。
【0042】
上述して図示した
図1−5のデバイスは特に、米国特許第6867051号に記載された反射率読取装置と共に使用するよう構成されている。
【0043】
本書における発明の実施形態は
図6−8に図示されており、診断システムおよび関連する方法に使用し、特に米国特許第6867051号に記載されたような診断システム及び方法に使用する、向上した免疫検定検査ストリップに関するものである。特に、本書に記載された向上した免疫検定検査ストリップの例示的な実施形態は、ハウジング200または読取装置を変化させる必要なく、
図1Aおよび1Bの先行技術の検査ストリップ100に容易に代替するようなサイズに作られ、構成されることが好ましい。しかしながら、本書に記載の向上した免疫検定検査ストリップは、米国特許第6867051号に記載された診断システムおよび方法での使用に限定されるものではない。
【0044】
ここで
図6Aおよび6Bを参照すると、向上した免疫検定検査ストリップ600の例示的な実施形態は、5つの主な構成要素、すなわち、サンプルパッド608と;コンジュゲートパッド615と;接触パッド617と;ニトロセルロースの薄膜を具える多孔性または吸水性部分602と;吸収パッド610とを有するメンブレンシステムを具えている。検査ストリップ600のメンブレンシステム(608、615、617、602、610)は適切な基板または裏材612の上に載っており、サンプルパッド608はコンジュゲートパッド615に重なり、コンジュゲートパッド615は接触パッド617に(わずかに)重なり、接触パッド617および吸収パッド610はそれぞれ、その間に置かれたニトロセルロース膜602に重なっている。特に、
図6Bに見られるように、例えば、免疫検定検査ストリップ600を囲んでいるハウジング(図示せず)の開口サンプル窓を介してサンプルパッド608上に配置された流体サンプルが、サンプルパッド608からコンジュゲートパッド615へと容易に伝達するように、サンプルパッド608はコンジュゲートパッド615に重なっている。同様に、サンプルパッド608上に配置された流体サンプルがサンプルパッド608からコンジュゲートパッド615に、コンジュゲートパッド615から接触パッド617に、接触パッド617からニトロセルロース膜602に、ニトロセルロース膜602から吸収パッド610へと、それぞれ容易に伝達するように、コンジュゲートパッド615は接触パッド617にわずかに重なり、接触パッド617および吸収パッド610はそれぞれニトロセルロース膜602に重なっている。
【0045】
このようにして、サンプルパッド608、コンジュゲートパッド615、接触パッド617、ニトロセルロース膜602、および吸収パッド610はそれぞれ、互いに全て流体連通している。以下に詳しく説明するように、それぞれのメンブレンシステムの要素602、608、610、615および617を形成するために使用される材料は、隣接する要素間でそれぞれ重なる各寸法および量と共に、サンプルパッド608に導入され、吸収パッド610まで流れるサンプルの流量に多大な影響を与える。
【0046】
米国特許第6867051号の先行技術の検査ストリップ100の多孔性または吸水性部材102と同様に、本検査ストリップ600のニトロセルロース膜602は液体サンプルを移動させることができ、その上で免疫反応が生じる固体担体としても機能する。対象の検体および/または標識と反応する抗体は、固体担体上に固定化される。想定される固体担体は、紙、セルロースエステルやセルロースエーテルなどのセルロース誘導体、ビニルポリマや部分的に加水分解した派生物などの自然および合成ポリマ物質、重縮合物、コポリマ、および無機物質を含む。
図6Aおよび6Bに見られるように、ニトロセルロース膜602は、2つの異なる抗体を固定化する、別個の検出領域604と、別個の制御領域606とを有している。検出領域604は関心がある検体と結合する固定化された捕捉抗体を有しており、制御領域606は、検体に結合していない標識化した抗体コンジュゲートと結合する抗原などの固定化された抗体または他の要素を有している。
【0047】
向上した免疫検定検査ストリップをより理解するため、個々の構成要素および例示的な製造プロセスについて説明する。
【0048】
サンプルパッド
検査ストリップ600のサンプルパッド608は、コンジュゲートでストライピングされていないことを除き、
図1Aおよび1Bの先行技術の検査ストリップ100から実質的に変化するものではなく、サンプル流体の流路としてのみ機能する。
【0049】
コンジュゲートパッド
検査ストリップ600のコンジュゲートパッド615は、先行技術の検査ストリップ100において対応する構成要素を有していない。図示された実施形態では、コンジュゲートパッドは、Porex Technologies社が供給するナイロンのような前処理済み親水性材料である。製造プロセスの際、ニトロセルロース膜602および(多孔質の)接触パッド617がそれぞれ基板612に(ニトロセルロース膜602の場合には)適用または(接触パッド617の場合には)接着された後に、(
図6Bに示すように)一方のエッジが接触パッド617に非常に僅かに重なり、他方のエッジはサンプルパッド608がその後に接着される基板612上の接着物質の上を覆う一時的な剥離ライナから僅かに離れるように、コンジュゲートパッド615が基板612に接着される。その後、しかしサンプルパッド608および吸収パッド610それぞれが、基板612(多くの、例えば数十の検査ストリップを作るサイズの細長いカードの形態をしている)に接着される前に、基板612が既知のプロセスによってストライピングされ、当該プロセスにおいて、検出領域604および制御領域606を形成するそれぞれの抗体および/または他の要素がニトロセルロース膜602が適用され、コンジュゲート試薬物質がコンジュゲートパッド615に同時に適用(付着)される。
【0050】
特に、パッド全体が「視覚的に浸透された」(理論的には更なる容量を保持することができるが、試薬がコンジュゲートパッド全体にわたって均一且つ完全に分散していることを意味する)ように見える程度に、コンジュゲート試薬がコンジュゲートパッドに適用される。コンジュゲートパッド615が接触パッド617と僅かに重なった一方のエッジを有し、サンプルパッド608がその後に接着される基板612上の接着物質を覆う剥離ライナから離れた他方のエッジを有しているため、ストライピング処理の際の余分なコンジュゲート物質の「後端における」吸い取りを防ぎ、このような余分なコンジュゲート物質は接触パッド617によって代わりに吸収される。しかしながら、
図8に示すように(ストライピング処理の後にコンジュゲートパッドが除去された状態)、接触パッド617は十分密集しており、余分なコンジュゲートはニトロセルロース膜602に吸い取られることはない。各コンジュゲートパッド615の得られるコンジュゲートで覆われた(実質的に四角い)部分はそれぞれ同等量のコンジュゲートを保持するため、先行技術の検査ストリップ100に対して、この構成は検査ストリップ600から検査ストリップ600までのばらつきを著しく低下させると考えられている。さらに、コンジュゲートが、検査ストリップ600から検査ストリップ600まで非常に一貫してコンジュゲートパッド615から分離する。
【0051】
特に、コンジュゲートパッドとして視覚的に浸透した前処理済みPorex材料を用いることにより、プロセスにおいてサンプルがコンジュゲートビーズと混合し、コンジュゲート−サンプル混合物はコンジュゲートパッド615から分離し、適用して数秒内に接触パッド617へと移動することが分かっている。このように、既知の量のコンジュゲートがストリップに添加される前のサンプルに加えられ、混合させることができる場合、コンジュゲートパッド615は、垂直方向に流れるストリップ(例えば、テストチューブ)を有する液体免疫検定システムと同様に検査ストリップ600を機能させることができる。一旦検査ストリップ600がカードから切り離されると、コンジュゲートパッド615は長さ−幅寸法が正方形であることが好ましい。一実施形態では、最終的な検査ストリップ600のコンジュゲートパッド615は、長さ−幅寸法が約0.320インチ×0.320インチである。
【0052】
接触パッド
コンジュゲートパッド615と同様に、検査ストリップ600の接触パッド617もまた、先行技術の検査ストリップ100において対応する要素を有していない。上述のように、接触パッド617は余分なコンジュゲート物質がコンジュゲートパッド615からニトロセルロース材602に吸い取られるのを防ぐため、更なる接触パッド617を検査ストリップ600の流路内へ挿入することにより、検出領域604および制御領域606を形成するそれぞれの抗体および/または他の要素がニトロセルロース膜602に適用されるのと同時に、ストライピング処理を用いてコンジュゲート試薬をコンジュゲートパッド615に適用することが可能となる。さらに、接触パッド617は、プロセスにおいてコンジュゲート/サンプル混合物をゲート制御するように機能し、数分間でニトロセルロース膜602上に調整供給する。このプロセスでのコンジュゲート/サンプル混合物の調整供給によって、より強力に結合し、反応速度を緩やかにすることができるため、より望ましい反応時間や感度を可能とする。
【0053】
吸収パッド
検査ストリップ600の吸収パッド610は、
図1Aおよび1Bの先行技術の検査ストリップ100から実質的に変化するものではなく、流路を通って、特にニトロセルロース膜602を通ってサンプル流動を吸い込むように機能する。
【0054】
例示的な製造プロセス
一実施形態によると、固相の積層が、厚さ約0.010インチ±0.0005インチ、幅2.7インチおよび長さ17.73インチであって、10mm、18.25mm、23mm、および56mmに予め切れ目が付いた剥離ライナを有するビニル裏材のカード(すなわち基板612)上に実施される。10mmの剥離ライナは、(サンプルパッド608の最終的な位置を覆う)ライナとコンジュゲートパッド615の間の間隙を考慮している。この間隙は、メンブレン615の後端において漏れを生じさせることなく、コンジュゲート試薬をストライピングするために重要である。
【0055】
積層シーケンスは以下の通りである。
1.ニトロセルロース膜−Sartorius社の幅33mmのUnisart(PN:1UN95E)。ニトロセルロースは、厚さ240−270um(100umのポリエステル裏フィルムを含む)を有し、ロールにわたって90−135s/4cmの吸上速度を有するであろう(双方とも、製造元の分析証明書に基づく)。
2.接触パッド−Whatman社、等級:S14、幅:5.8±0.1mm、長さ約450mm。
3.コンジュゲートパッド−Porex[X−41210(販売者#)、X−4588(製造元#)]の厚さ0.025インチ±0.004インチ、孔サイズ75−110umの薄い親水性膜。このパッドは、10インチ×17.75インチのシートで受け取られ、ロータリーカッタを用いて0.0320インチのストリップに切断される、あるいは州特産品(Interstate Specialty Products)によって17.75インチ×0.32インチのストリップに予め切断されうる。Porex材は、材料のメモリ容量のためロールに収容されず、暗い環境内で保管されることが重要である。
【0056】
上記積層プロセスの第1ステップの後、ストライピング器具を用いて固相上に以下の試薬の適用が実施される。
4.試薬の適用−A137−MSコンジュゲート試薬が、コンジュゲートを滴定することによって特定された適切なパーセントの固形分でストリッピングされる。Porexコンジュゲート膜のロット間の相違およびコンジュゲートパッドと接触パッドの間の重なりのばらつきは、適切な含浸レベルを確保するために必要なコンジュゲート試薬の容量および基線に影響を与える。
【0057】
図7は、コンジュゲートのストライピング処理がメンブレンシステムのコンジュゲートパッドを視覚的に浸透した後の、
図6Aおよび6Bに示すような検査ストリップを切り取るカードの上面図である。特に、
図7は、コンジュゲートを適用した後に両端がコンジュゲートで完全に覆われた後のコンジュゲートパッド615を示している。
【0058】
図8は、
図6AおよびBに示すものと同様の検査ストリップの上面図であり、ストライピング処理の際にコンジュゲートパッドから接触パッドに付着したコンジュゲート物質を有する接触パッドの下部分を露呈するためにコンジュゲートパッドが取り除かれている。特に、
図8は、(事前に視覚的に浸透した)コンジュゲートパッド615を除去した状態における、ストライピングした急速fFN10Qストリップの例を示している。それぞれのコンジュゲートパッド615が接触パッド617と重なる接触パッド617の領域は、ストライピング処理の際にコンジュゲートパッド615から接触パッド617へと“制御可能に”漏出した限定量のコンジュゲート物質を有している。これは、理想的なストライピングをした10Qストリップを表す。対照的に、“白い”領域またはコンジュゲートがない領域を有する接触パッドはあまり望ましくなく、高いばらつきをもたらしうる。Porexにより完全に被覆すること、および接触パッドへと制御下で漏出することの双方が、許容可能なストライピングには必要である。
【0059】
試薬をニトロセルロース膜602およびコンジュゲートパッド615上に適用した後、カードは制御温度下で一晩乾燥するために放置されることが好ましい。乾燥した後、カードは水平に保管され、冷却器内で乾燥されることが好ましい。
【0060】
ストライピングをした後、サンプルパッド608および吸収パッド610の配置を含む、固相の積層を再開する。
5.サンプルパッド−Whatman社、等級:S14、幅:0.515インチ±0.005インチ。
6.吸収パッド−Whatman社、幅:0.65インチ、厚さ684−753um、および多孔率13.9−16.2s/300ml/平方インチ、等級:C7218。
これらのカードは、最後の積層後に(積層ステップ、または切断ステップのいずれかで)丸められることが好ましい。