(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012054
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】閉ループ送信ダイバーシティでのUEにおけるプリコーダ情報の適用のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20161011BHJP
H04B 7/04 20060101ALI20161011BHJP
H04J 99/00 20090101ALI20161011BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20161011BHJP
【FI】
H04W16/28 151
H04W16/28 130
H04B7/04
H04J15/00
H04W88/02 141
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-525203(P2014-525203)
(86)(22)【出願日】2012年8月14日
(65)【公表番号】特表2014-527757(P2014-527757A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】US2012050825
(87)【国際公開番号】WO2013025734
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年2月6日
【審判番号】不服2015-9343(P2015-9343/J1)
【審判請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】61/523,766
(32)【優先日】2011年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/534,180
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】アージュン・バラドワジ
(72)【発明者】
【氏名】シャラド・ディーパク・サンブワニ
(72)【発明者】
【氏名】シッドハース・モハン
【合議体】
【審判長】
加藤 恵一
【審判官】
佐藤 智康
【審判官】
吉田 隆之
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−517542(JP,A)
【文献】
特表2010−525757(JP,A)
【文献】
特表2008−538060(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/107699(WO,A1)
【文献】
Huawei,HiSilicon,Downlink PCI feedback channel design,3GPP TSG−RAN WG1#65, R1−111398
【文献】
QUALCOMM Incorporated,”TP on Impact to UE and UTRAN implementation due to UL MIMO for HSPA”,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #65,R1−111553
【文献】
Ericsson,ST−Ericsson,”Initial considerations on the design for UL MIMO for HSUPA”,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #63bis,R1−110496
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04B 7/24-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信の方法であって、
ダウンリンク通信チャネルでプリコーダ情報を受信するステップと、
2つ以上のアンテナから3つのスロットを有する送信時間間隔(TTI)でパケットデータを送信するステップと、
前記TTIにおいて、フィードバック更新レートにおける第1のスロットに続く第2のスロット内のプリコーダ情報によりプリコーダを更新するステップであって、前記フィードバック更新レートは、3スロットであり、前記フィードバック更新レートにおける第3のスロットは、プリコーダ情報を含まない、ステップと
を含み、
前記プリコーダ情報は、前記第2のスロット内の前記プリコーダ情報を受信した直後の前記TTI内の第2のスロットと第3のスロットの間の境界において適用され、
前記パケットデータはアップリンク(UL)多入力多出力(MIMO)を使用して送信される、方法。
【請求項2】
前記プリコーダ情報はTTI境界において適用されるのではない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パケットデータは閉ループ送信ダイバーシティ(CLTD)を使用して送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プリコーダ情報は、ダウンリンクフラクショナル専用物理チャネル(F-DPCH)またはフラクショナル送信プリコーディングインジケータチャネル(F-TPICH)を介して受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ワイヤレス通信のための装置であって、
ダウンリンク通信チャネルでプリコーダ情報を受信するための手段と、
2つ以上のアンテナから3つのスロットを有する送信時間間隔(TTI)でパケットデータを送信するための手段と、
前記TTIにおいて、フィードバック更新レートにおける第1のスロットに続く第2のスロット内のプリコーダ情報によりプリコーダを更新するための手段であって、前記フィードバック更新レートは、3スロットであり、前記フィードバック更新レートにおける第3のスロットは、プリコーダ情報を含まない、手段と
を含み、
前記プリコーダ情報は、前記第2のスロット内の前記プリコーダ情報を受信した直後の前記TTI内の第2のスロットと第3のスロットの間の境界において適用され、
前記パケットデータを送信するための前記手段は、アップリンク(UL)多入力多出力(MIMO)を使用して送信するための手段を含む、装置。
【請求項6】
前記プリコーダ情報はTTI境界において適用されるのではない、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記パケットデータを送信するための前記手段は、閉ループ送信ダイバーシティ(CLTD)を使用して送信するための手段を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
プリコーダ情報を受信するための前記手段は、ダウンリンクフラクショナル専用物理チャネル(F-DPCH)またはフラクショナル送信プリコーディングインジケータチャネル(F-TPICH)を介して前記プリコーダ情報を受信するための手段を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
コンピュータにより実行可能なコードからなるコンピュータプログラムであって、
ダウンリンク通信チャネルでプリコーダ情報を受信するステップと、
2つ以上のアンテナから3つのスロットを有する送信時間間隔(TTI)でパケットデータを送信するステップと、
前記TTIにおいて、フィードバック更新レートにおける第1のスロットに続く第2のスロット内のプリコーダ情報によりプリコーダを更新するステップであって、前記フィードバック更新レートは、3スロットであり、前記フィードバック更新レートにおける第3のスロットは、プリコーダ情報を含まない、ステップと
を行うためのコードを含み、
前記プリコーダ情報は、前記第2のスロット内の前記プリコーダ情報を受信した直後の前記TTI内の第2のスロットと第3のスロットの間の境界において適用され、
アップリンク(UL)多入力多出力(MIMO)を使用して前記パケットデータを送信するためのコードをさらに含む、コンピュータプログラム。
【請求項10】
前記プリコーダ情報はTTI境界において適用されるのではない、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
閉ループ送信ダイバーシティ(CLTD)を使用して前記パケットデータを送信するためのコードをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
ダウンリンクフラクショナル専用物理チャネル(F-DPCH)またはフラクショナル送信プリコーディングインジケータチャネル(F-TPICH)を介して前記プリコーダ情報を受信するためのコードをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
ワイヤレス通信のための装置であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリとを含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
ダウンリンク通信チャネルでプリコーダ情報を受信するステップと、
2つ以上のアンテナから3つのスロットを有する送信時間間隔(TTI)でパケットデータを送信するステップと、
前記TTIにおいて、フィードバック更新レートにおける第1のスロットに続く第2のスロット内のプリコーダ情報によりプリコーダを更新するステップであって、前記フィードバック更新レートは、3スロットであり、前記フィードバック更新レートにおける第3のスロットは、プリコーダ情報を含まない、ステップと
を行うように構成され、
前記プリコーダ情報は、前記第2のスロット内の前記プリコーダ情報を受信した直後の前記TTI内の第2のスロットと第3のスロットの間の境界において適用され、
前記パケットデータはアップリンク(UL)多入力多出力(MIMO)を使用して送信される、装置。
【請求項14】
前記プリコーダ情報はTTI境界において適用されるのではない、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記パケットデータは閉ループ送信ダイバーシティ(CLTD)を使用して送信される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記プリコーダ情報は、ダウンリンクフラクショナル専用物理チャネル(F-DPCH)またはフラクショナル送信プリコーディングインジケータチャネル(F-TPICH)を介して受信される、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権の主張
本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明確に組み込まれる、2011年8月15日に出願された「APPLICATION OF PRECODER INFORMATION AT THE UE IN CLOSED LOOP TRANSMIT DIVERSITY」と題する米国仮出願第61/523,766号の優先権を主張する。
【0002】
本開示の態様は、一般に、ワイヤレス通信システムに関し、より詳細には、閉ループ送信ダイバーシティを実行するためのワイヤレス通信システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電話、ビデオ、データ、メッセージング、放送などの様々な通信サービスを提供するために、ワイヤレス通信ネットワークが広範囲に展開されている。そのようなネットワークは、たいていは多元接続ネットワークであり、利用可能なネットワークリソースを共有することによって、複数のユーザ向けの通信をサポートする。そのようなネットワークの一例は、UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN)である。UTRANは、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によってサポートされる第3世代(3G)モバイルフォン技術である、Universal Mobile Telecommunications System(UMTS)の一部として定義される無線アクセスネットワーク(RAN)である。UMTSは、Global System for Mobile Communications(GSM(登録商標))技術の後継であり、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、時分割符号分割多元接続(TD-CDMA)、および時分割同期符号分割多元接続(TD-SCDMA)などの様々なエアインターフェース規格を現在サポートしている。UMTSは、関連するUMTSネットワークのデータ転送の速度および容量を向上させる高速パケットアクセス(HSPA)のような拡張3Gデータ通信プロトコルもサポートする。
【0004】
モバイルブロードバンドアクセスに対する要望が増し続けるにつれて、研究開発は、モバイルブロードバンドアクセスに対する高まる要望を満たすためだけでなく、モバイル通信によるユーザ経験を進化させ拡張させるためにも、UMTS技術を進化させ続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下で、1つまたは複数の態様の基本的理解を与えるために、そのような態様の簡略化された概要を提示する。この概要は、すべての企図された態様の包括的な概観ではなく、すべての態様の主要または重要な要素を識別するものでも、いずれかまたはすべての態様の範囲を定めるものでもない。その唯一の目的は、後で提示するより詳細な説明の導入として、1つまたは複数の態様のいくつかの概念を簡略化された形で提示することである。
【0006】
いくつかの態様に従い、ワイヤレス通信のための方法について説明する。本方法は、プリコーダ情報を受信するステップと、2つ以上のアンテナから2つ以上のスロットを有する送信時間間隔(TTI)でパケットデータを送信するステップとを含む。本方法はまた、TTI内の第1のスロットに続くスロットにおいてプリコーダ情報によりプリコーダを更新するステップを含む。プリコーダ情報は、TTI内のスロット境界において適用される。
【0007】
他の態様は、上述の方法をコンピュータに実行させるように動作可能な少なくとも1つの命令を含むコンピュータ可読媒体を有するコンピュータプログラム製品、上述の方法を実行するための1つまたは複数の手段を含む装置、および上述の方法を実行するように構成されたプロセッサと通信するメモリを有する装置のうちの1つまたは複数を含む。
【0008】
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下の発明を実施するための形態を概観することによってより完全に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】様々な開示する態様による、通信システムを示すブロック図である。
【
図2】様々な開示する態様による、プリコーダ更新を示すタイミング図である。
【
図3】様々な開示する態様による、プリコーダ更新を示す別のタイミング図である。
【
図4】様々な開示する態様による、プリコーダ更新方法を示すフローチャートである。
【
図5】遠隔通信システムの一例を概念的に示すブロック図である。
【
図6】ユーザプレーンおよび制御プレーンの無線プロトコルアーキテクチャの一例を示す概念図である。
【
図7】遠隔通信システムにおいてUEとノードBが通信している一例を概念的に示すブロック図である。
【
図8】処理システムを使用する装置のハードウェア実装の一例を示すブロック図である。
【
図9】ワイヤレス通信のためのシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面に関する下記の詳細な説明は、様々な構成の説明として意図されており、本明細書で説明する概念が実行され得る唯一の構成を表すように意図されているわけではない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解をもたらす目的で、具体的な詳細を含んでいる。しかし、これらの概念がこれらの具体的な詳細なしに実行され得ることが、当業者には明らかであろう。場合によっては、そのような概念を曖昧にするのを回避する目的で、周知の構造および構成要素がブロック図の形式で示されている。
【0011】
装置および方法は、ユーザ機器(UE)におけるプリコーダ情報(PCI)の適用を扱う。PCI情報が送信時間間隔(TTI)境界においてユーザ機器(UE)によって適用され、PCI更新レートが3スロットである場合、UEによって適用されるプリコーダはTTIの期間中に一定のままである。したがって、PCIフィードバックエラーがある場合、適用される誤ったプリコーダは、そのTTIにおけるデータ送信を損なう。本発明はこの問題を、TTIの第2または後続のスロットにおいてプリコーダを適用することによって軽減する。これにより、少なくともTTIの一部分において正しいプリコーダを適用することが可能になる。誤ったプリコーディング情報がTTIの期間中に適用される確率が低下する。
【0012】
図1を参照すると、セルラー通信システム100において、ユーザ機器(UE)102として示されるユーザ装置が、UE102に現在サービスしているベースノード、または単なるノード106からフィードバック104を受信する。ノード106は、1つまたは複数のアンテナ116を介してそれぞれダウンリンク118およびアップリンク120でUE102と通信するためのトランシーバ114の送信機110および受信機112を有する。UE102は、2つ以上のアンテナ128を介してそれぞれアップリンク120およびダウンリンク118でノード106と通信するためのトランシーバ126の送信機122および受信機124を有する。具体的には、ダイバーシティコントローラ130がフィードバックデータ104(たとえば、プリコーダ情報(PCI))を使用して、それぞれのアンテナに適した遅延を伴ってプリコーダ132を更新して、送信ダイバーシティを実現する。いくつかの態様では、送信ダイバーシティは閉ループ送信ダイバーシティ(CLTD)のためのビームフォーミングを介して実現され得る。他の態様では、送信ダイバーシティはアップリンク(UL)多入力多出力(MIMO)を使用して実現され得る。他の送信ダイバーシティ技法も等しく適用可能である。
【0013】
図2は、PCIフィードバック情報の適用を示すタイミング図である。この例では、PCIフィードバック更新レートは3スロットであり、PCIビットはフラクショナル専用物理チャネル(F-DPCH)で送信される。この例ではF-DPCHが示されているが、F-DPCHのような任意の他のチャネル、たとえばフラクショナル送信プリコーディングインジケータチャネル(F-TPCH:fractional transmitted precoding indicator channel)を、PCIビットを送信するために使用してもよい。UEはTTI境界においてのみプリコーダを更新する。210に示すように、DL信号がDL F-DPCHを介してUTRANなどのネットワーク構成要素から送信される。220に示すように、DL信号がDL F-DPCHを介してUEにおいて受信される。230に示すように、UL信号がUL DPCCHを介してUEから送信され、240に示すように、UL信号がUL DPCCHを介してUTRANにおいて受信される。
【0014】
各スロットは2560チップを含む。212に示すように、第1のPCIビットが第1のスロットにおいて送信され、214に示すように、第2のPCIビットが第2のスロットにおいて送信される。伝搬遅延τ
pのために、送信された信号がタイミングオフセットを伴ってUEにおいて受信される。222に示すように、第1のPCIビットがUEにおいて受信され、224に示すように、第2のPCIビットがUEにおいて受信される。2つのPCIビットを受信すると、UEはプリコーダを更新することができる。232に示すように、UEはTTI境界においてPCIフィードバック情報を適用することができる。PCI更新がTTI境界において適用されるので、UEによって適用されるプリコーダはTTIの期間中に一定のままである。したがって、PCIフィードバックエラーが発生した場合、そのTTIの期間中に送信されたデータ送信は損なわれ得る。
【0015】
図3は、例示的なタイミング図を示しており、ここではPCI更新がスロット境界において実行されており、TTI境界に制限されない。
図2と同様に、PCIフィードバック更新レートは3スロットであり、PCIビットはF-DPCH(またはF-TPICHなどの他の同様のチャネル)で送信される。310に示すように、DL信号がDL F-DPCHを介してUTRANなどのネットワーク構成要素から送信される。320に示すように、DL信号がDL F-DPCHを介してUEにおいて受信される。330に示すように、UL信号がUL DPCCHを介してUEから送信され、340に示すように、UL信号がUL DPCCHを介してUTRANにおいて受信される。
【0016】
312に示すように、第1のPCIビットが第1のスロットにおいて送信され、314に示すように、第2のPCIビットが第2のスロットにおいて送信される。伝搬遅延τ
pのために、送信された信号がタイミングオフセットを伴ってUEにおいて受信される。322に示すように、第1のPCIビットがUEにおいて受信され、324に示すように、第2のPCIビットがUEにおいて受信される。2つのPCIビットを受信すると、UEはプリコーダを更新することができる。332に示すように、UEは第2のPCIビットを受信すると、次の利用可能なスロット境界においてPCIフィードバック情報を適用することができる。これにより、PCIフィードバックエラーが発生した場合でも、TTIの少なくとも一部分の間に正しいプリコーダを適用することが可能になる。
【0017】
図4は、いくつかの態様による、プリコーダ更新情報を適用するための方法400を示している。402に示すように、ダウンリンク送信チャネルを介してプリコーダ情報が受信され得る。たとえば、プリコーダ情報は、UTRANなどのネットワーク構成要素から受信され、UEによるアップリンクデータ送信に使用され得る情報を提供することがある。いくつかの態様では、プリコーダ情報はUEによって、F-DCPH、F-TPICH、および/または別の同様のチャネルで受信され得る。
【0018】
UEは404に示すように、送信時間間隔(TTI)でパケットデータを送信することができる。TTIは、たとえば2つ以上のスロットであり得る。いくつかの態様では、パケットデータを、閉ループ送信ダイバーシティ(CLTD)を使用して送信することができ、2つ以上のアンテナから送信することができる。他の態様では、UEはUL MIMOを介してパケットデータを送信することができる。406に示すように、TTI内の第1のスロットに続くスロットにおいて、受信したプリコーダ情報によりプリコーダが更新され得る。送信されるデータの精度を高めるために、TTI境界においてではなくTTI内のスロット境界においてプリコーダ情報が適用され得る。
【0019】
本開示全体にわたって提示される様々な概念は、広範な遠隔通信システム、ネットワークアーキテクチャ、および通信規格にわたって実装され得る。限定されるものではないが、例として、
図5に示される本開示の態様は、WCDMA(登録商標)エアインターフェースを使用するUMTSシステム500を参照して示される。UMTSネットワークは、コアネットワーク(CN)504、UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN)502、およびユーザ機器(UE)510という3つの対話する領域を含む。この例では、UTRAN502は、電話、ビデオ、データ、メッセージング、ブロードキャスト、および/または他のサービスを含む様々なワイヤレスサービスを提供する。UTRAN502は、無線ネットワークコントローラ(RNC)506などのそれぞれのRNCによって各々制御される、無線ネットワークサブシステム(RNS)505などの複数のRNSを含み得る。ここで、UTRAN502は、本明細書で説明するRNC506およびRNS505に加えて、任意の数のRNC506およびRNS505を含むことができる。RNC506は、とりわけ、RNS505内の無線リソースを割り当て、再構成し、解放することを担う装置である。RNC506は、任意の適切なトランスポートネットワークを使用する、直接の物理接続、仮想ネットワークなど様々なタイプのインターフェースを介して、UTRAN502中の他のRNC(図示せず)に相互接続され得る。
【0020】
UE510とノードB508との間の通信は、物理(PHY)層および媒体アクセス制御(MAC)層を含むものと見なされ得る。さらに、それぞれのノードB508によるUE510とRNC506との間の通信は、無線リソース制御(RRC)層を含むものと見なされ得る。本明細書では、PHY層は、層1と見なされ、MAC層は、層2と見なされ、RRC層は、層3と見なされ得る。以下、情報は、参照により本明細書に組み込まれるRadio Resource Control (RRC) Protocol Specification、3GPP TS 25.331 v9.1.0に述べられている用語を使用する。
【0021】
SRNS505によってカバーされる地理的領域は、いくつかのセルに分けることができ、無線トランシーバ装置が各セルにサービスする。無線トランシーバ装置は、通常、UMTS用途ではノードBと呼ばれるが、当業者によって、基地局(BS)、送受信基地局(BTS)、無線基地局、無線トランシーバ、トランシーバ機能、基本サービスセット(BSS)、拡張サービスセット(ESS)、アクセスポイント(AP)、または何らかの他の適切な用語で呼ばれることもある。明快にするために、各SRNS505に3つのノードB508が示されているが、SRNS505は、任意の数のワイヤレスノードBを含んでもよい。ノードB508は、任意の数のモバイル装置にコアネットワーク(CN)504へのアクセスポイントを提供する。モバイル装置の例には、携帯電話、スマートフォン、セッション開始プロトコル(SIP)電話、ラップトップ、ノートブック、ネットブック、スマートブック、携帯情報端末(PDA)、衛星ラジオ、全地球測位システム(GPS)デバイス、マルチメディアデバイス、ビデオデバイス、デジタルオーディオプレーヤ(たとえば、MP3プレーヤ)、カメラ、ゲーム機、または任意の他の類似の機能デバイスなどがある。モバイル装置は、通常、UMTS用途ではユーザ機器(UE)と呼ばれるが、当業者によって、移動局(MS)、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、遠隔ユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、遠隔デバイス、モバイル加入者局、アクセス端末(AT)、モバイル端末、ワイヤレス端末、遠隔端末、ハンドセット、端末、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、または何らかの他の適切な用語で呼ばれることもある。UMTSシステムでは、UE510は、ネットワークへのユーザの加入情報を含む汎用加入者識別モジュール(USIM)511をさらに含み得る。説明のために、1つのUE510がいくつかのノードB508と通信しているように示される。順方向リンクとも呼ばれるダウンリンク(DL)は、ノードB508からUE510への通信リンクを指し、逆方向リンクとも呼ばれるアップリンク(UL)は、UE510からノードB508への通信リンクを指す。
【0022】
コアネットワーク504は、UTRAN502のような1つまたは複数のアクセスネットワークとインターフェースをとる。図示のように、コアネットワーク504は、GSM(登録商標)コアネットワークである。しかしながら、当業者が認識するように、GSM(登録商標)ネットワーク以外のタイプのコアネットワークへのアクセスをUEに提供するために、本開示全体にわたって提示される様々な概念を、RANまたは他の適切なアクセスネットワークにおいて実装することができる。
【0023】
コアネットワーク504は、回線交換(CS)領域およびパケット交換(PS)領域を含む。回線交換要素のいくつかは、モバイルサービス交換センター(MSC)、ビジターロケーションレジスタ(VLR)、およびゲートウェイMSCである。パケット交換要素は、サービングGPRSサポートノード(SGSN)、およびゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)を含む。EIR、HLR、VLR、およびAuCのようないくつかのネットワーク要素は、回線交換領域とパケット交換領域の両方によって共有され得る。図示の例では、コアネットワーク504は、MSC512およびGMSC514によって回線交換サービスをサポートする。いくつかの用途では、GMSC514は、メディアゲートウェイ(MGW)とも呼ばれ得る。RNC506のような1つまたは複数のRNCが、MSC512に接続され得る。MSC512は、呼設定、呼ルーティング、およびUEモビリティ機能を制御する装置である。MSC512は、UEがMSC512のカバレージエリア内にある間、加入者関連の情報を格納する、ビジターロケーションレジスタ(VLR)も含む。GMSC514は、UEが回線交換ネットワーク516にアクセスするためのゲートウェイを、MSC512を通じて提供する。GMSC514は、特定のユーザが加入したサービスの詳細を反映するデータのような加入者データを格納する、ホームロケーションレジスタ(HLR)515を含む。HLRは、加入者に固有の認証データを格納する、認証センター(AuC)にも関連付けられている。特定のUEについて、呼が受信されると、GMSC514は、UEの位置を判断するためにHLR515に問い合わせ、その位置でサービスする特定のMSCに呼を転送する。
【0024】
コアネットワーク504はまた、サービングGPRSサポートノード(SGSN)518およびゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)520によって、パケットデータサービスをサポートする。汎用パケット無線サービスを表すGPRSは、標準の回線交換データサービスで可能なものより速い速度でパケットデータサービスを提供するよう設計されている。GGSN520は、パケットベースネットワーク522へのUTRAN502の接続を提供する。パケットベースネットワーク522は、インターネット、プライベートデータネットワーク、または何らかの他の適切なパケットベースネットワークであってもよい。GGSN520の主要機能は、UE510にパケットベースネットワーク接続を提供することである。データパケットは、MSC512が回線交換領域において実行するのと同じ機能をパケットベース領域において主に実行するSGSN518を介して、GGSN520とUE510との間で転送され得る。
【0025】
UMTSエアインターフェースは、スペクトラム拡散直接シーケンス符号分割多元接続(DS-CDMA)システムである。スペクトラム拡散DS-CDMAは、チップと呼ばれる一連の疑似ランダムビットとの乗算によって、ユーザデータを拡散させる。UMTSのWCDMA(登録商標)エアインターフェースは、そのような直接シーケンススペクトラム拡散技術に基づいており、さらに周波数分割複信(FDD)を必要とする。FDDは、ノードB508とUE510との間のアップリンク(UL)およびダウンリンク(DL)に異なるキャリア周波数を使用する。DS-CDMAを利用し、時分割複信を使用するUMTSの別のエアインターフェースは、TD-SCDMAエアインターフェースである。本明細書で説明する様々な例は、WCDMA(登録商標)エアインターフェースを指し得るが、基礎をなす原理はTD-SCDMAエアインターフェースに等しく適用可能であることを当業者であれば認識されよう。
【0026】
HSPAエアインターフェースは、スループットの向上および遅延の低減を支援する、3G/W-CDMAエアインターフェースに対する一連の拡張を含む。前のリリースに対する他の修正には、HSPAが、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)、チャネル送信の共有、ならびに適応変調および適応符号化を利用する。HSPAを定義する規格は、HSDPA(高速ダウンリンクパケットアクセス)およびHSUPA(高速アップリンクパケットアクセス、拡張アップリンクまたはEULとも呼ばれる)を含む。
【0027】
HSDPAは、高速ダウンリンク共有チャネル(HS-DSCH)を、トランスポートチャネルとして利用する。HS-DSCHは、高速物理ダウンリンク共有チャネル(HS-PDSCH)、高速共有制御チャネル(HS-SCCH)、および高速専用物理制御チャネル(HS-DPCCH)という、3つの物理チャネルによって実装される。
【0028】
これらの物理チャネルの中でも、HS-DPCCHは、対応するパケット送信の復号が成功したかどうかを示すための、HARQ ACK/NACKシグナリングをアップリンクで搬送する。すなわち、ダウンリンクに関して、UE510は、ダウンリンク上のパケットを正常に復号したかどうかを示すために、HS-DPCCHを通じてフィードバックをノードB508に与える。
【0029】
HS-DPCCHはさらに、変調方式および符号化方式の選択、ならびにプリコーディングの重みの選択に関して、ノードB508が正しい決定を行うのを支援するための、UE510からのフィードバックシグナリングを含み、このフィードバックシグナリングはCQIおよびPCIを含む。
【0030】
HSUPAは、拡張専用チャネル(E-DCH)をトランスポートチャネルとして利用する。E-DCHは、拡張専用物理データチャネル(E-DPDCH)、拡張専用物理制御チャネル(E-DPCCH)、および拡張ハイブリッドARQインジケータチャネル(E-HICH)という、3つの物理チャネルによって実装される。
【0031】
「HSPA Evolved」またはHSPA+は、MIMOおよび64-QAMを含むHSPA規格の進化形であり、スループットの増大およびパフォーマンスの向上を可能にする。すなわち、本開示の一態様では、ノードB508および/またはUE510は、MIMO技術をサポートする複数のアンテナを有し得る。MIMO技術の使用により、ノードB508は空間領域を活用して、空間多重化、ビームフォーミング、および送信ダイバーシティをサポートすることができる。
【0032】
多入力多出力(MIMO)は、マルチアンテナ技術、すなわち複数の送信アンテナ(チャネルへの複数の入力)および複数の受信アンテナ(チャネルからの複数の出力)を指す際に一般に使用される用語である。MIMOシステムは一般にデータ伝送パフォーマンスを高め、ダイバーシティ利得がマルチパスフェージングを低減させて伝送品質を高めること、および空間多重化利得がデータスループットを向上させることを可能にする。一方、単入力多出力(SIMO)は一般に、単一の送信アンテナ(チャネルへの単一の入力)および複数の受信アンテナ(チャネルからの複数の出力)を利用するシステムを指す。それによって、SIMOシステムでは、単一のトランスポートブロックがそれぞれのキャリアで送られ得る。
【0033】
UE510は、方法400および本明細書で説明する他の態様を実行するために、ダイバーシティコントローラ130(
図1)を組み込むことができる。UTRAN502も同様に、方法400および本明細書で説明する他の態様を実行するために、ダイバーシティコントローラ130(
図1)を組み込むことができる。
【0034】
図6を参照すると、UTRANアーキテクチャにおけるアクセスネットワーク600が示されている。多元接続ワイヤレス通信システムは、セル602、604、および606を含む複数のセルラー領域(セル)を含み、セルの各々は、1つまたは複数のセクタを含み得る。複数のセクタはアンテナのグループによって形成されてよく、各アンテナがセルの一部分にあるUEとの通信を担う。たとえば、セル602において、アンテナグループ612、614、および616は、各々異なるセクタに対応し得る。セル604において、アンテナグループ618、620、および622は、各々異なるセクタに対応する。セル606において、アンテナグループ624、626、および628は、各々異なるセクタに対応する。セル602、604および606は、各セル602、604または606の1つまたは複数のセクタと通信していてもよい、いくつかのワイヤレス通信デバイス、たとえばユーザ機器またはUEを含み得る。たとえば、UE630および632は、ノードB642と通信していてもよく、UE634および636は、ノードB644と通信していてもよく、UE638および640は、ノードB646と通信していてもよい。ここで、各ノードB642、644、646は、それぞれのセル602、604、および606の中のすべてのUE630、632、634、636、638、640に、コアネットワークへのアクセスポイントを提供するように構成される。
【0035】
UE634がセル604における図示された位置からセル606に移動するとき、サービングセル変更(SCC)またはハンドオーバが生じて、UE634との通信が、ソースセルと呼ばれ得るセル604からターゲットセルと呼ばれ得るセル606に移行することがある。UE634において、それぞれのセルに対応するノードBにおいて、無線ネットワークコントローラ606において、またはワイヤレスネットワークにおける別の適切なノードにおいて、ハンドオーバプロシージャの管理が生じ得る。たとえば、ソースセル604との呼の間、または任意の他の時間において、UE634は、ソースセル604の様々なパラメータ、ならびに、セル606および602のような近隣セルの様々なパラメータを監視することができる。さらに、これらのパラメータの品質に応じて、UE634は、近隣セルの1つまたは複数との通信を保つことができる。この期間において、UE634は、UE634が同時に接続されるセルのリストであるアクティブセットを保持することができる(すなわち、ダウンリンク専用物理チャネルDPCHまたはフラクショナルダウンリンク専用物理チャネルF-DPCHをUE634に現在割り当てているUTRAセルが、アクティブセットを構成し得る)。
【0036】
アクセスネットワーク600によって用いられる変調方式および多元接続方式は、導入されている特定の電気通信規格に応じて異なり得る。例として、規格は、Evolution-Data Optimized(EV-DO)またはUltra Mobile Broadband(UMB)を含み得る。EV-DOおよびUMBは、CDMA2000規格ファミリーの一部として第3世代パートナーシッププロジェクト2(3GPP2)によって公表されたエアインターフェース規格であり、CDMAを用いて移動局にブロードバンドインターネットアクセスを提供する。規格は代替的に、広帯域CDMA(WCDMA(登録商標))およびTD-SCDMAなどのCDMAの他の変形態を用いるUniversal Terrestrial Radio Access(UTRA)、TDMAを用いるGlobal System for Mobile Communications(GSM(登録商標))、ならびにOFDMAを用いるEvolved UTRA(E-UTRA)、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、およびFlash-OFDMであり得る。UTRA、E-UTRA、UMTS、LTE、LTE Advanced、およびGSM(登録商標)は、3GPP団体による文書に記述されている。CDMA2000およびUMBは、3GPP2団体による文書に記述されている。実際の利用されるワイヤレス通信規格および多元接続技術は、具体的な用途およびシステム全体に課される設計制約に依存する。
【0037】
UE632は、方法400および本明細書で説明する他の態様を実行するために、CLTDコントローラ130(
図1)を組み込むことができる。ノードB642も同様に、方法400および本明細書で説明する他の態様を実行するために、CLTDコントローラ130(
図1)を組み込むことができる。
【0038】
図7は、UE750とノードB710が通信しているブロック図であり、ノードB710はノード106(
図1)であってよく、UE750はUE102(
図1)であってよい。ダウンリンク通信では、送信プロセッサ720は、データ源712からデータを受信し、コントローラ/プロセッサ740から制御信号を受信することができる。送信プロセッサ720は、参照信号(たとえば、パイロット信号)とともに、データ信号および制御信号のための様々な信号処理機能を提供する。たとえば、送信プロセッサ720は、誤り検出のための巡回冗長検査(CRC)コード、順方向誤り訂正(FEC)を支援するための符号化およびインターリービング、様々な変調方式(たとえば、二位相偏移変調(BPSK)、四位相偏移変調(QPSK)、M-位相偏移変調(M-PSK)、M-直角位相振幅変調(M-QAM)など)に基づいた信号配列へのマッピング、直交可変拡散率(OVSF)による拡散、および、一連のシンボルを生成するためのスクランブリングコードとの乗算を、提供することができる。送信プロセッサ720のための、符号化方式、変調方式、拡散方式および/またはスクランブリング方式を決定するために、チャネルプロセッサ744からのチャネル推定が、コントローラ/プロセッサ740によって使われ得る。これらのチャネル推定は、UE750によって送信される参照信号から、またはUE750からのフィードバックから、導出され得る。送信プロセッサ720によって生成されたシンボルは、フレーム構造を作成するために、送信フレームプロセッサ730に与えられる。送信フレームプロセッサ730は、コントローラ/プロセッサ740からの情報とシンボルとを多重化することによって、このフレーム構造を作成し、一連のフレームが得られる。次いでこれらフレームは送信機732に与えられ、送信機732は、アンテナ734を通じたワイヤレス媒体によるダウンリンク送信のために、増幅、フィルタリング、およびフレームのキャリア上への変調を含む、様々な信号調整機能を提供する。アンテナ734は、たとえば、ビームステアリング双方向適応アンテナアレイまたは他の同様のビーム技術を含む、1つまたは複数のアンテナを含み得る。
【0039】
UE750において、受信機754は、アンテナ752を通じてダウンリンク送信を受信し、その送信を処理してキャリア上へ変調されている情報を回復する。受信機754によって回復された情報は、受信フレームプロセッサ760に与えられ、受信フレームプロセッサ760は、各フレームを解析し、フレームからの情報をチャネルプロセッサ794に提供し、データ信号、制御信号、および参照信号を受信プロセッサ770に提供する。次いで受信プロセッサ770は、ノードB710中の送信プロセッサ720によって実行される処理の逆を実行する。より具体的には、受信プロセッサ770は、シンボルを逆スクランブルおよび逆拡散し、次いで変調方式に基づいて、ノードB710によって送信された、最も可能性の高い信号配列点を求める。これらの軟判定は、チャネルプロセッサ794によって計算されるチャネル推定に基づき得る。そして軟判定は、データ信号、制御信号、および参照信号を回復するために、復号されてデインターリーブされる。そして、フレームの復号が成功したかどうか判定するために、CRCコードが確認される。次いで、復号に成功したフレームによって搬送されるデータがデータシンク772に与えられ、データシンク772は、UE750および/または様々なユーザインターフェース(たとえばディスプレイ)において実行されているアプリケーションを表す。復号に成功したフレームが搬送する制御信号は、コントローラ/プロセッサ790に与えられる。受信プロセッサ770によるフレームの復号が失敗すると、コントローラ/プロセッサ790は、確認応答(ACK)プロトコルおよび/または否定応答(NACK)プロトコルを用いて、そうしたフレームの再送信要求をサポートすることもできる。
【0040】
アップリンクでは、データ源778からのデータおよびコントローラ/プロセッサ790からの制御信号が、送信プロセッサ780に与えられる。データ源778は、UE750で実行されているアプリケーションおよび様々なユーザインターフェース(たとえばキーボード)を表し得る。ノードB710によるダウンリンク送信に関して説明する機能と同様に、送信プロセッサ780は、CRCコード、FECを支援するための符号化およびインターリービング、信号配列へのマッピング、OVSFによる拡散、および、一連のシンボルを生成するためのスクランブリングを含む、様々な信号処理機能を提供する。ノードB710によって送信される参照信号から、または、ノードB710によって送信されるミッドアンブル中に含まれるフィードバックから、チャネルプロセッサ794によって導出されるチャネル推定が、適切な符号化方式、変調方式、拡散方式、および/またはスクランブリング方式を選択するために、使われ得る。送信プロセッサ780によって生成されたシンボルは、フレーム構造を作成するために、送信フレームプロセッサ782に与えられる。送信フレームプロセッサ782は、コントローラ/プロセッサ790からの情報とシンボルとを多重化することによって、このフレーム構造を作成し、一連のフレームが得られる。次いでこのフレームは送信機756に与えられ、送信機756は、アンテナ752を通じたワイヤレス媒体によるアップリンク送信のために、増幅、フィルタリング、およびフレームのキャリア上への変調を含む、様々な信号調整機能を提供する。
【0041】
アップリンク送信は、UE750において受信機能に関して説明したのと同様の方式で、ノードB710において処理される。受信機735は、アンテナ734を通じてアップリンク送信を受信し、その送信を処理してキャリア上へ変調されている情報を回復する。受信機735によって回復された情報は、受信フレームプロセッサ736に与えられ、受信フレームプロセッサ736は、各フレームを解析し、フレームからの情報をチャネルプロセッサ744に提供し、データ信号、制御信号、および参照信号を受信プロセッサ738に提供する。受信プロセッサ738は、UE750中の送信プロセッサ780によって実行される処理の逆を実行する。次いで、復号に成功したフレームによって搬送されるデータ信号および制御信号が、データシンク737およびコントローラ/プロセッサにそれぞれ与えられ得る。フレームの一部が、受信プロセッサによる復号に失敗すると、コントローラ/プロセッサ740は、確認応答(ACK)プロトコルおよび/または否定応答(NAK)プロトコルを用いて、そうしたフレームの再送信要求をサポートすることもできる。
【0042】
コントローラ/プロセッサ740および790は、それぞれノードB710およびUE750における動作を指示するために使われ得る。たとえば、コントローラ/プロセッサ740および790は、タイミング、周辺インターフェース、電圧調整、電力管理、および他の制御機能を含む、様々な機能を提供することができる。メモリ742および792のコンピュータ可読媒体は、それぞれ、ノードB710およびUE750のためのデータおよびソフトウェアを記憶することができる。ノードB710におけるスケジューラ/プロセッサ746は、リソースをUEに割り振り、UEのダウンリンク送信および/またはアップリンク送信をスケジューリングするために、使われ得る。
【0043】
UE750は、方法400および本明細書で説明する他の態様を実行するために、メモリ792にCLTDコントローラ130(
図1)を組み込むことができる。ノードB710も同様に、方法400および本明細書で説明する他の態様を実行するために、メモリ742に常駐するCLTDコントローラ130(
図1)を組み込むことができる。
【0044】
図8は、たとえばノード106(
図1)またはUE102(
図1)のための処理システム802を使用する装置800のハードウェア実装の一例を示す概念図である。この例では、処理システム802は、バス804によって全般的に表されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス804は、処理システム802の具体的な用途および全体的な設計制約に応じて、任意の数の相互接続するバスおよびブリッジを含み得る。バス804は、プロセッサ806によって概略的に表される1つまたは複数のプロセッサ、およびコンピュータ可読媒体808によって概略的に表されるコンピュータ可読媒体を含む様々な回路を互いにリンクさせる。バス804は、タイミングソース、周辺機器、電圧調整器、および電力管理回路など、様々な他の回路をリンクさせることもでき、これらの回路は当技術分野でよく知られており、したがって、これ以上は説明しない。バスインターフェース810は、バス804とトランシーバ812との間にインターフェースを提供する。トランシーバ812は、送信媒体上の様々な他の装置と通信するための手段を提供する。また、装置の性質に応じて、ユーザインターフェース814(たとえば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカー、マイクロフォン、ジョイスティックなど)が設けられてもよい。
【0045】
プロセッサ806は、バス804の管理、およびコンピュータ可読媒体808上に記憶されたソフトウェアの実行を含む全般的な処理を受け持つ。ソフトウェアは、プロセッサ806によって実行されると、任意の特定の装置の以下で説明する様々な機能を処理システム802に実行させる。コンピュータ可読媒体808は、ソフトウェアを実行するときにプロセッサ806によって操作されるデータを記憶するために使用されてもよい。
【0046】
コンピュータ可読媒体808は、ノード106(
図1)またはUE102(
図1)のためのCLTDコントローラ130を格納することができる。
【0047】
図9を参照すると、ワイヤレス通信のためのシステム900が示されている。たとえば、システム900は、オーバージエア(OTA)通信が可能なユーザ機器内に少なくとも部分的に常駐し得る。代替的に、システム900はネットワーク装置であり得る。システム900が、計算プラットフォーム、プロセッサ、ソフトウェア、またはそれらの組合せ(たとえば、ファームウェア)によって実施される機能を表す機能ブロックであり得る機能ブロックを含むものと表されることを諒解されたい。システム900は、連携して作動することができる電気的構成要素の論理グルーピング902を含む。たとえば、論理グルーピング902は、ダウンリンク通信チャンネルでプリコーダ情報を受信するための電気的構成要素904を含み得る。さらに、論理グルーピング902は、2つ以上のアンテナから2つ以上のスロットを有する送信時間間隔でパケットデータを送信するための電気的構成要素906を含み得る。たとえば、論理グルーピング902は、送信時間間隔内の第1のスロットに続くスロットにおいてプリコーダ情報によりプリコーダを更新するための電気的構成要素908を含み得る。プリコーダ情報は、TTI内のスロット境界において適用され得る。さらに、システム900は、電気的構成要素904〜908に関連付けられた機能を実行するための命令を保持するメモリ920を含むことができる。メモリ920の外部にあるものとして示されているが、電気的構成要素904〜908のうちの1つまたは複数がメモリ920内に存在し得ることを理解されたい。
【0048】
WCDMA(登録商標)システムを参照して、遠隔通信システムのいくつかの態様を示してきた。当業者が容易に諒解するように、本開示全体にわたって説明する様々な態様は、他の遠隔通信システム、ネットワークアーキテクチャおよび通信規格に拡張され得る。
【0049】
例として、様々な態様は、他のUMTS、たとえばTD-SCDMA、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、高速パケットアクセスプラス(HSPA+)およびTD-CDMAに拡張され得る。様々な態様はまた、Long Term Evolution(LTE)(FDD、TDD、またはこれら両方のモードによる)、LTE-Advanced(LTE-A)(FDD、TDD、またはこれら両方のモードによる)、CDMA2000、Evolution-Data Optimized(EV-DO)、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、Ultra-Wideband(UWB)、Bluetooth(登録商標)、および/または他の適切なシステムを利用するシステムに拡張され得る。実際の利用される電気通信規格、ネットワークアーキテクチャ、および/または通信規格は、具体的な用途およびシステム全体に課される設計制約に依存する。
【0050】
本開示の様々な態様によれば、要素または要素の一部分または要素の組合せを、1つまたは複数のプロセッサを含む「処理システム」で実装できる。プロセッサの例として、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、状態機械、ゲート論理回路、個別ハードウェア回路、および本開示全体にわたって説明する様々な機能を実施するように構成された他の適切なハードウェアがある。処理システム内の1つまたは複数のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。ソフトウェアはコンピュータ可読媒体上に存在し得る。コンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体であってよい。非一時的コンピュータ可読媒体は、例として、磁気記憶デバイス(たとえば、ハードディスク、フレキシブルディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(たとえば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多目的ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(たとえば、カード、スティック、キードライブ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、取り外し可能ディスク、ならびに、コンピュータがアクセスし読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を記憶するための任意の他の適切な媒体を含む。また、コンピュータ可読媒体は、例として、搬送波、伝送路、ならびに、コンピュータがアクセスし読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を送信するための任意の他の適切な媒体も含み得る。コンピュータ可読媒体は、処理システムの中に存在してもよく、処理
システムの外に存在してもよく、または処理システムを含む複数のエンティティに分散してもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品として具現化され得る。例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージング材料内のコンピュータ可読媒体を含み得る。当業者は、具体的な用途およびシステム全体に課される全体的な設計制約に応じて、本開示全体にわたって示される説明する機能を最善の形で実装する方法を認識するだろう。
【0051】
開示した方法におけるステップの特定の順序または階層は例示的な処理を示していることを理解されたい。設計上の選好に基づいて、方法におけるステップの特定の順序または階層は再構成可能であることを理解されたい。添付の方法クレームは、サンプル的順序で様々なステップの要素を提示しており、クレーム内で明記していない限り、提示した特定の順序または階層に限定されるように意図されているわけではない。
【0052】
上記の説明は、本明細書で説明する様々な態様を当業者が実施できるようにするために与えられる。これらの態様への様々な変更は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義した一般的原理は他の態様に適用され得る。したがって、請求項は本明細書で示す態様に限定されるよう意図されているわけではなく、請求項の文言と整合するすべての範囲を許容するように意図されており、単数の要素への言及は、そのように明記されていない限り、「唯一無二の」ではなく、「1つまたは複数の」を意味するよう意図されている。別段に明記されていない限り、「いくつかの」という用語は「1つまたは複数の」を意味する。項目の列挙「のうちの少なくとも1つ」という語句は、単一の要素を含め、それらの項目の任意の組合せを意味する。たとえば、「a、bまたはcのうちの少なくとも1つ」は、「a」、「b」、「c」、「aおよびb」、「aおよびc」、「bおよびc」、「a、bおよびc」を含むことが意図されている。当業者が知っているか、後に知ることになる、本開示全体にわたって説明した様々な態様の要素と構造的かつ機能的に同等のものはすべて、参照により本明細書に明確に組み込まれ、請求項によって包含されることが意図される。また、本明細書で開示する内容は、そのような開示が請求項で明記されているか否かにかかわりなく、公に供することは意図されていない。請求項のいかなる要素も、「のための手段」という語句を使用して要素が明記されている場合、または方法クレームで「のためのステップ」という語句を使用して要素が記載されている場合を除き、米国特許法第112条第6項の規定に基づき解釈されることはない。
【符号の説明】
【0053】
100 セルラー通信システム
102 ユーザ機器(UE)
104 フィードバック、フィードバックデータ
106 ノード
110 送信機
112 受信機
114 トランシーバ
116 アンテナ
118 ダウンリンク
120 アップリンク
122 送信機
124 受信機
126 トランシーバ
128 アンテナ
130 ダイバーシティコントローラ、CLTDコントローラ
132 プリコーダ
400 方法
500 UMTSシステム
502 UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN)
504 コアネットワーク(CN)
505 RNS、SRNS
506 RNC
508 ノードB
510 ユーザ機器(UE)
511 汎用加入者識別モジュール(USIM)
512 MSC
514 GMSC
515 ホームロケーションレジスタ(HLR)
516 回線交換ネットワーク
518 サービングGPRSサポートノード(SGSN)
520 ゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)
522 パケットベースネットワーク
600 アクセスネットワーク
602 セル
604 セル、ソースセル
606 セル、無線ネットワークコントローラ
612 アンテナグループ
614 アンテナグループ
616 アンテナグループ
618 アンテナグループ
620 アンテナグループ
622 アンテナグループ
624 アンテナグループ
626 アンテナグループ
628 アンテナグループ
630 UE
632 UE
634 UE
636 UE
638 UE
640 UE
642 ノードB
644 ノードB
646 ノードB
710 ノードB
712 データ源
720 送信プロセッサ
730 送信フレームプロセッサ
732 送信機
734 アンテナ
735 受信機
736 受信フレームプロセッサ
737 データシンク
738 受信プロセッサ
740 コントローラ/プロセッサ
742 メモリ
744 チャネルプロセッサ
746 スケジューラ/プロセッサ
750 UE
752 アンテナ
754 受信機
756 送信機
760 受信フレームプロセッサ
770 受信プロセッサ
772 データシンク
778 データ源
780 送信プロセッサ
782 送信フレームプロセッサ
790 コントローラ/プロセッサ
792 メモリ
794 チャネルプロセッサ
800 装置
802 処理システム
804 バス
806 プロセッサ
808 コンピュータ可読媒体
810 バスインターフェース
812 トランシーバ
814 ユーザインターフェース
900 システム
902 論理グルーピング
904 電気的構成要素
906 電気的構成要素
908 電気的構成要素
920 メモリ