(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、本発明の様々な特徴点に基づくカテーテルアセンブリ10は、カテーテルハブ12と、このカテーテルハブ12に対して固定されているとともにこのカテーテルハブ12から先端向きに延在するカテーテルチューブ14と、カテーテルハブ12に対して固定されているとともにカテーテルハブ12と一緒に軸線方向に対して延在するアクチュエータ16と、カテーテルハブ12内に配置されているとともにアクチュエータ16上において移動可能に支持されたシール部材18と、を備えている。シール部材18は、アクチュエータ16に対して軸線方向にシフトすることができる。シール部材18は、例えば、
図1に示す閉塞位置すなわちシール位置と、開放位置すなわち駆動位置(例えば、
図10に示されている)と、の間において、アクチュエータ16に沿って軸線方向にスライドすることによって、アクチュエータ16に対して軸線方向にシフトすることができる。閉塞位置においては、カテーテルハブ12は、カテーテルチューブ14に対して実質的にシールされている。これにより、カテーテルハブ12内への血液流入が、禁止されている。しかしながら、開放位置においては、詳細に後述するように、シール部材18がアクチュエータ16上へと押し込まれており、カテーテルハブ12とカテーテルチューブ14とが、開口した流体連通状態となる。
【0020】
カテーテルハブ12は、妨害されていない開口21を有した基端部20と、先端部22と、基端部20と先端部22との間にわたって延在する内部キャビティ24と、を備えている。内部キャビティ24は、内表面すなわち壁25によって既定されている。内部キャビティ24は、基端部20に隣接したところから先端部22の近くにまで延在する基端部分26と、先端部22の近傍に位置した先端キャビティ28と、を備えている。基端部分26は、内部にルアーテーパー30(
図9および
図10)を係合的に受領し得るようルアーテーパー規格に基づいて形成された第1上部29と、第1部分29の少なくとも最小テーパー横断面寸法よりも大きなものとされた比較的一定の横断面寸法(例えば、直径)を有した第2下部31と、を備えている。第1上部29と第2下部31との間には、移行領域32が設けられている。
【0021】
カテーテルチューブ14は、基端部34と、テーパー状先端部35と、基端部34と先端部35との間にわたって延在する開口通路36と、を備えている。カテーテルチューブ14の基端部34は、アクチュエータ16を使用して、カテーテルハブ12の先端キャビティ28内に固定されている。これにより、カテーテルチューブ14は、カテーテルハブの先端部22から先端向きに延在している。よって、アクチュエータ16は、シール部材18を支持していてシール部材18の開口を可能としているだけでなく、アクチュエータ16は、カテーテルハブ12に対してカテーテルチューブ14を固定するためにも、機能する。
【0022】
カテーテルアセンブリ10は、有利には、PIVC38の一部として利用される。PIVC38の一部は、PIVC38の待機位置において、
図2に示されている。この目的のために、ニードルカニューレ40は、シャフト41を有しているとともに、ノーズ42から尖鋭先端43にまで先端向きに延在している。ノーズ42は、カテーテルハブ12の内部キャビティ24の上部29内に延在している。
図2に示す待機位置においては、ニードルカニューレ40は、シール部材18を通して、また、アクチュエータ16を通して、さらに、カテーテルチューブ14を通して、延在している。これにより、尖鋭先端43を、カテーテルチューブ14の先端部35を超えて露出させている。
図2の実施形態においては、ニードルカニューレ40は、ノーズ42を通して軸線方向にスライド可能とされている。これにより、ニードルカニューレ40を、カテーテルハブ12からノーズ42を基端向きに引き抜く必要なく、カテーテルハブ14およびシール部材18から基端向きに引き抜くことができ、最終的には、ニードルカニューレ40を、カテーテルアセンブリ10から完全に取り外すことができる。ノーズ42は、プロテクターのキャップまたはフランジ44から延出することができる。プロテクターの一例は、Smiths Medical ASD, Inc.社から市販されている ProtectIV(登録商標)PIVCのニードルガードハウジング45(一部だけが、
図2において仮想線で図示されている)である。当業者であれば容易に理解されるように、他のタイプのプロテクター(図示せず)を、PIVC38と一緒に使用することができる。
図2に示すように、フランジ44は、カテーテルハブ12の基端部20に対して当接することができる。加えて、フランジ44は、カテーテルハブ12の基端部20の周囲に当接する環状の先端張出部分(図示せず)を有することができる。これにより、カテーテルハブの基端部に対してPIVC38を固定することができる。例えば、そのような環状の先端張出部分は、カテーテルハブ12の保持イヤー112に対して相互作用することができる。他の実施形態(図示せず)においては、ノーズおよびニードルカニューレは、一体的に移動し得るように、互いに固定される。これにより、ニードルカニューレを基端向きに引っ込めることにより、必然的に、カテーテルハブ12からノーズが引っ込められる。この実施形態においては、ノーズは、Smiths Medical ASD, Inc.社から市販されている JELCO(登録商標)PIVCにおいて具現されているように、ニードルカニューレのためのニードルハブすなわち支持体として機能する。ニードルカニューレとノーズとの組合せの他の例は、米国特許出願公開明細書第2007/0191775号に開示されている。この文献の記載内容は、参考のためここに組み込まれる。
【0023】
さらに、
図3に示すように、アクチュエータ16は、全体的に剛直なものであって、外表面47を有した全体的に円筒形のメインシャフト46と、先端部49における先端アイレット部分48と、基端側の自由端51における基端バーブ50と、を備えている。開口した通路52は、自由端51とアイレット部分48との間にわたって延在しており、これにより、そのような通路52を通して、ニードルカニューレ40を受領することができ、シール部材18が開口位置とされたときには、通路52を通して、流体を流通させることができる。先端アイレット部分48は、通常のアイレットと同様のものであって、大きなゲージのニードルカニューレ40のためのものであり、例えば、20,22,24,26というゲージのニードルカニューレ40のためのものであり、アイレットシャフト53と、結合箇所55のところにおいてメインシャフト46に対して結合するヘッド54と、を備えている。アイレットシャフト53は、メインシャフト46の横断面寸法よりも実質的に小さな横断面寸法を有している。これにより、ニードルカニューレ40の直径に対して、アイレットシャフトのサイズを近いものとすることができる。基端側の自由端51のところにおけるバーブ(あるいは、逆棘)50は、メインシャフト46の横断面寸法よりも(よって、アイレットシャフト53の横断面寸法よりも)全体的に大きな最大の横断面寸法を有することによって特徴づけることができ、メインシャフト46の一部上へと折り曲げられる拡径フランジ56を備えることができる。拡径フランジ56は、先端向きに拡径しており、メインシャフト46の径方向外側において円錐台形状の外表面57を規定している。
【0024】
図1に示すように、アクチュエータ16の先端アイレット部分48は、カテーテルハブの先端部22内に、例えば先端キャビティ28内に、摩擦的に係合される。これにより、カテーテルチューブ14を、カテーテルハブ12に対して固定することができる。しかしながら、従来のアイレットとは異なり、アクチュエータ16のメインシャフト46は、カテーテルハブの先端部22から基端向きに延在している。これにより、メインシャフト46の先端部60は、領域63のところにおいて、先端キャビティ28の部分62に対して摩擦的に係合する。これにより、カテーテルハブ12に対してアクチュエータ16を固定することを補助することができる。さらに、基端側の自由端51は、先端部22から離間し得るものの、カテーテルハブ12の内部キャビティ24内に配置されている。より詳細には、アクチュエータ16のメインシャフト46は、先端キャビティ28から内部キャビティ24の基端部26内へと延在し得るものの、アクチュエータ16の基端側の自由端51は、カテーテルハブ12の基端部20までには延出されておらず、そうではなく、基端部20よりも先端側において終端している。図示の実施形態においては、例えば、基端側の自由端51は、内部キャビティ24の第2部分31内において終端している。加えて、例えばバーブ50も含めて、アクチュエータ16の径方向の横断面寸法は、先端キャビティ28よりも基端側において、内部キャビティ24の第2部分31の横断面寸法よりも小さなものとされている。これにより、カテーテルハブ12の内壁25とアクチュエータ16との間に、環状スペース64を形成することができる。詳細に後述するように、環状スペース64は、開口位置へと移行する際には、シール部材18を受領し得るよう構成されている。
【0025】
カテーテルハブの先端部22に対してのアクチュエータ16の固定を増強し得るよう、アクチュエータ16は、表面上に形成された表面特徴物を備えることができる。表面特徴物は、例えば、メインシャフト46の先端部分60において、アイレット部分のヘッド54から離間したところにおいて、外表面47上に設けられた1つまたは複数のディンプル65aとすることができる(
図3A)、あるいは、メインシャフト46の先端部分60に沿って延在して外表面47に形成された、可能であればアイレット部分54内へと形成された、1つまたは複数の切り込みラインすなわちグルーブ65bとすることができる(
図3B)、あるいは、メインシャフト46の先端部分60のところにおいて外表面47に設けられた1つまたは複数の環状グルーブ65cとすることができる(
図3C)。表面特徴物は、領域63のところにおいてカテーテルハブの一部62と相互作用し得るよう構成される。これにより、それらの間における摩擦係合を増強することができる。
【0026】
図3に示すように、アクチュエータ16は、有利には、例えば20〜26というゲージといったような小さな直径のニードルカニューレ40のために構成されている。例えば16あるいは18というゲージといったように、ニードルカニューレ40の直径が大きなものである場合には、アクチュエータ16aの代替可能な実施形態は、
図4に示すようなものとすることができる(同様の符号は、アクチュエータ16の場合と同様の特徴点を示している)。この目的のために、アイレット部分48aのアイレットシャフト53aは、メインシャフト46の横断面寸法と比較して、ほぼ同じ横断面寸法を有することができる(例えば、16ゲージのニードルカニューレ40の場合)、あるいは、わずかに小さな横断面寸法を有することができる(例えば、18ゲージのニードルカニューレ40)。この状況においては、アクチュエータ16aの固定は、アクチュエータ16aに対して、径方向外向きに延在する環状リブ65dという形態の表面特徴物を設けることによって、増強することができる。環状リブ65dは、メインシャフト46の横断面寸法よりも約12%大きな横断面寸法をもたらすことができる。有利には、リブ65dは、横断面視においてのこぎり歯という形態とされる(
図4A)。しかしながら、リブ65dは、より丸い形状のものとすることができる。環状リブ65dは、有利には、メインシャフト46の先端部分60上に配置されており、交差箇所55aにおいてアイレット部分48aに対してオーバーラップすることができる。アクチュエータ16aが使用される場合には、領域62においてカテーテルハブ12には、径方向外向きに延在するノッチ(図示せず)を設けることができる。ノッチは、環状リブ65dの横断面寸法よりも小さなものとされたサイズの横断面寸法を有することができる。これにより、ノッチと環状リブとの間において、緊密な嵌合を形成することができる。これに代えて、ノッチは、環状リブ65dの横断面寸法よりもわずかに大きな横断面寸法を有したものとすることができる。これにより、リブ65dは、より容易にノッチ内に位置することができる。しかしながら、カテーテルハブ12に対してアクチュエータ16aをより効果的に固定することができる。
【0027】
アクチュエータ16,16aは、様々な金属やプラスチックも含めた適切な材料から形成することができ、一体部材として形成することができる。しかしながら、代替可能な実施形態においては、アクチュエータ16,16aは、複数の個別部材を結合することによって形成することができる。結合は、溶接や接着とすることができる。例示としての一実施形態においては、アクチュエータ16,16aは、当該技術分野において公知のプロセスによって、医療グレードのステンレススチール(例えば、410ステンレススチール、17−7ステンレススチール、等)から形成することができる。
【0028】
図1に示すように、シール部材18は、カテーテルハブ12の内部キャビティ24内に配置されており、内部キャビティ24内においてアクチュエータ16によって少なくとも部分的に支持されている。後述するように、シール部材18は、また、カテーテルハブ12の内壁25によっても、部分的に支持することができる。
図5〜
図7に示すように、シール部材18は、外表面71および中央メンブラン72を有した全体的に円筒形のボディ70と、メンブラン72から先端向きに延在するとともに先端75において終端する先端部分74と、メンブラン72から基端向きに延在するとともに基端すなわち衝撃端77において終端する基端部分76と、を備えている。メンブラン72は、中央軸線78に対して実質的に垂直に延在しているとともに、シール部材18の基端77と先端75との間の中間に位置した平面に沿って延在している。一実施形態においては、メンブラン72は、全体的に平面状の上面79と全体的に平面状の下面80とを有しており、全体的に一定の軸線方向厚さを有している。メンブラン72は、メンブラン72の軸線方向厚さを完全に貫通して延在している通常閉のスリット82を備えている。代替可能な実施形態においては、メンブラン72の上面79および下面80は、平面以外の形状のものとすることができ、他の形状とすることができ、例えば、凹面や凸面とすることができる。
【0029】
スリット82は、当該技術分野において公知の様々な態様のものとすることができ、例えば、メンブラン72を貫通する単一の直線状スリット(図示せず)とすることができる。有利には、ここで図示した実施形態においては、スリット82は、
図7に示すような平面視においてY字形状を示すような3つの径方向の最外端部83へと延在するトリスリット構成(3つのスリットからなる構成)を有している。スリット82は、複数のメンブランフラップ84を形成している。メンブランフラップの数は、スリット82の形状に依存する(例えば、トリスリット構成の場合には、3つのフラップ84)。加えて、スリット82の長さ(例えば、径方向の長さ)は、好ましくは、メンブラン72の横断面寸法(例えば、直径)よりも小さなものとされる。これにより、スリット82の径方向最外端部83は、シール部材18の円筒形ボディ70内表面85から離間しており、スリット82は、シール部材18の円筒形ボディ70内表面85へは進入していない。PIVC38の待機位置においては、メンブラン72内のスリット82と、ニードルシャフト41とは、互いに協働することができる。これにより、ニードルシャフト41がメンブラン72を貫通した際に、ニードルシャフト41の周囲における実質的な流体密封シールを形成することができる(
図2)。しかしながら、スリット82およびニードルシャフト41は、流体密封ではないものとすることができる。しかしながら、その場合でも、有利には、ニードルシャフト41がメンブラン72を貫通した際に、メンブラン72を通しての血液流通に対してのかなりの制限をもたらすことができる。これにより、例えば、カテーテルハブ14を患者の血管系内へと挿入した際に(図示せず)、最少量の血液しか、メンブラン72のスリット82を通して滲出させることがない。
【0030】
シール部材18の先端部分74は、先端75から内方に基端向きに延在する環状シールリップ87によって規定されたシール出口穴86と、シール出口穴86とメンブラン72の下面80との間に位置したアクチュエータキャビティ88と、を備えている。アクチュエータ16の自由端51は、シール出口穴86を通して、アクチュエータキャビティ88内へと、受領され、バーブ50は、アクチュエータキャビティ88内に収容される(
図1)。アクチュエータキャビティ88は、有利には、アクチュエータキャビティ88に対してくびれ形状(
図6)を付与する縮径部分89を備えている。例えば、縮径部分89は、環状リブ90によって、もたらすことができる。環状リブ90は、アクチュエータキャビティ88を規定している内壁85の部分93から、径方向内向きに突出している。
図1に示すようなシール部材18の閉塞位置においては、アクチュエータ16の円錐台形状表面57が、環状リブ90に対して係合する。
【0031】
シール部材18の基端部分76は、有利には円筒形状であって、メンブラン72と基端77のところの開口94との間にわたって延在する全体的に円筒形の穴92を備えている。穴92は、長手方向に沿って全体的に一定の横断面形状を有することができる。開口94と、有利には円筒穴92とは、標準的なルアー寸法のノーズもまた標準的な寸法のルアーテーパー30(
図9)も穴92内へと進入し得ないように、なおかつ、最大でも基端77を衝撃するだけであるように、構成されている。この目的のために、
図2に示すように、ここで図示されているカテーテルアセンブリ10と一緒に使用されるノーズ42は、カテーテルハブの基端部20を構成する壁25に対して係合し得るような標準的なルアーテーパー横断面寸法を規定する基端形状42aと、軸線方向に沿って穴92内へと進入し得るようなサイズとされた一様な横断面寸法を有した縮径した先端形状95と、を備えている。しかしながら、先端形状95の長さは、先端形状95の先端96が、待機位置においてメンブラン72の上面79を過度に押圧しないように、選択されている。これにより、スリット82とニードルカニューレ40のシャフト41との間のすべてのシールに悪影響を与えかねないようなメンブラン72の変形を回避することができる。その目的のために、先端部96には、凹所97を形成することができる。
【0032】
カテーテルハブ12のルアーテーパー形状の基端部分26内へと延出されることとなるノーズの通常の長さは、基端部分とノーズとの間の適切に信頼性のある摩擦係合をもたらすものとされる。これにより、ノーズは、カテーテルハブ12から逸脱することがなく、なおかつ、手術者(図示せず)によるわずかな力によってカテーテルハブからノーズを容易に取り外すことができるようになっている。縮径された先端形状95に基づき、ノーズの基端形状42aとカテーテルハブ12の内壁25との間には、過度な係合は存在しない。緩すぎる係合を防止するために、先端形状95は、有利には、穴92内に摩擦係合し得るようなサイズとすることができる。これに代えてあるいはこれに加えて、径方向内向きのリブまたは突起(図示せず)を、穴92の内壁85の部分98上に形成することができる。これにより、ノーズ42の先端形状95に対しての、より強力な係合を得ることができる。
【0033】
シール部材18を閉塞するメンブラン72は、シール部材18の基端77と先端75との間の中間に配置されている(すなわち、基端寄りでもなく、先端寄りでもない)。この点において、シール部材18は、基端部分76の軸線方向長さl
p よりも実質的に薄くなおかつ先端部分74の軸線方向長さl
d よりも実質的に薄い軸線方向厚さtを有したメンブラン72によって、特徴づけることができる。限定するものではないけれども、例えば、軸線方向長さl
pおよびl
dは、厚さtの7倍〜15倍という範囲とすることができる。例示としての一実施形態においては、メンブラン72の厚さtは、およそ0.381〜0.508mm(0.015〜0.020インチ)とすることができ、長さl
p は、およそ5.969mm(0.235インチ)とすることができ、長さl
d は、およそ3.937〜4.064mm(0.155〜0.16インチ)とすることができる。
【0034】
図1に示すように、シール部材18の閉塞位置においては、アクチュエータ16は、シール出口穴86を通して延在することができる。これにより、バーブ50は、アクチュエータキャビティ88内に配置される。より詳細には、シール出口穴86のシールリップ87は、アクチュエータシャフト46の外表面47に対して密封的に係合する。これにより、先端側の雰囲気から、アクチュエータキャビティ88を実質的にシールすることができる。アクチュエータ16のメインシャフト46は、有利には、カテーテルアセンブリ10と一緒に使用され得る最大直径のニードルカニューレを受領し得るような横断面寸法とされ、アクチュエータ16のアイレット部分48,48aは、特定のニードルカニューレ40に対して緊密に適合するような横断面寸法とされる。その結果、シール出口穴86は、一連のニードルカニューレに関しての通常のサイズとすることができる。よって、同じシール部材18を、想定される範囲のゲージの複数のニードルカニューレに関して使用することができる。これにより、各ゲージのニードルカニューレに関してあるいは様々なゲージのニードルカニューレに関して、様々なシール部材を使用する必要性を不要とすることができる。
【0035】
これに加えて、バーブ50は、アクチュエータキャビティ88内に完全に収容され、上述したようにして、縮径部分89に対して係合することができる。バーブ50は、シール出口穴86の横断面寸法よりも大きな最外横断面寸法を有しており、さらに、バーブ50を超えて先端向きにシール出口穴86をスライドさせ得るよう構成されている。なおかつ、バーブ50は、バーブ50上におけるシール部材18の基端向きの移動を禁止する。
【0036】
閉塞位置においては、シール部材18は、カテーテルハブ12の内部キャビティ24内に完全に配置されている。これにより、シール部材18は、カテーテルハブの基端部20と先端部22との双方から離間されている。この目的のために、シール部材18の基端77は、距離d
p の分だけ、カテーテルハブ12の基端部20における開口21から離間している。これにより、シール部材18の基端側に、スペースP1を形成している。さらに、シール部材18の先端75は、距離d
d の分だけ、カテーテルハブ12の先端キャビティ28から離間している。これにより、シール部材18の先端側に、スペースD1を形成している。例示としての一実施形態においては、d
p は、およそ1.143mm(0.045インチ)とすることができ、d
d は、およそ2.159〜4.318mm(0.085〜0.17インチ)とすることができる。これに加えて、メンブラン72は、アクチュエータ16の自由端51よりも基端側に配置されている。これにより、メンブラン72に形成された通常閉のスリット82は、基端側からアクチュエータキャビティ88を実質的にシールする。したがって、詳細に後述するように、カテーテルアセンブリ10の挿入時にシール部材18のアクチュエータキャビティ88内に血液が流入した際には、例えば、アクチュエータキャビティ88は、シールリップ87とアクチュエータ壁47との係合によって先端側から流体絶縁(例えば、シール)され、メンブラン72の通常閉のスリット82によって基端側から流体絶縁(例えば、シール)される。これにより、血液は、カテーテルハブ12の内部キャビティ24内へとメンブランを超えて流れることができない。
【0037】
いくつかの従来技術の構成においては、長尺部材が、カテーテルハブ内に延在しており、シール部材を開口させるために、シール部材が、長尺部材に対して押しつけられる。しかしながら、それらの構成におけるシール部材は、典型的には、長尺部材上において自由に浮遊している。そのため、カテーテルハブの壁から周縁全体に沿って離間している。あるいは、シール部材は、カテーテルハブの壁に対して、全周縁にわたって係合している。各アプローチは、欠点を有しているものと考えられる。自由に浮遊したシール部材は、カテーテルハブ内における十分な支持を欠いており、不当な側方移動や同様の移動や傾斜を受けてしまう。カテーテルハブの壁に対して全周縁にわたって係合しているシール部材は、シール部材とカテーテルハブ壁との境界における比較的大きな摩擦力が避けられず、したがって、駆動時に開放位置へとシール部材を移動させるのに必要な力が大きなものとなってしまう。このようなタイプのシール部材は、他の欠点も有している。例えば、全周縁での係合のために、シール部材が駆動されたときに、圧力の蓄積が起こり得る。なぜなら、例えばエアが、カテーテルハブ内においてシール部材よりも先端側のスペース内へとシール部材が移動する際に、そのようなスペースから逃げられないからである。そのような圧力の蓄積は、望ましくなく、動作のために不当に大きな駆動力を必要としてしまう。
【0038】
本発明の他の特徴点においては、シール部材18は、アクチュエータ16とカテーテルハブ12との双方によって、支持される。しかしながら、閉塞位置においては、シール部材18の外表面71は、シール部材18の外側当接領域100(
図1)に沿って、カテーテルハブ12の内壁25に対して、周縁まわりにおいて部分的にのみ係合する。これにより、シール部材18の基端側のスペースP1と先端側のスペースD1との間において、少なくとも1つのエア経路102(
図1においては、矢印102によって図示されている)を維持することができる。有利には、2つのそのようなエア経路102が設けられる。この目的のために、シール部材18の少なくとも当接領域100に沿って、シール部材18の外表面71は、少なくとも1つの軸線方向チャネルすなわちグルーブ104を備えることができる。グルーブ104は、外表面71から内向きに延在し、軸線方向に沿って、エア経路102の全体ではないにしても、エア経路102の一部を形成する。2つまたはそれ以上の軸線方向グルーブ104が設けられる場合には、各グルーブは、それぞれのエア経路102の一部または全体を形成する。有利には、外表面71の短い軸線方向部分だけが、当接領域100において係合している。これにより、
図1に例示しているように、当接領域100よりも基端側の領域および先端側の領域は、領域105,106において、内部キャビティ24の内壁25から離間している。領域105,106は、また、エア経路102の一部を形成するとともに、シール部材18とカテーテルハブ12との間の摩擦を低減させるという利点を有している。これにより、シール部材18は、後述するようにシール部材を開放させるに際して、カテーテルハブ12内においてより容易にスライドすることができる。エア経路102を設けることにより、シール部材18の外表面71を、係合領域100において、カテーテルハブ12の内壁25に対して周縁まわりに係合させることができる。これにより、部分的な周縁まわりの係合を形成することができる。その結果、シール部材18は、アクチュエータ16上において安定な位置に保持され、なおかつ、シール部材18の内部キャビティ24の基端側の領域P1と、シール部材18の内部キャビティ24の先端側の領域D1と、の間における流体連通を容易とすることができ、
これにより、シール部材18の駆動時における圧力の蓄積を防止できて、シール部材18とカテーテルハブ12の内壁25との間における接触表面積を低減することができ、これにより、そのような駆動時にシール部材18に対して印加される摩擦力を最小化することができる。
【0039】
先端領域106は、シール部材18の先端部74に沿ってのシール部材18の外径寸法を低減することによって、および/または、内部キャビティ24のうちの、シール部材18の先端部74に隣接した第2部分31の外形寸法を増大させることにより、得ることができる。同様に、基端領域105は、シール部材18の基端部76に沿ってのシール部材18の外径寸法を低減することによって、および/または、内部キャビティ24のうちの、シール部材18の基端部76に隣接した第1部分29の外形寸法を増大させることにより、得ることができる。例えば、基端領域105は、内部キャビティ24の基端部26の第1部分29のルアーテーパーの結果とすることができ、
図1に示すように、シール部材18の基端部76の外径を比較的一定に維持することができる。
【0040】
シール部材18とカテーテルハブ12との間の接触領域100は、メンブラン72に沿って、および、シール部材18の基端部76の最先端領域に沿って、起こることができる。しかしながら、とりわけ、軸線方向グルーブ104は、少なくとも、接触領域100よりも先端側の領域から、接触領域100よりも基端側の領域までにわたって、延在している。したがって、接触領域100の特定のサイズに応じて、軸線方向グルーブ104は、シール部材18の長さの全体にわたって延在することができる、あるいは、シール部材の長さの一部だけにわたって延在することができる(この場合には、軸線方向グルーブ104は、係合領域100を通しての関連するエア経路102の一部を形成し得るだけの十分な長さにわたって、軸線方向に延在する。軸線方向グルーブ104は、係合領域100を超えて延在する必要はないものの、係合領域100を超えて延在することが有利である。)。一実施形態においては、各々の軸線方向グルーブ104は、シール部材18の先端75のところにおいて開口しており、なおかつ、シール部材18の基端77に届かずに終端している(
図6)。さらに、軸線方向グルーブ104の深さは、シール出口穴86およびアクチュエータキャビティ88のところにおいて、および有利には穴92のところにおいて、シール部材18の内表面85へと貫通しないものとされている。
【0041】
図2に示すように、キャップ44は、カテーテルハブ12の基端開口20内には適合しないようなサイズとされている。そうではなく、キャップ44は、PIVC38が待機位置とされているときには、カテーテルハブ12の基端表面110に対して当接することができる。キャップ44は、また、連続的なあるいはセグメント化されたカラーまたはリム(図示せず)を備えることができる。カラーまたはリムは、カテーテルハブ12のうちの、端部表面110を規定している外部ルアーロック受領イヤー112に対して、適合することができる、あるいは可能であれば、着脱可能に係合することができる。段部(図示せず)を、カテーテルアセンブリ10の組立を容易とし得る受領イヤー112の先端部分に形成することができる。有利には、待機位置においては、キャップ44は、端部表面110に対して当接しており、ノーズ42は、内部キャビティ24内に延出されており、ノーズ42の基端形状42aは、カテーテルハブ12の内壁25に対して緊密に適合している。先端セグメント95は、穴92内に適合し得るサイズとされている。これにより、先端96は、メンブラン72の基端側の側面79に対して隣接または係合することができる。先端96がメンブラン72に対して接触した際には、先端96は、メンブラン72のスリット82を通って貫通することがない。加えて、先端96における穴97は、メンブラン72のスリット82に対して位置合わせされるようにして、配置されている。
【0042】
使用時には、
図2に示す待機位置から、PIVC38の尖鋭先端43が、従来的な態様でもって、患者(図示せず)の動脈または静脈内へと挿入される。ニードルシャフト41は、尖鋭先端43に隣接して、ニードルシャフトを貫通して、スロット114を有することができる。これにより、血液のフラッシュバックを提供することができる。ニードルカニューレ40におけるスロット114の使用は、大きなゲージ数のニードルカニューレ40(すなわち、より小径のニードルカニューレ40)に関して部分的に有利なものとすることができる。カニューレスロット114に加えて、あるいは、カニューレスロット114に代えて、ニードルカニューレ40に対しては、従来的な血液フラッシュバックのために、ニードルカニューレ40の基端部(図示せず)に隣接してフラッシュチャンバ(図示せず)を連結することができる。
【0043】
患者内へのカテーテルチューブ14の挿入後には、ニードルカニューレ40は、カテーテルチューブ14およびカテーテルハブ12から基端向きに引き抜かれる。その場合、カテーテルアセンブリ10は、患者の血管系に流体連通したものとして、残される。ニードルカニューレ40が引き抜かれる際には、ニードルカニューレ40の基端向き移動に基づいてシール部材18上に印加される引きずり力(例えば、メンブラン72のスリット82上に印加される引きずり力)は、カテーテルハブ12内にシール部材18を保持する力に打ち勝つには不十分なものである。したがって、シール部材18は、ニードルカニューレ40の基端向き引き抜き時には、カテーテルハブ12内に留まることができる。より詳細には、シールリップ87によってアクチュエータ16上に印加される力と(アクチュエータ16は、上述したように、カテーテルハブ12に対して固定的に固定されている)、接触領域100に沿ってカテーテルハブ12の内壁25に対して係合するシール部材18の摩擦力とは、ニードルカニューレ40の引き抜き時には、個別的にまたは集合的に、カテーテルハブ12に対してのシール部材18の基端向き移動に対して抵抗することができる。カテーテルハブ12に対してのシール部材18の何らかの初期的な基端向き移動が起こるとしたとしても、アクチュエータ16のバーブ50は、シール部材18のシール出口穴86よりも大きなものとされており、これにより、シール部材18の初期的な軸線方向移動を拘束することができる。
【0044】
さらに、ニードルカニューレ40の基端向き引き抜き時には、メンブラン72のスリット82に対して作用する引きずり力は、スリット82によって形成された1つまたは複数のフラップ84を、基端向きにわずかに撓ませるあるいは膨らませることができる。より詳細には、スロット114は、スリット82を通して基端向きに貫通してフラップ84を撓ませる際には、フラップ84に対して係合することができる。そのような引き抜き時には、ノーズ42は、カテーテルハブ12内に留まる。これにより、
図8に示すように、フラップ84の基端向きの撓みは、ノーズ42の先端96に対して当接するのではなく、凹所97内に留まる。これにより、フラップ84の損傷というリスクが低減されるとともに、スリット82のシール能力に対して影響しかねないような悪影響というリスクが低減される。ニードルカニューレ40の基端向き移動と一緒にノーズ42が移動し得るようにノーズ42とニードルカニューレ40とが固定されている場合には、凹所97を省略することができる。
【0045】
上記に加えて、カテーテルハブ12からのノーズ42の引き抜きによって生成されるようなシール部材18に対しての引きずり力は、また、カテーテルハブ12内にシール部材18を保持する力に打ち勝つには、不十分なものである。よって、例えば、ノーズ42の縮径された先端形状95とシール部材の基端部76の穴92との間のスリップ係合は、カテーテルハブ12からのノーズ42の基端向き引き抜き時には、シール部材18をカテーテルハブ12から引き抜くほどには十分には緊密ではない。上記と同様に、カテーテルハブ12に対してのシール部材18の何らかの初期的な基端向き移動が起こったとしても、アクチュエータ16のバーブ50は、シール部材18のシール出口穴86よりも大きい。これにより、シール部材18のすべての初期的基端向き移動を拘束することができる。
【0046】
ニードルカニューレ40が引き抜かれ、ノーズ42がカテーテルアセンブリ10から分離された後には、カテーテルハブ12内におけるシール部材18は、閉塞位置すなわちシール位置とされる。これにより、患者からの血液が、カテーテルハブ12の内部キャビティ24内へと流入することを、防止することができる(
図1)。より詳細には、患者の血管系内へのカテーテルチューブ14の挿入時にはおよび挿入後には(例えば、ニードルカニューレ40の基端向き引き抜き時には、あるいは、ニードルカニューレ40がおよび可能であればノーズ42がカテーテルハブ12から基端向きに引き抜かれた後には)、患者からの血液は、カテーテルチューブ14を通して、アクチュエータ16を通して、さらに、アクチュエータ16の基端側自由端51が配置されているシール部材18のアクチュエータキャビティ88内へと、流れることができる。言い換えれば、妨害されていない流体流通経路は、カテーテルチューブ14の先端部35と、アクチュエータ16の基端側自由端51と、の間に存在する。これにより、血液は、それらの間にわたって流れることができる。しかしながら、有利には、アクチュエータキャビティ88内へと流入する血液は、アクチュエータキャビティ88から流出することが、実質的に防止される。これにより、止血が得られる、あるいは、止血が維持される。
【0047】
この目的のために、出口穴86のシールリップ87は、アクチュエータメインシャフト46の外表面47に対しての実質的な流体密封シールを形成する。これにより、界面に沿ってのアクチュエータキャビティ88からの血液流出を防止することができる(例えば、アクチュエータキャビティ88は、先端側から効果的なシールを行う)。これに加えて、ニードルカニューレ40がメンブラン72から取り外された後には、スリット82は、メンブラン72を形成する材料の弾性に基づいて、閉塞する(すなわち、スリット82は、通常閉である)。スリット82の閉塞は、メンブラン72を通してのアクチュエータキャビティ88からの血液流出を実質的に防止する。有利には、スリット82が実質的に閉塞されることにより、使用時に通常時に観測される圧力によって、血液を、メンブラン72のスリット82を通して漏れ出すことがない。
【0048】
上述したように、メンブラン72のスリット82を通しての何らかの漏出があったとしても、血液量は、最小であり、カテーテルチューブ14の挿入時および挿入後における止血は(なおかつ、シール部材18の駆動前における止血は)、なおも十分に維持されている。したがって、シール部材18のアクチュエータキャビティ88内へと血液が流入した場合には、キャビティ88は、先端側においては、シールリップ87とアクチュエータ表面47との係合によって、そして、基端側においては、メンブラン72のスリット82によって、実質的に流体的に絶縁される(例えば、シールされる)。これにより、実質的に、メンブランを超えて血液が流れることができない。これにより、医療従事者は、当座は血液がカテーテルハブ12から流出しようとすることを心配することなく、他の押圧の問題を解決することができる。
【0049】
シール部材18は、使用時に血液流を制御し得るよう構成されているだけでなく、シール部材18は、さらに、カテーテルチューブ14からの流体流通経路を開放するように駆動され得るよう構成されている。有利には、
図9および
図10に示すように、シール部材18は、軸線方向に移動可能であるように構成することができる。これにより、シール部材18は、アクチュエータ16のメインシャフト46に沿って軸線方向にスライドすることができ、開放位置にまでスライドすることができる。このような軸線方向移動は、カテーテルハブ12の基端部20内へのオス型ルアーテーパー30の挿入によって、行うことができる。これにより、オス型ルアーテーパー30の自由端すなわち先端120が、シール部材18の基端77を衝撃し、シール部材18を所定位置に保持している摩擦力に打ち勝ち得る十分な力でもって、シール部材18を先端向きに押し込む。この目的のために、ルアーテーパー30は、カテーテルハブイヤー112に対して螺着的に係合し得るよう構成されたルアーロックカラーまたはルアーロックナット122と協働することができる。これにより、ルアーテーパー30を基端77に向けて推進させることができる。これにより、ルアーテーパー30は、移動距離の分だけ、先端に向けて押し込まれる。これにより、シール部材18が軸線方向にスライド駆動され、メンブラン72は、アクチュエータバーブ50上へと駆動され、フラップ84が押し広げられて、シール部材が、開放状態とされる。カテーテルアセンブリ10は、シール部材18の全体がカテーテルハブ12内において軸線方向先端向きにスライドし得るよう構成されている。
【0050】
シール部材18がカテーテルハブ12内において軸線方向にスライドするにつれて、アクチュエータ16の基端側の自由端51が、メンブラン72の先端面80に対して接触し、スリット82を通して進入し始め、スリット82によって形成されたフラップ84を基端向きに押し広げつつ、バーブ50に沿ってスライドさせる、例えば、バーブ50の円錐台形状表面57に沿ってスライドさせる。これにより、スリット82を次第に開放させる。ルアーテーパー30をさらに先端向きに挿入することにより、シール部材18をさらに先端向きにスライドさせ、最終的には、ルアーテーパー30は、内部キャビティ24内へと完全に延出される。これにより、シール部材18の先端75は、先端キャビティ28に向けて駆動される。これにより、
図10に示すように、シール部材18の開放位置が達成される。一実施形態においては、メンブラン72は、十分に弾性的なものとされ、バーブ50は、メンブラン72を裂けさせたり破壊したりすることなく、スリット82内へと進入することができる。スリット82は、バーブ50が通過した後には、アクチュエータメインシャフト46の周囲を再閉塞することができる。代替可能な実施形態においては、バーブ50がスリット82を通して進入する際には、メンブラン72は、変形することができる、あるいは、裂けたり破壊されたりすることができる。これは、例えば、
図10におけるメンブラン72の波形の外観によって、図示されている。
【0051】
シール部材18の開放位置においては、妨害されていない流体経路が、アクチュエータ16を介してカテーテルチューブ14とルアーテーパー30との間において確立されている。これにより、例えば、カテーテルアセンブリ10によって患者に対して流体を供給したり、あるいは、カテーテルアセンブリ10によって患者から血液を抽出したり、することができる。有利には、シール部材18とカテーテルハブ12とは、開放位置においては、シール部材18が軸線方向に圧縮されないような、すなわち、シール部材18がルアーテーパー30とカテーテルハブ12の先端部22との間において軸線方向に圧縮されないような、サイズとされている。この点において、閉塞位置と開放位置との間におけるシール部材18の移動距離d
t は、シール部材18の先端75とカテーテルハブ12の先端キャビティ28との間の距離d
d よりも小さいものであるように、構成されている。例示としての一実施形態においては、d
d は、およそ4.318mm(0.17インチ)とされ、移動距離d
t は、およそ3.302mm(0.163インチ)とすることができる。しかしながら、本発明は、代替可能な実施形態においては、そのような態様に限定されるものではなく、開放位置において、シール部材18が、軸線方向においてわずかに圧縮されることができる。
【0052】
図示の実施形態においては、上述したように、シール部材18は、1回だけ使用されるシールである。この点において、カテーテルハブ12からルアーテーパー30を取り外した後には、シール部材18は、閉塞位置に向けて基端向きに戻り移動するわけではなく、開放位置に留まることとなる。より詳細には、バーブ50は、先端向きにおけるシール部材18の移動を許容するものの、シール部材18の基端向きの移動については阻止する。これにより、図示の実施形態においては、メンブラン72は、バーブ50上へと自動的に戻り移動することはなく、カテーテルチューブ14を使用して確立された流体流通経路を閉塞する。この場合、カテーテルチューブ14は、カテーテルチューブ14と内部キャビティ24との間における、および/または、カテーテルチューブ14とカテーテルハブ12の開放基端20との間における、妨害されていない流体流通経路を提供している。しかしながら、他の実施形態においては、カテーテルアセンブリには、例えばスプリングや弾性部材やベローズといったような機構を設けることができる。これにより、シール部材18を軸線方向基端向きに戻り移動させる駆動力を提供することができ、これにより、シール部材18を再閉塞することができる。そのような複数回使用タイプのシールの例示としての実施形態については、詳細に後述する。しかしながら、
図1,
図2,
図5〜
図10に示す実施形態においては、シール部材18は、1回使用タイプのシールとされ、止血を提供するとともに、開放後には、再閉塞することは意図していない。
【0053】
シール部材18は、全体的にフレキシブルなものとすることができ、例えばシリコーンやポリイソプレンといったような適切な材料から形成することができる。一実施形態においては、シール部材18は、当該技術分野において公知であるような例えば注入モールドプロセスといったような様々なモールドプロセスによって、一体部材として形成することができる。スリット82は、メンブラン72において成形されるわけではなく、モールドプロセス後に形成される。この点において、
図11および
図12に示すように、パンチツールすなわちスリットツール160を使用することができる。これにより、メンブラン72に、トリスリット(3つの切り込み線を有したスリット)82を形成することができる。トリスリットを形成するための従来ツール(図示せず)には、トリスリットの形状に対応した形状を有したフラットな加熱パンチがある。しかしながら、そのようなツールは、弾性材料に対して使用されたときには、多くの場合、穿孔操作時に材料を引き伸ばす。そのため、スリットが形成されるべき材料を裂けさせたり損傷させたりしないように、スリットが形成されるべき材料の下方を直接的に十分に支持しなければならない。
【0054】
そのような欠点を克服するために、スリットツール160は、3つの面を有したピラミッド162から形成された先端部161を有している。ピラミッド162のベース164は、一端166に3つのコーナー165を有している。ピラミッド162は、他端169においては、尖鋭先端168において終端している。これにより、ピラミッド162の3つの発散表面170を形成している。ツール160は、さらに、シャフト172を有している。シャフト172は、全体的に直線状の尖鋭なエッジ173と、これら尖鋭なエッジ173の間に位置した平坦面174と、を有している。ピラミッド162は、シャフト172に対して連結されている。これにより、エッジ173は、ベース164のそれぞれのコーナー165に対して全体的に軸線方向において位置合わせされている。
図12に示すように、トリスリット82を形成するために、成形されたシール部材18は、内部にシール部材18を受領し得るようなサイズとされた穴182を有した固定器具180内に配置することができる。穴182は、固定器具180内にシール部材18の先端75を係合させ得るよう構成された底壁184を有している。ツール160は、シール部材18の穴92の基端開口94を通して、挿入されている。これにより、メンブラン72の基端表面79に対して、尖鋭先端168を係合させることができる。ツール160の挿入が継続されると、尖鋭先端168および発散表面170は、シール部材18を少なくとも部分的にカットし、これにより、所望のトリスリット構成が得られるまで、スリット82の長さを漸次的に増大させる。
【0055】
代替可能な実施形態においては、
図11Aおよび
図11Bに示すように、シール部材18を、固定器具180内において反転させることができる。これにより、シール部材18の基端77が、底壁184に対して係合し、ツール160が、シール出口穴86およびアクチュエータキャビティ88を通して挿入される。これにより、メンブラン72の先端面80に対して係合することができる。この向きにおいてシール部材18にスリット82を形成する場合には、拡径ツール186を、シール出口穴86のサイズを増大させるために、設けることができる。これにより、シール部材18に対して接触することなくまたシール部材18を損傷させることなく、シール出口穴86を通してスリットツール160を挿通させることができる。この点において、拡径ツール186は、環状フランジ188と、3つのタブ190と、を備えている。3つのタブ190は、先端向きに延出されており、スリットツール186のピラミッド162およびシャフト172の3つの面に対応した三角構成で配置されている。タブ190の外表面192は、タブ190の先端における薄肉部分194と、薄肉部分194から基端向きに延在する厚肉部分196と、を有した形状とされている。厚肉部分196に対しては、薄肉部分194が円滑に移行している(例えば、テーパー)。タブ190は、タブ190の薄肉部分194がシール出口穴86の形状内へと適合し得るような、寸法とされている。しかしながら、
図11Bに示すように、拡径ツール186が固定器具180に向けて移動する際には、タブ190の外表面192の外面形状は、シール出口穴86を、タブ190の三角構成の周縁まわりにおいて外側に拡径させる。これにより、シール出口穴86のサイズを増大させる。固定器具180は、環状の切欠198を有することができる。この切欠198は、拡径ツール186が内部に挿入される際に、シール部材18の拡径された部分を収容することができる。固定器具180に向けての拡径ツール186の先端向き移動は、フランジ188が固定器具180の基端199に対して係合することによって、停止させることができる。シール出口穴86のサイズを増大させるようにして拡径ツール186が挿入された状態においては、スリットツール160は、拡径ツール186およびシール出口穴86を挿通させることができる。
これにより、シール部材18に対して接触させることなくまたシール部材18を損傷させることなく、メンブラン72内にスリット82を形成することができる。
【0056】
固定器具180内におけるシール部材18の向きにかかわらず、メンブラン72は、直接的に支持される必要はない。しかしながら、必要であれば、メンブラン72の直下に配置することができる。ツール160のこの構成は、きれいな形状のスリット82をもたらすことができ、スリット形成プロセス時におけるシール部材18の損傷リスクを低減することができる。
【0057】
カテーテルアセンブリ10は、以下のようにして組み立てることができる。アクチュエータ16は、カテーテルハブ12の基端開口21を通して挿入することができる。これにより、先端側のアイレット部分48または48aが、カテーテルハブ12の先端キャビティ28内において、カテーテルチューブ14の基端部34を捕捉する。これに代えて、カテーテルチューブ14の基端部34は、アクチュエータ16,16aのアイレット部分48,48aに対して連結することができ、このようにして形成された基端部34とアイレット部分48,48aとからなるサブアセンブリを、カテーテルハブ12の基端開口21を通して挿入することができる。これにより、カテーテルチューブ14の基端部34を、先端キャビティ28内に捕捉することができる。いずれの実施形態においても、アクチュエータ16,16aは、カテーテルハブ12の先端部22から基端向きに突出して、内部キャビティ24内に位置することとなる。上述した方法によって形成し得るシール部材18内を、ニードルカニューレ40が挿通する。一実施形態においては、ニードルカニューレ40の尖鋭先端43は、メンブラン72のスリット82を通して単に挿入することができる。シール部材18は、ニードルシャフト41上に位置している。代替可能な実施形態においては、ニードルカニューレ40は、メンブラン72に対しての潜在的な損傷を低減させた態様で、メンブラン72を通して延在させることができる。この目的のために、まず最初に、小さなチューブ(図示せず)を、スリット82を通して挿入することができる。小さなチューブは、全体的に円滑で(例えば、尖鋭なエッジが存在しない、バリが存在しない、等)比較的ソフトなものとして構成することができ、適切なプラスチック材料から形成することができる。スリット82を通してチューブを位置決めした後には、ニードルカニューレ40は、チューブを通して挿入することができる。これにより、尖鋭先端43は、ニードルカニューレ40をスリット82を通して延在させる際に、メンブラン72に対して直接的に係合することができない。その後、チューブは、スリット82からニードルカニューレ40上へと引っ張られ、例えばニードルカニューレ40の尖鋭先端43上へと引っ張られる。これにより、スリット82とニードルシャフト41とを係合させるこ
とができる。このようにして、チューブは、スリット82を通してのニードルカニューレ40の挿入時には、メンブラン72とニードルカニューレ40との間のバリアとして機能する。これにより、組立時における損傷の傾向を回避または低減させることができる。
【0058】
ニードルシャフト40上への配置後には、シール部材18は、ノーズ42上にスライド的に位置決めすることができる。その場合、シール部材18の基端部76内の穴92内に受領される先端形状は、スリップ適合されている。スリップ適合は、係合をもたらすためのジャストフィットなものから、ノーズ42上にシール部材18を摩擦的に保持するものまで、とすることができる。ノーズ42の先端形状95は、穴92内に挿入することができ、最終的には、シール部材18の基端77は、ノーズ形状42a,95の交差箇所における環状ショルダ190に対して当接することとなる。これが起こったときには、ノーズ42の先端形状95は、メンブラン72の基端面79に対して係合することができる、あるいは、メンブラン72の基端面79からわずかに離間することができる。代替可能な実施形態においては、先端形状95は、穴92内に挿入することができる。最終的には、ノーズの先端96が、メンブラン72の基端面79に対して当接することとなる。これが起こったときには、シール部材18の基端77は、環状ショルダー190からわずかに離間することができる。ニードルカニューレ40を退避させ得ること、および、上述したように、ニードルカニューレ40をシール部材18に配置する前に、シール部材18をノーズ42上に配置し得ることは、容易に理解されるであろう。
【0059】
シール部材18がノーズ42上に配置され、さらに、ニードルカニューレ40がノーズよりも先端側に延在した後には、カテーテルアセンブリ10を、シール部材18がカテーテルハブ12内に配置されているようにして、ノーズ42上に導入することができる。この点において、カテーテルアセンブリ10とノーズ42とが一緒に移動する際には、シール出口穴86が、バーブ50に対して当接し、シールリップ87が、外側に撓む(シールリップ87と、フランジ56の円錐台形表面57と、の間のカム的係合に基づき)。これにより、バーブ50は、シール出口穴86を通してアクチュエータキャビティ88内へと進入することができる。シール出口穴86がバーブ50を超えて移動したときには、シールリップ87は、シール部材18の弾性に基づいて径方向内向きに弾性復帰し、バーブ50よりも先端側においてアクチュエータ16の外表面47に対して係合し、これにより、外表面に沿っての流体密封シールを形成する。
【0060】
カテーテルアセンブリ10およびノーズ42は、一緒になってさらに移動することができる。最終的には、キャップ44が、カテーテルハブ12の基端表面110に対して当接する。このような移動時には、シール出口穴86のシールリップ87は、アクチュエータ16の外表面47に沿ってスライドし、外表面47に沿っての流体密封シールを維持する。キャップ44とカテーテルハブ12とが係合したときには、シール部材18は、待機位置において、カテーテルハブ12内においてアクチュエータ16上に適切に着座し得るよう構成されている。この待機位置においては、バーブ50は、アクチュエータキャビティ88の縮径部分89に対して係合することができる。これにより、アクチュエータ16に対してのシール部材18のさらなる先端移動に対して、ある程度の抵抗性を付与することができる。組立時には、この抵抗は、シール部材18がアクチュエータ16上に完全に着座するという明確な兆候をもたらすことができる。
【0061】
上述したように、代替可能な実施形態においては、カテーテルアセンブリのシール部材は、一回使用タイプのシールではなく、複数回使用タイプのシールとして構成することができる。この場合、駆動力によって、シール部材を基端向きに移動させることができ、これにより、シール部材を再閉塞して、オス型ルアーテーパーがカテーテルハブから取り外されたときに、止血を再確立することができる。この点において、
図13は、例示としての複数回使用タイプのシール部材200を示している。
図13においては、
図1〜
図12と同様の部材には、同じ参照符号が付されている。シール部材200は、基端部202を備えている。基端部202は、
図5〜
図7におけるシール部材18における基端部と実質的に同様であり、詳細に上述したとおりである。例えば、基端部202は、シール部材18の細部を備えることができ、なおかつ、長手方向において(すなわち、基端先端方向において)短縮することができる。これにより、戻り駆動力をもたらす機構を、カテーテルハブ内に設けることができる。したがって、基端部202の詳細については、これ以上の説明を省略する。しかしながら、上記の実施形態とは異なり、シール部材200は、基端部202から先端向きに延在する付勢部材204を備えている。図示の実施形態においては、付勢部材204は、全体的に薄肉とされた周縁的に連続したチューブ状の延出部材206を備えることができる。延出部材206は、開口した通路208を形成しているとともに、基端部202と一体的に形成されている。これにより、シール部材200は、一体部材を形成している。上記の実施形態と同様に、シール部材200は、全体的にフレキシブルなものとすることができ、例えばシリコーンやポリイソプレンといったような適切な材料から形成することができる。これに加えて、シール部材200は、当該技術分野において公知であるような例えば注入モールドプロセスといったような様々なモールドプロセスによって、形成することができる。
【0062】
当業者であれば容易に理解されるように、使用時には、シール部材200は、上述したシール部材18と同様に動作する。したがって、動作上の相違点についてのみ、詳細に説明する。この点において、一次的な相違点は、オス型ルアーテーパー30によるシール部材200の駆動である。
図14および
図15に示すように、シール部材200は、軸線方向にスライド可能であるように、構成することができる。これにより、シール部材200を、開放位置に向けて、アクチュエータ16のメインシャフト46に沿って軸線方向にスライドさせることができる。このスライドは、カテーテルハブ12の基端20を通してのこの基端20内へのオス型ルアーテーパー30の挿入によって、行われる。これにより、ルアーテーパー30の自由端すなわち先端120は、シール部材200の基端表面77を衝撃し、シール部材200を、シール部材200を所定位置に保持している摩擦力に打ち勝つに十分な力によって、先端向きに押し込むことができる。上記と同様に、オス型ルアーテーパー30は、カテーテルハブイヤー112に対して螺着的に係合し得るよう構成されたルアーロックカラーまたはルアーロックナット122と協働することができる。これにより、ルアーテーパー30を基端77に向けて推進することができる。これにより、ルアーテーパー30は、所定距離の分だけ基端77に対して押し付けることができる。これにより、シール部材200を軸線方向にスライドさせることができ、アクチュエータバーブ50上へとメンブラン72を駆動することができ、シール部材を、開放状態とすることができる。
【0063】
シール部材200がカテーテルハブ12内において軸線方向にスライドする際には、アクチュエータ16の基端自由端51は、メンブラン72の基端面80に対して接触し、スリット82を貫通し始める。これにより、スリット82によって形成されたフラップ84は、基端向きに押し広げられ、バーブ50に沿ってスライドする、例えば、バーブ50の円錐台形表面57に沿ってスライドする。これにより、スリット82を漸次的に開放する。ルアーテーパー30の先端向き挿入をさらに継続すると、シール部材200は、さらに軸線方向に前進し、最終的には、ルアーテーパー30は、内部キャビティ24内へと完全に延出される。この場合、シール部材200は、先端キャビティ28に向けて移動しており、これにより、
図15に示すように、シール部材200の開放位置が達成される。この実施形態においては、メンブラン72は、十分に弾性的なものである。これにより、バーブ50は、メンブラン72を裂けさせたり破壊したりすることなく、スリット82を貫通することができる。スリット82は、バーブ50がスリット82を通過した後には、アクチュエータのメインシャフト46の周縁まわりを閉塞することができる。
【0064】
シール部材200がカテーテルハブ12内において軸線方向にスライドする前にはあるいはそのようなスライド時には、チューブ状延出部材206の先端210は、先端キャビティ28の近傍において、カテーテルハブ12の内壁25に対して当接する。これにより、チューブ状延出部材206は、シール部材200のさらなる先端向きスライドによって、押圧され始める。シール部材200が開放位置とされたときには、チューブ状延出部材206は、押圧状態とされ、復元力を生成し得るよう構成されている。この復元力は、シール部材200を、閉塞位置に向けて基端向きに押し戻すように、付勢する。この点において、チューブ状延出部材206は、チューブ状延出部材206の押圧が圧縮とは逆向きの復元力を生成するという点において、コイルスプリングと同様に動作する。しかしながら、閉塞位置に向けてのシール部材200のそのような基端向き戻り移動は、カテーテルハブ12に対してのルアーテーパー30の存在によって、阻止されている。上記の実施形態と同様に、シール部材200の開放位置においては、妨害されていない流体経路が、アクチュエータ16を介してカテーテルチューブ14とルアーテーパー30との間において確立されている。これにより、例えば、カテーテルアセンブリによって患者に対して流体を供給したり、あるいは、カテーテルアセンブリによって患者から血液を抽出したり、することができる。
【0065】
この実施形態においては、シール部材200は、複数回使用タイプのシールとして構成されており、したがって、開放位置から再閉塞位置へと戻り移動し得るように構成されている。この点において、オス型ルアーテーパー30がカテーテルハブ12から取り外されたときには、チューブ状延出部材206の圧縮によって生成された付勢力は、シール部材200を、基端向きにスライドさせる。この目的のために、チューブ状延出部材206によって提供された付勢力は、シール部材200とアクチュエータ16との間の摩擦力と、シール部材200とカテーテルハブ12の内壁25との間の摩擦力と、に打ち勝ち得るに十分なものである。より詳細には、シール部材200が付勢力に基づいて基端向きに駆動される際には、バーブ50の先端212は、メンブラン72の基端面79に対して当接する。これにより、スリット82によって形成されたフラップ84が、先端向きに押し広げられ、これにより、バーブ50は、スリット82を通過して、戻り移動することができる。
【0066】
バーブ50がメンブラン72から取り外された後には、スリット82は、メンブラン72を形成する材料の弾性に基づいて(すなわち、スリット82は、通常閉である)、閉塞される。スリット82の閉塞は、メンブラン72を通してのアクチュエータキャビティ88からの血液流出を実質的に防止する。有利には、スリット82は、実質的に閉塞される。これにより、スリット82を通してすなわちメンブラン72を通して、実質的に血液が漏出することがない。上述したように、メンブラン72のスリット82を通しての漏出がいくらか存在したとしても、漏出血液量は最小であり、止血が十分に再確立される。したがって、シール部材200のアクチュエータキャビティ88内へと血液が流入したとしても、アクチュエータキャビティ88は、先端側においてはシールリップ87とアクチュエータ表面47との間の係合によって、および、基端側においてはメンブラン72の閉塞されたスリット82によって、実質的に流体絶縁(例えば、シール)される。これにより、メンブラン72を超えて、血液は流通することができない。当然のことながら、シール部材200は、上述した態様でもって、開放位置に向けて、軸線方向に移動することができる。付勢部材204により、シール部材200は、開放位置と閉塞位置との間にわたって繰り返し的に反復移動され得るように構成されている。これにより、複数回使用タイプの構成を提供することができる。
【0067】
図16は、代替可能な実施形態による複数回使用タイプのシール部材220を示している。シール部材200と同様に、シール部材220は、
図5〜
図7に図示して詳細に上述したシール部材18の場合と実質的に同様の、基端部222を備えている。同様に、基端部222は、シール部材18の細部を備えることができる。しかしながら、基端部222は、長手方向において短縮することができる。これにより、復帰駆動力を提供するための機構を、カテーテルハブ内に設けることができる。したがって、基端部222の詳細についてのこれ以上の説明は、省略する。これに加えて、シール部材220は、基端部222から先端向きに延在する付勢部材204を備えている。図示の実施形態においては、付勢部材204は、全体的に対向する一対の薄肉脚224を備えることができる。脚224は、基端部222に対して一体的に形成される。これにより、シール部材220は、一体部材を形成する。一実施形態においては、例えば、脚224は、全体的に円弧形状のものとすることができ、一定の曲率半径のチューブ状セグメントの形態とすることができる。図示の実施形態においては、そのような2つの脚が例示されているけれども、シール部材220が、シール部材220を基端向きに戻り移動させる駆動力を生成してシール部材220を再閉塞させるための、より少数のあるいは追加的な脚224を備え得ることは、理解されるであろう。シール部材220を備えたカテーテルアセンブリの動作については、当業者であれば容易に理解されるであろう。よって、そのような動作については、詳細な説明を省略する。しかしながら、脚224どうしの間の間隔またはギャップ226は、グルーブ104と協働することができ、これにより、シール部材220の駆動時に、エア逃避経路を提供し得ることに注意されたい。
【0068】
図14に示す実施形態においては、シール部材200が閉塞位置とされたときには、付勢部材204は、圧縮を受けない。これにより、付勢部材204に基づく基端向きの付勢力は、シール部材200には印加されない。代替可能な実施形態においては、
図17に示すように、シール部材230は、シール部材230が閉塞位置とされたときに付勢部材204が部分的に圧縮され得るように、構成されている。したがって、基端向きの付勢力を提供することができる。
図17においては、
図14と同様の特徴点には、同様の符号が付されている。このような部分的な圧縮は、シール部材230が開放位置から閉塞位置に向けて移動する際にバーブ50がメンブラン72を通して戻り移動する時に、シール部材230に対して印加される力を効果的に増大させる。
【0069】
一実施形態においては、付勢部材204の部分的圧縮は、
図14に示す長さと比較して付勢部材204の長さをより増大させることにより、得ることができる。例えば、一実施形態においては、シール部材230は、シール部材200と実質的に同一のものとすることができる。しかしながら、チューブ状延出部材206の長さが増大されている点においては相違している。これに代えて、シール部材(図示せず)は、シール部材200と実質的に同一のものとすることができ、なおかつ、脚224に関しては、長さを増大させることができる。閉塞位置において付勢部材204を部分的に圧縮された状態に維持するために、シール部材230の基端向き移動は、アクチュエータ16のバーブ50とアクチュエータキャビティ88との間の係合によって、抵抗される。より詳細には、バーブ50は、シール部材230のシール出口穴86よりも大きなものとされている。これにより、シール部材230の基端向き移動は、バーブ50がアクチュエータキャビティ88の先端壁232に対して当接することにより、阻止される。付勢部材204が部分的に圧縮されている点が相違しているけれども、当業者であれば、シール部材230を備えたカテーテルアセンブリの動作が上記と同様であること、したがって、そのような動作に関してのより詳細な説明が不要であることは、理解されるであろう。
【0070】
先の実施形態においては、アクチュエータ16の基端自由端51は、バーブ50を備えている。バーブ50は、アクチュエータ16上におけるシール部材のシールをもたらすものであり、また、シール部材がカテーテルハブ12から基端向きに引き抜かれてしまうことを防止する。そのような引き抜きは、例えば、ニードルカニューレ40の引き抜き時や、カテーテルハブ12からのノーズ42の引き抜き時に、起こりかねない。しかしながら、バーブ50は、複数回使用タイプの実施形態においては、開放位置から閉塞位置へのシール部材の自由移動に対して抵抗を示す。代替可能な実施形態においては、バーブ50は、アクチュエータの基端自由端51から省略することができる。これにより、開放位置と閉塞位置との間にわたってのシール部材の移動に関する抵抗を小さくすることができる。したがって、シール部材とカテーテルハブとは、代替的な態様で協働し、使用時にシール部材を内部に保持することができる。
【0071】
この点において、
図18および
図19に示すように、代替可能な実施形態による複数回使用タイプのシール部材240は、基端部242を備えている。基端部242は、
図5〜
図7におけるシール部材18における基端部と実質的に同様であり、詳細に上述したとおりである。
図18および
図19においては、先の実施形態と同様の特徴点には、同様の符号が付されている。したがって、基端部242の詳細については、これ以上の説明を省略する。これに加えて、シール部材240は、付勢部材204を備えている。付勢部材204は、基端部242から先端向きに延在しており、基端部242と一緒に一体的に形成されている。これにより、シール部材240は、一体部材を形成している。図示の実施形態においては、付勢部材204は、基端チューブ状延出部分244と、付勢部材204の先端210から基端向きに延出された一対の対向スロット252によって規定された脚248を有した先端分離チューブ状部分246と、を備えている。この図示された実施形態においては、スロット252は、付勢部材204の長さの一部だけに沿って延在しているけれども、代替可能な実施形態においては、スロット252は、付勢部材204の全長さにわたって延在することができる。これにより、付勢部材204は、シール部材220の脚224と同様のものとすることができる。さらなる代替可能な実施形態においては、スロット252を省略することができ、これにより、付勢部材は、シール部材200のチューブ状延出部材206と同様のものとすることができる。
【0072】
これらの実施形態においては、付勢部材204の先端210は、脚248の各々に、径方向外向きのフランジ254を備えている。フランジ254は、基端を向いたリッジすなわちショルダ256を規定する。
図19に示すように、フランジ254は、カテーテルハブ12の内壁25に形成された環状グルーブ258に対して協働し得るよう構成されている。シール部材240がカテーテルハブ12内において適切に配置されたときには、各脚248上のフランジ254は、環状グルーブ258内に配置し得るよう構成されている、あるいは、環状グルーブ258に対して係合し得るよう構成されている。これにより、カテーテルハブ12内にシール部材240を保持することができる。例えば、一実施形態においては、脚248を、環状グルーブ258に対して係合し得るように、径方向外向きに付勢することができる(例えば、ダックビルのように)。フランジ254と環状グルーブ258との間において生成される保持力は、例えばカテーテルアセンブリ10からのニードルカニューレ40の引き抜き時やあるいはカテーテルハブ12からのノーズ42の引き抜き時に、シール部材240に対して印加される基端向き駆動力よりも大きいものとされている。したがって、シール部材240は、使用時には、カテーテルハブ12内において所定位置に留まる。
【0073】
当業者であれば、
図18および
図19に示す付勢部材204が、
図15に示すシール部材200の場合と同様に、カテーテルハブ12に対してのオス型ルアーテーパー30の挿入時には、圧縮されることとなることは、理解されるであろう。当業者であれば、また、付勢部材204の圧縮が、復帰付勢力を生成し、これにより、オス型ルアーテーパー30がカテーテルハブ12から取り外される際には、シール部材240は、開放位置から閉塞位置に向けて軸線方向にスライドし、これにより、止血が再確立されることは、理解されるであろう。アクチュエータ16上にバーブ50がなければ、閉塞位置に向けてシール部材240を復帰させるために要求された力が低減するものと予想される。シール部材240は、アクチュエータ16上のバーブ50が省略された場合に使用され得るけれども、バーブ50は、フランジ254および環状グルーブ258と組み合わせて使用し得ることは、理解されるであろう。また、そのような代替可能な実施形態においては、付勢部材204を、
図17に示すのと同様に、部分的に圧縮され得ることは、理解されるであろう。
【0074】
本発明につき、本発明のいくつかの実施形態について説明したけれども、また、いくつかの実施形態について詳細に説明したけれども、本発明の特許請求の範囲を、それら詳細へと限定することは、意図されていない。追加的な利点や変更は、当業者には明らかであろう。例えば、いくつかの応用においては、カテーテルハブ12内におけるシール部材18の固定を増強することが望ましいこともある。それは、例えば、保持機構を使用して行うことができる。保持機構は、カテーテルハブの内壁25に設けられた径方向内向きの環状リブ(図示せず)という態様とすることができる。そのような環状リブは、閉塞位置においては、シール部材18の対応する環状グルーブ(図示せず)に対して係合する。しかしながら、オス型ルアーテーパー30が、カテーテルハブ12内に挿入されたときには、上述したように、この係合は、開放位置に向けてシール部材18を軸線方向にスライドさせる力に打ち勝つことができる。さらに、代替可能な様々な組立プロセスを使用することができる。そのような代替可能な組立プロセスの一例は、カテーテルハブ12内へとシール部材18を挿入するために、ノーズ42と同様の形状を有したツール(図示せず)を使用することである。ツールが、カテーテルハブ12内にシール部材18を配置した後には、そのツールを取り外すことができる。他の例においては、スリット82を、メンブラン72内に、カットによって予形成し得るけれども、メンブラン72は、スリットが予形成されていないものとすることもできる。その場合には、組立時に、ニードルカニューレ40の尖鋭先端43によって穿孔を形成することができる。ニードルカニューレ40がメンブラン72から引き抜かれたときには、穿孔によって形成された穴(図示せず)は、メンブラン72の弾性に基づいて再閉塞することができる。これにより、止血をもたらすことができる。しかしながら、穴が完全に閉塞しなかったとしても、穴は、メンブランを通しての血液流通を十分に制限することができる。これにより、例えば、通常使用時には、最少量の血液しか、メンブラン72を通過することがない。シール部材18を駆動するのに必要な力の程度を、わずかに大きなものとし得ること、および、シール部材18が開放位置に向けて移動した際には、メンブラン72の恒久的な変形または損傷を引き起こし得る
ことは、理解されるであろう。シール部材が、ここでは有利であるように、1回使用タイプのシールである場合には、そのような変形または損傷は、問題とはならない。さらに、シール部材18は、図示の例示としての一実施形態においては、一体部材として説明されているけれども、代替可能な実施形態においては、シール部材は、複数の部材からなる構成を有することができる。例えば、シール部材は、弾性的なシール部分に対して連結された剛直な保持部材分を備えることができる。剛直な保持部材分は、全体的に円筒形のものとすることができて穴92のようなノーズ受領穴を備えているという点において、上述したシール部材18の基端部76と同様のものとすることができる。弾性シール部分は、上述したシール部材18のメンブラン72および先端部74と同様のものとすることができる。弾性シール部分は、保持部分の先端に対して連結することができ、保持部分と合わせて、上記のシール部材18と同様の形状を有することができる。剛直な保持部材分は、オス型ルアーテーパー30からの衝撃によって印加された応力および力を受領し得るよう構成されている。一方、弾性シール部分は、止血機能をもたらし得るよう構成されており、駆動時にはメンブラン72を通してアクチュエータ16のバーブ50を通過させ得るよう構成されている。したがって、本発明は、広義の見地においては、図示されて上述された特定の細部や装置や方法や実施例に限定されるものではない。したがって、本発明の一般的概念の精神または範囲を逸脱することなく、そのような細部に対して変更を行うことができる。