【文献】
山下史洋、小林理、堀川浩二、風間宏志,衛星搭載用帯域幅可変ディジタルFFTフィルタバンクの検討,電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集 1999年.通信ソサイエティ大会(講演論文集1),1999年 8月16日,p.179
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各サブフィルタのフィルタ係数は、タップ数が奇数のときには偶数番目のタップにおいて符号を反転させ、タップ数が偶数のときには奇数番目のタップにおいて符号を反転させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のチャネライザ。
多チャンネルの信号が周波数多重された入力信号を、N個のサブチャンネルに分波し、所望のサブチャンネルを選択し、必要に応じた帯域幅分のサブチャンネルを、それぞれのサブチャンネルの遷移域が重複して通過帯域が重ならないように交互に配置される周波数特性を有するよう周波数シフトし、合成して所望の帯域幅のチャンネル信号を生成する信号処理方法であって、
サンプリングレートFsで規定される前記入力信号をN個のサブチャンネルに分波し、Fs/Nのサンプリングレートで出力する、第1及び第2系統の分波処理と、
前記第1及び第2系統の分波処理に対応し、前記第1及び第2系統の各分波処理で出力されるサブチャンネルから所望のサブチャンネルを選択出力するか、または0(null)データを出力する、第1及び第2系統のスイッチ処理と、
前記第1及び第2系統のスイッチ処理に対応し、前記第1及び第2系統の各スイッチ処理で出力されるサブチャンネルのうちM個のサブチャンネルを、それぞれのサブチャンネルの遷移域が重複して通過帯域が重ならないように交互に配置される周波数特性を有するよう合波し、前記サンプリングレートFsとは異なるサンプリングレートM×Fs/Nにて出力する、互いに複数の第1及び第2系統の合波処理と、
前記第1及び第2系統の複数の互いに対応し合う各合波処理で出力される合波信号を加算して合成する複数の合成処理と、を含み、
前記入力信号から、特定のチャンネルの信号を、そのチャンネルの帯域幅で抜き出し、
前記第1及び第2系統の分波処理のためにそれぞれ、前記入力信号及び該入力信号をサンプリングレートFsで1クロック分ずつ遅延させた信号が順に入力される、互いに並列のN個のサブフィルタが備えられ、これらN個のサブフィルタのフィルタ係数算出に際し、インパルス応答長を実際のインパルス応答長NK(Kはタップ数)ではなくNK+1として算出の上、算出されたNK+1個の値のうちNK個を使用し、
前記第1及び第2系統の各組の合波処理のためにそれぞれ、互いに並列のM個のサブフィルタが備えられ、これらM個のサブフィルタのフィルタ係数算出に際し、インパルス応答長を実際のインパルス応答長MKではなくMK-1として算出の上、算出されたMK-1個の値に0を1個加えてMK個の係数とすることにより、
前記第1及び第2系統の複数の互いに対応し合う各合波処理で出力される出力の位相特性を前記合成処理の入力時点で近似的に一致させることを特徴とする信号処理方法。
前記各サブフィルタのフィルタ係数は、タップ数が奇数のときには偶数番目のタップにおいて符号を反転させ、タップ数が偶数のときには奇数番目のタップにおいて符号を反転させることを特徴とする請求項5に記載の信号処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[実施例]
(構成)
図1は、本発明の一実施例としてのチャネライザを示した図である。
【0029】
図1において、111は、サンプリングレートFsで規定される入力信号をX
10〜X
1(N-1)のN個(Nは正の整数)のサブチャンネルに分波し、Fs/Nのサンプリングレートで出力する第1系統分波回路(第1系統の分波手段)、112は、X
10〜X
1(N-1)のN個のサブチャンネル信号から任意のサブチャンネルをX
110〜X
1L(M-1)(L、Mは正の整数)の所望の端子から選択出力する第1系統スイッチ回路(第1系統のスイッチ手段)、113_1〜113_Lは、必要な帯域になるように第1系統スイッチ回路112で選択出力されたM個のサブチャンネルを合波し、入力信号のサンプリングレート(Fs)とは異なるサンプリングレート(M×Fs/N)にて出力する第1系統合波回路(第1系統の合波手段)である。例えば、113_1は第1系統の2合波回路、113_2は第1系統の4合波回路、・・・、113_Lは第1系統のM合波回路となる。
【0030】
121は、入力信号をX
20〜X
2(N-1)のN個のサブチャンネルに分波し、Fs/Nのサンプリングレートで出力する第2系統分波回路(第2系統の分波手段)、122は、X
20〜X
2(N-1)のN個のサブチャンネル信号から任意のサブチャンネルをX
210〜X
2L(M-1)の所望の端子から選択出力するとともに所望の端子から0(nullデータ)を出力する第2系統スイッチ回路(第2系統のスイッチ手段)、123_1〜123_Lは、必要な帯域になるように第2系統スイッチ回路122で選択出力されたM個のサブチャンネルを合波し、入力信号のサンプリングレート(Fs)とは異なるサンプリングレート(M×Fs/N)にて出力する第2系統合波回路(第2系統の合波手段)である。例えば、123_1は第2系統の2合波回路、123_2は第2系統の4合波回路、・・・、123_Lは第2系統のM合波回路となる。
【0031】
14_1〜14_Lは、それぞれ必要な帯域幅に合波された第1系統合波信号と第2系統合波信号を合成し所望のチャンネル信号(合成出力チャンネル1(帯域:2×Fs/N)〜合成出力チャンネルL(帯域:M×Fs/N))を生成する合成回路(合成手段)である。
【0032】
図2は、第1系統分波回路111のタップ数Kが奇数の場合の構成を詳細に示すブロック図である。
図2において、21_1〜21_(N-1)は入力信号のサンプリング周波数(Fs)で1クロック分ずつ遅延させる遅延回路で、(N-1)個ある。22_1〜22_NはサブフィルタH
0,1〜H
N-1,1で、サブチャンネルの個数分ある。遅延回路21_(N-1)〜21_1で遅延された信号は、順にサブフィルタ22_(N-1)(図示省略)〜22_1に入力される。サブフィルタH
0,122_1内において、22_1_11〜22_1_1(K-1)はそれぞれ(Fs/N)の周波数で1クロック分遅延させる遅延回路であり、22_1_21〜22_1_2Kはそれぞれタップごとに信号とフィルタ係数(h
0〜h
(K-1)N)を乗算する乗算回路であり、22_1_32〜22_1_3Kはそれぞれ各タップの出力を加算する加算回路である。
【0033】
同様に、サブフィルタH
N-1,122_N内において、22_N_11〜22_N_1(K-1)はそれぞれ(Fs/N)の周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、22_N_21〜22_N_2Kはそれぞれタップごとに信号とフィルタ係数(h
N-1〜h
KN-1)を乗算する乗算回路、22_N_32〜22_N_3Kはそれぞれ各タップの出力を加算する加算回路である。
【0034】
尚、乗算回路22_1_21〜22_N_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長NKではなくNK+1として算出の上、算出されたh(0)〜h(NK)のNK+1個の値のうち、h(0)〜h(NK-1)のNK個を使用し、さらに偶数番目のタップにおいて符号を反転させる。
【0035】
具体的には、乗算回路22_1_21〜22_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
22_1_21 : h
0
22_1_22 : -h
N
22_1_23 : h
2N
22_1_24 : -h
3N
22_1_25 : h
4N
:
22_1_2K : h
(K-1)N
【0036】
同様に、乗算回路22_N_21〜22_N_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
22_N_21 : h
N-1
22_N_22 : -h
2N-1
22_N_23 : h
3N-1
22_N_24 : -h
4N-1
22_N_25 : h
5N-1
:
22_N_2K : h
KN-1
【0037】
図2において、23_1〜23_Nはサブフィルタ22_1〜22_Nの出力ごとに係数W
-0〜W
-(N-1)/2を乗算する乗算回路、24は乗算回路23_1〜23_Nの出力をフーリエ変換し、第1系統の各サブチャンネルの信号X
10〜X
1(N-1)を出力するFFT回路である。
【0038】
図3は、第1系統分波回路111のタップ数Kが偶数の場合の構成を詳細に示すブロック図である。
図3において、31_1〜31_(N-1)は入力信号のサンプリング周波数(Fs)で1クロック分ずつ遅延させる遅延回路で、(N-1)個ある。32_1〜32_NはサブフィルタH
0,1〜H
N-1,1で、サブチャンネルの個数分ある。遅延回路31_(N-1)〜31_1で遅延された信号は、順にサブフィルタ32_(N-1)(図示省略)〜32_1に入力される。サブフィルタH
0,132_1内において、32_1_11〜32_1_1(K-1)はそれぞれFs/Nの周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、32_1_21〜32_1_2Kはそれぞれタップごとに信号とフィルタ係数(-h
0〜h
(K-1)N)を乗算する乗算回路、32_1_32〜32_1_3Kはそれぞれ各タップの出力を加算する加算回路である。
【0039】
同様に、サブフィルタH
N-1,132_N内において、32_N_11〜32_N_1(K-1)はそれぞれFs/Nの周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、32_N_21〜32_N_2Kはそれぞれタップごとに信号とフィルタ係数(-h
N-1〜h
KN-1)を乗算する乗算回路、32_N_32〜32_N_3Kはそれぞれ各タップの出力を加算する加算回路である。
【0040】
尚、乗算回路32_1_21〜32_N_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長NKではなくNK+1として算出の上、算出されたh(0)〜h(NK)のNK+1個の値のうち、h(0)〜h(NK-1)のNK個を使用し、さらに奇数番目のタップにおいて符号を反転させる。
【0041】
具体的には、乗算回路32_1_21〜32_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
32_1_21 : -h
0
32_1_22 : h
N
32_1_23 : -h
2N
32_1_24 : h
3N
32_1_25 : -h
4N
:
32_1_2K : h
(K-1)N
【0042】
同様に、乗算回路32_N_21〜32_N_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
32_N_21 : -h
N-1
32_N_22 : h
2N-1
32_N_23 : -h
3N-1
32_N_24 : h
4N-1
32_N_25 : -h
5N-1
:
32_N_2K : h
KN-1
【0043】
図3において、33_1〜33_Nはサブフィルタ32_1〜32_Nの出力ごとに係数W
-0〜W
-(N-1)/2を乗算する乗算回路、34は乗算回路33_1〜33_Nの出力をフーリエ変換し、第1系統の各サブチャンネルの信号X
10〜X
1(N-1)を出力するFFT回路である。
【0044】
図6は、
図1に示された第2系統分波回路121の構成を詳細に示すブロック図である。
図6において、61_1〜61_Nは入力信号のサンプリング周波数(Fs)で1クロック分ずつ遅延させる遅延回路で、(N-1)個ある。62_1〜62_NはサブフィルタH
0,2〜H
N-1,2で、サブチャンネルの個数分ある。遅延回路61_(N-1)〜61_1で遅延された信号は、順にサブフィルタ62_(N-1)(図示省略)〜62_1に入力される。サブフィルタH
0,2 62_1内において、62_1_11〜62_1_1(K-1)はFs/Nの周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、62_1_21〜62_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(h
0〜h
(K-1)N)を乗算する乗算回路、62_1_32〜62_1_3Kは各タップの出力を加算する加算回路である。
【0045】
同様に、サブフィルタH
N-1,2 62_N内において、62_N_11〜62_N_1(K-1)はFs/Nの周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、62_N_21〜62_N_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(h
N-1〜h
KN-1)を乗算する乗算回路、62_N_32〜62_N_3Kは各タップの出力を加算する加算回路である。
【0046】
尚、乗算回路62_1_21〜62_N_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長NKではなくNK+1として算出の上、算出されたh(0)〜h(NK)のNK+1個の値のうち、h(0)〜h(NK-1)のNK個を使用する。
【0047】
具体的には、乗算回路62_1_21〜62_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
62_1_21 : h
0
62_1_22 : h
N
62_1_23 : h
2N
62_1_24 : h
3N
62_1_25 : h
4N
:
62_1_2K : h
(K-1)N
【0048】
同様に、乗算回路62_N_21〜62_N_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
62_N_21 : h
N-1
62_N_22 : h
2N-1
62_N_23 : h
3N-1
62_N_24 : h
4N-1
62_N_25 : h
5N-1
:
62_N_2K : h
KN-1
【0049】
図6において、63はサブフィルタ62_1〜62_Nの出力をフーリエ変換し、第2系統の各サブチャンネルX
20〜X
2(N-1)を出力するFFT回路である。
【0050】
図9は、
図1に示された第1系統合波回路113_Lのタップ数Kが奇数の場合の構成を詳細に示すブロック図である。第1系統合波回路113_1及び113_2は、それぞれ
図9において合波するサブチャンネル数Mが2及び4の場合に相当する。
【0051】
図9においては、第1系統の所望の帯域分のサブチャンネルの信号X
1L0〜X
1L(M-1)を入力する。Mは合波するサブチャンネル数である。
【0052】
図9において、91は第1系統の所望のサブチャンネルの信号X
1L0〜X
1L(M-1)の入力を逆フーリエ変換するIFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)回路、92_1〜92_MはIFFT回路91のサブチャンネル出力ごとに係数W
0〜W
(M-1)/2を乗算する乗算回路である。93_1〜93_MはサブフィルタG
0,1〜G
M-1,1であり、合波するサブチャンネルの個数分ある。サブフィルタG
0,193_1内において、93_1_11〜93_1_1(K-1)はM×(Fs/N)の周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、93_1_21〜93_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
M-1〜g
MK-1)を乗算する乗算回路、93_1_32〜93_1_3Kは各タップの出力を加算する加算回路である。
【0053】
同様に、サブフィルタG
M-1,193_M内において、93_M_11〜93_M_1(K-1)はM×(Fs/N)の周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、93_M_21〜93_M_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
0〜g
(K-1)M)を乗算する乗算回路、93_M_32〜93_M_3Kは各タップの出力を加算する加算回路である。
【0054】
尚、乗算回路93_1_21〜93_M_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長MKではなくMK-1として算出の上、算出されたg(0)〜g(MK-2)のMK-1個の値に加え、g(MK-1)=0としてg(0)〜g(MK-1)のMK個の係数とし、さらに偶数番目のタップにおいて符号を反転させる。
【0055】
具体的には、乗算回路93_1_21〜93_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
93_1_21 : g
M-1
93_1_22 : -g
2M-1
93_1_23 : g
3M-1
93_1_24 : -g
4M-1
93_1_25 : g
5M-1
:
93_1_2(K-1) : -g
(K-1)M-1
93_1_2K : 0
【0056】
同様に、乗算回路93_M_21〜93_M_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
93_M_21 : g
0
93_M_22 : -g
M
93_M_23 : g
2M
93_M_24 : -g
3M
93_M_25 : g
4M
:
93_M_2(K-1) : -g
(K-2)M
93_M_2K : 0
【0057】
図9において、94_1〜94_(M-1)は出力信号のサンプリング周波数(M×Fs/N)で1クロック分ずつ遅延させる遅延回路で、(M-1)個ある。これにより、第1系統合波回路113_Lは、サブフィルタ93_1〜93_Mの出力を合波した出力信号Y
1Lを出力する。
【0058】
図10は、
図1に示された第1系統合波回路113_Lのタップ数Kが偶数の場合の構成を詳細に示すブロック図である。第1系統合波回路113_1及び113_2は、それぞれ
図10において合波するサブチャンネル数Mが2及び4の場合に相当する。
【0059】
図10においては、第1系統の所望の帯域分のサブチャンネルの信号X
1L0〜X
1L(M-1)が入力される。Mは合波するサブチャンネル数である。
図10において、10_1は第1系統の所望のサブチャンネルの信号X
1L0〜X
1L(M-1)の入力を逆フーリエ変換するIFFT回路、10_2_1〜10_2_MはIFFT回路10_1のサブチャンネル出力ごとに係数W
0〜W
(M-1)/2を乗算する乗算回路である。10_3_1〜10_3_MはサブフィルタG
0,1〜G
M-1,1で、合波するサブチャンネルの個数分ある。サブフィルタG
0,110_3_1内において、10_3_1_11〜10_3_1_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、10_3_1_21〜10_3_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(-g
M-1〜g
MK-1)を乗算する乗算回路、10_3_1_32〜10_3_1_3Kは各タップの出力を加算する加算回路である。
【0060】
同様に、サブフィルタG
M-1,110_3_M内において、10_3_M_11〜10_3_M_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、10_3_M_21〜10_3_M_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(-g
0〜g
(K-1)M)を乗算する乗算回路、10_3_M_32〜10_3_M_3Kは各タップの出力を加算する加算回路である。
【0061】
尚、乗算回路10_3_1_21〜10_3_M_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長MKではなくMK-1として算出の上、算出されたg(0)〜g(MK-2)のMK-1個の値に加え、g(MK-1)=0としてg(0)〜g(MK-1)のMK個の係数とし、さらに奇数番目のタップにおいて符号を反転させる。
【0062】
具体的には、乗算回路10_3_1_21〜10_3_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
10_3_1_21 : -g
M-1
10_3_1_22 : g
2M-1
10_3_1_23 : -g
3M-1
10_3_1_24 : g
4M-1
10_3_1_25 : -g
5M-1
:
10_3_1_2(K-1) : -g
(K-1)M-1
10_3_1_2K : 0
【0063】
同様に、乗算回路10_3_M_21〜10_3_M_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
10_3_M_21 : -g
0
10_3_M_22 : g
M
10_3_M_23 : -g
2M
10_3_M_24 : g
3M
10_3_M_25 : -g
4M
:
10_3_M_2(K-1) : -g
(K-2)M
10_3_M_2K : 0
【0064】
図10において、10_4_1〜10_4_(M-1)は出力信号のサンプリング周波数(M×Fs/N)で1クロック分ずつ遅延させる遅延回路で、(M-1)個ある。これにより、第1系統合波回路113_Lは、サブフィルタ10_3_1〜10_3_Mの出力を合波した出力信号Y
1Lを出力する。
【0065】
図12は、
図1に示された第2系統合波回路123_Lの構成を詳細に示すブロック図である。第2系統合波回路123_1及び123_2は、それぞれ
図12において合波するサブチャンネル数Mが2及び4の場合に相当する。
【0066】
図12においては、第2系統の所望の帯域分のサブチャンネルの信号X
2L0〜X
2L(M-1)が入力される。Mは合波するサブチャンネル数である。
図12において、12_1は第2系統の所望のサブチャンネルの信号X
2L0〜X
2L(M-1)の入力を逆フーリエ変換するIFFT回路である。12_2_1〜12_2_MはサブフィルタG
0,2〜G
M-1,2で、合波するサブチャンネルの個数分ある。サブフィルタG
0,112_2_1内において、12_2_1_11〜12_2_1_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、12_2_1_21〜12_2_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
M-1〜g
MK-1)を乗算する乗算回路、12_2_1_32〜12_2_1_3Kは各タップの出力を加算する加算回路である。
【0067】
同様に、サブフィルタG
M-1,112_2_M内において、12_2_M_11〜12_2_M_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させる遅延回路、12_2_M_21〜12_2_M_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
0〜g
(K-1)M)を乗算する乗算回路、12_2_M_32〜12_2_M_3Kは各タップの出力を加算する加算回路である。
【0068】
尚、乗算回路12_2_1_21〜12_2_M_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長MKではなくMK-1として算出の上、算出されたg(0)〜g(MK-2)のMK-1個の値に加え、g(MK-1)=0としてg(0)〜g(MK-1)のMK個の係数とする。
【0069】
具体的には、乗算回路12_2_1_21〜12_2_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
12_2_1_21 : g
M-1
12_2_1_22 : g
2M-1
12_2_1_23 : g
3M-1
12_2_1_24 : g
4M-1
12_2_1_25 : g
5M-1
:
12_2_1_2(K-1) : g
(K-1)M-1
12_2_1_2K : 0
【0070】
同様に、乗算回路12_2_M_21〜12_2_M_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようになる。
12_2_M_21 : g
0
12_2_M_22 : g
M
12_2_M_23 : g
2M
12_2_M_24 : g
3M
12_2_M_25 : g
4M
:
12_2_M_2(K-1) : g
(K-2)M
12_2_M_2K : 0
【0071】
図12において、12_3_1〜12_3_(M-1)は出力信号のサンプリング周波数(M×Fs/N)で1クロック分ずつ遅延させる遅延回路で、(M-1)個ある。これにより、第2系統合波回路123_Lは、サブフィルタ12_2_1〜12_2_Mの出力を合波した出力信号Y
2Lを出力する。
【0072】
(動作)
次に
図1のチャネライザの動作を説明する。
図1において、第1系統分波回路111は、サンプリングレートFsの入力信号をN個のサブチャンネルの信号X
10〜X
1(N-1)に分波し、Fs/Nのサンプリングレートで出力する。
【0073】
図4は、入力信号の全帯域から第1系統分波回路111が抽出する各サブチャンネルの周波数帯域を示した図であり、
図5は、第1系統分波回路111の出力する各サブチャンネルの周波数特性を示した図である。
【0074】
図4のCb
10〜Cb
1(N-1)の帯域が、第1系統分波回路111の各サブチャンネル出力X
10〜X
1(N-1)から、
図5の周波数特性の信号として出力サンプリング周波数Fs/Nのベースバンド信号としてN本出力される。
【0075】
第1系統分波回路111について詳細に説明する。
【0076】
前述したように、
図2は、第1系統分波回路111のタップ数Kが奇数の場合の構成を詳細に示すブロック図である。
【0077】
図2において、入力信号は遅延回路21_1〜21_(N-1)にて入力信号のサンプリング周波数(Fs)で1クロック分ずつ遅延を与えられ、サブフィルタH
0,1〜H
N-1,122_1〜22_Nに、H
N-1,1、H
N-2,1、…、H
0,1の順に繰り返し入力される。
【0078】
サブフィルタH
0,1 22_1内において、遅延回路22_1_11〜22_1_1(K-1)はFs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路22_1_21〜22_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(h
0〜h
(K-1)N)を乗算し、加算回路22_1_32〜22_1_3Kは各タップの出力を加算する。
【0079】
同様に、サブフィルタH
N-1,122_N内において、遅延回路22_N_11〜22_N_1(K-1)はFs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路22_N_21〜22_N_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(h
N-1〜h
KN-1)を乗算し、加算回路22_N_32〜22_N_3Kは各タップの出力を加算する。乗算回路23_1〜23_Nはサブフィルタ22_1〜22_Nの出力ごとに係数W
-0〜W
-(N-1)/2を乗算する。FFT回路24は乗算回路23_1〜23_Nの出力をフーリエ変換し、第1系統の各サブチャンネルの信号X
10〜X
1(N-1)を出力する。サブフィルタ以降の回路の動作周波数はFs/Nである。
【0080】
第1系統分波回路111の処理を計算式で示すと下記の式(1)となる。
【数1】
【0081】
式(1)において、Nは分波数(サブチャンネル数)、H
i,1(i=0〜N-1)はサブフィルタH
0,1〜H
N-1,122_1〜22_Nを表す。
【0082】
FFT回路24は上記行列式(1)における下記の式(2)を演算処理している。
【数2】
【0083】
乗算回路22_1_21〜22_1_2Kで使用するフィルタ係数の仕様は下記とし、
図22に特性を示す。
正規化値:1
通過帯域f
pass:−Fs/4N<f
pass<Fs/4N
ゲイン:1/√2(周波数f=±Fs/4Nの時)
阻止帯域f
stop:f
stop<−Fs/4N、Fs/4N<f
stop
【0084】
また、乗算回路22_1_21〜22_N_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長NKではなくNK+1として算出の上、算出されたh(0)〜h(NK)のNK+1個の値のうち、h(0)〜h(NK-1)のNK個を使用し、さらに偶数番目のタップにおいて符号を反転させる。
【0085】
具体的には、乗算回路22_1_21〜22_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようにする。
22_1_21 : h
0
22_1_22 : -h
N
22_1_23 : h
2N
22_1_24 : -h
3N
22_1_25 : h
4N
:
22_1_2K : h
(K-1)N
【0086】
同様に、乗算回路22_N_21〜22_N_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようにする。
22_N_21 : h
N-1
22_N_22 : -h
2N-1
22_N_23 : h
3N-1
22_N_24 : -h
4N-1
22_N_25 : h
5N-1
:
22_N_2K : h
KN-1
【0087】
サブフィルタ22_1〜22_N内のフィルタ係数の符号を偶数番目のタップにおいて反転させるとともに、乗算回路23_1〜23_Nにて係数W
-0〜W
-(N-1)/2を乗算することにより、第1系統分波回路111は、
図4のように、Fs/Nに対してFs/2Nずれた値を中心周波数とする、幅Fs/Nの帯域を、
図5のようなベースバンド信号として抽出する。
【0088】
図3は、第1系統分波回路111のタップ数Kが偶数の場合の構成を詳細に示すブロック図である。
【0089】
図3において、入力信号は遅延回路31_1〜31_(N-1)にて入力信号のサンプリング周波数(Fs)で1クロック分ずつ遅延を与えられ、サブフィルタH
0,1〜H
N-1,132_1〜32_Nに、H
N-1,1、H
N-2,1、…、H
0,1の順に繰り返し入力される。
【0090】
サブフィルタH
0,132_1内において、遅延回路32_1_11〜32_1_1(K-1)はFs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路32_1_21〜32_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(h
0〜h
(K-1)N)を乗算し、加算回路32_1_32〜32_1_3Kは各タップの出力を加算する。
【0091】
同様に、サブフィルタH
N-1,132_N内において、遅延回路32_N_11〜32_N_1(K-1)はFs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路32_N_21〜32_N_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(h
N-1〜h
KN-1)を乗算し、加算回路32_N_32〜32_N_3Kは各タップの出力を加算する。
【0092】
乗算回路33_1〜33_Nはサブフィルタ32_1〜32_Nの出力ごとに係数W
-0〜W
-(N-1)/2を乗算する。FFT回路34は乗算回路33_1〜33_Nの出力をフーリエ変換し、第1系統の各サブチャンネルの信号X
10〜X
1(N-1)を出力する。サブフィルタ以降の回路の動作周波数はFs/Nである。
【0093】
第1系統分波回路111の処理を計算式で示すと下記の式(3)となる。
【数3】
【0094】
式(3)において、Nは分波数(サブチャンネル数)、H
i,1(i=0〜N-1)はサブフィルタH
0,1〜H
N-1,132_1〜32_Nを表す。
【0095】
FFT回路34は上記行列式(3)における下記の式(4)を演算処理している。
【数4】
【0096】
乗算回路32_1_21〜32_1_2Kで使用するフィルタ係数の仕様は下記とし、
図22に特性を示す。
正規化値:1
通過帯域f
pass:−Fs/4N<f
pass<Fs/4N
ゲイン:1/√2(周波数f=±Fs/4Nの時)
阻止帯域f
stop:f
stop<−Fs/4N、Fs/4N<f
stop
【0097】
また、乗算回路32_1_21〜32_N_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長NKではなくNK+1として算出の上、算出されたh(0)〜h(NK)のNK+1個の値のうち、h(0)〜h(NK-1)のNK個を使用し、さらに奇数番目のタップにおいて符号を反転させる。
【0098】
具体的には、乗算回路32_1_21〜32_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下のようにする。
32_1_21 : -h
0
32_1_22 : h
N
32_1_23 : -h
2N
32_1_24 : h
3N
32_1_25 : -h
4N
:
32_1_2K : h
(K-1)N
【0099】
同様に、乗算回路32_N_21〜32_N_2Kで使用するフィルタ係数は以下とする。
32_N_21 : -h
N-1
32_N_22 : h
2N-1
32_N_23 : -h
3N-1
32_N_24 : h
4N-1
32_N_25 : -h
5N-1
:
32_N_2K : h
KN-1
【0100】
サブフィルタ32_1〜32_N内のフィルタ係数の符号を奇数番目のタップにおいて反転させるとともに、乗算回路33_1〜33_Nにて係数W
-0〜W
-(N-1)/2を乗算することにより、第1系統分波回路111は、
図4のように、Fs/Nに対してFs/2Nずれた値を中心周波数とする、幅Fs/Nの帯域を、
図5のようなベースバンド信号として抽出する。
【0101】
図1の、第1系統スイッチ回路112は、N個のサブチャンネル信号X
10〜X
1(N-1)から、任意のサブチャンネル信号をX
110〜X
1L(M-1)の所望の端子から選択出力する。
【0102】
図1の、第1系統合波回路113_1〜113_Lは、第1系統スイッチ回路112にて選択されたサブチャンネル信号のうち、必要な帯域分のサブチャンネル信号X
1L0〜X
1L(M-1)を合波し、サンプリング周波数M×Fs/Nで出力する。
【0103】
図11(a),(b),(c)は、それぞれ第1系統合波回路113_1、113_2、113_Lの出力する合波信号の周波数特性を示した図である。
【0104】
図5の周波数特性の各サブチャンネル信号が第1系統合波回路113_1、113_2、113_LのX
110〜X
1L(M-1)から入力され、第1系統合波回路113_1、113_2、113_LのY
11〜Y
1Lから
図11(a),(b),(c)のC
g10〜C
g1(M-1)のように周波数軸上に配置された信号として出力される。
【0105】
第1系統合波回路113_Lの動作を詳細に説明する。
【0106】
図9は、第1系統合波回路113_Lのタップ数Kが奇数の場合の構成を詳細に示すブロック図である。
【0107】
第1系統合波回路113_1及び113_2は、それぞれ
図9において合波するサブチャンネル数Mが2及び4の場合に相当する。
【0108】
図9においては、第1系統の所望の帯域分のサブチャンネルの信号X
1L0〜X
1L(M-1)が入力される。Mは合波するサブチャンネル数である。
【0109】
IFFT回路91は、第1系統の所望のサブチャンネルの信号X
1L0〜X
1L(M-1)の入力を逆フーリエ変換する。乗算回路92_1〜92_MはIFFT回路91のサブチャンネル出力ごとに係数W
0〜W
(M-1)/2を乗算する。
【0110】
サブフィルタG
0,1 93_1内において、遅延回路93_1_11〜93_1_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路93_1_21〜93_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
M-1〜g
MK-1)を乗算し、加算回路93_1_32〜93_1_3Kは各タップの出力を加算する。
【0111】
同様に、サブフィルタG
M-1,193_M内において、遅延回路93_M_11〜93_M_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路93_M_21〜93_M_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
0〜g
(K-1)M)を乗算し、加算回路93_M_32〜93_M_3Kは各タップの出力を加算する。
【0112】
遅延回路94_1〜94_(M-1)は出力信号のサンプリング周波数(M×Fs/N)で1クロック分ずつ遅延させ、合波出力Y
1LをサブフィルタG
0,1〜G
M-1,193_1〜93_Mから、G
M-1,1、G
M-2,1、…、G
0,1の順に繰り返し出力する。
【0113】
第1系統合波回路113_Lの処理を計算式で示すと下記の式(5)となる。
【数5】
【0114】
式(5)において、Mは合波数(サブチャンネル数)、G
i,1(i=0〜M-1)はサブフィルタG
0,1〜G
M-1,193_1〜93_Mを表す。
【0115】
IFFT回路91は上記行列式(5)における下記の式(6)を演算処理している。
【数6】
【0116】
乗算回路93_1_21〜93_M_2Kで使用するフィルタ係数の仕様は下記とし、
図23に特性を示す。
正規化値:M
通過帯域f
pass:−Fs/4N<f
pass<Fs/4N
ゲイン:1/√2(周波数f=±Fs/4Nの時)
阻止帯域f
stop:f
stop<−Fs/4N、Fs/4N<f
stop
【0117】
また、乗算回路93_1_21〜93_M_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長MKではなくMK-1として算出の上、算出されたg(0)〜g(MK-2)のMK-1個の値に加え、g(MK-1)=0としてg(0)〜g(MK-1)のMK個の係数とし、さらに偶数番目のタップにおいて符号を反転させる。
【0118】
具体的には、乗算回路93_1_21〜93_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下とする。
93_1_21 : g
M-1
93_1_22 : -g
2M-1
93_1_23 : g
3M-1
93_1_24 : -g
4M-1
93_1_25 : g
5M-1
:
93_1_2(K-1) : -g
(K-1)M-1
93_1_2K : 0
【0119】
同様に、乗算回路93_M_21〜93_M_2Kで使用するフィルタ係数は以下とする。
93_M_21 : g
0
93_M_22 : -g
M
93_M_23 : g
2M
93_M_24 : -g
3M
93_M_25 : g
4M
:
93_M_2(K-1) : -g
(K-2)M
93_M_2K : 0
【0120】
乗算回路92_1〜92_Mにて係数W
0〜W
(M-1)/2を乗算するとともに、サブフィルタ93_1〜93_M内のフィルタ係数の符号を偶数番目のタップにおいて反転させることにより、第1系統合波回路113_Lは、
図5のようなベースバンド信号となっている各サブチャンネルを、
図11のようにFs/Nに対してFs/2Nずれた値を中心周波数とする幅Fs/Nの帯域として周波数軸上に配置する。
【0121】
図10は、第1系統合波回路113_Lのタップ数Kが偶数の場合の構成を詳細に示すブロック図である。第1系統合波回路113_1及び113_2は、それぞれ
図10において合波するサブチャンネル数Mが2及び4の場合に相当する。
【0122】
図10においては、第1系統の所望の帯域分のサブチャンネルの信号X
1L0〜X
1L(M-1)が入力される。Mは合波するサブチャンネル数である。
【0123】
IFFT回路10_1は、第1系統の所望のサブチャンネルの信号X
1L0〜X
1L(M-1)の入力を逆フーリエ変換する。乗算回路10_2_1〜10_2_MはIFFT回路10_1のサブチャンネル出力ごとに係数W
0〜W
(M-1)/2を乗算する。サブフィルタG
0,1 10_3_1内において、遅延回路10_3_1_11〜10_3_1_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路10_3_1_21〜10_3_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
M-1〜g
MK-1)を乗算し、加算回路10_3_1_32〜10_3_1_3Kは各タップの出力を加算する。
【0124】
同様に、サブフィルタG
M-1,110_3_M内において、遅延回路10_3_M_11〜10_3_M_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路10_3_M_21〜10_3_M_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
0〜g
(K-1)M)を乗算し、加算回路10_3_M_32〜10_3_M_3Kは各タップの出力を加算する。
【0125】
遅延回路10_4_1〜10_4_(M-1)は出力信号のサンプリング周波数(M×Fs/N)で1クロック分ずつ遅延させ、合波出力Y
1LをサブフィルタG
0,1〜G
M-1,110_3_1〜10_3_Mから、G
M-1,1、G
M-2,1、…、G
0,1の順に繰り返し出力する。
【0126】
第1系統合波回路113_Lの処理を計算式で示すと下記の式(7)となる。
【数7】
【0127】
式(7)において、Mは合波数(サブチャンネル数)、G
i,1(i=0〜M-1)はサブフィルタG
0,1〜G
M-1,110_3_1〜10_3_Mを表す。
【0128】
IFFT回路10_1は前述の行列式(7)における下記の式(8)を演算処理している。
【数8】
【0129】
乗算回路10_3_1_21〜10_3_M_2Kで使用するフィルタ係数の仕様は下記とし、
図23に特性を示す。
正規化値:M
通過帯域f
pass:−Fs/4N<f
pass<Fs/4N
ゲイン:1/√2(周波数f=±Fs/4Nの時)
阻止帯域f
stop:f
stop<−Fs/4N、Fs/4N<f
stop
【0130】
また、乗算回路10_3_1_21〜10_3_1_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長MKではなくMK-1として算出の上、算出されたg(0)〜g(MK-2)のMK-1個の値に加え、g(MK-1)=0としてg(0)〜g(MK-1)のMK個の係数とし、さらに奇数番目のタップにおいて符号を反転させる。具体的には、乗算回路10_3_1_21〜10_3_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下とする。
10_3_1_21 : -g
M-1
10_3_1_22 : g
2M-1
10_3_1_23 : -g
3M-1
10_3_1_24 : g
4M-1
10_3_1_25 : -g
5M-1
:
10_3_1_2(K-1) : -g
(K-1)M-1
10_3_1_2K : 0
【0131】
同様に、乗算回路10_3_M_21〜10_3_M_2Kで使用するフィルタ係数は以下とする。
10_3_M_21 : -g
0
10_3_M_22 : g
M
10_3_M_23 : -g
2M
10_3_M_24 : g
3M
10_3_M_25 : -g
4M
:
10_3_M_2(K-1) : -g
(K-2)M
10_3_M_2K : 0
【0132】
乗算回路10_2_1〜10_2_Mにて係数W
0〜W
(M-1)/2を乗算するとともに、サブフィルタ10_3_1〜10_3_M内のフィルタ係数の符号を奇数番目のタップにおいて反転させる。このことにより、第1系統合波回路113_Lは、
図5のようなベースバンド信号となっている各サブチャンネルを、
図11のようにFs/Nに対してFs/2Nずれた値を中心周波数とする幅Fs/Nの帯域として周波数軸上に配置する。
【0133】
図1の第2系統分波回路121は、入力信号をN個のサブチャンネルの信号X
20〜X
2(N-1)に分波し、Fs/Nのサンプリングレートで出力する。
【0134】
図7は入力信号の全帯域から第2系統分波回路121が抽出する各サブチャンネルの周波数帯域を示した図であり、
図8は第2系統分波回路121の出力する各サブチャンネルの周波数特性を示した図である。
【0135】
図7のCb
20〜Cb
2(N-1)の帯域が、第2系統分波回路121の各サブチャンネル出力X
20〜X
2(N-1)から、
図8の周波数特性の信号として出力サンプリング周波数Fs/Nのベースバンド信号としてN本出力される。
【0136】
第2系統分波回路121を詳細に説明する。
【0137】
図6は、第2系統分波回路121の構成を詳細に示すブロック図である。
図6において、入力信号は遅延回路61_1〜61_(N-1)にて入力信号のサンプリング周波数(Fs)で1クロック分ずつ遅延を与えられ、サブフィルタH
0,2〜H
N-1,262_1〜62_Nに、H
N-1,2、H
N-2,2、…、H
0,2の順に繰り返し入力される。
【0138】
サブフィルタH
0,262_1内において、遅延回路62_1_11〜62_1_1(K-1)はFs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路62_1_21〜62_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(h
0〜h
(K-1)N)を乗算し、加算回路62_1_32〜62_1_3Kは各タップの出力を加算する。
【0139】
同様に、サブフィルタH
N-1,262_N内において、遅延回路62_N_11〜62_N_1(K-1)はFs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路62_N_21〜62_N_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(h
N-1〜h
KN-1)を乗算し、加算回路62_N_32〜62_N_3Kは各タップの出力を加算する。
【0140】
FFT回路63はサブフィルタ62_1〜62_Nの出力をフーリエ変換し、第2系統の各サブチャンネルの信号X
20〜X
2(N-1)を出力する。サブフィルタ以降の回路の動作周波数はFs/Nである。
【0141】
第2系統分波回路121の処理を計算式で示すと下記の式(9)となる。
【数9】
【0142】
式(9)において、Nは分波数(サブチャンネル数)H
i,2(i=0〜N-1)はサブフィルタH
0,2〜H
N-1,262_1〜62_Nを表す。
【0143】
FFT回路63は前述の行列式(9)における下記の式(10)を演算処理している。
【数10】
【0144】
乗算回路62_1_21〜62_N_2Kで使用するフィルタ係数の仕様は下記とし、
図22に特性を示す。
正規化値:1
通過帯域f
pass:−Fs/4N<f
pass<Fs/4N
ゲイン:1/√2(周波数f=±Fs/4Nの時)
阻止帯域f
stop:f
stop<−Fs/4N、Fs/4N<f
stop
【0145】
また、乗算回路62_1_21〜62_N_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長NKではなくNK+1として算出の上、算出されたh(0)〜h(NK)のNK+1個の値のうち、h(0)〜h(NK-1)のNK個を使用する。具体的には、乗算回路62_1_21〜62_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下とする。
62_1_21 : h
0
62_1_22 : h
N
62_1_23 : h
2N
62_1_24 : h
3N
62_1_25 : h
4N
:
62_1_2K : h
(K-1)N
【0146】
同様に、乗算回路62_N_21〜62_N_2Kで使用するフィルタ係数は以下とする。
62_N_21 : h
N-1
62_N_22 : h
2N-1
62_N_23 : h
3N-1
62_N_24 : h
4N-1
62_N_25 : h
5N-1
:
62_N_2K : h
KN-1
【0147】
第2系統分波回路121は、第1系統分波回路111と異なり、サブフィルタ62_1〜62_N内のフィルタ係数の符号反転と、係数W
-0〜W
-(N-1)/2の乗算を行わない。このことにより、
図7のように、Fs/Nを中心周波数とする幅Fs/Nの帯域を、
図8のようなベースバンド信号として抽出する。
【0148】
図1の、第2系統スイッチ回路122は、N個のサブチャンネル信号X
20〜X
2(N-1)から、任意のサブチャンネル信号をX
210〜X
2L(M-1)の所望の端子から選択出力するとともに、抜き出すチャンネルと隣接するチャンネルとの境界となる周波数位置のサブチャンネルに相当する端子X
211、X
222・・・、X
2L(M/2)からは0(nullデータ)を出力する。
【0149】
図1の、第2系統合波回路123_1〜123_Lは、第2系統スイッチ回路122にて選択されたサブチャンネル信号のうち、必要な帯域分のサブチャンネル信号X
2L0〜X
2L(M-1)を合波し、サンプリング周波数M×Fs/Nで出力する。
【0150】
図13(a),(b),(c)は、それぞれ第2系統合波回路123_1、123_2、123_Lの出力する合波信号の周波数特性を示した図である。
【0151】
図8の周波数特性の各サブチャンネル信号が第2系統合波回路123_1、123_2、123_LのX
210〜X
2L(M-1)から入力され、第2系統合波回路123_1、123_2、123_LのY
21〜Y
2Lから
図13(a),(b),(c)のC
g20〜C
g2(M-1)のように周波数軸上に配置された信号として出力される。尚、抜き出すチャンネルと隣接するチャンネルとの境界となる周波数位置のサブチャンネル信号X
211、X
222、・・・、X
2L(M/2)には0(nullデータ)が入力されているため、
図13(a)のC
g21、図13(b)のC
g22、図13(c)のC
g2(M/2)の周波数位置は振幅レベルが0となる。
【0152】
第2系統合波回路123_Lを詳細に説明する。
【0153】
図12は、第2系統合波回路123-Lの構成を詳細に示すブロック図である。尚、第2系統合波回路123_1及び123_2は、それぞれ
図12において合波するサブチャンネル数Mが2及び4の場合に相当する。
【0154】
図12においては、第2系統の所望の帯域分のサブチャンネルの信号X
2L0〜X
2L(M-1)が入力される。Mは合波するサブチャンネル数である。
【0155】
IFFT回路12_1は、第2系統の所望のサブチャンネルの信号X
2L0〜X
2L(M-1)の入力を逆フーリエ変換する。
【0156】
サブフィルタG
0,2 12_2_1内において、遅延回路12_2_1_11〜12_2_1_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路12_2_1_21〜12_2_1_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
M-1〜g
MK-1)を乗算し、加算回路12_2_1_32〜12_2_1_3Kは各タップの出力を加算する。
【0157】
同様に、サブフィルタG
M-1,212_2_M内において、遅延回路12_2_M_11〜12_2_M_1(K-1)はM×Fs/Nの周波数で1クロック分遅延させ、乗算回路12_2_M_21〜12_2_M_2Kはタップごとに信号とフィルタ係数(g
0〜g
(K-1)M)を乗算し、加算回路12_2_M_32〜12_2_M_3Kは各タップの出力を加算する。
【0158】
遅延回路12_3_1〜12_3_(M-1)は出力信号のサンプリング周波数(M×Fs/N)で1クロック分ずつ遅延させ、合波出力Y
2LをサブフィルタG
0,2〜G
M-1,212_2_1〜12_2_Mから、G
M-1,2、G
M-2,2、…、G
0,2の順に繰り返し出力する。
【0159】
第2系統合波回路123_Lの処理を計算式で示すと下記の式(11)となる。
【数11】
【0160】
式(11)において、Mは合波数(サブチャンネル数)、G
i,1(i=0〜M-1)はサブフィルタG
0,1〜G
M-1,112_2_1〜12_2_Mを表す。
【0161】
IFFT回路12_1は前述の行列式(11)における下記の式(12)を演算処理している。
【数12】
【0162】
乗算回路12_2_1_21〜12_2_M_2Kで使用するフィルタ係数の仕様は下記とし、
図23に特性を示す。
正規化値:M
通過帯域f
pass:−Fs/4N<f
pass<Fs/4N
ゲイン:1/√2(周波数f=±Fs/4Nの時)
阻止帯域f
stop:f
stop<−Fs/4N、Fs/4N<f
stop
【0163】
また、乗算回路12_2_1_21〜12_2_M_2Kで使用するフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長MKではなくMK-1として算出の上、算出されたg(0)〜g(MK-2)のMK-1個の値に加え、g(MK-1)=0としてg(0)〜g(MK-1)のMK個の係数とする。具体的には、乗算回路12_2_1_21〜12_2_1_2Kで使用するフィルタ係数は以下とする。
12_2_1_21 : g
M-1
12_2_1_22 : g
2M-1
12_2_1_23 : g
3M-1
12_2_1_24 : g
4M-1
12_2_1_25 : g
5M-1
:
12_2_1_2(K-1) : g
(K-1)M-1
12_2_1_2K : 0
【0164】
同様に、乗算回路12_2_M_21〜12_2_M_2Kで使用するフィルタ係数は以下とする。
12_2_M_21 : g
0
12_2_M_22 : g
M
12_2_M_23 : g
2M
12_2_M_24 : g
3M
12_2_M_25 : g
4M
:
12_2_M_2(K-1) : g
(K-2)M
12_2_M_2K : 0
【0165】
第2系統合波回路123_Lは、第1系統合波回路113_Lと異なり、係数W
0〜W
(M-1)/2の乗算とサブフィルタ12_2_1〜12_2_M内のフィルタ係数の符号反転を行わない。このことにより、
図8のようなベースバンド信号となっている各サブチャンネルを、
図13のようにFs/Nを中心周波数とする幅Fs/Nの帯域として周波数軸上に配置する。
【0166】
図1の、合成回路14_1〜14_Lは、それぞれ必要な帯域幅に合波された第1系統合波信号と第2系統合波信号を加算して合成し所望のチャンネル信号を生成する。
【0167】
このとき、合成回路14_1〜14_Lの入力時点において、第1系統合波信号と第2系統合波信号の位相が一致していないと、合成後の信号の品質が劣化する。
【0168】
第1系統合波信号と第2系統合波信号の位相を一致させるためには、入力信号が第1系統分波回路111→第1系統スイッチ回路112→第1系統合波回路113_1〜113_Lを経て合成回路14_1〜14_Lに至る信号の位相特性と、第2系統分波回路121→第2系統スイッチ回路122→第2系統合波回路123_1〜123_Lを経て合成回路14_1〜14_Lに至る信号の位相特性を一致させることが必要であり、その手段を以下に示す。
【0169】
第1系統分波回路111→第1系統スイッチ回路112→第1系統合波回路113_1〜113_Lを経て合成回路14_1〜14_Lに至る信号(以下「フィルタ1出力」と称する)の位相特性θ
1(f)は、計算式で表すと下記の式(13)、(14)となる。
【数13】
【数14】
【0170】
式(13)は、第1系統分波回路111及び第1系統合波回路113_1〜113_L内サブフィルタの偶数番目のタップのフィルタ係数の符号を反転させた場合(以下、初期位相=0の場合と称する)である。
【0171】
式(14)は、第1系統分波回路111及び第1系統合波回路113_1〜113_L内サブフィルタの奇数番目のタップのフィルタ係数の符号を反転させた場合(以下、初期位相=πの場合と称する)である。
【0172】
式(13)、(14)において、fは周波数、τ
braは分波部(分波回路)の遅延量、τ
synは合波部(合波回路)の遅延量、Fsは分波部への入力信号のサンプリング周波数、Nは分波数である。
【0173】
一方、第2系統分波回路121→第2系統スイッチ回路122→第2系統合波回路123_1〜123_Lを経て合成回路14_1〜14_Lに至る信号(以下「フィルタ2出力」と称する)の位相特性θ
2(f)は、計算式で表すと下記の式(15)となる。
【数15】
【0174】
したがって、フィルタ1出力とフィルタ2出力の位相特性の一致条件は下記の式(16)、(17)となる。
【数16】
【数17】
【0175】
式(16)、(17)において、nは整数である。
【0176】
第1系統分波回路111及び第2系統分波回路121にてフーリエ変換をFFT(Fast Fourier Transform)で実施し、第1系統合波回路113_1〜113_L及び第2系統合波回路123_1〜123_Lにて逆フーリエ変換をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)で実施するためには、分波数N=2
n(nは自然数)、合波数M=2
n(nは自然数)でなければならない。
【0177】
そこで、これを前提とすると、第1系統分波回路111及び第2系統分波回路121ではサブフィルタの乗算器数はNK個、第1系統合波回路113_1〜113_L及び第2系統合波回路123_1〜123_Lではサブフィルタの乗算器数はMK個であることが必要である(Kはタップ数)。
【0178】
したがって、これをインパルス応答長で考えると、NK及びMKは偶数なので、フィルタ係数はタップを横軸とするグラフで表示すると
図24のように左右対称な形になる。この場合遅延量τ
bra、τ
synは、下記の式(18)、(19)のように表わされる。
【数18】
【数19】
【0179】
式(18)、(19)において、Fsは分波入力信号のサンプリング周波数であり、fsはM合波出力のサンプリング周波数(=M×Fs/N)である。
【0180】
ここで、遅延量τ
bra、τ
synを位相特性の一致条件式に代入し、展開すると下記の式(20)、(21)のようなタップ数条件が導かれる。
【数20】
【数21】
【0181】
タップ数は整数でなければならないので、この条件は、N=M、すなわち分波数=合波数(入力サンプリング周波数=合波出力サンプリング周波数)でないと成立しない。
【0182】
実際、分波数(N)=128、合波数(M)=2、タップ長(K)=13のケースにおいて、フィルタ係数算出用計算式のインパルス応答長(NK)の項に、実際の構成におけるインパルス応答長の値を代入して求めたフィルタ係数を使用した場合の、フィルタ1出力とフィルタ2出力の周波数特性(振幅特性と位相特性)をシミュレーションで求めると
図14に示す結果となり、フィルタ1出力とフィルタ2出力の位相特性が一致しない。
【0183】
そこで、本発明では、遅延量τ
braとτ
synを近似的に一致させるため、第1系統分波回路111、第2系統分波回路121、第1系統合波回路113_1〜113_L、第2系統合波回路123_1〜123_Lのサブフィルタのフィルタ係数の算出方法を下記とする。
【0184】
第1系統分波回路111、第2系統分波回路121のサブフィルタのフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長NKではなくNK+1として算出の上、算出されたh(0)〜h(NK)のNK+1個の値のうち、h(0)〜h(NK-1)のNK個を使用する。フィルタ係数算出用計算式のインパルス応答長(NK)の項に、実際の構成におけるインパルス応答長より1多い値(NK+1)を代入して算出したフィルタ係数を、タップを横軸とするグラフで表示すると
図25のようになる。
【0185】
第1系統合波回路113_1〜113_L、第2系統合波回路123_1〜123_Lのサブフィルタのフィルタ係数は、インパルス応答長を実際のインパルス応答長MKではなくMK-1として算出の上、算出されたg(0)〜g(MK-2)のMK-1個の値に加え、g(MK-1)=0としてg(0)〜g(MK-1)のMK個の係数とする。フィルタ係数算出用計算式のインパルス応答長(NK)の項に、実際の構成におけるインパルス応答長より1少ない(NK-1)を代入して算出したフィルタ係数を、タップを横軸とするグラフで表示すると
図26のようになる。
【0186】
上記方法で算出したフィルタ係数を使用することにより、遅延量τ
bra、τ
synは下記の式(22)、(23)に近似できる。
【数22】
【数23】
【0187】
遅延量τ
bra、τ
synを位相特性の一致条件式に代入し、展開すると下記のようなタップ数条件が導かれる。
K=2n+1 初期位相=0の場合
K=2n 初期位相=πの場合
【0188】
分波数(N)=128、合波数(M)=2、タップ長(K)=13の場合において、上記の本実施例の算出方法で求めたフィルタ係数を使用した場合の、フィルタ1出力とフィルタ2出力の周波数特性(振幅特性と位相特性)をシミュレーションで求めると
図15に示す結果となり、フィルタ1出力とフィルタ2出力の位相特性がほぼ一致する。
【0189】
さらに、第1系統分波回路111、第2系統分波回路121、第1系統合波回路113_1〜113_L、第2系統合波回路123_1〜123_Lの各サブフィルタのタップ数(K)=1,2,3,4,・・・における、初期位相=0のときのフィルタ1出力の位相特性、初期位相=πのときのフィルタ1出力の位相特性、フィルタ2出力の位相特性をシミュレーションで求めると、それぞれ
図16、
図17、
図18のような結果となる。
【0190】
初期位相=0の場合には、タップ数が奇数のときにフィルタ1出力とフィルタ2出力の位相特性が一致し、初期位相=πの場合には、タップ数が偶数のときにフィルタ1出力とフィルタ2出力の位相特性が一致することがわかる。
【0191】
したがって、各サブフィルタのフィルタ係数は、上記の本実施例の算出方法で求めたフィルタ係数を使用した上で、タップ数が奇数のときには偶数番目のタップにおいて符号を反転させ、タップ数が偶数のときには奇数番目のタップにおいて符号を反転させることにより、フィルタ1出力とフィルタ2出力の位相特性が一致する。
【0192】
合波サブチャンネル信号数M=2において合成回路14_1が出力するチャンネル信号1の周波数特性を
図19に示す。
【0193】
合波サブチャンネル信号数M=4において合成回路14_2が出力するチャンネル信号2の周波数特性を
図20に示す。
【0194】
合波サブチャンネル信号数Mにおいて合成回路14_Lが出力するチャンネル信号Lの周波数特性を
図21に示す。
【0195】
(実施例の効果)
上記実施例の効果は、多チャンネルの信号が周波数多重された入力信号から、信号品質を劣化させることなく、特定のチャンネルの信号をそのチャンネルの帯域幅で抜き出すことが可能であることである。
【0196】
これにより、受信チャネライザの場合には、抜き出したチャンネルの変調信号をそのまま復調することが可能となる。また、送信チャネライザの場合には、入力信号のチャンネルを複数のビームに振り分けて送信する際に、各送信ビームに必要なチャンネルだけを抜き出して割り当て、利用効率を高めることができる。
【0197】
その理由は、多チャンネルの信号が周波数多重された入力信号を、N個のサブチャンネルに分波し、所望のサブチャンネルを選択し、必要に応じた帯域幅分のサブチャンネルを、それぞれのサブチャンネルの遷移域が重複して通過帯域が重ならないように交互に配置される周波数特性を有するよう周波数シフトし、合成して所望の帯域幅のチャンネル信号を生成するチャネライザにおいて、
第1系統分波回路が入力信号をN個のサブチャンネルに分波してFs/Nのサンプリングレートで出力し、
第1系統スイッチ回路が第1系統分波回路の出力するN個のサブチャンネル信号から任意のサブチャンネルを所望の端子から選択出力し、
第1系統合波回路が必要な帯域になるM個のサブチャンネルを合波して入力信号のサンプリングレート(Fs)とは異なるサンプリングレート(M×Fs/N)にて出力し、
第2系統分波回路が入力信号をN個のサブチャンネルに分波してFs/Nのサンプリングレートで出力し、
第2系統スイッチ回路が第2系統分波回路の出力するN個のサブチャンネル信号から任意のサブチャンネルを所望の端子から選択出力するとともに所望の端子から0(nullデータ)を出力し、
第2系統合波回路が必要な帯域になるM個のサブチャンネルを合波して入力信号のサンプリングレート(Fs)とは異なるサンプリングレート(M×Fs/N)にて出力し、
合成回路がそれぞれ必要な帯域幅に合波された第1系統合波信号と第2系統合波信号を合成し所望のチャンネル信号を生成することにより、
必要に応じた数(M個)のサブチャンネルが、それぞれのサブチャンネルの遷移域が重複して通過帯域が重ならないように交互に配置された2系統並列の合波信号を合成することが可能となることと、
第1及び第2系統分波回路におけるサブフィルタのフィルタ係数算出に際し、インパルス応答長を実際のインパルス応答長NK(N:分波サブチャンネル数、K:タップ数)ではなくNK+1として算出の上、算出されたh(0)〜h(NK)のNK+1個の値のうち、h(0)〜h(NK-1)のNK個を使用し、
第1及び第2系統合波回路におけるサブフィルタのフィルタ係数算出に際し、インパルス応答長を実際のインパルス応答長MKではなくMK-1として算出の上、算出されたg(0)〜g(MK-2)のMK-1個の値に加え、g(MK-1)=0としてg(0)〜g(MK-1)のMK個の係数とすることにより、
それぞれの遷移域が重複して通過帯域が重ならないように交互に配置された2系統の合波信号を合成する時点で、2系統の双方の合波出力の位相特性を合成回路の入力時点で近似的に一致させることが可能となるからである。
【0198】
以上、本発明を、好ましい実施例を参照して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、請求項に記載された本発明の精神や範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。