(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012067
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
H05K13/04 P
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-172658(P2012-172658)
(22)【出願日】2012年8月3日
(65)【公開番号】特開2014-33071(P2014-33071A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】仙石 重徳
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−217097(JP,A)
【文献】
特開2001−094298(JP,A)
【文献】
特開2009−267038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K3/30,13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入された基板をクランプするクランプ装置と、前記クランプ装置の下方に上下動可能に配置されたバックアッププレートと、前記バックアッププレート上に交換可能に立設されたバックアップピンとを備え、前記バックアッププレートを上昇させることで前記バックアップピンの上端部で前記基板を下方から受け支えて前記クランプ装置でクランプするように構成した部品実装機において、
前記クランプ装置側に、前記バックアッププレートの上昇動作によって該バックアッププレート上の異物を掃き出すように動作する掃き出し部材が設けられ、
前記クランプ装置の側面部には、交換用のバックアップピンを収納するバックアップピン収納部が設けられ、
前記掃き出し部材は、前記バックアッププレート上のうちの少なくとも前記バックアップピン収納部の下方に位置する異物を該バックアップピン収納部の下方から側方へ掃き出すように構成されていることを特徴とする部品実装機。
【請求項2】
前記掃き出し部材は、前記バックアッププレートの上昇動作中に該掃き出し部材の下端部が該バックアッププレートの上面に接触して掃き出し方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板をクランプするクランプ装置の下方に、クランプ時に基板を下方から受け支えるバックアップピンを立設したバックアッププレートを上下動可能に配置した部品実装機に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般に、部品実装機は、特許文献1(特開2010−62591号公報)、特許文献2(特開2011−233736号公報)等に記載されているように、コンベアで搬入された基板の両端部をクランプするクランプ装置の下方に、バックアッププレートを上下動可能に配置すると共に、このバックアッププレート上にバックアップピンを交換可能に立設し、クランプ時にバックアッププレートを上昇させてバックアップピンの上端部で基板を下方から受け支えてクランプ装置で基板の両端部をクランプした状態で、部品供給装置から供給される各種の部品を部品実装機の吸着ノズルで吸着して基板に実装するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−62591号公報
【特許文献2】特開2011−233736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、
図3に示すように、クランプ装置2の側面部には、交換用のバックアップピン5を収納するバックアップピン収納部6が取り付けられている。
図3(a)に示すように、基板1をクランプするクランプ装置2の下方に配置されたバックアッププレート3上に、何らかの原因で異物4(例えば両面基板の下面から脱落した部品や吸着ノズルから脱落した部品等)が落下することがあり、このような場合、バックアッププレート3上の異物4がクランプ装置2やバックアップピン収納部6等の下方(真下)に位置していると、
図3(b)に示すように、バックアッププレート3を上昇させて基板1をクランプするときに、バックアッププレート3とクランプ装置2側の部材(例えばバックアップピン収納部6等)との間に異物4が挟み込まれてしまい、最悪の場合、クランプ装置2側の部材が損傷してしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、基板のクランプ動作時に上昇するバックアッププレートとクランプ装置側の部材との間に異物が挟み込まれることを防止することができる部品実装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、搬入された基板をクランプするクランプ装置と、このクランプ装置の下方に上下動可能に設けられたバックアッププレートと、このバックアッププレート上に交換可能に設けられたバックアップピンと
を備え、前記バックアッププレートを上昇させることで前記バックアップピンの上端部で前記基板を下方から受け支えて前記クランプ装置でクランプするように構成した部品実装機において、クランプ装置側に、前記バックアッププレートの上昇動作によって該バックアッププレート上の異物を掃き出すように動作する掃き出し部材
が設け
られ、前記クランプ装置の側面部には、交換用のバックアップピンを収納するバックアップピン収納部が設けられ、前記掃き出し部材は、前記バックアッププレート上のうちの少なくとも前記バックアップピン収納部の下方に位置する異物を該バックアップピン収納部の下方から側方へ掃き出すように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
この構成では、何らかの原因でバックアッププレート上に異物(例えば両面基板の下面から脱落した部品や吸着ノズルから脱落した部品等)が落下していても、バックアッププレートを上昇させて基板をクランプするときに、掃き出し部材によってバックアッププレート上の異物を掃き出すことができるため、基板のクランプ動作時に上昇するバックアッププレートとクランプ装置側の部材との間に異物が挟み込まれることを防止することができる。しかも、バックアッププレートの上昇動作を利用して掃き出し部材を掃き出し動作させることができるため、掃き出し部材を掃き出し動作させるための駆動源を新たに設ける必要がなく、その分、低コスト化も実現することができる。
更に、請求項1に係る発明では、クランプ装置の側面部に、交換用のバックアップピンを収納するバックアップピン収納部を設け、バックアッププレート上のうちの少なくともバックアップピン収納部の下方に位置する異物を該バックアップピン収納部の下方から側方へ掃き出すように掃き出し部材を構成しているため、クランプ動作時に上昇するバックアッププレートとバックアップピン収納部との間に異物が挟み込まれることを確実に防止することができ、異物の挟み込みによるバックアップピン収納部の損傷等を防止することができる利点もある。
【0008】
本発明は、バックアッププレートの上昇動作をリンク機構等により掃き出し部材に伝達して掃き出し部材を掃き出し動作させるように構成しても良いが、請求項2のように、バックアッププレートの上昇動作中に掃き出し部材の下端部が該バックアッププレートの上面に接触して掃き出し方向に移動するように掃き出し部材を構成すると良い。このようにすれば、リンク機構等を用いない極めて簡単な構成で、クランプ動作時にバックアッププレート上の異物を掃き出し部材で確実に掃き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は本発明の一実施例における部品実装機のバックアッププレート下降時(クランプ解除時)の状態を示す図である。
【
図2】
図2は部品実装機のバックアッププレート上昇時(クランプ時)の状態を示す図である。
【
図3】
図3(a)は比較例のバックアッププレート下降時(クランプ解除時)の状態を示す図、同図(b)は比較例のバックアッププレート上昇時(クランプ時)の課題を説明するれ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
図1及び
図2に示すように、部品実装機には、コンベア(図示せず)によって搬入された基板11をクランプするクランプ装置12が設けられ、該クランプ装置12の下方に、バックアッププレート13が配置されている。クランプ装置12は、基板11の搬送経路を挟むように一対の支持部材14を備え、各支持部材14の上端部に、それぞれクランププレート部15が基板搬送方向に沿って設けられていると共に、各クランププレート部15の下方に、それぞれクランプ部材16が上下動可能に設けられている。これらのクランププレート部15とクランプ部材16との間に基板11の両端部を挟み込んでクランプするようになっている。
【0012】
バックアッププレート13は、モータ等(図示せず)を駆動源として上下動可能に設けられ、該バックアッププレート13上には、複数のバックアップピン17が交換可能に立設されている。このバックアッププレート13を上昇させて基板11をクランプするときに、バックアップピン17の上端部を基板11の下面に当接させることで、バックアップピン17で基板11を下方から受け支えるようになっている。
【0013】
また、クランプ装置12は、バックアッププレート13の上昇動作によって基板11をクランプする状態になるように構成されている。具体的には、バックアッププレート13を上昇させたときに、バックアッププレート13がクランプ部材16の下端部に当接してクランプ部材16を押し上げることで、クランプ部材16とクランププレート部15との間に基板11の端部を挟み込んでクランプするようになっている。この場合、バックアッププレート13の上昇動作を利用してクランプ装置12を動作させることができるため、クランプ装置12を動作させるための駆動源を新たに設ける必要がなく、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0014】
部品実装機は、バックアッププレート13を上昇させてバックアップピン17で基板11を下方から受け支える共にクランプ装置12で基板11の両端部をクランプした状態で、部品供給装置(図示せず)から供給される各種の部品を吸着ノズルで(図示せず)で吸着して基板11に実装するようにしている。
【0015】
また、クランプ装置12の一方の支持部材14の側面部には、バックアップピン収納部18が取り付けられ、このバックアップピン収納部18に、交換用のバックアップピン17を収納するようにしている。
【0016】
ところで、バックアッププレート13上に、何らかの原因で異物19(例えば両面基板の下面から脱落した部品や実装時に吸着ノズルから脱落した部品等)が落下することがあり、このような場合、バックアッププレート13上の異物19がクランプ装置12の支持部材14やバックアップピン収納部18等の下方(真下)に位置したまま放置されると、バックアッププレート13を上昇させて基板11をクランプするときに、バックアッププレート13とクランプ装置12の支持部材14やバックアップピン収納部18等との間に異物19が挟み込まれてしまい、最悪の場合、クランプ装置12の支持部材14やバックアップピン収納部18等が損傷してしまう可能性がある。
【0017】
この対策として、本実施例では、クランプ装置12のうちのバックアップピン収納部18が取り付けられた支持部材14の下端部に、バックアッププレート13上の異物19を掃き出すための掃き出し部材20が取り付けられている。この掃き出し部材20は、弾性変形可能な部材(例えばブラシ、金属板、樹脂板等)で形成され、バックアッププレート13を上昇させるときに、その上昇動作によってバックアッププレート13上の異物19を掃き出すように動作するように構成されている。
【0018】
具体的には、掃き出し部材20は、掃き出し方向(クランプ装置12の内側から外側に向かう方向)に傾斜した状態で取り付けられ、バックアッププレート13を上昇させるときに、バックアッププレート13が掃き出し部材20の下端部に当接して掃き出し部材20の下端部を押し上げることで、掃き出し部材20が弾性変形して掃き出し部材20の先端部がバックアッププレート13の上面に接触した状態で掃き出し方向に移動するようになっている。一方、バックアッププレート13を下降させたときには、掃き出し部材20の弾性復元力によって掃き出し部材20の先端部が初期位置(
図1参照)に戻るようになっている。
【0019】
尚、掃き出し部材20の動作構造は、これに限定されず、適宜変更しても良く、例えば、掃き出し部材20を、その上端部を支点に回動可能に取り付け、バックアッププレート13を上昇させたときに、バックアッププレート13が掃き出し部材20の下端部を押し上げることで、掃き出し部材20の下端部がバックアッププレート13の上面に接触した状態で掃き出し方向に移動し、バックアッププレート13を下降させたときに、掃き出し部材20の自重によって掃き出し部材20が初期位置(
図1参照)に戻るように構成しても良い。
【0020】
また、掃き出し部材20は、バックアッププレート13上のうちの少なくともバックアップピン収納部18の下方(真下)に位置する異物19をバックアップピン収納部18の下方から側方の位置(バックアップピン収納部18と干渉しない位置)へ掃き出すことができるように、掃き出し部材20の取付位置や長さ寸法が設定されている。
【0021】
以上説明した本実施例では、クランプ装置12の支持部材14に掃き出し部材20を取り付け、バックアッププレート13の上昇動作によって掃き出し部材20がバックアッププレート13上の異物19を掃き出すように動作するように構成したので、何らかの原因でバックアッププレート13上に異物19が落下していても、バックアッププレート13を上昇させて基板11をクランプするときに、掃き出し部材20によってバックアッププレート13上の異物19を掃き出すことができ、基板11のクランプ動作時に上昇するバックアッププレート13とクランプ装置12側の部材との間に異物19が挟み込まれることを防止できて、クランプ装置12側の部材の損傷等を防止することができる。しかも、バックアッププレート13の上昇動作を利用して掃き出し部材20を掃き出し動作させることができるため、掃き出し部材20を掃き出し動作させるための駆動源を新たに設ける必要がなく、低コスト化の要求を満たすことができる。
【0022】
本発明は、バックアッププレート13の上昇動作をリンク機構等により掃き出し部材20に伝達して掃き出し部材20を掃き出し動作させるように構成しても良いが、リンク機構等を設けると、部品点数が増加してコストアップする要因となる。
【0023】
その点、本実施例では、バックアッププレート13の上昇動作中に掃き出し部材20の下端部がバックアッププレート13の上面に接触して掃き出し方向に移動するように構成したので、リンク機構等を用いない極めて簡単な構成で、クランプ動作時にバックアッププレート13上の異物19を掃き出し部材20で確実に掃き出すことができ、一層の低コスト化が可能である。
【0024】
また、本実施例では、バックアッププレート13上のうちの少なくともバックアップピン収納部18の下方に位置する異物19をバックアップピン収納部18よりも側方の位置へ掃き出すように掃き出し部材20を構成したので、クランプ動作時に上昇するバックアッププレート13とバックアップピン収納部18との間に異物19が挟み込まれることを確実に防止することができ、異物19の挟み込みによるバックアップピン収納部18の破損を防止することができる。
【0025】
尚、上記実施例では、クランプ装置12の支持部材14の下端部に掃き出し部材20を取り付けた構成としたが、掃き出し部材20の取付位置は、これに限定されず、適宜変更しても良く、例えば、バックアップピン収納部の下端部に掃き出し部材を取り付けた構成としても良い。
【0027】
また、上記実施例では、クランプ装置12の一方の支持部材14に掃き出し部材20を取り付けた構成としたが、これに限定されず、クランプ装置の両方の支持部材に掃き出し部材を取り付けた構成としても良い。
【0028】
その他、本発明は、掃き出し部材の形状や動作構造、掃き出し部材の掃き出し範囲等を変更したり、クランプ装置の構成を変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【符号の説明】
【0029】
11…基板、12…クランプ装置、13…バックアッププレート、16…クランプ部材、17…バックアップピン、18…バックアップピン収納部、19…異物、20…掃き出し部材