特許第6012069号(P6012069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012069電磁誘導方式の位置指示器及び電子インクカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012069
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】電磁誘導方式の位置指示器及び電子インクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20161011BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   G06F3/03 400F
   G06F3/046 A
【請求項の数】15
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2012-202085(P2012-202085)
(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公開番号】特開2014-56523(P2014-56523A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(72)【発明者】
【氏名】小幡 政行
【審査官】 笠田 和宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−335132(JP,A)
【文献】 特開平04−096212(JP,A)
【文献】 特開平08−227336(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0076719(US,A1)
【文献】 特開2006−163652(JP,A)
【文献】 実開平06−033226(JP,U)
【文献】 特開2012−156923(JP,A)
【文献】 特開2009−105290(JP,A)
【文献】 特開平10−214148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G06F 3/03− 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置指示器の筐体内に収納される電子インクカートリッジであって、
前記位置指示器の前記筐体内に着脱可能に収納されるとともに、
筒状体と、前記筒状体の一端から延出された芯体と、前記筒状体に配設された連結部材と、前記筒状体の、前記芯体と前記連結部材の間に配設された所定のインダクタンスを有するコイル及び前記芯体に印加された圧力に対応して静電容量が変化する圧力感知素子を備えており、前記コイルの一端及び他端が前記圧力感知素子の一端及び他端部とそれぞれ電気的に接続されて共振回路を構成しており、
前記連結部材には端子部材が配設されているとともに、前記連結部材の前記芯体に対向する側とは反対側の端面側には、前記端子部材の、前記共振回路を構成する前記コイルの前記一端及び前記他端の少なくとも一方の端部と電気的に接続された接続端部が設けられており、
前記連結部材の周側面には前記筒状体の中心軸方向に凹部が形成されており、前記コイルの前記端部は前記凹部に沿って延伸されており、
前記端子部材の、前記コイルの前記端部が電気的に接続される接続端部は、前記連結部材に形成された前記凹部に対応して配置されている
ことを特徴とする電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項2】
前記連結部材の前記芯体に対向する側とは反対側の端面側に設けられた前記接続端部は、前記共振回路を構成する前記コイルの前記一端及び前記他端部のそれぞれ電気的に接続された一対の接続端部であることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項3】
前記芯体側に前記コイルが配設されているとともに、前記連結部材側に前記圧力感知素子配設されており、少なくとも前記コイルと前記圧力感知素子とが前記筒状体に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項4】
少なくとも前記圧力感知素子と前記連結部材はユニット化された構造を備えていることを特徴とする請求項に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項5】
前記芯体側に前記圧力感知素子が配設されているとともに、前記連結部材側に前記コイルが配設されており、少なくとも前記圧力感知素子と前記コイルとが前記筒状体に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項6】
少なくとも前記圧力感知素子と前記コイルはユニット化された構造を備えていることを特徴とする請求項に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項7】
前記筒状体は、複数の筒状体が互いに連結されて構成されており、1の筒状体の一端から前記芯体が延出されているとともに、前記1の筒状体の他端の側に前記連結部材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項8】
前記圧力感知素子は、半導体デバイスで構成されていることを特徴とする請求項1に記
載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項9】
前記筒状体の前記芯体が延出される前記一端の側の内側に、前記芯体が延出される方向とは反対の方向に前記芯体を付勢する付勢部材が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項10】
前記芯体は棒形状を有しており、前記筒状体から前記芯体が着脱可能に延出していることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項11】
前記連結部材の前記芯体に対向する側とは反対側の端面側に設けられた前記接続端部は、前記共振回路を構成する前記コイルの前記一端と電気的に接続されているとともに、前記筒状体は導電性を有する非磁性体であって、前記共振回路を構成する前記コイルの前記他端は導電性を有する前記筒状体に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項12】
所定の情報が記憶された情報送信回路を備え、前記情報送信回路は、前記共振回路を構成する前記コイルの前記一端及び前記他端部と電気的に接続されて前記所定の情報が前記コイルを介して送信されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項13】
位置指示器の筐体内に収納される電子インクカートリッジであって、
前記位置指示器の前記筐体内に着脱可能に収納されるとともに、
筒状体と、前記筒状体の一端から延出された芯体と、前記筒状体に配設された連結部材と、前記連結部材に連結されたコンデンサ回路と、前記筒状体の、前記芯体と前記連結部材の間に配設された所定のインダクタンスを有するコイル及び前記芯体に印加された圧力に対応して静電容量が変化する圧力感知素子を備えており、前記コイルの一端部及び他端部が前記圧力感知素子の一端部及び他端部とそれぞれ電気的に接続されて共振回路を構成しており、
前記連結部材には端子部材が配設されているとともに、前記連結部材の前記芯体に対向する側とは反対側の端面側には、前記端子部材の、前記共振回路を構成する前記コイルの前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方の端部と電気的に接続された接続端部が設けられており、
前記コンデンサ回路の前記連結部材への連結に対応して、前記コンデンサ回路が前記接続端部を介して前記共振回路と接続されることを特徴とする電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項14】
前記連結部材の周側面には前記筒状体の中心軸方向に凹部が形成されており、前記コイルの前記端部は前記凹部に沿って延伸されており、
前記端子部材の、前記コイルの前記端部が電気的に接続される接続端部は、前記連結部材に形成された前記凹部に対応して配置されていることを特徴とする請求項13に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【請求項15】
前記コンデンサ回路は、第1のコンデンサ回路と第2のコンデンサ回路から構成されており、第1のコンデンサ回路と第2のコンデンサ回路によって、複数の共振周波数を設定可能にしたことを特徴とする請求項13に記載の電磁誘導方式の電子インクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁誘導方式の位置指示器及びこの電磁誘導方式の位置指示器に収納される電子インクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁誘導方式の座標入力装置は、例えば特許文献1(特開2002−244806号公報)に開示されているように、多数のループコイルを座標軸のX軸方向及びY軸方向に配設してなるセンサを備える位置検出装置と、磁性体コアに巻回されたインダクタンス素子の例としてのコイルとコンデンサとからなる共振回路を有するペン形状の位置指示器とで構成される。
【0003】
そして、位置検出装置は、所定の周波数の送信信号をセンサのループコイルに供給して、ループコイルは電磁エネルギーとして位置指示器に送信する。位置指示器の共振回路は、送信信号の周波数に応じた共振周波数を有するように構成されており、センサのループコイルとの間での電磁誘導作用に基づいて電磁エネルギーを蓄える。そして、位置指示器は、共振回路に蓄えた電磁エネルギーを位置検出装置のセンサのループコイルに返す。
【0004】
センサのループコイルは、この位置指示器からの電磁エネルギーを検出する。位置検出装置は、送信信号を供給したループコイルの位置と、位置指示器の共振回路からの電磁エネルギーを検出したループコイルの位置により、位置指示器により指示されたセンサ上でのX軸方向及びY軸方向の座標値を検出する。
【0005】
そして、この種の位置指示器においては、ペン形状の位置指示器の芯体に加わる力、すなわち、筆圧を、共振回路の共振周波数(あるいは位相)の変化として位置検出装置に伝達することで、位置検出装置で筆圧を検出することができる構成を備えている。この筆圧に応じて共振回路の共振周波数を変える構成の一例としては、共振回路を構成するコンデンサの静電容量を変化させる構成が知られている。
【0006】
共振回路を構成するコンデンサの静電容量の変化により筆圧を検出する従来の位置指示器としては、例えば特許文献2(特開平4−96212号公報)に記載されているような容量可変型コンデンサを用いたものが知られている。この特許文献2に記載された容量可変型コンデンサは、筒状の筐体内に収納される機構的な構造部品として、円柱状の誘電体の一方の端面に取り付けられた第1の導電体と、誘電体の前記一方の端面と対向する他方の端面側に配設された弾性偏倚が可能な可撓性を有する第2の導電体を有している。第2の導電体の、誘電体との対向面は、例えばドーム形状に、誘電体側に膨出する形状とされている。
【0007】
そして、特許文献2に記載の容量可変型コンデンサは、第2の導電体と誘電体の他方の端面との間をその一部を除いてわずかな間隔だけ離隔するスペーサ手段と、第2の導電体と誘電体との間に相対的な圧力または変位を加える部品とを備えている。この相対的な圧力または変位を加える部品は、ペン形状の位置指示器の芯体に結合されている。位置指示器に、その筐体の一方の端部から筆圧が加えられると、芯体に加わる軸方向の力により、可撓性の第2の導電体が誘電体側に変位して、第2の導電体が誘電体の他方の端面に接触するように偏倚する。そして、可撓性の第2の導電体のドーム形状の膨出端面は、押圧力に応じた面積で、誘電体の他方の端面と接触するようになる。このため、誘電体を介した第2の導電体と第1の導電体との間で形成される静電容量が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−244806号公報
【特許文献2】特開平4−96212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の位置指示器は、筒状の筐体の内側の空間内に、芯体、コイルが巻回されたフェライトコア、プリント基板、プリント基板を保持する基板ホルダー、などの構成部品に加えて、容量可変型コンデンサの構成部品を、直接的に、収納するようにしている。このため、位置指示器を組み立てるためには、筐体内に、上述の部品を中心軸方向に組み上げてゆくようにしなければならず、大量生産には向かないと言う問題があった。
【0010】
特に、特許文献2の位置指示器の容量可変型コンデンサは、誘電体、第1の電極、第2の電極、スペーサ、弾性体、誘電体を保持する保持体、第1及び第2の電極とプリント配線基板との接続のための端子部材などのように、部品点数が多く、また、それぞれが別々の機構部品であるために、位置指示器の構成が、より複雑となると共に、位置指示器の組立に手間がかかり、高コストになるという問題もあった。
【0011】
また、従来の構成の場合には、筒状の筐体内に構成部品を収納して位置決めした後に、コイルとコンデンサとで定まる共振回路の共振周波数の調整をする必要がある。このため、位置指示器の筐体に設けられるプッシュスイッチ(サイドスイッチ)のための貫通孔を介して、プリント基板に設けられているトリマーコンデンサを調整するようにしており、調整に手間がかかるという問題があった。また、このような共振周波数の調整を、位置指示器の組み立てを終えた以降に行う必要があり、手間がかかり、この点でも大量生産が困難であった。
【0012】
また、ペンの形状を細型化する要請があるが、従来の構成では、細型化した場合には、さらに、部品間の接続に手間がかかり、より多くの工数がかかってしまうという問題もあった。
【0013】
この発明は、上述の問題点にかんがみ、筐体内の部品構成が簡単で、調整が容易であり、細型化および大量生産にも好適である電磁誘導式の位置指示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、この発明は、
位置指示器の筐体内に収納される電子インクカートリッジであって、
前記位置指示器の前記筐体内に着脱可能に収納されるとともに、
筒状体と、前記筒状体の一端から延出された芯体と、前記筒状体に配設された連結部材と、前記筒状体の、前記芯体と前記連結部材の間に配設された所定のインダクタンスを有するコイル及び前記芯体に印加された圧力に対応して静電容量が変化する圧力感知素子を備えており、前記コイルの一端及び他端が前記圧力感知素子の一端及び他端部とそれぞれ電気的に接続されて共振回路を構成しており、
前記連結部材には端子部材が配設されているとともに、前記連結部材の前記芯体に対向する側とは反対側の端面側には、前記端子部材の、前記共振回路を構成する前記コイルの前記一端及び前記他端の少なくとも一方の端部と電気的に接続された接続端部が設けられており、
前記連結部材の周側面には前記筒状体の中心軸方向に凹部が形成されており、前記コイルの前記端部は前記凹部に沿って延伸されており、
前記端子部材の、前記コイルの前記端部が電気的に接続される接続端部は、前記連結部材に形成された前記凹部に対応して配置されている
ことを特徴とする電磁誘導方式の電子インクカートリッジを提供する。
【0015】
ここで、この明細書において、電子インクカートリッジとは、位置指示器の構成部品のうち、少なくとも芯体とコイルと圧力感知部材と連結部材とを筒状体の中空部内に収納して、位置指示器の筐体内に収納するための構造物である。位置指示器の主要な構成部品の全てを筒状体の中空部内に収納した電子インクカートリッジは、筆記具のボールペンのインクカートリッジと同様に、位置指示器の筐体内に収納するだけで位置指示器を構成することができる。そこで、この明細書においては、筒状体内に、電磁誘導方式の位置指示器の一部または主要な構成部品が内部に収納されたものを、電子インクカートリッジと呼ぶものである。
【0016】
上述の構成のこの発明の電子インクカートリッジにおいては、筒状体の中心軸方向に、芯体と、コイルと、芯体に印加された圧力に対応して静電容量が変化する圧力感知部材と、連結部材とが配設されており、少なくともコイルと圧力感知部材は筒状体の中に収納される。そして、この電子インクカートリッジが位置指示器の筐体内に収納されて、この発明の電磁誘導方式の位置指示器が構成される。
【0017】
以上のように、この発明によれば、電磁誘導方式の位置指示器として必要な構成部品である芯体、コイル、圧力感知部材および連結部材は、全て電子インクカートリッジの筒状体の中心軸方向に並べられており、少なくともコイルと圧力感知部材は電子インクカートリッジの中に収納される構成であるので、位置指示器の筐体への収納は簡単となる。また、電子インクカートリッジは細型化が可能であるので、位置指示器全体としても細型化が可能である。
【0018】
そして、この発明の電子インクカートリッジにおいては、連結部材の芯体側とは反対側の端面側に、共振回路を構成するコイルの一端または他端の少なくとも一方、及び/又は圧力感知部材の一端または他端の少なくとも一方に電気的に接続されたそれぞれの接続端子が設けられている。
【0019】
したがって、電子インクカートリッジの筒状体に芯体、コイル及び圧力感知部材を収納したときには、連結部材のコンデンサに対向する端面に配設されている接続端子が、筒状体の中心軸方向の芯体とは反対側において露呈している状態となる。この連結部材の端面に配設されている接続端子を用いて、電子インクカートリッジ内に配設されたコイル及び圧力感知部材で構成される共振回路の共振周波数(あるいは、コイルのインダクタンス及び圧力感知部材の静電容量の少なくとも一方の特性値)の測定が可能となる。共振回路の共振周波数は、コイルのインダクタンスと、圧力感知部材の静電容量により定まるので、電子インクカートリッジ内に実際の位置指示器としての使用状態と同じ状態に配設されたコイル及び圧力感知部材で構成される共振回路の共振周波数を測定することで、位置指示器を所望の共振周波数に設定するためのコンデンサの静電容量を算出することができる。
【0020】
そして、位置指示器に所望の共振周波数が設定されるように、所定の静電容量を有するコンデンサが、連結部材を介してコイルと並列共振回路を構成するように電気的に接続されて、電子インクカートリッジ内に収納される。あるいは電子インクカートリッジと連結されて電子インクカートリッジの外部に配設される。そして、この電子インクカートリッジが位置指示器の筐体内に収納されて、この発明の電磁誘導方式の位置指示器が構成される。
【0021】
したがって、この発明による位置指示器によれば、位置指示器の筐体内に収納される電子インクカートリッジの状態で、位置指示器に所望の共振周波数を設定するためのコンデンサの静電容量を求めることが可能となる。このため、位置指示器の共振周波数を所望の値に設定するためには、位置指示器を組み立てた以降にコンデンサの静電容量を調整する作業が必要であったこれまでの位置指示器とは異なり、電子インクカートリッジを位置指示器の筐体に収納した後に位置指示器の共振周波数の調整を行う必要がない。また、この発明においては、電子インクカートリッジには、各構成部品が中心軸方向に収納されるだけで、機構的な結合がなされると共に、連結部材により、コイルの一端及び他端、圧力感知部材の一端及び他端、コンデンサの一端及び他端がそれぞれ接続されることで、電気的に並列接続される構成であるので、大量生産にも好適な構成を備えているものである。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、電子インクカートリッジの筒状体内には、電磁誘導方式の位置指示器として必要な構成部品である少なくとも芯体、圧力感知部材、コイルを中心軸方向に並べて収納すればよく、構成が簡単となる。しかも、電子インクカートリッジ内には位置指示器としての実際の使用状態と同じ状態にそれぞれの構成部品は配設されているために、それぞれの構成部品が電子インクカートリッジに収納された時点で、位置指示器として設定すべき所望の共振周波数に対するコンデンサの静電容量を算出することができる。したがって、位置指示器として組み立てした後にコンデンサの静電容量を調整することは不要であり、大量生産にも好適な構成を備えるものである。また、電子インクカートリッジは、細型化が可能であるので、位置指示器全体としても細型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明による電子インクカートリッジの第1の実施形態の構成例を説明するための図である。
図2】この発明による位置指示器の第1の実施形態の構成例を示す図である。
図3】この発明による電子インクカートリッジの第1の実施形態の一部の構成例を説明するための図である。
図4】この発明による電子インクカートリッジの第1の実施形態の一部の構成例を説明するための図である。
図5】この発明による電子インクカートリッジの第1の実施形態の一部の構成例を説明するための図である。
図6】この発明による電子インクカートリッジの第1の実施形態の一部の構成例を説明するための図である。
図7】この発明による電子インクカートリッジの第1の実施形態の一部の構成例を説明するための図である。
図8】この発明による電子インクカートリッジの第1の実施形態の等価回路を示す図である。
図9】この発明による位置指示器の第1の実施形態の等価回路を、位置検出装置と共に説明するための図である。
図10】この発明による電子インクカートリッジの第2の実施形態の構成例を説明するための図である。
図11】この発明による電子インクカートリッジの第2の実施形態の一部の構成例を説明するための図である。
図12】この発明による電子インクカートリッジの第2の実施形態の一部の構成例を説明するための図である。
図13】この発明による位置指示器の第3の実施形態の等価回路を、位置検出装置と共に説明するための図である。
図14】この発明による位置指示器の第3の実施形態の位置指示器の要部の処理動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
図15】この発明による位置指示器の第3の実施形態の位置指示器と共に使用する位置検出装置の要部の処理動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
図16】この発明による電子インクカートリッジの第4の実施形態の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1の実施形態]
図1図9は、この発明による電磁誘導方式の位置指示器の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。この第1の実施形態の位置指示器においては、芯体に印加される押圧力に応じて変化する静電容量を、インダクタンス素子としてのコイルと並列に接続して共振回路を構成する。そして、この第1の実施形態の位置指示器は、その共振回路の静電容量の変化に応じて変化する共振周波数を、位置検出装置に伝達して、この位置検出装置において、芯体に印加される押圧力、すなわち、筆圧を検出することができるようにする。そして、この第1の実施形態の位置指示器では、芯体に印加される押圧力に応じて変化する静電容量を有する圧力感知部材は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術により製作される静電容量方式の圧力センシング半導体デバイスにより構成する。
【0025】
また、この第1の実施形態の位置指示器は、筐体の周面に設けられた押下操作子によりオン・オフされるプッシュスイッチを備え、このプッシュスイッチのオン・オフにより、共振回路の共振周波数を変更するようにする構成を備える。なお、このプッシュスイッチは、芯体に近い位置であって筐体の周部に設けられており、サイドスイッチとも呼ばれている。
【0026】
プッシュスイッチは、後述するように、コイルと共に共振回路を構成するコンデンサとして設けられる複数個のコンデンサを切り替えることにより、共振回路の共振周波数を変化させる。この実施形態の位置指示器は、プッシュスイッチのオン・オフに応じた共振周波数の変化を、共振回路のコイルから、電磁誘導信号の位相(共振周波数)として位置検出装置に伝達する。
【0027】
位置検出装置は、ループコイルで受信する位置指示器からの電磁誘導信号の位相(周波数)の変化を検出することで、位置指示器のプッシュスイッチの操作を検出することができる。なお、位置検出装置で検出されたプッシュスイッチのオン・オフ操作は、位置検出装置に内蔵されている、あるいは位置検出装置に対して外部接続されているパソコンなどの電子機器で、例えば決定操作入力など、種々の機能に割り当てられている。
【0028】
図2(A)は、この第1の実施形態の位置指示器1の全体の構成の概要を示すものである。位置指示器1は、ペン形状を備えており、円筒状の筐体2内の内部空間に、位置指示器の構成部品が収納される。図2(A)では、筐体2の内部の構成の理解を容易にするために、位置指示器1の筐体2を断面で示してある。
【0029】
この第1の実施形態の位置指示器1の筐体2は、非磁性体材料、例えば樹脂で構成され、筐体2のペン先側に開口3aを有する円筒状の第1のケース部材3と、この第1のケース部材3と同心円状に嵌合されて結合される円筒状の第2のケース部材4とからなる。
【0030】
第1のケース部材3の内部は、断面形状が例えば円形の中空部3bが設けられ、この中空部3b内に、図1に示すように、電磁誘導方式の位置指示器の基本的な構成部品が収納された筒状体5が、その中心軸方向が筐体2の中心軸方向となる状態で収納される。筒状体5は、非磁性体金属、樹脂材、ガラス、セラミックなどの非磁性体、この例では、例えばSUS305,SUS310Sなどの素材で構成されている。
【0031】
筒状体5に収納される電磁誘導方式の位置指示器の基本的な構成部品は、芯体11、共振回路を構成するインダクタンス素子の例として磁性体であるフェライトコア14に巻回されたコイル13、圧力感知部材の例として静電容量方式の圧力センシング半導体デバイス15、コイル13と共振回路を構成するコンデンサを含むコンデンサ回路16からなる。
【0032】
この第1の実施形態では、この筒状体5を、筆記具のボールペンのインクカートリッジと同様に、筐体2内に収納するだけで位置指示器1を構成することができる。また、筐体2に対して、筒状体5を交換することも可能である。そこで、前述もしたが、この明細書においては、筒状体内に、電磁誘導方式の位置指示器としての主要な構成部品が内部に収納されたものを、電子インクカートリッジと呼ぶことにする。
【0033】
[電子インクカートリッジの構成例]
この第1の実施形態における電子インクカートリッジ10の構成例を、図1及び図3図9を参照して説明する。図1(A)は、電子インクカートリッジ10の内部構成を説明するための断面図である。ただし、説明の便宜上、電子インクカートリッジ10の筒状体5の内部の一部の構成部品(圧力センシング半導体デバイス15及びコンデンサ回路16)については、図1(A)では断面とせず、後述するように、別途、断面図を用意した。また、図1(B)は、電子インクカートリッジ10の全体の構成を説明するための分解斜視図である。
【0034】
筒状体5は、この第1の実施形態では、中心軸方向に2つに分けられた第1の筒状体5Aと第2の筒状体5Bとからなる。この例では、この第1の筒状体5A及び第2の筒状体5Bは、それぞれ、外径が例えば2.5mm、内径が例えば1.5mm〜2mmとされた細型形状とされている。
【0035】
第1の筒状体5Aの中心軸方向の一端側には、芯体11の先端を延出するための開口5Aaが設けられている。この開口5Aaの径は、第1の筒状体5Aの内径よりも小さい。一方、第1の筒状体5Aの中心軸方向の他端側は、その内径の全体が開口5Abとされている。また、第2の筒状体5Bは、その中心軸方向の両端側において、その内径の全体が開口とされている。
【0036】
そして、図1(A)に示すように、第1の筒状体5Aの、開口5Abの外周側面には、第2の筒状体5Bの一端側の開口の内壁面に形成されたネジ部5Baと螺合するネジ部5Acが形成されている。また、第2の筒状体5Bの他端側の開口近傍の内壁面には、非磁性体例えば樹脂からなるキャップ17の外周の一部に形成されているリング状溝部17aと嵌合するリング状突部5Bbが、例えば第2の筒状体5Bが当該位置で絞られることで、形成されている。また、第2の筒状体5Bの他端側の開口側の周側面の周方向の所定位置には、周方向の位置決め用の溝5Bcが、中心軸方向に沿って形成されている。
【0037】
そして、キャップ17には、第2の筒状体5Bの溝5Bcと係合する突部17cが形成されている。キャップ17は、突部17cが溝5Bc内に挿入されるように、第2の筒状体5B内に押し込まれることにより、周方向の位置決めがなされながら、リング状溝部17aとリング状突部5Bbが嵌合して、第2の筒状体5B内に係止して、中心軸方向に移動しないように位置規制される。
【0038】
そして、図1(A)及び図1(B)に示すように、第1の筒状体5A内には、開口5Aaから見て、コイルバネ12、芯体11、コイル13が巻回された磁性体の例としてのフェライトコア14及び圧力センシング半導体デバイス15の順に、第1の筒状体5Aの中心軸方向に、各部品の中心軸が一致するように、順次に並べられて収納される。
【0039】
この第1の実施形態では、圧力センシング半導体デバイス15は、後述するように、静電容量方式の圧力感知チップ100を内蔵するだけでなく、フェライトコア14とコンデンサ回路16とを機構的に結合すると共に、コイル13とコンデンサ回路16とを電気的に接続するための連結部材の役割もする。
【0040】
そして、図1及び図3に示すように、圧力センシング半導体デバイス15は円柱状形状を有し、その外周面の所定の中心軸方向の位置には、リング状凹溝15a,15bが形成されている。一方、第1の筒状体5Aには、圧力センシング半導体デバイス15が収納されたときに前記リング状凹溝15a,15bが対応するその中心軸方向の位置において、例えば外周面がリング状に絞られることにより、その内壁面側に突出するリング状突部5Ad、5Aeが形成されている。
【0041】
したがって、圧力センシング半導体デバイス15を、第1の筒状体5A内の中心軸方向に挿入すると、圧力センシング半導体デバイス15は、その外周面のリング状凹溝15a,15bと、第1の筒状体5Aの内壁面のリング状突部5Ad,5Aeとが嵌合することにより係止して、第1の筒状体5A内でのその中心軸方向の位置決めが行われる。なお、第1の筒状体5Aの内壁面のリング状突部5Ad,5Aeの形成位置は、この例では、圧力センシング半導体デバイス15のコンデンサ回路16と結合する側の端面が、第1の筒状体5Aの開口5Abの端面と面一となるような位置とされている。
【0042】
そして、この第1の実施形態においては、圧力センシング半導体デバイス15に対して、その中心軸方向にコンデンサ回路16が連結され、この実施形態ではコンデンサ回路16が収納された第2の筒状体5Bが、第1の筒状体5Aとネジ部5Ac,5Baにおいて螺合される。そして、第2の筒状体5Bに、キャップ17が挿入されて、第2の筒状体5Bの開口が閉塞され、筒状体5の組立が完了となる。
【0043】
[電子インクカートリッジの筒状体内の各部の構成]
この実施形態における芯体11は、例えば樹脂で構成され、第1の筒状体5Aの開口5Aaから延出される先端部を有する。また、芯体11は、開口5Aaから脱落しないように開口5Aaよりも大きな径であって、かつ、第1の筒状体5A内では中心軸方向に移動可能となるように第1の筒状体5Aの内径よりも若干小さい直径の鍔部11aを備える。そして、芯体11は、この鍔部11aの上面のほぼ中央に突部11bを備える。
【0044】
フェライトコア14は円柱状形状を有し、コイル13が巻回された状態で、そのコイル13の部分も含めた直径が、第1の筒状体5Aの内径と等しい、あるいは若干小さいものとなるようにされている。このフェライトコア14の中心軸方向の芯体11側の端面には、芯体11の鍔部11aの上面に形成された突部11bが嵌合される凹部14aを備える。芯体11は、その鍔部11aの突部11bがフェライトコア14の凹部14aに嵌合され、更に、接着材により接着されて、フェライトコア14に固定される。
【0045】
また、フェライトコア14の中心軸方向の圧力センシング半導体デバイス15側の端面の中央には、後述するように、圧力センシング半導体デバイス15に内蔵される圧力感知チップ100に対して押圧力を印加するための押圧突部14bが形成されている。
【0046】
[圧力センシング半導体デバイスの構成例]
この第1の実施形態の位置指示器1は、前述したように、筆圧を、コイルと共に共振回路を構成する圧力感知部材が備えるコンデンサの静電容量の変化として検出する。ただし、この第1の実施形態の位置指示器1では、背景技術の欄で説明したような、複数個の機構部品の組合せによる容量可変コンデンサを用いて筆圧を検出するのではなく、出願人が特願2012−15254として先に提案した、MEMS技術により製作された半導体デバイス(圧力感知チップ)が圧力感知部材として使用される。
【0047】
図3は、この例の圧力センシング半導体デバイス15の構成を説明するための図である。図3(A)は、芯体11、コイル13が巻回されたフェライトコア14及び圧力センシング半導体デバイス15が結合されて共振回路ユニットとして構成された部分の縦断面図である。また、図3(B)は、圧力センシング半導体デバイス15に収納された圧力感知チップ100を説明するための図である。
【0048】
図3(A)に示すように、圧力センシング半導体デバイス15は、例えば樹脂からなるパッケージ部材151内に、圧力感知チップ100を、外部からの押圧部材により押圧可能な状態で収納したものとして構成される。押圧部材は、この例では、フェライトコア14の押圧突部14bとされる。そして、この例の圧力センシング半導体デバイス15は、芯体11が結合されていると共に、コイル13が巻回されたフェライトコア14が、パッケージ部材151に保持されて一体化構造とされたユニット構成とされている。
【0049】
中実の円柱状形状のフェライトコア14の圧力センシング半導体デバイス15側の端面には、前述したように、押圧突部14bが形成される。この例では、フェライトコア14のコイル13の巻回部の直径は、例えば2mmとされ、押圧突部14bの直径は、例えば1mmとされている。
【0050】
そして、フェライトコア14の押圧突部14bは、筆圧に応じた圧力を伝達する押圧部材として、圧力センシング半導体デバイス15内に挿入される。そして、この例では、図3(A)及び図3(B)に示すように、コイル13が巻回されるフェライトコア14の一部分も、圧力センシング半導体デバイス15のパッケージ部材151内に、筒状体の中心軸方向に移動可能に、保持されるように構成されている。
【0051】
次に、この例の圧力センシング半導体デバイス15の構成について説明する。
この例の圧力センシング半導体デバイス15は、例えば、MEMS技術により製作されている半導体素子として構成される圧力感知チップ100を、例えば円柱形状のパッケージ部材151内に封止したものである(図3(A)参照)。そして、この例においては、圧力センシング半導体デバイス15のパッケージ部材151は、コイル13が巻回されたフェライトコア14と、コンデンサ回路16との機構的及び電気的な連結部材としての機能を備えるように構成されている。
【0052】
この例の圧力感知チップ100は、図3(B)に示すように、第1の電極101と、第2の電極102と、第1の電極101及び第2の電極102の間の絶縁層(誘電体層)103とからなる。第1の電極101及び第2の電極102は、単結晶シリコン(Si)からなる導体で構成される。絶縁層103は、この例では酸化膜(SiO)からなる絶縁膜で構成される。
【0053】
そして、この絶縁層103には、例えば円形の凹部104が形成され、絶縁層103と、第1の電極101との間に空間105が形成される。凹部104の底面は平坦な面とされ、その直径Rは、例えばR=1mmとされている。また、凹部104の深さは、この例では、数十ミクロン〜数百ミクロン程度とされている。第1の電極101は、面101a側から押圧されると、空間105の方向に撓むように変位可能となる。
【0054】
以上のような構成の圧力感知チップ100は、第1の電極101と第2の電極102との間に静電容量Cvが形成されるコンデンサである。そして、図3(B)に示すように、第1の電極101の面101a側から第1の電極101に対して圧力Pが印加されると、第1の電極101は、図3(B)において、点線で示すように撓み、第1の電極101と、第2の電極102との間の距離が短くなり、静電容量Cvの値が大きくなるように変化する。第1の電極101の撓み量は、印加される圧力Pの大きさに応じて変化する。したがって、静電容量Cvは、圧力感知チップ100に印加される圧力Pの大きさに応じて変化する。この静電容量Cvを測定することで圧力を検出することが可能となる。
【0055】
この実施形態の圧力センシング半導体デバイス15においては、以上のような構成を備える圧力感知チップ100は、圧力を受ける第1の電極101の面101aが、図3(A)において、パッケージ部材151の上面151aに対向する状態でパッケージ部材151内に収納されている。
【0056】
パッケージ部材151は、この例では、セラミック材料や樹脂材料等の電気絶縁性材料からなる。パッケージ部材151内の、圧力感知チップ100が圧力を受ける第1の電極101の面101a側の上部には、第1の電極101の面積に対応した凹部152が設けられており、この凹部152内には弾性部材153が充填されて配設されている。弾性部材153は、この例ではシリコン樹脂で構成されている。
【0057】
そして、パッケージ部材151には、上面151aから弾性部材153の一部にまで連通する連通穴154が形成されている。すなわち、パッケージ部材151には、連通穴154の一部を構成する貫通孔151bが形成されていると共に、弾性部材153には、連通穴154の端部を構成する凹穴153aが設けられている。また、パッケージ部材151の連通穴154の開口部側(上面151a側)にはテーパー部152cが形成されて、連通穴154の開口部は、ラッパ状形状とされている。
【0058】
図3(A)に示すように、連通穴154には、圧力センシング半導体デバイス15に対して、フェライトコア14の押圧突部14bが、テーパー部152cにガイドされて、挿入される。そして、ペン先部となる芯体11に印加される筆圧に応じた圧力Pがフェライトコア14の中心軸方向に伝達され、その圧力Pが、弾性部材153を介して圧力センシング半導体デバイス15の圧力感知チップ100に印加される。
【0059】
なお、この例では、パッケージ部材151の貫通孔151bの内径は、フェライトコア14の押圧突部14bが貫通孔151bに当接する部分の直径より若干大きくされていると共に、弾性部材153の凹穴153aの内径は、フェライトコア14の押圧突部14bが凹穴153aに当接する部分の直径よりも若干小さくされている。このため、フェライトコア14の押圧突部14bは、弾性部材153の凹穴153aにおいて、弾性部材153により弾性的に保持される。つまり、フェライトコア14の押圧突部14bは、圧力センシング半導体デバイス15の連通穴154に挿着されると、圧力センシング半導体デバイス15から容易に離脱しないように保持される。
【0060】
また、この例では、圧力センシング半導体デバイス15のパッケージ部材151は、その上面151a側に、フェライトコア14のコイル巻回部の一部を嵌合して保持するための凹部151cを備えている。そして、パッケージ部材151は、フェライトコア14の押圧突部14bがパッケージ部材151の連通穴154内に挿通され、かつ、フェライトコア14のコイル巻回部の一部を凹部151cに嵌合する状態として、フェライトコア14を保持する。
【0061】
この場合に、印加される圧力によりフェライトコア14の押圧突部14bが圧力感知チップ100の第1の電極101を空間105の方向に撓ませることが制限されないように、フェライトコア14のコイル巻回部と押圧突部14bとの段部と、圧力センシング半導体デバイス15のパッケージ部材151の凹部151cの底部との間には、クッション部材155が設けられている。なお、パッケージ部材151は、弾性部材153と同じ素材、例えばシリコン樹脂で構成することもできる。
【0062】
また、パッケージ部材151の外周面には、第1の筒状体5Aの内周面のリング状突部5Ad及び5Aeと嵌合するリング状凹溝15a,15bが、前述したように形成されている。そして、芯体11が接合されると共にコイル13が巻回されたフェライトコア14と共にユニット化された圧力センシング半導体デバイス15が、図1(A)に示すように、筒状体5A内に挿入されると、圧力センシング半導体デバイス15は、筒状体5Aに対して中心軸方向には移動しないように係止された状態となる。この結果、ユニット化された圧力センシング半導体デバイス15は、第1の筒状体5A内でのその中心軸方向の位置決めが行われる。この場合に、この例では、圧力センシング半導体デバイス15のコンデンサ回路16との結合側の端面が、第1の筒状体5Aの開口5Abの端面と面一となるような位置とされ、凹部156の底面の端子部材157の端部157a及び端子部材158の端部158aの挿入孔158bが外部に露呈する状態となっている。
【0063】
以上のように筒状体5A内にユニット化された圧力センシング半導体デバイス15が係止された状態において、芯体11に対して中心軸方向に押圧力が加わると、すなわち、筆圧が加わると、その筆圧に応じた圧力によりフェライトコア14が、圧力センシング半導体デバイス15の弾性部材153を介して、圧力感知チップ100を押圧する。前述したように、圧力感知チップ100の静電容量Cvは、圧力感知チップ100に伝達された筆圧に応じて変化する。
【0064】
この場合に、この例においては、圧力感知チップ100はフェライトコア14の押圧突部14bによって直接に押圧されるのではなく、弾性部材153が、フェライトコア14の押圧突部14bと圧力感知チップ100との間に介在する。この弾性部材153の介在により、圧力感知チップ100が圧力を受ける面側における耐圧性、耐ショック性が向上し、圧力感知チップ100の面101a側が過大な圧力、予期しない瞬間圧力などにより損壊されてしまうことを防止することができる。
【0065】
パッケージ部材151の、フェライトコア14との係合側とは反対側には、コンデンサ回路16を中心軸方向に嵌合させる凹部156が形成されている。この凹部156は、後述する円柱状形状のコンデンサ回路16の外径とほぼ同じ内径を有し、その側壁には、コンデンサ回路16の後述する第1のコンデンサ回路161に形成されているリング状突部161aと嵌合するリング状凹溝156aが形成されている。
【0066】
そして、パッケージ部材151内には、弾性を有する導電体からなる端子部材157,158がインサート成型されて設けられている。これら端子部材157及び158は、コイル13の両端13a及び13b、圧力感知チップ100の第1の電極101及び第2の電極102、さらにコンデンサ回路16の一端及び他端が、それぞれ接続されるように構成されている。
【0067】
すなわち、凹部156の底面には、圧力感知チップ100の第1の電極101と接続されている端子部材157の端部157aが露呈するように導出されている。この端子部材157と、圧力感知チップ100の第1の電極101との電気的接続は、図3(A)に示すように、例えば金線によりなされる。この端子部材157の端部157aは、後述するコンデンサ回路16の一方の端子と電気的な接続をするために用いられる。
【0068】
また、パッケージ部材151の凹部156の底面には、凹穴156bが形成されている。そして、圧力感知チップ100の第2の電極102と接続されている端子部材158の一端158aが、この凹穴156b内に位置するようにされている。端子部材158は、圧力感知チップ100の第2の電極102と接触して取り付けられることで、第2の電極102と電気的に接続されている。
【0069】
そして、端子部材158の、当該凹穴156b内に位置する端部158aには、棒状体が挿入可能とされると共に、弾性を有する導電金属の折り曲げ部を伴う挿入孔158bが形成されている。一方、後述するように、コンデンサ回路16には、他方の端子として、第1のコンデンサ回路161の端子部材1615の一方の端部1615a(棒状体)が設けられる。そして、凹穴156b内に位置する端子部材158の端部158aの挿入孔158bに、コンデンサ回路16の他方の端子としての棒状体が挿入されることにより、両者が電気的な接続をする。
【0070】
そして、この例では、図3(A)に示すように、パッケージ部材151の上面151aには、端子部材157,158のそれぞれと、例えば金線により電気的に接続(細い実線で図示)された端子159a,159bが設けられている。そして、これら端子159a及び端子159bには、フェライトコア14に巻回されているコイル13の一端13a及び他端13bがそれぞれ接続されている。
【0071】
コンデンサ回路16が圧力センシング半導体デバイス15のパッケージ部材151の凹部156内に挿入されたときには、コンデンサ回路16の一方の端子である後述する端子部材1614の一端1614aは、端子部材157の端部157aと当接することで互いが電気的に接続される。また、このとき同時に、コンデンサ回路16の他方の端子となる端子部材1615の棒状突部を構成する一端1615aが、弾性を有する導電金属の折り曲げ部と接触するように、挿入孔158b内に挿入されることにより、コンデンサ回路16の他方の端子と端子部材158との電気的な接続がなされる。そして、コンデンサ回路16のリング状突部161aが、圧力センシング半導体デバイス15パッケージ部材151の凹部156のリング状凹溝156aに嵌合することにより、コンデンサ回路16は、パッケージ部材151に係止される。
【0072】
以上の構成により、芯体11が配設されていると共にコイル13が巻回されたフェライトコア14と、圧力センシング半導体デバイス15とが一体的に構成された共振回路ユニットの凹部156に、コンデンサ回路16を挿入して嵌合させることで、コンデンサ回路16の一方の端子及び他方の端子が、コイル13の一端13a及び他端13bにそれぞれ接続されると共に、圧力感知チップ100の第1の電極101及び第2の電極102にそれぞれ接続される。
【0073】
[コンデンサ回路16の構成例]
次に、コンデンサ回路16の構成について説明する。図4図6は、この実施形態におけるコンデンサ回路16の構成例を説明するための図である。
【0074】
この第1の実施形態では、コンデンサ回路16は、図1及び図4に示すように、第1のコンデンサ回路161と、第2のコンデンサ回路162とを、中心軸方向に結合した構成を備える。第1のコンデンサ回路161は、コイル13と並列に接続されて共振回路を構成する。また、第2のコンデンサ回路162は、プッシュスイッチ7が例えばオンとされたときに、第1のコンデンサ回路161に並列に接続されて共振回路を構成する。第1のコンデンサ回路161及び第2のコンデンサ回路162は、プッシュスイッチ7の操作状態に対応して、第1及び第2の共振周波数を生成するために設けられている。この例では位置指示器1にプッシュスイッチ7を設ける必要がないときには、第1のコンデンサ回路161によって位置指示器1として所望される共振周波数に設定される。また、位置指示器1にプッシュスイッチ7が配設される場合には、プッシュスイッチ7がオフの状態では、第1のコンデンサ回路161によって第1の共振周波数が設定され、プッシュスイッチ7がオンの状態では、第1のコンデンサ回路161に第2のコンデンサ回路162が並列接続されることで第2の共振周波数が設定されるように構成されている。
【0075】
第1のコンデンサ回路161及び第2のコンデンサ回路162は、図4に示すように、例えば樹脂からなる筒状のホルダー1610及び1620のそれぞれの内部に、チップコンデンサ163が複数個互いに積層されて収納されることで並列接続される。
【0076】
この例の場合、チップコンデンサ163のそれぞれは、例えば特開2009−124155号公報に記載されている多層セラミックコンデンサが用いられる。この例のチップコンデンサ163は、直方体形状に形成されており、図4において、黒く塗り潰して示すように、コンデンサの積層方向に直交する方向の端面であって、互いに対向する端面には、その積層方向の全体に渡って、チップコンデンサ163の一方の電極164及び他方の電極165が露呈されて形成されている。
【0077】
チップコンデンサ163を重ねることで、複数のチップコンデンサの一方の電極164及び他方の電極165がそれぞれ接続されることになり、各チップコンデンサ163は互いに並列接続される。第1のコンデンサ回路161及び第2のコンデンサ回路162の静電容量のそれぞれは、ホルダー1610及び1620内に収納される各チップコンデンサ163の静電容量の値と、その数により定まる。
【0078】
なお、第1のコンデンサ回路161及び第2のコンデンサ回路162が備えるそれぞれの静電容量の値は、後述するように、コイル13のインダクタンス及び圧力センシング半導体デバイス15が有するコンデンサの静電容量の値のバラツキの程度を勘案して設定される。チップコンデンサ163を積層することで静電容量値を最適化した結果として、中空部1611,1621内に収納されるチップコンデンサ163の数が所定数に満たないときには、中空部1611,1621内には常に所定の数となるように、この例では、実質的には静電容量を有しないダミーのチップコンデンサが収納される。
【0079】
図5は、第1のコンデンサ回路161の構成例を示すものである。図5(A)は、第1のコンデンサ回路161の、圧力センシング半導体デバイス15と対向する端面を示す図であり、また、図5(B)は、図5(A)のB−B断面図である。更に、図5(C)は、第1のコンデンサ回路161の、第2のコンデンサ回路162と対向する端面を示す図である。また、図6は、第2のコンデンサ回路162の構成例を示すものである。図6(A)は、第2のコンデンサ回路162の、第1のコンデンサ回路161の端面と対向する端面を示す図であり、また、図6(B)は、図6(A)のC−C断面図である。更に、図6(C)は、第2のコンデンサ回路162の、キャップ17と対向する端面を示す図である。
【0080】
図4図5及び図6に示すように、第1のコンデンサ回路161のホルダー1610及び第2のコンデンサ回路162のホルダー1620は、その中心軸方向に、チップコンデンサ163の形状に応じた有低の中空部1611及び1621をそれぞれ備える。
【0081】
この例の場合、ホルダー1610及び1620の中空部1611及び1621の開口側には、互いに対向する壁面から中空部1611及び1621側に突出するように形成された、弾性変形可能な爪部1612,1613及び1622,1623が設けられている。チップコンデンサ163は、この爪部1612,1613及び1622,1623を弾性偏倚させることで乗り越えるようにして、中空部1611,1621内に収納される。そして、爪部1612、1613及び1622,1623は、中空部1611及び1621に収納された複数のチップコンデンサ163の最も上のものの上面に係合して、中空部1611及び1621内に、複数個のチップコンデンサ163の全体を係止させる。
【0082】
そして、第1のコンデンサ回路161のホルダー1610には、図5(B)に示すように、その中心軸方向の両端面間を貫くように、対の端子部材1614及び1615が設けられる。端子部材1614は、中空部1611に収納されたチップコンデンサ163の全ての一方の電極164と接続されるように設けられている。また、端子部材1615は、中空部1611に収納されたチップコンデンサ163の全ての他方の電極165と接続されるように設けられている。
【0083】
そして、端子部材1614の一端1614aは、図5(A)に示すように、リング状電極導体として構成されて、圧力センシング半導体デバイス15と対向する端面側に導出されている。このリング状電極導体としての端子部材1614の一端1614aは、圧力センシング半導体デバイス15の凹部156の電極導体157aと衝合して電気的に接続されるように構成されている。また、第1のコンデンサ回路161の端子部材1614の他端1614bは、図5(B)及び(C)に示すように、第2のコンデンサ回路162と対向する端面側において、中空部1611の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
【0084】
また、第1のコンデンサ回路161の端子部材1615の一端1615aは、図5(A)及び(B)に示すように、圧力センシング半導体デバイス15と対向する端面の中央部から突出する棒状体として導出されて、圧力センシング半導体デバイス15の凹部156の凹穴156bに形成されている端子部材158に形成されている挿入孔158bに挿入されて電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1615の他端1615bは、図5(B)及び(C)に示すように、第2のコンデンサ回路162と対向する端面側において、中空部1611の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
【0085】
そして、第1のコンデンサ回路161のホルダー1610の外周面の、圧力センシング半導体デバイス15との連結部分には、圧力センシング半導体デバイス15の凹部156の内壁に形成されているリング状凹溝156aと嵌合するリング状突部161aが形成されている。
【0086】
また、第2のコンデンサ回路162のホルダー1620には、図6(B)に示すように、その中心軸方向の両端面間を貫くように、端子部材1624及び1625が設けられる。また、ホルダー1620には、端子部材1626が更に設けられる。
【0087】
端子部材1624は、中空部1621に収納されたチップコンデンサ163の全ての一方の電極164と接続されるように設けられている。端子部材1625は、中空部1621のチップコンデンサ163とは接続されることなく、ホルダー1620の中心軸方向の両端面間を貫くように設けられる。更に、端子部材1626は、中空部1621に収納されたチップコンデンサ163の全ての他方の電極165と接続されるように設けられている。ただし、この端子部材1626は、その一端がホルダー1620内に存在して外部には露呈せず、他端1626bのみが外部に露呈するようにされる。
【0088】
端子部材1624の一端1624aは、図6(A)及び(B)に示すように、第1のコンデンサ回路161と対向する端面側に導出されて、第1のコンデンサ回路161の端子部材1614の他端1614bと衝合して電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1624の他端1624bは、図6(B)及び(C)に示すように、キャップ17の端面と対向する端面側において、中空部1621の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
【0089】
端子部材1625の一端1625aは、図6(A)及び(B)に示すように、第1のコンデンサ回路161と対向する端面側に導出されて、第1のコンデンサ回路161の端子部材1615の他端1615bと衝合して電気的に接続されるように構成されている。また、端子部材1625の他端1625bは、図6(B)及び(C)に示すように、キャップ17と対向する端面側において、中空部1621の開口の側部に露呈するように導出されて設けられている。
【0090】
中空部1621に収納されたチップコンデンサ163の全ての他方の電極165と接続された端子部材1626の他端1626bは、図6(B)及び(C)に示すように、キャップ17の端面と対向する端面側において、中空部1621の開口よりも外側に折り曲げられて設けられている。
【0091】
また、第2のコンデンサ回路162のホルダー1620の外周部の所定位置には、中心軸方向に沿う突部162aが形成されている。この突部162aは、この第2のコンデンサ回路162の、筒状体5B内での周方向の位置決め用である。また、第2のコンデンサ回路162のホルダー1620のキャップ17に嵌合される部分の周面には、リング状突部162bが形成されている。
【0092】
更に、第1のコンデンサ回路161のホルダー1610の、第2のコンデンサ回路162のホルダー1620と対向する端面には、図4及び図5(C)に示すように、嵌合凹穴1616及び1617が形成される。また、第2のコンデンサ回路162のホルダー1620の、第1のコンデンサ回路161のホルダー1610と対向する端面には、図6(A)及び図6(B)に示すように、ホルダー1610の嵌合凹穴1616及び1617に嵌合する突部1627及び1628が形成される。
【0093】
この場合に、図6(D)に示すように、ホルダー1610の嵌合凹穴1616及び1617はL字型に屈曲されていると共に、ホルダー1620の突部1627及び1628は、先端がL字型に屈曲されており、ホルダー1610の嵌合凹穴1616及び1617に、ホルダー1620の突部1627及び1628を嵌合させると、ホルダー1620の突部1627及び1628が、弾性偏倚して嵌合凹穴1616及び1617に挿入され、互いの屈曲部により、第1のコンデンサ回路161と第2のコンデンサ回路162とは、互いの結合が容易に解除されないようにして連結される。
【0094】
[キャップ17の構成例]
次に、図7に、キャップ17の構成例を示す。図7(A)は、キャップ17を、コンデンサ回路16との対向面側から見た図であり、図7(B)は、図7(A)のD−D断面図である。また、図7(C)は、キャップ17を、コンデンサ回路16との対向面側とは反対側から見た図である。
【0095】
キャップ17は、非磁性体、この例では樹脂からなる本体171に、導電体からなる端子部材172,173がインサート成型されて設けられている。また、キャップ17は、後述するプッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9の先端が嵌合されるコネクタ174を備える。
【0096】
図1及び図7(C)に示すように、キャップ17の本体171は全体として円柱状形状とされており、コンデンサ回路16との対向面側は、電子インクカートリッジ10の第2の筒状体5B内に挿入される径の径小部175とされ、その他は、筒状体5の外径よりも径の大きい径大部176とされている。そして、キャップ17の径大部176の、コンデンサ回路16との対向面側とは反対側の部分は、円柱状形状部分が、中心軸方向に、一部が切り欠かれた形状を備える。図の例では、径大部176は、その円柱状形状部分の半分が切り欠かれて、中心軸方向に平行な平面177が形成されている。
【0097】
コネクタ174は、この径大部176に形成された平面177に設けられている。そして、端子部材172及び173は、コンデンサ回路16と、径大部176に形成された平面177に設けられたコネクタ174との間の電気的接続を行うように設けられている。
【0098】
キャップ17の径小部175の周部には、第2の筒状体5Bの開口内壁に設けられたリング状突部5Bbに嵌合するリング状溝部17aが形成されている。また、キャップ17の径小部175には、第2の筒状体5Bの開口端側に形成されている位置決め用溝5Bcに係合する突部17cが、キャップ17の中心軸方向に形成されている。さらに、キャップ17の径大部176には、後述するように、位置指示器1の筐体の内壁面に形成されているネジ部と螺合するネジ部17bが形成されている。
【0099】
そして、図7(A)及び(B)に示すように、キャップ17の径小部175には、コンデンサ回路16の第2のコンデンサ回路162を嵌合させる凹部178が形成されている。凹部178は、第2のコンデンサ回路162の径とほぼ等しい径の円形凹穴である。この凹部178の側壁には、第2のコンデンサ回路162のリング状突部162bが嵌合するリング状凹溝178aが形成されていると共に、第2のコンデンサ回路162に形成されている中心軸方向突部162aが係合する中心軸方向凹溝178bが形成されている。
【0100】
また、キャップ17の凹部178の底面には、端子部材172,173の一方の端部172a、173aが、第2のコンデンサ回路162の端面の端子部材1625の他端1625b及び端子部材1626の他端1626bと弾性的に衝合するように露呈して設けられている。端子部材172の他端172bは、コネクタ174の一端に接続され、また、端子部材173の他端173bは、コネクタ174の他端に接続される。なお、コネクタ174の一端は、後述するプッシュスイッチ7の一端に接続され、コネクタ174の他端は、プッシュスイッチ7の他端に接続される。
【0101】
[等価回路]
以上説明した電子インクカートリッジ10のコイル13、圧力感知チップ100を構成するコンデンサ100C、コンデンサ回路16及びプッシュスイッチ7を含む電子回路部分の等価回路を、図8に示す。この場合に、前述したように、コイル13の一端13a及び他端13bは、圧力センシング半導体デバイス15のパッケージ部材151の上面151aに設けられている端子159a及び端子159bを通じて端子部材157及び端子部材158に接続されている。そして、これら端子部材157及び端子部材158の間には、前述したように、コイル13と並列に圧力感知チップ100を構成するコンデンサ100Cが接続されている。
【0102】
前述したように、圧力センシング半導体デバイス15に対して、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161が結合された状態では、圧力センシング半導体デバイス15の凹部156の端子部材157の一端157aは、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の端子部材1614の一端1614aに接続される。また、圧力センシング半導体デバイス15の端子部材158は、その挿入孔158aに、第1のコンデンサ回路161の端子部材1615の棒状の一端1615aが挿入されることにより、端子部材1615に接続される。
【0103】
前述したように、第1のコンデンサ回路161の端子部材1614と、端子部材1615との間には、第1のコンデンサ回路161を構成する複数個のチップコンデンサ163が並列に接続されている。したがって、図8に示すように、コイル13に対して、この第1のコンデンサ回路161を構成する複数個のチップコンデンサ163は、互いに並列に接続される。図8では、5個のチップコンデンサ163の静電容量Ca〜Ceが、コイル13のインダクタンスに対して並列に接続された状態を示している。なお、複数個のチップコンデンサ163の静電容量Ca〜Ceは、互いに等しいものであっても良いし、異なるものであっても良い。静電容量Ca〜Ceは、互いに並列に接続されるので、第1のコンデンサ回路161の全体の静電容量は、この第1のコンデンサ回路161を構成する複数個のチップコンデンサ163のそれぞれの静電容量を単純に加算したものとなる。
【0104】
次に、第1のコンデンサ回路161に対して、更に第2のコンデンサ回路162を結合した状態では、第1のコンデンサ回路161の端子部材1614の他端1614bと、第2のコンデンサ回路162の端子部材1624の一端1624aとが電気的に接続され、また、第1のコンデンサ回路161の端子部材1615の他端1615bと、第2のコンデンサ回路162の端子部材1625の一端1625aとが電気的に接続される。そして、図8に示すように、第2のコンデンサ回路162の端子部材1626の他端1626bと、端子部材1625の他端1625bとの間には、キャップ17のコネクタ174を通じてプッシュスイッチ7が接続される。
【0105】
したがって、端子部材1626の他端1626bと、端子部材1625の他端1625bとの間を短絡したときには、プッシュスイッチ7がオンと等価の状態となり、この状態では、コイル13に対して、第2のコンデンサ回路162を構成する複数個のチップコンデンサ163が、第1のコンデンサ回路161の複数個のチップコンデンサ163に加えて、互いに並列に接続される状態となる。なお、図8では、第2のコンデンサ回路162を構成する4個のチップコンデンサ163の静電容量Cf〜Ciが、コイル13のインダクタンスに対して並列に接続された状態を示している。この場合においても、複数個のチップコンデンサ163の静電容量Cf〜Ciは、互いに等しいものであっても良いし、異なるものであっても良い。
【0106】
[電子インクカートリッジ10の組立及び共振周波数の調整]
電子インクカートリッジ10は、以下のようにして組み立てられる。また、コイル13のインダクタンス及び圧力感知チップ100を構成するコンデンサ100Cに対応して、コンデンサ回路16の静電容量値を最適化することで、所望の共振周波数となるように調整がなされる。この場合に、電子インクカートリッジ10の組み立て、及び共振周波数の調整は、自動機が用いられて、自動的に行うことができる。
【0107】
先ず、第1の筒状体5Aの中空部内に、開口5Aa側を先端として、開口5Ab側から、中心軸方向に、コイルバネ12が挿入される。続いて、芯体11が結合されると共にコイル13が巻回されたフェライトコア14が圧力センシング半導体デバイス15と一体化された共振回路ユニット(図3(A)参照)が、第1の筒状体5A内に、開口5Ab側から挿入される。そして、圧力センシング半導体デバイス15のパッケージ部材151に形成されているリング状凹溝15a及び15bが、第1の筒状体5Aの内壁面のリング状突部5Ad及び5Aeと係合することで、芯体11、コイル13が巻回されたフェライトコア14、圧力センシング半導体デバイス15からなる共振回路ユニットが、第1の筒状体5A内において中心軸方向に移動しないように係止する。
【0108】
このとき、芯体11は、その鍔部11aと第1の筒状体5Aの開口5Aa側に形成された段部との間に、コイルバネ12が介挿される状態で、先端側が第1の筒状体5Aの開口5Aaから延出されるようにされる。そして、コイルバネ12により、芯体11、コイル13が巻回されたフェライトコア14、圧力センシング半導体デバイス15からなるユニットが、常に、開口5Aa側とは反対側に付勢され、ユニット化部品の筒状体5A内でのガタツキが防止される。
【0109】
この状態においては、圧力センシング半導体デバイス15のコンデンサ回路16と接続する側の端面は、第1の筒状体5Aの開口5Abで露呈する状態となる。したがって、圧力センシング半導体デバイス15の当該端面の凹部156に形成されている端子部材157の端部157aと、凹部156の凹穴156bに設けられている端子部材158の端部158aの挿入孔158bが、外部から接触可能となる(図3(A)参照)。
【0110】
この実施形態では、このように外部から接触可能な端子部材157及び端子部材158を用いて、以下のようにして、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の静電容量及び第2のコンデンサ回路162の静電容量を定め、その静電容量を備えたコンデンサ回路16が配置される。なお、上述したように、第2のコンデンサ回路162は、位置指示器1にプッシュスイッチ7が配置されることに対応して配置されており、位置指示器1にプッシュスイッチ7が配置されない場合には、静電容量を実質的に有しない第2のコンデンサ回路162として配置するか、あるいはコンデンサ回路16は第1のコンデンサ回路161で構成される。
【0111】
このコンデンサ回路16の静電容量の設定を、図8の等価回路を参照して説明する。前述したように、圧力センシング半導体デバイス15の端子159a及び159bが接続されている端子部材157及び端子部材158間には、ファライトコア14に巻回されたコイル13と、圧力センシング半導体デバイス15に収納されている圧力感知チップ100を構成する容量可変のコンデンサ100Cとの並列回路が接続されている。このとき芯体11には筆圧が印加されていない状態とされており、そのときのコイル13のインダクタンスLc、圧力感知チップ100を構成するコンデンサ100Cの静電容量CVoはそれぞれ製造に起因したバラツキを含んだ値であるとする。
【0112】
そこで、まずは、コイル13のインダクタンスLc、圧力感知チップ100を構成するコンデンサ100Cの静電容量CVoから構成される共振回路の共振周波数fを、端子部材157と端子部材158を使用して測定する。次に、容量値Coが既知のコンデンサを、端子部材157と端子部材158に接続して、同様にして、共振周波数fを測定する。なお、設定したい共振周波数fは既知であり、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161で設定すべき容量値をCxとする。
【0113】
=1/{4・π・Lc・CVo}
=1/{4・π・Lc・(CVo+Co)}
=1/{4・π・Lc・(CVo+Cx)}
これらの式から、
Cx=Co・(f/f・(f−f)/(f−f
となる。
【0114】
以上のように、コイル13のインダクタンスLc及び圧力感知チップ100を構成するコンデンサ100Cの静電容量が不明、あるいはバラツキを含む値であったとしても、設定したい共振周波数に対応してこのコイル13とコンデンサ100Cとの並列回路に更に並列に接続される静電容量の値を算出できる。換言すれば、プッシュスイッチ7がオフであるときの位置指示器1の共振回路の共振周波数を目的の周波数foとするようにする静電容量(コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の静電容量)を算出でき、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161を、その算出した静電容量となる個数のチップコンデンサ163で構成して、第1のコンデンサ回路161の静電容量が設定される。
【0115】
また、同様に、コイル13、圧力感知チップ100、第1のコンデンサ回路161から構成される共振回路に対して、プッシュスイッチ7がオンであるときの位置指示器1の共振回路の共振周波数を目的の周波数fとするようにするための静電容量(コンデンサ回路16の第2のコンデンサ回路162の静電容量Cx2)を次のようにして算出する。
【0116】
第1のコンデンサ回路161に設定された静電容量値をCx1(この値は、Cxと同じ値あるいは近似値である)として、容量値Coが既知のコンデンサに代えて静電容量値がCx1に設定されたコンデンサ回路16を、端子部材157と端子部材158に接続して、同様にして、共振周波数fを測定する。
【0117】
=1/{4・π・Lc・CVo}
=1/{4・π・Lc・(CVo+Cx1)}
=1/{4・π・Lc・(CVo+Cx1+Cx2)}
これらの式から、
Cx2=Cx1・(f/f・(f−f)/(f−f
となる。
【0118】
そして、その算出した静電容量Cx2となるように、コンデンサ回路16の第2のコンデンサ回路162の静電容量値Cx2を設定する。
【0119】
以上のようにして、実際の使用状態と同じ状態に配置された、芯体11、コイル13が巻回されたフェライトコア14、圧力センシング半導体デバイス15からなる共振回路ユニットの共振周波数を測定することで、コンデンサ回路16を構成する第1のコンデンサ回路161の静電容量の値が算出できる。実際には、第1のコンデンサ回路161の静電容量の値は、この算出された静電容量の値と同じあるいは近い値が設定される。
【0120】
また、プッシュスイッチ(サイドスイッチ)7を操作することで変移させる共振周波数は既知であることから、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の静電容量の値に依存性のある、第2のコンデンサ回路162の静電容量の値も算出可能である。
【0121】
なお、第2のコンデンサ回路162は、位置指示器1にプッシュスイッチ7が配置された際に必要とされるコンデンサ回路であって、第2のコンデンサ回路162の突部1627及び1628を、第1のコンデンサ回路161の嵌合凹穴1616及び1617に挿入嵌合させることで、第1のコンデンサ回路161に結合される。
【0122】
そして、以上のように静電容量の値が設定されたコンデンサ回路16を、筒状体5Aの開口部5Ab側に露呈している圧力センシング半導体デバイス15の凹部156に挿入し、前述したようにして、第1のコンデンサ回路161を圧力センシング半導体デバイス15に連結するようにする。
【0123】
そして、第1のコンデンサ回路161と第2のコンデンサ回路162を収納するようにして、第2の筒状体5Bの一端側の開口の内壁面に形成されたネジ部5Baと第1の筒状体5Aの開口5Abの外周側面に形成されたネジ部5Acとを螺合させて、一体的な筒状体を形成する。
【0124】
図8の等価回路から明らかなように、プッシュスイッチ7がオフの状態、あるいはプッシュスイッチ7が接続されていない状態、すなわち端部1625bと端部1626bとが接続されていない場合には、コンデンサ回路16の第2のコンデンサ回路162の静電容量Cf〜Ciは切り離されている。そこで、露呈している端部1625b、端部1626b間を非接続の状態として、測定装置により、コイル13、圧力感知チップ100を構成するコンデンサ100C及びコンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の静電容量からなる共振回路の共振周波数が、目的の周波数となっているかどうかをチェックする。チェックの結果、目的の共振周波数となっていなければ、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の静電容量値は再設定される。
【0125】
次に、プッシュスイッチ7がオンの状態と同様にするように、露呈している端部1625b、端部1626b間を電気的に接続して、測定装置により、コイル13、圧力感知チップ100を構成するコンデンサ100C、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の静電容量及び第2のコンデンサ回路162の静電容量からなる共振回路の共振周波数が、目的の周波数となっているかどうかをチェックする。チェックの結果、目的の共振周波数となっていなければ、コンデンサ回路16の第2のコンデンサ回路162の静電容量値を再設定する。
【0126】
上述の共振周波数の確認作業が終了した後には、キャップ17の径小部175を、第2の筒状体5B内に、位置決め用溝5Bcに突部17cを係合させると共に、第2のコンデンサ回路162の突部162aが、キャップ17の凹部178の溝178bに係合させるようにして挿入する。すると、キャップ17のリング状溝部17aと第2の筒状部5Bのリング状突部5Bbが嵌合して、キャップ17が第2の筒状体5B内に対して係止される。このとき、第2のコンデンサ回路162の端子部材1625の一端1625b及び端子部材1626の他端1626bが、キャップ17の端子部材173の一端173a及び端子部材172の一端172aとそれぞれ接続される。
【0127】
以上のようにして、電子インクカートリッジ10が組み立てられる。この電子インクカートリッジ10は、内蔵するコイル13と圧力感知チップ100の静電容量とコンデンサ回路16とからなる並列共振回路の共振周波数が、プッシュスイッチ7がオフ及びオンのいずれの状態における状態についても、調整済みとなっている。したがって、この実施形態では、当該電子インクカートリッジ10を位置指示器1の筐体2に収納したときには、共振周波数の調整は、もはや無用となる。
【0128】
そして、この第1の実施形態では、第1の筒状体5Aの中空部内に、芯体11と、コイル13が巻回されているフェライトコア14と、圧力センシング半導体デバイス15とを結合して一体化構造とした共振回路ユニットとしてユニット化したものを収納し、圧力センシング半導体デバイス15の端面に、コンデンサ回路16との接続用の端子であって、コイル13の一端及び他端と接続されている端子部材157の端部157a、端子部材158の端部158aを、外部から接触可能な状態で形成するようにした。
【0129】
このため、第1の筒状体5A内に収納された状態のコイル13と、圧力センシング半導体デバイス15が内蔵する圧力感知チップ100の静電容量とからなる共振回路の共振周波数を、その端面に設けられた端子を用いて測定することが可能となる。これにより、共振周波数が所望の値となるように、コイル13と共に並列共振回路を構成するコンデンサ回路16の静電容量値を算出できる。
【0130】
そして、上述の実施形態では、コイル13の一端及び他端に接続されている圧力センシング半導体デバイス15に設けられた端子が、第1の筒状体5Aから露呈するように構成されているので、静電容量が調整されたコンデンサ回路16の一方の電極及び他方の電極を、当該コイル13の一端及び他端に接続されている圧力センシング半導体デバイス15に設けられた端子に接続するようにして、コンデンサ回路16を圧力センシング半導体デバイス15に結合するだけで、位置指示器を構成することができ、構成が非常に簡単になる。
【0131】
さらに、この実施形態においては、芯体11、コイル13が巻回されているフェライトコア14、圧力感知部材としての圧力センシング半導体デバイス15、及びコンデンサ回路16の全てが、電子インクカートリッジ10として構成されていると共に、電子インクカートリッジ10は、共振周波数の調整が既になされた状態で組み上げられている。したがって、単に、電子インクカートリッジ10を、位置指示器の筐体内に収納するだけで、位置指示器を構成することができる。このため、電子インクカートリッジ10を、いわゆるボールペンなどの替え芯のように扱うことができる位置指示器を実現することができる。
【0132】
また、上述したように、この実施形態では、電子インクカートリッジ10の筒状体5A内には、その中心軸方向に、全ての構成部品を並べて順次に配設して、電気的に接続すると共に、機構的な結合も行うように構成したので、上述の例のような例えば2.5mmの径というような細型の電子インクカートリッジの構成とすることも容易に実現できるという効果もある。
【0133】
なお、以上の説明では、コンデンサ回路16を、位置指示器1と同様に、プッシュスイッチ7を備える構成の電磁誘導方方式の位置検出装置と共に使用する位置指示器の共振回路の共振周波数の調整用とした。そのため、第2のコンデンサ回路162の端子部材1625と端子部材1626との間にプッシュスイッチ7が接続される構成とした。
【0134】
コンデンサ回路16を、スイッチ回路としてのプッシュスイッチ7を有しない電磁誘導方方式の位置検出装置と共に使用する位置指示器に適用した際には、端子部材1625と端子部材1626との間を非短絡状態として、静電容量Cf〜Ciを使用しない構成としてもよいが、端子部材1625と端子部材1626との間を短絡状態として、コンデンサ回路16の静電容量Ca〜Ciのすべてを、共振回路を構成する並列の静電容量として選択的に用いるようにすることもできる。
【0135】
[位置指示器1の筐体2への電子インクカートリッジ10の収納]
この実施形態の電子インクカートリッジ10は、図2(A)に示すように、位置指示器1の筐体2の第1のケース部材3に対して装着されて、筐体2内に収納される。筐体2の第1のケース部材3には、プッシュスイッチ7が、電子インクカートリッジ10を挿入するに先立ち、以下に説明するように設けられている。
【0136】
すなわち、第1のケース部材3の周側面の一部には、例えば円形または楕円形の貫通孔3dが設けられており、この貫通孔3dに、プッシュスイッチ7を押下するための押圧操作子8が配される。押圧操作子8は、例えば弾性ゴムなどの弾性体からなる。
【0137】
プッシュスイッチ7は、図2(B)に示すように、第1のケース部材3の内径にその外径がほぼ等しいリング状部材6の、周方向の一部が切り欠かれた部分6a内に配設される。このリング状部材6は、電子インクカートリッジ10の筒状体5の外径よりも大きい径の貫通孔6bを備えている。そして、このリング状部材6は、プッシュスイッチ7の被押下面7aが、押圧操作子8を介して押下可能とされる位置となるように、第1のケース部材3の中空部3b内に収納される。
【0138】
ここで、この実施形態では、第1のケース部材3の中空部3bの開口3a側の径が、他の部分よりも若干小さくされることで、段部3eが形成されるようにされている。この段部3eの位置は、リング状部材6が、この段部3eと係合して中心軸方向の位置決めが行われることで、第1のケース部材3の中空部3b内に収納されるプッシュスイッチ7の被押下面7aが押下操作子8に対応する中心軸方向位置となるような位置とされている。
【0139】
したがって、プッシュスイッチ7を取り付けたリング状部材6を第1のケース部材3内の段部3eの位置まで挿入し、プッシュスイッチ7の被押下面7aが押圧操作子8に対応するように回転方向位置を定めることで、プッシュスイッチ7の位置決めができる。位置決めがなされた後には、例えば接着材により、リング状部材6が第1のケース部材3に固定される。
【0140】
この例の場合、プッシュスイッチ7からは、図2(B)に示すように、その電気的接続のためのフレキシブル配線基板からなるリード部(以下、フレキシブルリード部という)9が導出されている。そして、第1のケース部材3の電子インクカートリッジ10のキャップ17と螺合する周部の一部には、図2(A)のA−A断面図である図2(C)に示すように、キャップ17との間で空隙を生じるようにする案内溝3fが形成されている。プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9は、図2(A)及び図2(C)に示すように、この案内溝3fを通じて、第1のケース部材3の外部に導出可能とされる。
【0141】
以上のようにして、この第1の実施形態においては、プッシュスイッチ7が内部に取り付けられた筐体2の第1のケース部材3の中心軸方向に、電子インクカートリッジ10を、芯体11側とは反対側から挿入する。この場合に、図2(A)に示すように、電子インクカートリッジ10は、筒状体5から延出されている芯体11が、筐体2の第1のケース部材3の開口3aから外部に延出されるように、リング状部材6の貫通孔6bを通して、第1のケース部材3の中心軸方向に挿入されている。
【0142】
第1のケース部材3の開口3aは、芯体11の径よりは大きいが、電子インクカートリッジ10の筒状体5の径よりも小さいものとされている。したがって、電子インクカートリッジ10は、その筒状体5の芯体11側が第1のケース部材3の開口3a側の内壁の端部と係合して、その中心軸方向の位置決めが行われる。
【0143】
そして、この電子インクカートリッジ10を第1のケース部材3に挿入するに当たっては、プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9を、案内溝3fを通じて、電子インクカートリッジ10のキャップ17側に導出しておくようにする。そして、電子インクカートリッジ10のキャップ17のネジ部17bを、第1のケース部材3のネジ部3cにねじ込むことで、電子インクカートリッジ10を第1のケース部材3に固定する。
【0144】
その後、プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9の先端を、電子インクカートリッジ10のキャップ17に形成されているコネクタ部174に嵌合させることで、電気的に接続する。その後、第1のケース部材3に対して第2のケース部材4を圧入嵌合することで、この実施形態の位置指示器1が完成となる。
【0145】
以上のように、この実施形態に位置指示器1は、電子インクカートリッジ10を、第1のケース部材3に対して着脱自在に取り付け可能であり、前述したように、電子インクカートリッジ10を、容易に交換可能となる。そして、プッシュスイッチ7は、電子インクカートリッジ10を第1のケース部材3に取り付けた後に接続することができ、その接続も容易であるという効果もある。
【0146】
[指示位置検出及び筆圧検出の回路構成]
この実施形態の位置指示器1において、芯体11に押圧力(筆圧)が印加されると、圧力センシング半導体デバイス15の圧力感知チップ100の静電容量が変化し、その静電容量の変化に応じて共振周波数が変化する。すなわち、共振回路のコイル13から送信される電磁誘導信号の共振周波数(位相)が変化する。したがって、この例の位置指示器1を用いることで、図9に示す回路構成を有する位置検出装置300において、位置指示器1の指示位置と、位置指示器1における筆圧の検出が可能となる。
【0147】
図9を参照して、上述した位置指示器1を用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う位置検出装置300の回路構成例を説明する。図9は、位置指示器1及び位置検出装置300の回路構成例を示すブロック図である。
【0148】
位置指示器1は、コイル13と、圧力感知チップ100を構成するコンデンサ100Cと、コンデンサ回路16とからなる共振回路を備えている。そして、プッシュスイッチ7により、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の静電容量16C1に対して第2のコンデンサ回路162の静電容量16C2を接続するか否かを切り替えることにより、当該共振回路の共振周波数が切り替えられる。
【0149】
すなわち、位置指示器1は、上述したように、プッシュスイッチ7のオン・オフに応じて、コイル13に並列に接続されるコンデンサ回路16の静電容量が変更されることで、共振回路の共振周波数が変化する。位置検出装置300では、位置指示器1の共振回路の共振周波数の周波数偏移(位相)を検出することで、後述するような筆圧の検出やプッシュスイッチ7の操作状況を検出するようにする。
【0150】
位置検出装置300には、X軸方向ループコイル群311Xと、Y軸方向ループコイル群312Yとが積層されて位置検出コイルが形成されている。各ループコイル群311X,312Yは、例えば、それぞれn,m本の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群311X,312Yを構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配設されている。
【0151】
また、位置検出装置300には、X軸方向ループコイル群311X及びY軸方向ループコイル群312Yが接続される選択回路313が設けられている。この選択回路313は、2つのループコイル群311X,312Yのうちの一のループコイルを順次選択する。
【0152】
さらに、位置検出装置300には、発振器321と、電流ドライバ322と、切り替え接続回路323と、受信アンプ324と、検波器325と、低域フィルム326と、サンプルホールド回路327と、A/D変換回路328と、同期検波器329と、低域フィルム330と、サンプルホールド回路331と、A/D変換回路332と、処理制御部333とが設けられている。処理制御部333は、例えばマイクロコンピュータにより構成されている。
【0153】
発振器321は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器321で発生した交流信号は電流ドライバ322と同期検波器329に供給される。電流ドライバ322は、発振器321から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路323へ送出する。切り替え接続回路323は、処理制御部333からの制御により、選択回路313によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ322が、受信側端子Rには受信アンプ324が、それぞれ接続されている。
【0154】
選択回路313により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路313及び切り替え接続回路323を介して受信アンプ324に送られる。受信アンプ324は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器325及び同期検波器329へ送出する。
【0155】
検波器325は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルム326へ送出する。低域フィルム326は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器325の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路327へ送出する。サンプルホールド回路327は、低域フィルム326の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路328へ送出する。A/D変換回路328は、サンプルホールド回路327のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理制御部333に出力する。
【0156】
一方、同期検波器329は、受信アンプ224の出力信号を発振器321からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルム330に送出する。この低域フィルム330は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器329の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路331に送出する。このサンプルホールド回路331は、低域フィルム330の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路332へ送出する。A/D変換回路332は、サンプルホールド回路331のアナログ出力をデジタル信号に変換し、処理制御部333に出力する。
【0157】
処理制御部333は、位置検出装置300の各部を制御する。すなわち、処理制御部333は、選択回路313におけるループコイルの選択、切り替え接続回路323の切り替え、サンプルホールド回路327、331のタイミングを制御する。処理制御部333は、A/D変換回路328、332からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群311X及びY軸方向ループコイル群312Yから一定の送信継続時間をもって電磁誘導信号を送信させる。
【0158】
X軸方向ループコイル群311X及びY軸方向ループコイル群312Yの各ループコイルには、位置指示器1から送信される電磁誘導信号によって誘導電圧が発生する。処理制御部333は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置指示器1のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理制御部333は、送信した電磁誘導信号と受信した電磁誘導信号との位相差に応じた信号のレベルに基づいて、プッシュスイッチ7が押下されたか否かを検出する。
【0159】
このようにして、位置検出装置300では、接近した位置指示器1の位置を処理制御部333で検出することができる。しかも、位置検出装置300の処理制御部333は、受信した信号の位相(周波数偏移)を検出することにより、位置指示器1の芯体に印加された筆圧を検出することができると共に、位置指示器1においてプッシュスイッチ7がオンとされたか否かを検出することができる。
【0160】
以上のようにして、位置検出装置300では、位置指示器1の共振回路の共振周波数の周波数偏移(位相)を検出することで、筆圧検出やプッシュスイッチ7のオン・オフを検出するようにする。
【0161】
[第2の実施形態]
図10は、この第2の実施形態の位置指示器の電子インクカートリッジ20の構成例を示す図である。図10(A)は、電子インクカートリッジ20の内部構成を説明するための断面図である。この例においても、説明の便宜上、電子インクカートリッジ20の筒状体50の内部の一部の構成部品については、図10(A)では断面とせず、後述するように、別途、断面図を用意した。また、図10(B)は、電子インクカートリッジ20の全体の構成を説明するための分解斜視図である。
【0162】
なお、この第2の実施形態の位置指示器の筐体の構成、及びプッシュスイッチ7の当該筐体への取り付け構造は、第1の実施形態と同様とされるので、その図示および説明は省略する。また、この第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成要素については、同一参照符号を付与して、その説明は省略する。
【0163】
この第2の実施形態の位置指示器の電子インクカートリッジ20は、圧力感知部材の例としては第1の実施形態の場合と同様の圧力感知チップ100をパッケージ部材251に収納した圧力センシング半導体デバイス25を用いる。ただし、第2の実施形態においては、圧力センシング半導体デバイス25は、第1の実施形態とは異なり、芯体21側に設けられており、芯体21に印加される押圧力を、芯体21から直接的に圧力感知チップ100が受ける構成としている。
【0164】
図10(A),(B)に示すように、電子インクカートリッジ20においても、電磁誘導方式の位置指示器の構成部品は、筒状体50内にすべて配置されるが、この第2の実施形態では、筒状体50は、一体物の構成とされる。そして、この第2の実施形態の筒状体50も、外径が例えば2.5mm、内径が例えば1.5mm〜2mmとされた細型形状とされている。また、筒状体50は、非磁性体金属、樹脂材、ガラス、セラミックなどの非磁性体、この例では、例えばSUS305,SUS310Sなどの素材で構成されている。
【0165】
筒状体50の中心軸方向の一端側には、芯体21の先端を延出するための開口50aが設けられている。この開口50aの径は、筒状体50の内径よりも小さい。また、筒状体50の中心軸方向の他端側は、その内径の全体が開口50bとされている。
【0166】
そして、図10(A)及び図10(B)に示すように、筒状体50内には、開口50a側から見て、コイルバネ22、芯体21、圧力センシング半導体デバイス25、コイル23が巻回された磁性体の例としてのフェライトコア24、連結部材26、コンデンサ回路16の順に、それら各部品の中心軸方向が筒状体50の中心軸方向となるような状態で、順次に並べられて収納される。そして、筒状体50の開口50bに、キャップ17が挿入されて、筒状体50の開口50bが閉塞される。
【0167】
なお、この第2の実施形態では、筒状体50に、コイルバネ22、芯体21、圧力センシング半導体デバイス25、コイル23が巻回されたフェライトコア24及び連結部材26までが収納された時点で、この連結部材26の周面に対応する筒状体50の周面位置50c,50dを中心軸方向に絞る(かしめる)ことにより筒状体50の内周面に突部を形成することで、筒状体50により連結部材26を圧接挟持させて、連結部材26が中心軸方向に移動しないように位置規制させる。そして、筒状体50の開口50a側と圧力センシング半導体デバイス25との間に配設されているコイルバネ22の偏倚力により、圧力センシング半導体デバイス25及びコイル23が巻回されたフェライトコア24が中心軸方向に、がたつかないようにされている。
【0168】
また、筒状体50の開口50b近傍の内壁面には、非磁性体例えば樹脂からなるキャップ17の径小部175の外周に形成されているリング状溝部17aと嵌合するリング状突出部50eが、筒状体50の周部を当該リング状突出部50eの位置で中心軸方向に絞る(かしめる)ことにより形成されている。したがって、キャップ17を筒状体50に挿入したときには、キャップ17の径小部175の外周面に形成されたリング状凹溝17aに、筒状体50のリング状突部50eが嵌合することにより、キャップ17が圧接挟持されて、キャップ17が筒状体50の開口50bから離脱しないようにされる。また、筒状体50の他端側の開口50b側の周面の周方向の所定位置には、周方向の位置決め用の溝50fが、中心軸方向に沿って形成されている。この位置決め用の溝50fには、キャップ17の中心軸方向の突部17cが係合する。
【0169】
筒状体50の内部に収納される各部の構成及び電子インクカートリッジ20の組立、更に共振周波数の調整について、更に説明する。
【0170】
この第2の実施形態における芯体21は、図10(B)に示すように、例えば樹脂からなる棒状の部材で構成される。そして、この第2の実施形態においては、棒状の芯体21は、圧力センシング半導体デバイス25に、押圧部材として挿入される。
【0171】
フェライトコア24は、この第2の実施形態では、径が一定の円柱状形状を有しており、コイル23が巻回される。そして、圧力センシング半導体デバイス25のパッケージ部材251の、芯体21が挿入される上面251aとは反対側には、凹部252が設けられており、フェライトコア24の中心軸方向の一側が、この凹部252に嵌合される。
【0172】
また、フェライトコア24の中心軸方向の他側は、例えば樹脂からなる連結部材26に嵌合して結合されている。フェライトコア24の連結部材26側の端面の中央には、後述する連結部材26の突部261が嵌合する凹穴24aが形成されている。
【0173】
この第2の実施形態の圧力センシング半導体デバイス25は、第1の実施形態の圧力センシング半導体デバイス15と同様の構成とすることもできるが、この例では、図11(A)及び(B)に示すような構成とされる。
【0174】
この第2の実施形態の圧力センシング半導体デバイス25のパッケージは、弾性を有する樹脂部材、例えばシリコンゴムから成るパッケージ部材251のみで構成されており、圧力センシング半導体デバイス15において独立して配設された弾性部材153は有していない。
【0175】
このパッケージ部材251には、前述した圧力センシング半導体デバイス15の連通穴154に対応する、断面が所定形状、例えば円形の凹穴253が形成されている。そして、図11(B)に示すように、この凹穴253の内壁面には、丸棒状の芯体21を保持するためのOリング状の突部254a及び254bが設けられている。すなわち、凹穴253の内径は、丸棒状の芯体21が当接する部分の直径と等しいあるいは若干大きくされ、また、Oリング状の突部254a及び254bの内径は、芯体21が当接する部分の直径よりも小さく選定されている。
【0176】
したがって、芯体21が、パッケージ部材251の開口部側(上面251a側)に設けられたテーパー部251cによってガイドされて凹穴253内に挿入されたときには、芯体21は、突部254a,254bにより保持される。しかし、芯体21は、所定の力で凹穴253から引き抜くことが可能である。したがって、芯体21は、容易に交換可能である。なお、第2の実施形態では、突状部材である芯体21は、圧力伝達部材としてのパッケージ部材251に圧力を伝達する押圧部材でもある。
【0177】
そして、図11(A),(B)に示すように、圧力感知チップ100の第1の電極101は、金線255により、導体で構成される第1のリード端子256に接続され、また、第2の電極102は、導体で構成される第2のリード端子257に接触して接続される。この第2の実施形態では、これら第1及び第2のリード端子256及び257の先端部は、パッケージ部材251の底面に対して直交するように導出されている。
【0178】
この圧力センシング半導体デバイス25の第1のリード端子256及び第2のリード端子257は、後述するように、連結部材26の端子部材262,263に金線やリード線などにより電気的に接続される。また、フェライトコア24に巻回されている位置指示コイル23の一端及び他端も、連結部材26の端子部材262,263に電気的に接続される。圧力センシング半導体デバイス25のその他の構成は、圧力センシング半導体デバイス15と同様である。
【0179】
この第2の実施形態においては、圧力センシング半導体デバイス25が芯体21に近い位置に配設されるので、筆圧を感度良く検出することができる。また、この第2の実施形態で用いた圧力センシング半導体デバイス25は、パッケージ部材251が、圧力伝達部材としての機能を果たす構成とされているために、圧力センシング半導体デバイス25の構成を非常にシンプルにすることができる。
【0180】
次に、連結部材26の構成例を図12に示す。図12(A)は、連結部材26を、その中心軸方向に、フェライトコア24と結合する側から見た端面を示す図、図12(B)は、図12(A)のF−F断面図、図12(C)は、連結部材26を、その中心軸方向に、コンデンサ回路16側から見た端面を示す図である。
【0181】
前述したように、連結部材26は、例えば樹脂からなり、その外径が筒状体50の内径とほぼ同一あるいは若干小さい円柱状形状を有する本体部260を備える。そして、図12(A)及び(B)に示すように、連結部材26の本体部260の、フェライトコア24と結合する側の端面には、フェライトコア24の円柱状部分の一部が嵌合する凹穴264が設けられていると共に、その凹穴264の底面の中央には、フェライトコア24の端面に形成されている凹穴24aに嵌合する突部261が形成されている。
【0182】
また、図12(A)、(B)に示すように、連結部材26の本体部260の周面の、この例では、互いに180度角間隔だけ離れた位置には、円柱の中心軸方向に沿う方向に凹溝265及び266が形成されている。この凹溝265及び266内には、端子部材262及び263の一方の端部262a及び263aが、周方向に直交する方向に植立されている。そして、当該植立されている状態の端子部材262及び263の一方の端部262a及び263aのそれぞれには、図12(A)に示すように、V字型切れ込み262c,262d及び263c,262dが形成されている。
【0183】
端子部材262のV字型切れ込み262c及び262dは、圧力センシング半導体デバイス25の圧力感知チップ100の第1の電極101及びコイル23の一端の接続用である。また、端子部材263のV字型切れ込み263c及び263dは、圧力センシング半導体デバイス25の圧力感知チップ100の第2の電極102及びコイル23の他端の接続用である。
【0184】
連結部材26の端子部材262の他方の端部には、図12(B)に示すように、コンデンサ回路16の一部が嵌合される凹部268が設けられている。そして、図12(B)及び(C)に示すように、この凹部268の底面には、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の端子部材1614の一端(リング状の電極導体)1614aと衝合するリング状の電極導体262bが形成されている。そして、連結部材26の凹部268の底面の中央には、リング状電極導体262dとは離間した状態で、凹穴267が形成されている。さらに、この凹部268の側周面には、コンデンサ回路16のリング状突部161aが嵌合されるリング状凹溝268aが形成されている。
【0185】
連結部材26の端子部材263の他方の端部263bは、凹穴267内に位置するように形成されていると共に、当該凹穴267内に位置する端子部材263の端部263bには、弾性を有する折り曲げ部からなる挿入孔263eが形成されている。この挿入孔263eには、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の端子部材1615の棒状の一端1615aが挿入される。
【0186】
連結部材26は、フェライトコア24の端面の凹穴24aに、突部261を嵌合させた状態で、フェライトコア24に例えば接着剤により接着して結合させる。そして、圧力センシング半導体デバイス25の圧力感知チップ100の第1の電極101及び第2の電極102にそれぞれ接続されたリード端子256,257にはリード線が接続されており、そのリード線を、連結部材26の端子部材262の一方の端部262aのV字型切れ込み262cまたは262d及び端子部材263の一方の端部263aのV字型切れ込み263cまたは263dにそれぞれ挟み込むことで接続する。また、コイル23の一端23a及び他端23bに接続されたリード線を、連結部材26の端子部材262の一方の端部262aのV字型切れ込み262cまたは262d及び端子部材263の一方の端部263aのV字型切れ込み263cまたは263dに挟み込むことで接続する。
【0187】
こうして、この第2の実施形態では、芯体21と、圧力センシング半導体デバイス25と、コイル23が巻回されているフェライトコア24と、連結部材26とが結合されて、共振回路ユニットとして取り扱うことができるようにされている。
【0188】
そして、この第2の実施形態では、筒状体50の中空部内に、開口50a側を先端として、反対側の開口50b側からコイルバネ22が挿入され、続いて、芯体21と、圧力センシング半導体デバイス25と、コイル23が巻回されているフェライトコア24と、連結部材26とが連結されて一体化された構成部品が共振回路ユニットとして、圧力センシング半導体デバイス25の上面251a側にコイルバネ22の一端側が衝合するように挿入される。芯体21は、予め、圧力センシング半導体デバイス25に挿入嵌合させて、筒状体50に収納させるようにしても良いし、後から、開口50a側から圧力センシング半導体デバイス25に挿入嵌合するようにしても良い。
【0189】
なお、圧力センシング半導体デバイス25の圧力感知チップ100の第1の電極101及び第2の電極102にそれぞれ接続されたリード線や、コイル23の一端23a及び他端23bは、連結部材26の凹溝265,266内で、端子部材262,263で挟み込まれて接続されているので、圧力感知チップ100の第1の電極101及び第2の電極102に接続されたリード部やコイル23の一端及び他端は、筒状体50の内壁面と接触することはない。
【0190】
この第2の実施形態では、このように筒状体50内に連結部材26までを挿入したら、所定の治具により、連結部材26側をコイルバネ22の偏倚力に抗して若干押圧した状態で、筒状体50の前述した位置50c,50dにおいて絞り、連結部材26が筒状体50内で軸線方向に移動しないように係止させる。
【0191】
この状態では、筒状体50の中空部内の開口50a側に配設されているコイルバネ22により、圧力センシング半導体デバイス25、フェライトコア24は、常に、連結部材26側に付勢され、位置指示器を構成する各部材のガタツキが防止される。
【0192】
このとき、筒状体50内の連結部材26のコンデンサ回路16側の端面の凹部268の底面には、端子部材262の他方の端部のリング状電極導体262b及び端子部材263の他方の端部263bの挿入孔263eが筒状体50内にて露呈する状態となっている。このため、この第2の実施形態では、連結部材26の端子部材262の他端のリング状電極導体262b及び端子部材263の他端の挿入孔263eを筒状体50の開口50b側に露呈させるための治具が使用される。この治具は、開口50b側から筒状体50に挿入されて、リング状電極導体262b及び挿入孔263eとそれぞれ電気的に接続されて筒状体50の開口50b側に露呈させる電極端子を備えている。この治具は、コンデンサ回路16と同様の形状及び大きさとされる。
【0193】
電子インクカートリッジ20におけるコンデンサ回路16の静電容量値の設定は、治具を使用するを除き、電子インクカートリッジ10の場合と同様に行われる。
コンデンサ回路16を構成する第1のコンデンサ回路161の静電容量値及び第2のコンデンサ回路162の静電容量値が算出されると、その算出した静電容量値となるように設定されたコンデンサ回路16を、連結部材26の凹部268に嵌合させるように筒状体50内に挿入し、連結部材26の凹部268のリング状凹溝268aに、コンデンサ回路16のリング状突部161aが嵌合することで、コンデンサ回路16は、連結部材26に係止される。
【0194】
この連結部材26とコンデンサ回路16とが連結した状態では、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の端子部材1615の棒状の一端1615aが、連結部材26の端子部材263の挿入孔263eに挿入されて、電気的に接続されていると共に、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161の端子部材1614の一端1614aが、連結部材26のリング状電極導体262bと衝合することで、電気的に接続されており、コイル23と、コンデンサ回路16とが電気的に並列に接続される。
【0195】
その後、キャップ17の径小部175を第1の実施形態と同様にして、突部17cを位置決め用溝50fに係合させた状態で筒状体50の開口50b側から挿入することで、キャップ17の径小部175に形成されているリング状凹溝17aと、筒状体50に形成されているリング状突部50eが嵌合して、キャップ17が筒状体50内に対して装着され係止される。このとき、第1の実施形態で説明したように、キャップ17に設けられているコネクタ174と、コンデンサ回路16との電気的接続もなされる。
【0196】
以上のようにして、電子インクカートリッジ20が組み立てられる。この電子インクカートリッジ20においては、芯体21に対して中心軸方向の押圧力が印加されたときには、圧力センシング半導体デバイス25の圧力感知チップ100の静電容量が変化する。そして、第1の実施形態と同様にして、この圧力感知チップ100の静電容量の変化に応じて、位置指示器の共振回路のコイル23から送信される電磁誘導信号の共振周波数(位相)が変化する。これにより、図9に示した回路構成を有する位置検出装置において、第2の実施形態の位置指示器による指示位置と、筆圧の検出が可能となる。
【0197】
そして、この電子インクカートリッジ20は、第1の実施形態の電子インクカートリッジ10と同様にして、位置指示器1の筐体2に収納し、プッシュスイッチ7から導出されているフレキシブルリード部9の先端を、電子インクカートリッジ20のキャップ17に形成されているコネクタ部174に嵌合させることで、電気的に接続する。その後、第1のケース部材3に対して第2のケース部材4を圧入嵌合することで、この第2の実施形態の位置指示器が完成となる。この第2の実施形態の位置指示器は、上述した第1の実施形態と全く同様の作用効果を得ることができる。
【0198】
[第3の実施形態]
次に、上述した実施形態の位置指示器においては、コイルとコンデンサとからなる並列共振回路を用いて、位置検出装置との間で電磁誘導信号の送受を行うことにより、指示体による指示位置及び位置指示器における筆圧を、位置検出装置が検出することができるようにした。しかし、位置指示器に情報送信回路を設けることにより、位置指示器や電子インクカートリッジに関連した情報として、例えば位置指示器や電子インクカートリッジの識別情報(ID)を、位置指示器から位置検出装置に送信するようにすることができる。
【0199】
識別情報(ID)は、例えば電子インクカートリッジに関連した情報であり、電子インクカートリッジあるいは位置指示器に関する製造者、製品番号、製造日付、製造ロット番号、電磁誘導方式あるいは静電方式などの位置検出方式、インダクタンス可変あるいは静電容量可変に基づく筆圧検出方式、などを特定するための情報を含めることできる。この識別情報は、情報送信回路が備えるメモリ、レジスタなどの半導体素子内に登録される。
【0200】
第3の実施形態は、電子インクカートリッジの識別情報を、位置検出装置に送信するようにした位置指示器1Aの場合である。
【0201】
この第3の実施形態の位置指示器1Aにおける電子インクカートリッジ20Aは、第2の実施形態の電子インクカートリッジ20と同様の構成を有するものとされるので、ここでは、その図示を省略する。ただし、この第3の実施形態では、図示は省略するが、キャップ17には、コネクタ174に加えて、第2のコンデンサ回路162の端面に露呈している端子部材1624の他端1624bと端子部材1625bがそれぞれ接続されているコネクタ179を備えており、情報送信回路はコネクタ179を介して電子インクカートリッジ20Aに接続されている。
【0202】
図13は、位置指示器や電子インクカートリッジの識別情報(ID)を、位置検出装置に送信するように構成した第3の実施形態の位置指示器1Aと、位置検出装置300Aとの回路構成を示す図である。この例では、情報送信回路は、ID送信回路とされている。
【0203】
図13では、電子インクカートリッジ20Aは、コイル23と、圧力感知チップ100を構成する静電容量が筆圧に応じて変化するコンデンサCvと、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路の静電容量16C1と、コンデンサ回路16の第2のコンデンサ回路162の静電容量16C2及びプッシュスイッチ7の直列回路とが並列に接続された並列共振回路を備える。プッシュスイッチ7は、電子インクカートリッジ20Aのキャップ17のコネクタ174に接続される。
【0204】
図13に示すように、電子インクカートリッジ20Aのキャップ17のコネクタ179の一方の端子179aが、コイル23の一端に接続され、コネクタ179の他方の端子179bが、コイル23の他端に接続されている。そして、このコネクタ179の一方の端子179a及び他方の端子179bは、情報送信回路の例としてのID送信回路400の端子400a及び400bにそれぞれ接続される。
【0205】
位置指示器1AのID送信回路400は、図13に示すように、ID発生制御回路としてのIC(Integrate Circuit;集積回路)401を備える。このIC401は、電子インクカートリッジ20Aにて位置検出装置300Aから電磁結合により受信した交流信号を、ダイオード402及びコンデンサ403からなる整流回路(電源供給回路)404にて整流して得られる電源Vccにより動作するように構成されている。そして、この例では、コネクタ179と電源供給回路404との間には、通常は開(ノーマルオープン)の状態とされるスイッチ回路405が設けられている。このスイッチ回路405は、例えば半導体スイッチ回路で構成され、開の状態では、高インピーダンスの状態となっている。
【0206】
このスイッチ回路405は、スイッチ制御回路406からのスイッチ制御信号によりオンとなるように制御される。スイッチ制御回路406は、電子インクカートリッジ20Aにて位置検出装置300Aから電磁結合により受信した交流信号からスイッチ制御信号を生成する。
【0207】
また、ID送信回路400においては、コイル23に並列に、スイッチ回路407が接続されている。このスイッチ回路407は、IC401によりオン・オフ制御されるように構成されている。
【0208】
IC401は、この例では、位置指示器1Aまたは電子インクカートリッジ20Aの製造者番号及び製品番号を記憶しており、それらの製造者番号及び製品番号を含むID信号を、スイッチ回路407をオン・オフ制御することで、例えば8ビットのデジタル信号としてコイル23を介して位置検出装置300Aに送信する。
【0209】
一方、この図13の例の位置検出装置300Aは、図9に示した位置検出装置300の構成において、ゲインが固定の電流ドライバ322の代わりに、外部からのゲイン制御信号によりゲインの可変調整が可能な電流ドライバ322Aを設けると共に、処理制御部333の代わりに、処理制御部333Aを設ける構成とされる。その他の各部は、図9に示した位置検出装置300と全く同様である。
【0210】
電流ドライバ322Aは、処理制御部333Aからのゲイン制御信号を受けて、送信信号の信号レベルを変更可能に構成されている。
【0211】
また、処理制御部333Aは、例えばマイクロコンピュータにより構成されており、前述の処理制御部333と同様にして位置指示器1Aとの間での電磁誘導信号の送受により、位置指示器1Aにより指示された位置の検出、また、位置指示器1Aに印加された筆圧の検出を行うことに加え、電流ドライバ322Aに、送信信号を断続制御するための信号及び送信信号レベル制御のための信号を供給すると共に、位置指示器1AからのID信号の受信処理を行うようにする。処理制御部333Aは、後述するように、位置指示器1Aからの断続信号を、数ビット例えば8ビットのデジタル信号として検出して、ID信号を検出するようにする。
【0212】
以下に、位置指示器1A及び位置検出装置300A間でのID信号の送受と、位置検出装置300Aでの位置検出動作及び筆圧検出動作について説明する。
【0213】
図14は、位置指示器1AのIC401の処理動作を説明するためのフローチャートであり、後述するようにスイッチ回路405がオンとされて、IC401に、電源供給回路404から電源電圧Vccが供給されたときに処理を開始する。
【0214】
スイッチ回路405がオフで、電源供給回路404から電源電圧Vccが供給されていない状態ではIC401は動作を停止しており、このときには、コネクタ179から見たとき、ID送信回路400は高インピーダンスとなり、コネクタ179には、何も接続されていない状態と等価となる。したがって、このときには、電子インクカートリッジ20Aに対して容量成分が並列に接続することはなく、電子インクカートリッジ20Aの共振周波数は、ID送信回路400によって影響を受けることはないように構成されている。なお、IC401には位置検出装置300Aとの間での電磁誘導信号の授受のための同期信号として、コンデンサ408を介して、位置検出装置300Aから送信された電磁誘導信号が供給される。
【0215】
図15は、位置検出装置300Aの処理制御部333Aの処理動作を説明するためのフローチャートであり、位置検出装置300Aに電源が投入された時点でこの処理を実行する。
【0216】
すなわち、処理制御部333Aは、先ず、電流ドライバ322Aに、送信信号の信号レベルを大とするゲイン制御信号を供給する。これにより、発振器321からの周波数f0の交流信号は、電流ドライバ322Aにより大レベルとされ、選択回路313を介してループコイル群311X,312Yに供給される(図15のステップS21)。
【0217】
位置指示器1Aにおいては、この位置検出装置300Aからの大レベルの交流信号による電磁誘導信号を電子インクカートリッジ20Aで受信する。このとき、位置検出装置300Aからの交流信号の信号レベルが大きいことに対応して、スイッチ制御回路406は、電子インクカートリッジ20Aが受信した交流信号から、スイッチ回路405をオンにするスイッチ制御信号を生成する。これにより、スイッチ回路405がオンになると、電子インクカートリッジ20Aが受信した交流信号を整流して生成された電源電圧Vccが、電源供給回路404から、このスイッチ回路405を介してIC401に供給される。
【0218】
IC401に電源電圧Vccが供給されるとIC401は動作を開始する。IC401は、電子インクカートリッジ20Aの製造者番号及び製品番号を含むID信号をデジタル信号として生成する。そのデジタル信号により、スイッチ回路407がオン・オフ制御された電磁誘導信号が、位置指示器1Aから、位置検出装置300Aに送信される(図14のステップS11)。
【0219】
すなわち、スイッチ回路407がオフであるときには、電子インクカートリッジ20Aは、位置検出装置300Aから送信された交流信号に対して共振動作を行って、電磁誘導信号を位置検出装置300Aに返送することができる。位置検出装置300Aのループコイルは、位置指示器1Aの電子インクカートリッジ20Aからの電磁誘導信号を受信する。これに対して、スイッチ回路407がオンであるときには、電子インクカートリッジ20Aは、位置検出装置300Aからの交流信号に対する共振動作が禁止された状態になり、このために、電子インクカートリッジ20Aから位置検出装置300Aに電磁誘導信号は返送されない。位置検出装置300Aのループコイルは、このようにして、位置指示器1Aからの電磁誘導信号の受信有無に基づいてID信号を検出する。
【0220】
この例では、位置検出装置300Aの処理制御部333Aは、位置指示器1Aからの受信信号の有無の検出を8回行うことにより、8ビットのデジタル信号を受信する。すなわち、処理制御部333Aは、ステップS21では、電流ドライバ322Aをゲイン制御して、送信信号の信号レベルを大きく設定して送出する状態にすると共に、位置指示器1Aからの8ビットのID信号を検出するため、座標検出の際と同様なタイミングで送受信を8回継続して行う。
【0221】
一方、位置指示器1AのIC401は、送信するID信号に対応した8ビットのデジタル信号を生成し、その8ビットのデジタル信号により、位置検出装置300Aとの間の電磁誘導信号の送受信に同期してスイッチ回路407をオン・オフ制御する。例えば、ID信号のビットが「1」であるときには、スイッチ回路407はオンにされる。すると、前述したように、位置検出装置300Aからは、電磁誘導信号が位置検出装置300Aには返送されない。一方、ID信号のビットが「0」であるときには、スイッチ回路407はオフにされる。すると、前述したように、位置検出装置300Aからは、電磁誘導信号が位置検出装置300Aに返送される。
【0222】
したがって、位置検出装置300Aの処理制御部333Aは、位置指示器1Aからの受信信号の有無の検出を8回行うことにより、8ビットのデジタル信号であるID信号を受信することができる。
【0223】
位置検出装置300Aの処理制御部333Aは、以上のような処理をすることにより、位置指示器1AからのID信号を受信したか否か判別し(ステップS22)、ID信号を所定の時間内に受信できなかったと判別したときには、ステップS21に戻り、大レベルでの送信信号の送信を所定回数継続して行う。なお、ID信号の受信処理を所定回数継続して行ってもID信号が受信できなかったときには、位置指示器1AにはID信号を送出する機能が備わっていないものと判断してID信号の受信処理をスキップさせる。
【0224】
そして、ステップS22で、ID信号を受信したと判別したときには、処理制御部333Aは、電流ドライバ322Aのゲインを下げて、送信信号の信号レベルを、ステップS21での大レベルよりも所定のレベル(通常使用レベル)まで下げるようにする(ステップS23)。このときの所定のレベルは、位置指示器1Aによる指示位置の検出及び筆圧の検出が、位置指示器1Aの電子インクカートリッジ20Aとの間で可能であるが、位置指示器1Aのスイッチ制御回路406が、スイッチ回路405を、オンにすることができないレベルとされる。
【0225】
こうして、位置検出装置300Aから送信された電磁誘導信号の信号レベルが所定レベル(通常使用状態)に下げられると、位置指示器1Aのスイッチ制御回路406は、スイッチ回路405のオンとするスイッチ制御信号を出力しない。このため、電源供給回路404からの電源電圧VccのIC401への供給が停止し、IC401は、動作不能となるので、図14のフローチャートの処理は終了となり、位置指示器1AはID信号を送信しない。
【0226】
位置検出装置300Aから送信された電磁誘導信号の信号レベルが所定レベル(通常使用状態)に設定された状態は、図9の場合と全く同様の動作状態となるので、位置検出装置300Aの処理制御部333Aは、位置指示器1Aの電子インクカートリッジ20Aとの間での電磁誘導信号の送受により、上述した第1の実施形態で説明したようにして位置指示器1Aによる指示位置及び筆圧を検出する処理を行う(ステップS24)。
【0227】
そして、処理制御部333Aは、位置指示器1Aの電子インクカートリッジ20Aからの電磁誘導信号の返送を監視し、当該電磁誘導信号の返送がなくなったために、位置指示器1Aを検出できない状態になったか否か判別する(ステップS25)。このステップS25で、位置指示器1Aを検出できていると判別したときには、処理制御部333Aは、処理をステップS24に戻す。また、ステップS25で、位置指示器1Aを検出できなくなったと判別したときには、処理制御部333Aは、処理をステップS21に戻して、電流ドライバ322Aに、送信信号の信号レベルを大レベルとするゲイン制御信号を供給することで、ループコイル群211X,212Yに供給する送信信号の信号レベルを大レベルにする。そして、処理制御部333Aは、このステップS21以降の処理を繰り返す。
【0228】
上述した図13図15を用いて説明した第3の実施形態によれば、位置指示器1Aからは、位置指示器1Aや電子インクカートリッジ20Aを識別するためのID信号を、位置検出装置300Aに送信することができる。したがって、位置検出装置300Aを備える携帯機器などの電子機器においては、位置指示器1Aや電子インクカートリッジ20Aに割り当てられたID信号を検出することで、それぞれの位置指示器1Aや電子インクカートリッジ20Aに対応した所定の処理を行うことが可能となって、非常に便利である。また、位置指示器1Aや電子インクカートリッジ20AのID信号を検出することで、位置指示器1Aや電子インクカートリッジ20Aの故障などについての管理も容易になるというメリットがある。
【0229】
しかも、位置検出装置300Aが動作を開始すると、位置指示器1Aに対して位置指示器1Aが備えるID信号の送信を促し、一旦ID信号が受信できるとID送信回路400を位置指示器を構成する電子インクカートリッジ20Aから電気的に分離させるとともに、通常使用状態にて位置指示器1Aによる指示位置の検出及び筆圧の検出を行うように動作制御が行われる。また、位置指示器1Aに対して位置指示器1Aが備えるID信号の送信を所定回数促した結果、ID信号が受信できないと判別された場合にも、通常使用状態にて位置指示器1Aによる指示位置の検出及び筆圧の検出を行うように動作制御が行われる。したがって、ID信号の送信機能が備わっていない位置指示器を使用する場合でも、特別な処理操作は不要であり、何らの違和感を持つことなく、操作することができる。
【0230】
なお、上述の例では、位置指示器1Aのスイッチ制御回路406は、位置検出装置300Aからの大レベルの電磁誘導信号を電子インクカートリッジ20Aで受信したときに、当該受信した大レベルの電磁誘導信号に基づき、スイッチ回路405をオンにするスイッチ制御信号を生成し、これにより、IC401に電源Vccを供給するようにした。
【0231】
しかし、位置指示器1Aのスイッチ制御回路406がスイッチ回路405をオンにして、IC401に電源Vccを供給するようにする方法は、このような方法に限られるものではない。
【0232】
例えば、他の例としては、位置検出装置300Aから所定のデジタル信号を位置指示器1Aに送り、このデジタル信号を受け取ったスイッチ制御回路406にスイッチ回路405をオンにするスイッチ制御信号を生成させるように構成することもできる。
【0233】
すなわち、例えば、位置検出装置300Aは、位置指示器1Aによる指示位置が検出できないなどによって、位置指示器1Aの存在を検出していないときには、前記所定のデジタル信号を、ループコイル群211X及び212Yを通じて電磁誘導信号として送出する。位置指示器1Aの電子インクカートリッジ20Aは、当該デジタル信号に対応した信号エンベロープを備えた電磁誘導信号を受信してスイッチ制御回路406に供給する。
【0234】
スイッチ制御回路406は、この信号を例えば波形整形しエンベロープ検波することによりデジタル信号を抽出し、そのデジタル信号が、前もって設定されたデジタル信号と一致しているときに、スイッチ回路405をオンにするスイッチ制御信号を生成する。これにより、IC401に電源Vccを供給するようにする。
【0235】
IC401は、この電源Vccの投入により動作を開始して、電子インクカートリッジ20Aを通じて、位置指示器1AのID信号を位置検出装置300Aに送る。位置検出装置300Aは、ID信号を受け取ると、前記所定のデジタル信号の送出を停止して、ID信号検出モードから、位置指示器1Aによる指示位置を検出する通常使用モードに移行し、位置指示器1Aの指示位置の検出動作を行うようにする。位置指示器1Aのスイッチ制御回路406は、所定のデジタル信号を受信できなくなったときには、スイッチ回路405をオフとして、IC401への電源Vccの供給が停止される。これによって、ID信号の送出は停止されるとともに、ID送信回路400が高インピーダンスとなりコネクタ179から電気的に分離された状態となる。
【0236】
なお、位置検出装置300Aは、位置指示器1Aが検出できなくなったときには、再び、前記所定のデジタル信号の送出を開始するようにする。
【0237】
なお、上述の第3の実施形態の説明では、連結部材26には、上述の実施形態のコンデンサ回路16を連結するようにしたが、プッシュスイッチ7を有しない位置指示器の場合には、第1のコンデンサ回路161で構成されるコンデンサ回路16を連結部材26に連結する構成とすることができる。その場合には、キャップ17には、ID送信回路400を接続するためのコネクタ179のみを設ければ良い。
【0238】
また、プッシュスイッチ7を有する位置指示器の構成の場合においても、連結部材26に連結するコンデンサ回路16を第1のコンデンサ回路161で構成し、キャップ17に、コネクタ179を2個設け、その一つに、ID送信回路400を接続し、他の一つに、第2のコンデンサ回路に対応するコンデンサ回路とプッシュスイッチ7との直列回路を接続するようにしても良い。
【0239】
[第4の実施形態]
この第4の実施形態は、第3の実施形態の変形例である。すなわち、上述した第3の実施形態では、キャップ17にID送信回路400と接続するためのコネクタ179を設けるようにしたが、この第4の実施形態では、ID送信回路400を、電子インクカートリッジの筒状体内に配設する構成とする。以下に説明する第4の実施形態は、上述の第2の実施形態と同様の構成の電子インクカートリッジに、ID送信回路400を内蔵させる場合の例である。
【0240】
図16に示すように、この第4の実施形態においては、ID送信回路400を内蔵する円柱形状のIDパッケージ320を用意する。そして、この第4の実施形態の筒状体50Bは、図示は省略するが、第2の実施形態の筒状体50よりは、IDパッケージ320の中心軸方向の長さ分だけ長いものとする。
【0241】
そして、IDパッケージ320を、筒状体の中空部内において、この例では、コンデンサ回路16とキャップ17との間に配設する。図16(A)は、このIDパッケージ320を、コンデンサ回路16側から見た図である。また、図16(B)は、図16(A)のG−G断面図である。また、図16(C)は、IDパッケージ320を、キャップ17側から見た図である。
【0242】
IDパッケージ320は、図16(B)に示すように、径大部322と径小部323とを有する円柱状の樹脂からなるパッケージ部材321内に、ID送信回路400を収納すると共に、このID送信回路400の端子400a、400bがそれぞれ接続される端子部材324及び325と、ID送信回路400とは電気的に接続されずにパッケージ部材321を貫通する端子部材326を有する。
【0243】
パッケージ部材321の径大部322の端面は、コンデンサ回路16側と対向するようにされるが、この径大部322の端面には、コンデンサ16の第2のコンデンサ回路162の端部が収納される凹部327が形成されている。そして、この凹部327の側壁には、第2のコンデンサ回路162に形成されている中心軸方向に沿う突部162aが係合する中心軸方向に沿う凹溝327aと、第2のコンデンサ回路162の周面に形成されているリング状突部162bが嵌合するリング状凹溝327bが形成されている。
【0244】
また、パッケージ部材321の径小部323は、図7に示したキャップ17の凹部178に嵌合するようにその径及び長さが選定されている。そして、この径小部323の周面には、キャップ17の凹部178に形成されているリング状凹溝178aに嵌合するリング状突部323aが形成されていると共に、キャップ17の凹部178に形成されている中心軸方向に沿う凹溝178bに係合する中心軸方向に沿う突部323bが形成されている。
【0245】
そして、ID送信回路400の一方の端子に電気的に接続されている端子部材324の一端324aは、第2のコンデンサ回路162の端子部材1624の他端1624bと衝合するように、径大部322の凹部327の底面に露呈されている。端子部材324は、IDパッケージ320内でID送信回路400の一方の端子に接続されるだけで良いので、その他端は、IDパッケージ320のキャップ17側の端面には導出されない。
【0246】
また、ID送信回路400の他方の端子に電気的に接続されている端子部材325の一端325aは、第2のコンデンサ回路162の端子部材1625の他端1625bと衝合するように、径大部322の凹部327の底面に露呈されている。この端子部材325の他端325bは、径小部323の端面において、キャップ17の端子部材172の一端172aと衝合するように露呈されている。
【0247】
また、ID送信回路400とは電気的に接続されていない端子部材326の一端326aは、第2のコンデンサ回路162の端子部材1626の他端1626bと衝合するように、径大部322の凹部327の底面に露呈されている。また、端子部材326の他端326bは、径小部323の端面において、キャップ17の端子部材173の一端173aと衝合するように露呈されている。
【0248】
そして、この第4の実施形態においては、上述した第2の実施形態と同様にして、筒状体50B内にコンデンサ回路162を収納した後、IDパッケージ320の凹穴327に第2のコンデンサ回路162の端部を挿入してIDパッケージ320を筒状体50B内に収納する。
【0249】
このとき、第2のコンデンサ回路162の突部162aがIDパッケージ320の凹部327の凹溝327aに係合されることで、周方向の位置決めがなされる。また、第2のコンデンサ162のリング状突部162bが、IDパッケージ320の凹部327のリング状凹溝327bに嵌合することにより、コンデンサ回路16に対してIDパッケージ320が結合される。
【0250】
この結合状態では、第2のコンデンサ回路162の端面の端子部材1624の他端1624b、端子部材1625の他端1625b及び端子部材1626の他端1626bが、IDパッケージ320の凹部327の底面の端子部材324の一端324a、端子部材325の一端325a及び端子部材326の一端326aのそれぞれと衝合して電気的に接続される。
【0251】
その後、キャップ17の中心軸方向の突部17cを筒状体50Bの位置決め用の溝50fに係合させながら、キャップ17の径小部17aを凹筒状体50Bに挿入し、筒状体50Bのリング状突部50eを、径小部175のリング状凹溝17aに嵌合することにより、キャップ17を筒状体50Bに固定する。すると、IDパッケージ320のキャップ17側の端面の端子部材325の他端325b及び端子部材326の他端326bと、キャップ17の端子部材172の一端172a及び端子部材173の一端173aとが接続される。その他の構成は、上述した第2の実施形態と同様とする。
【0252】
この第4の実施形態の電子インクカートリッジにおいては、以上のようにして、IDパッケージ320が筒状体50B内に収納されることにより、コイル23の両端間にID送信回路400が並列に接続される状態になる。すなわち、前述した図13において、コネクタ179を介することなく、コイル23及び第1のコンデンサ回路161に並列に、IDパッケージ400が接続される。
【0253】
したがって、この第4の実施形態においても、前述した第3の実施形態で説明した位置検出回路300Aは、電子インクカートリッジからの電磁誘導信号により、当該電子インクカートリッジの識別情報を認識することができる。
【0254】
なお、ID送信回路400は、コイル23に並列に接続されれば良いので、IDパッケージ320は、コンデンサ回路16とキャップ17との間に設ける場合のみに限られるものではない。例えば、ID送信回路400を、連結部材26とコンデンサ回路16との間に設けても良い。
【0255】
[他の実施形態]
上述の実施形態では、芯体に印加される圧力(筆圧)に応じて静電容量を変化する圧力感知部材として、圧力センシング半導体デバイスを用いるようにしたが、圧力感知部材としては、これに限られるものではない。例えば、本出願人が、特願2012−151357として出願した、芯体に印加される圧力(筆圧)に応じて静電容量を変化させるようにした容量可変型コンデンサを用いることもできる。
【0256】
この特願2012−151357に記載の容量可変型コンデンサは、中空の空間を有する円筒からなる外側部材の当該中空部分の内壁面に所定形状の電極を被着形成する。一方、柱状の内側部材の外周面にも、所定形状の電極を形成する。そして、外側部材の中空の空間内に、内側部材を、中心軸方向に移動可能に収納する。この場合に、外側部材の内壁面の電極と、内側部材の外周面の電極とを誘電体を介して対向させることで、その対向する面積に応じた静電容量を呈するコンデンサを形成するようにする。
【0257】
この構成によれば、内側部材に対して中心軸方向に外部から圧力が印加されたときには、内側部材が中心軸方向に、外側部材に対して移動することより、誘電体を介して対向する外側部材の内壁面の電極と内側部材の外周面の電極との面積が変化する。したがって、外側部材の電極と、内側部材の電極との間で形成されるコンデンサの静電容量は、両電極の対向面積の変化により、印加された圧力に応じた静電容量を呈する。
【0258】
以上のような構成の容量可変型は、細型の棒状に形成することができ、圧力センシング半導体デバイス15に代えて、圧力感知部材として用いた電子インクカートリッジを構成することができる。
【0259】
また、コンデンサ回路16は、チップコンデンサを積層する構成とすると共に、積層するコンデンサの数により、静電容量を調整する構成のものを用いたが、これに限られるものではない。例えば、本出願人が、特願2012−128834として出願した、所定のパターン形状の電極を形成した誘電体シートを棒状に巻回した構成のコンデンサを用いることができる。この特願2012−128834に記載のコンデンサは、棒状のコンデンサにおいては、一部の電極パターンを、事後的に切断または結合することができる構成とすることにより、事後的に静電容量の調整が可能なものである。
【0260】
また、上述の実施形態では、コイル13またはコイル23と、コンデンサ回路16との間に配設される連結部材のコンデンサ回路16側の端面には、コイル13またはコイル23の一端及び他端と、コンデンサの一端及び他端とを電気的に接続するための2個の接続端子を設けるようにした。しかし、筒状体5または筒状体50が、上述の例のSUS301などの非磁性体かつ導電性を有する材料である場合には、連結部材の端面には前記2個の接続端子のうちの少なくとも一方のみを配設して、他方は、導電性の筒状体50を利用するようにすることもできる。
【0261】
例えば、上述の第1の実施形態では、コンデンサ回路16との機構的、また、電気的な連結部材の機能を果たすパッケージ部材151の凹部156の底面には、端子部材158の一端158aのみをその挿入孔158bを露呈するように設けるようにすると共に、端子部材157の端部157aは、凹部156の底部ではなく、パッケージ部材151の周部に露呈させて、筒状体5Aと電気的に結合するように構成する。
【0262】
一方、コンデンサ回路16の第1のコンデンサ回路161においては、端子部材1615の棒状体の一端1615aは、上述の実施形態と同様に形成するが、端子部材1614の一端1614aは、ホルダー1610の周部に露呈させて、筒状体5Bと電気的に結合するように構成する。
【0263】
このように構成した場合には、コンデンサ回路16をパッケージ部材151の凹部156に挿入すると共に、筒状体5Aと筒状体5Bとが螺合されて連結されることで、電気的な接続がなされる。この場合には、筒状体5は、例えばグランド電極とするようにすると良い。
【0264】
また、第2の実施形態においても、同様に、例えば、連結部材26の凹部268の底面には、端子部材263の端部263bのみをその挿入孔263eを露呈するように設けるようにすると共に、端子部材262の端部262bは、凹部268の底部ではなく、本体部260の周部に露呈させて、筒状体50と電気的に結合するように構成する。
【0265】
この第2の実施形態の場合には、コンデンサ回路16を、筒状体50内に挿入することで、ホルダー1610の周部に露呈した端子部材1614の一端1614aが筒状体50に電気的に接続される。
【0266】
また、第4の実施形態においては、IDパッケージ320は、端子部材324の端部324aを凹部327の底面に露呈させる代わりに、径大部322の周部に露呈させるように構成すると共に、このIDパッケージ320を筒状体50内に挿入することで、電気的に接続させるように構成することができる。
【0267】
[その他の実施形態または変形例]
上述したように、この発明の電子インクカートリッジにおいては、筒状体には、芯体が位置する側の端部と連結部材との間に、コイルが巻回されたフェライトコアと、圧力感知部材とが配置される。そして、上述の第1の実施形態や第2の実施形態で説明したように、コイルが巻回されたフェライトコアと、圧力感知部材との筒状体の中心軸方向の配列順序は、いずれが連結部材側になっていても良い。また、連結部材と、コイルが巻回されたフェライトコアと、圧力感知部材との3個の部材は、それぞれを独立のものとして連結するようにしてもよいし、3個を組み合わせて一体化したり、あるいは3個のうちの2個を組み合わせて一体化したりするようにしても良い。
【0268】
すなわち、電子インクカートリッジとして、
(1)コイルが巻回されたフェライトコア→圧力感知部材→連結部材の順に、独立の部材で連結
(2)圧力感知部材→コイルが巻回されたフェライトコア→連結部材の順に、独立の部材で連結
(3)コイルが巻回されたフェライトコア→圧力感知部材→連結部材の順に連結したものを一体化構造としてユニット化
(4)圧力感知部材→コイルが巻回されたフェライトコア→連結部材の順に連結したものを一体化構造としてユニット化
(5)コイルが巻回されたフェライトコア→圧力感知部材の順に連結したものを一体化構造としてユニット化したものに対して連結部材を別途連結
(6)圧力感知部材→コイルが巻回されたフェライトコアの順に連結したものを一体化構造としてユニット化したものに対して連結部材を別途連結
(7)芯体側に配置したコイルが巻回されたフェライトコアに対して、圧力感知部材に連結部材を一体的に設けてユニット化したものを連結
(8)芯体側に配置した圧力感知部材に対して、コイルが巻回されたフェライトコアに連結部材を一体的に設けてユニット化したものを連結
の8通りの組合せの構成が可能である。
【0269】
また、上述したように、この発明の電子インクカートリッジは、筆記具のボールペンなどのように、筐体に収納するインクカートリッジ(替え芯)と同様に扱うことができる。ボールペンでは、インクカートリッジを、いわゆるノック式により、あるいは、回転式に、ペン先を筐体内に収納した状態と、ペン先を筐体外に延出させた状態とを切り替えたり、また、例えばインクの色が異なる複数本のインクカートリッジを切り替えて、ペン先を筐体から延出させたりする構造を有するものが知られている。
【0270】
そこで、この発明の位置指示器においても、同様にして、電子インクカートリッジを、いわゆるノック式により、あるいは、回転式に、芯体を筐体内に収納した状態と、芯体を筐体外に延出させた状態とを切り替える構造とすることができる。また、この発明の位置指示器は、例えば芯体の太さの異なる複数本の電子インクカートリッジを切替えたり、ボールペンのインクカートリッジと電子インクカートリッジとを切替えたりする構成とすることもできる。
【0271】
なお、上述の実施形態では、静電容量が筆圧に応じて変化する圧力感知部材としてのコンデンサは、圧力センシング半導体デバイスや筒型のコンデンサを用いるようにしたが、筆圧に応じて静電容量が変化する圧力感知部材としては、この例に限られるものでないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0272】
1…位置指示器、2…筐体、5,50…筒状体、7…プッシュスイッチ、10,20…電子インクカートリッジ、11,21…芯体、13,23…コイル、14,24…フェライトコア、15,25…圧力センシング半導体デバイス、16…コンデンサ回路、17…キャップ、26…連結部材
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