特許第6012072号(P6012072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012072デジタル復調回路、デジタル復調方法及びデジタル復調用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012072
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】デジタル復調回路、デジタル復調方法及びデジタル復調用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H03K 9/08 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   H03K9/08 A
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-265446(P2012-265446)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2014-110610(P2014-110610A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】303013763
【氏名又は名称】NECエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130029
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】藤田 仁
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−202706(JP,A)
【文献】 特開2010−103680(JP,A)
【文献】 特開平11−150479(JP,A)
【文献】 特開昭63−026119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス幅変調され、更に、キャリアが重畳されている受信信号を復調する復調回路であって、
前記受信信号を入力データとし、前記キャリアよりも周波数が高いクロックに同期してNビット分の前記入力データをシフトして格納するNビットシフトレジスト手段と、
前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号を得るN入力論理和手段と、
を備えることを特徴とする復調回路。
【請求項2】
請求項1に記載の復調回路であって、
前記キャリアを除去した受信信号の前記パルス幅変調によるジッタを持たない側のエッジから所定時間経過後にエッジを持つ受信再生クロックを生成する受信再生クロック生成手段と、
前記キャリアを除去した受信信号を、前記受信再生クロックの前記エッジでリタイミングすることにより、前記パルス幅変調に対応する復調を行うDタイプフリップリタイミング手段と、
を更に備えることを特徴とする復調回路。
【請求項3】
請求項2に記載の復調回路であって、
前記受信再生クロック生成手段は、
前記キャリアを除去した受信信号の前記パルス幅変調によるジッタを持たない側のエッジを検出するエッジ検出手段と、
前記エッジ検出手段が前記エッジを検出してからの時間を計測するカウンタと、
前記カウンタが計測する時間が所定時間となった時に前記受信再生クロックの前記エッジを生成するデコード手段と、
を備えることを特徴とする復調回路。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の復調回路であって、
前記Nの値は、前記キャリアの半周期と比較して、Nビットシフト前のデータとNビットシフト後のデータとの時間差が大きくなるように定められることを特徴とする復調回路。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の復調回路であって、
前記N入力論理和手段は、前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データそれぞれを論理反転したデータの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号として得ると共に、
前記Dタイプフリップリタイミング手段は、前記キャリアを除去した受信信号を論理反転した信号を前記受信再生クロックの前記エッジでリタイミングすることにより、前記パルス幅変調に対応する復調を行う、
ことを特徴とする復調回路。
【請求項6】
パルス幅変調され、更に、キャリアが重畳されている受信信号を復調する復調回路が行う復調方法であって、
前記受信信号を入力データとし、前記キャリアよりも周波数が高いクロックに同期してNビット分の前記入力データをシフトしてNビットシフトレジスト手段に格納するステップと、
前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号を得るステップと、
を有することを特徴とする復調方法。
【請求項7】
パルス幅変調され、更に、キャリアが重畳されている受信信号を復調する復調回路としてコンピュータを機能させる為の復調プログラムであって、前記コンピュータを、
前記受信信号を入力データとし、前記キャリアよりも周波数が高いクロックに同期してNビット分の前記入力データをシフトして格納するNビットシフトレジスト手段と、
前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号を得るN入力論理和手段と、
を備える復調回路として機能させることを特徴とする復調プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変調された受信信号を復調する為の、デジタル復調回路、デジタル復調方法及びデジタル復調用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
低速度かつ低容量の伝送路では現在でも簡略な技術を用いて通信が実現されていることがある。
【0003】
例えば、一対一通信あるいは一対多(ブロードキャスト)通信であれば送信信号のルーティングは不要であり、従って、ルーティングに関する技術は利用されない。また、受信側での受信信号の誤り検出においても、パリティチェック等のような簡略な誤り検出技術を用いるだけであり、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)のような高度な誤り検出や誤り訂正は行われないこともある。
【0004】
もっとも、例えこのような簡略な方式の通信であっても伝送路による波形劣化を抑制し、受信エラー低減を図る必要はある。そのため、通常はベースバンド信号を変調信号などにより変調することにより生成した送信データを送信する。この場合、当然のことながら受信側での復調が必要となる。
【0005】
このような復調に関する技術として例えば、特許文献1及び特許文献2に記載の技術がある。特許文献1に記載の技術では電圧制御発振器(VCO:VoltageControlled Oscillator)を含んだ位相同期回路を設け、この位相同期回路を用いて、受信データからクロックとデータを再生する。
【0006】
一方で、特許文献2に記載の技術ではキャリア信号とクロックを共にカウントし、それらの比率をDAC(Digital to analog converter)により得ることにより復調をしている。
【0007】
もっとも、これらの技術を利用する為には、復調用にVCO若しくはDACを設ける必要が生じ、構成が複雑となると共に高コストとなることも考えられる。
【0008】
そこで、これらVCOやDACを使用することなく、受信装置内で復調を実行する場合の、一般的な復調回路について図1及び図2を参照して説明する。図1には一般的な技術のアーキテクチャが表されている。また、図2には一般的な技術のタイムチャートが表されている。
【0009】
図1を参照すると、一般的な復調回路である復調回路500は、受信信号入力端子51、受信キャリア検出フラグ生成部52、受信キャリアカウンタ53、第1のタイマ54、クロック入力端子55、AND回路56、第2のタイマ57、第1の立ち上がり検出回路58、第2の立ち上がり検出回路59、RSタイプフリップフロップ60、第3の立ち上がり検出回路61、クロック生成カウンタ62、Dタイプフリップフロップ63、及び受信再生データ出力端子65を含む。
【0010】
また、図1に表される各回路を接続する信号線には別途符号が付されているが、これは各信号線を介して出入力される信号を識別する為のものである。また、この符号は図2に表されるタイムチャート上で用いられている符号と共通するものである。
【0011】
復調回路500が組み込まれている受信装置において受信された信号は、受信信号551として受信信号入力端子51に入力される。
【0012】
受信信号551を入力する受信信号入力端子51は、受信キャリア検出フラグ生成部52のセット端子と、受信キャリアカウンタ53の受信信号入力端子にそれぞれ接続される。
【0013】
受信キャリア検出フラグ生成部52の出力端子は、受信キャリアカウンタ53のカウントイネーブル信号入力端子と第1のタイマ54のリセット入力端子にそれぞれ接続される。
【0014】
第1のタイマ54の出力端子は、受信キャリア検出フラグ生成部52のリセット入力端子とAND回路56の第2の入力端子にそれぞれ接続される。
【0015】
受信キャリアカウンタ53の出力端子は、AND回路56の第1の入力端子に接続される。
【0016】
AND回路56の出力端子は、第2のタイマ57のリセット入力端子と第1の立ち上がり検出回路58のD入力端子にそれぞれ接続される。
【0017】
第2のタイマ57の出力端子は、第2の立ち上がり検出回路59のD入力端子に接続される。
【0018】
第1の立ち上がり検出回路58の出力端子は、RSタイプフリップフロップ60のセット入力端子に接続される。第2の立ち上がり検出回路59の出力端子は、RSタイプフリップフロップ60のリセット入力端子に接続される。
【0019】
RSタイプフリップフロップ60の出力端子は、Dタイプフリップフロップ63のD入力端子と第3の立ち上がり検出回路61のD入力端子にそれぞれ接続される。
【0020】
第3の立ち上がり検出回路61の出力端子は、クロック生成カウンタ62のカウントイネーブル入力端子に接続される。
【0021】
受信再生クロック564を出力するクロック生成カウンタ62の出力端子は、Dタイプフリップフロップ63のクロック入力端子に接続される。Dタイプフリップフロップ63の出力端子は、受信再生データ出力端子65に接続される。
【0022】
クロック入力端子55には受信装置のクロックであるクロック555が入力される。そして、クロック入力端子55は、受信キャリアカウンタ53と第2のタイマ57と3つの立ち上がり検出回路58、59及び61とクロック生成カウンタ62のクロック入力端子にそれぞれ接続される。
【0023】
次に、復調回路500の基本的動作について図2のタイムチャートを参照して説明する。
【0024】
復調回路500が入力する受信信号は、所定の周期で値が0と1を繰り返すPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)信号などの信号を、その所定の周期に対応する周波数よりも高い周波数(好ましくは、その所定の周波数に対応する周波数よりもオーダーが高い周波数)のキャリア信号を重畳させたものである。或いは、所定の変調方式により、少なくとも近似的に前述のような形態となっている受信信号である。従って、前述のPWM信号などの信号のレベルが0である時には、受信信号は0であり、前述のPWM信号などの信号のレベルが1である時には、受信信号は0と1とを交互に繰り返す。受信信号から、それに重畳されているキャリア信号を除去するとは、受信信号から、前述のPWM信号などの信号に対応する原信号を復元させることである。
【0025】
前提としてクロック555の周波数は受信信号551に重畳するキャリアの周波数より高いものとする。また、クロック555と受信信号551に重畳するキャリアとは、位相同期している必要はない。また、タイマカウント値については、第2のタイマ57のタイマカウント値が第1のタイマ54のタイマカウント値よりも大きいものとする。つまり、「第2のタイマ57のタイマカウント値>第1のタイマ54のタイマカウント値」とする。
【0026】
また、第2のタイマ57のタイマカウント値を表す符号として「j」及び「i」を用いるが、これらの関係は「j>i>0」であるとする。
【0027】
復調回路500において受信信号551を受信すると、受信キャリア検出フラグ生成部52において受信キャリア検出となり、受信キャリア検出フラグ552が0から1となる。
【0028】
受信キャリアカウンタ53は、受信キャリア検出フラグ552の値が0である時には、リセット状態となり、このリセット状態では、受信キャリアカウンタ53の出力カウント値はゼロである。従って、受信キャリア検出フラグ552の値が0である期間では、受信キャリアカウンタ53が出力する出力カウント値はゼロが続く。他方、受信キャリアカウンタ53は、受信キャリア検出フラグ552の値が1である時には、クロック555に基づいて受信信号551に重畳しているキャリア数を計数する(図2の受信キャリアカウンタ553参照)。
【0029】
第1のタイマ54は、受信キャリア検出フラグ552が0でリセットをする(図2の受信キャリア検出フラグリセット565参照)。他方、受信キャリア検出フラグ552が1ならばクロック555に基づいて一定時間を計数する(図2の第1のタイマ554参照)。
【0030】
第1のタイマ54は、受信キャリア検出フラグ552の値が0である時には、リセット状態となり、このリセット状態では、第1のタイマ54の出力値はゼロである。従って、受信キャリア検出フラグ552の値が0である期間では、第1のタイマ54が出力する出力カウント値はゼロが続く。他方、受信キャリア検出フラグ552の値が1である間は、第1のタイマ54は、所定数のクロックをカウントし、そのカウントが終了した時に、1の値の受信キャリア検出フラグリセット信号を出力する。その受信キャリア検出フラグリセット信号は、受信キャリア検出フラグ生成部52のリセット端子とAND回路56の第2の入力端子に供給される。
【0031】
受信キャリア検出フラグ生成部52は、受信信号がある時にセットされ、リセット端子に受信キャリア検出フラグリセット信号を入力した時にリセットされる。
【0032】
受信キャリアカウンタ53は、キャリアを所定数までカウントしたならば、出力信号を1にして停止する。従って、第1のタイマ54が1の値の受信キャリア検出フラグ信号を出力した時に、既に、受信キャリアカウンタ53が、キャリア数を所定数までカウントしていれば、AND回路56は、その時に、1の値のパルスを出力する。逆に、第1のタイマ54が1の値の受信キャリア検出フラグ信号を出力した時に、受信キャリアカウンタ53が、キャリア数を所定数までカウントしていなけれれば、AND回路56は、その時に、パルスを出力しない。
【0033】
従って、AND回路56の出力を見ることにより、第1のタイマ54のタイマカウント値に対応する一定時間内にキャリアを必要個数以上受信しているか否かと、継続的にキャリアを受信しているか否かを判断することができる。
【0034】
AND回路56は第1の立ち上がり検出回路58を通して、RSタイプフリップフロップ60をセットする(図2のAND出力556及びRSFF560参照)。この動作により受信信号の再生「0→1」が行われる(図2のRSFF560参照)。
【0035】
また、AND回路56は一定時間内において受信キャリア数が必要数以上あれば1となり、信号受信パルスを出力する。そのAND回路56の出力は第2のタイマ57のリセット信号となっている(図2のAND出力556及び第2のタイマ557参照)。
【0036】
ここで、復調回路500におけるタイマカウント値は上述したように「第2のタイマ>第1のタイマ」であるため、キャリアを受信中は第2のタイマ57は0〜iまでしか計数できずフルカウントする前に初期化されてしまう(図2の第2のタイマ557参照)。
【0037】
キャリア受信が終了すると第2のタイマ57のリセット信号がなくなるため、第2のタイマ57は0〜jまでカウント可能となる。第2のタイマ57の出力は第2の立ち上がり検出回路59を通してRSタイプフリップフロップ60をリセットする(図2の第2のタイマ557、リセット559及びRSFF560参照)。この動作により受信信号の再生「1→0」が行われる。
【0038】
従って、第1のタイマ54のタイマカウント値に対応する一定時間内にキャリアを所定個数以上受信している状態が続けば、RSタイプフリップフロップ60の出力信号が1である状態が続く。これに対し、第1のタイマ54のタイマカウント値に対応する一定時間内にキャリアを所定個数以上受信していない状態が、第2のタイマ57のタイマカウント値に対応する時間以上続くと、RSタイプフリップフロップの出力信号は0となる。
【0039】
RSタイプフリップフロップ60の出力が0から1に変化すると、第3の立ち上がり検出回路61を通し、クロック生成カウンタ62が起動する。起動したクロック生成カウンタ62は、受信再生クロック64を生成するために必要な計数値kまでカウントして、カウントが終了したならば、出力を0から1に変化させる(図2のクロック生成カウンタ562及び受信再生クロック564参照)。
【0040】
Dタイプフリップフロップ63が、RSタイプフリップフロップ60の出力をDタイプフリップクロック生成カウンタ62が出力するクロックでリタイミングすることにより、受信信号再生が終了する(図2のRSFF560及び受信再生クロック564参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開2008−109440号公報
【特許文献2】特開平04−307810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0042】
上述した復調回路500のような回路を用いることによりVCO等を用いることなく受信信号の再生が可能となる。
【0043】
しかしながら、上述した復調回路500のような一般的な技術のアルゴリズムは分かりにくいものであった。
【0044】
ここで、分かりにくいアルゴリズムと考える理由であるが、一般的な技術のアルゴリズムでは、複数のカウンタを制御するための条件分岐の実行、カウンタに対するリセットの連続投入と最終リセットからの計数の測定、条件非成立時はカウンタリセットで条件成立時にカウンタを計数の測定、RSタイプフリップフロップによる状態保持等を実現しなければならないからである。
【0045】
このような複雑なアルゴリズムは回路設計で間違いが混入する恐れがあるという問題があった。また、検証においても全動作条件の確認が困難になりやすく、設計ミスを排除できないまま製品化してしまうリスクが有るという問題があった。
【0046】
そこで、本発明は、キャリアが重畳したパルス幅変調された受信信号のデジタル復調回路を、明解な復調アルゴリズム且つ簡素化したアーキテクチャで実現することが可能な、デジタル復調回路、デジタル復調方法及びデジタル復調プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0047】
本発明の第1の観点によれば、パルス幅変調され、更に、キャリアが重畳されている受信信号を復調する復調回路であって、前記受信信号を入力データとし、前記キャリアよりも周波数が高いクロックに同期してNビット分の前記入力データをシフトして格納するNビットシフトレジスト手段と、前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号を得るN入力論理和手段と、を備えることを特徴とする復調回路が提供される。
【0048】
本発明の第2の観点によれば、パルス幅変調され、更に、キャリアが重畳されている受信信号を復調する復調回路が行う復調方法であって、前記受信信号を入力データとし、前記キャリアよりも周波数が高いクロックに同期してNビット分の前記入力データをシフトしてNビットシフトレジスト手段に格納するステップと、前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号を得るステップと、を有することを特徴とする復調方法が提供される。
【0049】
本発明の第3の観点によれば、パルス幅変調され、更に、キャリアが重畳されている受信信号を復調する復調回路としてコンピュータを機能させる為の復調プログラムであって、前記コンピュータを、前記受信信号を入力データとし、前記キャリアよりも周波数が高いクロックに同期してNビット分の前記入力データをシフトして格納するNビットシフトレジスト手段と、前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号を得るN入力論理和手段と、を備える復調回路として機能させることを特徴とする復調プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、キャリアが重畳したパルス幅変調された受信信号のデジタル復調回路を、明解な復調アルゴリズム且つ簡素化したアーキテクチャで実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】一般的なデジタル復調回路の基本的構成を表す回路図である。
図2】一般的なデジタル復調回路の基本的動作を説明する為のタイムチャートである。
図3】本発明の実施形態であるデジタル復調回路の基本的構成を表す回路図である。
図4】本発明の実施形態であるデジタル復調回路に含まれるNビットシフトレジスタの内部構成の一例を表す図である。
図5】本発明の実施形態であるデジタル復調回路の基本的動作を説明する為のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
まず、本発明の実施形態の概略を説明する。本発明の実施形態では、キャリアが重畳したパルス幅変調受信信号をNビットシフトレジスタに入力し、そのNビットシフトレジスタの出力波形を重ね合わせることでキャリア除去をする。また、本実施形態では、キャリア除去後のパルス幅変調信号を取り出し、取り出されたパルス幅変調信号から受信クロックを再生する。更に、本実施形態では、再生した受信クロックでパルス幅変調信号をリタイミングすることにより受信信号の再生、すなわち復調をする。これにより本実施形態では一般的な技術と比較して、復調アルゴリズムと回路構成を簡易なものとすることが可能となる。
【0053】
以上が本実施形態の概略である。
【0054】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0055】
図3は、本発明の実施形態である復調回路100の基本的構成を表す回路図である。また図5は、本発明の実施形態である復調回路100の基本的動作を説明する為のタイムチャートである。
【0056】
まず、図3を参照すると復調回路100は、受信信号入力端子1、Nビットシフトレジスタ2、クロック入力端子3、N入力OR回路4、立ち上がり検出回路5、クロック生成カウンタ6、デコーダ7、第1のDタイプフリップフロップ8、第2のDタイプフリップフロップ9、及び受信再生データ出力端子11を含む。
【0057】
また、図3に表される各回路を接続する信号線には別途符号が付されているが、これは図1と同様に各信号線を介して出入力される信号を識別する為のものである。また、この符号は図5に表されるタイムチャート上で用いられている符号と共通するものである。
【0058】
復調回路100が組み込まれている受信装置において受信された、キャリアが重畳したパルス幅変調受信信号は、受信信号入力101として受信信号入力端子1に入力される。そして、受信信号入力端子1に入力された受信信号入力101は、受信信号入力端子1の出力として、Nビットシフトレジスタ2のD入力端子に供給される。
【0059】
ここで、Nビットシフトレジスタ2の内部構成を図4に示す。図4に示すように、Nビットシフトレジスタ2は、内部に直列に接続されたN個のDタイプフリップフロップ2−1〜2−N(図中では、DタイプFFと記載する。)を含んでいる。左端のDタイプフリップフロップ2−1にはD入力端子2−10が接続されており、D入力端子2−10を介して受信信号入力101が入力される。他方、Dタイプフリップフロップ2−2〜2−NのD入力には、1つ左側のDタイプフリップフロップの出力が接続される。更に、N個のDタイプフリップフロップ2−1〜2−Nのそれぞれにはクロック入力端子2−20が接続されており、クロック入力端子2−20を介してクロック103が入力される。
【0060】
そして、左端のDタイプフリップフロップ2−1が入力した受信信号入力101を、クロック端子から入力したクロック103に同期して、右側のDタイプフリップフロップ(Dタイプフリップフロップ2−2〜2−N)にシフトさせていく。そして、Nビットシフトレジスタ2は、全てのDタイプフリップフロップ(Dタイプフリップフロップ2−1〜2−N)の出力を並列に出力するためのN個の出力端子(出力端子2−30−1〜2−30−N)も含んでいる。
【0061】
そして、本実施形態ではN入力OR回路4においてNビットシフトレジスタ2のN個の出力全体(Nビットシフトレジスタ出力2(1)〜2(N))に対して論理和をとることによりキャリア除去をする。N入力OR回路4の出力信号である論理和出力104は、立ち上がり検出回路5の第1の入力に供給される。
【0062】
立ち上がり検出回路5は、クロック入力に同期して前記Nビット論理和出力104の立ち上がりを検出する微分回路である。そして、本実施形態では、N入力OR回路4の出力に対して立ち上がり検出回路5にて立ち上がり検出を行うことにより立ち上がり検出信号105を取り出す。また、立ち上がり検出回路5の出力である立ち上がり検出信号105はクロック生成カウンタ6のリセット信号入力端子に供給される。
【0063】
クロック生成カウンタ6は、立ち上がり検出回路5の立ち上がり検出信号105をリセット信号として、クロック入力に同期して計数するカウンタである。クロック生成カウンタ6の出力であるクロック生成カウンタ出力106は、デコーダ7の入力端子に供給される。
【0064】
デコーダ7は、クロック生成カウンタ6の出力であるクロック生成カウンタ出力106をデコードするデコーダである。デコーダ7の出力であるデコーダ出力107は第1のDタイプフリップフロップ8のD入力端子に供給する。具体的には、デコーダ7は、クロック生成カウンタ6が出力するカウント値が所定の値となった時に、レベルが1のパルスを出力する。カウント値と比較する上記の所定の値については、動作の説明の箇所で後述する。
【0065】
第1のDタイプフリップフロップ8は、デコーダ7の出力であるデコーダ出力107をクロックと同期させ、その同期後のデコーダ7の出力を受信再生クロック110とする。第1のDタイプフリップフロップ8の出力である受信再生クロック110は、第2のDタイプフリップフロップ9のD入力端子に供給する。
【0066】
そして、本実施形態では、第2のDタイプフリップフロップ9が、この受信再生クロック110でNビット論理和出力104をリタイミングする。ここで、リタイミングの対象となるNビット論理和出力104は所定の周期で値が0と1を繰り返すPWM信号等の信号から、重畳されていたキャリアを除去した信号である。そして、このリタイミング後の信号が、第2のDタイプフリップフロップ9の出力である。そして、第2のDタイプフリップフロップ9の出力は受信再生データ110として受信再生データ出力端子11に供給される。
【0067】
第2のDタイプフリップフロップ9の出力した受信再生データ111は受信再生データ出力端子11より外部に出力される。
【0068】
クロック入力端子3には受信装置のクロックであるクロック103が入力される。そして、クロック入力端子55から入力されたクロック103は、Nビットシフトレジスタ2のクロック入力端子と、立ち上がり検出回路5のクロック入力端子と、クロック生成カウンタ6のクロック入力端子と、2つのDタイプフリップフロップ8と9それぞれのクロック入力端子に供給される。なお、クロック103は復調回路100が組み込まれた受信装置にて生成されても良いが、他の方法により生成されても良い。例えば、受信装置及び送信装置以外の第3の装置がクロックを生成して復調回路100に供給するようにしても良い。
【0069】
次に、復調回路100の基本的動作について図5のタイムチャ−トを参照して説明する。
【0070】
図5において受信信号入力101はパルス幅変調された受信信号で、送信データの値が”0”と”1”のどちらであっても、受信信号は、1つの周期において、HighからLowに変化している。より詳細には、LowからHighに変化するタイミングは周期中で変動せず、HighかLowに変化するタイミングは送信データの値が”0”と”1”のうちのどちらであるのかにより周期中で変動する。送信データが”0”と”1”のうちのどちらであるのかについての識別は、デューティ比をみることにより行う。ここで、デューティ比とは、PWM信号の1周期に占めるハイレベル期間の割合のことであり、[ハイレベル期間/PWM信号の周期]×100%で計算される。
【0071】
図5には、受信信号101を拡大して表したものが受信信号入力101(拡大1)として記載されている。受信信号入力101(拡大1)の波形に表されるようにPWM信号のレベルがHighである区間にはキャリアが重畳している。この重畳しているキャリアを更に拡大した波形が、受信信号入力1(拡大2)として受信信号入力101(拡大1)の下段に表されている。
【0072】
なお、図5の受信信号入力の波形を用いて、ジッタの説明をする。ここには5つのデータについての受信信号入力の波形が示されている。各矢印の左端部のタイミングにおいて、信号がLOWからハッチング部(実際には、変調信号によりLOWとHIGHを繰り返す部分)に切り替わるが、この切り替わりのタイミングは、データの値が0であるか1であるかに左右されずに変動しないため、ジッタを有さない。これに対し、信号がハッチング部からLOWに切り替わる部分は、データの値が0であるか1であるかに左右されて変動する(具体的には、データの値が0であればタイミングが速まり、データの値が1であればタイミングが遅くなる)ため、ジッタを有する。
【0073】
ここで、今回の説明における前提として、図5の上から3行目の拡大2で示すようにキャリアの値が”0”であることが続く期間の長さは、クロック入力端子3から供給される受信装置のクロック103のm個分とする。また、mは設計により定められた任意の自然数である。この場合シフトレジスタの段数であるNを、「N≧m」の関係を満たすように定める。この関係が満たすようにNの値を設定することにより、受信信号のレベルが0でなく、0と1を繰り返している期間に、N入力OR回路の出力のレベルを1に固定することができるようになる。この関係は、換言すれば、Nの値が、キャリアの半周期と比較して、Nビットシフト前のデータとNビットシフト後のデータとの時間差が大きくなるように定められる関係であるということもできる。
【0074】
また、本実施形態では、伝送信号のキャリアと受信装置のクロックとの間の同期性は問わないものとする。すなわち、キャリアとクロックは同期していてもよいし、同期していなくてもよい。図5においては受信装置のクロックをクロック103として図示する。
【0075】
本実施形態では、受信信号入力101(拡大2)をクロック103に同期させてNビットシフトレジスタ2に取り込む。取り込まれた入力信号からは、Nビットシフトレジスタ出力102(図5中ではNビットシフトレジスタ出力102(1)、(2)・・・(N)を図示する。)として表されているように、N種類の信号が生成される。N種類の信号はそれぞれ1クロック分ずつ位相が遅れている。
【0076】
そのNビットシフトレジスタ102に含まれるN個のレジスタそれぞれの1ビット出力データを合わせたNビットのデータであるNビットシフトレジスタ出力102を論理和回路であるN入力OR回路4に入力し、それにより得た論理和データを立ち上がり検出回路5に供給する。ここで、N入力OR回路4の論理和データは、論理和出力104として図5に表されている。
【0077】
上述したようにキャリアのレベルが”0”である区間の長さは、クロック103数で換算してmクロック分である。また、上述したように、mを、Nビットシフトレジスタ2の段数であるNと比較すると、N≧mの関係が成り立つようにNの値が選択されている。よって、PWM信号がHighである期間においては、論理和データ104のレベルも、継続的にHighとなる。他方、PWM信号がLowである期間においては、論理和データ104のレベルも、継続的にLowとなる。従って、キャリアが重畳したPWM信号から、キャリアのみを除去でき、これによりPWM信号を復元できている。
【0078】
なお、本実施形態を変形することにより、受信信号全体の極性又は受信信号のうちPWMの部分の極性が上述の説明とは逆の場合であっても対応することが可能となる。具体的には、例えばNビットシフトレジスタ2とN入力OR回路4の間のN本の接続線それぞれに対して論理反転回路(NOT回路)を挿入する。すなわち、図4に表されるN個の出力端子(出力端子2−30−1〜2−30−N)のそれぞれとN入力OR回路4のN個の入力端子とを接続する接続線のそれぞれに論理反転回路を挿入する。こうすることによりPWM信号の極性が上述の説明とは逆の場合であっても、キャリアが重畳したPWM信号から、キャリアのみを除去することが可能となる。
【0079】
また、この場合には後述するように受信再生クロックに基づいて受信データを再生するにあたり、第2のDタイプフリップフロップ9への出力も論理反転する必要がある。そのため、N入力OR回路4と第2のDタイプフリップフロップ間にも論理反転回路を挿入する。
【0080】
なお、本実施形態のもう一つの変形例として、キャリアが除去されたPWM信号を直接的に何らかの機器の制御に用いるように変形することも可能である。すなわち、立ち上がり検出回路5よりも後段の構成を省略し、論理和データ104を電源回路の制御や、モータの駆動制御といった用途に直接利用するようにしても良い。もっとも今回の説明においては、論理和データ104は立ち上がり検出回路5に供給され、以下に説明するように利用される。
【0081】
次に、立ち上がり検出回路5が論理和データ104の立ち上がりのタイミングにおいて立ち上がり検出信号105を生成する。生成された立ち上がり検出信号105は、クロック生成カウンタ6に対して出力される。
【0082】
クロック生成カウンタ6は、入力された立ち上がり検出信号105によりリセットされ、リセット後に、受信装置のクロックによりカウントをすることを開始する。
【0083】
クロック生成カウンタ6のカウント値が所定の値となった時に、デコーダ7は、レベルが1のパルスを出力する。このパルスを受信再生クロック110とする。これにより、キャリアを除去した受信信号101のパルス幅変調によるジッタを持たない側のエッジから所定時間経過後にエッジを持つ受信再生クロックを生成することが可能となる。ここで、カウント値と比較する上記の所定の値は、PWM信号の周期の半分の時間に対応するカウント値とする。ただし、変調指数又は変調度との兼ね合いもあるが、復調エラーが発生しない範囲で、それから多少ずれていてもよい。
【0084】
その受信再生クロック110でキャリア除去した論理和データ104をリタイミングすると受信再生データ111が得られる。
【0085】
なお、本実施形態にて得られた受信再生データ111の用途には特に限定はなく、従って、本実施形態である復調回路100は任意の機器により実現される任意の受信装置に組み込むことが可能である。
【0086】
以上の動作により本実施形態は、復調アルゴリズムと回路構成が簡易にした上で、キャリアが重畳したパルス幅変調された受信信号に対してデジタル復調を行うことができる。
【0087】
以上説明した本実施形態では、下述のような多くの効果を奏する。
【0088】
以上説明した本実施形態では、受信信号に重畳されているキャリアより高周波のクロックで、受信信号をNビットシフトレジスタに格納する。シフトレジスタのクロックは受信信号との同期性は問わない。そして、Nビットシフトレジスタの出力をNビット論理和の入力とし受信波形を合成する。このように合成することでキャリアが除去でき、パルス幅変調のみがされた出力が得られるという第1の効果を奏する。
【0089】
また、以上説明した本実施形態では、前記Nビット論理和出力の立ち上がりを検出し、その立ち上がり信号から一定時刻経過後に前記Nビット論理和出力をリタイミングする。これにより復調した受信信号が得られるという第2の効果を奏する。
【0090】
また、本実施形態では一般的な技術と比較して、より明解な復調アルゴリズムで、かつ簡素化したアーキテクチャを提供する。そして、明快なアルゴリズムと簡素化したアーキテクチャにより設計者以外が該当回路を見ても容易に動作が把握でき、検証においても全動作条件での確認が容易になり設計ミスが低減できる、という第3の効果を奏する。
【0091】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0092】
例えば、復調回路100に含まれる各論理回路の一部又は全部をFPGA(Field-programmable gate array)等のプログラマブルなLSI(Large Scale Integration)、又はDSP(Digital Signal Processor)等により実現することが可能である。また、同様に復調回路100に含まれる各論理回路の一部又は全部をCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置がソフトウェアに基づいた演算処理を行うことにより実現することも可能である。
【0093】
すなわち、上記の復調回路は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合わせにより実現することができる。また、上記の復調回路により行なわれるデジタル復調方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0094】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0095】
なお、本実施形態の一活用例としては、電源回路(カメラ、携帯電話機、ゲーム機器、ネットワーク機器)等が挙げられる。
【0096】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0097】
(付記1) パルス幅変調され、更に、キャリアが重畳されている受信信号を復調する復調回路であって、
前記受信信号を入力データとし、前記キャリアよりも周波数が高いクロックに同期してNビット分の前記入力データをシフトして格納するNビットシフトレジスト手段と、
前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号を得るN入力論理和手段と、
を備えることを特徴とする復調回路。
【0098】
(付記2) 付記1に記載の復調回路であって、
前記キャリアを除去した受信信号の前記パルス幅変調によるジッタを持たない側のエッジから所定時間経過後にエッジを持つ受信再生クロックを生成する受信再生クロック生成手段と、
前記キャリアを除去した受信信号を、前記受信再生クロックの前記エッジでリタイミングすることにより、前記パルス幅変調に対応する復調を行うDタイプフリップリタイミング手段と、
を更に備えることを特徴とする復調回路。
【0099】
(付記3) 付記2に記載の復調回路であって、
前記受信再生クロック生成手段は、
前記キャリアを除去した受信信号の前記パルス幅変調によるジッタを持たない側のエッジを検出するエッジ検出手段と、
前記エッジ検出手段が前記エッジを検出してからの時間を計測するカウンタと、
前記カウンタが計測する時間が所定時間となった時に前記受信再生クロックの前記エッジを生成するデコード手段と、
を備えることを特徴とする復調回路。
【0100】
(付記4) 付記1乃至3の何れか1に記載の復調回路であって、
前記Nの値は、前記キャリアの半周期と比較して、Nビットシフト前のデータとNビットシフト後のデータとの時間差が大きくなるように定められることを特徴とする復調回路。
【0101】
(付記5) 付記1乃至4の何れか1に記載の復調回路であって、
前記N入力論理和手段は、前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データそれぞれを論理反転したデータの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号として得ると共に、
前記Dタイプフリップリタイミング手段は、前記キャリアを除去した受信信号を論理反転した信号を前記受信再生クロックの前記エッジでリタイミングすることにより、前記パルス幅変調に対応する復調を行う、
ことを特徴とする復調回路。
【0102】
(付記6) パルス幅変調され、更に、キャリアが重畳されている受信信号を復調する復調回路が行う復調方法であって、
前記受信信号を入力データとし、前記キャリアよりも周波数が高いクロックに同期してNビット分の前記入力データをシフトしてNビットシフトレジスト手段に格納するステップと、
前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号を得るステップと、
を有することを特徴とする復調方法。
【0103】
(付記7) 付記6に記載の復調方法であって、
前記キャリアを除去した受信信号の前記パルス幅変調によるジッタを持たない側のエッジから所定時間経過後にエッジを持つ受信再生クロックを生成する受信再生クロック生成ステップと、
前記キャリアを除去した受信信号を、前記受信再生クロックの前記エッジでリタイミングすることにより、前記パルス幅変調に対応する復調を行うDタイプフリップリタイミングステップと、
を更に備えることを特徴とする復調方法。
【0104】
(付記8) 付記7に記載の復調方法であって、
前記受信再生クロック生成ステップは、
前記キャリアを除去した受信信号の前記パルス幅変調によるジッタを持たない側のエッジを検出するエッジ検出ステップと、
前記エッジ検出手段が前記エッジを検出してからの時間を計測するカウンタと、
前記カウンタが計測する時間が所定時間となった時に前記受信再生クロックの前記エッジを生成するデコードステップと、
を有することを特徴とする復調方法。
【0105】
(付記9) 付記6乃至8の何れか1に記載の復調方法であって、
前記Nの値は、前記キャリアの半周期と比較して、Nビットシフト前のデータとNビットシフト後のデータとの時間差が大きくなるように定められることを特徴とする復調方法。
【0106】
(付記10) 付記6乃至9の何れか1に記載の復調方法であって、
前記N入力論理和ステップでは、前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データそれぞれを論理反転したデータの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号として得ると共に、
前記Dタイプフリップリタイミングステップでは、前記キャリアを除去した受信信号を論理反転した信号を前記受信再生クロックの前記エッジでリタイミングすることにより、前記パルス幅変調に対応する復調を行う、
ことを特徴とする復調方法。
【0107】
(付記11) パルス幅変調され、更に、キャリアが重畳されている受信信号を復調する復調回路としてコンピュータを機能させる為の復調プログラムであって、前記コンピュータを、
前記受信信号を入力データとし、前記キャリアよりも周波数が高いクロックに同期してNビット分の前記入力データをシフトして格納するNビットシフトレジスト手段と、
前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号を得るN入力論理和手段と、
を備える復調回路として機能させることを特徴とする復調プログラム。
【0108】
(付記12) 付記11に記載の復調プログラムであって、
前記キャリアを除去した受信信号の前記パルス幅変調によるジッタを持たない側のエッジから所定時間経過後にエッジを持つ受信再生クロックを生成する受信再生クロック生成手段と、
前記キャリアを除去した受信信号を、前記受信再生クロックの前記エッジでリタイミングすることにより、前記パルス幅変調に対応する復調を行うDタイプフリップリタイミング手段と、
を更に備えることを特徴とする復調プログラム。
【0109】
(付記13) 付記12に記載の復調プログラムであって、
前記受信再生クロック生成手段は、
前記キャリアを除去した受信信号の前記パルス幅変調によるジッタを持たない側のエッジを検出するエッジ検出手段と、
前記エッジ検出手段が前記エッジを検出してからの時間を計測するカウンタと、
前記カウンタが計測する時間が所定時間となった時に前記受信再生クロックの前記エッジを生成するデコード手段と、
を備えることを特徴とする復調プログラム。
【0110】
(付記14) 付記11乃至13の何れか1に記載の復調プログラムであって、
前記Nの値は、前記キャリアの半周期と比較して、Nビットシフト前のデータとNビットシフト後のデータとの時間差が大きくなるように定められることを特徴とする復調プログラム。
【0111】
(付記15) 付記11乃至14の何れか1に記載の復調プログラムであって、
前記N入力論理和手段は、前記Nビットシフトレジスト手段に格納されている前記Nビット分の前記入力データそれぞれを論理反転したデータの論理和をビット間で取ることにより前記受信信号に重畳されているキャリアを除去した受信信号として得ると共に、
前記Dタイプフリップリタイミング手段は、前記キャリアを除去した受信信号を論理反転した信号を前記受信再生クロックの前記エッジでリタイミングすることにより、前記パルス幅変調に対応する復調を行う、
ことを特徴とする復調プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、パルス幅変調された上に、キャリアにより変調された信号またはそれに近似する信号を復調するために利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 受信信号入力端子
2 Nビットシフトレジスタ
2−1〜2−N Dタイプフリップフロップ
2−10 D入力端子
2−20 クロック入力端子
2−30−1〜2−30−N 出力端子
3 クロック入力端子
4 N入力OR回路
5 立ち上がり検出回路
6 クロック生成カウンタ
7 デコーダ
8 第1のDタイプフリップフロップ
9 第2のDタイプフリップフロップ
11 受信再生データ出力端子
51 受信信号入力端子
52 受信キャリア検出フラグ生成部
53 受信キャリアカウンタ
54 第1のタイマ
55 クロック入力端子
56 AND回路
57 第2のタイマ
58 第1の立ち上がり検出回路
59 第2の立ち上がり検出回路
60 RSタイプフリップフロップ
61 第3の立ち上がり検出回路
62 クロック生成カウンタ
63 Dタイプフリップフロップ
65 受信再生データ出力端子
図1
図2
図3
図4
図5