特許第6012073号(P6012073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012073
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】トンネル掘削機の掘削部材の交換方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/087 20060101AFI20161011BHJP
   E21D 9/02 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   E21D9/087 C
   E21D9/02
【請求項の数】1
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-287347(P2012-287347)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-129667(P2014-129667A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】村中 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】有川 健
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−177472(JP,A)
【文献】 特開平9−195684(JP,A)
【文献】 特開2006−322203(JP,A)
【文献】 特開2002−147177(JP,A)
【文献】 特開2004−278030(JP,A)
【文献】 特開平5−311983(JP,A)
【文献】 特開平10−61387(JP,A)
【文献】 特開2008−14043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 1/00〜 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削機本体をグリッパにより固定した状態で前記掘削機本体の前面のカッタヘッドを回転させて前記カッタヘッドの前面の複数の掘削部材を地盤に押し付け回転させることにより該地盤に上向きまたは水平のトンネルを掘削する処理を停止する工程と、
前記掘削処理を停止した後、前記掘削機本体の後方に設けられた滑落防止手段により前記掘削機本体を固定する工程と、
前記掘削処理を停止した後、前記カッタヘッドの前面側の掘削領域を前記掘削機本体に設けられた方向修正手段により広げる工程と、
前記滑落防止手段により前記掘削機本体を固定した後、前記グリッパの固定状態を解除し、前記グリッパの支持部材を前記掘削機本体内から撤去する工程と、
前記グリッパの支持部材の撤去後、地盤の掘削により生じた排土をトンネルの外部に輸送する排土管を前記掘削機本体内から撤去する工程と、
前記排土管の撤去後、前記排土管の前方に接続され、地盤の掘削により生じた排土を収容する排土収容手段を前記掘削機本体内から撤去する工程と、
前記グリッパの支持部材、前記排土管および前記排土収容手段を撤去した後、前記掘削機本体内に搬送レールを敷設する工程と、
前記搬送レール上に運搬台車を搬入する工程と、
前記運搬台車の移動を操作する操作手段を前記掘削機本体内において前記カッタヘッドの後面側に設置する工程と、
前記カッタヘッドの後面側から取り外した交換対象の前記掘削部材を荷役手段により前記運搬台車に乗せ、前記操作手段による前記運搬台車の移動により前記掘削機本体の後方に搬送する工程と、
前記運搬台車に乗せられた新たな掘削部材を前記操作手段による前記運搬台車の移動により前記カッタヘッドの後面側に搬送する工程と、
前記運搬台車により搬送された前記新たな掘削部材を前記荷役手段により交換部位に運び、前記カッタヘッドの後面側から交換部位に装着する工程と、
前記操作手段、前記運搬台車および前記搬送レールを前記掘削機本体内から撤去する工程と、
前記操作手段、前記運搬台車および前記搬送レールを撤去した後、前記排土収容手段、前記排土管および前記グリッパの支持部材を前記掘削機本体内に戻す工程と、
を有することを特徴とするトンネル掘削機の掘削部材の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削機の掘削部材の交換方法に関し、例えば、地盤に上向きまたは水平のトンネルを掘削するトンネル掘削機の掘削部材の交換技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘削機は、鋼製の筒体または枠体を地中に押し込みながら地盤にトンネルを構築する機器であり、その主なものに、シールドマシンやトンネルボーリングマシン(Tunnel Boring Machines:以下、TBMと略す)等がある。
【0003】
シールドマシンは、主に都市部の地下鉄や下水道の形成に使用される等、比較的軟弱な地質に対する掘削に使用されている。一方、TBMは、主に山岳部の鉄道や発電用導水路の形成に使用される等、比較的硬い地質に対する掘削に使用されており、他の工法に比べて掘削速度が速いという利点を有していることから、トンネルを造るのに速度が求められる場合に使用されている。
【0004】
いずれの場合もトンネル掘削機を構成する筒体または枠体の進行方向の先端に、その筒体または枠体の周方向に沿って回転するカッタヘッドが設置されている。このカッタヘッドの前面内には、ローラカッタやローラビット等のような複数の掘削部材が規則的に並んで配置されている。トンネルの掘削時には、カッタヘッドの前面の掘削部材を切羽(掘削面)に押し付けながらカッタヘッドを回転させることにより岩盤等を掘削するようになっている。
【0005】
トンネルの掘削時に掘削部材に摩耗や欠損等が生じた場合は、機内の排土輸送機構を掘削機本体の後方から撤去した後、作業者がカッタヘッドの後面まで進入して掘削部材を交換している。このような掘削部材の交換作業を容易にするため、例えば特許文献1,2には、撤去を容易にすることが可能な排土輸送機構が開示されている。また、例えば特許文献3には、小径のトンネルを掘削するトンネル掘削機であっても設置可能な排土輸送機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−147177号公報
【特許文献2】特開平11−324577号公報
【特許文献3】特開2004−43120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、TBM施工においては、掘削部材の交換において技術的に未成熟な部分が存在している。特に、上向きに傾斜するトンネルの施工や小径のトンネルの施工においては、上向きに傾斜し足場が不安定な機内で、また、作業領域が狭い機内で、如何にして安全かつ効率的に掘削部材を交換するかが重要な課題となっている。
【0008】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、その目的は、トンネル掘削機の掘削部材を安全かつ効率的に交換することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のトンネル掘削機の掘削部材の交換方法は、掘削機本体をグリッパにより固定した状態で前記掘削機本体の前面のカッタヘッドを回転させて前記カッタヘッドの前面の複数の掘削部材を地盤に押し付け回転させることにより該地盤に上向きまたは水平のトンネルを掘削する処理を停止する工程と、前記掘削処理を停止した後、前記掘削機本体の後方に設けられた滑落防止手段により前記掘削機本体を固定する工程と、前記掘削処理を停止した後、前記カッタヘッドの前面側の掘削領域を前記掘削機本体に設けられた方向修正手段により広げる工程と、前記滑落防止手段により前記掘削機本体を固定した後、前記グリッパの固定状態を解除し、前記グリッパの支持部材を前記掘削機本体内から撤去する工程と、前記グリッパの支持部材の撤去後、地盤の掘削により生じた排土をトンネルの外部に輸送する排土管を前記掘削機本体内から撤去する工程と、前記排土管の撤去後、前記排土管の前方に接続され、地盤の掘削により生じた排土を収容する排土収容手段を前記掘削機本体内から撤去する工程と、前記グリッパの支持部材、前記排土管および前記排土収容手段を撤去した後、前記掘削機本体内に搬送レールを敷設する工程と、前記搬送レール上に運搬台車を搬入する工程と、前記運搬台車の移動を操作する操作手段を前記掘削機本体内において前記カッタヘッドの後面側に設置する工程と、前記カッタヘッドの後面側から取り外した交換対象の前記掘削部材を荷役手段により前記運搬台車に乗せ、前記操作手段による前記運搬台車の移動により前記掘削機本体の後方に搬送する工程と、前記運搬台車に乗せられた新たな掘削部材を前記操作手段による前記運搬台車の移動により前記カッタヘッドの後面側に搬送する工程と、前記運搬台車により搬送された前記新たな掘削部材を前記荷役手段により交換部位に運び、前記カッタヘッドの後面側から交換部位に装着する工程と、前記操作手段、前記運搬台車および前記搬送レールを前記掘削機本体内から撤去する工程と、前記操作手段、前記運搬台車および前記搬送レールを撤去した後、前記排土収容手段、前記排土管および前記グリッパの支持部材を前記掘削機本体内に戻す工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、トンネルが上向きに傾斜しているため掘削機本体内の足場が不安定であっても、トンネルが小径なため掘削機本体内の作業領域が狭くても、トンネル掘削機の掘削部材を安全かつ効率的に交換することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態であるトンネル掘削機を構成する掘削機本体の全体構成の説明図である。
図2図1の掘削機本体を持つトンネル掘削機の全体構成の説明図である。
図3図1のIII−III線の断面図である。
図4図1のIV−IV線の断面図である。
図5図1のV−V線の断面図である。
図6図1のVI−VI線の断面図である。
図7図1の掘削本体のカッタヘッドの正面図である。
図8】カッタヘッドの回転によるローラビットの回転軌跡を示したカッタヘッドの正面図である。
図9図7のカッタヘッドの正面中央のローラビットを側面側から見た説明図である。
図10図7のカッタヘッドの正面中央のローラビットを側面側から見た説明図である。
図11図7のカッタヘッドの正面中央と正面最外周との間のローラビットの説明図である。
図12図7のカッタヘッドの最外周のローラビットの説明図である。
図13】カッタヘッドの複数のローラビットの配列の説明図である。
図14図1の掘削機本体を用いたトンネル掘進処理作業のフロー図である。
図15】トンネル掘進処理動作中の掘削機本体の説明図である。
図16図15に続くトンネル掘進処理動作中の掘削機本体の説明図である。
図17図16に続くトンネル掘進処理動作中の掘削機本体の説明図である。
図18図17に続くトンネル掘進処理動作中の掘削機本体の説明図である。
図19図18に続くトンネル掘進処理動作中の掘削機本体の説明図である。
図20図19に続くトンネル掘進処理動作中の掘削機本体の説明図である。
図21図20に続くトンネル掘進処理動作中の掘削機本体の説明図である。
図22図21に続くトンネル掘進処理動作中の掘削機本体の説明図である。
図23】ローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図24図23に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図25図24に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図26図24に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図27図25および図26に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図28図27に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図29図28に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図30図29に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図31図30に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図32図31に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図33図32に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図34図33に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
図35図34に続くローラビットの交換工程中の掘削機本体の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
図1は本実施の形態のトンネル掘削機を構成する掘削機本体の全体構成の説明図、図2図1の掘削機本体を持つトンネル掘削機の全体構成の説明図、図3図1のIII−III線の断面図、図4図1のIV−IV線の断面図、図5図1のV−V線の断面図、図6図1のVI−VI線の断面図である。なお、図1は掘削機本体を側面側から見た図であり、説明上、掘削機本体の内部を透かして示している。
【0014】
本実施の形態のトンネル掘削機は、例えば複胴式シールド型TBMであり、図1および図2に示すように、トンネル掘削機を構成するTBM本体(掘削機本体)1を地盤G(土や岩盤等)に押し込みながら発電所の水圧管斜坑や各種地下空洞のアクセストンネル等のようなトンネルHを地盤Gに構築する機器である。
【0015】
TBM本体1は、例えば円筒状の鋼製筒体により形成されており、その長手方向に沿って前胴部1Fと中胴部1Mと後胴部1Bとを一体的に備えている。TBM本体1の掘削外径は、例えば1500mmであり比較的小径である。また、TBM本体1の全長は、例えば6360mm程度である。掘削速度は、例えば1.5cm/minである。
【0016】
TBM本体1の前胴部1Fの前面(TBM本体1の掘進行方向の前面)には、カッタヘッド2が前胴部1F内に設置されたカッタ駆動電動機3によりTBM本体1の中心軸を中心にしてTBM本体1の周方向に沿って回転可能な状態で設置されている。
【0017】
カッタヘッド2の外形は、TBM本体1とほぼ等しい円盤状に形成されている。また、カッタヘッド2において切羽に対向する面は略円錐台形状に形成されている。すなわち、カッタヘッド2の前面には、その最外周から中央に向けてテーパ面が形成され、中央部に円形状の平坦面が形成されている。
【0018】
このカッタヘッド2の前面には、複数のローラビット(掘削部材)4が地盤Gを掘削するように回転可能な状態で規則的に並んで配置されている。ローラビット4は、TBM本体1に与えられる推進力に因って地盤Gに押し付けられた状態でカッタヘッド2の回転に伴って切羽を掘削する部材である。各ローラビット4の重さは、例えば40kg程度である。このローラビット4の配置については、後ほど詳細に説明する。
【0019】
また、カッタヘッド2には、前面と後面との間を貫通する開口部(図1図6に図示せず)が形成されている。掘削処理により生じた掘削土(排土)は、カッタヘッド2の開口部を通じてTBM本体1の内部に設置されたホッパ(排土収容手段)5内に一時的に収容されるようになっている。
【0020】
ホッパ5は、カッタヘッド2の後面のすぐ近くの下方に着脱自在の状態で設置されている。ホッパ5の底面は、図3に示すように、その幅方向両側から中央に向かって次第に深くなるように湾曲した形状に形成されている。ホッパ5は、スクリューコンベア等のような排土輸送機構に比べて小型で軽量なので、取り扱い易く、TBM本体1内からの撤去や取り付けが容易な構成になっている。
【0021】
このホッパ5の側面下部の幅方向中央の湾曲底部近傍には、排土管6が接続されている。この排土管6は、例えば軟質塩化ビニールの外周に硬銅線を螺旋状に巻いた耐圧ビニールホースにより形成されている。排土管6は、その内面がフラットで、つぶれに強く折れ難いので、流体の詰まり不安を解消できる。また、排土管6は、スクリューコンベア等のような排土輸送機構に比べて軽量な上、可撓性に優れているので、取り扱い易く、TBM本体1内からの撤去や取り付けが容易な構成になっている。また、排土管6の材料を透明材料にすることで排土管6内の残留物を外部から容易に確認することができる。この排土管6は、TBM本体1の長手方向に沿って延び、図2に示すように、トンネルHの外部の排土タンク(排土貯溜手段)7に接続され、さらに負圧吸引装置(負圧吸引手段)8に接続されている。
【0022】
また、ホッパ5の近傍における排土管6の経路途中には、排土管6内の排土の輸送を加勢するように排土管6内に圧縮空気を供給する空気供給管(空気供給手段)9が接続されている。空気供給管9は、予め決められた間隔毎に複数配置しても良い。
【0023】
これにより、ホッパ5内に収容された掘削土は、負圧吸引装置8により吸引されるとともに、空気供給管9から供給された圧縮空気により加勢されて排土管6を通じて排土タンク7内に収容されるようになっている。このため、掘削処理で生じた排土を効率的にトンネルHの外部に輸送することができる。
【0024】
また、ホッパ5の開口部の上方には、添加材供給管10が設置されている。添加材供給管10は、例えば水、泥水またはベントナイト溶液のような液状の添加材をホッパ5内に供給するための配管である。添加材供給管10を通じて掘削土に添加材を混ぜることにより、掘削土の塑性流動化を図ることができるので、ホッパ5内の掘削土を効率的に負圧吸引することができる。このため、掘削処理で生じた排土を効率的にトンネルHの外部に輸送することができる。また、掘削土に添加材を混ぜることにより、掘削土に因る粉塵の発生を抑制または防止することができる。なお、掘削時には、掘削土の負圧吸引の状況に応じて添加材の供給量や供給の有無を調整しても良い。
【0025】
また、カッタヘッド2の後面には掻き上げ板(掻き上げ手段)11が接合されている。掻き上げ板11は、カッタヘッド2の回転に追従して回転し、TBM本体1内の底部に溜まった掘削土を掻き上げてホッパ5内に収容する部材である。掻き揚げ板11をカッタヘッド2に接合し、カッタヘッド2の回転動作に追従して動作させるようにしたことにより、掻き揚げ板11を動作させるための専用の駆動体を設ける必要がないので、排土輸送機構部を小型軽量化することができ、かつ、その構成を簡単化することができる。
【0026】
また、掻き上げ板11に因る掘削土の掻き上げ箇所に上記添加材供給管10等を通じて液状の添加材を供給しても良い。掘削土と添加材とが程良く混ざっていないと液体(添加材)だけが吸引され掘削土が残されてしまう場合がある。これに対して、掻き上げ箇所に添加材を供給することにより、掘削土を掻き上げ板11で掻き上げる際に掘削土と添加材とが攪拌され程良く混ざり合う。このため、掘削土の塑性流動化をさらに向上させることができるので、掘削土をさらに効率的に負圧吸引することができる。このため、掘削処理で生じた排土を効率的にトンネルHの外部に輸送することができる。
【0027】
以上のように本実施の形態においてTBM本体1内に設置される排土輸送機構部は、主にホッパ5と排土管6とにより構成されており、比較的小型軽量で簡単な構成にすることができる。このため、排土輸送機構部を比較的小径のTBM本体1内にも容易に設置することができる。
【0028】
また、TBM本体1内の排土輸送機構部を小型軽量で簡単な構成にすることができるので、上向きに傾斜するトンネルHを形成する場合でも高速にかつ安全に掘削処理を行うことができる。このため、他の工法よりも高速で掘削処理ができるというTBM工法の利点を損なうことなく、トンネルHを掘削することができる。
【0029】
上記TBM本体1の前胴部1Fの外周には前胴グリッパ12が設置されている。前胴グリッパ12は、地盤Gの掘削後にTBM本体1を固定するための部材であり、図3に示すように、例えば前胴部1Fの外周に沿って4箇所に設置されている。
【0030】
各前胴グリッパ12には、TBM本体1の径方向に沿って伸縮可能な固定部材12aが設けられており、その固定部材12aが伸びてトンネルの壁面に押し付けられることでTBM本体1が固定されるようになっている。
【0031】
また、TBM本体1の前胴部1Fと中胴部1Mとの境界領域の内部には方向修正ジャッキ13が設置されている。方向修正ジャッキ13は、前胴部1Fと中胴部1Mとを連結するとともに、TBM本体1の掘進方向を修正する部材である。この方向修正ジャッキ13に圧油を供給し前胴部1Fと中胴部1Mとを予め決められた方向および角度に屈折させた状態でTBM本体1を推進することによりTBM本体1の推進方向を制御することが可能になっている。
【0032】
また、TBM本体1の中胴部1Mの内部には推進ジャッキ14がTBM本体1の長手方向に沿って伸縮可能な状態で設置されている。推進ジャッキ14は、TBM本体1を推進させるための部材であり、図4に示すように、例えば中胴部1Mの外周に沿って4箇所に設置されている。
【0033】
また、TBM本体1の後胴部1Bの外周には後胴グリッパ15および滑落防止ジャッキ16が設置されている。
【0034】
後胴グリッパ15は、掘削時にTBM本体1を固定して掘進反力を得るための部材である。後胴グリッパ15は、図5に示すように、例えばTBM本体1の外周両側面側の2箇所に設置されている。各後胴グリッパ15には、TBM本体1の径方向に沿って伸縮可能な固定部材15aが設けられており、その固定部材15aが伸びてトンネルの壁面に押し付けられることでTBM本体1が固定されるようになっている。TBM本体1内の後胴グリッパ15の支持部材は、着脱自在の状態で設置されている。
【0035】
上記滑落防止ジャッキ16は、滑落防止のための反力を得るための部材であり、長手方向に沿って伸縮可能な状態で設置されている。滑落防止ジャッキ16は、図5および図6に示すように、例えばTBM本体1の外周底部の2箇所に配置されている。地質不良部で後胴グリッパ15による反力確保が困難な場合に、TBM本体1内で組み立てたセグメントに滑落防止ジャッキ16を押し付けることで反力が得られるようになっている。このように地質の状態等に応じて掘進反力の取り方を変えることができるので、トンネルを造る速度を速めることができる。また、安全にトンネルを形成することができる。
【0036】
なお、本実施の形態で形成されるトンネルHは、断面が小さく長距離であるため、人力で資機材を運搬することは困難である。このため、小径のトンネルHに収まるモノレール等のような運搬手段(図示せず)がトンネルHの入口からTBM本体1の後方まで設けられており、作業員や資機材の運搬に利用される。モノレールには、エンジン式と電動式(バッテリー駆動式を含む)とがあるが、内燃機関によるトンネルH内の酸欠を考慮し、電動式が採用されている。
【0037】
次に、図7図1のカッタヘッド2の正面図、図8はカッタヘッド2の回転によるローラビット4の回転軌跡を示したカッタヘッドの正面図である。なお、図7および図8においてハッチングは、カッタヘッド2の前後面間を貫通する上記開口部を示している。
【0038】
カッタヘッド2は、例えば、枠体部2Fと、その枠体部2F内に互いに直交するように設置された2つのスポーク部2Sa,2Sbと、スポーク部2Saに接合されたスクレーバツース2Stと、2つのスポーク部2Sa,2Sbの間に張り出すように設置された4つの張出部2hとを備えている。
【0039】
カッタヘッド2の正面中央の回転軌跡R1上においてスポーク部2Sa,2Sbの交点部には、例えば、2個のコーンヘッド型のローラビット4A,4A(4)が回転可能な状態で設置されている。
【0040】
また、中央の回転軌跡R1の1つ外側の回転軌跡R2上のスポーク部2Saには、例えば、ドラム型の2個のローラビット4B,4B(4)が回転可能な状態で設置されている。
【0041】
また、回転軌跡R2の1つ外側の回転軌跡R3上のスポーク部2Sbには、例えば、ドラム型の2個のローラビット4C,4C(4)が回転可能な状態で設置されている。
【0042】
また、回転軌跡R3の1つ外側の回転軌跡R4上のスポーク部2Saには、例えば、ドラム型の2個のローラビット4D,4D(4)が回転可能な状態で設置されている。
【0043】
さらに、カッタヘッド2の正面の最外周の回転軌跡R5上の各張出部2hには、例えば、ドラム型のローラビット4E,4E(4)が回転可能な状態で設置されている。カッタヘッド2の中心軸線に対するローラビット4Eの配置角度θ1は、例えば40°である。
【0044】
これらのローラビット4A〜4Eの各々の側面(掘削部位)には、複数の突出刃4sがローラビット4A〜4Eの各々の側面から突出した状態で敷き詰められている。突出刃4sは、例えばタングステンカーバイドのような超硬合金により形成されている。なお、突出刃4sはローラビット4A〜4Eの各々の側面に敷き詰められているが、図7および図8では図面を見易くするために突出刃4sを間引いて示している。
【0045】
次に、図9および図10図7のカッタヘッド2の正面中央のローラビット4Aを側面側から見た説明図、図11図7のローラビット4B〜4Dの説明図、図12図7のカッタヘッド2の最外周のローラビット4Eの説明図、図13はカッタヘッド2のローラビット4A〜4Eの配列の説明図である。なお、図13においてはローラビット4A〜4Eを重ねて示している。
【0046】
図9および図10に示す中央のローラビット4A,4Aは、例えば円錐形状に形成されており、図13に示すように、ローラビット4A,4Aの各々の側面(掘削部位)が掘削方向正面を向くように、ローラビット4A,4Aの各々の頂点をカッタヘッド2の正面中心に向けて回転軸を傾けた状態で設置されている。
【0047】
これらのローラビット4A,4Aは、図9に示すように、ボルト20aによってカッタヘッド2に取り付けられており、図10に示すように、カッタヘッド2の後面側から着脱することが可能な構成になっている。
【0048】
次に、図11に示すローラビット4B〜4Dは、例えば円柱状に形成されており、回転軸部4xの外側に軸受け部4rを介して回転可能な状態で設けられた外周部4pを備えている。これらのローラビット4B〜4Dも、ボルト20bによってカッタヘッド2に取り付けられており、カッタヘッド2の後面側から着脱することが可能な構成になっている。
【0049】
また、図13に示すように、ローラビット4B〜4Dのうち、ローラビット4B,4Cは、その側面(掘削部位)が掘削方向正面を向くように設置されている。一方、それらの外側のローラビット4Dは、その側面(掘削部位)がカッタヘッド2の径方向外側を向くように傾斜した状態で設置されている。
【0050】
次に、図12に示す最外周のローラビット4Eは、例えば円錐台形状に形成されており、上記したローラビット4B等と同様に、回転軸部4xの外側に軸受け部4rを介して回転可能な状態で設けられた外周部4pを備えている。このローラビット4Eも、ボルト20cによってカッタヘッド2に取り付けられており、カッタヘッド2の後面側から着脱することが可能な構成になっている。
【0051】
また、図13に示すように、最外周のローラビット4Eは、その側面(掘削部位)がカッタヘッド2の径方向外側を向くように傾斜した状態で設置されている。ただし、最外周のローラビット4Eの側面の傾斜角度は、それよりも1つ内側の上記ローラビット4Dの側面の傾斜角度よりも大きくなっている。
【0052】
すなわち、本実施の形態においては、最外周の回転軌跡R5上のローラビット4Eと、中央側の回転軌跡R3上のローラビット4Cとの間の回転軌跡R4上に、側面の傾斜角度が最外周のローラビット4Eの側面の傾斜角度よりも小さく設定されたローラビット4Dが設置されている。
【0053】
このようにローラビット4C,4Eの間に、ローラビット4Dを配置したことにより、カッタヘッド2の外周部においてローラビット4Cからローラビット4Eにわたって各々のローラビット4C〜4Eの側面で形成される掘削ラインがカッタヘッド2の外周に向かって緩やかに傾斜するようになっている。その結果、掘削処理時に最外周のローラビット4Eの内側一部に加わるストレスを緩和することができるので、最外周のローラビット4Eの寿命を向上させることができる。
【0054】
また、最外周のローラビット4Eを円柱状にした場合、ローラビット4Eの外側の回転軸部4xがトンネルの内壁面に接触しないようにするためには、最外周のローラビット4Eの側面の傾斜角度が大きくならざるを得ない。したがって、ローラビット4Dの側面の傾斜角度に対するローラビット4Eの側面の傾斜角度が急峻になるため、掘削処理時に最外周のローラビット4Eの内側部分またはローラビット4Dの外側部分にストレスが集中する場合がある。
【0055】
これに対して、本実施の形態においては、最外周のローラビット4Eを円錐台形状にすることにより、ローラビット4Eの外側の回転軸部4xがトンネルの内壁面に接触しないようにローラビット4Eを配置した上で、最外周のローラビット4Eの側面の傾斜角度を、その内側のローラビット4Dの側面の傾斜角度に対して緩やかにすることができる。このため、掘削処理時に最外周のローラビット4Eの内側部分またはローラビット4Dの外側部分に加わるストレスを緩和することができるので、最外周のローラビット4E,4Dの寿命を向上させることができる。
【0056】
このような本実施の形態の構造を採用しない場合、最外周のローラビット4Eの一部が摩耗しただけでも、そのローラビット4Eを交換しなければならなくなるが、最外周のローラビット4Eはその配置位置の観点から着脱が困難な上、1つのローラビット4Eを交換するのにもTBM本体1の内部機器の搬出搬入等の大がかりな作業が必要になる。このため、トンネル掘削工事の工期が大幅に遅れてしまうという問題がある。また、TBM本体1のカッタの稼働率が低下するので、掘削速度が速いというTBM工法の利点を損なうという問題もある。
【0057】
また、最外周のローラビット4Eの一部が摩耗しただけでも、そのローラビット4E全体を交換しなければならないので、材料費が高くなるという問題もある。特に、TBMは高価なので工事費を如何にして下げるかが重要な課題になっている。
【0058】
これに対して本実施の形態においては、ローラビット4Eの寿命を向上させることができ、その交換頻度を低下させることができるので、トンネル掘削工事の工期を短縮させることができる。特に、TBM本体1のカッタの稼働率を向上させることができるので、掘削速度が速いというTBM工法の利点を活かした掘削工事を行うことができる。
【0059】
また、最外周のローラビット4Eの寿命を向上させることができるので、材料費を低減することができ、トンネル掘削工事の費用を低減することができる。このため高価なTBMの使用を推進することができる。
【0060】
次に、上記したTBM本体1によるトンネル掘進処理動作について図14のフロー図に沿って図15図22を参照して説明する。
【0061】
図15図22はトンネル掘進処理工程中のTBM本体1の説明図である。ここでは、例えば上向きに傾斜するトンネルH(図2参照)の掘進処理について説明する。なお、上向きに傾斜するトンネルHの傾斜角度θ2は、例えば20°程度である。また、符号SGは滑落防止部材として機能するセグメントを示している。
【0062】
まず、図15に示すように、後胴グリッパ15の固定部材15aを伸ばしトンネルHの内壁面に押し当ててTBM本体1を固定した後(図14の工程100)、図16に示すように、推進ジャッキ14をTBM本体1の長手方向前方に伸ばして掘進動作を行う(図14の工程101)。これにより、カッタヘッド2の前面の複数のローラビット(掘削部材)4を地盤に押し付けた状態でカッタヘッド2を回転させて地盤を掘削する。
【0063】
この際、掘削により生じた掘削土は、カッタヘッド2の開口部を通じてホッパ5内に収容される。ホッパ5に入らずTBM本体1の内部底に落ちた掘削土は、カッタヘッド2の回転に追従して回転する掻き上げ板11により掻き上げられてホッパ5内に収容される。
【0064】
ホッパ5内に収容された掘削土は、添加材供給管10からホッパ5内に供給された液状の添加材と混ぜられる。これにより、掘削土の塑性流動性を向上させることができるので、掘削土を効率的に負圧吸引することができる。また、掘削土に因る塵埃の発生を抑制または防止することができる。
【0065】
ホッパ5内において添加材が混ぜられた掘削土は、負圧吸引装置8により負圧吸引されるとともに、空気供給管9から排土管6内に供給された圧縮空気により加勢されて排土管6内を移動し、排土タンク7内に収容される。このため、掘削土を効率的にトンネルHの外部に輸送することできる。また、掘削工事により生じた掘削土は排土タンク7に収容されるので、トンネルHの外部の環境が掘削土に因り汚染されることもない。
【0066】
続いて、推進ジャッキ14が伸びきったところでカッタヘッド2の回転を停止し、図17に示すように、後胴グリッパ15で反力を得たまま、前胴グリッパ12の固定部材12aを伸ばしトンネルHの内壁面に押し当てTBM本体1を固定する(図14の工程102)。
【0067】
その後、図18に示すように、後胴グリッパ15の固定部材15aを縮めて後胴グリッパ15による固定状態を解除した後(図14の工程103)、図19に示すように、推進ジャッキ14を縮めて中胴部1Mおよび後胴部1Bを前方に引き寄せるとともに、TBM本体1の滑落を防止するため滑落防止ジャッキ16をTBM本体1の長手方向後方に伸ばしてセグメントSGに押し当てる(図14の工程104)。
【0068】
次いで、図20に示すように、前胴グリッパ12でTBM本体1を固定した状態で、後胴グリッパ15の固定部材15aを伸ばしトンネルHの内壁面に押し当てTBM本体1を固定する(図14の工程105)。
【0069】
続いて、図21に示すように、前胴グリッパ12および後胴グリッパ15でTBM本体1を固定した状態で滑落防止ジャッキ16を縮めて前方に引き寄せた後、滑落防止ジャッキ16の後方の空き領域に新たなセグメントSGを挿入した後(図14の工程106)、図22に示すように、前胴グリッパ12の固定部材12aを縮めて前胴グリッパ12によるTBM本体1の固定状態を解除する(図14の工程107)。
【0070】
その後、掘進作業の終了を確認し(図14の工程108)、掘進作業が終了でなければ工程101〜107を繰り返し、掘進作業が終了であれば掘進作業を完了する(図14の工程109)。
【0071】
このように本実施の形態においては、上向きに傾斜するトンネルHであってもTBM本体1により安全かつ高速に掘進作業を行うことができる。
【0072】
また、掘削時に生じた掘削土を、小型軽量で簡単な構造の排土輸送機構部を通じてトンネルHの外部に効率的に輸送することができる。
【0073】
次に、上記したTBM本体1のローラビット4の交換方法の一例について図23図35を参照して説明する。なお、図23図25はローラビット4の交換工程中のTBM本体1の説明図である。
【0074】
まず、TBM本体1による掘削処理を停止した後、図23に示すように、滑落防止ジャッキ16をセグメントSGに押し当ててTBM本体1を固定する。
【0075】
続いて、図24に示すように、後胴グリッパ15の固定状態を解除した後、図25および図26に示すように、方向修正ジャッキ13により切羽の下方および前方にローラビット4を交換するための余堀(外堀余堀MAおよび前面余堀MB)を取り、カッタヘッド2の前面側の掘削領域を広げる。なお、この作業は、後胴グリッパ15のみでTBM本体1を固定した状態で行っても良いし、後胴グリッパ15と滑落防止ジャッキ16との両方でTBM本体1を固定した状態で行っても良い。
【0076】
続いて、図27に示すように、TBM本体1内の後胴グリッパ15の支持部材、排土管6およびホッパ5を順に撤去する。この際、ホッパ5および排土管6により構成される排土輸送機構は、スクリューコンベア等のような機構部を持つ排土輸送機構に比べて小型で構成が簡単である。このため、TBM本体1内が小径で傾斜していても、ホッパ5および排土管6を較的容易に、かつ、短時間で撤去することができる。
【0077】
その後、図28に示すように、TBM本体1内に搬送レール20を敷設した後、搬送レール20上に運搬台車21を搬入し、運搬台車21の移動を操作する手動ウィンチ(操作手段)22をTBM本体1内のカッタヘッド2後面側の隔壁に取り付け、交換準備工を完了する。運搬台車21や手動ウィンチ22は比較的小型なので、小径で傾斜するTBM本体1内であっても容易に導入することができ、これらを導入するからといって交換準備工にかかる時間が大幅に増えることもない。
【0078】
次いで、図29に示すように、ローラビット4の取り出し治具23を取り付け、その取り出し治具23を用いて、摩耗等により交換が必要となったローラビット4をカッタヘッド2の後面側から取り外す。
【0079】
続いて、取り外したローラビット4に荷役手段であるレバーブロック(登録商標)24のフックを引っかけて、そのローラビット4を上方に持ち上げ、図30に示すように、運搬台車21まで運ぶ。レバーブロック24を用いることにより、作業スペースをとらない上、トンネルHが傾斜してTBM本体1内の足場が不安定であり、かつ、トンネルHが小径で作業空間が狭いTBM本体1内においても、ローラビット4を安全かつ容易に運ぶことができる。
【0080】
その後、交換対象のローラビット4を運搬台車21上に載せてしっかりと固定した後、図31に示すように、手動ウィンチ22により運搬台車21を搬送レール20に沿って下ろし、TBM本体1の後方の上記モノレールまで運ぶ。
【0081】
TBM本体1内でのローラビット4の搬送手段としてローラビット4を空中に浮かせて運ぶ空中搬送方式もあるが、TBM本体1内は傾斜している上、ローラビット4は40kg程度あり重いので、空中搬送方式でのローラビット4の搬送は不安定である。これに対して、本実施の形態においては、安定した状態で設置された搬送レール20によりローラビット4を搬送するので、TBM本体1内が傾斜していても、ローラビット4を安定した状態で安全かつ効率的に搬送することができる。
【0082】
また、搬送レール20は占有面積を取らないので、トンネルHが小径でありTBM本体1内の作業空間が狭くても設置することができる。
【0083】
続いて、運搬台車21の交換対象のローラビット4を降ろし、代わりに運搬台車21上に新しいローラビット4を載せてしっかりと固定した後、図32に示すように、その運搬台車21を手動ウィンチ22によりカッタヘッド2の後面側まで引き寄せる。
【0084】
続いて、図33に示すように、運搬台車21上の新しいローラビット4をレバーブロック24によりカッタヘッド2の後面側の交換部位まで運び、入れ込む。そして、図34に示すように、ローラビット4の取り出し治具23を取り付け、新しいローラビット4を挿入ジャッキ25によりカッタヘッド2の後面側から装着する。
【0085】
その後、手動ウィンチ22、運搬台車21および搬送レール20を順に撤去した後、図35に示すように、ホッパ5、排土管6および後胴グリッパ15の支持部材を順にTBM本体1内に戻し、予め決められた部位に取り付ける。この際、上記のようにホッパ5および排土管6により構成される排土輸送機構は、スクリューコンベア等のような機構部を持つ排土輸送機構に比べて小型で構成が簡単なため、TBM本体1内が小径で傾斜していても、ホッパ5および排土管6を較的容易に、かつ、短時間でTBM本体1内に戻すことができる。
【0086】
このように本実施の形態のTBM本体1のローラビット4の交換方法においては、トンネルHが上向きに傾斜しているためTBM本体1内の足場が不安定であっても、トンネルHが小径なためTBM本体1内の作業領域が狭くても、ローラビット4を安全かつ効率的に交換することができる。
【0087】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0088】
例えば、前記実施の形態のローラビット4Dの形状を円錐楕円形にしても良い。これにより、ローラビット4Dの側面の外向きの傾斜角度を調整することができる。
【0089】
また、カッタヘッド2の正面の中央側のローラビット4Cと最外周のローラビット4Eの間に複数のローラビット4Dを配置しても良い。この場合も複数のローラビット4Dの各側面(切削部位)の傾斜角度が外周に向かって次第に大きくなるようにする。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上の説明では、本発明を上向きに傾斜するトンネルの掘削処理に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく水平トンネルの掘削処理に適用することもできる。
【符号の説明】
【0091】
1 TBM本体(掘削機本体)
2 カッタヘッド
3 カッタ駆動電動機
4,4A〜4E ローラビット(掘削部材)
4p 外周部
4r 軸受け部
4s 突出刃
4x 回転軸
5 ホッパ(排土収容手段)
6 排土管
7 排土タンク
8 負圧吸引装置
9 空気供給管
10 添加材供給管
11 掻き上げ板
12 前胴グリッパ
13 方向修正ジャッキ(方向修正手段)
14 推進ジャッキ
15 後胴グリッパ(グリッパ)
16 滑落防止ジャッキ(滑落防止手段)
20 搬送レール
21 運搬台車
22 手動ウィンチ(操作手段)
23 取り出し治具
24 レバーブロック(荷役手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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