(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012074
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】磁気データ読取装置、監視システム及びエラー検出方法
(51)【国際特許分類】
G11B 20/10 20060101AFI20161011BHJP
G11B 5/09 20060101ALI20161011BHJP
G07D 9/00 20060101ALI20161011BHJP
G07F 7/08 20060101ALI20161011BHJP
G11B 20/18 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
G11B20/10 321A
G11B5/09 321D
G07D9/00 436A
G07F7/08 D
G11B20/18 512B
G11B20/18 522B
G11B20/18 572B
G11B20/18 572G
G11B20/18 572H
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-24324(P2013-24324)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-154190(P2014-154190A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中澤 国彦
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−348441(JP,A)
【文献】
特開平04−348488(JP,A)
【文献】
特開昭62−119770(JP,A)
【文献】
特開昭59−098312(JP,A)
【文献】
特開2005−100075(JP,A)
【文献】
特開2001−229605(JP,A)
【文献】
特開平06−338146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 20/10
G07D 9/00
G07F 7/08
G11B 5/09
G11B 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ヘッドを用いて磁気テープに記録されている磁気データを読み取りアナログデータを生成するアナログデータ読取部と、
前記アナログデータをデジタルデータへ変換するデータ変換部と、
前記アナログデータのピーク位置を示すデータを生成するピーク位置データ生成部と、
前記ピーク位置データ生成部において生成されたピーク位置に関する情報を用いて、前記磁気データの第1の読み取りタイミングと、前記第1の読み取りタイミングの次の読み取りタイミングである第2の読み取りタイミングを示すリードクロック信号を生成するリードクロック信号生成部と、
前記第2の読み取りタイミングが予め定められた期間内に存在するか否かを判定するピーク位置判定部と、
前記第2の読み取りタイミングが予め定められた期間内に存在しない場合に、前記第2の読み取りタイミングに基づいて生成された前記デジタルデータを不正データとして出力し、前記不正データとして出力した後に復調されたデータであって、予め定められた期間内に存在する前記第2の読み取りタイミングに基づいて生成された前記デジタルデータに発生する誤りを、パリティチェックを用いて検出するエラー判定部と、を備える磁気データ読取装置。
【請求項2】
前記リードクロック信号生成部は、
前記第1の読み取りタイミングと、前記第2の読み取りタイミングとの間に発生したピーク位置をマスクする、請求項1に記載の磁気データ読取装置。
【請求項3】
前記ピーク位置判定部によって前記ピーク位置が予め定められた期間内に存在しないことが検出された場合に、検出結果を前記磁気データ読取装置を監視する監視装置へ通知する、請求項1又は2に記載の磁気データ読取装置。
【請求項4】
前記アナログデータ読取部は、
前記磁気データとして通帳に貼付される磁気ストライプを読み取る、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気データ読取装置。
【請求項5】
前記アナログデータ読取部は、
前記磁気ヘッド及び前記磁気テープの少なくとも一方を移動させて前記磁気データを読み取る請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁気データ読取装置。
【請求項6】
磁気ヘッドを用いて磁気テープに記録されている磁気データを読み取りアナログデータを生成する磁気データ読み取り部、前記アナログデータのピーク位置を示すデジタルデータを生成するピーク位置データ生成部、前記ピーク位置データ生成部において生成されたピーク位置に関する情報を用いて、前記磁気データの第1の読み取りタイミングと、前記第1の読み取りタイミングの次の読み取りタイミングである第2の読み取りタイミングを示すリードクロック信号を生成するリードクロック信号生成部、前記第2の読み取りタイミングが予め定められた期間内に存在するか否かを判定するピーク位置判定部、及び、前記第2の読み取りタイミングが予め定められた期間内に存在しない場合に、予め定められた期間内に存在しないピーク位置に基づいて生成した読み取りデータを不正データとして出力し、前記不正データとして出力した後に復調されたデータであって、予め定められた期間内に存在する前記第2の読み取りタイミングに基づいて生成された前記デジタルデータに発生する誤りを、パリティチェックを用いて検出するエラー判定部、を有する磁気データ読取装置と、
前記ピーク位置判定部によって前記第2の読み取りタイミングが予め定められた期間内に存在しないことが検出された場合に、前記磁気データ読み取り装置から送信される検出結果を受信する監視装置と、を備える監視システム。
【請求項7】
磁気ヘッドを用いて磁気テープに記録されている磁気データを読み取りアナログデータを生成し、
前記アナログデータをデジタルデータへ変換し、
前記アナログデータのピーク位置を示すデジタルデータを生成し、
前記生成されたピーク位置に関する情報を用いて、前記磁気データの第1の読み取りタイミングと、前記第1の読み取りタイミングの次の読み取りタイミングである第2の読み取りタイミングを示すリードクロック信号を生成し、
前記第2の読み取りタイミングが予め定められた期間内に存在するか否かを判定し、
前記第2の読み取りタイミングが予め定められた期間内に存在しない場合に、予め定められた期間内に存在しない第2の読み取りタイミングに基づいて生成した読み取りデータを不正データとして出力し、前記不正データとして出力した後に復調されたデータであって、予め定められた期間内に存在する前記第2の読み取りタイミングに基づいて生成された前記デジタルデータに発生する誤りを、パリティチェックを用いて検出するエラー検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気データ読取装置、監視システム及びエラー検出方法に関し、特に磁気テープに記録されている磁気データを読み取る磁気データ読取装置、監視システム及びエラー検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通帳プリンタ装置は、通帳に貼付される磁気ストライプに対して、データの読み出し及び書き込みを行う制御回路を有している。この制御回路は、装置に搭載される磁気ヘッドを用いて、磁気ストライプ上の磁気データをアナログデータとして読み取る。さらに制御回路は、アナログデータをデジタルデータに変換し、変換したデジタルデータをシリアル通信を用いて出力する。
【0003】
通帳プリンタ装置は、磁気データが記録されている磁気テープ上を磁気ヘッドが接触しながら一定の速度で移動(或いは、磁気ヘッドを固定して、媒体(通帳)を搬送する場合も同様)させてアナログデータを生成する。ここで、一般的な磁気データの読み取り方法の概要について
図8を用いて説明する。通帳プリンタ装置は、交互に配置された磁気ストライプ上の磁気(N極、S極)を読み取り、その間隔の違いで"0"、"1"が区別され、
図8の周波数成分を含んだアナログデータを生成する。例えば、磁気ヘッドは、S極の磁気ストライプを読み取った場合、低電圧データを出力する。磁気ヘッドは、N極の磁気ストライプを読み取った場合、高電圧データを出力する。本図に示すリードタイミングTと次のリードタイミングTとの間に、N極もしくはS極の磁気ストライプが読み取られた場合、値1を示し、リードタイミングTと次のリードタイミングTとの間にN極及びS極の磁気ストライプが読み取られなかった場合、値0を示す。
【0004】
この方式においては、磁気ヘッドの移動速度(或いは、媒体の搬送速度)の変動に起因するジッターの発生によって、"1"のデータを"0"(データの間延び)のデータと読み出し、その逆に"0"のデータを"1"(データの詰まり)のデータと読み出す事象が発生する。
【0005】
特許文献1には、磁気データを用いて預金通帳にデータの記録を行う自動取引装置の構成が開示されている。特許文献1に開示されている自動取引装置は、磁気データを復調する過程において、所定レベル以上のジッタが混入したか否かを判定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−218331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示されている自動取引装置においては、
図8に示される方法を用いて磁気データを読取る際に、所定レベル以上のジッタが混入しているか否かを判定する具体的な実施方法が開示されていない。そのため、磁気データを読取る際に、復調された信号に混入されたジッタのレベルを検出し、読み取りデータにエラーが含まれているか否かを高精度に判定する装置が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題である読み取りデータにエラーが含まれているか否かを高精度に判定する磁気データ読取装置、監視システム及びエラー検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様にかかる磁気データ読取装置は、磁気ヘッドを用いて磁気テープに記録されている磁気データを読み取りアナログデータを生成するアナログデータ読取部と、前記アナログデータをデジタルデータへ変換するデータ変換部と、前記アナログデータのピーク位置を示すデータを生成するピーク位置データ生成部と、前記ピーク位置が予め定められた期間内に存在するか否かを判定するピーク位置判定部と、前記ピーク位置が予め定められた期間内に存在しない場合に、予め定められた期間内に存在しないピーク位置に基づいて生成された前記デジタルデータを不正データとして出力するエラー判定部と、を備えるものである。
【0010】
本発明の第2の態様にかかる監視システムは、磁気ヘッドを用いて磁気テープに記録されている磁気データを読み取りアナログデータを生成する磁気データ読み取り部、前記アナログデータのピーク位置を示すデジタルデータを生成するピーク位置データ生成部、前記ピーク位置が予め定められた期間内に存在するか否かを判定するピーク位置判定部、及び、前記ピーク位置が予め定められた期間内に存在しない場合に、予め定められた期間内に存在しないピーク位置に基づいて生成した読み取りデータを不正データとして出力するエラー判定部、を有する磁気データ読取装置と、前記ピーク位置判定部によって前記ピーク位置が予め定められた期間内に存在しないことが検出された場合に、前記磁気データ読み取り装置から送信される検出結果を受信する監視装置と、を備えるものである。
【0011】
本発明の第3の態様にかかるエラー検出方法は、磁気ヘッドを用いて磁気テープに記録されている磁気データを読み取りアナログデータを生成し、前記アナログデータのピーク位置を示すデジタルデータを生成し、前記ピーク位置が予め定められた期間内に存在するか否かを判定し、前記ピーク位置が予め定められた期間内に存在しない場合に、予め定められた期間内に存在しないピーク位置に基づいて生成した読み取りデータを不正データとして出力するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、読み取りデータにエラーが含まれているか否かを高精度に判定することが出来る磁気データ読取装置、監視システム及びエラー検出方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1にかかる磁気データ読取装置の構成図である。
【
図2】実施の形態1にかかるピーク位置データ生成部の構成図である。
【
図3】実施の形態1にかかるピーク位置判定部の構成図である。
【
図4】実施の形態1にかかるエラー判定部の構成図である。
【
図5】実施の形態1にかかる磁気データ読取装置内に発生する信号を説明する図である。
【
図6】実施の形態1にかかるエラー検出処理の流れを示す図である。
【
図7】実施の形態2にかかる監視システムの構成図である。
【
図8】一般的な磁気データの読み取り処理を説明する概要図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。はじめに、
図1を用いて本発明の実施の形態1にかかる磁気データ読取装置10の構成例について説明する。磁気データ読取装置10は、例えば、磁気を用いて通帳に記録されたデータを読み取るもしくは書き込む通帳プリンタ装置であってもよい。磁気データ読取装置10は、アナログデータ読取部11、ピーク位置データ生成部12、ピーク位置判定部13、エラー判定部14及びデータ変換部15を有している。
【0015】
アナログデータ読取部11は、磁気ヘッドを用いて磁気テープに記録されている磁気データを読み取る。アナログデータ読取部11は、磁気データを読み取り、アナログデータを生成する。磁気ヘッドは、磁気データが記録されている磁気テープに接触しながら一定の速度で移動する。磁気ヘッドは、一定の速度で移動しながら、磁気テープ上の磁気ストライプを読み取る。もしくは、磁気ヘッドは固定され、磁気テープが移動してもよい。アナログデータ読取部11は、生成したアナログデータをピーク位置データ生成部12及びデータ変換部15へ出力する。
【0016】
ピーク位置データ生成部12は、アナログデータ読取部11から出力されたアナログデータのピーク位置を示すデータを生成する。ピーク位置データ生成部12は、例えば、アナログデータの電圧値が予め定められた閾値を超えている場合もしくは予め定められた閾値を下回る場合に、ピークが発生したと判定してもよい。ピーク位置データ生成部12は、例えば、ピークが発生した時間にハイレベルの信号を設定し、それ以外の時間にロウレベルの信号を設定してデジタルデータを生成してもよい。ピーク位置データ生成部12は、ピーク位置を示すデジタルデータをピーク位置判定部13へ出力する。
【0017】
ピーク位置判定部13は、デジタルデータに示されたピーク位置が、予め定められた期間内に存在するか否かを判定する。予め定められた期間は、磁気ヘッドもしくは磁気テープの移動速度の変動に起因するジッタとして許容することができる時間に基づいて定められる。例えば、磁気ヘッドもしくは磁気テープの移動速度が遅くなった場合に、磁気ヘッドが磁気データを読み取る期間(リードタイミング間の期間)として許容される時間を、予め定められた期間に定めてもよい。ピーク位置判定部13は、ピーク位置に関する判定結果をエラー判定部14へ出力する。
【0018】
エラー判定部14は、ピーク位置が予め定められた期間に存在しないと判定された場合に、予め定められた期間内に存在しないピーク位置に基づいて生成されたデジタルデータを不正データと判定する。エラー判定部14は、不正データに関する情報をデータ変換部15へ出力する。
【0019】
データ変換部15は、アナログデータ読取部11から出力されたアナログデータをデジタルデータへ変換する。この時、データ変換部15は、エラー判定部14から出力された不正データに関する情報に基づいて、予め定められた期間内に読み取られなかったピーク位置に基づいて生成されたデジタルデータは、通常のデータとして復調せず、不定値等を挿入する。
【0020】
以上説明したように、
図1の磁気データ読取装置を用いることによって、磁気ヘッドもしくは磁気テープの移動速度の変動に起因してジッタが発生し、発生したジッタが許容範囲を超えた場合、当該ジッタが発生したタイミングにおける読み取りデータをエラーデータとすることができる。このようにすることによって、誤って読み取られたデータを正常データとして処理が継続されることを防ぐことができる。さらに、エラーデータであることを示すことによって、磁気ヘッドもしくは磁気テープに許容することが出来ないジッタが発生していることを示すことが出来るため、磁気ヘッドもしくは磁気テープの点検を促すことが出来る。
【0021】
続いて、
図2を用いて本発明の実施の形態1にかかるピーク位置データ生成部12の構成例について説明する。ピーク位置データ生成部12は、立ち上がりエッジ検出部22、立ち下がりエッジ検出部23及びエッジ検出部24を有している。
【0022】
立ち上がりエッジ検出部22は、アナログデータ読取部11からアナログデータを受け取る。立ち上がりエッジ検出部22は、アナログデータの立ち上がりタイミングを検出する。例えば、立ち上がりエッジ検出部22は、アナログデータの振幅を用いて示された電圧値が、閾値を超えている期間をアナログデータの立ち上がりタイミングとして検出してもよい。立ち下がりエッジ検出部23は、アナログデータ読取部11からアナログデータを受け取る。立ち下がりエッジ検出部23は、アナログデータの立下りタイミングを検出する。例えば、立ち下がりエッジ検出部23は、アナログデータの振幅を用いて示された電圧値が、閾値を下回る期間をアナログデータの立下りタイミングとして検出してもよい。立ち上がりエッジ検出部22及び立ち下がりエッジ検出部23は、検出したタイミングに関するデータをエッジ検出部24へ出力する。ここで、立ち上がりエッジ検出部22において用いられる閾値は、立ち下がりエッジ検出部23において用いられる閾値よりも高い値が設定されてもよい。
【0023】
エッジ検出部24は、立ち上がりエッジ検出部22からアナログデータの立ち上がりタイミングに関するデータを受け取り、立ち下がりエッジ検出部23からアナログデータの立下りタイミングに関するデータを受け取る。エッジ検出部24は、立ち上がりエッジ検出部22及び立ち下がりエッジ検出部23から出力されたデータを合わせることによって、アナログデータのピーク位置を示すエッジ検出信号を生成する。エッジ検出部24は、エッジ検出信号をピーク位置判定部13へ出力する。
【0024】
続いて、
図3を用いて本発明の実施の形態1にかかるピーク位置判定部13の構成例について説明する。ピーク位置判定部13は、リードクロック信号生成部31及び周期カウント部32を有している。
【0025】
リードクロック信号生成部31は、エッジ検出部24から出力されたエッジ検出信号に基づいてリードクロック信号を生成する。リードクロック信号は、
図8において説明を行ったリードタイミングTを示す信号である。つまり、磁気データ読取装置10は、リードクロック信号において示されたタイミングにおいて、デジタルデータの値を決定する。例えば、隣接するリードタイミング間において、アナログデータのピークが発生している場合は、デジタルデータを1と決定し、隣接するリードタイミング間において、アナログデータのピークが発生していない場合は、デジタルデータを0と決定してもよい。
【0026】
リードクロック信号生成部31は、例えば、エッジ検出部24から出力されたエッジ検出信号において、隣接するリードタイミング間に発生するピーク位置を示す信号をマスクする。これによって、リードクロック信号生成部31は、エッジ検出部において示されたピーク位置のうち、リードタイミング期間を示すピーク位置以外のピーク位置をマスクすることによって、マスクされなかったピーク位置を用いてリードクロック信号を生成することが出来る。
【0027】
例えば、リードクロック信号生成部31は、リードタイミングを示すピーク位置から、ジッタが発生していないとした場合の次のリードタイミングを示すピーク位置の期間の65%の期間をマスクするようにしてもよい。つまり、リードクロック信号生成部31は、リードタイミングを示すピーク位置から、マスク期間中に発生したピーク位置に関しては、リードタイミングを示すピーク位置として用いず、マスク期間経過後のピーク位置をリードタイミングを示すピーク位置として用いる。リードクロック信号生成部31は、生成したリードクロック信号を周期カウント部32へ出力する。さらに、リードクロック信号生成部31は、マスク期間中にピーク位置をマスクしたか否かに関する情報(以下、マスク情報と称する)も周期カウント部32へ出力する。
【0028】
周期カウント部32は、リードクロック信号において示されたピーク位置の間の時間をカウントする。周期カウント部32は、あるピーク位置から、予め定められたカウント値以内に次のピーク位置が出現するか否かを判定する。ここで、あるピーク位置から、予め定められたカウント値以内に次のピーク位置が出現しない事象は、磁気ヘッドもしくは磁気テープの移動に、許容することが出来ないジッタが発生していることを示す。周期カウント部32は、ピーク位置が予め定められたカウント値以内に出現しているか否かに関する情報(以下、ジッタ発生情報と称する)をエラー判定部14へ出力する。さらに、周期カウント部32は、リードクロック信号生成部31から出力された、リードクロック信号及びマスク情報もエラー判定部14へ出力する。
【0029】
続いて、
図4を用いてエラー判定部14の構成例について説明する。エラー判定部14は、判定信号生成部41及びパリティエラー判定部43を有している。判定信号生成部41は、周期カウント部32から出力されたジッタ発生情報、リードクロック信号及びマスク情報に基づいて、読み取りデータの判定信号を生成する。判定信号生成部41は、生成した判定信号をデータ変換部15へ出力する。
【0030】
データ変換部15は、判定信号においてエラーと判定された期間の値を不定値等として読み取りデータを出力する。さらに、データ変換部15は、出力するデータに関してパリティチェックを行い読み取りデータが正常であるか否かを検査する。
【0031】
ここで、
図5を用いて、ピーク位置データ生成部12、ピーク位置判定部13及びエラー判定部14において生成される信号について詳細に説明を行う。
【0032】
はじめに、コンパレータ出力は、アナログデータ読取部11において生成されたアナログデータにコンパレータを適用することによって生成されたデジタル信号である。ここで、コンパレータの下に示されている磁気データ記録値は、記録テープに記録されたデータの正しい読み取りデータを示している。
【0033】
次に、スライス(+)検出信号(HI-SIDE_COMP)は、コンパレータ出力の立ち下がりタイミング、つまり、
図8に示されるようにアナログデータの高電圧側のピーク位置を示すデジタルデータである。立ち上がりエッジ検出部22は、スライス(+)検出信号を生成する。スライス(+)検出信号は、ピーク位置をロウレベルに設定された値を用いて示している。
【0034】
次に、スライス(−)検出信号(LOW-SIDE_COMP)は、コンパレータ出力の立ち上がりタイミング、つまり、
図8に示されるようにアナログデータの低電圧側のピーク位置を示すデジタルデータである。立ち下がりエッジ検出部23は、スライス(−)検出信号を生成する。スライス(−)検出信号は、ピーク位置をハイレベルに設定された値を用いて示している。
【0035】
次に、エッジ検出信号は、スライス(+)検出信号及びスライス(−)検出信号を用いて生成された、アナログデータのピーク位置、つまりコンパレータ出力の立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを示す信号である。
【0036】
次に、マスク信号は、エッジ検出信号において、隣接するリードタイミングの間に発生したピーク位置をマスクするために用いられる信号である。例えば、マスク信号は、リードタイミングを示すピーク位置から、ジッタが発生していないとした場合における次のリードタイミング間の65%に相当する期間の間に発生したピーク位置をマスクする。
【0037】
次に、リードクロック信号は、エッジ検出信号にマスク信号を適用した後の信号を示している。エッジ検出信号にマスク信号を適用することにより、リードタイミングとは異なる信号のピークを削除することが出来る。これによって、リードタイミングのみを示すピーク位置を用いてリードクロック信号を生成することが出来る。
【0038】
次に、リードクロック信号の130%期間カウントは、リードタイミングを示すピーク位置から、ジッタが発生していないとした場合における次のリードタイミング間の130%に相当する期間の間に、次のリードタイミングが存在するか否かを判定する。
【0039】
周期カウント部32は、リードタイミングを示すピーク位置から、カウントを開始する。さらに、周期カウント部32は、カウントが、ジッタが発生していないとした場合における次のリードタイミング間における130%のカウント値に達する前に、リードクロック信号において次のリードタイミングを示すピーク位置を検出した場合、カウントをリセットし、新たにカウントを再開する。ここで、周期カウント部32は、カウントが、ジッタが発生していないとした場合における次のリードタイミング間における130%のカウント値に達する前に、リードクロック信号において次のリードタイミングを示すピーク位置を検出しなかった場合、カウントを終了する。この場合、周期カウント部32は、リードタイミングを検出すると、新たにカウントを再開する。このように、周期カウント部32によって、カウントが終了する前にピーク位置が検出されない場合、許容することが出来ないジッタが発生していることを示している。
【0040】
次に、判定信号生成部41は、マスク信号においてマスクしている間に、エッジ検出信号のピーク位置が検出された場合、そのピーク位置を検出した時点から、周期カウント部32においてカウントがリセットされる時点までハイレベルの信号を設定する。また、判定信号生成部41は、マスク信号においてマスクされている間にピーク位置が検出されなかった場合、ロウレベルの信号を設定し続ける。このようにして、判定信号生成部41は、判定信号を生成する。
【0041】
次に、検出リードデータは、判定信号に基づいて生成されるデータである。具体的には、検出リードデータは、周期カウント部32においてカウントがリセットされたタイミングに、判定信号がハイレベルからロウレベルに遷移している場合、「1」を示す。また、データ出力部42は、周期カウント部32においてカウントがリセットされたタイミングに、判定信号が遷移していない場合、つまり、カウントがリセットされたタイミングの前後において、判定信号においてロウレベルが維持されている場合、「0」を示す。
【0042】
ここで、周期カウント部32においてリセットされずカウントが終了した場合、検出リードデータは、カウントが終了したタイミングにおいてビット抜けが発生していることを示す。ビット抜けは、例えば不定値X等を用いて示される。不定値Xは、正常な出力データである「0」及び「1」とは異なる値であり、許容することが出来ないジッタが発生したことにより、正常にデータを復調することが出来なかったことを示している。
【0043】
ここで、検出リードデータにおいて、磁気データ記録値とは異なる値が示されている箇所がある。これは、発生したジッタが、許容することが出来ないジッタの値を下回る値である場合に起こりうる。さらに、許容することが出来ないジッタが発生した後に復調されたデータにも、誤りが発生する場合がある。データ出力部42は、このような誤りが発生した場合、出力データに関してパリティチェックを行うことにより、誤りを検出することが出来る。
【0044】
続いて、
図6を用いて本発明の実施の形態1にかかる磁気データ読取装置10のジッタ検出処理の流れについて説明する。
【0045】
はじめに、アナログデータ読取部11は、磁気ヘッドを用いて磁気テープに記録されている磁気データを読み取り、アナログデータを生成する(S11)。次に、ピーク位置データ生成部12は、アナログデータのピーク位置を示すデータを生成する(S12)。
【0046】
次に、ピーク位置判定部13は、デジタルデータに示されたピーク位置が、予め定められた期間内に存在するか否かを判定する(S13)。次に、ピーク位置判定部13は、デジタルデータに示されたピーク位置が、予め定められた期間内に存在するか否かを判定する(S13)。予め定められた期間とは、例えば、周期カウント部32においてカウントを開始してからカウントが終了するまでの期間である。ピーク位置判定部13において、ピーク位置が、予め定められた期間内に存在すると判定された場合、データ出力部42は、復調したデータを出力する。(S14)。ピーク位置判定部13において、ピーク位置が、予め定められた期間内に存在しないと判定された場合、データ変換部15は、予め定められた期間内に存在しないピーク位置に基づいて生成するデータには、不正データ(不定値等)を挿入して出力する(S15)
【0047】
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかる磁気データ読取装置10を用いることにより、許容することが出来ないジッタが発生した場合において、そのジッタを検出することが出来る。さらに、許容することが出来ないジッタが発生した場合においては、あえて不正データとして復調することにより、ジッタの発生をユーザ等へ通知することが出来る。
【0048】
(実施の形態2)
続いて、
図7を用いて本発明の実施の形態2にかかる通信システムの構成例について説明する。本図の通信システムは、磁気データ読取装置10、監視装置50を有している。さらに、磁気データ読取装置10及び監視装置50は、ネットワーク60を介して通信を行う。ネットワーク60は、例えば、IPネットワークであり、異なる運用ポリシーを用いて運用されるネットワークに属する装置を接続するインターネット等であってもよい。もしくは、ネットワーク60は、同一の運用ポリシーを用いて運用されるネットワーク内に属する装置を接続するイントラネット等であってもよい。また、ネットワーク60は、無線回線及び有線回線のいずれか一方を有してもよく、無線回線及び有線回線を有してもよい。
【0049】
磁気データ読取装置10は、読み取りデータに、許容することが出来ないジッタが発生したことを監視装置50へ通知する。例えば、磁気データ読取装置10のエラー判定部14は、判定信号生成部41において生成した判定信号において許容することが出来ないジッタが発生したことを検出した場合、ジッタ発生の検出結果を設定した信号を監視装置50へ送信する。
【0050】
監視装置50は、磁気データ読取装置10から、許容することが出来ないジッタが発生したことを通知された場合、監視装置50の表示部(図示せず)等へ許容することが出来ないジッタが発生したことを示す情報を出力する。
【0051】
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかる通信システムを用いることにより、ネットワーク60を介して磁気データ読取装置10を監視している監視装置50は、磁気データ読取装置10において許容することが出来ないジッタが発生したことを、検出することが出来る。そのため、監視装置50を操作する保守者等は、磁気データ読取装置10に障害が発生しているか否かを調査することが出来る。これにより、磁気データ読取装置10におけるジッタの発生要因等に応じて、磁気データ読取装置10の修理もしくは部品の交換等を行うことが出来る。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 磁気データ読取装置
11 アナログデータ読取部
12 ピーク位置データ生成部
13 ピーク位置判定部
14 エラー判定部
15 データ変換部
22 立ち上がりエッジ検出部
23 立ち下がりエッジ検出部
24 エッジ検出部
31 リードクロック信号生成部
32 周期カウント部
41 判定信号生成部
43 パリティエラー判定部
50 監視装置
60 ネットワーク