特許第6012079号(P6012079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キャタピラー エス エー アール エルの特許一覧

<>
  • 特許6012079-建設機械の遠隔操作システム 図000002
  • 特許6012079-建設機械の遠隔操作システム 図000003
  • 特許6012079-建設機械の遠隔操作システム 図000004
  • 特許6012079-建設機械の遠隔操作システム 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012079
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】建設機械の遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   E02F9/22 E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-164067(P2013-164067)
(22)【出願日】2013年8月7日
(65)【公開番号】特開2015-31141(P2015-31141A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】室田 功
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−235755(JP,A)
【文献】 特開2000−225356(JP,A)
【文献】 特開平05−255953(JP,A)
【文献】 特開平05−059744(JP,A)
【文献】 特開平09−203085(JP,A)
【文献】 特開2010−248907(JP,A)
【文献】 特開2000−136527(JP,A)
【文献】 特開平07−180185(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2508680(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/22
F02D 29/00−29/06
B60W 10/00−10/30
B60W 30/00−50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業腕の先端部に脱着自在に装着される作業アタッチメントと、作業腕の先端部位置を移動させるためのアクチュエータと、該アクチュエータを操作するための操作具が配設される運転室とを備えてなる建設機械において、作業アタッチメントの脱着時に運転室外で脱着作業を行なう作業員が前記アクチュエータを無線により遠隔操作するための遠隔操作システムを設けるにあたり、該遠隔操作システムは、運転室外の作業員が足で操作可能な無線遠隔操作器と、該無線遠隔操作器から送信される操作信号に基づいてアクチュエータを動作させるための制御信号を出力する制御装置とを具備し、該制御装置は、無線遠隔操作器の操作信号に基づいてアクチュエータを動作させる場合に該アクチュエータの動作速度を低下させるための速度低下制御を行なうことを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項2】
請求項1において、建設機械は、無線通信モジュールを着脱自在に装着できる制御機器を備え、該制御機器は、装着された無線通信モジュールを介して無線遠隔操作器と無線通信することを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項3】
請求項2において、建設機械の運転室には、機体の状態を表示するモニタ装置が配設されると共に、該モニタ装置を、無線通信モジュールが着脱自在に装着される制御機器として用いたことを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項において、建設機械は、作業腕の先端部位置を移動させるためのアクチュエータとして複数のアクチュエータを備えると共に、無線遠隔操作器に、これら複数のアクチュエータのうち動作させるアクチュエータを何れか一つ選択するための選択用操作手段を設け、該選択用操作手段により選択された一つのアクチュエータのみを動作させることができる構成にしたことを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項において、無線遠隔操作器に、アクチュエータをインチング動作させるためのインチング用操作手段を設けたことを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械の遠隔操作システムの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械のなかには、作業腕の先端部に脱着自在に装着される作業アタッチメントと、作業腕の先端部位置を移動させるためのアクチュエータと、該アクチュエータを操作するための操作具が配設される運転室とを備えたものがある。例えば、油圧ショベルの場合には、ブームおよびアームからなる作業腕の先端部に作業アタッチメントとしてバケットが装着されると共に、作業腕の先端部位置を移動させるための油圧アクチュエータとして旋回モータ、ブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダが設けられており、これら油圧アクチュエータを操作するための操作レバーが運転室に配設されている。この様な建設機械において、作業アタッチメントの交換やメンテナンスを行なうような場合に、作業アタッチメントを作業腕の先端部から装脱、装着することになるが、該作業アタッチメントの脱着作業は、従来、運転室外で作業腕の先端部と作業アタッチメントとの連結、連結解除の作業を行なう人と、作業腕の先端部と作業アタッチメントとの連結部位の位置合せをするべく運転室内で操作具を操作して作業腕の先端部位置を移動させる人との二人で行なっていた。
一方、油圧ショベル等の建設機械を無線により遠隔操作する技術は従来から用いられており、例えば、破砕機以外の建設機械の運転席から破砕機のフィーダ停止や非常停止を行なうようにした技術(例えば、特許文献1参照。)や、施設内に設置されたカメラや車載カメラの撮影画像を見ながらオペレータが重機を遠隔操作する技術(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−225356号公報
【特許文献1】特開2010−53609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧ショベル等の建設機械において、作業腕の先端部に装着される作業アタッチメントを脱着する場合には、前述したように、運転室外の作業員と運転室内の作業員との二人の作業員が必要であった。しかしながら、二人の作業員を確保することが難しい場合もあり、一人でも作業アタッチメントの脱着作業を行なえるようにすることが要求されている。そこで、運転室外で脱着作業を行なう作業員が遠隔操作で作業腕の移動も行なえるようにすることが提唱されるが、この場合に、作業員は、作業腕の先端部と作業アタッチメントとを連結する連結ピンやハンマー等の工具を持っていて両手が塞がっている場合もあり、さらに、作業腕の先端部と作業アタッチメントとの位置合せには微操作を必要とし、しかも、作業員の直ぐ近くで作業腕の先端部が移動することになるから作業腕の遠隔操作を注意深く行なわなければならない等、作業アタッチメントの脱着作業に特有の問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、作業腕の先端部に脱着自在に装着される作業アタッチメントと、作業腕の先端部位置を移動させるためのアクチュエータと、該アクチュエータを操作するための操作具が配設される運転室とを備えてなる建設機械において、作業アタッチメントの脱着時に運転室外で脱着作業を行なう作業員が前記アクチュエータを無線により遠隔操作するための遠隔操作システムを設けるにあたり、該遠隔操作システムは、運転室外の作業員が足で操作可能な無線遠隔操作器と、該無線遠隔操作器から送信される操作信号に基づいてアクチュエータを動作させるための制御信号を出力する制御装置とを具備し、該制御装置は、無線遠隔操作器の操作信号に基づいてアクチュエータを動作させる場合に該アクチュエータの動作速度を低下させるための速度低下制御を行なうことを特徴とする建設機械の遠隔操作システムである。
請求項2の発明は、請求項1において、建設機械は、無線通信モジュールを着脱自在に装着できる制御機器を備え、該制御機器は、装着された無線通信モジュールを介して無線遠隔操作器と無線通信することを特徴とする建設機械の遠隔操作システムである。
請求項3の発明は、請求項2において、建設機械の運転室には、機体の状態を表示するモニタ装置が配設されると共に、該モニタ装置を、無線通信モジュールが着脱自在に装着される制御機器として用いたことを特徴とする建設機械の遠隔操作システムである。
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れか一項において、建設機械は、作業腕の先端部位置を移動させるためのアクチュエータとして複数のアクチュエータを備えると共に、無線遠隔操作器に、これら複数のアクチュエータのうち動作させるアクチュエータを何れか一つ選択するための選択用操作手段を設け、該選択用操作手段により選択された一つのアクチュエータのみを動作させることができる構成にしたことを特徴とする建設機械の遠隔操作システムである。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか一項において、無線遠隔操作器に、アクチュエータをインチング動作させるためのインチング用操作手段を設けたことを特徴とする建設機械の遠隔操作システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、運転室外で作業アタッチメントの脱着作業を行なう作業員が、足で無線遠隔操作器を操作することでアクチュエータを遠隔操作できることになり、而して、運転室外の作業員一人で作業アタッチメントの脱着作業を行なえることになって、脱着作業の人員削減を確実に達成できる。しかも、制御装置の行なう速度低下制御によって、足での操作であっても、脱着作業に必要な位置合せ等の微操作を容易に行うことができると共に、不用意にアクチュエータが大きく動いてしまうことを回避できる。
請求項2の発明とすることにより、建設機械に予め無線受信装置が設けられていなくても、作業アタッチメントの脱着作業を行なうときに制御機器に無線通信モジュールを装着するだけで無線遠隔操作器と無線通信できることになる。
請求項3の発明とすることにより、モニタ装置を有効利用して無線遠隔操作器と無線通信できると共に、運転室に配設されたモニタ装置に無線通信モジュールを着脱することは容易であって、利便性に優れる。
請求項4の発明とすることにより、アクチュエータを遠隔操作する場合の操作が簡単であると共に、作業腕の先端部の動きを作業員が誤り無く確実に予測することができる。
請求項5の発明とすることにより、アクチュエータを容易にインチング動作させることができ、而して、作業アタッチメントと作業腕の先端部との位置合せを容易に行うことができると共に、作業員の操作の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】バケット脱着作業時の油圧ショベルの図である。
図2】無線遠隔操作器を示す図である。
図3】アクチュエータの駆動回路図である。
図4】制御装置の制御手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は建設機械の一例である油圧ショベルであって、該油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2、該下部走行体2の上方に旋回自在に支持される上部旋回体3、該上部旋回体3に装着されるフロント作業部4等の各部から構成され、さらに該フロント作業部4は、基端部が上部旋回体3に上下揺動自在に支持されるブーム5、該ブーム5の先端部に前後揺動自在に支持されるアーム6、該アーム6の先端部に脱着自在に装着されるバケット7等を備えて構成されると共に、油圧ショベル1には、上部旋回体3を旋回せしめるための旋回モータ8や、ブーム5、アーム6、バケット7をそれぞれ揺動させるためのブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11等の各種油圧アクチュエータを具備している。さらに、12は上部旋回体3に設けられる運転室であって、該運転室12には、前記旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11を操作するための左右の操作レバー13L、13Rや、後述するモニタ装置14が配設されている。
【0009】
ここで、前記バケット7は、アーム6の先端部に第一連結ピン15を介して連結されると共に、バケットシリンダ11の先端部に連結されたリンク16に第二連結ピン17を介して連結されている。そして、バケット7をアーム6の先端部から脱着する場合には、前記第一、第二連結ピン15、17を抜き差ししてバケット7とアーム6、バケット7とリンク16との連結、連結解除を行なうようになっている。尚、前記ブーム5およびアーム6は本発明の作業腕を構成し、バケット7は作業腕の先端部に脱着自在に装着される作業アタッチメントを構成するが、作業アタッチメントとしてはバケット7に限定されることなく、ブレーカ、リッパ、グラップル等の種々の作業アタッチメントを作業腕の先端部に脱着自在に装着できる。さらに、前記旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11は、本発明の作業腕の先端部位置を移動させるためのアクチュエータを構成し、また、左右の操作レバー13L、13Rは、本発明のアクチュエータを操作するための操作具を構成するが、以下の説明において、旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11を、アクチュエータと称する場合もある。
【0010】
また、前記運転室12に配設されるモニタ装置14は、エンジン冷却水温度、作動油温、燃料残量、稼働時間累計等の種々の機体状態や異常情報、故障情報等の種々の情報を表示する表示画面14aと、該表示画面14aの切替えや各種設定等を行なうべく操作される操作部14bとを備えていると共に、サービスマンが使用するパソコン等を接続できるようにUSBポートを備えている。そして、該USBポートにBluetooth(登録商標、以下省略)アダプタ18を装着することによって、モニタ装置14は、後述する無線遠隔操作器19と無線通信することができるようになっている。さらにモニタ装置14は、後述する制御装置(コントローラ)20にCAN通信により接続されており、そして、前記無線遠隔操作器19から送信された操作信号をモニタ装置14が受信した場合に、該受信した操作信号を制御装置20に出力するように設定されている。尚、前記Bluetoothアダプタ18は、本発明の無線通信モジュールに相当する。
【0011】
一方、前記無線遠隔操作器19は、運転室12外でバケット7の脱着作業を行なう作業員が前記旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11を無線で遠隔操作するための操作器であって、該無線遠隔操作器19は、Bluetooth通信機能を有していると共に、操作スイッチとしいて、電源スイッチ19a、第一〜第四切替えスイッチ19b〜19e、第一、第二駆動スイッチ19f、19g、およびインチング用スイッチ19hが設けられているが、これらスイッチ19a〜19hは何れも作業員が足で操作可能な押釦式のフットスイッチで構成されていて、脱着作業を行なう作業員の両手が前記第一、第二連結ピン15、17やハンマー等の工具(図示せず)で塞がっていても、足でスイッチ19a〜19hを操作することができるようになっている。
【0012】
ここで、電源スイッチ19aは、無線遠隔操作器19による遠隔装置を行なう場合にONされるスイッチであって、該電源スイッチ19aがOFFの状態では、他のスイッチ19b〜19hが操作されても該他のスイッチ19b〜19hの操作信号は無効になる。
【0013】
また、前記第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eは、旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11のうち動作させるアクチュエータを何れか一つ選択するためのスイッチであって、動作させるアクチュエータに対応する何れか一つの第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eを押し操作してONにすると、該操作された以外の他の切替えスイッチ19b〜19eは全てOFFになるように設定されていると共に、他の切替えスイッチ19b〜19eが操作されるまでONを維持するように構成されている。そして、該第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eにより選択された一つのアクチュエータのみを、第一、第二駆動スイッチ19f、19gの操作で動作させることができるようになっており、これにより、遠隔操作時に複数のアクチュエータを同時に連動して動作させることができないように構成されている。尚、本実施の形態では、第一切替えスイッチ19bはブーケシリンダ9、第二切替えスイッチ19cはバケットシリンダ11、第三切替えスイッチ19dはアームシリンダ10、第四切替えスイッチ19eは旋回モータ8を選択する場合に操作されるように設定されている。また、前記第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eは本発明の選択用操作手段を構成する。
【0014】
さらに、前記第一、第二駆動スイッチ19f、19gは、前記第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eで選択された一つのアクチュエータの動作方向を選択すると共に、該動作方向にアクチュエータを駆動させるときに操作されるスイッチであって、第一駆動スイッチ19fは、旋回モータ8を左旋回側、右旋回側の何れか一方側に駆動させる場合、およびブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11をシリンダ伸長側、縮小側の何れか一方側に駆動させる場合に押し操作され、また、第二駆動スイッチ19gは、旋回モータ8を左旋回側、右旋回側の何れか他方側に駆動させる場合、およびブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11をシリンダ伸長側、縮小側の何れか他方側に駆動させる場合に操作されるように設定されていると共に、これら第一、第二駆動スイッチ19f、19gは、押し操作されている間だけONとなるように構成されている。尚、本実施の形態では、第一駆動スイッチ19fは、旋回モータ8を左旋回側に駆動させる場合、およびブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11をシリンダ伸長側に駆動させる場合に操作され、また、第二駆動スイッチ19gは、旋回モータ8を右旋回側に駆動させる場合、およびブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11をシリンダ縮小側に駆動させる場合に操作されるように設定されている。
【0015】
また、前記インチング用スイッチ19hは、旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11をインチング動作させる場合に押し操作されるスイッチであって、該インチング用スイッチ19hは、押し操作されてONになると、次に押し操作されてOFFになるまでONを維持するようになっていると共に、インチング用スイッチ19hがONになっている状態で、前記第一、第二駆動スイッチ19f、19gを押し操作してONにすると、旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11の動作開始、動作停止が小刻みに繰り返されて、旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11を短ステップで動作させるインチング操作を行うことができるようになっている。尚、前記インチング用スイッチ19hは本発明のインチング用操作手段を構成する。
【0016】
次いで、前記旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11の駆動回路について、図3に基づいて説明する。
図3において、21は油圧ショベル1に搭載されるエンジン、22はエンジン21により駆動され、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11の油圧源となる可変容量型の油圧ポンプ、22aは油圧ポンプ22の容量可変手段、23はパイロット圧の油圧源となるパイロットポンプ、24は油タンク、25〜28はブーム用、バケット用、アーム用、旋回用のコントロールバルブである。
【0017】
前記ブーム用、バケット用、アーム用、旋回用のコントロールバルブ25〜28は、ブームシリンダ9、バケットシリンダ11、アームシリンダ10、旋回モータ8に対する給排制御をそれぞれ行なうパイロット作動式の方向切換弁であって、パイロットポート25a、25b〜28a、28bにパイロット圧が供給されていない状態では、ブームシリンダ9、バケットシリンダ11、アームシリンダ10、旋回モータ8に対する圧油供給を行なわない中立位置Nに位置しているが、パイロットポート25a、25b〜28a、28bにパイロット圧が供給されることにより、油圧ポンプ22の吐出油をブームシリンダ9、バケットシリンダ11、アームシリンダ10、旋回モータ8に供給する作動位置XまたはYに切換わり、これによりアクチュエータに圧油供給されて該アクチュエータが動作するようになっている。
【0018】
また、図3において、29はブーム用及びバケット用のパイロットバルブ、30はアーム用及び旋回用のパイロットバルブであって、これらパイロットバルブ29、30は、前記運転室12に配設される左右の操作レバー13L、13Rの操作に基づいて前記ブーム用、バケット用、アーム用、旋回用のコントロールバルブ25〜28のパイロットポート25a、25b〜28a、28bにパイロット圧を出力するように構成されている。
【0019】
さらに、図3において、31A、31B〜34A、34Bはブーム用、バケット用、アーム用、旋回用の電磁比例弁であって、これら電磁比例弁31A、31B〜34A、34Bは、前記制御装置20から出力される制御信号に基づいてブーム用、バケット用、アーム用、旋回用のコントロールバルブ25〜28のパイロットポート25a、25b〜28a、28bにパイロット圧を出力するように構成されている。
【0020】
さらに、図3において、35A、35B〜38A、38Bはブーム用、バケット用、アーム用、旋回用のシャトル弁であって、これらシャトル弁35A、35B〜38A、38Bは、前記ブーム用及びバケット用、アーム用及び旋回用のパイロットバルブ29、30から出力されるパイロット圧と、ブーム用、バケット用、アーム用、旋回用の電磁比例弁31A、31B〜34A、34Bから出力されるパイロット圧とのうち高圧側を選択し、該選択したパイロット圧をブーム用、バケット用、アーム用、旋回用のコントロールバルブ25〜28のパイロットポート25a、25b〜28a、28bに導くように構成されている。。
【0021】
而して、左右の操作レバー13L、13Rが操作されてパイロットバルブ29、30からパイロット圧が出力された場合には、該パイロット圧がシャトル弁35A、35B〜38A、38Bにより選択されてコントロールバルブ25〜28に入力され、これにより左右の操作レバー13L、13Rの操作に基づいてアクチュエータを動作させることができる一方、制御装置20から出力される制御信号に基づいて電磁比例弁31A、31B〜34A、34Bからパイロット圧が出力された場合には、該パイロット圧がシャトル弁35A、35B〜38A、38Bにより選択されてコントロールバルブ25〜28に入力され、これにより制御装置20から出力される制御信号に基づいてアクチュエータを動作させることができるように構成されている。
【0022】
ここで、前記制御装置20は、前述したようにモニタ装置14にCAN通信により接続されていて、モニタ装置14が無線遠隔操作器19から操作信号を受信した場合に、該操作信号がモニタ装置14を経由して制御装置20に入力されるようになっていると共に、制御装置20は、入力された操作信号に基づいて、前記ブーム用、バケット用、アーム用、旋回用の電磁比例弁31A、31B〜34A、34B、および油圧ポンプ22の容量可変手段22a、エンジン21を制御するエンジンコントローラ39に制御信号を出力するように構成されている。
【0023】
前記制御装置20の行なう制御手順について、図4のフローチャート図に基づいて説明すると、システムスタートして初期設定がなされると、制御装置20は、まず、モニタ装置14を経由して入力される無線遠隔操作器19からの信号を読み込む(ステップS1)。
【0024】
続いて、前記読み込まれた信号に基づいて、無線遠隔操作器19の電源スイッチ19aがONか否かを判断する(ステップS2)。該ステップS2の判断で「YES」、つまり電源スイッチ19aがONの場合には、制御装置20は、遠隔操作時においてアクチュエータ(ブームシリンダ9、バケットシリンダ11、アームシリンダ10、旋回モータ8)の動作速度を低下させるための速度低下制御を実行する(ステップS3)。
【0025】
前記速度低下制御を実行する場合に、制御装置20は、エンジンコントローラ39に対し、エンジン回転数を予め設定される低下制御用回転数まで低下させるように制御信号を出力すると共に、油圧ポンプ22の容量可変手段22aに対し、ポンプ容量を予め設定される低下制御用容量まで小さくするように制御信号を出力する。これにより、油圧ポンプ22の出力が低下してアクチュエータへの圧油供給流量が減少し、遠隔操作時におけるアクチュエータの動作速度を低下させることができるようになっている。
【0026】
続いて、制御装置20は、第一、第二駆動スイッチ19f、19gの何れかが押し操作されている(ON)か否かを判断する(ステップS4)。該ステップ4の判断で「YES」、つまり、第一、第二駆動スイッチ19f、19gの何れかONの場合には、続けて、インチング用スイッチ19hがOFFか否かを判断する(ステップS5)。
【0027】
前記ステップS5の判断で「YES」、つまり、インチング用スイッチ19hがOFFの場合には、制御装置20は、第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eにより選択されたアクチュエータを、第一、第二駆動スイッチ19f、19gにより選択された方向に駆動させるべく、対応するブーム用、バケット用、アーム用、旋回用の電磁比例弁31A、31B〜34A、34Bに対してパイロット圧出力の制御信号を出力する(ステップS6)。例えば、第一切替えスイッチ19bがONで第一駆動スイッチ19fがONの場合には、ブームシリンダ9を伸長側に駆動させるためのパイロット圧を出力するブーム用電磁比例弁31Aに対してパイロット圧出力の制御信号が出力され、第一切替えスイッチ19bがONで第二駆動スイッチ19fがONの場合には、ブームシリンダ9を縮小側に駆動させるためのパイロット圧を出力するブーム用電磁比例弁31Bに対してパイロット圧出力の制御信号が出力される。これにより、第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eにより選択されたアクチュエータが、第一、第二駆動スイッチ19f、19gにより選択された方向に動作する。
【0028】
一方、前記ステップS5の判断で「NO」、つまり、インチング用スイッチ19hがONの場合には、制御装置20は、第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eにより選択されたアクチュエータを、第一、第二駆動スイッチ19f、19gにより選択された方向にインチング動作させるべく、対応するブーム用、バケット用、アーム用、旋回用の電磁比例弁31A、31B〜34A、34Bに対し、パイロット圧出力、出力停止を短時間で繰り返すように制御信号を出力する(ステップS7)。これにより、第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eにより選択されたアクチュエータが、第一、第二駆動スイッチ19f、19gにより選択された方向にインチング動作する。
【0029】
また、前記ステップS4の判断で、「NO」、つまり、第一、第二駆動スイッチ19f、19gの何れもOFFの場合には、制御装置20は、ブーム用、バケット用、アーム用、旋回用の電磁比例弁31A、31B〜34A、34Bに対してパイロット圧出力停止の制御信号を出力する(ステップS8)。これにより、アクチュエータが停止中であれば該停止が維持され、動作(インチング動作も含む)中であれば該動作は停止する。
【0030】
而して、無線遠隔操作器19の電源スイッチ19aがONの場合には、アクチュエータの動作速度を低下させるための速度低下制御が実行されると共に、無線遠隔操作器19から送信される操作信号に基づいてアクチュエータ(ブームシリンダ9、バケットシリンダ11、アームシリンダ10、旋回モータ8)を動作させる遠隔操作を行なうことができるようになっている。
【0031】
これに対し、無線遠隔操作器19の電源スイッチ19aがOFFの場合、つまり、前記ステップS2の判断で「NO」の場合には、制御装置20は、ブーム用、バケット用、アーム用、旋回用の電磁比例弁31A、31B〜34A、34Bに対してパイロット圧出力停止の制御信号を出力する(ステップS9)と共に、エンジンコントローラ39および油圧ポンプ22の容量可変手段22aに対して、前述した速度低下制御が実行されている場合には該速度低下制御を解除するように制御信号を出力する(ステップS10)。つまり、無線遠隔操作器19の電源スイッチ19aがOFFの場合には、アクチュエータの遠隔操作を行なうことはできないと共に、速度低下制御は実行されないようになっている。
【0032】
叙述の如く構成された本形態において、油圧ショベル1は、ブーム5およびアーム6からなる作業腕の先端部に作業アタッチメントとしてバケット7が脱着自在に装着されていると共に、作業腕の先端部位置を移動させるためのアクチュエータとして旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11が設けられており、さらに、これらアクチュエータを操作するための操作具として左右の操作レバー13L、13Rが運転室12に配設されている。そして、バケット7の脱着作業を行なう場合には、前記アクチュエータを動作させて作業部の先端部をバケット7から離間させたり、バケット7と作業腕の先端部との位置合せをしたりすることになるが、この場合に、運転室12外で脱着作業を行なう作業員が前記アクチュエータを無線により遠隔操作するための遠隔操作システムが設けられていると共に、該遠隔操作システムは、運転室12外の作業員が足で操作可能な無線遠隔操作器19と、該無線遠隔操作器19から送信される操作信号に基づいてアクチュエータを動作させるための制御信号を出力する制御装置20とを具備しており、該制御装置20は、無線遠隔操作器19の操作信号に基づいてアクチュエータを動作させる場合にアクチュエータの動作速度を低下させるための速度低下制御を行なうことになる。
【0033】
この結果、運転室12外でバケット7の脱着作業を行なう作業員が、作業腕の先端部とバケット7とを連結する連結ピン(第一、第二連結ピン15、17)やハンマー等の工具を持っていて両手が塞がっていても、足で無線遠隔操作器19を操作することでアクチュエータを遠隔操作できることになり、而して、運転室12内でアクチュエータを操作する作業員が不要になって、運転室12外の作業員一人でバケット7の脱着作業を行なえることになり、脱着作業の人員削減を確実に達成できることになる。しかも、アクチュエータを遠隔操作する場合には、制御装置20の行なう速度低下制御によりアクチュエータの動作速度が低下するから、足での操作であっても、脱着作業に必要な位置合せ等の微操作を容易に行うことができると共に、不用意にアクチュエータが大きく動いてしまうことを回避できることになる。
【0034】
さらにこのものにおいて、前記無線遠隔操作器19は、Bluetooth通信機能を有する一方、油圧ショベル1は、Bluetoothアダプタ18を着脱自在に装着できる制御機器としてモニタ装置14を備えており、該モニタ装置14に装着されたBluetoothアダプタ18を介して無線遠隔操作器19と無線通信できることになる。この結果、油圧ショベル1に予め無線受信装置が設けられていなくても、バケット7の脱着作業を行なうときにモニタ装置14にBluetoothアダプタ18を装着するだけで無線遠隔操作器19と無線通信できることになる。しかも、前記モニタ装置14は、機体の状態を表示するために運転室12に汎用的に配設されるものであり、該モニタ装置14を有効利用して無線遠隔操作器19と無線通信できることになると共に、運転室12に配設されたモニタ装置14にBluetoothアダプタ18を着脱することは容易であって、利便性に優れる。
【0035】
また、油圧ショベル1は、作業腕の先端部位置を移動させるためのアクチュエータとして旋回モータ8、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11の複数のアクチュエータを備えているが、無線遠隔操作器19には、これら複数のアクチュエータのうち動作させるアクチュエータを何れか一つ選択するための第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eが設けられており、該第一〜第四切替えスイッチ19b〜19eにより選択された一つのアクチュエータのみを動作させることができる構成になっているから、アクチュエータを遠隔操作する場合の操作が簡単であると共に、作業腕の先端部の動きを作業員が誤り無く確実に予測できることになる。
【0036】
さらに、前記無線遠隔操作器19には、アクチュエータをインチング動作させるためのインチング用スイッチ19hが設けられているから、アクチュエータを容易にインチング動作させることができることになり、而して、バケット7と作業腕の先端部との位置合せを容易に行うことができると共に、作業員の操作の負担を軽減することができる。
【0037】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論であって、例えば、上記実施の形態では、無線通信手段としてBluetoothを用いたが、無線LANを用いることもできる。この場合には、無線通信モジュールとして無線LANアダプタが用いられる。さらに、上記実施の形態では、無線通信モジュールを着脱自在に装着できる制御機器としてモニタ装置を用いたが、これに限定されることなく、建設機械に設けられている他の制御機器を利用することもできる。また、アクチュエータを動作させるための制御信号を出力する制御装置自体を、無線通信モジュールを着脱自在に装着できる制御機器として兼用することもできる。さらに、本発明は、油圧ショベルに限定されることなく、作業アタッチメントが脱着自在に装着される各種建設機械に実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械において、作業アタッチメントの脱着作業を行なう場合の遠隔操作システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 油圧ショベル
5 ブーム
6 アーム
7 バケット
8 旋回モータ
9 ブームシリンダ
10 アームシリンダ
11 バケットシリンダ
12 運転室
13 左右の操作レバー
14 モニタ装置
18 Bluetoothアダプタ
19 無線遠隔操作器
19b〜19e 第一〜第四切替えスイッチ
19h インチング用スイッチ
20 制御装置
21 エンジン
22 油圧ポンプ
図1
図3
図4
図2