(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記転送データを保有する装置の電源、および/または、前記装置特定情報検出部により特定された装置特定情報に対応する装置の電源がオフの際に、前記転送データを保有する装置、および/または、前記装置特定情報検出部により検出された装置特定情報に対応する装置に対して、電源オンのための指示を送信することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信操作機器。
前記装置特定情報検出部により特定された装置特定情報に対応する装置における前記転送データの処理方法について、ユーザが選択可能に表示し、ユーザが選択した前記処理方法を、前記装置特定情報検出部により特定された装置特定情報に対応する装置に対して通知することを特徴とする請求項1または2に記載のデータ送信操作機器。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るデータ送信操作機器におけるデータ送信処理時の初期画面とデータ送受信装置の関係を示す図である。
図1には、携帯端末10と、携帯端末10の周辺に本発明のデータの送受信機器の例として、パーソナルコンピュータ(PC)30、テレビ受像機(TV)31、および、レコーダ32が示されている。送受信されるデータは、例えば、動画や音楽などのコンテンツデータである。ここで、携帯端末10は、本発明に係るデータ送信操作機器の一例となるものであり、データを送信する装置を携帯端末10としたが、PC30やTV31、レコーダ32などの多機能リモコンであって、データの送信操作をユーザから受け付ける機能を有するものであれば、他の機器であってもよい。
【0023】
携帯端末10のタッチパネル画面20には、データの送受信対象となるPC30を示す装置特定情報22a、TV31を示す装置特定情報22b、および、レコーダ32を示す装置特定情報22cが表示されている。また、携帯端末10がデータの送受信装置となる場合には、携帯端末10を示す装置特定情報22dを表示してもよい。また、これらの装置特定情報22a〜22dは、各装置を示すラベルやアイコンなどで表示してもよい。
【0024】
以下、装置特定情報22a〜22dを総称する場合は、装置特定情報22a〜22dといい、個々の「PC30を示す装置特定情報22a」、「TV31を示す装置特定情報22b」、「レコーダ32を示す装置特定情報22c」、および、「携帯端末10を示す装置特定情報22d」については、それぞれ「PCラベル22a」、「TVラベル22b」、「レコーダラベル22d」、および、「本機ラベル22d」ともいう。
【0025】
本発明では、携帯端末10にインストールされたデータ送信処理に関するアプリケーションソフトを立ち上げた際に、タッチパネル画面20に、
図1に示すデータ送信処理時の初期画面を表示させており、例えば、
図1に示すデータ送信処理時の初期画面よりも上位の遷移画面において、「データ送信処理」のための所定のタップ操作を選択した場合に、
図1に示すデータ送信処理時の初期画面に遷移するようにしておけばよい。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るデータ送信操作機器の処理の一例を示す図であり、
図2(A)は、録画されたコンテンツをTV31で視聴している状態を示している。ユーザがこの状態からPC30に再生中の番組データを転送して続きを視聴する場合、ユーザは、タッチパネル画面20に表示したTVラベル22bからPCラベル22aに向けて弾く動作をすることで、録画されたコンテンツデータをPC30に転送するようにしている。この操作によって、TVラベル22bとPCラベル22aの位置は変化することがないが、
図2(B)で示すように、データ送信の表現として、TVラベル22bからコンテンツデータのアイコン21が飛び出てPCラベル22aに向かうように転送データを示すアイコン21を移動表示(アニメーション表示)させている。
【0027】
ここで、TV31で視聴中のコンテンツが、TV31に保存されている場合は、実際のコンテンツデータはTV31からPC30に転送されるが、録画番組がレコーダ32内に保存されている場合は、実際のコンテンツデータはレコーダ32からPC30に転送されるようにしている。
【0028】
また、
図2では、データの送信操作として、装置特定情報を弾く操作によってデータの送信操作を行っているが、
図3に示すように、TVラベル22bを指でタッチした状態でPCラベル22aまで移動させるドラッグ操作を用いることもできる。本発明では、このような、タッチパネル画面20に指をつけたまま、指を上下左右にスライドさせるドラッグ操作や、タッチパネル画面20上を指ではじくフリック操作などの操作を総称してタッチ操作と呼ぶ。
【0029】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るデータ送信操作機器の構成の一例を示す図である。携帯端末10は、タッチパネル部11、公衆回線通信用アンテナ12、公衆回線通信部13、ネットワーク通信用アンテナ14、ネットワーク通信部15、記憶部16、制御部17を備える。
【0030】
タッチパネル部11は、情報の表示を行うとともに、ユーザからの情報の入力を受け付ける表示・入力デバイスである。このタッチパネル部11は、表示部11a、タッチセンサ部11bを備える。表示部11aは、液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。タッチセンサ部11bは、表示部11aに表示された画面上の、ユーザによりタッチされた位置を検出するセンサ部である。
【0031】
公衆回線通信用アンテナ12は、ユーザが公衆回線を介して通信や通話を行う場合に、通信や通話用の電波の送受信を行うアンテナである。公衆回線通信部12は、公衆回線を介して通信処理や通話処理を行う処理部である。
【0032】
ネットワーク通信用アンテナ14は、携帯端末10が無線ネットワークを介して他の装置と通信を行う場合に、通信用の電波の送受信を行うアンテナである。ネットワーク通信部15は、携帯端末10が無線ネットワークを介して他の装置と通信を行う場合に、他の装置と接続し、通信処理を行う処理部である。例えば、ネットワーク通信部15は、無指向性の通信である無線LANやBluetooth(登録商標)の規格に基づいて通信を行う。
【0033】
記憶部16は、メモリやハードディスク装置などの記憶デバイスである。この記憶部16は、コンテンツデータ16a、表示位置情報16bなどを記憶する。コンテンツデータ16aは、携帯端末10で視聴可能なデータである。表示位置情報16bは、
図1に示すタッチパネル画面20において、装置特定情報22a〜22dを表示するタッチパネル画面20上の座標の情報である。
【0034】
ここで、装置特定情報22a〜22dを表示する位置の座標は、ユーザにより予め登録され、データの送信操作時には、予め登録された位置に装置特定情報22a〜22dが表示される。本機ラベル22dを表示する場合は、携帯端末10を操作するユーザ側、すなわち、
図1に示す状態では、タッチパネル画面20の中央下部に表示するのが望ましい。また、タッチパネル画面20にこれらの装置特定情報22a〜22dを表示する場合の配置は、いずれか3つの装置特定情報22a〜22dが一直線状に並ばないように配置することが望ましい。
【0035】
なお、装置特定情報22a〜22cの表示位置は、一旦装置特定情報22a〜22cがタッチパネル画面20に表示された後に変更されてもよい。具体的には、ユーザが、タッチ操作により、装置特定情報22a〜22cの新たな表示位置を指定した場合に、ユーザにより指定されたタッチパネル画面20上の座標の情報が表示位置情報16bとして記憶部16に記憶される。そして、その座標に対応する位置に装置特定情報22a〜22cの表示位置が変更される。
【0036】
また、装置特定情報22a〜22cを表示するタッチパネル画面20上の座標の情報は、予め表示位置情報16bに登録しておく必要は必ずしもない。例えば、
図1に示した表示画面を表示するようにユーザから指示を受け付けた場合に、ネットワーク通信部15がPC30やTV31、レコーダ32などの装置との間で通信を行ってデータの送信先となり得る装置を検出し、後に説明する表示制御部17bが、検出した装置に対応する装置特定情報22a〜22cの表示間隔を調整した上で、装置特定情報22a〜22cをタッチパネル画面20に表示させることとしてもよい。
【0037】
制御部17は、携帯端末10を全体的に制御するCPU(Central Processing Unit)などの制御デバイスである。この制御部17は、情報受付部17a、表示制御部17b、装置特定情報検出部17c、転送データ特定部17d、データ送受信制御部17eを備える。
【0038】
情報受付部17aは、ユーザがタッチパネル部11を介して入力した情報を受け付ける処理部である。例えば、この情報受付部17aは、一旦装置特定情報22a〜22cがタッチパネル画面20に表示された後、装置特定情報22a〜22cの新たな表示位置の指定をユーザから受け付けた場合に、ユーザにより指定された新たな表示位置の座標の情報をタッチセンサ部11bから取得する。そして、情報受付部17aは、取得した座標の情報を記憶部16に表示位置情報16bとして記憶する。
【0039】
表示制御部17bは、表示部11aに対する情報の表示処理を制御する処理部である。例えば、表示制御部17bは、記憶部16から表示位置情報16bを読み出し、表示部11aを制御して、表示位置情報16bに登録された座標により特定される位置に、装置特定情報22a〜22cを表示させる。
【0040】
また、表示制御部17bは、ユーザがタッチパネル画面20上で指をスライドさせるタッチ動作を行った場合に、タッチパネル画面20にアイコン21を表示し、指をスライドさせた方向にアイコン21が移動するアニメーションを表示させる処理などを行う。
【0041】
装置特定情報検出部17cは、
図1に示したようなタッチパネル画面20において、表示された一の装置特定情報から他の装置特定情報に向けてユーザがタッチ操作を行った際に、一の装置特定情報に表示または保存されているデータを保有する装置をデータ送信元装置として特定する処理部であり、また、ユーザが一の装置特定情報から指を操作した方向に最も近い位置に表示されている装置特定情報22a〜22cに対応する装置をデータ送信先装置として特定する処理部である。
【0042】
図5は、ユーザの操作方向に最も近い位置に表示されている装置特定情報22a〜22cを検出する処理の一例について説明する図である。例えば、ユーザがレコーダラベル22cからPCラベル22aに向けて弾く操作を行った場合、
図5に示すように、装置特定情報検出部17cは、レコーダラベル22cの中心点を始点として、ユーザが弾いた方向に伸びる半直線に対して、PCラベル22a、TVラベル22b、本機ラベル22cの中心から下ろす垂線の長さが最小となる装置特定情報(
図5の例では、PCラベル22a)を、データ送信先装置の装置特定情報として特定する。なお、上記半直線に垂線を下ろせない装置特定情報については、装置特定情報の特定対象から除外される。
【0043】
図4の説明に戻ると、転送データ特定部17dは、データ送信元装置が複数のコンテンツを保有する場合に、転送するデータを特定するための処理を行う処理部である。例えば、
図2で示すタッチ操作では、TVラベル22bが弾かれたため、TV31で視聴しているコンテンツが転送対象のデータとなるが、レコーダラベル22cが弾かれた場合は、レコーダに保存されている複数のデータの中から、転送すべきデータを特定する必要がある。このように、転送データ特定部17dは、装置特定情報検出部17cによって特定されたデータ送信元装置が転送可能な複数のデータを保有する場合に、タッチパネル画面20に複数のデータを選択可能にリスト表示させ、ユーザが選定したデータを転送データとして特定している。
【0044】
ここで、装置特定情報検出部17cが特定したデータ送信元装置が転送可能な複数のデータを保有するか否かは、予め、携帯端末10が各データ送受信装置と通信を行うことによって取得しておき、記憶部16に保存しておいてもよく、あるいは、データ送信元装置が特定された際に、特定されたデータ送信元装置から転送可能なデータを取得するようにしてもよい。この処理の具体例については後述する。
【0045】
データ送受信制御部17eは、ネットワーク通信部15が他の装置との間で行うデータの送受信を制御する処理部である。例えば、データ送受信制御部17eは、ネットワーク通信部15に対して、装置特定情報検出部17cにより特定したデータ送信元装置およびデータ送信先装置との間で通信を確立し、データ送信元装置からデータ送信先装置に対して送信対象となるデータを送信するよう要求する処理を行う。なお、装置特定情報は、データ送信元装置及びデータ送信先装置を特定するID情報に対応付けがなされているものとする。
【0046】
次に、本発明の第1の実施形態に係るデータ送信操作機器における処理手順について説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態に係るデータ送信操作機器における処理手順の概略を示すフローチャートである。ここでは、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置に送信対象となる1つのデータが保有されている場合について説明する。したがって、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置がデータ送信元装置となる。なお、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置に送信対象となるデータが保有されていない場合は、送信対象となるデータを保有している装置が、実際のデータ送信元装置として特定される。また、ユーザの装置特定情報に対するタッチ操作は装置特定情報を弾く操作であるものとする。
【0047】
まず、携帯端末10の表示制御部17bは、記憶部16から、データの送受信対象となる装置を示す装置特定情報22a〜22dの表示位置の情報を登録した表示位置情報16bを読み出す(ステップS101)。そして、表示制御部17bは、表示部11aを制御して、表示位置情報16bに登録されている表示位置に装置特定情報22a〜22dを表示させる(ステップS102)。
【0048】
なお、ここでは、表示位置情報16bに装置特定情報22a〜22dの表示位置の情報が登録されていることとしたが、
図1に示した表示画面を表示するようにユーザから指示を受け付けた場合に、ネットワーク通信部15がPC30やTV31、レコーダ32などの装置との間で通信を行ってデータの送信先となり得る装置を検出し、表示制御部17bが、検出した装置に対応する装置特定情報22a〜22cの表示間隔を調整した上で、装置特定情報22a〜22cをタッチパネル画面20に表示させることとしてもよい。携帯端末10の装置特定情報である本機ラベル22dは、先述したように、タッチパネル画面20のユーザ側に近い位置、すなわち、
図1の状態では、中央下部に表示すればよい。
【0049】
次に、装置特定情報検出部17cは、タッチセンサ部11bから情報を取得して、ユーザがタッチ操作により装置特定情報22a〜22dを弾いたか否かを判定する(ステップS103)。ユーザが装置特定情報を弾く操作をしていない場合(ステップS103においてNOの場合)、装置特定情報検出部17cは、ユーザが装置特定情報22a〜22dを弾くまでステップS103の判定処理を繰り返す。
【0050】
ユーザが装置特定情報22a〜22dの一つに対して弾く操作をした場合(ステップS103においてYESの場合)、装置特定情報検出部17cは、タッチセンサ部11bから情報を取得して、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置をデータ送信元装置として特定する(ステップS104)。
【0051】
また、装置特定情報検出部17cは、ユーザが装置特定情報を弾いた方向を検出する(ステップS105)。続いて、装置特定情報検出部17cは、検出した方向に最も近い位置に表示された装置特定情報22a〜22dを検出する(ステップS106)。そして、装置特定情報検出部17cは、装置特定情報22a〜22cの検出が成功したか否かを判定する(ステップS107)。装置特定情報22a〜22cの検出が成功しなかった場合(ステップS107においてNOの場合)、ステップS103に移行して、その後の処理が実行される。装置特定情報22a〜22cの検出が成功しなかった場合とは、例えば、
図2(A)において、TVラベル22bを画面の真上に弾いた場合などである。
【0052】
装置特定情報22a〜22dの検出が成功した場合(ステップS107においてYESの場合)、装置特定情報検出部17cは、検出した装置特定情報に対応する機器をデータ送信先機器として特定する(ステップS108)。
【0053】
次に、転送データ特定部17dは、転送すべき転送データを特定する(ステップS109)。この場合、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置に送信対象となる1つのデータが保有されているため、この保有されているデータが転送データとなる。
【0054】
データ送受信制御部17eは、ネットワーク通信部15に対して、特定したデータ送信元装置との間で通信を確立するよう要求し、データ送信元装置に対して、特定したデータ送信先装置に向けて送信対象の転送データを送信する指示を行う(ステップS110)。その際、携帯端末10はデータ送信先装置のIPアドレスなどの通信に必要なID情報を、データ送信元装置に対して通知する。
【0055】
その後、表示制御部17bは、表示部11aを制御して、ユーザが弾く操作を行った装置特定情報から弾いた方向に最も近い装置特定情報に向けて、送信対象の転送データのアイコン21が移動するアニメーションを表示し(ステップS111)、このデータ送信処理は終了する。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、タッチパネル画面20において、データ送受信装置が設置されている方向にデータ送受信装置の装置特定情報22a〜22cが表示される。
【0057】
図7は、本発明の第2の実施形態に係るデータ送信操作機器における装置特定情報の表示方法について説明する図である。
図7には、データを送信する携帯端末10と、携帯端末10の周辺にあるPC30、TV31、レコーダ32が示されている。
【0058】
図7の場合も、
図1の場合と同様、携帯端末10は、タッチパネル画面20に、データ送受信装置の装置特定情報として、PCラベル22a、TVラベル22b、レコーダラベル22
cを表示しているが、
図7の場合は
図1の場合と異なり、各装置特定情報22a〜22cの表示位置は、携帯端末10を操作するユーザから見て各装置特定情報22a〜22cが示すデータ送受信装置30〜32が設置されている方向に表示される。
【0059】
したがって、携帯端末10のデータ送受信装置30〜32に対する相対的な位置が変化すれば、タッチパネル画面20に表示される各装置特定情報22a〜22cの表示位置が変化することになる。その他の構成については第1の実施形態と同様である。なお、携帯端末10がデータ送受信装置となる場合は、本機ラベル22dを表示してもよく、この場合、本機ラベル22dはタッチパネル画面20のユーザに近い位置、すなわち、
図7の場合は、中央下部に表示される。また、第2の実施形態におけるデータの送信操作の処理は、第1の実施形態と同様である。
【0060】
次に、本発明の第2の実施形態に係るデータ送信操作機器の構成について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るデータ送信操作機器の構成の一例を示す図である。データ送信操作機器である携帯端末10は、タッチパネル部11、公衆回線通信用アンテナ12、公衆回線通信部13、ネットワーク通信用アンテナ14、ネットワーク通信部15、記憶部16、制御部17、状態検出部18、赤外線通信部19を備える。
【0061】
ここで、タッチパネル部11、公衆回線通信用アンテナ12、公衆回線通信部13、ネットワーク通信用アンテナ14、ネットワーク通信部15は、
図4で説明したタッチパネル部11、公衆回線通信用アンテナ12、公衆回線通信部13、ネットワーク通信用アンテナ14、ネットワーク通信部15と同様のものであるので、ここでは説明を省略する。
【0062】
記憶部16は、メモリやハードディスク装置などの記憶デバイスである。この記憶部16は、コンテンツデータ16a、送受信装置情報16cなどを記憶する。コンテンツデータ16aは、携帯端末10で視聴可能なデータである。送受信装置情報16cは、データの送受信対象となるデータ送信元装置あるいはデータ送信先装置の情報である。この送受信装置情報16cは、データ送受信装置が設置されている方向(例えば、携帯端末10から見て北西や東北東など)の情報などを含む。
【0063】
制御部17は、携帯端末10を全体的に制御するCPU(Central Processing Unit)などの制御デバイスである。この制御部17は、情報受付部17a、表示制御部17b、装置特定情報検出部17c、転送データ特定部17d、データ送受信制御部17e、方向判定部17fを備える。
【0064】
情報受付部17a、表示制御部17b、装置特定情報検出部17c、転送データ特定部17d、データ送受信制御部17eは、
図3で説明した情報受付部17a、表示制御部17b、装置特定情報検出部17c、転送データ特定部17d、データ送受信制御部17eと同様のものであるので、ここでは説明を省略する。
【0065】
方向判定部17fは、データの送受信対象となる各データ送受信装置が、画面20上のユーザに近い位置(本機ラベル22dの表示位置)からみて、どの方向にあるかを判定する処理部である。例えば、方向判定部17fは、ユーザが携帯端末10をある方向に向けた場合に、後に説明する赤外線通信部19が各装置により送信された指向性の赤外線信号を受信できたか否かを判定する。
【0066】
そして、方向判定部17fは、赤外線信号を受信できた場合に、その方向にデータの送信先の候補となるデータ送受信装置があると判定する。そして、方向判定部17fは、後に説明する状態検出部18からそのときの方向の情報(例えば、北西や東北東など)を取得し、取得した情報を記憶部16に送受信装置情報16cとして記憶する。ユーザは、携帯端末10をさまざまな方向に向け、データ送受信装置がある方向を状態検出部18に検出させる。
【0067】
図9は、データ送受信装置の方向検出の一例について説明する図である。
図9に示すように、TV31は、指向性の赤外線信号をさまざまな方向に照射する赤外線通信部33を備える。また、携帯端末10の赤外線通信部19は、例えば、携帯端末10の画面上部側のキャビネット側面に設けられ、タッチパネル画面20の上部側のキャビネット側面に垂直に入射する赤外線を検出する指向性のある通信部である。また、携帯端末10の状態検出部18は、赤外線通信部19が設けられたキャビネット側面が向いている方向を検出するものとする。
【0068】
なお、前記において、赤外線通信部19の設けられた携帯端末10のキャビネット側面とは、携帯端末10の操作部が設けられた側とは反対側の側面を指しているが、キャビネットの側面であればどの面であっても良いことは言うまでもない。
【0069】
また、
図9には、TV31の赤外線通信部33から照射された赤外線が、携帯端末10の赤外線通信部19に受信された状態が示されている。この場合、携帯端末10の状態検出部18は、タッチパネル画面20の操作部と反対側のキャビネット側面が向いている方向を「北西」と検出する。
【0070】
そして、状態検出部18は、検出した「北西」という方向の情報をTV31が設置されている方向として、TV31を識別する識別情報とともに、記憶部16に送受信装置情報16cとして記憶しておく。
【0071】
携帯端末10のタッチパネル画面20にTV31の装置特定情報であるTVラベル22bを表示する場合には、状態検出部18は、赤外線通信部19が向いている方向を再度検出する。そして、表示制御部17bは、TV31の方向の情報を含む送受信装置情報16cを読み出し、表示部11aを制御して、ユーザからみて「北西」の方向にTVラベル22bを表示させる。なお、送受信装置情報16cとして記憶された方向の情報は、TV31から照射された赤外線が新たに受信され、TV31の設置されている方向が検出されたときに更新される。
【0072】
このように、各データ送受信装置30〜32が設置されている方向を検出し、検出した方向に対応する方向に装置特定情報22a〜22cを表示することにより、携帯端末10が移動したり、各データ送受信装置30〜32の設置位置が変更された場合でも、装置特定情報22a〜22cを適切な位置に表示することができる。
【0073】
なお、同じ方向に設置されていると判定されたデータ送受信装置がある場合、方向判定部17fは、一旦判定した方向を所定の角度ずらす処理を行う。
図10は、データ送受信装置の判定方向をずらす処理について説明する図である。
【0074】
図10の例では、レコーダ32の上にTV31が設置されている。この場合、上述のようにして方向を検出すると、TV31とレコーダ32の方向が同じになり、タッチパネル画面20上にTVラベル22bとレコーダラベル22cを表示すると、TVラベル22bとレコーダラベル22cの表示が重なってしまう。これにより、TVラベル22b、レコーダラベル22c、本機ラベルの3つの装置特定情報が一直線上に並ぶこととなる。
【0075】
そのため、方向判定部17fは、TV31あるいはレコーダ32のいずれかについて判定した方向(
図10の場合は、TV31について判定した方向)を所定の角度θだけずらす処理を行う。そして、表示制御部17bが、表示部11aを制御して、タッチパネル画面20にTVラベル22bを表示させる場合には、
図10に示すように、所定の角度θだけずれた方向にTVラベル22bを表示させる。なお、いずれの場合にも、3つの装置特定情報が一直線上に並ばないように表示させる。
【0076】
状態検出部18は、携帯端末10の方向を検出する処理部である。状態検出部18は、方向検出部18aを備える。方向検出部18aは、電子コンパスなどの、携帯端末10が向いている方向を検出するセンサである。例えば、方向検出部18aは、携帯端末10の赤外線通信部19が設けられているキャビネット側面が向いている方向を検出する。
【0077】
赤外線通信部19は、データの送信先の候補となるデータ送受信装置との間で赤外線通信を行う処理部である。例えば、この赤外線通信部19は、指向性赤外線信号を発信する赤外線エミッタなどの赤外線通信部33を備えたPC30、TV31、レコーダ32などの装置と赤外線通信を行う。
【0078】
次に、本発明の第2の実施形態に係るデータ送信処理の処理手順について説明する。
図11は、本発明の第2の実施形態に係るデータ送信操作機器における処理手順の概略を示すフローチャートである。なお、ここでは、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置に送信対象となる1つのデータが保有されている場合について説明する。したがって、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置がデータ送信元装置となる。また、ユーザの装置特定情報に対するタッチ操作は装置特定情報を弾く操作であるものとする。
【0079】
まず、携帯端末10の方向判定部17fは、各データ送受信装置が設置されている方向を判定する(ステップS201)。具体的には、方向判定部17fは、各データ送受装置により送信された赤外線信号を赤外線通信部19が受信した際の携帯端末10の方向の情報を状態検出部18から取得し、その方向にデータ送受信装置が設置されていると判定する。
【0080】
その後、方向判定部17fは、同じ方向に設置されていると判定されたデータ送受信装置があるか否かを判定する(ステップS202)。同じ方向に設置されていると判定されたデータ送受信装置がない場合(ステップS202においてNOの場合)、表示制御部17bは、表示部11aを制御して、方向判定部17fにより判定された方向に対応するタッチパネル画面20上の位置に、データ送受信装置に対応する装置特定情報22a〜22cを表示させる(ステップS203)。
【0081】
同じ方向に設置されていると判定されたデータ送受信装置がある場合(ステップS202においてYESの場合)、方向判定部17fは、
図10に示したようにして、同じ方向に設置されていると判定された各データ送受信装置の方向がずれるようにデータ送受信装置の方向を所定の角度θだけずらす処理を行い(ステップS204)、ステップS203に進む。ステップS203に続くステップS205の処理は、
図6を用いて説明した第1の実施形態におけるステップS103〜ステップS111の処理Aと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0082】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、携帯端末10のタッチパネル画面20上に原点を有する3次元座標系において、データの送信対象となるデータ送受信装置の座標を算出し、その算出結果に基づいてタッチパネル画面20上にデータ送受信装置の装置特定情報22a〜22cを表示している。
【0083】
図12は、携帯端末10のタッチパネル画面20上に原点を有する3次元座標系の一例について説明する図である。
図12に示す3次元座標系では、携帯端末10のタッチパネル画面20の長辺と平行にx軸が設けられ、タッチパネル画面20の短辺と平行にy軸が設けられ、x軸およびy軸と直交する方向にz軸が設けられている。そして、x軸、y軸、z軸の原点は、タッチパネル画面20上に位置している。以下、この3次元座標系をローカル座標系と呼ぶ。
【0084】
携帯端末10は、このローカル座標系におけるデータ送受信装置(
図12の例では、PC30)の座標値(Q
x,Q
y,Q
z)を算出し、そのデータ送受信装置の装置特定情報であるPCラベル22aを、上記3次元座標系の原点からみてそのデータ送受信装置が設置されている方向に表示する。
【0085】
この場合、タッチパネル画面20は2次元平面であるため、携帯端末10は、例えば、座標値(Q
x,Q
y,0)に対応する位置にTVラベル22aを表示する。あるいは、携帯端末10は、タッチパネル画面20上の座標値(Q
x,Q
y,0)に対応する位置にTVラベル22aを表示するが、TVラベル22aの大きさをQ
zの値に基づいて変更して表示する(例えば、Q
zが大きいほど大きく表示する)こととしてもよい。また、本機ラベルを表示する場合は、座標値(0,0,0)に対応する位置に表示する。なお、本機ラベルをタッチパネル画面20の中央下部に表示する場合は、座標値(0,0,0)がタッチパネル画面20の中央下部となるようにすればよい。
【0086】
次に、本発明の第3の実施形態に係るデータ送信操作機器の構成について説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態に係るデータ送信操作機器の構成の一例を示す図である。データ送信操作機器である携帯端末10は、タッチパネル部11、公衆回線通信用アンテナ12、公衆回線通信部13、ネットワーク通信用アンテナ14、ネットワーク通信部15、記憶部16、制御部17、状態検出部18を備える。
【0087】
ここで、タッチパネル部11、公衆回線通信用アンテナ12、公衆回線通信部13、ネットワーク通信用アンテナ14、ネットワーク通信部15は、
図4で説明したタッチパネル部11、公衆回線通信用アンテナ12、公衆回線通信部13、ネットワーク通信用アンテナ14、ネットワーク通信部15と同様のものであるので、ここでは説明を省略する。
【0088】
記憶部16は、メモリやハードディスク装置などの記憶デバイスである。この記憶部16は、コンテンツデータ16a、送受信装置情報16c、自装置位置情報16d、自装置傾き情報16e、自装置方向情報16fなどを記憶する。
【0089】
コンテンツデータ16aは、携帯端末10で視聴可能なデータである。送受信装置情報16cは、データの送受信対象となるデータ送受信装置の情報である。この送受信装置情報16cは、データ送受信装置が設置されている現在位置の情報などを含む。この現在位置の情報は、後に説明するワールド座標系におけるデータ送受信装置の座標値の情報である。
【0090】
自装置位置情報16dは、後に説明する位置検出部18bにより検出された携帯端末10の現在位置の情報である。この現在位置の情報は、後に説明するワールド座標系における携帯端末10の座標値の情報である。自装置傾き情報16eは、後に説明する傾き検出部18cにより検出された携帯端末10の傾きの情報である。自装置方向情報16fは、方向検出部18aにより検出された携帯端末10の方向の情報である。
【0091】
制御部17は、携帯端末10を全体的に制御するCPU(Central Processing Unit)などの制御デバイスである。この制御部17は、情報受付部17a、表示制御部17b、装置特定情報検出部17c、転送データ特定部17d、データ送受信制御部17e、方向判定部17fを備える。
【0092】
情報受付部17aは、ユーザがタッチパネル部11を介して入力した情報を受け付ける処理部である。例えば、情報受付部17aは、データの送受信対象となるデータ送受信装置の位置情報(ワールド座標系における携帯端末10の現在の座標値の情報)の登録をユーザから受け付ける。
【0093】
図14は、データ送受信装置の位置情報の登録の一例について説明する図である。
図14に示すように、ユーザが機器の名称とIPアドレスとを入力し、データ送受信装置が設置されている位置において登録ボタンをタッチすると、携帯端末10の位置検出部18bは、携帯端末10の現在位置(ワールド座標系における携帯端末10の現在の座標値の情報)を検出する。
【0094】
ここで、機器名称は、例えば、
図12に示したPCラベル22aのように、PCラベル22aにおいてデータ送受信装置を特定する表示名(ここでは「PC」)として用いられるものである。また、IPアドレスは、データの送信対象となる装置を識別するためのID情報となるものである。また、データ送受信装置の現在位置は、データ送受信装置の設置されている位置(ワールド座標系におけるデータ送受信装置の現在の座標値の情報)に相当する。情報受付部17aは、この現在位置を機器の名称およびIPアドレスと対応付けて、記憶部16に送受信装置情報16cとして記憶させる。なお、IPアドレスの代わりに、MACアドレスや、ネットワーク上でデバイスを識別するために用いられるデバイス名などを上記ID情報として用いることとしてもよい。
【0095】
このように、各データ送受信装置が設置されている方向の情報(ワールド座標系における各データ送受信装置の座標値の情報)の登録をユーザから受け付け、その方向の情報に基づいて、装置特定情報22a〜22cを表示することとしたので、携帯端末10は複雑な処理を行うことなく、各データ送受信装置が設置されている方向を容易に特定できる。
【0096】
表示制御部17b、装置特定情報検出部17c、データ送受信制御部17eは、
図4で説明した表示制御部17b、装置特定情報検出部17c、データ送受信制御部17eと同様のものであるので、ここでは説明を省略する。
【0097】
方向判定部17fは、データの送受信対象となるデータ送受信装置が、
図12に示したローカル座標系の原点oからみて、どの方向にあるかを判定する処理部である。例えば、方向判定部17fは、
図12に示したローカル座標系と、以下に説明するワールド座標系とを用いて、上記方向の判定を行う。
【0098】
図15は、ワールド座標系の一例について説明する図である。ワールド座標系は、携帯端末10や、データの送受信対象となる装置(
図15の例では、PC30)が設置されている3次元空間に設定され、原点Oにおいて互いに直交するX軸、Y軸、Z軸により構成される3次元座標系である。
【0099】
方向判定部17fは、まず、ワールド座標系における携帯端末10、および、データの送受信対象となるデータ送受信装置の位置の座標を検出する。
図16は、ワールド座標系における位置座標の検出について説明する図である。
【0100】
図16に示すように、携帯端末10、および、データ送受信装置(
図16の例では、PC30)の位置は、ワールド座標系における座標値で特定することができる。
【0101】
この場合、方向判定部17fは、記憶部16に記憶されている送受信装置情報16cを読み出して、ワールド座標系におけるデータ送受信装置の現在位置の座標を検出する。また、方向判定部17fは、記憶部16に記憶されている自装置位置情報16dを読み出して、ワールド座標系における携帯端末10の現在位置の座標を検出する。
【0102】
そして、方向判定部17fは、携帯端末10の現在位置を基準としたデータ送受信装置の相対位置の座標を算出する。
図17は、相対位置の座標の算出方法の一例について説明する図である。
【0103】
ここで、ワールド座標系における携帯端末10の座標を(S
X,S
Y,S
Z)とし、ワールド座標系におけるデータ送受信装置(
図17の例では、PC30)の座標を(D
X,D
Y,D
Z)とする。この場合、方向判定部17fは、データ送受信装置の相対位置の座標(P
X,P
Y,P
Z)を、
(P
X,P
Y,P
Z)=(D
X−S
X,D
Y−S
Y,D
Z−S
Z)
により算出する。
【0104】
その後、方向判定部17fは、ワールド座標系におけるデータ送受信装置の相対位置の座標(P
X,P
Y,P
Z)をローカル座標系における座標に変換する。
図18は、ワールド座標系とローカル座標系との間の関係について説明する図である。
【0105】
図18において、x軸、y軸、z軸は、ローカル座標系を構成する直交軸であり、点oは、ローカル座標系の原点である。そして、点o’は、点oをワールド座標系のXY平面に垂直投影した点である。また、ベクトルox、oy、ozは、点oを始点とし、それぞれローカル座標系のx軸、y軸、z軸の正方向上に終点がある任意のベクトルである。ベクトルo’x’、o’y’、o’z’は、ベクトルox、oy、ozをワールド座標系のXY平面に垂直投影したベクトルである。さらに、ベクトルo’x”、o’y”、o’z”は、それぞれベクトルox、oy、ozと平行で、点o’を通るベクトルである。
【0106】
図18では、ベクトルo’x’とベクトルo’x”、ベクトルo’y’とベクトルo’y”、ベクトルo’z’とo’z”がなす角はそれぞれθ
x,θ
y,θ
zと表されている。これらの角度θ
x,θ
y,θ
zは、
図13に示した携帯端末10の傾き検出部18cにより検出される角度である。
【0107】
ベクトルoyがXY平面に垂直でない場合、ベクトルo’y’は零ベクトルにはならず、一定の長さを有する。ここで、
図18に示すように、ベクトルo’y’とワールド座標系のY軸とが平行である場合を考えると、ローカル座標系のy軸方向の単位ベクトルe
yは、
【数1】
と表される。
【0108】
また、ローカル座標系のx軸方向の単位ベクトルe
xを、
【数2】
とすると、e
xは単位ベクトルであるので、
【数3】
を満足する。
【0109】
また、e
xとe
yとは直交するので、
【数4】
となる。
【0110】
そして、(式3)と(式4)とからe
xは、
【数5】
または、
【数6】
となる。ここで、e
xのx成分の符号は、ローカル座標系が右手系か左手系かに依存する。
【0111】
ここで、携帯端末10のタッチパネル画面20の上方向が、真北に対して何度回転しているかは、後に説明する方向検出部18aにより検出される。
図19は、真北からの回転角度について説明する図である。
【0112】
図19に示すワールド座標系において、Y軸の正方向が真北の方向に一致するものとする。この場合、ワールド座標系におけるY軸と、ローカル座標系のy軸の正方向をワールド座標系のXY平面に垂直投影したベクトルとのなす角θ
Nが、方向検出部18aにより検出される角度となる。
【0113】
ローカル座標系のx軸、y軸方向の単位ベクトルe
x’、e
y’は、(式5)または(式6)、(式1)の単位ベクトルe
x、e
yを、ワールド座標系のZ軸と平行な軸の周りにθ
Nだけ回転させたベクトルとなる。よって、単位ベクトルe
x’、e
y’は、Z軸周りの回転行列
【数7】
を用いて、
【数8】
【数9】
と表される。
【0114】
また、ローカル座標系のz軸方向の単位ベクトルe
z’は、e
x’とe
y’の外積から、以下のように求めることができる。
【数10】
【0115】
このようにして求めた単位ベクトルe
x’、e
y’、e
z’を用いると、データ送受信装置の相対位置の座標(P
X,P
Y,P
Z)を、ローカル座標系の座標(Q
X,Q
Y,Q
Z)に変換することができる。具体的には、方向判定部17fは、座標(P
X,P
Y,P
Z)と各単位ベクトルe
x’、e
y’、e
z’との内積から、Q
X、Q
Y、Q
Zを以下のようにして算出する。
【数11】
【数12】
【数13】
【0116】
なお、e
yがXY平面に対して完全に垂直となっている場合、すなわち、cosθ
y=0の場合、x軸、y軸、z軸と、x’軸、y’軸、z’軸との間の位置関係は、
図20のようになる。
図20は、cosθ
y=0の場合のx軸、y軸、z軸と、x’軸、y’軸、z’軸との間の位置関係を示す図である。
【0117】
この場合、ローカル座標系のy軸方向の単位ベクトルe
yは、
【数14】
、または、
【数15】
となる。
【0118】
また、x軸方向の単位ベクトルe
xは、
【数16】
、但し、α
2+β
2=1と表すことができる。
【0119】
αおよびβの具体的な値を算出するためには、
図19で説明した場合と同様に、e
xおよびe
yが、ワールド座標系のZ軸の周りにどれだけ回転しているかを調べる必要がある。しかし、この状況では、ベクトルo’y’は零ベクトルとなっているため、o’y’と他の任意のベクトルとがなす角を定義することはできない。
【0120】
そのため、ここでは、
図19において、ベクトルo’y’とワールド座標系のY軸とがなす角θ
Nを計測したセンサとは異なり、方向検出部18aは、
図20に示すように、ベクトルo’x’とワールド座標系のX軸とがなす角θ
N’を計測する。
【0121】
これにより、e
xは、
【数17】
と表される。
【0122】
また、e
zは、
【数18】
または、
【数19】
と表される。ここで、e
zがどちらの値になるかは、ローカル座標系が右手系か左手系かに依存する。
【0123】
このようにして求めた単位ベクトルe
x、e
y、e
zを用いると、データ送受信装置の相対位置の座標(P
X,P
Y,P
Z)を、ローカル座標系の座標(Q
X,Q
Y,Q
Z)に変換することができる。具体的には、方向判定部17fは、座標(P
X,P
Y,P
Z)と各単位ベクトルe
x、e
y、e
zとの内積から、Q
X、Q
Y、Q
Zを以下のようにして算出する。
【数20】
【数21】
【数22】
【0124】
携帯端末10の方向検出部18aが、角θ
N’を計測する能力を備えていない場合、αおよびβの具体的な値を算出することはできないが、実際の使用において、e
yがXY平面に対して完全に垂直となっている状況が長時間継続することは稀であるため大きな問題とはならない。
【0125】
上述したようにして算出された座標値(Q
x,Q
y,Q
z)を用いて、表示制御部17bは、表示部11aを制御し、データ送受信装置の装置特定情報22a〜22cをタッチパネル画面20上に表示する。
【0126】
例えば、表示制御部17bは、
図12に示したように、タッチパネル画面20上の座標値(Q
x,Q
y,0)にTVラベル22aを表示する。あるいは、表示制御部17bは、タッチパネル画面20上の座標値(Q
x,Q
y,0)にTVラベル22aを表示するが、TVラベル22aの大きさをQ
zの値に基づいて変更して表示することとしてもよい(例えば、Q
zが大きいほど大きく表示する)。
【0127】
このように、データ送受信装置が設置されている位置の情報と、方向検出部18a、位置検出部18b、傾き検出部18cが検出した携帯端末10の方向、位置、傾きの情報に基づいて、各データ送受信装置が設置されている方向を判定することにより、ユーザが携帯端末10をどのような方向に向けていても、データ送受信装置のある方向に装置特定情報22aを表示できるようになる。そのため、例えば、ユーザが横になって携帯端末10を操作したとしても、ユーザは直観的な操作でデータ送信を実行することができる。なお、傾き検出部18cは必ずしも携帯端末10に備える必要はなく、携帯端末10の傾きを「鉛直上方向45度」などと固定することとしてもよい。
【0128】
図13の説明に戻ると、状態検出部18は、位置や傾き、方向などの携帯端末10の状態を検出する処理部である。状態検出部18は、方向検出部18a、位置検出部18b、傾き検出部18cを備える。
【0129】
方向検出部18aは、電子コンパスなどの、携帯端末10が向いている方向を検出するセンサである。例えば、この方向検出部18aは、タッチパネル画面20の上方向が、真北に対して何度回転しているかを検出する。
【0130】
位置検出部18bは、携帯端末10の位置を検出する処理部である。この位置検出部18bは、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機により構成され、GPS衛星からの信号を受信して携帯端末10の現在位置を検出する。また、位置検出部18bは、通話、通信に利用する複数の基地局により出力された電波の到達時間差から携帯端末10の現在位置を検出し、GPS衛星からの信号により検出された現在位置を補正することとしてもよい。
【0131】
また、位置検出部18bは、位置情報サーバ装置(図示せず)から位置情報を取得して、携帯端末10の現在位置を検出してもよい。この場合、携帯端末10がある領域には、携帯端末10から送信される電波を受信する複数の無線LANアクセスポイントが設置されているものとする。そして、各無線LANアクセスポイントは、携帯端末10から電波を受信した場合に、電波を受信した時刻の情報を位置情報サーバ装置に送信する。
【0132】
この情報を受信した位置情報サーバ装置は、受信した時刻の時間差を用いて、携帯端末10の現在位置を算出し、その算出結果を携帯端末10に送信する。携帯端末10の位置検出部18bは、この算出結果を受信して、携帯端末10の現在位置を検出する。
【0133】
傾き検出部18cは、ジャイロセンサなどの、携帯端末10の傾きを検出するセンサである。この傾き検出部18cは、
図18に示した角度θ
x,θ
y,θ
zを検出する。
【0134】
次に、本発明の第3の実施形態に係るデータ送信処理の処理手順について説明する。
図21は、本発明の第3の実施形態に係るデータ送信操作機器における処理手順の概略を示すフローチャートである。なお、ここでは、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置に送信対象となる1つのデータが保有されている場合について説明する。したがって、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置がデータ送信元装置となる。また、ユーザの装置特定情報に対するタッチ操作は装置特定情報を弾く操作であるものとする。
【0135】
まず、携帯端末10の方向判定部17fは、各データ送受信装置の位置情報を、記憶部16の送受信装置情報16cから読み出す(ステップS301)。さらに、方向判定部17fは、携帯端末10の位置、傾き、方向の情報を、それぞれ記憶部16の自装置位置情報16d、自装置傾き情報16e、自装置方向情報16fから読み出す(ステップS302)。
【0136】
その後、方向判定部17fは、(式1)〜(式13)、または、(式14)〜(式22)を用いて、携帯端末10と各データ送受信装置との間の相対的な位置関係(Q
x,Q
y,Q
z)を算出する(ステップS303)。そして、方向判定部17fは、同じ方向に設置されていると判定されたデータ送受信装置があるか否かを判定する(ステップS304)。
【0137】
同じ方向に設置されていると判定されたデータ送受信装置がない場合(ステップS304においてNOの場合)、表示制御部17bは、表示部11aを制御して、方向判定部17fにより判定された方向に対応するタッチパネル画面20上の位置に、各データ送受信装置に対応する装置特定情報22a〜22cを表示させる(ステップS305)。
【0138】
例えば、表示制御部17bは、
図12に示したように、タッチパネル画面20上の座標値(Q
x,Q
y,0)に装置特定情報22aを表示する。あるいは、表示制御部17bは、タッチパネル画面20上の座標値(Q
x,Q
y,0)に対応する位置に装置特定情報22aを表示するが、装置特定情報22aの大きさをQ
zの値に基づいて変更して表示することとしてもよい(例えば、Q
zが大きいほど大きく表示する)。
【0139】
ステップS304において、同じ方向に設置されていると判定されたデータ送受信装置がある場合(ステップS304においてYESの場合)、方向判定部17fは、
図10に示したようにして、同じ方向に設置されていると判定された各データ送受信装置の方向がずれるようにデータ送受信装置の方向を所定の角度θだけずらす処理を行い(ステップS306)、ステップS305に進む。ステップS305に続くステップS307の処理は、
図6を用いて説明した第1の実施形態におけるステップS103〜ステップS111の処理Aと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0140】
以上、データ送受信装置の装置特定情報をタッチパネル画面に表示する際に、データ送受信装置が設置されている方向に対応させて装置特定情報を表示する場合の第2、3の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。
【0141】
例えば、第2の実施形態では、指向性の赤外線信号を用いてデータの送信対象となるデータ送受信装置の位置を検出し、第3の実施形態では、データ送受信装置が設置されている位置において、携帯端末10の位置検出部18bが携帯端末10の現在位置を検出することにより、データ送受信装置の位置を検出することとしたが、位置の検出方法はこれに限定されるものではない。
【0142】
図22は、位置情報の入力の他の方法について説明する図である。この場合の携帯端末10の構成は、例えば、
図4に示したものと同様である。ただし、携帯端末10の情報受付部17aは、
図22に示すように、ユーザが普段携帯端末10を使用する位置で、携帯端末10を保持した場合に、データ送受信装置が設置されている位置の入力をタッチパネル画面20上でユーザから受け付ける。
【0143】
具体的には、情報受付部17aは、上記位置のユーザによる入力をタッチパネル部11を介して受け付け、その位置に対応するタッチパネル画面20上の座標の情報を、記憶部16に表示位置情報16bとして記憶する。そして、表示制御部20bは、記憶部16から表示位置情報16bを読み出し、表示部11aを制御して、表示位置情報16bに登録された座標により特定される位置に、データ送受信装置を示す装置特定情報22a〜22cを表示させる。
【0144】
これにより、携帯端末10が自装置の位置を検出する処理部を有しない場合や、位置を検出する処理部を有してはいるがその検出精度が低い場合などであっても、携帯端末10は、データ送受信装置が設置されている位置に対応するタッチパネル画面20上の位置に、装置特定情報22a〜22cを適切に表示することができる。
【0145】
また、携帯端末10がカメラを備えている場合は、データの送信対象となるデータ送受信装置をカメラで撮影することにより、データ送受信装置が設置されている位置を検出することとしてもよい。
【0146】
具体的には、携帯端末10は、撮影した画像に対する画像認識処理を実行して、データ送受信装置が写っている領域を抽出し、抽出した領域に含まれる位置に対応するタッチパネル画面20上の座標の情報を、記憶部16に表示位置情報16bとして記憶する。そして、表示制御部20bは、記憶部16から表示位置情報16bを読み出し、表示部11aを制御して、表示位置情報16bに登録された座標により特定される位置に、データ送受信装置を示す装置特定情報22a〜22cを表示させる。
【0147】
また、データ送受信装置がGPS受信機を備えている場合には、GPS衛星からGPS受信機が受信した信号に基づいて得られた位置座標の情報を、携帯端末10がデータ送受信装置から取得することにより、データ送受信装置の位置を検出することとしてもよい。
【0148】
具体的には、例えば、
図13に示す携帯端末10の情報受付部17aは、上記位置座標の情報をデータ送受信装置から受信する。そして、情報受付部17aは、GPS衛星を用いた位置検出用の座標系における位置座標(緯度、経度、高度)を、
図16に示したグローバル座標系における位置座標に変換し、変換後の位置座標を記憶部16に送受信装置情報16cとして記憶する。
【0149】
そして、方向判定部17fは、この位置座標を用いて、携帯端末10とデータ送受信装置との間の相対的な位置関係を算出する。さらに、表示制御部17bは、その算出結果を用い、表示部11aを制御して、タッチパネル画面20上に、データ送受信装置の装置特定情報22a〜22cを表示させる。
【0150】
また、監視カメラが設置されている場所においては、その監視カメラが各エリアを撮影した画像を解析することにより、携帯端末10やデータ送受信装置の位置を検出することとしてもよい。
【0151】
例えば、監視カメラに接続された画像解析システムが、監視カメラが各エリアを撮影した画像にデータ送受信装置の画像が含まれているか否かを画像解析により判定する。そして画像解析システムは、撮影した画像にデータ送受信装置の画像が含まれていると判定した場合に、そのエリアの位置座標の情報を携帯端末10に送信する。
【0152】
そして、例えば、
図13に示す携帯端末10の情報受付部17aは、受信した位置座標を記憶部16に送受信装置情報16cとして記憶する。そして、方向判定部17fは、この位置座標を用いて、携帯端末10とデータ送受信装置との間の相対的な位置関係を算出する。さらに、表示制御部17bは、その算出結果を用い、表示部11aを制御して、タッチパネル画面20上に、データ送受信装置の装置特定情報22a〜22cを表示させる。
【0153】
携帯端末10の現在位置についても同様に、上述したようにして画像解析システムから位置座標の情報を受信することにより、携帯端末10の現在位置を検出することとしてもよい。
【0154】
また、データの送信対象となるテレビ受像機などのデータ送受信装置がカメラを備えている場合には、そのカメラで撮影した画像を用いて携帯端末10の現在位置を検出することとしてもよい。例えば、データ送受信装置が備えているカメラが各エリアを撮影した画像に携帯端末10の画像が含まれているか否かを画像解析により判定する。そしてその装置は、撮影した画像に携帯端末10の画像が含まれていると判定した場合に、そのエリアの位置座標の情報を携帯端末10に送信する。
【0155】
そして、例えば、
図13に示す携帯端末10の情報受付部17aは、受信した位置座標を記憶部16に自装置位置情報16dとして記憶する。そして、方向判定部17fは、この位置座標を用いて、携帯端末10とデータ送受信装置との間の相対的な位置関係を算出する。
【0156】
上述の第1〜3の実施形態に関する説明では、タッチパネル画面20におけるデータ送受信装置の配置の処理の違いによって、携帯端末10の構成が異なる点を主として説明し、データ送信操作機器における処理手順については、概略として、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置に送信対象となる1つのデータが保有されているという前提を例に説明した。この場合、転送対象となる転送データは一義的に決まり、また、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置も一義的にデータ送信元装置となる。
【0157】
しかしながら、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置が、複数のコンテンツデータを保有していたり、あるいは、データを保有せずに他の装置からのコンテンツデータを単に再生している場合は、転送すべき転送データやデータ送信元装置を特定する必要が生じる。また、データ送信元装置やデータ送信先装置の電源が入っていない場合は、その対策も必要となる。以下、本発明におけるこれらの種々の処理の違いについて説明する。
【0158】
(第4の実施形態)
図23−1、
図23−2は、本発明の第4の実施形態に係るデータ送信操作機器における処理の一例を示す図である。例えば、TVラベル22bを弾く例では、装置特定情報を弾く操作は、再生中の番組を転送するという処理と対応しているため、送信するコンテンツを選択する必要はない。しかし、レコーダ内に録画された(再生中ではない)コンテンツを送信する場合は、レコーダ内の複数のコンテンツの中からユーザが送信したいものを選択する必要がある。
図23−1、
図23−2に示す処理の一例は、そのような場合のコンテンツの選択方法の一例である。なお、携帯端末10の構成は、先述した第1〜3の実施形態のいずれの構成でもよい。
【0159】
まず、
図23−1(A)で、ユーザがタッチパネル画面20に表示したレコーダラベル22cからPCラベル22aに向けて弾く動作をすると、
図23−1(B)で示すように、レコーダラベル22cの近くに、レコーダ32内のコンテンツのコンテンツリスト23が選択可能にリスト表示される。次に、
図23−1(C)で示すように、ユーザがコンテンツリスト23の中から、例えばタッチ操作によって一つを選択すると、
図23−2(D)に示すように、レコーダラベル22cの近くに選択されたコンテンツデータのアイコン21が表示されるとともに、選択されたコンテンツデータがレコーダ32からPC30に向けて転送開始される。そして、コンテンツデータの転送中は、
図23−2(E)で示すように、アイコン21がレコーダラベル22cからPCラベル22aに向かって飛んでいくアニメーションが表示される。
【0160】
(詳細フロー)
次に、本発明に係るデータ送信操作機器に係る処理手順について説明する。
図24−1、
図24−2は、本発明に係るデータ送信操作機器に係る処理手順の一例を示すフローチャートであり、上述したように、送信対象となる転送データやデータ送信元装置を特定する必要が生じる場合、あるいは、データ送信元装置やデータ送信先装置の電源が入っていない場合についての処理手順を含んでいる。したがって、第4の実施形態で説明したコンテンツの選択処理の処理手順も含まれる。なお、携帯端末10の構成は、先述した第1〜3の実施形態のいずれの構成でもよいが、第3の実施形態で説明した構成を例として説明する。
【0161】
まず、携帯端末10の方向判定部17fは、各データ送受信装置の位置情報を、記憶部16の送受信装置情報16cから読み出す(ステップS401)。さらに、方向判定部17fは、携帯端末10の位置、傾き、方向の情報を、それぞれ記憶部16の自装置位置情報16d、自装置傾き情報16e、自装置方向情報16fから読み出す(ステップS402)。
【0162】
次に、方向判定部17fは、(式1)〜(式13)、または、(式14)〜(式22)を用いて、携帯端末10と各データ送受信装置との間の相対的な位置関係(Qx,Qy,Qz)を算出する(ステップS403)。そして、表示制御部17bは、表示部11aを制御して、方向判定部17fにより判定された方向に対応するタッチパネル画面20上の位置に、各データ送受信装置に対応する装置特定情報22a〜22cを表示させる(ステップS404)。なお、図示していないが、データ送受信装置が同じ方向に設置されている場合は、各データ送受信装置の方向がずれるようにしてもよい。
【0163】
次に、携帯端末10自身の装置特定情報である本機ラベル22dをタッチパネル画面20の中央下部に表示する。この場合は、携帯端末10自身がデータ送受信装置としての機能を有する場合であって、本機ラベル22dを表示するか否かは、ユーザが予め設定できるようにしておくことが望ましい。
【0164】
次に、装置特定情報検出部17cは、タッチセンサ部11bから情報を取得して、ユーザがタッチ操作により装置特定情報22a〜22dを弾いたか否かを判定する(ステップS406)。ユーザが装置特定情報を弾く操作をしていない場合(ステップS406においてNOの場合)、装置特定情報検出部17cは、ユーザが装置特定情報を弾くまでステップS406の判定処理を繰り返す。
【0165】
ユーザが装置特定情報22a〜22dの一つに対して弾く操作をした場合(ステップS406においてYESの場合)、装置特定情報検出部17cは、タッチセンサ部11bから情報を取得して、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置の電源がONになっているかどうかを検出する。(ステップS407)。具体的には、携帯端末10から装置特定情報に対応する装置に対して通信を確立し、その装置の電源が入っているか否かを検出する。
【0166】
ステップS407で、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置の電源がONになっている場合(YESの場合)、ステップS408へ移り、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置が特定のコンテンツを表示(再生表示)中か否かを判定する。そして、表示中の場合(YESの場合)、ステップS409に移り、表示中のコンテンツが外部装置(レコーダ等)から受信しているコンテンツであるか否かを判定する。
【0167】
そして、ステップS409でNOの場合は、装置特定情報検出部17cはユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置をデータ送信元機器として特定するとともに(ステップS410)、転送データ特定部17dは、表示中のコンテンツのデータを転送データとして特定する(ステップS411)。ここで、ステップS410、ステップS411に至る場合は、例えば、TV31が保有するコンテンツを再生表示中に、ユーザがTVラベル22bを弾いた場合に相当し、この場合には、TV31がデータ送信元装置として特定される。ステップS411の処理後は、ステップS417に進む。
【0168】
また、ステップS409でYESの場合は、装置特定情報検出部17cは外部装置をデータ送信元機器として特定するとともに(ステップS412)、転送データ特定部17dは、表示中のコンテンツのデータを転送データとして特定する(ステップS413)。ここで、ステップS412、ステップS413に至る場合は、例えば、TV31がレコーダ32から受信したコンテンツを再生表示中に、ユーザがTVラベル22bを弾いた場合に相当し、この場合には、レコーダ32がデータ送信元装置として特定される。ステップS413の処理後は、ステップS417に進む。
【0169】
ステップS407で、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置の電源がONになっていない場合(NOの場合)、すなわち、電源がOFFになっている場合、ステップS414に移り、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置に対して電源ON命令を送信する。
【0170】
ここで、コンテンツデータの送受信処理を行うためには、データ送信元装置およびデータ送信先装置の双方の電源がONになっている必要があるが、携帯端末10上でユーザがコンテンツの送信操作を行った際には、これらの装置の電源がOFFになっている場合も考えられる。このような場合には、コンテンツの送信処理を行う前に各機器に対して電源をONにする命令を出すことによって送信処理を継続させることができる。
【0171】
電源ON命令の具体例としては、LAN上のコンピュータの電源操作を行う技術であるWake On LANのマジックパケットや、スマートフォンリモコン対応の機能として各社のTVに実装されているLAN経由の電源ON制御コマンドなどが利用できる。なお、マジックパケットによる電源ONのためにはMACアドレスを利用するため、データ送受信装置のMACアドレスを予め携帯端末10に登録しておく必要がある。更には、この電源ON命令の送信はコンテンツ送信に用いられる経路とは異なる経路を用いることも可能であり、例えば携帯端末10から赤外線リモコン信号でTV31の電源をONにした後に、LAN経由でデータ送信元装置からコンテンツデータを送信させることもできる。
【0172】
なお、電源ON命令によってデータ送受信装置の電源をONにするためには、データ送受信装置が、電源OFF状態ではあってもコマンドの待ち受けをしている必要がある。例えば、TV31であればスタンバイ状態でリモコン信号やLANからのコマンドを受け付けている状態、PC30であればWake On LANの待受けが有効になっている状態などである。このため、完全に電源が遮断された状態のデータ送受信装置に対しては、これら方法は利用できず、タッチパネル画面20に、例えば、「レコーダの電源を入れてください」といったメッセージを表示し、ユーザによる対応を促す必要がある。
【0173】
図24−1に戻り、ステップS414で電源ON命令を送信し、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置の電源がONになった場合、および、ステップS408でユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置が特定のコンテンツを表示中でない場合は、ステップS415に移り、装置特定情報検出部17cは、ユーザが弾いた装置特定情報に対応する装置をデータ送信元装置として特定する。
【0174】
ステップS415の後は、ステップS416に進み、転送データ特定部17dは、
図23−1(B)に示すように、ステップS415で特定されたデータ送信元装置内のコンテンツをユーザが選択可能にリスト表示し、ユーザが選択したコンテンツのデータを転送データとして特定する。ここで、リストに表示するコンテンツの情報は、予め携帯端末10が各データ送受信装置と通信を行うことによって取得し、記憶部16に保存しておいてもよく、あるいは、データ送信元装置が特定された際に、特定されたデータ送信元装置から取得するようにしてもよい。ステップS416の処理後は、ステップS417に進む。
【0175】
ステップS417では、装置特定情報検出部17cは、ユーザが装置特定情報を弾いた方向を検出し、検出した方向に最も近い位置に表示された装置特定情報を、データ送信先装置として特定する。次に、ステップS418に移り、データ送信先装置のID情報を用いて、データ送信先装置との通信を確立した後、装置特定情報検出部17cは、データ送信先装置の電源がONになっているかどうかを検出する。(ステップS419)。
【0176】
そして、電源がONになっている場合(ステップS419においてYESの場合)、ステップ421へ移り、電源がONになっていない場合(ステップS419においてNOの場合)、ステップS420で、データ送信先装置に対して電源ON命令を送信した後、ステップS421へ進む。
【0177】
ステップS421では、データ送信先装置において利用できるコンテンツ処理方法が複数存在するかどうかについて判定する。そして、複数存在する場合(ステップS421においてYESの場合)、コンテンツの処理方法をリスト表示し、どのように処理するのかをユーザに選択させる(ステップS423)。ここで、コンテンツデータの送信先装置によっては、受信したコンテンツデータに対して複数の処理方法が利用できる場合がある。例えば動画コンテンツをPC30に送信する場合は、すぐにその動画を再生する場合、ストレージ内に保存しておいて後で見る場合、あるいは、DLNAサーバソフトに登録してホームネットワーク内に配信する場合などの複数の処理方法が利用可能である。
【0178】
図25は、データ送信先装置での処理を選択するための選択画面の一例を示す図であり、タッチパネル画面20に利用可能な処理の処理リスト24を選択可能に提示するようにしている。データ送信先装置におけるコンテンツの処理方法の情報は、予め携帯端末10が各データ送受信装置から取得し、記憶部16に保存しておいてもよく、あるいは、データ送信先装置が特定された際に、特定されたデータ送信先装置から取得するようにしてもよい。なお、
図23−1、
図23−2で示した処理において、データ送信先装置におけるコンテンツの処理をユーザに選択させる場合は、送信するコンテンツを選択した直後の
図23−1(C)と
図23−2(D)との間で、
図25で示す画面を表示することになる。
【0179】
ステップS423の後は、ステップS424に移り、携帯端末10は、ユーザによって選択された処理方法をデータ送信先装置に通知する。ステップS422において利用可能なコンテンツの処理方法が複数ない場合(NOの場合)、および、ステップS424の後は、ステップS425に移る。
【0180】
ステップS425において、表示制御部17bは、表示部11aに対して、ユーザが弾いた装置特定情報の近辺にコンテンツのアイコン21を表示させ、その後、データ送受信制御部17eは、ネットワーク通信部15に対して、データ送信元装置との間で通信を確立するよう要求し、データ送信元装置に対して、転送するコンテンツデータの指定とデータ送信先装置のIDを送信し、データ送信元装置からデータ送信先装置に向けて転送データを送信する旨の指示を行う(ステップS426)。
【0181】
次に、携帯端末10は、データ送信元装置からコンテンツデータの送信が開始された旨の通知が来たかどうかを判定する(ステップS427)。コンテンツデータの送信が開始された旨の通知が来ない場合(ステップS427においてNOの場合)、通知が来るまで待つ。また、コンテンツデータの送信が開始された旨の通知が来た場合(ステップS427においてYESの場合)、コンテンツデータのアイコン21がデータ送信先装置の装置特定情報に向かって飛んでいくアニメーションを表示する(ステップS428)。
【0182】
アニメーション表示後は、データ送信元装置からコンテンツデータの送信完了の通知が来たかどうかを判定し(ステップS429)、通知が来ない場合(ステップS429においてNOの場合)、ステップS428に戻って通知が来るまで待つ。また、通知が来た場合(ステップS429においてYESの場合)、コンテンツデータのアイコン21がデータ送信先装置の装置特定情報に向かって飛んでいくアニメーションを終了し(ステップS430)、データ送信処理を終了する。
【0183】
(第5の実施形態)
先述した
図23−1、
図23−2に示した処理の例では、ユーザが装置特定情報を弾く操作によってデータ送信先装置を決定するとともに、弾く操作に対応させて送信するコンテンツデータを選択するようにしているが、先にコンテンツを選択した後、データ送信先装置を決定しても構わない。
図26−1、
図26−2は、本発明の第5の実施形態に係るデータ送信操作機器における処理の一例を示す図であり、転送するコンテンツを先に選択する場合の処理を説明するためのものである。
【0184】
まず、
図26−1(A)で、ユーザがタッチパネル画面20に表示したレコーダラベル22cにタッチすると、
図26−1(B)で示すように、レコーダラベル22cの近くに、レコーダ32内のコンテンツのコンテンツリスト23が選択可能にリスト表示される。次に、
図26−1(C)で示すように、ユーザがコンテンツリスト23の中から、例えばタッチ操作によって一つを選択すると、
図26−2(D)に示すように、レコーダラベル22cの近くあるいは重なる状態で、選択されたコンテンツデータのアイコン21が表示される。そして、
図26−2(E)で示すように、ユーザがレコーダラベル22cからPCラベル22aに向けて弾く動作をすると、選択されたコンテンツデータがレコーダ32からPC30に向けて転送されるとともに、コンテンツデータの転送中は、アイコン21がレコーダラベル22cからPCラベル22aに向かって飛んでいくアニメーションが表示される。
【0185】
なお、TV31がレコーダ32から受信したコンテンツデータを表示している場合に、ユーザがTVラベル22bをタッチした際は、TV31がコンテンツデータを保有していないが、コンテンツデータは特定できるため、コンテンツデータのアイコン21は、TVラベル22bの近くに表示すればよい。そして、ユーザがTVラベル22bからPCラベル22aに向けて弾く操作をした際に、アイコン21がレコーダラベル22cからPCラベル22aに向かって飛んでいくアニメーションを表示するようにしてもよい。この場合、実際のコンテンツデータは、レコーダ32からPC30に向けて送信される。
【0186】
また、
図26−1、
図26−2で示した処理において、
図25で示したようなデータ送信先装置における処理方法の選択を行う場合は、
図26−2(E)で示した弾く操作を行うまではデータ送信先装置であるPC30が特定できないため、
図26−2(E)の弾く動作の後で、
図25で示す画面を表示させ、さらに、ユーザが処理方法を選択した後、コンテンツデータのアイコン21がTVラベル22bからPCラベル22aに向かって飛んでいくアニメーションを表示することになる。
【0187】
(
参考例)
図27は、本発明の
参考例となるデータ送信操作機器における処理の一例を示
す図である。本
参考例では、データ送信操作機器である携帯端末10自身もデータ送受信装置となりうるものであり、
図27は、例えば、TV31で再生中のコンテンツを携帯端末10自身に転送したい場合の処理について説明するための図である。
【0188】
まず、TV31でコンテンツを再生表示中に、ユーザは、
図27(A)で示すように、データ転送処理時の初期画面を呼び出し、
図27(B)で示すように、TVラベル22bを本機ラベル22dに向けて弾く操作もしくはドラッグ操作を行うと、携帯端末10は、表示中のコンテンツデータをTV31が保有している場合はTV31に対して、また、表示中のコンテンツデータがレコーダ32から受信している場合はレコーダ32に対して、表示中のコンテンツデータを携帯端末10に転送する旨の指示を出す。そして、携帯端末10に対してデータが転送されてくると、
図27(B)で示すように、コンテンツデータのアイコン21がTVラベル22bから本機ラベル22dに向かって飛んでいくアニメーションを表示する。
【0189】
さらに、携帯端末10に対するコンテンツデータの転送が終了した際には、
図27(C)で示すように、携帯端末10におけるコンテンツデータに対する処理の内容を示す処理表示25を表示するようにしている。なお、携帯端末10におけるコンテンツデータの処理が複数選択可能な場合は、ユーザは予めコンテンツデータに対する処理を設定できるようにしておいてもよい。
【0190】
さて、これまでデータ送信操作機器およびデータ送信制御方法の実施形態を中心に説明を行ったが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、データ送信操作機器の機能を実現するためのコンピュータプログラムとしての形態、あるいは、当該コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体の形態として本発明が実施されることとしてもよい。
【0191】
ここで、記録媒体としては、ディスク系(例えば、磁気ディスク、光ディスク等)、カード系(例えば、メモリカード、光カード等)、半導体メモリ系(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、テープ系(例えば、磁気テープ、カセットテープ等)等、さまざまな形態のものを採用することができる。
【0192】
これら記録媒体に上記実施形態におけるデータ送信操作機器の機能を実現させるコンピュータプログラム、または、データ送信制御方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録して流通させることにより、コストの低廉化、及び可搬性や汎用性を向上させることができる。
【0193】
そして、コンピュータに上記記録媒体を装着し、コンピュータにより記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み出してメモリに格納し、コンピュータが備えるプロセッサ(CPU:Central Processing Unit、MPU:Micro Processing Unit)が当該コンピュータプログラムをメモリから読み出して実行することにより、本実施形態に係るデータ送信操作機器の機能を実現し、データ送信制御方法を実行することができる。