【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコネクタ構造は、(1)
矩形状の底壁、前記底壁の一辺にある前壁、及び対向する二辺にある側壁よりなる嵌合空間が形成されたベースハウジングを備える、配線基板に実装されるベースコネクタと、前記嵌合空間に嵌合される、
前記各壁に対応する下面、前面、及び側面を備えた箱状のソケットハウジングを備える、電線の端末に接続されるソケットコネクタと、からなり、前記ソケットコネクタと前記ベースコネクタとの嵌合は、前記ベースハウジングに対して前記ソケットハウジングを前記電線接続側の後方が下位になる
傾斜姿勢で嵌合が開始され水平姿勢で嵌合が完了する、コネクタ構造であって、前記ソケットハウジングは、前記側面の前記後方よりに
外方向に膨出する縦方向に延びる後縁を有する後ロック片と、反電線接続側の前方に
外方向に膨出する前ロック片を備え、前記ベースハウジングは、前記側壁
の内側に前記後ロック片に対応する位置に
縦方向に延びる後縁を有する陥没する後ロック案内と、前記前ロック片に対応する位置に
陥没する前ロック案内とを備え、前記後ロック片は先端から後方に延びる後ロック爪を備え、前記後ロック案内は下端近辺から後方に窪む
前記後ロック爪に対応する後ロック溝を備え、前記ソケットハウジングは、前記下面の前端に前記前後方向に直交する
幅方向に延びる平坦な突き当たり部を備え、前記ベースハウジングは、前記前壁上面に
前記傾斜姿勢で前記ソケットハウジングの突き当たり部に対応する位置に
上面が平坦な突き当り部を備え、
前記水平姿勢で前記ソケットハウジングの前記後ロック爪の後端から前記下面の前端までの距離が前記ベースハウジングの前記後ロック案内の前記後縁から前記前壁の後端までの距離よりも大きく、前記後ロック片の後縁から前記下面の前端までの距離が前記ベースハウジングの前記後ロック案内の前記後縁から前記前壁の後端までの距離よりも小さく、嵌合過程で前記後ロック爪が前記後ロック案内に係る前記傾斜姿勢の前期では、前記ソケットハウジングの突き当たり部が前記ベースハウジングの突き当たり部に当接する状態で、前記後ロック爪が前記後ロック溝に係る前記嵌合姿勢の後期では、前記ソケットハウジングが前記ベースハウジングに対して前記後方へずれる状態で前記当接状態が解消し、前記水平姿勢にいたるところに特徴を有するものである。
【0010】
この発明によれば、ソケットハウジングはベースハウジングに傾きを持って後方から嵌め込まれ、後方が深部に達したところで前方の突き当たり部同士が突き当たる。この突き当たりに抗して押圧すると正規嵌合状態に達する。このように嵌合過程で一旦力の溜め位置が備わるところが特徴である。これにより、この力の溜め位置から正規嵌合位置までの間は、ソケットハウジングをベースハウジングに押し進める力が自然に一気に発揮されることとなる。その結果、不完全な嵌合状態が防がれ正規嵌合状態で嵌り合うコネクタ構造が得られる。
【0012】
この発明によれば、ソケットハウジングはベースハウジングに傾きを持って後方から嵌め込まれ、後方が深部に達したところで前方の突き当たり部同士が突き当たる。この突き当たりに抗して押圧すると正規嵌合状態に達する。このように嵌合過程で一旦力の溜め位置が備わるところが特徴である。これにより、この力の溜め位置から正規嵌合位置までの間は、ソケットハウジングをベースハウジングに押し進める力が自然に一気に発揮されることとなる。その結果、不完全な嵌合状態が防がれ正規嵌合状態で嵌り合うコネクタ構造が得られる。
【0013】
さらに、この発明によれば、後方のロック構造だけでなく、前方のロック構造もハウジング側壁に備わり、シーソー構造のロックアーム式のようにその機能を発揮するためのス
ペースも多くを必要としない。これにより、嵩高くならない態様で不完全な嵌合状態が防がれ正規嵌合状態で嵌り合うコネクタ構造が得られる。
【0014】
また、この発明によれば、ロック片はハウジング側壁に備わるので、ロック片の先端に鉤状に備わるロック爪に係わる形状、大きさ等の制約も少なく、ロック爪の設計の自由度が高まる。これにより、ソケットハウジングがベースハウジングの底壁に形成された逃がし窓(開口部)によって生じるガタツキが抑制されるコネクタ構造が得られる。
【0016】
この発明によれば、突き当たり部は、ソケットハウジングおよびベースハウジングのそれぞれ前方に備わる。これにより、後方から嵌り合った双方ハウジングは、ソケットハウジングの厚み相当分だけ前方が浮いた状態で突き当たり部で当接する。すなわち、正規嵌合状態まで後一動作のところで一旦力の溜めがなされる。これにより、力は一気に押圧方向にかけられるので、不完全な嵌合状態が防がれ正規嵌合状態で嵌り合うコネクタ構造が得られる。
【0017】
突き当たり部は、嵌合過程の一時の取るべき状態のために必要なものであって、ソケットハウジングの後方への移動によって、突き当たり状態は解消されるものである。このように突き当たり状態は恒常的な状態ではなく、一時の仮の係合状態である。
突き当たり部は、ハウジングの一部に形成された構造であってよく、たとえば、ソケットハウジングの底面の前端縁に台座状のものが備わる態様であってよく、ベースハウジングの前壁の上端に台座状のものが備わる態様であってよい。
【0019】
この発明によれば、後ロック爪が後ロック溝に係合する態様でロック機構が作動する。このロックが係る段階で後ロック爪が後ロック溝に進入する。このときの動きをソケットコネクタ側から見ると、ソケットハウジングは後方に移動し、前方で接していた突き当て部同士は干渉(突き当たり状態)が解消され、ソケットハウジングの前方もベースハウジングの嵌合空間に沈み込む。このように一旦力を溜める動作を含む一連の嵌合動作がスムーズに行なわれるので、不完全な嵌合状態が防がれ正規嵌合状態で嵌り合うコネクタ構造が得られる。
【0020】
また、この発明によれば、後ロック爪の底面と後ロック溝の底面とが接するので、嵌合時ソケットハウジングがガタツクことのない態様で、不完全な嵌合状態が防がれ正規嵌合状態で嵌り合うコネクタ構造が得られる。
【0021】
好ましくは、本発明のコネクタ構造は、
(2)前記後ロック爪は後方へ延びる長さが、これに直交する幅方向の長さに比べて少なくとも2倍程度の大きさを有するところに特徴を有する
(1)記載のものである。
【0022】
この発明によれば、後ロック爪は幅に比べて2倍程度の長さを備えている。これにより、一層、嵌合時ソケットハウジングがガタツクことのない態様で、不完全な嵌合状態が防
がれ正規嵌合状態で嵌り合うコネクタ構造が得られる。
【0023】
好ましくは、本発明のコネクタ構造は、
(3)前記前ロック片は先端から後方に延びる前ロック爪を備え、前記前ロック案内は下端近辺から後方に窪む前ロック溝を備え、
前記水平姿勢で前記前ロック爪が前記前ロック溝に係合するところに特徴を有する前記
(1)又は(2)記載のものである。
【0024】
この発明によれば、前ロック片も前ロック爪を備え、前ロック案内も前ロック溝を備える。これにより、前ロック爪が前ロック溝に係るので、ソケットハウジング前方のロックも作動する。これにより、嵌合時ソケットハウジングがガタツクことのない態様で、不完全な嵌合状態が防がれ正規嵌合状態で嵌り合うコネクタ構造が得られる。
【0025】
本発明のコネクタの嵌合方法は、(4)
矩形状の底壁、前記底壁の一辺にある前壁、及び対向する二辺にある側壁よりなる嵌合空間が形成されたベースハウジングを備える、配線基板に実装されるベースコネクタと、前記嵌合空間に嵌合される、
前記各壁に対応する下面、前面、及び側面を備えた箱状のソケットハウジングを備える、電線の端末に接続されるソケットコネクタと、からなり、前記ソケットコネクタと前記ベースコネクタとの嵌合は、前記ベースハウジングに対して前記ソケットハウジングを前記電線接続側の後方が下位になる
傾斜姿勢で嵌合が開始され水平姿勢で嵌合が完了する、コネクタの嵌合方法であって、前記ソケットハウジングは、前記側面の前記後方よりに
外方向に膨出する縦方向に延びる後縁を有する後ロック片と、反電線接続側の前方に
外方向に膨出する前ロック片を備え、前記ベースハウジングは、前記側壁
の内側に前記後ロック片に対応する位置に
縦方向に延びる後縁を有する陥没する後ロック案内と、前記前ロック片に対応する位置に
陥没する前ロック案内とを備え、前記後ロック片は先端から後方に延びる後ロック爪を備え、前記後ロック案内は下端近辺から後方に窪む
前記後ロック爪に対応する後ロック溝を備え、前記ソケットハウジングは、前記下面の前端に前記前後方向に直交する
幅方向に延びる平坦な突き当たり部を備え、前記ベースハウジングは、前記前壁上面に
前記傾斜姿勢で前記ソケットハウジングの突き当たり部に対応する位置に
上面が平坦な突き当り部を備え、
前記水平姿勢で前記ソケットハウジングの前記後ロック爪の後端から前記下面の前端までの距離が前記ベースハウジングの前記後ロック案内の前記後縁から前記前壁の後端までの距離よりも大きく、前記後ロック片の後縁から前記下面の前端までの距離が前記ベースハウジングの前記後ロック案内の前記後縁から前記前壁の後端までの距離よりも小さく、嵌合過程で前記後ロック爪が前記後ロック案内に係る前記傾斜姿勢の前期では、前記ソケットハウジングの突き当たり部が前記ベースハウジングの突き当たり部に当接して、前記後ロック爪が前記後ロック溝に係る前記嵌合姿勢の後期では、前記ソケットハウジングが前記ベースハウジングに対して前記後方へ位置がずれて前記当接状態が解消して、前記後ロック爪が前記後ロック溝の位置にある前記水平姿勢にいたるところに特徴を有する方法である。
【0026】
この発明によれば、ソケットコネクタとベースコネクタとの嵌合は、嵌合初期段階、ソケットハウジングと、ベースハウジングとが反電線接続側で突き当たる嵌合中期段階、およびソケットハウジングと、ベースハウジングとが正規嵌合位置で嵌り合う嵌合後期段階を含む。これにより、不完全な嵌合状態が防がれ正規嵌合状態で嵌り合うコネクタ構造が得られる。