特許第6012112号(P6012112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012112薬物により誘発される耳毒性の予防又は回復
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012112
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】薬物により誘発される耳毒性の予防又は回復
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/573 20060101AFI20161011BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20161011BHJP
   A61K 47/34 20060101ALI20161011BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A61K31/573ZMD
   A61K9/10
   A61K47/34
   A61P27/16
【請求項の数】11
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2013-554618(P2013-554618)
(86)(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公表番号】特表2014-513054(P2014-513054A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】US2012025511
(87)【国際公開番号】WO2012112810
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】61/444,413
(32)【優先日】2011年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/514,272
(32)【優先日】2011年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510278025
【氏名又は名称】オトノミ―,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ピウ,ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】イエ,チャン
(72)【発明者】
【氏名】デラメリー,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】レベル,カール
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/139924(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0007871(US,A1)
【文献】 Otology & Neurotology,2008年,Vol.29, No.7,p.1005-1011
【文献】 Medical Oncology,2010年,Vol.28, No.2,p.615-621
【文献】 Hearing Research,2002年,Vol.167,p.61-70
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00−72
A61K 47/00−48
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物であって、該医薬組成物は、6重量%の微粉化されたデキサメタゾン、15%−18%の間のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのトリブロックコポリマー、及び水を含み、ここで、医薬組成物は、薬物を用いる治療の開始の前に中耳内に投与され、ここで組成物は、単一投与の後少なくとも5日間、耳の中へのデキサメタゾンの徐放を提供することを特徴とする、医薬組成物。
【請求項2】
薬物により誘発される耳毒性は、聴力損失であることを特徴とする、請求項1に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【請求項3】
薬物により誘発される耳毒性は、化学療法により誘発される耳毒性であることを特徴とする、請求項2に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【請求項4】
耳毒性を誘発する化学療法薬剤は、白金ベースの化学療法薬剤、ビス白金酸塩、ビンクリスチン、アミノグリコシド抗生物質、マクロライド抗生物質、利尿薬、又はサリチル酸塩であることを特徴とする、請求項3に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【請求項5】
白金ベースの化学療法薬剤は、シスプラチン、カルボプラチン、又はオキシプラチンであることを特徴とする、請求項4に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【請求項6】
ビス白金酸塩は、CT−47613又はCT−47609であることを特徴とする、請求項4に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【請求項7】
耳毒性を誘発する化学療法薬剤は、ビンクリスチンであることを特徴とする、請求項4に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【請求項8】
アミノグリコシド抗生物質は、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、アミカシン、又はネオマイシンであることを特徴とする、請求項4に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【請求項9】
マクロライド抗生物質は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、又はクリンダマイシンであることを特徴とする、請求項4に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物は、熱可逆性ゲルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【請求項11】
熱可逆性ゲルは、約15℃と約42℃の間のゲル化温度を有することを特徴とする、請求項10に記載の薬物により誘発される耳毒性の予防ために使用される医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連技術>
この出願は、2011年2月18日に出願された、米国仮特許出願第61/444,413号の利益;及び2011年8月2日に出願された、米国仮特許出願第61/514,272号の利益を主張するものであり、それぞれの出願は、引用によってその全体に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
幾つかの治療薬剤は、耳毒性を引き起こす。内耳への損傷は、蝸牛有毛細胞、血管条及び/又は螺旋神経節の細胞の損失をもたらし、その結果、聴力損失に至る。
【発明の概要】
【0003】
薬物により誘発される耳毒性を予防し、及び/又は薬物により誘発される耳毒性による聴力損失を回復に向かわせる(reversing)ための組成物及び方法が、本明細書中に提供される。耳毒性は、多くの場合、特定の治療レジメン(例えば、化学療法、アミノグリコシド抗生物質、サリチル酸塩などの使用)の副作用である。幾つかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、さもなければ、聴力損失の副作用を引き起こし、及び/又は耳毒性により中止されるであろう、薬剤の継続的な使用を可能にする。耳毒性が薬物(例えば、化学療法薬剤、アミノグリコシド抗生物質など)のための用量制限である場合に、本明細書中に提供される方法は、薬物により誘発される耳毒性の副作用の発症を予防し、それにより、耳毒性薬物による治療を行っている患者のために、薬のより高用量の使用を可能にし、及び/又はよりよい治療結果をもたらす。他の幾つかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、以前の耳毒性薬物のレジメンに関連する聴力損失を回復し及び/又は回復に向かわせる(reversing)ことを意図し、耳毒性を誘発する薬物を用いた治療を既に行った患者における聴力の回復を可能にする。
【0004】
1つの態様において、個体における薬物により誘発される耳毒性の予防ための方法が本明細書に提供され、該方法は、多粒子のコルチコステロイドを含む医薬組成物の、それを必要としている個体への鼓室内投与を含み、ここで、医薬組成物は、薬物を用いる治療の開始の前に投与され、ここで医薬組成物は、単一投与の後少なくとも5日間、耳の中へのコルチコステロイドの徐放を提供する。
【0005】
異なる態様において、個体における聴力の回復又は薬物により誘発される耳毒性による聴力損失の回復のための方法が本明細書に提供され、該方法は、多粒子のコルチコステロイドを含む医薬組成物の、それを必要としている個体への鼓室内投与を含み、ここで、医薬組成物は、耳毒性を誘発する薬物を用いた治療過程の後に個体に投与され、ここで医薬組成物は、単一投与の後少なくとも5日間、耳の中へのコルチコステロイドの徐放を提供する。
【0006】
上述の方法の幾つかの実施形態において、薬物により誘発される耳毒性は、聴力損失である。別の実施形態において、薬物により誘発される耳毒性は、化学療法により誘発される耳毒性である。
【0007】
上述の方法の幾つかの実施形態において、耳毒性を誘発する化学療法薬剤は、白金ベースの化学療法薬剤、ビス白金酸塩、ビンクリスチン、アミノグリコシド抗生物質、マクロライド抗生物質、利尿薬、又はサリチル酸塩である。
【0008】
上述の方法の幾つかの実施形態において、白金ベースの化学療法薬剤は、シスプラチン、カルボプラチン、又はオキシプラチンである。
【0009】
上述の方法の幾つかの実施形態において、ビス白金酸塩は、CT−47613又はCT−47609である。
【0010】
上述の方法の幾つかの実施形態において、耳毒性を誘発する化学療法薬剤は、ビンクリスチンである。
【0011】
上述の方法の幾つかの実施形態において、アミノグリコシド抗生物質は、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、アミカシン、又はネオマイシンである。
【0012】
上述の方法の幾つかの実施形態において、マクロライド抗生物質は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、又はクリンダマイシンである。
【0013】
上述の方法の幾つかの実施形態において、鼓室内用の組成物は、ゲル又は粘着性の調製剤を含む。上述の方法の幾つかの実施形態において、鼓室内用の組成物は、ゲルを含む。上述の幾つかの実施形態において、鼓室内用の組成物は、粘着性の調製剤を含む。
【0014】
上述の方法の幾つかの実施形態において、鼓室内用の組成物は、熱可逆性ゲルを含む。
【0015】
上述の方法の幾つかの実施形態において、熱可逆性ゲルは、約15℃と約42℃の間のゲル化温度を提供するのに十分な量で、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマーを含む。
【0016】
上述の方法の幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン及びメチルプレドニゾロン、又はそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される。幾つかの実施形態において、多粒子のコルチコステロイドは、本質的に、微粉化された粒子の形体である。
【0017】
1つの態様において、個体における音響外傷による聴力損失を予防する方法が、本明細書中に提供され、該方法は、多粒子のJNK阻害剤を含む医薬組成物の、それを必要としている個体への鼓室内投与を含み、ここで、医薬組成物は、音響外傷の発症前に投与され、そしてここで医薬組成物は、単一投与の後少なくとも5日間、耳の中へのJNK阻害剤の徐放を提供する。
【0018】
上述の方法の幾つかの実施形態において、JNK阻害剤は、ミノサイクリン;SB−203580(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)1H−イミダゾール);PD 169316(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール);SB 202190(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)1H−イミダゾール);RWJ 67657(4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−3−butyn−1−ol);SB 220025(5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−(4−piperidinlyl)イミダゾール);AM−111;SP600125から選択される。
【0019】
上述の方法の幾つかの実施形態において、JNK阻害剤は、SP600125である。
【0020】
上述の方法の幾つかの実施形態において、鼓室内用の組成物は、ゲル又は粘着性の調整剤を含む。上述の方法の幾つかの実施形態において、鼓室内用の組成物は、ゲルを含む。上述の方法の幾つかの実施形態において、鼓室内用の組成物は、粘着性の調製剤を含む。
【0021】
上述の方法の幾つかの実施形態において、鼓室内用の組成物は熱可逆性ゲルを含む。
【0022】
上述の方法の幾つかの実施形態において、熱可逆性ゲルは、約15℃と約42℃の間のゲル化温度を提供するのに十分な量で、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマーを含む。幾つかの実施形態において、多粒子のJNK阻害剤は、本質的に、微粉化された粒子の形体である。
【0023】
上述の方法の幾つかの実施形態において、鼓室内用の組成物は、非熱可逆性ゲルを含む。幾つかの実施形態において、ゲルは、粘性を増強するポリマー、又はゲルを形成するポリマーを含む。幾つかの実施形態において、粘性を増強するポリマーは、ヒアルロン酸又はその塩から選択される。幾つかの実施形態において、ゲルを形成するポリマーは、PLGA又は乳酸−グリコール酸コポリマー(poly(lactic−co−glycolic acid))を含む、乳酸及びグリコール酸のモノマーを含むコポリマーである。
【0024】
幾つかの実施形態において、個体における薬物により誘発される耳毒性を予防するための方法が本明細書に提供され、該方法は、熱可逆性ゲル及び多粒子のコルチコステロイドを含む医薬組成物の、それを必要としている個体への鼓室内投与を含み、ここで、医薬組成物は、薬物を用いる治療の開始の前に投与され、ここで医薬組成物は、単一投与の後少なくとも5日間、耳の中へのコルチコステロイドの徐放を提供する。
【0025】
異なる態様において、個体における聴力の回復又は薬物により誘発される耳毒性による聴力損失の回復に向かわせるための方法が本明細書に提供され、該方法は、熱可逆性ゲル及び多粒子のコルチコステロイドを含む医薬組成物の、それを必要としている個体への鼓室内投与を含み、ここで、医薬組成物は、耳毒性を誘発する薬物を用いた治療過程の後に、個体に投与され、ここで医薬組成物は、単一投与の後少なくとも5日間、耳の中へのコルチコステロイドの徐放を提供する。
【0026】
幾つかの実施形態において、耳毒性は、聴力損失である。幾つかの実施形態において、薬物により誘発される耳毒性は、化学療法により誘発される耳毒性である。幾つかの実施形態において、耳毒性を誘発する化学療法薬剤は、白金ベースの化学療法薬剤である。幾つかの実施形態において、白金ベースの化学療法薬剤は、シスプラチン、カルボプラチン又はオキシプラチンである。幾つかの実施形態において、白金ベースの化学療法薬剤は、ビスプラチン酸塩である。幾つかの実施形態において、ビスプラチン酸塩は、CT−47613又はCT−47609である。幾つかの実施形態において、耳毒性を誘発する化学療法薬剤は、ビンクリスチンである。
【0027】
幾つかの実施形態において、耳毒性を誘発する薬物は、アミノグリコシド抗生物質である。幾つかの実施形態において、アミノグリコシド抗生物質は、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、アミカシン、又はネオマイシンである。
【0028】
幾つかの実施形態において、耳毒性を誘発する薬物は、マクロライド抗生物質である。幾つかの実施形態において、マクロライド抗生物質は、エリスロマイシン、アジスロマイシン、又はクリンダマイシンである。幾つかの実施形態において、薬物により誘発される耳毒性は、利尿薬又はサリチル酸塩により誘発される。
【0029】
幾つかの実施形態において、熱可逆性ゲルは、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのポリマーを含む。幾つかの実施形態において、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマーは、ポロクサマー407である。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、多粒子を含む。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、本質的に、微粉化された粒子の形態である。幾つかの実施形態において、コルチコステロイドは、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、及びメチルプレドニゾロン、又はそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される。
【0030】
1つの態様において、個体における音響外傷による聴力損失を予防する方法が、本明細書中に提供され、該方法は、熱可逆性ゲル及びJNK阻害剤を含む医薬組成物の、それを必要としている個体への鼓室内投与を含み、ここで、医薬組成物は、音響外傷の発症前に投与され、ここで医薬組成物は、単一投与の後少なくとも2日間、耳の中へのJNK阻害剤の徐放を提供する。
【0031】
幾つかの実施形態において、組成物は、少なくとも3日間、耳の中へのJNK阻害剤の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、組成物は、少なくとも4日間、耳の中へのJNK阻害剤の徐放を提供する。幾つかの実施形態において、組成物は、少なくとも5日間、耳の中へのJNK阻害剤の徐放を提供する。
【0032】
幾つかの実施形態において、JNK阻害剤はミノサイクリン;SB−203580(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)1H−イミダゾール);PD 169316(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール);SB 202190(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)1H−イミダゾール);RWJ 67657(4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)−1H−イミダゾル−2−イル]−3−butyn−1−ol;SB 220025(5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−(4−piperidinlyl)イミダゾール);AM−111;及びSP600125から選択される。幾つかの実施形態において、JNK阻害剤は、SP600125である。
【0033】
幾つかの実施形態において、熱可逆性ゲルは、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマーを含む。幾つかの実施形態において、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマーは、ポロクサマー 407である。幾つかの実施形態において、JNK阻害剤は多粒子を含む。幾つかの実施形態において、JNK阻害剤は、本質的に、微粉化された粒子の形体である。
【0034】
別の態様において、耳毒性の予防する治療で使用するために、鼓室内用の組成物(例えば、上記及び下記の任意の耳用の組成物)が、本明細書中に提供される。幾つかの実施形態において、上記又は下記のように、耳毒性は聴力損失である。幾つかの実施形態において、上記又は下記のように、耳毒性は、化学療法により誘発される耳毒性である。
【0035】
別の態様において、音響外傷により誘発された聴力損失の予防治療に使用するための鼓室内用の組成物(例えば、上記及び下記の任意の耳用の組成物)が、本明細書中に提供される。別の態様では、聴力の回復あるいは薬物により誘発される耳毒性による聴力損失を回復にむかわせる(reversal)のに使用するための鼓室内用の組成物(例えば、上記及び下記の任意の耳用の組成物)が、本明細書中に提供される。
【0036】
<引用による組み込み>
本明細書中で言及された全ての出版物、特許、及び特許出願は、あたかも個々の出版物、特許又は特許出願がそれぞれ、引用によって組込まれることが具体的に、及び個別に示されるかのように、同じ程度の引用によって本明細書中で組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲で詳細に説明される。本発明の特徴及び利点へのよりよい理解は、本発明の法則が利用される例となる実施形態を説明する、以下の詳細な説明及び添付図面への言及を参照することによって得られであろう:
図1】シスプラチン処置の24時間前にモルモットに投与される、熱可逆性ゲル及びデキサメタゾンを含む組成物の、シスプラチンにより誘発された聴力損失に対する保護を示す。
図2】雑音への曝露の前に、熱可逆性ゲル及びデキサメタゾンを含む組成物が投与される、騒音性難聴を有するモルモット中における、該組成物の予防効果を示す。
図3】音響外傷への曝露の前に、熱可逆性ゲル及びデキサメタゾンを含む組成物が投与される、増加したレベルが音響外傷に曝露されたモルモット中における、該組成物の予防効果を示す。
図4】音響外傷への曝露の前に、熱可逆性ゲル及びデキサメタゾンを含む組成物が投与される場合に、該組成物は、急性音響外傷に対する保護において、DSP溶液よりも優れていることを示す。
図5】熱可逆性ゲル及びJNK阻害剤を含む組成物(抗アポトーシス性薬剤)が、急性音響外傷に対して、予防的に保護することを示す。
図6】熱可逆性ゲル及びIGF−1を含む組成物が、音響外傷から保護することを示す。
図7】本明細書中に記載された製剤の鼓室内投与における、IGF−1の内耳への曝露を示す。
図8】急性シスプラチン耳毒性パラダイムにおける、デキサメタゾンの徐放性ヒドロゲル製剤の効果を示す。モルモット(n=6)は、シスプラチン(12mg/kg)の単回注入の1日前に、デキサメタゾンの濃度を変化させる、単一の左右の鼓室内投与を受けた。聴覚機能は、シスプラチン治療の7日後に評価された。
図9】2.0%のDSP溶液を備える急性シスプラチン耳毒性モデルである、モルモットにおける治療を示す。モルモット(n=6)は、生理食塩水(白い縦棒)又は2.0%のDSP溶液(黒い縦棒)のいずれかの、単一の左右の鼓室内注入を受けた。1日後、その動物は、シスプラチン(12mg/kg)の単回投与を受けた。聴覚の機能は、シスプラチン治療の7日後に評価された。対照と処置された動物の間の有意な差異は、観察されなかった。
図10】ミフェプリストン、GR及びMRのアンタゴニストの効果を示す。ミフェプリストンは、急性シスプラチン耳毒性に対してデキサメタゾンゲルの保護を中和させる。モルモット(n=6)は、ポロクサマービヒクル(白い縦棒)、6.0%のミフェプリストン(薄灰色の縦棒)、6.0%のデキサメタゾンゲル(濃灰色の縦棒)、又は6.0%のデキサメタゾン+6.0%のミフェプリストン(黒い縦棒)のいずれかの、単一の左右の鼓室内投与を受けた。1日後、その動物は、シスプラチン(12mg/kg)で処置された。聴覚の機能は、図に示された時点で評価された。
図11】シスプラチンへの長期曝露に対する、デキサメタゾンゲルの効果を示す。モルモット(n=6)は、ポロクサマービヒクル(丸)又は6.0%のデキサメタゾン(四角)のいずれかの、1週間の間隔で、3つの左右の鼓室内注入を受けた。これらの注入の各々の30分後、シスプラチン投与(4mg/kg)が行われた。聴覚の機能は、図に示された時点で評価された。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<発明の詳細な説明>
多種多様な薬物が耳毒性である。耳毒性に影響する要因は、用量、処置の期間、同時の腎不全、注入速度、ライフタイム用量(lifetime dose)、耳毒性の潜在可能性を有する他の薬物との同時投与、及び/又は遺伝的感受性を含む。聴力損失が累積的な耳毒性の曝露により不可避である場合に、患者は、潜在的に根治療法と恒久的な聴力損失とのトレードオフを認識する必要がある。この併発症を最小化する処置レジメンの必要がある。従って、薬物により誘発される耳毒性の発症を防ぐか遅らせ、かつ耳を保護する効果を発現する、予防方法及び/又は処置レジメンが、本明細書で提供される。有利に、本明細書中に記載される方法は、耳への局所投与を含み、それにより、全身的に投与された耳毒性を誘発する薬物(例えば、化学療法薬物、アミノグリコシド抗生物質など)の治療効果の障害を回避する。
【0039】
<耳毒性及び内耳損害>
内耳は2つの部分を含む:骨迷路と膜性迷路である。前庭、半規管及び蝸牛殻は、骨迷路を形成する。骨迷路は、膜性迷路の軟組織をさらに囲む、外リンパで充填される。膜性迷路は、内リンパを含む、一連の閉鎖した嚢を含む。
【0040】
前庭は、後部にある半規管と、前面の蝸牛殻を接触させる。蝸牛殻は、内耳の吻部にある、円錐形及び螺旋状の構造である。蝸牛管は、ヒトにおいて長さおよそ34mmの骨性管であって、聴神経の螺旋神経節を含む、中核の周りを螺旋状に回る。蝸牛管は、階とよばれる、3つのチャンバに分割される:前庭階、中央階、及び鼓室階。前庭窓は、前庭階と接触し、蝸牛窓は、鼓室階に接触する。コルチ器官は、蝸牛殻の感覚上皮であって、桿状の細胞、支持細胞、及び有毛細胞を含む。
【0041】
ヒトの耳は、約17,000の有毛細胞を含む:1列の内有毛細胞は、蝸牛殻の長さ程の長さであって、そして、3列の外有毛細胞は、蝸牛殻の基礎から殻頂にまで及ぶ。耳の中の受容器細胞の分布は、網膜又は鼻上皮のような、他の感覚器と比較された場合、低密度である;従って、たとえ数千の有毛細胞の損失であっても、重篤な聴力損失に至る。任意の蝸牛−前庭の耳毒性又は音響外傷は、有毛細胞に深く影響する;ヒトは、有毛細胞を再生成することができず、一旦、蝸牛有毛細胞が損傷されると、聴力の現象は、恒久的である。従って、有毛細胞を保護し、及び/又は有毛細胞への耳毒性の損傷を防ぐ方法が、本明細書中に提供される。また、音響外傷から有毛細胞への損傷を防ぐ方法が、本明細書中に提供される。さらに、聴力損失及び/又は内耳損傷の後の、聴力の回復を可能にする方法が、本明細書中に提供される。
【0042】
<耳毒性を誘発する薬物>
<プラチナベースの化学療法薬剤>
プラチナベースの化合物は、一般に、抗腫瘍薬として使用される。プラチナベースの化学療法薬剤の例は、シスプラチン、カルボプラチン、又はオキシプラチンを含む。他のプラチナベースの化学療法薬剤は、ビスプラチン酸塩を含む。ビスプラチン酸塩の例は、CT−47613及びCT−47609を含むが、これらに制限されない。
【0043】
プラチナベースの薬物は、耳鳴りを伴う、又は耳鳴りの伴わない感音性難聴として現れる耳毒性を誘発する。例えば、神経芽細胞腫を有する子どもは、自家骨髄移植のための移植前処置の一部として、高用量のカルボプラチンを受け、高発生率の音声周波数の聴力損失を有する。耳毒性は、用量関連であって、累積的である。耳毒性が進行する場合、プラチナベースの薬物による癌の処置は止められ、又は作用の弱い抗腫瘍薬が使用される。これは、癌患者のための処置結果に影響する。プラチナベースの化学療法が誘発する耳毒性に利用可能な処置は、現在存在しない。酸化防止剤がシスプラチンの抗腫瘍性の効果を阻害するか、又はそれら自身の毒性を示すため、シスプラチン処置とともに、全身性の抗酸化剤を同時投与する試みは、成功してこなかった。例えば、Rybak et al., Drug Disc. Today 2005, 10: 1313−21を参照。
【0044】
従って、組成物が耳の予防効果に作用し、プラチナ含有化学療法薬剤により誘発される耳毒性を防ぐように、熱可逆性ゲル及びコルチコステロイドを含む組成物の鼓室内注入の投与を含む、カルボプラチン及び/又はシスプラチン及び/又はオキシプラチンの治療を必要とする癌患者の前処置のための方法が、本明細書に提供される。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、組成物は、単回投与後に少なくとも5日間、蝸牛殻内へのコルチコステロイドの徐放を提供する。
【0045】
<他の抗癌剤>
高用量で耳毒性を引き起こす他の抗癌薬物は、例えば、ビンクリスチンを含む。したがって、組成物が耳の予防効果に作用し、耳毒性を防ぐように、熱可逆性ゲル及びコルチコステロイドを含む組成物の鼓室内注入の投与を含む、化学療法(例えば、ビンクリスチン処置)を必要とする個体において、耳毒性を予防する方法もまた、本明細書で提供される実施形態の範囲内で熟考される。
【0046】
<アミノグリコシド抗生物質>
特定のアミノグリコシド抗生物質は、耳毒性の副作用に関係している。ストレプトマイシンは、内耳の前庭部分に損傷を引き起こす。めまい及び平衡障害は、一時的なものになりがちであるが、前庭の感受性の重篤な損失は、時に恒久的に持続する。前庭の感受性の損失は、特に暗所における歩行障害、及び動揺視(一歩毎に周囲が揺れる感覚)を引き起こす。1週間(wk)よりも長い間、1g/日を受ける、約4乃至15%の患者は、測定可能な聴力損失を進行し、それは通常、短い潜伏期(7乃至10日)の後に生じ、処置が継続されるとゆっくりと悪化する。完全な、恒久的な聴覚障害が続き得る。
【0047】
ネオマイシン、カナマイシン、及びアミカシンは、蝸牛毒性であって、そして、平衡を保持しつつ、重度で恒久的な聴力損失を引き起こす。バイオマイシンは、蝸牛の、及び前庭の毒性の両方を有する。ゲンタマイシン及びトブラマイシンは、前庭及び蝸牛の毒性を引き起こし、平衡と聴覚における機能障害を引き起こす。アミノグリコシドバンコマイシンは、しばしば腎不全がある状態で、聴力損失を引き起こす。
【0048】
アミノグリコシド耳毒性は、蝸牛殻の基底回転で、外有毛細胞に、復元不能な損傷をもたらす。アミノグリコシド耳毒性に利用可能な処置は、現在存在しない。組成物が耳の予防効果に作用し、アミノグリコシド抗生物質により誘発される耳毒性を防ぐように、熱可逆性ゲル及びコルチコステロイドを含む組成物の鼓室内注入の投与を含む、アミノグリコシド抗生物質を用いた処置を必要とする個体において、耳毒性を予防する方法が、本明細書に提供される。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、組成物は、単回投与後に少なくとも5日間、蝸牛殻内へのコルチコステロイドの徐放を提供する。
【0049】
<他の抗生物質>
エリスロマイシン、アジスロマイシン、及びクリンダマイシンは、幾つかの個体における聴力損失を引き起こす、マクロライド抗生物質である。したがって、組成物が耳の予防効果に作用し、薬物により誘発される耳毒性を防ぐように、熱可逆性ゲル及びコルチコステロイドを含む組成物の鼓室内注入の投与を含む、耳毒性を誘発する抗体を用いた処置を必要とする個体において、耳毒性を予防する方法もまた、本明細書で提供される実施形態の範囲内で熟考される。
【0050】
<利尿薬とサリチル酸塩>
エタクリン酸又はフロセミドのような特定の利尿薬は、重度で恒久的な聴力損失を引き起こす。高用量中のサリチル酸塩及び抗マラリア薬のキニーネもまた、一時的な聴力損失に関係している。したがって、組成物が耳の予防効果に作用し、薬物により誘発される耳毒性を防ぐように、熱可逆性ゲル及びコルチコステロイドを含む組成物の鼓室内注入の投与を含む、利尿薬(ループ利尿薬を含む)、サリチル酸塩、及び/又は任意の他の耳毒性の薬剤を用いた処置を必要とする個体において、耳毒性を予防する方法もまた、本明細書で提供される実施形態の範囲内で熟考される。
【0051】
<音響外傷>
熱可逆性ゲル及びコルチコステロイドを含む医薬組成物の、それを必要としている個体への、鼓室内投与を含む、それらを必要としている個体における、音響外傷による聴力損失を予防する方法が本明細書中に提供され、ここで、医薬組成物は、音響外傷の発症の前に投与され、そしてここで組成物は、単回投与の後、少なくとも5日間、耳(例えば、蝸牛殻)の中へのコルチコステロイドの徐放を提供する。
【0052】
幾つかの例において、音響外傷は、恒久的な聴力損失を結果として生じさせる、有毛細胞の損傷を引き起こす。様々な環境要因は、ジェット機(例えば、空港の近くで)の雑音、砲及び/又は発砲及び/又は爆弾(例えば、交戦地帯で)の雑音、重機械(例えば、工場内、石油プラットフォームにおける)の雑音、大きな音楽(例えば、ロックコンサートで)の雑音などを含むが、これらに限定されない音響外傷を引き起こす。
【0053】
具体的な実施形態において、大きな雑音への曝露の前に、本明細書中に記載される組成物(例えば、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンのコポリマー、及びコルチコステロイド又はJNK阻害剤)の投与は、予防効果を有し、有毛細胞の損傷及び/又は聴力損失を予防する。したがって、典型的な実施形態において、交戦地帯での展開の前に、個体への本明細書中に記載される組成物の投与は、聴力損失の重症度を予防し及び/又は低下させる。
【0054】
<活性薬剤>
<コルチコステロイド>
本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、耳用の製剤は、本明細書中に開示される製剤と互換性のある、コルチコステロイド(グルココルチコイド受容体で作用する薬剤を含む)又は他の抗炎症性のステロイドを含む。本明細書中に記載される方法の使用の1つの利点は、抗炎症性のグルココルチコイドステロイドへの、大幅に減少した全身曝露である。
【0055】
1つの実施形態において、本明細書中に記載される、製剤の活性な医薬成分は、プレドニゾロンである。別の実施形態において、本明細書中に記載される、製剤の活性な医薬成分は、デキサメタゾンである。追加の実施形態において、本明細書中に記載される、製剤の活性な医薬成分は、ベクロメタゾンである。追加の実施形態において、本明細書中に記載される、製剤の活性な医薬成分は、トリアムシノロンである。さらなる実施形態において、本明細書中に記載される、製剤の活性な医薬成分は、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニソロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−アセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、又はこれらの組み合わせから選択される。
【0056】
非ステロイド性の抗炎症剤は、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム、フェナム酸誘導体、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、スルホンアニリド、ニメスリドなどを含むが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書中に記載される組成物に適した他の薬剤は、プレドニゾン、プロピオン酸フルチカゾン(S−(フルオロメチル)(6S,8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17R)−6,9−ジフルオロ−11,17−ジヒドロキシ−10,13,16−トリメチル−3−オキソ−6,7,8,11,12,14,15,16−オクタヒドロシクロペンタ[a]フェナントレン−17−カルボチオアート)、フロ酸モメタゾン((11β,16α)−9,21−ジクロロ−11−ヒドロキシ−16−メチル−3,20−ジオキソプレグナ−1,4−ジエン−17−イル 2−フロ酸)などを含むが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書中に開示されないが、本明細書中に記載される徐放性製剤及び方法に役立つ、コルチコステロイド及び/又は非ステロイド性の抗炎症剤は、提示された方法の範囲内に明らかに含まれ、意図される。
【0059】
幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、組成物の単回投与後、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも5日間、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも6日間、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも7日間、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも8日間、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも9日間、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも10日間、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも14日間、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも21日間、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも28日間、蝸牛殻へのコルチコステロイドの徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、コルチコステロイドは、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、又はそれらの任意の塩、多形体、プロドラッグ、複合体である。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、コルチコステロイドは、プレドニゾロン、又はそれらの任意の塩、多形体、プロドラッグ、複合体である。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロン、又はそれらの任意の塩、多形体、プロドラッグ、複合体である。
【0060】
<JNK阻害剤>
本明細書中に記載された方法の幾つかの実施形態において、耳用の製剤は、本明細書中に開示される製剤と互換性のあるJNK阻害剤を含む。JNK阻害剤の例は、ミノサイクリン;SB−203580(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−メチルスルフィニルフェニル)−5−(4−ピリジル)(1H−イミダゾール);PD 169316(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−5−(4−ピリジル)−1H−イミダゾール);SB 202190(4−(4−フルオロフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−5−(4−ピリジル)1H−イミダゾール);RWJ 67657(4−[4−(4−フルオロフェニル)−1−(3−フェニルプロピル)−5−(4−ピリジニル)−1H−イミダゾール−2−イル]−3−ブチン−1−ol);SB 220025(5−(2−アミノ−4−ピリミジニル)−4−(4−フルオロフェニル)−1−(4−ピペリジニル)イミダゾール);又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、MAPK/JNKシグナルカスケードを中和する薬剤は、D−JNKI−1((D)−hJIP175−157−DPro−DPro−(D)−HIV−TAT57−48)、AM−111(耳)、SP600125(アントラ[1,9−cd]ピラゾル−6(2H)−one、JNK阻害剤I((L)−HIV−TAT48−57−PP−JBD20)、JNK阻害剤III((L)−HIV−TAT47−57−gaba−c−Junδ33−57)、AS601245(1,3−ベンゾチアゾル−2−イル(2−[[2−(3−ピリジニル)エチル]アミノ]−4ピリミジニル)アセトニトリル、JNK阻害剤VI(HN−RPKRPTTLNLF−NH)、JNK阻害剤VIII(N−(4−アミノ−5−シアノ−6−エトキシピリジン−2−イル)−2−(2,5−ジメトキシフェニル)アセトアミド)、JNK阻害剤IX(N−(3−シアノ−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾチエン−2−イル)−1−ナフトアミド)、ジクマロール(3,3′−メチレンビス(4−ヒドロキシクマリン))、SC−236(4−[5−(4−クロロフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾル−1−イル]ベンゼン−スルホンアミド)、CEP−1347(頭部)、CEP−11004(頭部);あるいはそれらの組み合わせである。
【0061】
本明細書中に開示されないが、本明細書中に記載される徐放性製剤及び方法に役立つ、JNK阻害剤は、提供される方法の範囲内に明らかに含まれ、意図される。
【0062】
幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、1日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の放出を提供する。他の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、単回投与後の、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも2日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも3日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも4日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも5日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも6日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも7日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも8日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも9日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも10日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも14日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも21日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも28日間、蝸牛殻へのJNK阻害剤の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、JNK阻害剤は、SP600125、又はその任意の塩、多形体、複合体である。
【0063】
<栄養因子>
本明細書中に記載された方法の幾つかの実施形態において、耳用の製剤は、本明細書中に開示される製剤と互換性のある栄養因子を含む。従って、幾つかの実施形態は、ニューロン及び耳の有毛細胞の生存、及び/又はニューロン及び耳の有毛細胞の増殖を促進する栄養薬剤の使用を組み込む。幾つかの実施形態において、耳の有毛細胞の生存を促進する栄養薬剤は、増殖因子である。幾つかの実施形態において、増殖因子は、神経栄養(neurotroph)である。幾つかの実施形態において、神経栄養は、脳由来の神経栄養因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、グリア細胞株由来の神経栄養因子(GDNF)、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、及び/又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、増殖因子は、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、血小板(platlet)由来の増殖因子(PGF)、及び/又はそれらのアゴニストである。幾つかの実施形態において、増殖因子は、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、インスリン様増殖因子(IGF)受容体、上皮細胞増殖因子(EGF)受容体、及び/又は血小板(platlet)由来の増殖因子のアゴニストである。幾つかの実施形態において、増殖因子は、肝細胞増殖因子である。
【0064】
幾つかの実施形態において、栄養薬剤及び/又は神経栄養は、BDNFである。幾つかの実施形態において、栄養薬剤及び/又は神経栄養は、GDNFである。幾つかの実施形態において、神経栄養は、ニューロトロフィン−3又はCNTFである。
【0065】
幾つかの実施形態において、栄養薬剤及び/又は増殖因子は、上皮増殖因子(EGF)である。幾つかの実施形態において、EGFは、ヘレグリン(HRG)である。
【0066】
幾つかの実施形態において、栄養薬剤及び/又は増殖因子は、インスリン様増殖因子(IGF)である。幾つかの実施形態において、IGFは、IGF−1である。幾つかの実施形態において、増殖因子は、肝細胞増殖因子(HGF)である。
【0067】
また、エリトロポイエチン(EPO)、果粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、増殖分化因子−9(GDF9)、インスリン様増殖因子(IGF)、ミオスタチン(GDF−8)、血小板由来の増殖因子(PDGF)、トロンボポイエチン(TPO)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF−α)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)、血管内皮増殖因子(VEGF)又はそれらの組み合わせを含む増殖因子が、本明細書中に記載される耳用の製剤において使用するために熟考される。
【0068】
幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、1日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の放出を提供する。他の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、単回投与後の、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも2日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも3日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも4日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも5日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも6日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも7日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも8日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも9日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも10日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも14日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも21日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、本明細書中に記載される組成物は、少なくとも28日間、蝸牛殻への栄養因子(例えば、IGF−1)の徐放を提供する。
【0069】
<耳用の組成物の投与>
本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、鼓室内的に(intratympanically)投与される。幾つかの実施形態において、耳用の組成物は、正円窓膜で、又はその近くで投与される。幾つかの実施形態において、耳用の組成物は、耳の前庭、及び/又は外耳道、及び/又は中耳に投与される。耳の中の局所投与は、活性剤の全身蓄積を減少させ、又は除去する。
【0070】
本明細書中に提供される方法の幾つかの実施形態において、耳用の製剤は、冷たい製剤(例えば、およその室温よりも低い温度での投与時の温度を有する製剤)の投与に関係するめまいの発生を回避する適温(例えば、室温に近い温度(例えば、約20℃))で投与される。さらに、その製剤は、生物学的適合的であり、及び/又は、そうでなければ内耳の環境に無毒であるポリマー(例えば、熱可逆性ポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、ゲルポリマーは、生物分解性であり、及び/又は生物除去性(bioeliminated)である(例えば、コポリマーは、生物分解プロセス(例えば、尿、糞便などの中での排泄)によって、身体から除去される)。その製剤は、耳の表面との接触の際に、注入可能な液体及びゲルである。
【0071】
幾つかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)は、本明細書中に記載されるような耳毒性を誘発する薬物を用いた処置の開始の前に、それを必要としている個体に一度投与される。幾つかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)は、本明細書中に記載されるような耳毒性を誘発する薬物を用いた処置の開始の前に、それを必要としている個体に一度より多く投与される。幾つかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)は、本明細書中に記載されるような耳毒性を誘発する薬物を用いた処置の開始の24時間前に、それを必要としている個体に投与される。幾つかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)は、本明細書中に記載されるような耳毒性を誘発する薬物を用いた処置の開始の48時間前に、それを必要としている個体に投与される。幾つかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)は、本明細書中に記載されるような耳毒性を誘発する薬物を用いた処置の開始の72時間前に、それを必要としている個体に投与される。幾つかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)は、本明細書中に記載されるような耳毒性を誘発する薬物を用いた処置の開始の96時間前に、それを必要としている個体に投与される。幾つかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)は、本明細書中に記載されるような耳毒性を誘発する薬物を用いた処置の開始の120時間前に、それを必要としている個体に投与される。幾つかの実施形態において、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)は、本明細書中に記載されるような耳毒性を誘発する薬物を用いた処置の開始の1週間前に、それを必要としている個体に投与される。
【0072】
幾つかの他の実施形態において、本明細書中に記載される方法は、耳毒性を誘発する薬物の、及び聴力の回復に役立つ以前の処置過程に従い、個体への組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)の投与を可能にする。
【0073】
また他の実施形態において、本明細書中に記載される方法は、音響外傷による聴力損失の予防を可能にし、JNK阻害剤を含む組成物の、それを必要としている個体への投与を含む。
【0074】
具体的な実施形態において、プラチナベースの化学療法薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキシプラチン、ビス白金酸塩)の投与の前の、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)の投与は、耳毒性及び/又は聴力損失の発症を予防する(すなわち、予防的に投与された場合、製剤には予防効果がある)。具体的な実施形態において、プラチナベースの化学療法剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキシプラチン、ビス白金酸塩)の投与の前の、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)の投与は、耳毒性及び/又は聴力損失の重篤性を減少させる(すなわち、予防的に投与された場合、製剤には予防効果がある)。
【0075】
具体的な実施形態において、アミノグリコシド抗生物質(例えば、バンコマイシン、ゲンタマイシン)の投与の前の、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)の投与は、耳毒性及び/又は聴力損失の発症を予防する(すなわち、予防的に投与された場合、製剤には予防効果がある)。具体的な実施形態において、アミノグリコシド抗生物質(例えば、バンコマイシン、ゲンタマイシン)の投与の前の、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)の投与は、耳毒性及び/又は聴力損失の重篤性を減少させる(すなわち、予防的に投与された場合、製剤には予防効果がある)。
【0076】
具体的な実施形態において、任意の耳毒性を誘発する薬剤(例えば、ビンクリスチン、又は本明細書に記載される任意の他の薬剤)の投与の前の、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)の投与は、耳毒性及び/又は聴力損失の発症を予防する(すなわち、予防的に投与された場合、製剤には予防効果がある)。具体的な実施形態において、任意の耳毒性を誘発する薬剤(例えば、ビンクリスチン、又は本明細書に記載される任意の他の薬剤)の投与の前の、本明細書中に開示される組成物(例えば、多粒子のコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)又は多粒子のJNK阻害剤を含むゲル製剤又は粘性製剤)の投与は、耳毒性及び/又は聴力損失の重篤性を減少させる(すなわち、予防的に投与された場合、製剤には予防効果がある)。
【0077】
具体的な実施形態において、音響外傷への曝露の前の、本明細書中に開示される組成物(例えば、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン、並びに多粒子のコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)又は多粒子のJNK阻害剤(例えば、SP600125)のコポリマーを含む、熱可逆性ゲル製剤)の投与は、耳毒性及び/又は聴力損失の発症を予防する(すなわち、予防的に投与された場合、製剤には予防効果がある)。具体的な実施形態において、音響外傷への曝露の前の、本明細書中に開示される組成物(例えば、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン、並びに多粒子のコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)又は多粒子のJNK阻害剤(例えば、SP600125)のコポリマーを含む、熱可逆性ゲル製剤)の投与は、耳毒性及び/又は聴力損失の重篤性を減少させる(すなわち、予防的に投与された場合、製剤には予防効果がある)。
【0078】
幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される組成物(例えば、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン、並びに多粒子のコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)のコポリマーを含む、熱可逆性ゲル製剤)は、耳毒性を誘発する薬物(例えば、シスプラチン、アミノグリコシド抗生物質、又は本明細書に記載される任意の他の耳毒性を誘発する薬物)を用いる治療を開始する前に投与され、そしてまた、耳毒性を誘発する薬物を用いる処置の間も投与される。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される組成物(例えば、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン、並びに多粒子のコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン)又は多粒子のJNK阻害剤(例えば、SP600125)のコポリマーを含む、熱可逆性ゲル製剤)は、音響外傷への曝露の前に投与され、そしてまた、音響外傷への曝露の間も投与される。
【0079】
本明細書中に記載される組成物が、それを必要とする個体に投与される回数は、医学の専門家の裁量、その個体の製剤に対する反応、及び個体が受けている耳毒性を誘発する薬物処置、又は音響外傷への曝露に依存する。
【0080】
特定の実施形態において、患者は、症状の再発を回避するための、長期間にわたる断続的な治療及び/又は維持処置を必要とする。
【0081】
<耳用の組成物>
本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤(例えば、多粒子の活性剤を含むゲル製剤)は、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%又は55%と、約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の間のゲル形成ポリマーを含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤(例えば、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン並びにコルチコステロイドのコポリマーを含む熱可逆性ゲル製剤)は、約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%又は55%と、約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン)を含む。幾つかの実施形態において、結果として生じる製剤は、熱可逆性ゲルであるが、それが熱可逆性である必要はない;すなわち、熱可逆性ポリマーの量によって、結果として生じるゲルは、熱可逆性であるか、又は熱可逆性ではなくてもよい。分類「熱可逆性ポリマー」は、摂氏約15乃至42度の範囲で熱可逆性ゲル剤を形成するポリマーを指す。
【0082】
ポリオキシプロピレン及びポリオキシエチレンから構成されるポリマーは、水溶液に組み込まれる際に、ゲルを形成する。これらのポリマーは、体温に近い温度で、液体状態からゲル状態へ変化する能力を有し、したがって、標的とされる構造に適用される、有用な製剤の調製を可能にする。液体状態からゲル状態への相転移(ゲル化温度)は、ポリマー濃度、バッファー濃度及び溶液中の成分に依存する。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される組成物に適した熱可逆性ゲルは、ポリオキシプロピレン及びポリオキシエチレンのポリマーから構成される水性ゲルである。
【0083】
ポロクサマー(pluronic、Lutrol、Pluracare)は、酸化エチレン及び酸化プロピレンの合成ブロックポリマーである。ポロクサマー407(F−127、P407)は、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーから構成される、熱可逆性ポリマーである。他のポロクサマーは、124、188(F−68グレード)、237(F−87グレード)、及び338(F−108グレード)を含む。ポロクサマーの水溶液は、酸、アルカリ及び金属イオンがある状態で安定している。F−127(又はP407)は、13,000の平均モル質量で、商業的に利用可能なポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンのトリブロックコポリマーである。ポリマーはさらに、ポリマーのゲル化特性を高めるであろう、適切な方法によって精製され得る。それは、およそ70%の酸化エチレンを含み、それはその親水性の原因である。それは、一連のポロクサマーABAブロックコポリマーの1つであって、そのメンバーは、下に示される化学式を共有する。
【0084】
【化1】
【0085】
ポロクサマーは、幾つかのタイプで利用可能であって、そして約2000から約15000の分子量の範囲で変化する。□−ヒドロ−□−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロックコポリマーは、下に示されるように、a及びbの比率を変化させることを含む:
【0086】
【表1】
【0087】
特定の実施形態において、本明細書中に記載される熱可逆性ゲル製剤は、ポロクサマーを含む。具体的な実施形態において、本明細書中に記載される熱可逆性ゲル製剤はP407を含む。耳の表面に接して置かれた時、そのようなゲル調製は、半個体構造及び徐放性デポー剤を形成するであろう。さらに、ポロクサマー(例えば、P407)は、優れた可溶能力(good solubilizing capacity)、低毒性を有しており、生物適合性である。さらなる実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、粘性の又は粘度の高い(thickened)調製物である。またさらなる実施形態において、粘性の又は粘度の高い調製物は、耳の表面とする際に、ゲルを形成する。
【0088】
本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約2.0重量%と約80重量%の間のゲル形成ポリマー(例えば、本明細書に記載される任意のポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約2.0重量%と約50重量%の間のゲル形成ポリマー(例えば、本明細書に記載される任意のポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約5.0重量%と約30重量%の間のゲル形成ポリマー(例えば、本明細書に記載される任意のポリマー)を含む。
【0089】
本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約2.0重量%と約50重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約2.0重量%と約40重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約5.0重量%と約30重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約10.0重量%と約25重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約12.0重量%と約25重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約14.0重量%と約25重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約14.5重量%と約25重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約15重量%と約25重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約10重量%と約24重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約12重量%と約24重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約15重量%と約24重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約10重量%と約23重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約12重量%と約23重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約15重量%と約23重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約10重量%と約22重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約12重量%と約22重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約15重量%と約22重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。
【0090】
幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約10重量%と約21重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約12重量%と約21重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約15重量%と約21重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。
【0091】
本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約10.0重量%と約20重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約12.0重量%と約20重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約15.0重量%と約20重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。
【0092】
本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約10.0重量%と約18重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約12.0重量%と約18重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約15.0重量%と約18重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。
【0093】
幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される製剤は、組成物の約16重量%と約21重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。本明細書中に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の製剤は、組成物の約16.0重量%と約20重量%の間の熱可逆性ポリマー(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマー)を含む。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、熱可逆性ポリマーは、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマーを含む。上述及び本明細書中に記載される実施形態のいずれかにおいて、熱可逆性ポリマーは、ポロクサマーである。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、ポロクサマーは、P407(また、Lutrol F127、Pluracare F127、F−127、Pol−407、又はPluronic−127としても知られる)である。上述及び本明細書中に記載される実施形態のいずれかにおいて、熱可逆性ポリマーは、本明細書中に記載されるような、文画されたポリマーである。
【0094】
また、他の粘性を増強するポリマーを含む耳用の組成物が、本明細書中に記載される方法の範囲内で熟考される。「粘性を増強するポリマー」は、製剤が投与に際して、粘度を高くした液体を形成するように、本明細書中に記載される製剤の粘性を増加させるポリマーである。幾つかの実施形態において、粘性を増強するポリマーは、ゲル形成ポリマーである。幾つかの実施形態において、粘性を増強するポリマーは感熱性ポリマーである。幾つかの実施形態において、感熱性ポリマーは、熱可逆性なポリマーではない。他の実施形態において、感熱性ポリマーは熱可逆性ポリマーである。
【0095】
適切な粘性を増強するポリマーは、ヒドロゲル(例えば、キトサン)、ゼラチン、ヒアルロン酸(Hyalastine(登録商標)、Hyalectin(登録商標)、Hyaloftil(登録商標)、及び/又は部分エステル、及び/又はそれらの塩(例えば、ヒアルロン酸のバリウム塩、又はWO/1998/017285に記載されるヒアルロン酸の任意の他の塩、そこに記載される塩は、引用によって本明細書中に組み込まれる)を含むがこれらに限定されない)、アクリル酸ベースのポリマー(例えば、Carbopol(登録商標))、MedGel(登録商標)、セルロースベースのポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリブロックコポリマーを含むポリマー、ポロクサマー、又は本明細書中に記載される任意の他のそのようなポリマーを含むが、これらに限定されない。そのような実施形態のうちの幾つかにおいて、結果として生じる製剤は、感熱性ゲルであるが、それが熱可逆性である必要はない;すなわち、感熱性ポリマーの量によって、結果として生じるゲルは、熱可逆性であるか、又は熱可逆性でなくてもよい。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の組成物は、粘性を増強するポリマーとしてヒアルロン酸を含む。
【0096】
代替の実施形態において、ゲル形成ポリマーは、乳酸とグリコール酸のモノマーを含むコポリマーである。PLGA又は乳酸−グリコール酸コポリマー(poly(lactic−co−glycolic acid))は、2つの異なるモノマー、グリコール酸及び乳酸のコポリマーである。重合に使用されるグリコリドに対するラクチドの比率によって、異なる形式のPLGAが得られる(例えば、組成物が75%の乳酸及び25%のグリコール酸のコポリマーである、PLGA 75:25)。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される耳用の組成物は、粘性を増強するポリマーとしてPLGAを含む。
【0097】
代替の実施形態において、感熱性ゲルは、PEG−PLGA−PEG トリブロックコポリマーを含む(Jeong etal,Nature(1997),388:860−2; Jeong etal,J.Control.Release(2000),63:155−63; Jeong etal,Adv.Drug Delivery Rev.(2002),54:37−51)。ポリマーは、約5%w/wから約40%w/wの濃度にわたって、ソル−ゲルな作用を示す。所望の特性によって、PLGAコポリマー中のラクチド/グリコリドの分子比は、約1:1から約20:1まで及ぶ。結果として生じるコポリマーは、水に可溶であり、室温で自由流動の液体を形成するが、体温でゲルを形成する。
【0098】
ReGel(登録商標)は、低分子量のクラスに関するMacroMed Incorporatedの商品名であって、米国特許第6,004,573号、6,117,949号、6,201,072号、及び6,287,588号で記載されるように、生分解性ブロックコポリマーは、逆の熱性のゲル化特性を有する。それはまた、係属中の米国特許出願第09/906,041号、09/559,799号、及び10/919,603号で開示される、生物分解性の高分子薬物担体を含む。生物分解性の薬物担体は、ABA−タイプ又はBAB−タイプのトリブロックコポリマー、又はそれらの混合物を含み、そこでは、Aブロックは、比較的疎水性であり、生分解性のポリエステル又はポリ(オルトエステル)を含み、Bブロックは、比較的親水性であり、ポリエチレングリコール(PEG)を含み、前述のコポリマーは、50.1乃至83重量%の間の疎水性の内容物及び17乃至49.9重量%の間の親水性の内容物、及び2000乃至8000ダルトンの間の全体のブロックコポリマーの分子量を有する。
【0099】
幾つかの実施形態において、他の感熱性ポリマーは、特定の活性剤、他の医薬品又は使用される賦形剤/添加剤に依存して有用であり、それらは本開示の範囲内に属すると考えられる。例えば、商業的に利用可能である、グリセリンベースのゲル、グリセリン由来の化合物、又は共役したあるいは架橋結合したゲル、マトリクス、ヒドロゲル及びポリマーは、ゼラチン及びそれらの誘導体、アルギン酸塩、アルギン酸塩ベースのゲル、及び様々な天然並びに合成のヒドロゲルとヒドロゲル由来の化合物でさえも同様に、本明細書中に記載される医薬製剤において有用であると予想される。幾つかの実施形態において、生体許容性の(bioacceptable)ゲルは、アルギン酸ヒドロゲルSAF(登録商標)−Gel(ConvaTec、Princeton(N.J.)、Duoderm(登録商標)Hydroactive Gel(ConvaTec)、Nu−gel(登録商標)(Johnson & Johnson Medical, Arlington, Tex);Carrasyn(登録商標)(V)Acemannan Hydrogel(Carrington Laboratories, Inc., Irving, Tex);グリセリンゲル Elta(登録商標)Hydrogel(Swiss−American Products, Inc., Dallas, Tex.)、K−Y(登録商標)Sterile(Johnson & Johnson)、ゼラチンヒドロゲル、キトサン、シリコンベースのゲル(例えば、Medgel(登録商標))などを含むが、これらに限定されない。本明細書中に記載される組成物に適した、他の感熱性で及び/又は生体許容性のゲルは、アクリル酸ベースのポリマー(例えば、Carbopol(登録商標))、セルロースベースのポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、アルキルアリルポリエーテルアルコールベースのポリマー(例えば、Tyloxapol(登録商標))を含む。
【0100】
幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、組成物はゲルを含む。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の製剤は、投与時には液体であって、耳の中で、インサイツで(in situ)ゲル化し、及び/又は、耳の中で粘度の高い調製物を形成する。幾つかの実施形態において、製剤の液体からゲルへの遷移は、熱可逆性である。幾つかの実施形態において、鼓室内用の製剤は、レオペクシー材料(例えば、振られるか、負荷をかけられた時、材料がより粘性になる)を含む。例えば、レオペクシー製剤が、耳鼻咽喉科医によって親指でかけられる付加又は圧力のような、標準圧力下で、シリンジによって患者の耳に注入される場合、液体の製剤は、ゲル又は粘度の高い製剤に遷移する。幾つかの実施形態において、本明細書中に記載される鼓室内用の組成物は非ニュートン流体、つまり、剪断応力と速度勾配の関係が線形ではない。例えば、1つの実施形態において、本明細書中に記載される鼓室内用のゲル製剤の粘性は、剪断速度とともに増加する。幾つかの実施形態において、鼓室内用の製剤は、架橋結合によってゲル化する材料を含む。幾つかの実施形態において、上述又は本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物は、注入可能な(syringable)粘性を有する。言いかえれば、上述又は本明細書に記載される組成物は、標準圧力(例えば、外科医が鼓室内に製剤を注入する時に、親指でかけられる圧力)を使用して、細いゲージの針(例えば、約14乃至34ゲージの間の針、又は約18乃至31ゲージの間の針、又は約22乃至31ゲージの間の針)を備えたシリンジによって注入可能である。
【0101】
幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、組成物は、約10cPと約1000,000cPの間の粘度の高い粘性(例えば、ゲル粘性)を有する。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、組成物は、約10cPと約500,000cPの間の粘度の高い粘性を有する。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、組成物は、約10cPと約250,000cPの間の粘度の高い粘性を有する。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、組成物は、約10cPと約100,000cPの間の粘度の高い粘性を有する。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、組成物は、約10cPと約10,000cPの間の粘度の高い粘性を有する。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、組成物は、約10cPと約5,000cPの間の粘度の高い粘性を有する。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、組成物は、約25cPと約1,000cPの間の粘度の高い粘性を有する。
【0102】
幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも30cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも50cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも100cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも200cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも500cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも1000cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも5000cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも10,000cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも25,000cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも50,000cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも100,000cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも250,000cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも500,000cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。幾つかの実施形態において、上述及び本明細書に記載される任意の鼓室内用の組成物について、その組成物は、少なくとも1000,000 cPの粘性を有する、粘度の高い又は粘性の組成物である。
【0103】
<ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロックポリマーの精製>
精製した熱可逆性ポリマーの使用も、本明細書中で提示された実施形態の範囲内で熟考される。本明細書中で使用されるように、「精製した」熱可逆性ポリマーは、本明細書に記載される製剤の調製の前に更なる工程にさらされる、商業的に購入された熱可逆性ポリマーである。精製した熱可逆性ポリマーは、同じポリマーの市販のサンプルと比較して、より低い多分散性(即ち、その中にある個々のポリマー鎖中のより狭い分子量分布)、より低いエチレン含有量、及び/又はより少ない不飽和及び/又は重量%のオキシエチレン値を有する。分留、クロマトグラフィー、洗浄、及び/又はデカンテーション、超臨界流体を使用する精製(例えば、米国特許出願公報第2008/0269449号を参照、そこに記載される超臨界流体の使用によるポリマーの精製の開示は、引用により本明細書に組み込まれる)、逆沈殿(例えば、米国特許第7,148,320号を参照、そこに記載される逆沈殿の開示は、引用により本明細書に組み込まれる)、塩の抽出及び液相分離(例えば、米国特許第5,800,711号を参照、そこに記載されるポロクサマー精製の開示は、引用により本明細書に組み込まれる)などを含むが、これらに限定されない任意の適切な技術を使用して、精製が実行される。精製及び/又はポリマーの分画の他のプロセスは、例えば、米国特許第6,977,045号及び米国特許第6,761,824号に記載されており、その中に記載されるプロセスは引用により本明細書に組み込まれる。
【0104】
一例として、幾つかの実施形態において、精製したポロクサマー407は、BASFから商業的に購入した一組のP407等級NFと比較して、より低い多分散性指数を有する分画されたP407である。一例として、商業的に購入したP407は、約1.2の多分散性指数を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されるような分画されたP407の多分散性指数は、約1と約1.15の間にある。他の実施形態において、本明細書に記載されるような分画されたP407の多分散性指数は、約1と約1.1の間にある。また他の実施形態において、本明細書に記載されるような分画されたP407の多分散性指数は、約1と約1.05の間にある。本明細書中で使用されるように、計算された多分散性指数(PDI)は、重合体の鎖(M/M)の数平均分子量で割られた重量平均分子量である。それは、一組のポリマー中の個々の分子量の分布を示す。
【0105】
ポロクサマーの精製は、低分子量成分(例えば、オリゴマー、未反応の材料、及び/又は生産或いは貯蔵中に生成される他の望まれない不純物)、及び/又は大きな分子量の構成成分(望まれないポリマー−ポリマー反応からの構成成分)の除去に基づく。結果として生じる精製した生成物は、元の材料とほぼ同じ分子量を備えた、より狭いPDIを有する。幾つかの実施形態において、精製したポロクサマーは、より優れたゲル化特性を有する(例えば、ゲル状態においてより高い粘性を提供する間の、同じ%ポロクサマー濃度に関する低いTgel)。
【0106】
本明細書中で使用されるように、精製した熱可逆性ポリマーは、低い多分散性(即ち、その中にある個々のポリマー鎖中の狭い分子量分布)を有する。例えば、市販のポロクサマーは、それらが生産される方法の性質のため、ポリ(オキシエチレン)ホモポリマー及びポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)ジブロックポリマーなどの、特定の不純物を含む。構成成分ブロックの分子量が増加するにつれ、これら副産物の相対量は増加する。幾つかの例において、市販のポロクサマー407中で、副産物は、製造業者に依存して約15から約50重量%のポリマーから構成され得、それにより、高い多分散性をもたらす。実施例6は、市販のP407の中の多分散性を減少するP407の分画のための手順を示す。
【0107】
幾つかの実施形態において、超臨界流体抽出技術は、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを分画するために使用される。米国特許第5,567,859号を参照し、その中に記載されるポリマーの分画に関する開示は、引用によって本明細書に組み込まれる。この技術において、商業的に購入したポリマー中のより低い分子量画分は、2200のポンド毎平方インチ(psi)の圧力で、及び40℃の温度で維持されるCOのストリームにおいて除去され、それにより、低い多分散性を有する、精製したポリマーを提供する。
【0108】
幾つかの実施形態において、ゲル浸透クロマトグラフィーは、ポリマーの画分の単離を許容する。欧州特許出願WO92/16484号を参照;その中に記載される、低い多分散性及び飽和を有するポロクサマーの画分を単離するゲル浸透クロマトグラフィーの使用は、引用によって本明細書に組み込まれる。
【0109】
幾つかの実施形態において、1つ以上のブロックは、コポリマーの製造前に精製される。一例として、コポリマーの合成中のポリオキシプロピレン中心ブロック、又はコポリマー生成物自体(そのような開示のため引用により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,523,492号及び第5,696,298号を参照)のいずれかを精製して、精製したポロクサマーの製造を許容する。
【0110】
幾つかの実施形態において、ポリオキシアルキレンブロックコポリマーの分画は、塩の抽出及び液相分離技術を使用する、低分子量種のバッチ式除去によって達成される(米国特許第5,800,711号を参照、その中に記載されるポリマーの精製のプロセスは、引用により本明細書に組み込まれる)。そのような分画は、市販のポロクサマー(例えば、BASFからのP407 NF等級)と比較して、増加したゲル強度、減少した多分散性、より高い平均分子量、減少したゲル化濃度、及び/又は拡張したゲル溶解特性を含む、改善された物理的特性を有する、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー(例えば、ポロクサマー407、ポロクサマー188など)を生成する。ポリマーの精製及び/又は分画の他のプロセスは、例えば、米国特許第6,977,045号及び米国特許第6,761,824号に記載され、プロセスは、引用により本明細書に組み込まれる。
【0111】
幾つかの例において、ポリマー(例えば、ポロクサマー)の低分子量汚染物質は、有害な副作用をインビボ(in vivo)で引き起こす;本明細書に記載される医薬製剤中の精製したポロクサマーの使用は、そのようなインビボ(in vivo)での副作用を減少する。
【0112】
従って、ポリ(オキシエチレン)ホモポリマー及び/又はポリ(オキシプロピレン)/ポリ(オキシエチレン)ジブロックの副産物が実質的になく、そのため、ブロックコポリマーの分子量分布を狭くする(即ち、低い多分散性を提供する)、精製したポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロックポリマーを含む製剤も、本明細書中で提示される実施形態の範囲内で熟考される。幾つかの実施形態において、そのような精製したポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロックポリマー(例えば、分画したポロクサマー)は、分画していないポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロックポリマーを含む活性な組成物と比較して、より低い濃度のポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)トリブロックポリマーを含む活性な組成物の形成を許容する。
【0113】
<pH及び実際的なオスモル濃度>
本明細書に記載される方法の幾つかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤は、適合性の生体液(例えば、内耳環境における内リンパ及び/又は外リンパ)であるイオンバランスを提供するために処方される。
【0114】
本明細書中で使用されるように、「実際的な容量オスモル濃度/重量オスモル濃度(osmolarity/osmolality)」又は「送達可能な容量オスモル濃度/重量オスモル濃度」は、活性薬剤の容量オスモル濃度/重量オスモル濃度の測定により決定されるような製剤の容量オスモル濃度/重量オスモル濃度を意味し、全ての賦形剤は、熱可逆性ポリマー薬剤(例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン、コポリマー等)を除く。本明細書に開示される製剤の実際的な容量オスモル濃度は、任意の適切な方法(例えば、「Viegas et. al., Int. J. Pharm., 1998, 160, 157−162」に記載されるような凝固点降下方法)によって測定される。幾つかの例において、本明細書に開示される製剤の実際的な容量オスモル濃度は、より高温での製剤のオスモル濃度の測定を許容する、蒸気圧浸透圧法(例えば、蒸気圧降下方法)によって測定される。幾つかの例において、蒸気圧降下方法は、例えば感熱性ポリマーのゲル化温度などの、より高温での感熱性ポリマーを含む製剤の容量オスモル濃度の測定を許容する。
【0115】
幾つかの実施形態において、作用の標的部位(例えば、内耳の外リンパ)のオスモル濃度は、本明細書に記載される製剤の実際的な容量オスモル濃度(即ち、耳の中の正円窓膜と交差する又は浸透する材料のオスモル濃度)とほぼ同じである。
【0116】
本明細書に開示される医薬製剤の実際的な重量オスモル濃度は、約100mOsm/kgから約1000mOsm/kgまで、約200mOsm/kgから約800mOsm/kgまで、約250mOsm/kgから約500mOsm/kgまで、約250mOsm/kgから約320mOsm/kgまで、約250mOsmkgから約350mOsm/kg、又は約280mOsm/kgから約320mOsm/kgまでである。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、約100mOsm/L乃至約1000mOsm/L、約200mOsm/L乃至約800mOsm/L、約250mOsm/L乃至約500mOsm/L、約250mOsm/L乃至約350mOsm/L、約250mOsm/L乃至約320mOsm/L、又は約280mOsm/L乃至約320mOsm/Lの実際的な容量オスモル濃度を有する。幾つかの実施形態において、実際的な重量オスモル濃度は、バッファー重量オスモル濃度、及び水中でゲル化したポロクサマーの上清の重量オスモル濃度の追加の組み合わせとして評価される。
【0117】
幾つかの実施形態において、有用な製剤はまた、1以上のpH調節剤又は緩衝剤を含む。適切なpH調節剤又はバッファーは、限定されないが、アセタート、重炭酸塩、塩化アンモニウム、クエン酸塩、リン酸塩、それらの薬学的に許容可能な塩、並びにそれらの組み合わせ又は混合物を含む。本開示の特定の実施形態において、ゲル製剤中に含まれるバッファーの量は、ゲル製剤のpHが、身体の自然の緩衝システム及び/又は生理液の容量オスモル濃度を干渉しないような量である。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5又は7.0と、約7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、又は12.0の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約3.0と約12.0の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約4.5と約10.0の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約3.5と約9.0の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約3.5と約8.5の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約5.5と約8.0の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約6.5と約8.0の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約7.0と約7.8の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約7.0と約7.6の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約7.0と約7.4の間にある。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤のpHは、約7.4と約7.8の間にある。
【0118】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、約1μMと約10μMの間、約1mMと約100mMの間、約0.1mMと約100mMの間、約0.1mMと約100nMの間の活性医薬成分の濃度を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、製剤の活性成分の約0.001重量%−約60重量%の間、約0.001重量%−約40重量%の間、約0.01重量%−約20重量%の間、約0.01重量%−約10重量%の間、約0.01重量%−約7.5重量%の間、約0.01重量%−6重量%の間、約0.01重量%−約5重量%の間、約0.1重量%−約40重量%の間、約0.1重量%−約30重量%の間、約0.1重量%−約20重量%の間、約0.1−約10重量%の間、又は約0.1−約6重量%の間の活性医薬成分の濃度を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、製剤の活性成分の約1重量%−約40重量%の間、約5重量%−約40重量%の間、約10重量%−約40重量%の間、約15重量%−約40重量%の間、約10重量%−約30重量%の間、約10重量%−約20重量%の間、約15重量%−約25重量%の間、又は約20重量%−30重量%の間の活性医薬成分の濃度を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、製剤における活性薬剤の約1μg/mLと約500μg/mLの間、約1μg/mLと約250μg/mLの間、約1μgと約100μg/mLの間、約1μg/mLと約50μg/mLの間、又は約1μg/mLと約20μg/mLの間の活性医薬成分の濃度を有する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、製剤における活性薬剤の約1mg/mLと約500mg/mLの間、約1mg/mLと約400mg/mLの間、約1mg/mLと約350mg/mLの間、約1mg/mLと約250mg/mLの間、約1mg/mLと約200mg/mLの間、約1mg/mLと約100mg/mLの間、約1mg/mLと約50mg/mLの間、又は約1mg/mLと約25mg/mLの間の活性医薬成分の濃度を有する。
【0119】
<滅菌の一般的な方法>
本明細書に記載される耳の疾病を防ぎ、逆転し、又は少なくする耳用の組成物が、本明細書で提供される。前記耳用組成物の投与を含む方法も、更に本明細書で提供される。幾つかの実施形態において、組成物又はデバイスは滅菌される。ヒトにおいて使用するための、本明細書に開示される医薬組成物又はデバイスを滅菌するための手段及びプロセスが、本明細書に開示される実施形態内に含まれる。目的は、感染を引き起こす微生物を比較的含まない、安全な医薬品を得ることである。米国食品医薬品局は、「http://www.fda.gov/cder/guidance/5882fnl.htm」にて利用可能な出版物「Guidance for Industry: Sterile Drug Products Produced by Aseptic Processing」において規制手引きを提供し、それはその全体における引用により本明細書に組み込まれる。
【0120】
本明細書で使用されるように、滅菌は、製品又はこん包容器に存在する微生物を破壊又は除去するために使用されるプロセスを意味する。対象及び組成物の滅菌に利用可能な任意の適切な方法が使用される。微生物を不活性化するのに利用可能な方法は、限定されないが、激しい加熱、致死性の化学物質、又はガンマ線の適用を含む。幾つかの実施形態において、耳用治療製剤を調製するプロセスは、熱による滅菌、化学物質による滅菌、放射線による滅菌、又は濾過滅菌から選択される滅菌方法に製剤をさらす工程を含む。使用される方法は、滅菌されるデバイス又は組成物の性質に大きく依存する。滅菌の多くの方法の詳細な記載は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy published by Lippincott, Williams & Wilkinsの第40章で与えられ、それは、本主題に関する引用により本明細書に組み込まれる。
【0121】
<加熱による滅菌>
多くの方法が、激しい加熱の適用による滅菌に利用可能である。1つの方法は、飽和蒸気によるオートクレーブを用いることによる方法である。この方法において、少なくとも121℃の温度の飽和水蒸気は、滅菌される対象と接触することを許容される。滅菌される対象の場合には、熱を微生物に直接的に移動させるか、又は、滅菌される水溶液の塊を加熱することによって、微生物に間接的に移動させる。この方法は、滅菌プロセスに柔軟性、安全性、経済性を許容するため、広範囲に実施される。
【0122】
乾熱滅菌は、微生物を殺し、且つ高温で発熱物質除去(depyrogenation)を行なうために使用される方法である。このプロセスは、滅菌処理法用の少なくとも130−180℃の温度、及び発熱物質除去プロセス用の少なくとも230−250℃の温度にまで、HEPAで濾過した微生物遊離気を加熱するのに適切な装置の中で行なわれる。濃縮した製剤又は粉末状製剤を再構築するための水も、オートクレーブで滅菌する。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、例えば、130−140℃の内部の粉末の温度で約7−11時間の、又は150−180℃の内部温度で1−2時間の加熱などの乾燥加熱によって滅菌される、微粉化した抗菌剤(例えば、微粉化したデキサメタゾン(demamethasone)粉末)を含む。
【0123】
<化学的滅菌>
化学的滅菌法は、乾熱滅菌の極度の高温に耐えられない生成物のための代案である。この方法において、エチレンオキシド、二酸化塩素、ホルムアルデヒド、又はオゾンなどの、滅菌性を有する種々の気体及び蒸気は、抗アポトーシス薬剤として使用される。例えば、エチレンオキシドの滅菌活性は、エチレンオキシドが反応性アルキル化剤として作用する能力から生じる。したがって、滅菌プロセスは、エチレンオキシド蒸気を、滅菌される対象の生成物と直接接触させることが必要となる。
【0124】
<放射線滅菌>
放射線滅菌の1つの利点は、熱分解又は他の損傷の無い、多くのタイプの生成物を滅菌する能力である。一般的に使用される放射線は、ベータ線、又は代わりに、60Coソースからのガンマ線である。ガンマ線の浸透能力は、溶液、組成物、及び不均一混合物を含む、多くの生成物のタイプの滅菌において、その使用を許容する。照射の滅菌効果は、生体高分子を備えたガンマ線の相互作用から生じる。この相互作用は、荷電化学種と遊離基を生成する。再配列及び架橋結合のプロセスなどの、後の化学反応は、これら生体高分子に関する正規関数の損失をもたらす。本明細書に記載される製剤はまた、ベータ線を用いて随意に滅菌される。
【0125】
<濾過>
濾過滅菌は、溶液から微生物を除去するが、それを破壊しないために使用される方法である。膜フィルターを用いて、熱に感受性のある溶液を濾過する。そのようなフィルターは、混合したセルロースエステル(MCE)、ポリフッ化ビニリデン(PVF;PVDFとしても知られる)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の、薄い、強固な、均質のポリマーであり、0.1から0.22□mまで及ぶ孔径を有する。種々の特性を有する溶液は、異なるフィルター膜を用いて随意に濾過される。例えば、PVF膜及びPTFE膜は、有機溶媒を濾過するのに十分適しており、一方、水溶液は、PVF膜又はMCE膜を介して濾過される。フィルター装置は、シリンジに取り付けられる利用単点の(the single point−of−use)使い捨てフィルターから、製造工場で使用する商業規模のフィルターにまで及ぶ、多くの規模での使用に利用可能である。膜フィルターは、オートクレーブ又は化学滅菌で滅菌される。膜濾過システムの検証は、標準化されたプロトコルに従って行い(Microbiological Evaluation of Filters for Sterilizing Liquids, Vol4, No.3.Washington, D.C:Health Industry Manufacturers Association, 1981)、Brevundimonas diminuta(ATCC19146)などの珍しく小さい微生物の既知の量(約107/cm)を用いた膜フィルターのチャレンジ試験(challenging)を含む。
【0126】
医薬組成物は、膜フィルターを通り抜けることにより随意に滅菌される。ナノ粒子(米国特許第6,139,870号)又は多層状の小胞(Richard et al., International Journal of Pharmaceutics (2006), 312(1−2):144−50)を含む製剤は、それらの組織化された構造を破壊せずに、0.22μmフィルターを通す濾過による滅菌に従う。
【0127】
幾つかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、濾過滅菌の手段によって製剤(又はその構成成分)を滅菌する工程を含む。別の実施形態において、耳に許容可能な耳用の治療薬の製剤は、製剤が濾過滅菌に適している多粒子を含む。更なる実施形態において、前記粒子製剤は、1ミクロン未満のサイズ、500nm未満のサイズ、300nm未満のサイズ、200nm未満のサイズ、又は100nm未満のサイズ、或いはそれらの組み合わせのサイズの粒子を含む。別の実施形態において、耳に許容可能な製剤は、粒子の滅菌性が、前駆体成分の溶液を滅菌濾過することによって確保される粒子製剤を含む。別の実施形態において、耳に許容可能な製剤は、粒子製剤の滅菌性が、低温滅菌濾過によって確保される粒子製剤を含む。更なる実施形態において、低温で、無菌の濾過は、0と30℃の間、0と20℃の間、0と10℃の間、10と20℃の間、又は20と30℃の間の温度で実行される。
【0128】
別の実施形態において、耳に許容可能な多粒子製剤の調製プロセスであって、該プロセスは:粒子製剤を含有する水溶液を、滅菌フィルターを介して低温で濾過する工程;滅菌溶液を凍結乾燥する工程;及び、投与前に、粒子製剤を滅菌水で再構築する工程を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、多粒子の(例えば、微粉化した)活性医薬成分を含む単一のバイアル製剤における、懸濁液として製造される。単一のバイアル製剤は、無菌のポリマー溶液(例えば、ポロクサマー溶液)を、無菌の微粉化した活性成分(例えば、デキサメタゾン、SP600125など)と無菌的に混合して、無菌の医薬品の容器に製剤を移すことにより、調製される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤を懸濁物として含有する単一のバイアルは、分注及び/又は投与前に再懸濁される。一例として、ポリマー溶液は無菌濾過されてもよく、多粒子の活性薬剤(例えば、デキサメタゾン)は、別々に加熱滅菌される。その後、多粒子の活性成分は、最終的な無菌の中耳内用の組成物を得るために、ポリマー溶液に無菌的に懸濁される。
【0129】
特定の実施形態において、濾過及び/又は充填手順は、本明細書に記載される製剤のゲル化温度(Tgel)より下の約5℃で、及び、蠕動ポンプを使用する、合理的な時間における濾過を許容するための100cPの理論値より下の粘性と共に、実行される。
【0130】
別の実施形態において、耳に許容可能な耳用治療薬の製剤は、ナノ粒子製剤を含み、ナノ粒子製剤は、濾過滅菌に適している。更なる実施形態において、ナノ粒子製剤は、300nm未満のサイズ、200nm未満のサイズ、又は100nm未満のサイズのナノ粒子を含む。別の実施形態において、耳に許容可能な製剤はミクロスフェア製剤を含み、ここで、ミクロスフェアの無菌状態は、前駆体有機溶液及び水溶液の無菌濾過によって確保される。別の実施形態において、耳に許容可能な製剤はゲル製剤を含み、ここで、ゲル製剤の無菌状態は、低温の無菌濾過によって確保される。更なる実施形態において、低温の無菌濾過は、0と30℃の間、0と20℃の間、0と10℃の間、10と20℃の間、又は20と30℃の間の温度で生じる。別の実施形態において、耳に許容可能なゲル製剤の調製プロセスであって、該プロセスは:滅菌フィルターを通して低温でゲル構成成分を含む水溶液を濾過する工程;無菌溶液を凍結乾燥する工程;及び、投与前に滅菌水を備えたゲル製剤を再構成する工程を含む。
【0131】
特定の実施形態において、活性成分は、適切なビヒクル(例えば、バッファー)中に溶解され、(例えば、熱処理、濾過、ガンマ線によって)別々に滅菌される。幾つかの例において、活性成分は、乾燥状態で別々に滅菌される。幾つかの例において、活性成分は、懸濁液として、又はコロイド状懸濁液として滅菌される。残りの賦形剤(例えば、耳用製剤の中にある流動性のゲル構成成分)は、適切な方法(例えば、賦形剤の冷却した混合物の濾過及び/又は照射)によって、個別のステップで滅菌される;その後、別々に滅菌される2つの溶液は、最終的な耳用製剤を提供するために無菌的に混合される。幾つかの例において、本明細書に記載される製剤を投与する直前に、最終的な無菌状態の混合を行う。
【0132】
幾つかの例において、滅菌(例えば、熱処理(例えば、オートクレーブ中の)、ガンマ線照射、濾過)の慣例的に使用された方法は、高分子成分(例えば、熱硬化性の、ゲル化性の、又は粘膜付着性のポリマー成分)の不可逆的な分解を引き起こす。幾つかの例において、製剤が、濾過のプロセスの間にゲル化するチキソトロピーのポリマーを含む場合、膜(例えば、0.2μMの膜)を通す濾過による耳用製剤の滅菌は、可能ではない。
【0133】
従って、滅菌のプロセスの間に高分子成分(例えば、熱硬化性の、及び/又はゲル化性の、及び/又は粘膜付着性のポリマー成分)及び/又は製剤中の活性薬剤の分解を防ぐ、耳用製剤の滅菌のための方法が、本明細書で提供される。幾つかの実施形態において、バッファー成分を特定のpH範囲で用いること、及び、製剤において特定の比率のゲル化剤を用いることによって、活性薬剤(例えば、本明細書に記載される任意の耳用治療薬剤)の分解は減る、又は排除される。幾つかの実施形態において、適切なゲル化剤及び/又は熱硬化性ポリマーを選択することによって、本明細書に記載される製剤を濾過によって滅菌することが可能となる。幾つかの実施形態において、製剤の特定のpH範囲と組み合わせた、適切な熱硬化性ポリマー及び適切なコポリマー(例えば、ゲル化剤)の使用は、治療薬又はポリマー賦形剤が実質的に分解することなく、記載の製剤を高温で滅菌することができる。本明細書で提供される滅菌方法の利点は、特定の例において、滅菌工程中に活性薬剤及び/又は賦形剤及び/又はポリマー成分が何れも失われることなく、製剤が、オートクレーブによる最終滅菌にさらされ、微生物及び/又は発熱物質を実質的に含まないことである。
【0134】
<微生物>
本明細書に記載される耳の障害を改善又は少なくする、耳に許容可能な組成物又はデバイスが、本明細書で提供される。前記耳用製剤の投与を含む方法も、更に本明細書で提供される。幾つかの実施形態において、組成物又はデバイスは、実質的に微生物を含まない。許容可能な生物汚染度又は無菌状態レベルは、米国薬局方を含むが、これに限定されない、治療上許容可能な組成物を定義する適用可能な基準に基づく。例えば、許容可能な無菌状態(例えば、生物汚染度)レベルは、製剤1グラム当たり約10のコロニー形成単位(cfu)、製剤1グラム当たり約50cfu、製剤1グラム当たり約100cfu、製剤1グラム当たり約500cfu、又は製剤1グラム当たり約1000cfuを含む。幾つかの実施形態において、製剤のための許容可能な生物汚染度レベル又は無菌状態は、10cfu/mL未満、50cfu/mL未満、500cfu/mL未満、又は1000cfu/mL未満の微生物剤を含む。加えて、許容可能な生物汚染度レベル又は無菌状態は、特定された好ましくない微生物学的な薬剤の排除を含む。例として、特定の好ましくない微生物剤は、Escherichia coli(E.coli)、Salmonella sp.、Pseudomonas aeruginosa(P.aeruginosa)、及び/又は他の特定の微生物薬剤を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態において、本明細書に記載される任意の制御放出性製剤は、製剤1gあたりの、微生物薬剤の約60未満のコロニー形成単位(CFU)、約50未満のコロニー形成単位、約40未満のコロニー形成単位、又は約30未満のコロニー形成単位を有する。
【0135】
耳に許容可能な耳用治療薬の製剤の無菌状態は、米国薬局方に従った無菌状態保証プログラムによって確認される。滅菌試験は、ほんの一例として、2つの方法によって行われる。1つ目は直接接種であり、試験される組成物のサンプルを成長培地に加え、21日までの期間インキュベートする。成長培地の濁りは、汚染を示す。この方法の欠点は、バルク物質のサンプリング量が少量だと感度が下がること、微生物の成長の検出が視覚的な観察に基づくことを含む。代替法は、膜濾過による滅菌試験である。この方法において、生成物の容積を小さな膜濾紙に通す。次いで、濾紙を培地に入れ、微生物の成長を促進させる。この方法は、全体のバルク生成物をサンプリングするため、感度が高くなるという利点を有する。膜濾過による滅菌試験によって測定するために、市販のMillipore Steritest滅菌試験システムが随意に使用される。クリーム剤又は軟膏剤の濾過試験のため、Steritestフィルターシステム第TLHVSL210号が使用される。乳剤又は粘性の生成物の濾過試験のため、Steritestフィルターシステム第TLAREM210号又は第TDAREM210号が使用される。予め満たしたシリンジの濾過試験のため、Steritestフィルターシステム第TTHASY210号が使用される。エアロゾル又はフォームとして分注された材料の濾過試験のため、Steritestフィルターシステム第TTHVA210号が使用される。アンプル又はバイアル中の可溶性の粉末の濾過試験のため、Steritestフィルターシステム第TTHADA210号又は第TTHADV210号が使用される。
【0136】
E. coliとサルモネラ属についての試験は、24−72時間30−35℃でインキュベートされるラクトースブロスの使用、18−24時間のMacConkey及び/又はEMB寒天におけるインキュベーション、及び/又はラパポート培地の使用を含む。P.aeruginosaを検出するための試験は、NAC寒天の使用を含む。米国薬局方の62章は、特定の好ましくない微生物のための試験手順をさらに列挙している。
【0137】
特定の実施形態において、本明細書に記載される耳用製剤は、内耳中の外リンパとの接触に適するように処方される(即ち、製剤は無菌であり、内耳の分離された環境において伝染病を引き起こさない)。
【0138】
<エンドトキシン>
本明細書に記載される耳の障害を改善又は少なくする、耳用組成物が、本明細書で提供される。前記耳用製剤の投与を含む方法も、更に本明細書で提供される。幾つかの実施形態において、組成物又はデバイスは、実質的にエンドトキシンを含まない。滅菌プロセスの追加の態様は、微生物の殺傷からの副産物の除去である。発熱物質除去のプロセスは、サンプルから発熱物質を除去する。発熱物質は、免疫応答を誘発するエンドトキシン又はエキソトキシンである。エンドトキシンの例は、グラム陰性菌の細胞壁に見出されるリポ多糖体(LPS)分子である。オートクレーブ又はエチレンオキシドを用いる処理のような滅菌手順によって、細菌は死滅するが、LPS残基は、敗血性ショックのような炎症性免疫反応を誘発する。エンドトキシンの分子の大きさが広範囲にわたって変わり得るため、エンドトキシンの存在は、「エンドトキシン単位」(EU)で表わされる。1つのEUは、E.coliのLPS100ピコグラムに相当する。ヒトは、わずか5EU/kgの体重に対する反応を進行させ得る。生物汚染度(例えば、微生物の限界)及び/又は無菌状態(例えば、エンドトキシンレベル)は、当該技術分野で認識されるような任意の単位で表現される。
【0139】
幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、多くとも約5EU/kgの重量のエンドトキシンユニット(EU)を有する。一例として、そのような実施形態の幾つかにおいて、体重60kgの典型的なヒトに関する合計の体内蓄積物は、ほんの約300EUである。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、ほんの約4EU/kgの体重のエンドトキシンエンドトキシンユニット(EU)を有する。一例として、そのような実施形態の幾つかにおいて、体重60kgの典型的なヒトに関する合計の体内蓄積物は、ほんの約240EUである。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、ほんの約3EU/kgの体重のエンドトキシンエンドトキシンユニット(EU)を有する。一例として、そのような実施形態の幾つかにおいて、体重60kgの典型的なヒトに関する合計の体内蓄積物は、ほんの約180EUである。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、ほんの約2EU/kgの体重のエンドトキシンエンドトキシンユニット(EU)を有する。一例として、そのような実施形態の幾つかにおいて、体重60kgの典型的なヒトに関する合計の体内蓄積物は、ほんの約120EUである。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、ほんの約1EU/kgの体重のエンドトキシンエンドトキシンユニット(EU)を有する。一例として、そのような実施形態の幾つかにおいて、体重60kgの典型的なヒトに関する合計の体内蓄積物は、ほんの約60EUである。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、ほんの約0.5EU/kgの体重のエンドトキシンエンドトキシンユニット(EU)を有する。一例として、そのような実施形態の幾つかにおいて、体重60kgの典型的なヒトに関する合計の体内蓄積物は、ほんの約30EUである。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、ほんの約0.2EU/kgの体重のエンドトキシンエンドトキシンユニット(EU)を有する。一例として、そのような実施形態の幾つかにおいて、体重60kgの典型的なヒトに関する合計の体内蓄積物は、ほんの約12EUである。
【0140】
幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、製剤の0.2mL当たりほんの約60EUのエンドトキシンユニット(EU)を有する。一例として、そのような実施形態の幾つかにおいて、0.2mLの注入に関する合計の体内蓄積物は、約60EUである。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、製剤の0.2mL当たりほんの約40EUのエンドトキシンユニット(EU)を有する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、製剤の0.2mL当たりほんの約20EUのエンドトキシンユニット(EU)を有する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、製剤の0.2mL当たりほんの約15EUのエンドトキシンユニット(EU)を有する。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される耳に許容可能な製剤は、製剤の0.2mL当たりほんの約10EUのエンドトキシンユニット(EU)を有する。
【0141】
発熱物質の検出は、ほんの一例として、様々な方法によって行なわれる。無菌に適切な試験は、米国薬局方(USP)71章の無菌試験(第23版、1995)に記載されている試験を含む。ウサギの発熱物質試験及びLimulus amebocyte溶解物試験は、両方とも、米国薬局方の85章及び151章(USP23/NF18、Biological Tests、The United States PHarmacopeial Convention、Rockville、MD、1995)に特定されている。代替の発熱物質アッセイは、単球活性化サイトカインアッセイに基づいて発展してきた。品質管理の適用に適切な一定の細胞株が開発されており、ウサギ発熱物質試験法及びカブトガニ血球抽出成分試験を通ったサンプルの発熱性を検出する能力を実証した(Taktak et al, J. Pharm. Pharmacol. (1990), 43:578−82)。追加の実施形態において、耳に許容可能な耳用製剤は、発熱物質除去にさらされる。更なる実施形態において、耳に許容可能な耳用製剤の製造プロセスは、発熱性に関して製剤を試験する工程を含む。特定の実施形態において、本明細書に記載される製剤は、実質的に発熱物質を含まない。
【0142】
<調整可能な放出特性>
<懸濁液>
幾つかの実施形態において、溶解された活性薬剤(例えば、溶解されたコルチコステロイド)を含む、熱可逆性ゲル製剤は、その薬物負荷量を急速にダンプし(damps)、薬物負荷量はその後、聴覚の構造から取り除かれ、それにより、薬物の放出期間を減少する。従って、特定の実施形態において、本明細書に記載される任意の製剤(例えば、コルチコステロイドを含む製剤)は、多粒子の活性薬剤(即ち、複数の溶解していない活性薬剤粒子(例えば、微粉化した粒子、ナノサイズの粒子、大きさの無い(non−sized)粒子、コロイド粒子)の懸濁液を含み;即ち、製剤は多粒子の懸濁液製剤である。
【0143】
本明細書中で使用されるように、「多粒子の懸濁液製剤」又は「多粒子の製剤」は、少なくとも幾つかの溶解していない活性薬剤を含む製剤を指す。例えば、1つの実施形態において、多粒子の懸濁液製剤は、溶解された形態にある活性薬剤の一部を含み、また、不溶性の、又は乏しい可溶性の、或いはカプセル化した活性薬剤を含む。本明細書中で使用されるように、「溶解していない」又は「カプセル化した」又は「不溶性の」又は「乏しい可溶性の」活性薬剤粒子は、培地(例えば、緩衝化した水、緩衝化したポロクサマー溶液、体液、外リンパ、中耳流体など)において遅い溶解の特性を有する粒子である。要するに、不溶性の、カプセル化した、溶解していない、又は乏しい可溶性の活性薬剤粒子は、培地(例えば、緩衝化した水、緩衝化したポロクサマー溶液、体液、外リンパ、中耳流体など)において単にわずかに可溶性であり、長期間の間投与部位に残り、期間にわたって遅い溶解によって活性薬剤を放出するためのデポー剤として役立つ。
【0144】
上記の実施形態の幾つかにおいて、溶解していない、カプセル化した、不要性の、又は乏しい可溶性の活性薬剤形態は、以下により詳細に記載されるような調整可能な徐放を達成するために選択される。一例として、より大きな粒径、乏しい溶解度を有する結晶形、控えめに可溶性の塩形態、又は遊離塩基の使用は、多粒子の懸濁液製剤において少なくとも幾つかの溶解していない活性薬剤の存在を許容する。
【0145】
不溶性の多粒子の活性薬剤(例えば、多粒子のデキサメタゾン、多粒子の酢酸デキサメタゾン、多粒子のプレドニゾロン、多粒子のメチルプレドニゾロン)を含む徐放の懸濁液製剤の、それを必要とする個体への投与に際して、活性薬剤粒子は、ゲルが腐食した後でさえ、活性薬剤の更なる拡張放出のためのデポー剤として役立つ。そのような実施形態の幾つかにおいて、多粒子の活性薬剤は、微粉化した粉末である。そのような実施形態の幾つかにおいて、粒子は、聴覚の表面へ付着させられたまま残る。従って、幾つかの実施形態において、本明細書に記載される方法に適している徐放の医薬製剤は、実質的に高濃度の多粒子の不溶性の活性薬剤粒子を含む。そのような実施形態の幾つかにおいて、本明細書に記載される徐放の医薬製剤(例えば、コルチコステロイド製剤)は、微粉化した活性薬剤を含む多粒子の懸濁液である。
【0146】
幾つかの実施形態において、多粒子の活性薬剤(例えば、不溶性のコルチコステロイド)の使用は、非多粒子の又は水溶性の活性薬剤を含む製剤と比較して、本明細書に記載される任意の製剤からの活性薬剤の拡張放出又は徐放を許容する。幾つかの例において、多粒子及び/又はあまり水溶性でない活性薬剤は、遅い分解及び/又は溶解によって活性薬剤の安定した供給(例えば、+/−20%)を提供し、活性薬剤のためのデポー剤として役立ち;そのようなデポー剤の効果は、耳の中の活性薬剤の滞留時間を増加させる。具体的な実施形態において、活性薬剤(例えば、コルチコステロイド)の適切な粒径、及び水中の活性薬剤(例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾロン、又はメチルプレドニゾロンの不溶性形態)の溶解度の選択は、組成物中の熱可逆性ポリマー成分の量と組み合わせて、時間、日、週、又は月の期間の間に活性薬剤の放出を許容する、調整可能な拡張放出特性を提供する。
【0147】
<活性薬剤の溶解度の調整>
本明細書に記載される製剤からの活性薬剤(例えば、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロンなどのコルチコステロイド)の溶解度は、製剤からの徐放を許容するため、生物学的な及び/又は水性の培地において修飾される。活性薬剤の拡張放出のための1つの手法は、可溶性の活性薬剤を非可溶性にすることである。生物学的及び/又は水性の流体における薬物の溶解度は、不溶性である、又は薬物単独或いは薬物の異なる塩よりも低い溶解度を有する、薬学的に許容可能な塩の選択によって修飾される。幾つかの例において、生物学的及び/又は水性の流体における薬物の溶解度は、不溶性である、又は他の塩の形態或いは薬物単独よりも低い溶解度を有する結晶形態(多形体)の選択によって修飾される。
【0148】
一例として、陰イオン性の薬物(例えば、カルボン酸、リン酸塩、硫酸塩などのような酸性の部分を有する活性薬剤)の場合において、可溶性の薬物は、グループIの金属イオンのカウンターイオン(例えば、ナトリウム又はカリウム)を、周期表のグループIIのカウンターイオン(例えば、カルシウム又はマグネシウム)或いは他の多価の陽イオン(例えば、鉄、亜鉛、バリウム、セシウムなど)と交換することによって、生物学的及び/又は水性の流体において不溶性の状態に、又はあまり可溶性が無い状態にされる。一例として、陽イオン性の薬物(例えば、一級、二級、又は三級の脂肪族或いは芳香族のアミンを含む活性薬剤)について、可溶性の薬物は、アミン部分の少なくとも1つのpKaにて、又はその上で処方することにより、生物学的及び/又は水性の流体において不溶性の状態に、又はあまり可溶性が無い状態にされる。一例として、薬物中のアミン部分に関する〜5のpKaについて、pH>5を有する製剤は、生物学的及び/又は水性の流体における薬物の溶解度を減少する。一例として、活性薬剤が陽イオン性の薬物(例えば、pKa〜5の少なくとも1つのアミン部分を有する薬剤)である場合、pH4.5でのポロクサマーゲル製剤は、pH7.4でのポロクサマー製剤と比較して、より低い平均溶解時間(MDT)を有する。
【0149】
さらに、特定の医薬品は、鉱酸塩からの薬物等の塩(例えば、塩酸又は硫酸塩)を、小型乃至中型の有機酸の塩(例えば、クエン酸塩、マレイン酸塩、ニコチン酸塩、又はベシル酸塩など)と交換することにより、生物学的及び/又は水性の培地において不溶性の状態、又はあまり可溶性が無い状態にされる。ほんの一例として、水溶性の活性薬剤は、≧10mg/mLの溶解度を有する。水性及び/又は生物学的な培地においてあまり可溶性が無い状態に、又は不溶性にされた活性薬剤は、10mg/mL未満、1mg/mL未満、又は0.1mg/mL未満の水溶解度を有する。活性薬剤及び/又はその任意の塩の放出特性は、適切なインビトロ(in vitro)及びインビボ(in vivo)の手順を使用して比較される。
【0150】
活性薬剤の溶解及び/又は放出の特性を制御するための第二の手法は、生物学的及び/又は水性の培地における活性薬剤の溶解を妨害する、複合体形成薬剤との活性薬剤の複合体を形成することである。そのような複合体形成薬剤の例は、限定されないが、クリプタンド(例えば、[2.2.2]クリプタンド、ジアザ−18−クラウン−6)、シクロデキストリン、クラウンエーテル(例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6など)を含む。活性薬剤及びその複合体の放出特性は、本明細書に記載されるインビトロ(in vitro)及びインビボ(in vivo)の手順を使用して比較される。
【0151】
本明細書に記載される製剤からの活性薬剤の放出特性を拡張するための更なる手法は、活性薬剤のプロドラッグを使用することである。活性薬剤(陰イオン性、陽イオン性、両性イオン性、又は中性)は、薬物単独よりも生物学的及び/又は水性の培地において不溶性であるか、又はあまり可溶性でないプロドラッグの形成によって、生物学的及び/又は水性の培地において不溶性の状態、或いはあまり可溶性が無い状態にされる。そのようなプロドラッグは、親薬物への部分(例えば、安息香酸、アミン、脂肪酸、環式又は芳香族の酸或いはアルコール、重合体の鎖などの、大きな又は水不溶性の基の、エステル、又はアミド)の共有結合的な付着によって形成される。活性薬剤及びそのプロドラッグの放出特性は、本明細書に記載されるインビトロ(in vitro)及びインビボ(in vivo)の手順を使用して比較される。
【0152】
活性薬剤の溶解特性及び放出特性を調整するための更なる手法は、特定の徐放の賦形剤を備えた活性薬剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)の粒子をコーティングすることである。一例として、活性薬剤は微粉化され、微粉化した粒子は、徐放の賦形剤でコーティングされる;その後、コーティングした活性薬剤の粒子は、本明細書に記載される組成物の何れかにおいて処方される。
【0153】
したがって、適切な熱可逆性のポリマービヒクル、及び薬物(例えば、多粒子のコルチコステロイド、コルチコステロイドのあまり可溶性でない塩)の物理化学的性質)の組み合わせは、最適化された放出特性を提供する。一例として、17%のポロクサマー407製剤について、デキサメタゾン又はメチルプレドニゾロンの何れかが水溶性の塩(即ち、それぞれDSP及びMPS)として存在する場合、MDTの値は約3hである。しかしながら、デキサメタゾン及びメチルプレドニゾロンの水不溶性の形態(例えばDEX、DA及びMP)のMDT値は、40から71hまでの範囲である。一例として、DSP水溶液は、0.3hのMDTを有する一方で、水中の微粉化したDEX懸濁液は、44hのMDT値を有する。
【0154】
幾つかの実施形態において、薬物の溶解度は、製剤の薬物動態学を調整する。一例として、モルモットにおけるヒドロゲルビヒクル中のDSPの中耳内投与は、内耳区画(4−7hのMRT)から、限定的な内耳曝露(28から57μg.h/mlにまで及ぶAUC値)及び素早い排除をもたらした。しかしながら、ヒドロゲルビヒクルにおける薬物(即ち、DEX又は酢酸デキサメタゾン(DA))のあまり可溶性でない形態の投与は、外リンパ(84−359μg.h/mlのAUC)及び延長された滞留時間(MRT 17−82h)において、より高いデキサメタゾン曝露を引き起こした。
【0155】
一例として、メチルプレドニゾロンの内耳特性は、可溶性(MPS)及び水不溶性(MP)の形態の使用により調整可能である。外リンパ中のメチルプレドニゾロンのレベルは、6.5μg/mlのモルモット中のMPSヒドロゲルの中耳内投与後に急速にピークに達し、及び3日以内にピークレベルの断片(fraction)(0.8−1.0%)にまで減少した。対照的に、あまり可溶性でないMPを含む製剤の投与は、10日にわたってゆっくりと減少した、より高いピークレベル(19.2μg/ml)をもたらした。
【0156】
したがって、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのコポリマーを含む、懸濁液熱可逆性ゲル形成におけるコルチコステロイド(例えば、多粒子のデキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンなど)の不溶性粒子は、耳の領域(例えば、外リンパ)における活性薬剤の滞留時間を増加した。
【0157】
活性薬剤の放出特性を調製するためのまた別の手法は、製剤における活性薬剤の濃度を変更することによるものである。一例として、活性薬剤の濃度の増加にて、a)(外リンパ中で測定されるような)内耳中で到達した最初の薬物レベルは高く、及び、b)曝露の持続期間の増加が存在する。
【0158】
粒径の調整は、本明細書に記載される任意の製剤に関して、表面積を増加させるため、及び/又は活性薬剤の溶解特性を調整するため、及び/又は一貫した平均粒度分布(PSD)(例えば、マイクロメートルサイズの粒子、ナノメートルサイズの粒子など)を維持するため、随意に使用される。微粒子化は、固形材料の粒子の平均直径を減少するプロセスである。幾つかの実施形態において、微粉化した固体中の粒子の平均直径は、約0.5μmから約500μmまでである。幾つかの実施形態において、微粉化した固体中の粒子の平均直径は、約1μmから約200μmまでである。幾つかの実施形態において、微粉化した固体中の粒子の平均直径は、約2μmから約100μmまでである。幾つかの実施形態において、微粉化した固体中の粒子の平均直径は、約3μmから約50μmまでである。
【0159】
幾つかの例において、本明細書に記載される製剤中の任意の粒子は、コーティングされた又はコーティングされていない粒子(例えば、コーティングした微粉化した粒子、ナノ粒子)、及び/又は小球、及び/又はリポソーム粒子である。粒径の減少の技術は、一例として、研削、製粉(例えば、空気摩擦製粉(ジェットミリング)、ボールミリング)、コアセルベーション、複雑なコアセルベーション、高圧均質化、噴霧乾燥、及び/又は超臨界流体結晶化を含む。幾つかの例において、粒子は、(例えば、ハンマーミル、ボールミル、及び/又はピンミルによる)機械的な衝撃によってサイズ調整される。幾つかの例において、粒子は、(例えば、スパイラルジェットミル、ループジェットミル、及び流動床式ジェットミルによる)流体エネルギーによってサイズ調整される。
【0160】
本明細書に記載される方法に適切な組成物の放出特性は、溶解技術を使用して随意に決定される。1つの実施形態において、溶解は、snapwell(0.4μmの孔径を備えた6.5mmの直径ポリカーボネート膜)において37℃で行なわれ、本明細書に記載されるゲル製剤(例えば、実施例1のゲル製剤)の0.2mLは、snapwellに入れられ、硬化され、その後、0.5mLのバッファーがリザーバーに入れられ、70rpmでLabline orbit shakerを使用して振られる。サンプルを、1時間毎に採取する(0.1mLを採取し、暖かいバッファーと交換する)。サンプルは、外部校正標準曲線に対して245nmでのUVによって、活性薬剤の濃度について分析される。プルロニック濃度は、チオシアン酸コバルトの方法を使用して、624nmで分析される。%P407の機能としての平均溶解時間(MDT)の相対的順位が決定される。製剤平均溶解時間(MDT)とP407の濃度の直線関係は、活性薬剤が、拡散を介してではなくポリマーゲル(ポロクサマー)の浸食により放出されることを示す。直線関係は、拡散及び/又はポリマーゲル分解の組み合わせによる活性薬剤の放出を示す。
【0161】
MDTは、本明細書に記載される組成物からの活性薬剤の放出速度に反比例する。実験的に、放出された活性薬剤は、Korsmeyer−Peppasの方程式に随意に適合される:
【0162】
【化2】
【0163】
Qが時間tで放出された活性薬剤の量である場合、Qαは活性薬剤の全体の放出された量であり、kはn番目の順番の放出定数であり、nは溶解メカニズムに関係する無次元数であり、及び、bは軸遮断(axis intercept)であり、初期バースト放出機構を特徴づけ、ここで、n=1は浸食制御機構を特徴づける。平均溶解時間(MDT)は、薬物分子が放出前にマトリクスの中にとどまる異なる期間の合計であり、分子の総数で割られ、次のものによって随意に計算される:
【0164】
【化3】
【0165】
代替の実施形態において、サンプルは、Li Xin−Yu paper [Acta Pharmaceutica Sinica 2008,43(2):208−203]によって記載される方法を使用して分析され、及び%P407の機能としての平均溶解時間(MDT)の順位が決定される。
【0166】
様々な変数に関して上述される、活性薬剤、組成物、及び方法の任意の組み合わせは、本明細書で熟考される。本明細書の全体にわたって、使用のための薬剤、組成物、及び方法が提供され、それを必要とする個体に適切な処置を提供するため、当業者によって選択される。
【実施例】
【0167】
<実施例1:多粒子のデキサメタゾンを含む熱可逆性ゲル2%のデキサメタゾン組成物の調製>
【0168】
【表2】
【0169】
2.0%の微粉化したデキサメタゾンを含んでいるゲル製剤の10gのバッチを調製する。13.8mgのリン酸ナトリウムの二塩基性の二水和物USP(Fisher Scientific.)+3.1mgのリン酸ナトリウムの一塩基性の一水和物USP(Fisher Scientific.)+74mgの塩化ナトリウムUSP(Fisher Scientific.)を、8.2gの無菌濾過したDI水で溶解し、pHを1M NaOHで7.4に調節する。緩衝液を冷却し、適切な量のポロクサマー407(BASF Corp.、およそ100ppmのBHTを含む)を、混合する間に冷却したPBS溶液へまき、ポロクサマーがすべて溶解するまで溶液を混合する。ポロクサマーを、33mmのPVDF 0.22μm 無菌シリンジフィルター(Millipore Corp.)を使用して無菌濾過し、無菌環境において2mLの無菌のガラスバイアル(Wheaton)に送達し、バイアルを無菌のブチルゴム栓(Kimble)で閉じ、13mmのAlシール(Kimble)で圧着して密閉する。20mgの微粉化したデキサメタゾンを、個別の清潔な発熱物質除去したバイアルに入れ、バイアルを無菌のブチルゴム栓(Kimble)で閉じ、13mmのAlシール(Kimble)で圧着して密閉し、バイアルを、140℃で7時間滅菌した(Fisher Scientific Isotemp oven)。本明細書に記載される実験の実施前に、1mLの冷たいポロクサマー溶液を、1mLの無菌シリンジ(Becton Dickinson)に付けられた21G針(Becton Dickinson)を使用して、20mgの無菌の微粉化したデキサメタゾンを含むバイアルに送達して、懸濁液を振ることで十分に混合し、懸濁液の均質性を確保する。その後、懸濁液を21Gシリンジで引き抜き、針を投与のため、27Gの針に切り替える。
【0170】
6%のデキサメタゾン製剤も、以下のように生成物を使用する準備のために調製した:205.4gのDI水を量り、その後、1.1342gの塩化ナトリウム(Fisher scientific)を加えて、1.53gのトロメタミン(Fisher scientific)を加え、溶解し、およそ1.9mLの5N HClでpHを7.8に調節する。126.2gのバッファーを量り、冷却し、混合する間に24.5gのポロクサマー407(Lutrol F127, BASF)をまき、溶解する。6.2mLの16%ポロクサマー407溶液を得て、混合する間に混合物に400mgの微粉化したデキサメタゾン(Pfizer)を加え、1mLを2mLのオートクレーブしたバイアルに移し、121℃で30分間それらをオートクレーブする。
【0171】
<実施例2−5:多粒子のコルチコステロイドを含む熱可逆性のゲル状組成物の調製>
ポロクサマー、及びエリスロマイシン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びトリアムシノロンの不溶性粒子を含む熱可逆性のゲル製剤を、上記実施例1に記載の手順を使用して調製する。
【0172】
<実施例6:熱可逆性ゲルJNK阻害剤組成物の調製>
16%のポロクサマー製剤における2%のSP600125を、以下のように生成物を使用する準備のために製造した:205.4gのDI水を量り、次に、1.1342gの塩化ナトリウム(Fisher scientific)を加え、1.53gのトロメタミン(Fisher scientific)を加え、溶解し、およそ1.9mLの5N HClでpHを7.8に調節する。126.2gのバッファーを量り、冷却し、混合する間に24.5gのポロクサマー407(Lutrol F127, BASF)をまき、溶解する。0.22μm PVDF 33mmのシリンジフィルターで、16%ポロクサマー溶液を無菌濾過する。207mgの製粉したSP600125(LC laboratories)を量り、その後、1.8mLの無菌濾過した16%ポロクサマー407を加え、次に、3mLのオートクレーブ滅菌したバイアルに移す。
【0173】
<実施例7:微粉化したデキサメタゾン粉末及び精製したポロクサマーを含む、熱可逆性ゲル状デキサメタゾン組成物の調製>
<ポロクサマーの精製>
方法A:ポロクサマー407(BASF Corporation, lot WPEB612B)を、75/25の水/イソプロパノール v/v溶液に溶解する。溶液を27℃にまで平衡化する。塩化ナトリウムを加えて激しく混合し、溶液を遠心分離し、2つの明るい無色の位相の形成を可能にする。より低い位相を排出し、溶液を再び希釈し、水/イソプロパノール 75/25 v/v溶液の追加、その後27℃までの平衡化、及び塩化ナトリウムの追加によって、その最初の重量/容積に近づける。溶液を遠心分離し、2つの明るい無色の位相の形成を可能にする。より低い位相を2回排出し、溶液を戻し、水/イソプロパノール溶液及び以前に記載されるような塩化ナトリウムの追加によって、その原重量に近づけた。結果として生じる溶液を遠心分離し、より低い位相を排出して廃棄する。第3の抽出からの上部の位相を乾燥し、その後クロロホルムで抽出する。その後、クロロホルム層は減圧下で蒸発する。残留物を真空下で乾燥する。
【0174】
方法B:「BASF Corporation, Mount Olive, N.J.」のポロクサマー407を、脱イオン水に溶解する。溶液を凍結に近い状態に維持し、その後、硫酸アンモニウムを加える。溶液を2℃で平衡化し、2つの別個の位相を形成した後、より低い位相を廃棄し、上部の位相を集めて重さを量る。脱イオン水を加え、また、溶液を2℃で平衡化する。その後、攪拌により硫酸アンモニウムを加える。塩を溶解した後、2つの位相を形成するまで、溶液をほぼ2℃で維持する。上部の位相を分離し、脱イオン水で希釈する。溶液を約2℃にまで冷却し、硫酸アンモニウムを加える。位相は、上記のように分離することが可能となる。上部の位相を分離し、ジクロロメタンで抽出する。2つの位相を、一晩で形成することを可能にする。有機(より低い)相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。ジクロロメタン位相を、PTFEフィルター(0.45μmの孔径)を通して濾過し、溶解していない塩を除去する。ジクロロメタンを減圧下で除去し、残留物をオーブン中で一晩乾燥する。
【0175】
実施例1の手順に従い、上記の方法A又は方法Bの精製したポロクサマーを、以下の表Bに記載される構成成分を含む製剤の調製に使用する。
【0176】
【表3】
【0177】
<実施例8:熱可逆性ゲルIGF−1組成物の調製>
17%ポロクサマー製剤中の0.05%のIGF−1を、以下のように生成物を使用するための準備として製造した:205.4gのDI水を量り、次に、1.1342gの塩化ナトリウム(Fisher scientific)を加え、1.53gのトロメタミン(Fisher scientific)を加え、溶解し、およそ1.9mLの5N HClでpHを7.8に調節する。83gのバッファーを量り、冷却し、混合する間に17.1gのポロクサマー407(Lutrol F127, BASF)をまき、溶解し、その後、5mgのエバンスブルー(Sigma)を溶解する。0.22μm PVDF 33mmのシリンジフィルターで、17%ポロクサマー溶液を無菌濾過する。2mLの無菌濾過した17%ポロクサマー溶液/エバンスブルーに1mgのIGF−1(PeproTech)を加え、軽い混合によって薬物を溶解する。2mLのオートクレーブしたバイアルに製剤を移す。
【0178】
<実施例9:シスプラチンにより誘発される耳毒性モデルにおける、モルモット中のデキサメタゾン製剤の鼓室内注入のインビボ(in vivo)試験>
生後およそ6−8週の、体重200−300gのメスのモルモット(Charles River)を使用する(1つのグループにつきN=4)。任意の手順の前に、動物に、筋肉内ルートを介して1時間までの間に、キシラジン(10mg/kg)、ケタミン(40mg/kg)、及びアセプロマジン(0.75mg/kg)の組み合わせを使用して麻酔をかける。必要な場合、手術時の追加免疫を腹腔内投与し、本来の投与量の10分の1を表わす。鼓室内注入−正円窓ニッチへの注入に好ましい角度に頭を傾けるように、各動物を位置付ける。簡潔には、手術用顕微鏡を備えた視覚化の下で、0.2−6%のデキサメタゾンを含み、P407の濃度を変える製剤の50μlを、動物に投与する。製剤を、27Gまたは30Gの針を使用して、鼓膜を通って正円窓ニッチが位置する上の後部の四分円へと注入する。手順中及び回収までに、動物を生体動物園に戻す時間に意識が回復するまで、動物を、温度制御した(40℃)加温パッドに置く。
【0179】
外リンパのサンプリング手順−麻酔をかけたモルモットの耳の後ろの皮膚を削り、ポビドンヨードで消毒する。その後、耳の後ろを切開し、筋肉を大水疱の上から注意深く収縮する。中耳を露出し、アクセス可能となるように、歯科用穿子を使用して大水疱を通る孔をあける。蝸牛及び正円窓膜を、ステレオの外科用顕微鏡の下で視覚化する。正円窓に隣接した蝸牛(活性なカプセル)の骨のような殻を通る、独特な微小径を手動で空ける。その後、外リンパ(μl)を、蝸牛の鼓室階に挿入されたミクロキャピラリーを使用して集める。血漿とCSFの収集方法−ヘパリンコーティングしたチューブへの心臓穿刺によって、血液を集める。脳脊髄液(CSF)を集めるため、頭蓋頂点のちょうど後部に小さな皮膚切開を行う。その後、皮膚は収縮し、僧帽筋を後頭骨から削り取った。その後、骨を通る小さな穴をあける。硬膜を鋭いメスで切断して、及び血液の無いCSF(50μl)を集めるためにマイクロピペットを挿入する。
【0180】
シスプラチン送達:実施例1の製剤の鼓室内注入を、シスプラチン投与の前日に投与する。腹部の右下の四分円を1インチ削り、アルコールで拭き取る。腹部上に小さな(2−3mm)切開を行い、21Gの鈍角の針を使用して、腹壁及び腹腔内の空洞を貫通させる。5−15mg/kgの範囲での15−30分の遅い注入のため、シスプラチンを含む注入バッグに針を接続する。切開部位を、無菌のステープルを使用して閉じる。注入中及び回収の間に、動物を暖かいパッドに置く。さらに、動物は、3日間食塩水の1日2度のIP注入を受け、腎毒性を防ぐ。
【0181】
聴力検査−動物の聴力を、様々な時点で、既知の聴力の刺激に応じる脳幹活動(ABR:聴性脳幹反応)を記録することにより試験する。この測定を全身麻酔下で行なう。手順中、動物を防音ブースにおいて加温パッド(40℃)に置き、イヤホンを一度に片耳に緩く入れる。3つの皮下の針電極を、脳幹活動を測定するために使用する。1つ目をイヤホンと共に耳の後ろに、2つ目を頭蓋頂点上に、3つ目を後脚に置く。その後、録音を行い、ここで、音声刺激を異なる頻度及び聴力閾値(hearing thresholds)で適用し、脳幹活動を記録する。
【0182】
<実施例10−11:アミノグリコシドにより誘発される耳毒性モデルにおける、モルモット中のメチルプレドニゾロン製剤の鼓室内注入のインビボ(in vivo)試験>
実施例9に記載の手順に従い、メチルプレドニゾロン製剤を、バンコマイシン(Vacomycin)又はゲンタマイシンによる処置の前に、モルモットに投与する。上記実施例9に記載されるように、聴力を評価する。
【0183】
<実施例12:ビンクリスチンにより誘発される耳毒性モデルにおける、モルモット中のプレドニゾロン製剤の鼓室内注入のインビボ(in vivo)試験>
実施例9に記載の手順に従い、プレドニゾロン製剤を、ビンクリスチンによる処置の前に、モルモットに投与する。上記実施例9に記載されるように、聴力を評価する。
【0184】
<実施例13:音響外傷モデルにおける、モルモット中のデキサメタゾン製剤の鼓室内注入のインビボ(in vivo)試験>
実施例9に記載の手順に従い、デキサメタゾン製剤を、音響外傷への曝露の前に、モルモットに投与する。上記実施例8に記載されるように、聴力を評価する。図2−4は、聴力損失を防ぐ際のデキサメタゾンの熱可逆性ゲル製剤の予防的投与の予防効果を示す。
【0185】
<実施例14:音響外傷モデルにおける、モルモット中のSP600125製剤の鼓室内注入のインビボ(in vivo)試験>
実施例9に記載の手順に従い、SP600125製剤を、音響外傷への曝露の前に、モルモットに投与する。上記実施例9に記載されるように、聴力を評価する。図5は、音響外傷による聴力損失を防ぐ際のJNK阻害剤SP600125の効果を示す。
【0186】
<実施例15:シスプラチン処置を受ける患者におけるデキサメタゾンを含む、鼓室内の熱可逆性ゲル製剤の予防効果を試験する臨床試験>
研究目的:この研究の目的は、シスプラチン処置による耳毒性が実施例1に記載されるような組成物の使用によって予防され得るかどうかを調べることである。癌と診断された、及びシスプラチンによる処置を処方された患者を、研究に登録する。
【0187】
研究タイプ:介入
【0188】
研究設計:無作為化された効果の研究、プラセボ対照。患者を、2つの処置群、プラセボ治療群、及びデキサメタゾン処置群の1つに無作為化する。デキサメタゾンを含む熱可逆性のゲル製剤の単一の鼓室内注入を、シスプラチン処置開始の24時間前に投与する。
【0189】
主要な結果測定:閾値の聴力レベル。耳毒性を、任意の1つの試験周波数にて少なくとも20dB、又は任意の2つの隣接した周波数にて少なくとも10dB、或いは基線のものと、追跡調査中のものとの間の、3つの連続した周波数での反応の喪失により、可聴閾値の増加として定義する。
【0190】
<実施例16−17:プレドニゾロン又はメチルプレドニゾロンを含む、鼓室内の熱可逆性ゲル製剤の予防効果を試験する臨床試験>
メチルプレドニゾロン又はプレドニゾロンを含む製剤を、上記実施例15に記載のプロトコルに従い、カルボプラチンとバンコマイシンによる処置をそれぞれ受ける患者において試験する。閾値の聴力レベルを記録する。
【0191】
<実施例18:音響外傷に曝露する前に、デキサメタゾンを含む鼓室内の熱可逆性ゲル製剤の予防効果を試験する臨床試験>
研究目的:この研究の目的は、実施例1に記載されるような組成物の使用によって、音響外傷による聴力損失を予防することができるかどうかを調べることである。大きな雑音に曝露されることを予想する被験体を、この研究に登録する。
【0192】
研究タイプ:介入
【0193】
研究設計:無作為化された効果研究、フラセボ対照。患者を、2つの治療群、プラセボ治療群、及びデキサメタゾン治療群の1つに無作為化する。デキサメタゾンを含む熱可逆性のゲル製剤の単一の鼓室内注入を、音響外傷の発症の24時間前に投与する。
【0194】
主要な結果の測定:閾値の聴力レベル。聴力損失を、1つの試験周波数にて少なくとも20dB、又は任意の2つの隣接した周波数にて少なくとも10dB、あるいは基線間と追跡調査中の3つの連続した周波数での反応の損失によって、可聴閾値の増加として定義する。
【0195】
<実施例19:音響外傷への曝露の前に、JNK阻害剤を含む鼓室内の熱可逆性ゲル製剤の予防効果を試験する臨床試験>
SP600125を含む製剤を、上記実施例18に記載されるプロトコルに従い、音響外傷への曝露を予想する個体において試験する。閾値の聴力レベルを記録する。
【0196】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されてきた一方で、そのような実施形態が実施例のみによって提供されることは当業者にとって明白であろう。多数の変更、変化、及び置換は現在、本発明から逸脱することなく、当業者によって想到されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明を実行する際に利用され得ることを理解されたい。以下の請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、これら請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内の方法及び構造は、それによって包含されることが意図される。
図1
図2
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図7
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図10
図11