特許第6012142号(P6012142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012142
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】ホース洗浄ノズル
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/043 20060101AFI20161011BHJP
   B08B 9/045 20060101ALI20161011BHJP
   B05B 3/06 20060101ALI20161011BHJP
   E03C 1/304 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   B08B9/043 433
   B08B9/045
   B05B3/06 B
   E03C1/304
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-101586(P2011-101586)
(22)【出願日】2011年4月28日
(65)【公開番号】特開2012-232249(P2012-232249A)
(43)【公開日】2012年11月29日
【審査請求日】2014年4月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中井 智胤
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−194611(JP,A)
【文献】 特開2005−083037(JP,A)
【文献】 実開昭62−159589(JP,U)
【文献】 特開昭59−092086(JP,A)
【文献】 実開昭64−039891(JP,U)
【文献】 特開2006−239637(JP,A)
【文献】 特開平07−060165(JP,A)
【文献】 特開2001−269638(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体の先端部分に回転自在に取り付けられ円筒形のノズル本体と、
前記ノズル本体の外周面の全周に設けられた断面円弧状の溝と
前記溝の位置に設けられ、前記ノズル本体の中心軸に対して斜め後方へ開口すると共に、直線的かつ軸線が前記中心軸と交わらないように形成され、前記ノズル本体内から流体を噴射可能に構成された噴射孔と、
を備え、
前記溝における前記ノズル本体の後端側の斜面と前記ノズル本体の外周面とで成す角部において、前記噴射孔の軸線方向の後方に凹面が形成されている、ホース洗浄ノズル。
【請求項2】
前記噴射孔の軸線は、直交する2つの投影面において前記中心軸と平行となり、残りの1つの投影面において、該中心軸に対して傾斜している請求項1に記載のホース洗浄ノズル。
【請求項3】
前記噴射孔は、前記中心軸に対して点対称となるように複数設けられている請求項1又は請求項2に記載のホース洗浄ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホース洗浄ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
管内周面に沿ってノズルを旋回させることができる排水管洗浄装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−269638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホース洗浄ノズルを旋回させながら、ホースの洗浄を行うために、ノズルの先端部分に、異物除去のために例えば水を噴射する噴射孔と、回転のために例えばエアを噴射する回転孔が設けることが考えられる。
【0005】
しかしながら、異物除去のための洗浄用媒体が水であるかエアであるかにかかわらず、噴射と回転の孔が別々に設けられている場合、個々の孔からの洗浄用媒体の排出速度及び圧力が低下し、洗浄力が弱くなってしまう。これを解決するために、上記した従来例のように、異物除去のための噴射孔と回転のための回転孔を1つにまとめた1つ孔タイプのノズルがある。
【0006】
ところが、1つ孔タイプとする場合には、該1つ孔に対して、ノズルの軸方向に対して噴射角度(例えば30〜45度)と回転角度(例えば約5度)の2つの角度を与える必要があり、孔開けのドリル加工を行うことが困難であった。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、噴射孔からの噴射力及びノズル本体の回転力を低下させることなく、孔開け加工が容易な構造とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のホース洗浄ノズルは、管体の先端部分に回転自在に取り付けられ円筒形のノズル本体と、前記ノズル本体の外周面の全周に設けられた断面円弧状の溝と、前記溝の位置に設けられ、前記ノズル本体の中心軸に対して斜め後方へ開口すると共に、直線的かつ軸線が前記中心軸と交わらないように形成され、前記ノズル本体内から流体を噴射可能に構成された噴射孔と、を備え、前記溝における前記ノズル本体の後端側の斜面と前記ノズル本体の外周面とで成す角部において、前記噴射孔の軸線方向の後方に凹面が形成されている
【0010】
噴射と回転の孔が別々に設けられている場合と異なり、1つの噴射孔から流体の噴射が行われるので、噴射孔からの噴射力及びノズル本体の回転力を低下させることがない。また、ノズル本体の外周面の全周に設けられた溝の位置に噴射孔が設けられ、該噴射孔の軸線が直線的になっているので、該噴射孔の孔開け加工は容易である。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載のホース洗浄ノズルにおいて、前記噴射孔の軸線は、直交する2つの投影面において前記中心軸と平行となり、残りの1つの投影面において、該中心軸に対して傾斜している。
【0012】
請求項2に記載のホース洗浄ノズルでは、噴射孔の穿孔時にドリル等の工具の折損を抑制することができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のホース洗浄ノズルにおいて、前記噴射孔は、前記中心軸に対して点対称となるように複数設けられている。
【0014】
請求項3に記載のホース洗浄ノズルでは、噴射孔が、ノズル本体の中心軸に対して点対称となるように複数設けられているので、ノズル本体の回転力を向上させると共に、ホースの内面の異物除去(洗浄)を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載のホース洗浄ノズルによれば、ノズルからの噴射力及びノズルの回転力を低下させることなく、孔開け加工が容易な構造とすることができる、という優れた効果が得られる。
【0016】
請求項2に記載のホース洗浄ノズルによれば、噴射孔の穿孔時にドリル等の工具の折損を抑制することができる、という優れた効果が得られる。
【0017】
請求項3に記載のホース洗浄ノズルによれば、ノズル本体の回転力を向上させると共に、ホースの内面の異物除去(洗浄)を効率的に行うことができる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ホース内に配置されたホース洗浄ノズルを示す部分破断斜視図である。
図2】ホース内に配置されたホース洗浄ノズルを示す、図1における2−2矢視拡大断面図である。
図3】ホース洗浄ノズルを示す平面図である。
図4】ホース洗浄ノズルにおける噴射孔の構成を示す斜視断面図である。
図5】変形例に係るホース洗浄ノズルにおける噴射孔の構成を示す斜視断面である。
図6】ホース洗浄ノズルにおける支持部材によるノズル本体の支持状態を示す部分破断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。図1から図3において、本実施形態に係るホース洗浄ノズル10は、管体の一例たる高圧ホース16の先端部分に回転自在に取り付けられ、ノズル本体12と、噴射孔14と、を有し、ホース20の内面20Aの異物除去(洗浄)を行うために用いられる。
【0020】
ノズル本体12は、例えば略円筒形の部材である。具体的には、図6に示されるように、高圧ホース16の先端部分には、例えば支持部材18が固定され、ノズル本体12は、該支持部材18の小径部18Aに回転自在に支持されている。この小径部18Aの内部には、ホース20と連通した流路18Bが形成されており、小径部18Aの外周には、該流路18Bと連通した少なくとも1つの孔18Cが形成されている。小径部18Aにおける該孔18Cの形状、数及び配置は任意である。
【0021】
ノズル本体12の先端12A側となる支持部材18の先端には、ホース洗浄ノズル10が洗浄対象のホース20内を円滑に進むことができるようにするための、例えば略半球形状のガイド部22が設けられている。ノズル本体12は、このガイド部22と支持部材18との間で、小径部18Aを中心として回転する構造となっている。
【0022】
図3に示されるように、ノズル本体12の内部は、先端12Aから後端12B側に貫通し、支持部材18の小径部18A(図6)よりわずかに大径の空洞12Cとなっている。なお、空洞12Cは、1つに限られず、各噴射孔14に対応して複数形成されていてもよい。
【0023】
ノズル本体12の外周面12Dには、溝12Eが形成されている。この溝12Eの断面形状は、円弧形やV字形とすることができる。
【0024】
図1から図4において、噴射孔14は、ノズル本体12に、該ノズル本体12の中心軸CLに対して斜め後方(矢印A方向)、即ち後端12B側に開口すると共に、軸線Lが直線的かつ中心軸CLと交わらないように穿孔されている。これにより、ノズル本体12内から噴射孔14を通じて、流体の一例たる圧縮空気を噴射することが可能となっている。
【0025】
具体的には、図3図4に示されるように、噴射孔14は、例えばノズル本体12の外周面12Dに設けられた溝12Eの位置に、後端12B側から先端12A側に向けて、空洞12Cに貫通するように斜めに穿孔されている。溝12Eを設けることで、ノズル本体12の中心軸CLに対して角度θで傾斜した噴射孔14の孔開け加工が容易となる。図1から図4に示される例では、噴射孔14の穿孔時に、溝12Eにおけるノズル本体12の後端12B側の角部を一部削り取ることで、凹面12Fが形成されている。この凹面12Fを設けることで、圧縮空気を噴射孔14から斜め後方(矢印A方向)に円滑に噴射できるようになっている。
【0026】
この噴射孔14の軸線Lは直線となっており、該噴射孔14は直線的に形成されている。また図2に示されるように、ノズル本体12の中心軸CLの方向から見て、噴射孔14の軸線Lは、該中心軸CLに対して、偏心量eだけオフセットされている。この偏心量eを変化させることで、ノズル本体12の回転力を変化させることができる。例えば該偏心量eを大きく設定すると、ノズル本体12の回転力を大きくすることができ、該偏心量eを小さく設定すると、ノズル本体12の回転力を小さくすることができる。
【0027】
図2において、ノズル本体12の中心軸CL方向から見て、軸線Lが上下方向となる噴射孔14(左上の噴射孔14)を、ノズル本体12の上方から見たとき、図3に示されるように、該噴射孔14(下側の噴射孔14)の軸線Lは、ノズル本体12の中心軸CLと例えば平行である。またこの噴射孔14をノズル本体12の側方からみたとき、図4に示されるように、噴射孔14(上側の噴射孔14)の軸線Lは、中心軸CLに対して角度θ傾斜している。この角度θは、例えば30〜60°である。30°を下回ると、ノズル中心から外部までの距離が長くなり噴射圧が低下してしまい、洗浄力が低下してしまうからである。一方、60°を上回ると、外部までの距離は短いので噴射圧は高いものの、ノズル後方に噴射が困難となり、異物の混入の懸念があるからである。より好ましい角度範囲は30〜45°である。
【0028】
換言すれば、図4に示されるように、噴射孔14の軸線Lは、直交する2つの投影面P1,P2において中心軸CLと平行となり、残りの1つの投影面P3において、該中心軸CLに対して傾斜している。なお、投影面Pにおいては、中心軸CLが点状となるため、より具体的には、噴射孔14の軸線Lは、投影面P3の方向と平行となっている。これにより、噴射孔14の穿孔時にドリル等の工具の折損を抑制できるようになっている。
【0029】
図2に示されるように、噴射孔14は、ノズル本体12の中心軸CLに対して点対称となるように複数設けられている。本実施形態では、噴射孔14が4箇所に設けられている。
【0030】
なお、図5に示される変形例のように、溝のない外周面12Dに対して噴射孔14を穿孔してもよい。
【0031】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図1図2において、本実施形態に係るホース洗浄ノズル10では、高圧ホース16から、支持部材18の流路18B及び孔18Cを通じて、ノズル本体12の空洞12Cに圧縮空気が供給される。ノズル本体12内から流体を噴射可能とする噴射孔14は、ノズル本体12の中心軸CLに対して斜め後方に開口しているので、空洞12Cに供給された圧縮空気は噴射孔14から矢印A方向に噴射される。この圧縮空気がホース20の内面20Aに当たることで、該内面20Aの異物除去(洗浄)が行われる。噴射孔14は複数設けられているので、ホース20の内面20Aを効率的に洗浄することができる。
【0032】
また図2に示されるように、ノズル本体12の中心軸CLの方向から見て、噴射孔14の軸線Lが、該中心軸CLに対して、偏心量eだけオフセットされているので、噴射孔14から圧縮空気が噴射されることにより、ノズル本体12に支持部材18の小径部18A(図6)を中心とした矢印B方向の回転力が生じる。この噴射孔14は、ノズル本体12の中心軸CLに対して点対称となるように設けられているので、ノズル本体12の回転力を向上させることができる。
【0033】
このように、本実施形態では、噴射孔14から噴射される圧縮空気により、ノズル本体12を矢印B方向に回転させながら、ホース20の内面20Aの異物除去(洗浄)を満遍なく行うことができる。しかも、噴射と回転の孔が別々に設けられている場合と異なり、1つの噴射孔14から圧縮空気の噴射が行われるので、噴射孔14からの噴射力及びノズル本体12の回転力を低下させることがない。また圧縮空気を、噴射孔14から矢印A方向に噴射することで、ホース洗浄ノズル10を矢印C方向に前進させることも可能である。
【0034】
また噴射孔14は、ノズル本体12に、直線的かつ軸線Lが中心軸CLと交わらないように形成されるので、孔開け加工が容易であり、該孔開け加工時におけるドリル等の工具の折損を抑制することができる。
【0035】
(他の実施形態)
高圧ホース16の先端部分におけるホース洗浄ノズル10の取付け構造は、上記のものに限られず、高圧ホース16に対して回転自在な取付け構造であればよい。またホース洗浄ノズル10の噴射孔14から噴射される流体の一例として、圧縮空気を挙げたが、これに限られず、高圧水等の液体であってもよい。更に、噴射孔14が4箇所に設けられるものとしたが、これに限られず、2箇所や6箇所等であってもよい。また噴射孔14が、ノズル本体12の中心軸CLに対して点対称となるように複数設けられるものとしたが、噴射孔14の配置は必ずしもこれに限られず、例えばノズル本体12の周方向の奇数箇所に均等配置するようにしてもよい。更に管体の一例として高圧ホース16を挙げたが、管体はこれに限られるものではなく、金属パイプ等も含まれる。
【符号の説明】
【0036】
10 ホース洗浄ノズル
12 ノズル本体
14 噴射孔
16 高圧ホース(管体)
CL 中心軸
L 軸線
P1 投影面
P2 投影面
P3 投影面
図1
図2
図3
図4
図5
図6