(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の座標位置に印刷開口が形成されたマスク印刷開口部を有する印刷マスクを備え、前記印刷開口を通して基板の部品装着面に基板印刷部分を半田印刷する印刷装置と、前記基板の前記部品装着面に印刷された前記半田を検査する検査装置と、前記基板の前記部品装着面における前記半田上に部品を装着する部品装着装置と、を備えた部品実装システムにおける部品実装方法であって、
前記印刷開口を通して基板印刷部分を半田印刷した基板を準備する生産準備工程と、
半田検査後であって部品装着前に、前記マスク印刷開口部に対応する仮想マスク印刷開口部を前記検査装置での半田検査により検出された前記検査装置の座標系における前記基板印刷部分の座標と前記基板の座標系との関係を表す印刷位置情報に基づいて前記基板の座標系に設定する仮想マスク印刷開口部設定工程と、
前記仮想マスク印刷開口部における前記印刷開口に対応する仮想印刷開口の複数の座標位置に応じて前記基板上の部品装着位置を求める装着位置演算工程と、
前記部品装着位置に基づいて前記部品を前記基板上に装着する部品装着工程と、を備える部品実装方法。
複数の座標位置に印刷開口が形成されたマスク印刷開口部を有する印刷マスクを備え、前記印刷開口を通して基板の部品装着面に基板印刷部分を半田印刷する印刷装置と、前記基板の前記部品装着面に印刷された前記半田を検査する検査装置と、前記基板の前記部品装着面における前記半田上に部品を装着する部品装着装置と、を備えた部品実装システムであって、
前記印刷開口を通して基板印刷部分を半田印刷した基板を準備する生産準備手段と、
半田検査後であって部品装着前に、前記マスク印刷開口部に対応する仮想マスク印刷開口部を前記検査装置での半田検査により検出された前記検査装置の座標系における前記基板印刷部分の座標と前記基板の座標系との関係を表す印刷位置情報に基づいて前記基板の座標系に設定する仮想マスク印刷開口部設定手段と、
前記仮想マスク印刷開口部における前記印刷開口に対応する仮想印刷開口の複数の座標位置に応じて前記基板上の部品装着位置を求める装着位置演算手段と、
前記部品装着位置に基づいて前記部品を前記基板上に装着する部品装着手段と、を備える部品実装システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に記載の発明では、印刷マスクもしくは仮想マスクの開口位置を基に補正した部品装着位置を求めているため、実際に基板に印刷された半田の印刷位置と補正した部品装着位置との間には、ずれが生じることになる。この問題を解消するためには、基板ごとに全ての半田の印刷位置を検査装置により認識し、認識した全ての半田の印刷位置を部品装着装置に通知すればよい。しかし、全ての半田の印刷位置の通知には長時間掛かるため、基板の生産稼働率が低下することになる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、実際に基板に印刷された半田の印刷位置と補正した部品装着位置とを簡易に一致させることが可能な部品実装システムにおける部品実装方法および部品実装システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明は、複数の座標位置に印刷開口が形成されたマスク印刷開口部を有する印刷マスクを備え、前記印刷開口を通して基板の部品装着面に基板印刷部分を半田印刷する印刷装置と、前記基板の前記部品装着面に印刷された前記半田を検査する検査装置と、前記基板の前記部品装着面における前記半田上に部品を装着する部品装着装置と、を備えた部品実装システムにおける部品実装方法であって、
前記印刷開口を通して基板印刷部分を半田印刷した基板を準備する生産準備工程と、半田検査後であって部品装着前
に、前記マスク印刷開口部に対応する仮想マスク印刷開口部を前記
検査装置での半田検査により検出された前記検査装置の座標系における前記基板印刷部分の座標と前記基板の座標系との関係を表す印刷位置情報に基づいて
前記基板の座標系に設定する仮想マスク印刷開口部設定工程と、前記仮想マスク印刷開口部における前記印刷開口に対応する仮想印刷開口の複数の座標位置に応じて前記基板上の部品装着位置を求める装着位置演算工程と、前記部品装着位置に基づいて前記部品を前記基板上に装着する部品装着工程と、を備えることである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記生産準備工程では、前記印刷マスクのマスクマークを前記印刷装置の座標系内で移動可能な第1読取装置により読取るマスクマーク読取工程と、前記マスクマーク読取工程で読取られた前記印刷マスクのマスクマークに基づいて、前記印刷マスクのマスク座標系を前記印刷装置の座標系と関連付けるマスク関連付け工程と、前記印刷装置に搬入された前記基板の基板マークを前記第1読取装置により読取る基板第1読取工程と、前記基板第1読取工程で読取られた前記基板の基板マークに基づいて、前記基板の基板座標系を前記印刷装置の座標系と関連付ける基板関連付け第1工程と、前記印刷マスクのマスク印刷開口部が前記基板上の印刷すべき位置に来るように前記印刷マスクと前記基板とを相対位置合わせするマスク位置合わせ工程と、前記印刷マスクのマスク印刷開口部が前記基板上の印刷すべき位置に来るように前記印刷マスクと前記基板とを相対位置合わせした状態で、前記マスク印刷開口部を前記基板に前記印刷装置で半田印刷する印刷工程と、を備え、前記仮想マスク印刷開口部設定工程では、前記印刷装置で印刷され前記検査装置に搬入された前記基板の基板マーク及び前記基板印刷部分を前記検査装置の座標系内で移動可能な第2読取装置により読取る基板第2読取工程と、前記基板第2読取工程で読取られた前記基板の基板マークに基づいて、前記基板の座標系を前記検査装置の座標系と関連付ける基板関連付け第2工程と、前記基板第2読取工程で読取られた前記基板印刷部分に基づい
て前記検査装置の座標系における前記基板印刷部分の座標を求め、さらに、前記基板関連付け第2工程における関連付けに基づいて前記基板の座標系と
前記検査装置の座標系における前記基板印刷部分の
座標とを関連付けする印刷区域関連付け工程と、を備え、
前記印刷区域関連付け工程における座標の関連付けに基づいて前記マスク印刷開口部に対応する仮想マスク印刷開口部を前記基板の座標系に設定し、前記装着位置演算工程では、前記マスク印刷開口部の前記印刷開口の前記複数の座標位置に対応する前記仮想マスク印刷開口部の仮想印刷開口の前記基板の座標系上の複数の座標位置を前記部品装着装置での部品装着位置として演算し、前記部品装着工程では、前記検査装置で検査され前記部品装着装置に搬入された前記基板の基板マークを前記部品装着装置の座標系内で移動可能な第3読取装置により読取る基板第3読取工程と、前記基板第3読取工程で読取られた前記基板の基板マークに基づいて、前記基板の座標系を前記部品装着装置の座標系と関連付ける基板関連付け第3工程と、を備え、前記装着位置演算工程で演算された前記部品装着位置を前記基板の座標系と前記部品装着装置の座標系との関連付けに基づいて補正して、前記部品を前記基板上に前記部品装着装置で装着し、2枚目以降の前記部品が装着される前記基板においては、前記装着位置演算工程で演算された前記部品装着位置に基づいて前記部品を装着することである。
【0009】
請求項3に係る発明は、複数の座標位置に印刷開口が形成されたマスク印刷開口部を有する印刷マスクを備え、前記印刷開口を通して基板の部品装着面に基板印刷部分を半田印刷する印刷装置と、前記基板の前記部品装着面に印刷された前記半田を検査する検査装置と、前記基板の前記部品装着面における前記半田上に部品を装着する部品装着装置と、を備えた部品実装システムであって、
前記印刷開口を通して基板印刷部分を半田印刷した基板を準備する生産準備手段と、半田検査後であって部品装着前
に、前記マスク印刷開口部に対応する仮想マスク印刷開口部を前記
検査装置での半田検査により検出された前記検査装置の座標系における前記基板印刷部分の座標と前記基板の座標系との関係を表す印刷位置情報に基づいて
前記基板の座標系に設定する仮想マスク印刷開口部設定手段と、前記仮想マスク印刷開口部における前記印刷開口に対応する仮想印刷開口の複数の座標位置に応じて前記基板上の部品装着位置を求める装着位置演算手段と、前記部品装着位置に基づいて前記部品を前記基板上に装着する部品装着手段と、を備えることである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、まず、
印刷開口を通して基板印刷部分を半田印刷した基板を準備する。そして、半田検査後であって部品装着前
に、マスク印刷開口部に対応する仮想マスク印刷開口部を
検査装置での半田検査により検出された前記検査装置の座標系における基板印刷部分の座標と基板の座標系との関係を表す印刷位置情報に基づいて
基板の座標系に設定する。そして、仮想マスク印刷開口部における印刷開口に対応する仮想印刷開口の複数の座標位置に応じて基板上の部品装着位置を求め、該部品装着位置に基づいて部品を基板上に装着するようにしている。
【0011】
ここで、一般的に、印刷装置では、印刷マスクに付された位置基準となるマークと、基板に付された位置基準となるマークとに基づいて、印刷マスクと基板との位置合わせが行われる。また、半田は、印刷マスクのマスク印刷開口部の位置に対応する基板の基板印刷部分に印刷される。また、印刷マスクのマークと、基板に印刷された半田との相対位置は、印刷マスクが変わらない限り不変である。
【0012】
以上のことから、本発明のように、
検査装置の座標系における基板印刷部分の
座標と基板の座標系との関係を表す印刷位置情報に基づいて、マスク印刷開口部に対応する仮想マスク印刷開口部を基板の座標
系に設定することにより、基板上のどの位置に半田が印刷されているかを論理的に求めることができる。そして、仮想マスク印刷開口部における印刷開口に対応する仮想印刷開口の複数の座標位置に応じて基板上の部品装着位置を求めるようにしているので、実際に基板の部品装着面に印刷された半田上に部品を装着することが可能となる。よって、従来の印刷マスクのマスク印刷開口部に基づいて部品装着位置を求める場合と比較して、より高精度な部品装着が可能となり、セルフアライメント効果により部品装着位置の電極と部品の電極との電気的な接続を良好なものとすることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、仮想マスク印刷開口部設定工程では、基板の座標系と
検査装置の座標系における基板印刷部分の
座標との関連付けに基づいてマスク印刷開口部に対応する仮想マスク印刷開口部を基板の座標系に設定する。さらに、装着位置演算工程では、マスク印刷開口部の印刷開口の複数の座標位置に対応する仮想マスク印刷開口部の仮想印刷開口の基板の座標系上の複数の座標位置を部品装着装置での部品装着位置として演算する。そして、2枚目以降の部品が装着される基板においては、装着位置演算工程で演算された部品装着位置に基づいて部品を装着するようにしている。これにより、最初に生産する基板において部品装着位置を演算した後は、その後に生産する基板においては当該部品装着位置に基づいて部品を装着することができる。よって、部品装着位置の演算工程を省略することができ、基板の生産稼働率を向上させることができる。また、複数台の部品装着装置が並設されて同一の基板に部品装着する場合にも上記部品装着位置を流用することが可能であるので、基板の生産稼働率をさらに向上させることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、仮想マスク印刷開口部では、
検査装置の座標系における基板印刷部分の
座標と基板の座標系との関係を表す印刷位置情報に基づいて、マスク印刷開口部に対応する仮想マスク印刷開口部を基板の座標
系に設定しているので、上述の理由から、基板上のどの位置に半田が印刷されているかを論理的に求めることができる。そして、装着位置演算手段では、仮想マスク印刷開口部における印刷開口に対応する仮想印刷開口の複数の座標位置に応じて基板上の部品装着位置を求めるようにしているので、実際に基板の部品装着面に印刷された半田上に部品を装着することが可能となる。よって、従来の印刷マスクのマスク印刷開口部に基づいて部品装着位置を求める場合と比較して、より高精度な部品装着が可能となり、セルフアライメント効果により部品装着位置の電極と部品の電極との電気的な接続を良好なものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る部品実装システムの一実施の形態について説明する。
図1に示すように、この部品実装システムは、半田を基板Bに印刷する印刷装置1と、基板Bに印刷された半田を検査する検査装置2と、基板Bに印刷された半田上に部品を装着する部品装着装置3とで概略構成されている。印刷装置1、検査装置2および部品装着装置3は、それぞれ、基板Bを搬送する基板搬送装置4を有する。印刷装置1、検査装置2および部品装着装置3は、この順で上流側(
図1において左側)から下流側(
図1において右側)に向かってライン状に配置され、各装置1,2,3にはコンベアタイプの基板搬送装置4により基板Bが搬入出される。そして、印刷装置1、検査装置2および部品装着装置3の作動をそれぞれ制御する印刷制御装置5、検査制御装置6および装着制御装置7は、情報通知バスとなる通信ケーブル9を介して接続されている。印刷装置1、検査装置2、部品装着装置3および基板搬送装置4は、一般的な既知の装置であり、以下に概略構成を説明する。
【0017】
なお、部品実装システム全体としては、図示していないが、基板Bを搬入する基板搬入装置(ローダ)が、印刷装置1よりも上流側に配置され、基板Bに装着された部品を半田付けするリフロー装置および基板を搬出する基板搬出装置(アンローダ)が、部品装着装置3よりも下流側に配置されている。また、複数台の部品装着装置3がライン状に配置された部品実装システムとしてもよい。以下の説明においては、印刷装置1、検査装置2、部品装着装置3が並ぶ方向、すなわち基板Bの搬送方向をX軸方向と称し、水平面内においてX軸方向に直角な方向をY軸方向と称し、X軸方向とY軸方向とに直角な方向をZ軸方向と称する。
【0018】
印刷装置1は、搬送装置4の上方のXY平面上に配置された印刷マスク11と、印刷マスク11の上方に配置された半田塗布装置12と、印刷マスク11に設けられたマスク移送機構13と、搬送装置4の下方に配置された基板固定装置14と、印刷マスク11の上方に配置された第1読取装置として第1カメラ15(本発明の「基板撮像手段」に相当する)と、第1カメラ15に設けられたカメラ移送機構16と、印刷マスク11および半田塗布装置12に設けられた昇降装置17等とで概略構成されている。
【0019】
印刷マスク11は、
図6(A)に示すように、複数(図では便宜上1箇所のみ示す)の座標位置に印刷開口111が形成されたマスク印刷開口部11Aを有する。そして、印刷マスク11のマスク座標系を規定する際の基準となる2つのマスクマークMm1,Mm2が、対向する角部近傍にそれぞれ形成されている。また、基板Bの部品装着面には、
図6(B)に示すように、基板Bの基板座標系を規定する際の基準となる2つの基板マークMb1,Mb2が、対向する角部近傍にそれぞれ形成されている。この基板Bの部品装着面には、印刷マスク11の印刷開口111を通して基板印刷部分BAが半田印刷される。なお、マスクマークや基板マークの形成数や形成位置は、上述の形成数や形成位置に限定されるものではなく任意でよい。
【0020】
半田塗布装置12には、ペースト状の半田が貯留されたノズル12b付きのタンク12aと、図略のエアーシリンダ等によりX方向およびZ方向に移動可能なスキージ12c等とが備えられている。タンク12aは、ノズル12bを介して印刷マスク11のマスク面上に半田を供給可能に構成されている。スキージ12cは、マスク面上に供給された半田を基板Bにおける半田の印刷すべき位置に印刷するために、印刷マスク11のマスク面上に当接可能に、且つ印刷マスク11のマスク面に沿って摺接可能に構成されている。マスク移送機構13は、印刷マスク11をXY平面に沿って移動させ、搬入された基板Bの上方に印刷マスク11を位置決め固定するために、図略のサーボモータの駆動によりボールねじ機構を介して動作可能なXYロボットとして構成されている。
【0021】
基板固定装置14には、基板Bを載置可能なステージ14aと、ステージ14aをZ軸方向に移動させる移動装置14b等とが備えられている。ステージ14aは、搬入された基板Bを載置して印刷マスク11の下方の印刷位置にて位置決め固定するために、移動装置14bにより上昇可能に構成されている。第1カメラ15には、上下視野を切替えて印刷マスク11のマスク面や基板Bの部品装着面を撮像し、マスク面に付されているマスクマークMm1,Mm2や部品装着面に付されている基板マークMb1,Mb2等を読取るCCD等の撮像デバイスが備えられている。カメラ移送機構16は、第1カメラ15を印刷マスク11と基板Bとの間でマスク面および部品装着面に平行なXY平面に沿って移動させるXYロボットであり、上述のマスク移送機構13と同様に構成されている。昇降装置17は、印刷マスク11および半田塗布装置12をZ方向に昇降させ、搬入された基板Bの上方に印刷マスク11を位置決め固定するために、図略のサーボモータの駆動によりボールねじ17aおよびナット17bを介して動作可能に構成されている。
【0022】
検査装置2は、搬送装置4の下方に配置された基板固定装置21と、搬送装置4の上方に配置された第2読取装置として第2カメラ22と、第2カメラ22に設けられたカメラ移送機構23等とで概略構成されている。基板固定装置21には、基板Bを載置可能なステージ21aと、ステージ21aをZ軸方向に移動させる移動装置21b等とが備えられている。ステージ21aは、搬入された基板Bを載置して検査位置にて位置決め固定するために、移動装置21bにより上昇可能に構成されている。第2カメラ22には、基板Bの部品装着面を撮像し、部品装着面に付されている基板マークMb1,Mb2や印刷された半田等を読取るCCD等の撮像デバイスが備えられている。カメラ移送機構23は、第2カメラ22を検査装置2の上方空間で部品装着面に平行なXY平面に沿って移動させるXYロボットであり、上述のマスク移送機構13と同様に構成されている。
【0023】
部品装着装置3は、搬送装置4の下方に配置された基板固定装置31と、搬送装置4の一側(手前側)に配置された部品供給装置32と、搬送装置4の上方に配置された装着ヘッド33と、装着ヘッド33に取付けられた吸着ノズル34と、装着ヘッド33に取付けられた第3読取装置として第3カメラ35と、装着ヘッド33に設けられたヘッド移送機構36等とで概略構成されている。
【0024】
基板固定装置31には、基板Bを載置可能なステージ31aと、ステージ31aをZ軸方向に移動させる移動装置31b等とが備えられている。ステージ31aは、搬入された基板Bを載置して部品装着位置にて位置決め固定するために、移動装置31bにより上昇可能に構成されている。部品供給装置32には、部品を供給する複数のフィーダ32a等が備えられている。装着ヘッド33には、吸着ノズル33および第3カメラ34等が下向きに取付けられている。吸着ノズル34には、フィーダ32aから供給される部品を採取するために、Z軸回りで回転可能且つZ軸方向に移動可能な回転・移動機構34aおよびノズル先端からエアーを吸引する図略の真空ポンプ等が備えられている。第3カメラ35には、基板Bの部品装着面を撮像し、部品装着面に付されている基板マークMb1,Mb2等を読取るCCD等の撮像デバイスが備えられている。ヘッド移送機構36は、装着ヘッド33を部品装着装置3の上方空間で部品装着面に平行なXY平面に沿って移動させるロボットであり、上述のマスク移送機構12と同様に構成されている。
【0025】
次に、部品実装システムの動作を
図2に示すフローチャート(本発明の「生産準備工程、生産準備手段」に相当する)、
図3および
図4に示すフローチャート(本発明の「仮想マスク印刷開口部設定工程、仮想マスク印刷開口部設定手段」に相当する)並びに
図5に示すフローチャート(本発明の「装着位置演算工程、装着位置演算手段」、「部品装着工程、部品装着手段」に相当する)を参照して説明する。
図2に示すように、印刷制御装置5は、カメラ移送機構16を動作させて第1カメラ15により印刷マスク11のマスク面を撮像して画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、各マスクマークMm1,Mm2の位置情報を読取る(ステップ1、本発明の「マスクマーク読取工程」に相当する)。そして、読取った各マスクマークMm1,Mm2の位置情報に基づいて、印刷マスク11のマスク座標系を印刷装置1の機械座標系と関連付ける(ステップ2、本発明の「マスク関連付け工程」に相当する)。例えば、印刷マスク11のマスクマークMm1を原点として該原点を通る直交座標軸と印刷装置1に予め設定されている原点を通る直交座標軸とが一致するように、印刷マスク11の直交座標軸と印刷装置1の直交座標軸とを相対移動および相対回転させる。
【0026】
基板Bが基板搬送装置4により印刷装置1に搬入されると(ステップ3)、印刷制御装置5は、カメラ移送機構16を動作させて第1カメラ15により基板Bの部品装着面を撮像して画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、各基板マークMb1,Mb2の位置情報を読取る(ステップ4、本発明の「基板第1読取工程」に相当する)。そして、読取った各基板マークMb1,Mb2の位置情報に基づいて、基板Bの基板座標系を印刷装置1の機械座標系と関連付ける(ステップ5、本発明の「基板関連付け第1工程」に相当する)。例えば、基板Bの基板マークMb1を原点として該原点を通る直交座標軸と印刷装置1に予め設定されている原点を通る直交座標軸とが一致するように、基板Bの直交座標軸と印刷装置1の直交座標軸とを相対移動および相対回転させる。
【0027】
印刷制御装置5は、印刷マスク11のマスク印刷開口部11Aが基板B上の印刷すべき位置に来るように印刷マスク11と基板Bとを相対位置合わせし(ステップ6、本発明の「マスク位置合わせ工程」に相当する)、半田塗布装置13によりマスク印刷開口部11Aを基板B上に半田印刷する(ステップ7、本発明の「印刷工程」に相当する)。そして、印刷が完了した基板Bの搬出指令を基板搬送装置4に指令する(ステップ8)。
【0028】
図3に示すように、基板Bが基板搬送装置4により検査装置2に搬入されると(ステップ11)、検査制御装置6は、カメラ移送機構23を動作させて第2カメラ22により基板Bの部品装着面を撮像して画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、各基板マークMb1,Mb2の位置情報および基板印刷部分BAを読取る(ステップ12、本発明の「基板第2読取工程」に相当する)。そして、読取った各基板マークMb1,Mb2の位置情報に基づいて、基板Bの基板座標系を検査装置2の機械座標系と関連付ける(ステップ13、本発明の「基板関連付け第2工程」に相当する)。例えば、基板Bの基板マークMb1を原点として該原点を通る直交座標軸と検査装置2に予め設定されている原点を通る直交座標軸とが一致するように、基板Bの直交座標軸と検査装置2の直交座標軸とを相対移動および相対回転させる。
【0029】
検査制御装置6は、読取った基板印刷部分BAに基づいて、基板印刷部分BAの座標系を求め、基板Bの基板座標系と基板印刷部分BAの座標系とを関連付ける(ステップ14、本発明の「印刷区域関連付け工程」に相当する)。例えば、基板Bの基板座標系と基板印刷部分BAの座標系とが一致するように、基板Bの基板座標系と基板印刷部分BAの座標系とを相対移動および相対回転させる。そして、基板Bが1枚目の基板Bであるか否かを確認し(ステップ15)、基板Bが1枚目の基板Bである場合には、基板Bの基板座標系と基板印刷部分BAの座標系との関連付けに基づいて、印刷マスク11のマスク印刷開口部11Aに対応する仮想マスク印刷開口部を基板Bの基板座標系に設定する(ステップ16)。なお、ステップ15において、基板Bが1枚目の基板Bでない場合には、ステップ16の処理を行わずにステップ17に進む。
【0030】
すなわち、
図4に示すように、検査制御装置6は、印刷マスク11の各マスクマークMm1,Mm2の位置情報Mm1(Xmf1,Ymf1),Mm2(Xmf2,Ymf2)を用いて、マスクマークMm1とマスクマークMm2とを結ぶ線分Lmの中心点をマスク特異点Mmc(Xmc,Ymc)として次式(1)により演算する(ステップ201、
図7(A),(B)参照)。
(Xmc,Ymc)
=((Xmf1+Xmf2)/2,(Ymf1+Ymf2)/2)・・・(1)
【0031】
検査制御装置6は、基板Bの各基板マークMb1,Mb2の位置情報Mb1(Xbf1,Ybf1),Mb2(Xbf2,Ybf2)を用いて、基板マークMb1と基板マークMb2とを結ぶ線分Lbの中心点を第1基板特異点Mbc(Xbc,Ybc)として次式(2)により演算する(ステップ202、
図8(A),(B)参照)。
(Xbc,Ybc)
=((Xbf1+Xbf2)/2,(Ybf1+Ybf2)/2)・・・(2)
【0032】
そして、検査制御装置6は、基板印刷部分BAの印刷部分Pの位置情報P(Xp,Yp)を用いて、第1基板特異点Mbcから印刷部分Pへのベクトルの座標(Xpc,Ypc)を次式(3)により演算する(ステップ203、
図8(B)参照)。
(Xpc,Ypc)=(Xp−Xbc,Yp−Ybc)・・・(3)
【0033】
さらに、検査制御装置6は、マスクマークMm1とマスクマークMm2とを結ぶ線分Lmの印刷装置1の機械座標系のXp軸に対する上記線分Lmの角度θmを次式(4)により演算する(ステップ204、
図7(C)参照)。
θm=tan
−1((Ymf2−Ymf1)/(Xmf2−Xmf1))・・・(4)
【0034】
検査制御装置6は、基板マークMb1と基板マークMb2とを結ぶ線分Lbの検査装置2の機械座標系のXi軸に対する上記線分Lbの角度θbを次式(5)により演算する(ステップ205、
図8(C)参照)。
θb=tan
−1((Ybf2−Ybf1)/(Xbf2−Xbf1))・・・(5)
【0035】
そして、検査制御装置6は、印刷マスク11のマスク特異点Mmc(Xmc,Ymc)と基板Bの第1基板特異点Mbc(Xbc,Ybc)とを一致させ、印刷部分Pを角度θmと角度θbとの差の角度θa分だけ相対回転させ、印刷マスク11に対する印刷部分Pの角度ズレを補正した仮想印刷開口111rのベクトル(Xpr,Ypr)を次式(6)により演算する(ステップ206、
図9(A),(B)参照)。
(Xpr,Ypr)=(Xpc・cos(−θa)−Ypc・sin(−θa)
,Xpc・sin(−θa)−Ypc・cos(−θa))・・・(6)
【0036】
そして、検査制御装置6は、基板Bの座標原点Obからの仮想印刷開口111rのベクトル(Xw,Yw)を次式(7)により演算する(ステップ207、
図9(C)参照)。そして、基板印刷部分BA内に印刷部分Pが残っているか否かを判断し(ステップ208)、基板印刷部分BA内に印刷部分Pが残っている場合には、ステップ203に戻って上述の処理を繰り返す。一方、基板印刷部分BA内に印刷部分Pが残っていない場合には、仮想印刷開口111rのベクトル(Xw,Yw)に基づいて、印刷マスク11のマスク印刷開口部11Aに対応する仮想マスク印刷開口部11rを基板座標系に設定する(ステップ209、
図9(C)参照)。そして、
図3に戻って、検査が完了した基板Bの搬出指令を基板搬送装置4に指令する(ステップ17)。
(Xw,Yw)=(Xmc+Xpr,Ymc+Ypr)・・・(7)
【0037】
図5に示すように、装着制御装置7は、検査装置2から搬入される基板Bが1枚目の基板Bであるか否かを確認し(ステップ21)、基板Bが1枚目の基板Bである場合には、印刷マスク11のマスク印刷開口部11Aの印刷開口111の座標位置に対応する仮想マスク印刷開口部11rの仮想印刷開口111rの基板Bの座標系上の複数の座標位置を部品装着装置3での部品装着位置として演算する(ステップ22〜25、本発明の「装着位置演算工程」に相当する)。すなわち、マスク特異点Mmc(Xmc,Ymc)から仮想印刷開口111rへのベクトル(Xe,Ye)を次式(8)により演算する(ステップ22、
図10(A)参照)。
(Xe,Ye)=(Xw−Xmc,Yw−Ymc)・・・(8)
【0038】
装着制御装置7は、基板特異点Mbc(Xbc,Ybc)とマスク特異点Mmc(Xmc,Ymc)とのズレ量(dXc,dYc)を次式(9)により演算する(ステップ23、
図10(B)参照)。
(dXc,dYc)=(Xbc−Xmc,Ybc−Ymc)・・・(9)
【0039】
そして、装着制御装置7は、マスク特異点Mmc(Xmc,Ymc)と基板特異点Mbc(Xbc,Ybc)とを一致させ(
図10(C)参照)、仮想印刷開口111rを角度θmと角度θbとの差の角度θa分だけ相対回転させ、基板Bに対する仮想印刷開口111rの角度ズレを補正した仮想印刷開口111rのベクトル(Xa,Ya)を次式(10)により演算する(ステップ24、
図11(A)参照)。
(Xa,Ya)=(Xe・cosθa−Ye・sinθa
,Xe・sinθa−Ye・cosθa)・・・(10)
【0040】
そして、装着制御装置7は、基板Bの座標原点Obからの仮想印刷開口111rのベクトルの座標(X,Y)を部品装着装置3での部品装着位置として次式(11)により演算する(ステップ25、
図11(B)参照)。なお、ステップ21において、基板Bが1枚目の基板Bでない場合には、ステップ22〜25の処理を行わずにステップ26に進む。
(X,Y)=(Xbc+Xa,Ybc+Ya)・・・(11)
【0041】
そして、装着制御装置7は、基板Bが基板搬送装置4により部品装着装置3に搬入されると(ステップ26)、装着制御装置7は、ヘッド移送機構36を動作させて第3カメラ35により基板Bの基板マークMb1,Mb2を撮像して画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、各基板マークMb1,Mb2の位置情報を読取る(ステップ27、本発明の「基板第3読取工程」に相当する)。そして、読取った各基板マークMb1,Mb2の位置情報に基づいて、基板Bの基板座標系を部品装着装置3の機械座標系と関連付ける(ステップ28、本発明の「基板関連付け第3工程」に相当する)。例えば、基板Bの基板マークMb1を原点として該原点を通る直交座標軸と部品装着装置3に予め設定されている原点を通る直交座標軸とが一致するように、基板Bの直交座標軸と部品装着装置3の直交座標軸とを相対移動および相対回転させる。
【0042】
装着制御装置7は、装着位置演算工程(ステップ22〜25)で演算された部品装着位置を基板Bの座標系と部品装着装置3の機械座標系との関連付けに基づいて補正する。そして、ヘッド移送機構36を動作させて、吸着ノズル33により部品供給装置32から部品を吸着し、ヘッド移送機構36を再度動作させて、吸着した部品を基板B上の補正した部品装着位置に装着する(ステップ29,30、本発明の「部品装着工程」に相当する)。部品装着が完了した基板Bは、基板搬送装置4により部品装着装置3から搬出される(ステップ31)。そして、次の同一種の基板Bの有無を確認し(ステップ32)、次の同一種の基板Bが有る場合には、ステップ26に戻って上述の処理を繰り返す。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、まず、検査装置2での半田検査により検出された基板印刷部分BAの座標系と基板Bの座標系との関係を表す印刷位置情報を部品装着時に利用可能となるように準備する。そして、半田検査後であって部品装着前に、基板Bの座標系と部品装着装置3の座標系とが一致すると仮定し、マスク印刷開口部11Aに対応する仮想マスク印刷開口部11rを部品装着装置3の座標系に印刷位置情報に基づいて設定する。そして、仮想マスク印刷開口部11rにおける印刷開口111に対応する仮想印刷開口111rの複数の座標位置に応じて基板B上の部品装着位置を求め、該部品装着位置に基づいて部品を基板B上に装着するようにしている(ステップ16等)。
【0044】
ここで、一般的に、印刷装置1では、印刷マスク11のマスクマークMm1,Mm2と、基板Bの基板マークMb1,Mb2とに基づいて、印刷マスク11と基板Bとの位置合わせが行われる。また、半田は、印刷マスク11のマスク印刷開口部11Aの位置に対応する基板の基板印刷部分BAに印刷される。また、印刷マスク11のマスクマークMm1,Mm2と、基板Bに印刷された半田との相対位置は、印刷マスク11が変わらない限り不変である。
【0045】
以上のことから、基板印刷部分BAの座標系と基板Bの座標系との関係を表す印刷位置情報に基づいて、マスク印刷開口部11Aに対応する仮想マスク印刷開口部11rを基板Bの座標系と一致すると仮定した部品装着装置3の座標系に設定することにより、基板B上のどの位置に半田が印刷されているかを論理的に求めることができる。そして、仮想マスク印刷開口部11rにおける印刷開口111に対応する仮想印刷開口111rの複数の座標位置に応じて基板B上の部品装着位置を求めるようにしているので、実際に基板Bの部品装着面に印刷された半田上に部品を装着することが可能となる。よって、従来の印刷マスク11のマスク印刷開口部11Aに基づいて部品装着位置を求める場合と比較して、より高精度な部品装着が可能となり、セルフアライメント効果により部品装着位置の電極と部品の電極との電気的な接続を良好なものとすることができる。
【0046】
また、仮想マスク印刷開口部設定工程では、基板Bの座標系と基板印刷部分BAの座標系との関連付けに基づいてマスク印刷開口部11Aに対応する仮想マスク印刷開口部11rを基板Bの座標系に設定する(ステップ16)。さらに、装着位置演算工程では、マスク印刷開口部11Aの印刷開口111の複数の座標位置に対応する仮想マスク印刷開口部11rの仮想印刷開口111rの基板Bの座標系上の複数の座標位置を部品装着装置3での部品装着位置として演算する(ステップ22〜25)。そして、2枚目以降の部品が装着される基板Bにおいては、装着位置演算工程で演算された部品装着位置に基づいて部品を装着するようにしている(ステップ29,30)。これにより、最初に生産する基板Bにおいて部品装着位置を演算した後は、部品装着位置の演算工程を省略することができ、基板の生産稼働率を向上させることができる。また、複数台の部品装着装置3が並設されて同一の基板Bに部品装着する場合にも上記部品装着位置を流用することが可能であるので、基板Bの生産稼働率をさらに向上させることができる。
【0047】
上述の実施形態では、基板Bの基板マークMb1と基板マークMb2とを結ぶ線分Lbの中心点Mb、および印刷マスク11のマスクマークMm1とマスクマークMm2とを結ぶ線分Lmの中心点Mmを特異点として設定し、印刷マスク11と基板Bとを平行移動および相対回転させて位置合わせを行った。しかし、特異点は、基板Bの種類に応じて任意に設定することができる。例えば、
図12に示すように、複数枚取り(図では2枚取り)の基板BBと該基板BBに半田を印刷するための印刷マスク11Bとを位置合わせする場合、基板BBにおいては4箇所に基板マークMbb1〜Mbb4があるため、上述の中心点が複数(図では2箇所)存在することになり、基板BBと印刷マスク11Bとを平行移動および相対回転させて位置合わせを行うことができなくなる。
【0048】
そこで、例えば、基板BBのうち左側の基板BB1の基板マークMbb1,Mbb2に基づいて、基板BB1の左下の角部Cbを求めて特異点として設定する。同様に、印刷マスク11BのマスクマークMmm1,Mmm2に基づいて、基板BB1に対応する印刷マスク11B1の左下側の角部Cmを求めて特異点として設定する。これにより、基板BBと印刷マスク11Bとを平行移動および相対回転させて位置合わせを行うことができ、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
なお、上述の実施形態では、検査制御装置6が、仮想マスク印刷開口部11rを基板座標系に設定するように構成したが、装着制御装置7が、仮想マスク印刷開口部11rを基板座標系に設定するように構成してもよい。また、印刷制御装置5、検査制御装置6、装着制御装置7および搬送制御装置8は、それぞれ単独で印刷装置1、検査装置2、部品装着装置3および基板搬送装置4を制御する構成としたが、印刷制御装置5、検査制御装置6、装着制御装置7および搬送制御装置8を統括制御する統括制御装置を設け、統括制御装置が仮想マスク印刷開口部11rを基板座標系に設定するように構成してもよい。