(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
<1. 第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態における測位システム1を示す図である。測位システム1は、サービス事業者等に設置されるサーバ装置2と、駅の改札口などに設置される改札機3と、ユーザにより携帯される端末装置としての携帯電話4とを備えている。詳細は以下に述べるが、測位システム1は、携帯電話4を携帯するユーザの位置(絶対位置)を特定し、記録するシステムとして構成されている。
【0028】
なお、測位システム1がユーザの絶対位置を特定することにより提供されるサービスとしては、ユーザをリアルタイムで目的地に案内するナビゲーションサービスが想定されるが、単に、ユーザの現在位置を地図上に表示して知らせるサービスや、ユーザの移動軌跡を記録するサービスであってもよい。すなわち、測位システム1によって特定されるユーザの絶対位置に基づいて、どのようなサービスを提供するかは特に限定されるものではない。また、測位システム1に含まれるサーバ装置2、改札機3および携帯電話4の数は
図1に示す数に限定されるものではない。また、ネットワーク90は、サーバ装置2と携帯電話4との間のデータ通信を可能とするものであれば、どのような通信網が採用されてもよい。
【0029】
サーバ装置2は、一般的なコンピュータであり、ネットワーク90に接続される。サーバ装置2は、
図1に示すように、指標データベース200を構成している。
【0030】
指標データベース200は、測位システム1に登録されている改札機3ごとに1つのレコードが作成されるテーブル構造のデータベースである。指標データベース200の各レコードには、各改札機3を識別するための識別情報と、当該改札機3が設置されている場所の絶対位置と、当該改札機3の基準方向(後述)とが互いに関連づけて格納されている。なお、指標データベース200に格納される情報はこれらに限定されるものではない。
【0031】
すなわち、指標データベース200は、改札機3の識別情報を検索キーとして、当該改札機3の絶対位置と基準方向とを検索することが可能である。詳細は後述するが、携帯電話4からの検索要求に対して、サーバ装置2は、指標情報201を作成し、当該携帯電話4に向けて送信する。指標情報201は、携帯電話4から送信される検索要求に含まれる識別情報に関連づけられている絶対位置および基準方向を含む情報である。
【0032】
改札機3は、駅の改札口等に設置され、乗客等の入場または出場を監視し、必要に応じて運賃の精算等を行う装置として構成されている。改札機3は、通常、据え置き型の装置として地平面に対して固定されており、携帯電話4のように頻繁に所在位置を変えるものではない。このように、改札機3の絶対位置は変化しないため、改札機3を測位システム1に登録するときに、予め当該改札機3の絶対位置を指標データベース200に格納しておくことができる。
【0033】
改札機3は、筐体30および非接触IC(Integrated Circuit)カードリーダ31を備えている。
【0034】
筐体30は、互いに対向する略壁状部材を構成しており、改札機3を通過するユーザ(乗客)の通路を形成する。ユーザが歩行動作により、筐体30によって形成された通路を通過すると、当該ユーザの進行方向は
図1において太い矢印で示す基準方向に規制される。すなわち、筐体30は、改札機3(指標手段)に対応して設けられており、ユーザの進行方向が基準方向となるように規制する案内部材として機能する。
【0035】
例えば、ユーザが北方向に向かって通過するような向きで筐体30が設置されている改札機3については、基準方向が「北」であるとして指標データベース200に登録しておく。そうすれば、当該改札機3を通過中のユーザであることが特定できれば、当該ユーザの進行方向は「北」であると特定することができる。
【0036】
また、非接触ICカードリーダ31は、一般的な非接触ICカードとの間で近接無線通信を行い、当該非接触ICカードに記憶されている様々な情報を読み取ることが可能であるとともに、当該非接触ICカードに様々な情報を送信することも可能である。このような非接触ICカードリーダ31としては、従来の技術を適用できるため、詳細は省略する。
【0037】
なお、一般的な改札機では、筐体によって形成されるユーザの通路は双方向に通過が可能である。しかし、そのように構成されている改札機は、入場の際に使用する非接触ICカードリーダの他に、退場の際に使用する非接触ICカードリーダを別途備えているのが通常である。したがって、それぞれの非接触ICカードリーダごとに異なる識別子を付与しておき、通信時に携帯電話4が当該識別子を取得するように構成しておけば、基準方向を特定することができる。また、入退場において1つの非接触ICカードリーダを兼用するタイプの改札機であっても、入退出処理(ユーザの入退場に関する処理)においては、入場か出場かを判別する必要があるため、それらを識別する情報が必ず作成される。したがって、そのような改札機についても、入場か出場かを区別するための情報に基づいて、基準方向を特定できる。
【0038】
図2は、第1の実施の形態における携帯電話4を示す図である。携帯電話4は、電話部40、非接触ICカード部41およびセンサ部42を備えている。
【0039】
電話部40は、CPU44、ROM401、RAM402、メモリ部403、入力部404および出力部405を備えており、一般的なコンピュータとしての構成および機能を有している。
【0040】
CPU44は、ROM401に格納されているプログラム80に従って動作することにより、電話部40が備える各構成を制御する。CPU44の機能および動作の詳細については、後述する。
【0041】
ROM401は、主にプログラム80を格納するために使用される読み取り専用の記憶装置である。ROM401に格納されているプログラム80は、CPU44によって順次読み出され、実行される。なお、プログラム80の一部または全部が後述のメモリ部403に格納されていてもよい。
【0042】
RAM402は、比較的高速にアクセス可能な揮発性の記憶装置であり、CPU44の一時的なワーキングエリアとして使用される。以下では、特に断らない限り、電話部40において作成または取得される各種の情報についてはRAM402に格納されるものとして説明する。しかし、RAM402に格納されるこれらの情報の一部または全部が、適宜、メモリ部403に転送され格納されてもよい。
【0043】
メモリ部403は、CPU44による情報の読み取りのみならず、情報の書き込みも可能な不揮発性の記憶装置である。メモリ部403としては、内蔵される固定の記憶装置のみならず、着脱可能な記憶媒体(メモリカード等)により構成される記憶装置も該当する。
【0044】
入力部404は、携帯電話4に対して様々な情報を入力する機能を有する。入力部404としては、例えば、周囲の音声を入力するマイク、ダイヤルや文字情報等を入力するキーやボタン類、ポインティングデバイスとしてのタッチパネル、画像情報を撮像により取り込むデジタルカメラなどが該当する。
【0045】
出力部405は、様々な情報を出力することにより、主にユーザに対して当該情報を提示する機能を有する。出力部405としては、例えば、通話時の相手方の肉声やメロディ音等を再生するスピーカ、画像や文字を画面表示する液晶パネル、各種の状態を通知するLEDやランプ、振動を発生させることにより状態を通知するバイブレータなどが該当する。
【0046】
また、電話部40は、通信部406、アンテナ407およびインタフェース408を備えている。
【0047】
通信部406は、アンテナ407から入力されるアナログ信号をデジタル信号に復調し、CPU44に伝達する。また、通信部406は、CPU44から入力されるデジタル信号をアナログ信号に変調してアンテナ407に伝達し、基地局91に向けて送信するように制御する。
【0048】
アンテナ407は、基地局91から送信された電波を受信してアナログ信号に変換し、通信部406に伝達する。また、アンテナ407は、通信部406から入力されるアナログ信号を電波に変換して基地局91に向けて送信する機能を有する。
【0049】
このように、通信部406およびアンテナ407により、携帯電話4において、ネットワーク90を介したデータ通信機能および通話機能が実現される。本実施の形態では、主に、後述する個別情報800が、先述の検索要求として、通信部406およびアンテナ407によってサーバ装置2に向けて送信される。また、当該個別情報800を含む検索要求に対してサーバ装置2から送信される指標情報201が通信部406およびアンテナ407により受信される。なお、サーバ装置2のネットワークアドレス等は、ROM401またはメモリ部403に予め格納されているものとする。
【0050】
インタフェース408は、電話部40のCPU44が、後述するカード制御部46およびCPU47との間でデータのやり取りを行う機能を提供する。また、インタフェース408には、携帯電話4が外部の装置などと接続されるための端子類が含まれてもよい。このような端子としては、例えば、USB端子やイヤホン端子、電源供給(充電)端子などが該当する。
【0051】
なお、図示を省略したが、電話部40は、上記の構成以外に、タイマ(時計)を備えており、時間を計測することも可能とされている。
【0052】
非接触ICカード部41は、カード制御部46、メモリ部413、通信部416、アンテナ417およびインタフェース418を備えている。
【0053】
カード制御部46は、図示を省略しているが、各種の情報を演算するCPUと、記憶装置としてのROMおよびRAMを備えている。すなわち、カード制御部46は、コンピュータとしての構成および機能を有している。特に、カード制御部46は、非接触ICカードリーダ31との間の入退出処理を実行するとともに、個別情報800を電話部40に転送する機能を有する。
【0054】
メモリ部413は、カード制御部46による情報の読み取りのみならず、情報の書き込みも可能な記憶装置である。特に、第1の実施の形態におけるメモリ部413は、改札機3の非接触ICカードリーダ31から送信され通信部416により受信された個別情報800を格納する。また、メモリ部413は、改札機3の非接触ICカードリーダ31から受信する他の情報や、入退出処理に伴ってカード制御部46によって作成される各種情報を格納する機能も有している。
【0055】
通信部416は、アンテナ417から入力されるアナログ信号をデジタル信号に復調し、カード制御部46に伝達する。また、通信部416は、カード制御部46から入力されるデジタル信号をアナログ信号に変調してアンテナ417に伝達し、改札機3の非接触ICカードリーダ31に向けて送信するように制御する。
【0056】
アンテナ417は、近接無線通信用のアンテナである。アンテナ417は、非接触ICカードリーダ31から送信された電波を受信してアナログ信号に変換し、通信部416に伝達する。また、アンテナ417は、通信部416から入力されるアナログ信号を電波に変換して非接触ICカードリーダ31に向けて送信する機能を有する。
【0057】
このように、非接触ICカード部41は、一般的な非接触ICカードの構成および機能を有しており、改札機3の非接触ICカードリーダ31との間で、無線による通信を行うことが可能とされている。したがって、ユーザは、携帯電話4を改札機3の非接触ICカードリーダ31に近接させてかざすことにより、自身に対する入退出処理を実行させることができるとともに、少なくとも個別情報800を非接触ICカード部41側に取得することができる。以下の説明では、ユーザが、携帯電話4を非接触ICカードリーダ31に近接させてかざす一連の動作を「通信可能化動作」と称する。
【0058】
詳細は省略するが、改札機3は、図示しないゲート部材を備えており、入退出処理が済んでいないユーザに対しては当該ゲート部材を開放しないように設計されている。したがって、改札機3を通過して、入退出しようと所望するユーザは、当該ゲート部材を開放させるための入退出処理を完了させる必要がある。そして、そのためには、まず、ユーザが通信可能化動作を行う必要がある。しかし、一般に、改札機3に対して通信可能化動作を行う必要があることは、広くユーザに認知されており、測位システム1がユーザに対して通信可能化動作を要求したとしても、それはユーザに対して新たな動作を要求するものではなく、ユーザの負担を増大させるものではない。
【0059】
また、非接触ICカード部41のアンテナ417は、上記のとおり近接無線通信用のアンテナである。したがって、携帯電話4の非接触ICカード部41は、改札機3に近接しなければ、改札機3との間でデータ通信を行うことができない。言い換えれば、非接触ICカード部41が改札機3との間でデータ通信が可能な状態であるならば、当該携帯電話4は改札機3に近接して存在しているとみなせる。したがって、その場合には、携帯電話4の絶対位置(当該携帯電話4を携帯しているユーザの絶対位置)は、当該改札機3の絶対位置とみなせることを意味する。そこで、本実施の形態における測位システム1は、改札機3を個々に識別するための識別情報を個別情報800として携帯電話4に向けて送信させ、改札機3の識別情報を得た携帯電話4がこれを検索キーとして指標データベース200にアクセスして、改札機3の絶対位置および基準方向を得るように構成されている。
【0060】
ところで、駅に設置されている改札機(改札機3を含む。)による入退出処理とは、主に、運賃を精算するために必要となる処理である。そして、運賃を精算するためには、少なくとも入場した駅(乗車駅)と、退出した駅(降車駅)とを識別する情報が必要となる。したがって、改札機が入退出処理を行うためには、通信可能化動作を行った携帯電話4に対して、何らかの場所を特定する情報を送信する必要はある。
【0061】
しかし、運賃を精算するためには、乗車駅と降車駅とが特定できれば充分であり、入退出処理のみを考慮するならば、改札機は、駅名(駅識別情報)を携帯電話4(非接触ICカード部41)側に送信すれば充分である。したがって、すでに駅に設置されている改札機を測位システム1に流用する場合において、当該改札機が、場所を特定する情報として、駅名のみ(あるいは駅名と改札口名のみ)を送信するものであることが想定される。その場合、個別情報800は、駅名のみ(あるいは駅名と改札口名のみ)となる。
【0062】
一方で、よく見かける改札口では、複数の改札機がほぼ平行に並べて設置されている。このような場合、各改札機の基準方向は同一であるとみなせる。また、同じ改札口に設置されている改札機については絶対位置が同一であるとみなしても、ナビゲーションのサービスによってはそれほど大きな誤差にはならない場合もある。さらに、改札口が1つしかない駅であれば、駅が特定できれば絶対位置や基準方向をほぼ特定することができる。すなわち、改札機を個々に識別できない場合であっても、駅や改札口を検索キーとして指標データベース200に絶対位置および基準方向を登録しておけば、駅名のみ(あるいは駅名と改札口名のみ)の個別情報800によっても、一定の効果は期待できる。
【0063】
さらに、駅名や改札口名(駅や改札口を特定する情報)は、改札機を個別に識別するための識別情報に比べて、広く認知された情報である。したがって、駅名や改札口名を取得する手法は、個別情報800として、改札機から受信する手法に限定されるものではない。例えば、ユーザが入力部404を操作して入力してもよいし、出力部405に表示されている地図画像からユーザが指定してもよい。あるいは、予め入力しておいた経路検索の結果等に基づいて、経路上の駅名や改札口名を特定してもよい。
【0064】
インタフェース418は、カード制御部46が主に電話部40のCPU44との間でデータのやり取りを行う機能を提供する。特に、本実施の形態におけるインタフェース418は、改札機3(非接触ICカードリーダ31)から取得した個別情報800をCPU44に向けて出力する。
【0065】
センサ部42は、CPU47、ROM421、RAM422、メモリ部423、加速度センサ425、角速度センサ426、磁気センサ427およびインタフェース428を備えている。
【0066】
CPU47は、ROM421に格納されているプログラム81に従って動作することにより、センサ部42が備える各構成を制御する。CPU47の機能および動作の詳細については、後述する。
【0067】
ROM421は、主にプログラム81を格納するために使用される読み取り専用の記憶装置である。ROM421に格納されているプログラム81は、CPU47によって順次読み出され、実行される。なお、プログラム81の一部または全部が後述のメモリ部423に格納されていてもよい。
【0068】
RAM422は、比較的高速にアクセス可能な揮発性の記憶装置であり、CPU47の一時的なワーキングエリアとして使用される。以下では、特に断らない限り、センサ部42において作成または取得される各種の情報についてはRAM422に格納されるものとして説明する。しかし、RAM422に格納されるこれらの情報の一部または全部が、適宜、メモリ部423に転送され格納されてもよい。
【0069】
このように、センサ部42は、CPU47、ROM421およびRAM422を備えることにより、一般的なコンピュータとしての構成および機能を有している。
【0070】
メモリ部423は、CPU47による情報の読み取りのみならず、情報の書き込みも可能な記憶装置である。特に、第1の実施の形態におけるメモリ部423は、加速度センサ425、角速度センサ426および磁気センサ427からの出力値を適宜記憶するとともに、ユーザが移動した結果を記録情報429として格納する。
【0071】
加速度センサ425は、携帯電話4の加速度ベクトルを検出する検出装置である。
【0072】
角速度センサ426は、携帯電話4の角速度ベクトルを検出する検出装置である。
【0073】
磁気センサ427は、地磁気の向きを検出して、方位を特定する検出装置である。
【0074】
インタフェース428は、CPU47が主に電話部40のCPU44との間でデータのやり取りを行う機能を提供する。特に、本実施の形態におけるインタフェース428は、電話部40において生成される較正情報450をインタフェース408を介して受け取る。
【0075】
図3は、第1の実施の形態における電話部40が備える機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
図3に示す、較正指示部440は、CPU44がプログラム80に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0076】
較正指示部440は、個別情報800が非接触ICカード部41から取得されると、図示しないタイマを参照して当該個別情報800が取得された時間(以下、「基準時451」と称する。)を記録するとともに、センサ部42に対して較正タイミングを通知する。
【0077】
また、較正指示部440は、較正タイミングを通知する処理と並行して、非接触ICカード部41から取得された個別情報800を含む検索要求を作成し、サーバ装置2に向けて送信するように通信部406を制御する。
【0078】
また、較正指示部440は、検索要求に応じてサーバ装置2から送信され、通信部406により取得された指標情報201から絶対位置を取得し、絶対位置452とする。すでに説明したように、指標情報201に含まれる絶対位置とは、検索要求に含まれる個別情報800によって特定された改札機3の絶対位置である。
【0079】
また、較正指示部440は、サーバ装置2から得られた指標情報201に含まれている改札機3の基準方向を、当該指標情報201から取得し、基準方向453とする。
【0080】
さらに、較正指示部440は、基準時451と、絶対位置452と、基準方向453とに基づいて、較正情報450を作成する。なお、作成された較正情報450は、インタフェース408を介してセンサ部42に向けて転送される。
【0081】
図4は、第1の実施の形態におけるセンサ部42が備える機能ブロックをデータの流れとともに示す図である。
図4に示す、較正部470、方位特定部471、移動量演算部472および位置特定部473は、CPU47がプログラム81に従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0082】
較正部470は、電話部40から較正タイミングを通知されたときにおける加速度センサ425の測定値(検出結果)に応じて、加速度センサ425の測定値を較正しつつ、加速度情報475を作成する。
【0083】
本実施の形態における非接触ICカード部41のカード制御部46は、個別情報800を受信することにより、個別情報800を取得したときには、直ちに、電話部40に伝達する。そして、電話部40のCPU44(較正指示部440)は、非接触ICカード部41から個別情報800が伝達されたときには、直ちに、較正タイミングをセンサ部42に通知する。したがって、較正タイミングが通知されたときとは、携帯電話4において、ほぼ個別情報800が取得されたときとみなすことができる。
【0084】
また、本実施の形態においては、携帯電話4が個別情報800を取得したときとは、ユーザが携帯電話4により通信可能化動作をしているときである。そして、ユーザが通信可能化動作を行っているときにおいて、当該携帯電話4は静止状態とみなせる状態になると推定することができる。
【0085】
厳密には、携帯電話4が静止していなくても、改札機3と携帯電話4との間の通信は可能である。したがって、個別情報800を取得した瞬間において携帯電話4が静止状態とは限らない。そこで、較正部470は、較正タイミングが通知された前後において、加速度センサ425による測定値の変化量が閾値以下となるタイミングを監視する。そして、当該変化量が閾値以下となったときに、携帯電話4が静止状態になったと推定する。このように構成することで、携帯電話4の静止状態を正確に検出できるため、誤差を抑制できる。また、通信可能化動作において、携帯電話4の静止状態を検出することにより、ユーザに別途携帯電話4を静止状態にさせるような動作を要求することなく、加速度センサ425および角速度センサ426を較正することができる。
【0086】
静止状態においては、加速度センサ425は、重力加速度ベクトルのみを検出するので、以下の式1が成立する。
【0088】
したがって、式1から加速度センサ425のゲインGsを求めれば、以後の加速度ベクトル(較正された加速度ベクトル)は、式2で求まる。
【0090】
このようにして、較正部470は、電話部40から較正タイミングを通知されたときにおける加速度センサ425の測定値(検出結果)に応じて、当該加速度センサ425の測定値を較正する。すなわち、較正部470は、個別情報800を取得したときの加速度センサ425の検出結果に応じて、加速度センサ425を較正する。
【0091】
また、較正部470は、電話部40から較正タイミングを通知されたときにおける角速度センサ426の測定値(検出結果)に応じて、角速度センサ426の測定値を較正しつつ、角速度情報476を作成する。
【0092】
較正部470は、静止状態のときの角速度センサ426の測定値をオフセット値とし、以下の式3により角速度を求める。
【0094】
すなわち、較正部470は、電話部40から較正タイミングを通知されたときの角速度センサ426の測定値(検出結果)に応じて、当該角速度センサ426の測定値を較正する。すなわち、較正部470は、個別情報800を取得したときの角速度センサ426の検出結果に応じて、角速度センサ426を較正する機能を有している。
【0095】
なお、較正部470は、一旦作成した加速度情報475および角速度情報476を読み出して、過去に遡って較正することができる。
【0096】
方位特定部471は、磁気センサ427による測定値を、較正情報450に基づいて較正しつつ、方位情報477を作成する。
【0097】
方位特定部471は、基準時451以降の加速度情報475および角速度情報476を分析して、ユーザの歩行動作を検出する。そして、検出されたユーザの歩行動作が、改札機3の筐体30によって基準方向に規制されているときの動きであるとみなして、当該歩行動作の方向(ユーザの進行方向)が基準方向となるように、
方位情報477を較正する。
【0098】
また、方位特定部471は、一旦作成した方位情報477を読み出して、過去に遡って較正することができる。
【0099】
なお、加速度センサ425の測定値である加速度情報475と、角速度センサ426の測定値である角速度情報476に基づいて、ユーザの歩行動作を検出する手法は、従来の技術を適用できるため、ここでは詳細には述べない。
【0100】
移動量演算部472は、加速度情報475、角速度情報476および方位情報477に基づいて、携帯電話4(ユーザ)の相対的な移動量を演算し、相対移動量情報478を作成する。移動量演算部472が相対移動量情報478を作成する手法は、従来の技術を適宜適用することができるため、詳細は省略する。
【0101】
位置特定部473は、較正情報450に含まれる絶対位置452を、基準時451におけるユーザの絶対位置とみなす。そして、位置特定部473は、基準時451前後のユーザの絶対位置を、基準時451における絶対位置452からの相対移動量(相対移動量情報478)により特定し、記録情報429を作成する。
【0102】
較正情報450に含まれる絶対位置452とは、個別情報800を送信した改札機3の絶対位置である。また、個別情報800が受信されたとき、ユーザは携帯電話4により通信可能化動作をしているはずであり、当該携帯電話4は当該改札機3の非接触ICカードリーダ31に近接して存在するはずである。したがって、個別情報800を送信した改札機3の絶対位置は、当該改札機3から個別情報800を受信したとき(基準時451)における携帯電話4の絶対位置とみなせる。そして、当該個別情報800が取得されたとき、ユーザは通信可能化動作を行っているのであるから、当該ユーザは携帯電話4を携帯しており、携帯電話4の絶対位置は、そのときのユーザの絶対位置とみなせる。すなわち、第1の実施の形態における位置特定部473は、非接触ICカード部41により取得された個別情報800に応じて改札機3の絶対位置(絶対位置452)を取得することにより、ユーザの絶対位置を特定する機能を有している。
【0103】
基準時451は、ユーザが通信可能化動作を行っているタイミングを正確に示していることが好ましい。したがって、非接触ICカード部41にタイマを設け、非接触ICカード部41において個別情報800が受信された時間として基準時451を記録し、個別情報800とともに基準時451を電話部40に伝達するように構成してもよい。また、改札機3のタイマと携帯電話4におけるタイマとが一致しているならば、入退出時間として、改札機3から送信されてくる時間(一般的な改札機は乗客が改札機を通過した時刻をICカード側に記録させる)を基準時451として使用してもよい。その場合は、非接触ICカード部41にタイマは不要となる。
【0104】
以上が、第1の実施の形態における測位システム1の構成および機能の説明である。次に、測位システム1を用いて、ユーザの絶対位置を測定する第1の実施の形態における測位方法について説明する。
【0105】
図5は、第1の実施の形態における電話部40の動作を示す流れ図である。
図5に示す各工程を開始するまでに、携帯電話4は起動され待機状態になっているものとする。
【0106】
待機状態において、電話部40のCPU44は、非接触ICカード部41から個別情報800が伝達されるか、通信部406が指標情報201を受信するかを監視している(ステップS1,S5)。なお、待機状態において、CPU44は、ユーザによるダイヤル指示やインターネット閲覧指示など、
図5に示す以外の状態も監視している。また、本実施の形態における待機状態とは、携帯電話4による通話やインターネット閲覧、撮像等が行われていない状態を意味するものではなく、携帯電話4の電源が投入されている状態で、かつ、個別情報800および指標情報201の到着を監視できる状態である。
【0107】
待機状態において、非接触ICカード部41から個別情報800が伝達されると(ステップS1においてYes)、CPU44は、非接触ICカード部41から個別情報800が伝達されたことを、較正タイミングとしてセンサ部42に通知する(ステップS2)。
【0108】
ステップS2の処理と並行して、較正指示部440は、非接触ICカード部41から個別情報800が伝達された時間を基準時451として記録し、較正情報450に含める(ステップS3)。
【0109】
さらに、較正指示部440は、個別情報800を含む検索要求を、サーバ装置2に向けて送信するように、通信部406を制御する。これにより、検索要求がサーバ装置2に向けて送信される(ステップS4)。ステップS4を実行すると、電話部40は、一旦、待機状態に戻る。
【0110】
ステップS4において送信された検索要求を、サーバ装置2が受信すると、サーバ装置2は、当該検索要求に含まれる個別情報800(本実施の形態では、改札機3の識別情報)を検索キーとして、指標データベース200を検索する。これにより、個別情報800によって特定される改札機3の絶対位置と、当該改札機3の基準方向とが抽出され、指標情報201として携帯電話4に向けて送信される。
【0111】
待機状態において、指標情報201が取得されると(ステップS5においてYes)、較正指示部440は、取得された指標情報201から、改札機3の絶対位置を取得して、絶対位置452とする(ステップS6)。また、較正指示部440は、取得された指標情報201から、改札機3の基準方向を取得して、基準方向453とする(ステップS7)。
【0112】
ステップS3で記録された基準時451、ステップS6で取得された絶対位置452、および、ステップS7で取得された
基準方向453は、較正情報450として、センサ部42に伝達される(ステップS8)。ステップS8を実行すると、電話部40は、再び待機状態に戻る。
【0113】
このように、電話部40では、個別情報800の取得(非接触ICカード部41からの転送)を契機として、センサ部42への較正指示(較正タイミングの通知)と、基準時451の記録と、改札機3の絶対位置および基準方向の取得と、較正情報450のセンサ部42への通知が行われる。
【0114】
次に、センサ部42において、センサ(加速度センサ425、角速度センサ426および磁気センサ427)がどのように較正されるかについて説明する。
【0115】
図6は、第1の実施の形態におけるセンサ部42の動作を示す図である。
図6では、センサ部42が実行する位置記録処理を示している。なお、位置記録処理は、ユーザ(携帯電話4)の位置を時系列で記録するための処理であり、
図6に示す各工程が開始されるまでに、例えば、ユーザの指示等により開始されている。また、先述のように、ユーザの位置を取得した後、どのようなサービスを提供するかは特に限定されない。
【0116】
位置記録処理を実行している間、センサ部42は、測定値記録(ステップS11)と、相対移動量演算(ステップS12)とを実行しつつ、絶対位置がすでに特定済みであれば(ステップS13においてYes)、記録情報429を更新する(ステップS14)。
【0117】
ステップS11では、較正部470が加速度センサ425の測定値に基づいて加速度情報475を生成するとともに、角速度センサ426の測定値に基づいて角速度情報476を生成する。また、方位特定部471が磁気センサ427の測定値に基づいて方位情報477を作成する。すなわち、ステップS11が実行されることにより、自蔵センサの測定値が常時記録される。
【0118】
また、ステップS12では、移動量演算部472が、加速度情報475、角速度情報476および方位情報477に基づいて、ユーザ(携帯電話4)の相対的な移動結果である相対移動量情報478を生成する。
【0119】
このように、位置記録処理において、CPU47は、測定値の記録と、相対移動量の記録とを実行しつつ、較正タイミングの通知と、
較正情報450の転送とを監視している(ステップS15,S19)。
【0120】
位置記録処理において、電話部40から較正タイミングが通知されると、以後、較正部470は、ステップS15においてYesと判定し、加速度センサ425の測定値の変化量を監視して、静止状態が検出されたか否かを判定する(ステップS16)状態となる。なお、ステップS16における判定は、当該加速度センサ425の測定値の変化量が閾値以下となったか否かで判断する。
【0121】
そして、静止状態と判定すると(ステップS16においてYes)、較正部470は、加速度較正処理を実行する(ステップS17)。ステップS17において、較正部470は、携帯電話4が静止状態と判定されたときの加速度センサ425の測定値と、既知の重力加速度(g)とに基づいて、式1を演算し、加速度センサ425のゲインGsを求める。次に、過去の加速度センサ425の測定値(加速度情報475)を読み出して、式2により較正して更新する。これにより、すでに記録されていた測定値が較正される。そして、較正部470は、以後、ステップS11において測定値を式2により較正しつつ記録する。
【0122】
ステップS17の処理と並行して、較正部470は、角速度較正処理を実行する(ステップS18)。ステップS18において、較正部470は、携帯電話4が静止状態と判定されたときの角速度センサ426の測定値をオフセット値とする。次に、過去の角速度センサ426の測定値(角速度情報476)を読み出して、式3により較正して更新する。これにより、すでに記録されていた測定値が較正される。そして、較正部470は、以後、ステップS11において測定値を式3により較正しつつ記録する。
【0123】
このように、測位システム1では、ステップS17,S18が実行されることにより、加速度センサ425および角速度センサ426の較正が完了する。なお、ステップS18が実行された時点で、以後、較正部470は、一旦、ステップS15においてNoと判定する状態に戻る。ただし、新たに較正タイミングが通知された場合には、再び、ステップS15においてYesと判定する状態となってもよい。
【0124】
位置記録処理において、電話部40から較正情報450が伝達されると、以後、方位特定部471は、ステップS19においてYesと判定する状態となる。そして、以後は、ステップS11が実行されることにより、随時作成される加速度情報475および角速度情報476を参照しつつ、ユーザの歩行動作(より詳細には筐体30によって形成された通路を歩行している動作)を検出する状態となる(ステップS20)。
【0125】
歩行動作を検出すると、方位特定部471は、ステップS20においてYesと判定し、方位較正処理を実行する(ステップS21)。ステップS21において、方位特定部471は、検出した歩行動作の向き(ユーザの進行方向)が、すでに取得した較正情報450に含まれる基準方向453となるように、
方位情報477を較正する。
【0126】
例えば、磁気センサ427の測定値に従えば、検出した歩行動作の向きが「北東」であっても、基準方向453が「北」であれば、当該歩行動作の向きが「北」となるように、
方位情報477を較正する。さらに、方位特定部471は、以後、ステップS11において測定値を較正しつつ記録する。なお、
以後、方位情報477については、角速度センサ426の測定値(角速度情報476)を参照して決定してもよい。
【0127】
ステップS21が実行されると、移動量演算部472は、較正された加速度情報475、角速度情報476および方位情報477(いずれも過去に遡って較正されている)に基づいて、相対的な移動量を再度演算し、相対移動量情報478を更新する(ステップS22)。
【0128】
次に、位置特定部473が、基準時451における絶対位置452に基づいて、相対移動量情報478を絶対位置に変換し、記録情報429を作成する(ステップS23)。
【0129】
ステップS23が実行された以後は、ステップS13においてYesと判定されることとなり、位置特定部473が新たに作成された相対移動量情報478に基づいて、記録情報429を更新する(ステップS14)。すなわち、直前に作成された記録情報429における現在位置から、相対移動量情報478だけ移動した位置として、新たな現在位置が記録される。
【0130】
以上のように、第1の実施の形態における測位システム1は、ユーザにより携帯される携帯電話4と、絶対位置が既知の改札機3と、改札機3に対応して設けられ、ユーザの進行方向が基準方向となるように規制する筐体30とを備え、携帯電話4は、改札機3の個別情報800を取得する非接触ICカード部41と、非接触ICカード部41により取得された個別情報800に応じて改札機3の絶対位置を取得することにより、ユーザの絶対位置を特定する位置特定部473と、ユーザが移動するときの加速度を検出する加速度センサ425と、ユーザが移動するときの角速度を検出する角速度センサ426と、携帯電話4が実質的に静止しているときにおける加速度センサ425および角速度センサ426の検出結果に応じて、加速度センサ425および角速度センサ426を較正する較正部470と、筐体30がユーザの進行方向を基準方向となるように規制しているときにおける加速度センサ425および角速度センサ426から出力される検出結果に応じて、方位情報477を特定する方位特定部471とを備える。これにより、GPSや磁気センサ427に頼ることなく、ユーザの絶対位置や方位を取得できる。
【0131】
また、改札機3は、非接触ICカードリーダ31を備えており、携帯電話4は、非接触ICカード部41を備えており、非接触ICカード部41と非接触ICカードリーダ31とは互いにデータ通信が可能であることにより、すでに市場に多く流通している非接触ICカードのアーキテクチャを採用することにより、システムの汎用性を確保できるとともに構築コストを抑制できる。
【0132】
較正部470は、非接触ICカード部41と非接触ICカードリーダ31とが互いにデータ通信を行っている前後期間の間に、携帯電話4が実質的に静止していると判定することにより、携帯電話4が静止している状態を容易に検出できる。
【0133】
また、さらに較正部470は、非接触ICカード部41と非接触ICカードリーダ31とが互いにデータ通信を行っている前後期間の間であって、かつ、加速度センサ425から出力される検出結果において変化量が閾値以下である場合に、携帯電話4が実質的に静止していると判定することにより、携帯電話4が静止している状態をより正確に検出できる。
【0134】
また、較正部470は、ユーザが携帯電話4により改札機3に対して入場操作または出場操作(すなわち通信可能化動作)を行っているときに、携帯電話4が実質的に静止していると判断することにより、ユーザに較正操作を意識させることなく、加速度センサ425および角速度センサ426を較正することができる。したがって、ユーザの負担が軽減される。
【0135】
また、非接触ICカード部41は、ユーザが携帯電話4により改札機3に対して入場操作または出場操作を行っているときに、改札機3から改札機3の個別情報800を取得することにより、ユーザに較正操作を意識させることなく、加速度センサ425、角速度センサ426および磁気センサ427を較正することができる。したがって、ユーザの負担が軽減される。
【0136】
また、第1の実施の形態における測位システム1では、ユーザが改札機3に対して通信可能化動作をするだけで、加速度センサ425、角速度センサ426および磁気センサ427の較正が可能であるとともに、ユーザの絶対位置および絶対方位を取得することができる。
【0137】
また、測位システム1は、携帯電話4とネットワーク90を介してデータ通信が可能なサーバ装置2をさらに備え、サーバ装置2は、改札機3の個別情報と、改札機3の絶対位置と、改札機3に対応する筐体30の基準方向とを関連づけて記憶する指標データベース200を備え、携帯電話4は、非接触ICカード部41により取得された改札機3の個別情報800をサーバ装置2に送信し、サーバ装置2は、携帯電話4から送信された改札機3の個別情報800に応じて、指標データベース200に記憶されている改札機3の絶対位置と改札機3に対応する筐体30の基準方向とを携帯電話4に送信する。これにより、すでに設置されている改札機3をそのまま利用できる。
【0138】
なお、第1の実施の形態では、指標手段として、駅に設置される改札機3を例に説明した。しかし、入退出時におけるユーザの行動(主にユーザの移動方向)を予測して、ユーザの進行方向を特定する例としては、テーマパークや遊園地、娯楽施設等に設置されるゲート装置などであってもよい。テーマパークや遊園地においても、入場時(または退場時)に入場料の精算がされていないユーザの行動を規制する必要があり、改札機3と同様に、ユーザに対して効率的に通信可能化動作を喚起することができる。
【0139】
また、ショッピングモールや商業店舗の入り口においても、改札口と同様に、ユーザの進行方向を高精度で推定できる。したがって、このような施設の入り口に指標手段に相当する装置を設け、入場するユーザの進行方向を特定してもよい。例えば、ショッピングモールや商業店舗において、来店ポイントを加算するポイント付加装置やクーポン発券装置などを指標手段として入り口に設置すれば、改札機3と同様に、ユーザに対して効率的に通信可能化動作を喚起することができる。すなわち、ユーザに自発的な通信可能化動作を喚起する仕組みとしては、運賃や入場料といった料金の回収処理に限定されるものではない。
【0140】
また、第1の実施の形態では、基準時451が較正情報450に含められてセンサ部42に伝達されると説明した。しかし、本実施の形態では、指標情報201がネットワーク90を介してサーバ装置2から取得される。したがって、較正指示部440により基準時451が記録されてから、改札機3の絶対位置452や基準方向453が得られるまでには、タイムラグが発生する。そこで、較正指示部440は、基準時451を記録したときに、直ちに、当該基準時451をセンサ部42に伝達してもよい。あるいは、個別情報800が非接触ICカード部41において受信されたタイミングで、非接触ICカード部41からセンサ部42に対して、直接、較正タイミングおよび基準時451またはそのうちのいずれか一方が通知されてもよい。
【0141】
<2. 第2の実施の形態>
ユーザに意識させることなく、ユーザの進行方向を推定する手法としては、ユーザの入退出を監視するものに限定されない。
【0142】
図7は、第2の実施の形態における測位システム1aを示す図である。測位システム1aは、携帯電話4a、レジ端末装置5およびカウンター6から構成されている。
図7は、購入する商品の料金を精算する一般的な支払いカウンターのレイアウトを上方より見た図となっている。
【0143】
第2の実施の形態における測位システム1aは、主に、サーバ装置2を備えていないことと、改札機3の代わりにレジ端末装置5を備えている点が、第1の実施の形態における測位システム1と異なっている。以下の説明では、本実施の形態における測位システム1aについて、測位システム1と同等の機能および構成については、同符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0144】
レジ端末装置5は、本体との間でケーブル等で接続される非接触ICカードリーダ51を備えており、カウンター6の上面に載置されている。詳細は省略するが、レジ端末装置5は、レジ担当者によって操作され、顧客がカウンター6まで持参した商品(購入しようとする商品)の購入代金を計算し、顧客に対して提示する。
【0145】
非接触ICカードリーダ51は、一般的な非接触ICカードとの間で近接無線通信を行い、当該非接触ICカードに記憶されている様々な情報を読み取ることが可能であるとともに、当該非接触ICカードに様々な情報を送信することも可能である。特に、本実施の形態における非接触ICカードリーダ51は、携帯電話4aの非接触ICカード部41とデータ通信を行うことにより、購入代金の支払い(精算処理)が可能である。このような非接触ICカードリーダ51としては、従来の技術を適用できるため、詳細は省略する。
【0146】
本実施の形態においては、ユーザが携帯電話4aを非接触ICカードリーダ51に近接してかざす動作を行うことにより、購入代金の支払いに関する処理(精算処理)が実行される。本実施の形態においても、当該ユーザの動作を通信可能化動作と称する。
【0147】
カウンター6は、レジ端末装置5に対する載置台を構成するとともに、支払いを済ませた顧客の進行方向を基準方向に規制する案内部材としても機能する。
【0148】
図8は、第2の実施の形態における携帯電話4aの電話部40が備える機能ブロックをデータの流れとともに示す図であるを示す図である。携帯電話4aでは、メモリ部403に、指標データベース400が構築される。なお、指標データベース400の構造等は、指標データベース200と同様に構成することが可能であるため説明を省略する。
【0149】
このように、第2の実施の形態における携帯電話4aは、内部の記憶装置(メモリ部403)に指標データベース400が構築されるので、第1の実施の形態のように、外部のサーバ装置2にアクセスしなくても、指標情報201を取得することが可能である。すなわち、第2の実施の形態における較正指示部440は、個別情報800が取得されたときに、当該個別情報800に含まれるレジ端末装置5の識別情報を検索キーとして、指標データベース400を検索することにより、RAM402上に、指標情報201を読み出すことができる。
【0150】
なお、上記に説明した以外の構成、機能および動作は、第1の実施の形態における測位システム1と同様に実現できるため、説明は省略する。
【0151】
以上のように、第2の実施の形態における測位システム1aにおいても、第1の実施の形態における測位システム1と同様の効果を得ることができる。
【0152】
また、較正部470は、ユーザが携帯電話4aによりレジ端末装置5に対して支払い操作を行っているときに、携帯電話4aが実質的に静止していると判断することにより、ユーザに較正操作を意識させることなく、加速度センサ425および角速度センサ426を較正することができる。したがって、ユーザの負担が軽減される。
【0153】
また、非接触ICカード部41は、ユーザが携帯電話4aによりレジ端末装置5に対して支払い操作を行っているときに、当該レジ端末装置5からレジ端末装置5の個別情報800を取得することにより、ユーザに較正操作を意識させることなく、加速度センサ425および角速度センサ426を較正することができる。したがって、ユーザの負担が軽減される。
【0154】
また、携帯電話4aは、レジ端末装置5の個別情報と、レジ端末装置5の絶対位置と、レジ端末装置5に対応するカウンター6の基準方向とを関連づけて記憶するメモリ部403を備え、位置特定部473は、非接触ICカード部41により取得されたレジ端末装置5の個別情報800に応じて、メモリ部403に記憶されている当該レジ端末装置5の絶対位置を取得し、方位特定部471は、非接触ICカード部41により取得されたレジ端末装置5の個別情報800に応じて、メモリ部403に記憶されているレジ端末装置5に対応するカウンター6の基準方向を取得する。これにより、すでに設置されているレジ端末装置をそのままレジ端末装置5として利用できる。また、その都度、サーバ装置2にアクセスする場合に比べて、指標情報201を短時間で取得することができる。
【0155】
なお、携帯電話4aのメモリ部403に指標データベース400を構築する手法は、予めアプリケーションソフトとして外部のコンピュータからダウンロードしてインストールしておいてもよい。あるいは、SDカードのような可搬性の記録媒体で提供された情報を、携帯電話4aに装着して使用してもよい。
【0156】
また、本実施の形態におれる測位システム1aでは、レジ端末装置5およびカウンター6を複数備えていた。しかし、それぞれが1台しかなくても、顧客の進行方向を規制することは可能であり、通信可能化動作によって、ユーザの進行方向を高精度に推定可能である。すなわち、レジ端末装置5およびカウンター6の台数は、上記実施の形態に示した例に限定されるものではない。
【0157】
また、レジ端末装置5を指標手段として採用しつつ、第1の実施の形態と同様にサーバ装置2から指標情報201を取得するように構成してもよい。また、第1の実施の形態と同様に改札機3を指標手段として採用しつつ、本実施の形態と同様に携帯電話4aに指標データベース400を構築するように構成してもよい。あるいは、これらが混在してもよい。
【0158】
<3. 第3の実施の形態>
上記実施の形態では、課金処理やポイント加算処理に応じて、自蔵センサの較正、絶対値の取得、および、絶対方位の取得がされる例について説明した。しかし、このような処理に付随して較正が行われなければならないわけではない。
【0159】
図9は、第3の実施の形態における測位システム1bを示す図である。測位システム1bは、携帯電話4bおよびムービングウォーク7から構成されている。
【0160】
第3の実施の形態における測位システム1bは、携帯電話4aの代わりに携帯電話4bを備えている点と、レジ端末装置5およびカウンター6の代わりにムービングウォーク7を備えている点が、第2の実施の形態における測位システム1aと異なっている。以下、本実施の形態における測位システム1bについては、第2の実施の形態における測位システム1aと同様の構成については同符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0161】
ムービングウォーク7は、通信装置70、通信装置70の内部に納められた非接触ICカードリーダ71、一対の手摺部材72、および、可動式の床部材73を備えている。ムービングウォーク7は、いわゆる動く歩道を形成しており、床部材73上に乗った人を所定の方向に搬送する歩行補助機能を有している。
【0162】
通信装置70は、床面から立設した柱状の構造物であり、先述のように、内部に非接触ICカードリーダ71を備えている。
【0163】
非接触ICカードリーダ71は、一般的な非接触ICカードとの間で近接無線通信を行い、当該非接触ICカードに記憶されている様々な情報を読み取ることが可能であるとともに、当該非接触ICカードに様々な情報を送信することも可能である。すなわち、ユーザは、ムービングウォーク7に搭乗する直前に、携帯電話4bにより、非接触ICカードリーダ71に対して通信可能化動作を行うことにより、非接触ICカードリーダ71から情報を取得することが可能とされている。
【0164】
一対の手摺部材72は、乗客(ユーザ)が通過する通路を形成しており、ユーザは、床部材73に乗るまでに基準方向に歩行動作を行うことになる。すなわち、測位システム1bにおいて、一対の手摺部材72が案内部材に該当する。
【0165】
図10は、第3の実施の形態における携帯電話4bの電話部40が備える機能ブロックをデータの流れとともに示す図であ
る。
【0166】
携帯電話4bの非接触ICカード部41は、非接触ICカードリーダ71から、個別情報801を受信する。言い換えれば、非接触ICカードリーダ71は、ユーザが通信可能化動作を行うと、個別情報801を携帯電話4bに向けて送信する。
【0167】
したがって、携帯電話4bの電話部40は、非接触ICカード部41から個別情報801を受け取る。
図10に示すように、個別情報801は、指標情報201を含む情報である。すなわち、第3の実施の形態における個別情報801は、個別情報800と異なり、ムービングウォーク7の絶対位置(通信装置70の絶対位置)と、一対の手摺部材72によって規制されるムービングウォーク7の基準方向とを含んでいる。
【0168】
第3の実施の形態における較正指示部440は、個別情報801が伝達されると、較正タイミングを通知するとともに、直ちに基準時451を記録する。そして、さらに個別情報801(指標情報201)に含まれている絶対位置を絶対位置452とするとともに、個別情報801に含まれている基準方向を基準方向453とする。
【0169】
すなわち、第3の実施の形態における較正指示部440は、ムービングウォーク7の識別情報を検索キーとして、指標データベース(指標データベース200,400)を検索する必要がないように構成されている。したがって、第3の実施の形態における較正部470や方位特定部471による較正の開始までに時間を要しないので、ナビゲーションの開始までの時間を短縮できる。
【0170】
なお、上記以外の構成、機能および動作は、第2の実施の形態における測位システム1aと同様に実現できるため説明は省略する。
【0171】
以上のように、第3の実施の形態における測位システム1bは、指標手段としてムービングウォーク7(通信装置70)を採用し、一対の手摺部材72でユーザの進行方向を基準方向に規制することにより、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0172】
また、ムービングウォーク7の個別情報801は、ムービングウォーク7の絶対位置とムービングウォーク7に対応する一対の手摺部材72の基準方向とを含むことにより、第2の実施の形態のように各レジ端末装置5の情報(絶対位置および進行方向)を携帯電話4aに記憶させる場合に比べて、端末装置の記憶容量を抑制できる。また、第1の実施の形態のように各改札機3の情報をサーバ装置2から取得する場合に比べて、サーバ装置2へのアクセス機能を有していない端末装置も利用できる。
【0173】
なお、ムービングウォーク7と同様に、エレベータやエスカレータ等もユーザの進行方向を規制する機能がある。したがって、それらの乗り口に指標手段に相当する装置を設ければ、ユーザの歩行動作時の進行方向を高精度に予測することができ、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0174】
<4. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0175】
例えば、上記に示した各工程は、あくまでも例示であって、内容や順序を限定するものではない。例えば、同様の効果が得られるならば、内容や順序が変更されてもよい。
【0176】
また、上記に示した較正指示部440や較正部470等は、プログラム80,81を実行することによりソフトウェア的に実現されると説明したが、このような機能ブロックの一部または全部が、専用の論理回路によりハードウェア的に実現されてもよい。
【0177】
また、測位システム1,1a,1bは、いずれもGPSに頼ることなくユーザの絶対位置を特定することができるが、必ずしもGPSを排除するものではない。例えば、携帯電話4,4a,4bをGPS端末として構成し、GPSによる絶対位置の特定と相互補完してもよい。
【0178】
また、端末装置は、携帯電話4,4a,4bに限定されるものではない。例えば、PADやスマートフォン、デジタルカメラなどであってもよい。