特許第6012210号(P6012210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012210
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】流体機器
(51)【国際特許分類】
   F16L 23/028 20060101AFI20161011BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   F16L23/028
   F16K27/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-60123(P2012-60123)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-194772(P2013-194772A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000143972
【氏名又は名称】株式会社ササクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100114616
【弁理士】
【氏名又は名称】眞下 晋一
(72)【発明者】
【氏名】山本 謙二
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−63253(JP,A)
【文献】 特開2005−226698(JP,A)
【文献】 実開平6−1973(JP,U)
【文献】 特開2000−18457(JP,A)
【文献】 実開昭57−107086(JP,U)
【文献】 特開平8−210570(JP,A)
【文献】 特開昭57−120793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 23/02 − 23/036
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体を外部配管と接続する管状の接続部を備えた流体機器であって、
前記接続部は、外周に沿って環状の溝部が形成されており、
前記接続部の外周面から突出するように前記溝部に装着されて全体として環状体を構成する複数の分割リングと、
前記接続部に着脱可能に外嵌される環状のフランジ部材とを備え、
前記フランジ部材の内周面は、小径部と、前記小径部に段部を介して連接され前記小径部よりも前記接続部の先端側に配置される大径部とを備え、
前記段部が前記分割リングの一方端面に当接すると共に、前記大径部が前記分割リングの外周面に密着するように構成され、
前記溝部は、断面矩形状に形成され、内面全体に前記分割リングが密着しており、
前記各分割リングは、前記溝部から突出する部分が前記接続部の外周面に沿って密着しながら先端側に延びる延出部を備えることにより、断面L字状に形成されている流体機器。
【請求項2】
前記接続部は、剛性を有する直管部からなる請求項1に記載の流体機器。
【請求項3】
前記各分割リングは、他方端面が前記フランジ部材の端面と面一になるように配置されている請求項1または2に記載の流体機器。
【請求項4】
前記接続部の外周面に着脱可能に設けられ、前記フランジ部材の前記小径部側の端面を係止する係止部材を備える請求項1から3のいずれかに記載の流体機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体機器に関する。
【背景技術】
【0002】
バルブ、ポンプ、流量計等の各種流体機器は、外部配管との接続がフランジを介して行われるのが一般的である。流体機器の流路となる本体(バルブの弁箱、ポンプのケーシング等)が鋳物で製作される場合には、フランジを本体と一体で製作することが可能であるが、本体内面およびフランジが流体に曝されるため、腐食性のある流体に適用する場合にはステンレス等の耐食性が高い材料で本体およびフランジを製作する必要があり、製造コストが高くなる。また、フランジの強度を確保するために肉厚を大きくすると、フランジの付け根等に鋳造欠陥が生じ易くなるためにこの検査が必要になり、やはりコスト高の要因となる。フランジは、本体と一体成形する代わりに、本体に対して溶接(突合せ溶接、差し込み溶接)することも行われているが、溶接作業が煩雑になるだけでなく、フランジの内周面が流体に曝されるために耐食性を高める必要があり、やはり製造コストの上昇を招いていた。フランジの形式としては、配管と分離して流体との接触を回避可能なルーズフランジも知られているが、接続用配管のつば出しが必要になるため、後からフランジの取付けや取り外しを行うことが困難になるという問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1には、ルーズフランジを用いた継手構造において、図4に示すように、構造物101が備える下パイプ102の先端部に、つば出しを行う代わりに溝103を形成し、この溝103に半割リング104,105を装着して、下パイプ102に挿入されたルーズフランジ106を上パイプ107の固定フランジ108にボルト109およびナット110で締結する構成が開示されている。この構成によれば、半割リング104,105を溝103から取り外すことで、ルーズフランジ106の取付けや取り外しを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−121788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に開示されたルーズフランジ継手構造は、半割リング104,105の外周面が露出した状態でルーズフランジ106が固定フランジ108に締結されるため、半割リング104,105の変形が生じ易く、振動等により半割リング104,105が溝103から脱落するおそれがあり、ルーズフランジ106を固定フランジ108に確実に締結することができないという問題があった。また、ルーズフランジ106と固定フランジ108との距離が大きいために、両者の間に延在するボルト109の長さが長くなるので、ボルト109が温度変化等により伸縮して、軸力低下による緩みが生じ易いという問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、外部配管に接続するためのフランジの取り付け・取り外しを容易にしつつ、外部配管を確実に接続することができる安価な流体機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、機器本体を外部配管と接続する管状の接続部を備えた流体機器であって、前記接続部は、外周に沿って環状の溝部が形成されており、前記接続部の外周面から突出するように前記溝部に装着されて全体として環状体を構成する複数の分割リングと、前記接続部に着脱可能に外嵌される環状のフランジ部材とを備え、前記フランジ部材の内周面は、小径部と、前記小径部に段部を介して連接され前記小径部よりも前記接続部の先端側に配置される大径部とを備え、前記段部が前記分割リングの一方端面に当接すると共に、前記大径部が前記分割リングの外周面に密着するように構成され、前記溝部は、断面矩形状に形成され、内面全体に前記分割リングが密着しており、前記各分割リングは、前記溝部から突出する部分が前記接続部の外周面に沿って密着しながら先端側に延びる延出部を備えることにより、断面L字状に形成されている流体機器により達成される。
【0008】
この流体機器において、前記接続部は、剛性を有する直管部からなることが好ましい。
【0010】
また、前記各分割リングは、他方端面が前記フランジ部材の端面と面一になるように配置されていることが好ましい。
【0011】
また、前記接続用配管の外周面に着脱可能に設けられ、前記フランジ部材の前記小径部側の端面を係止する係止部材を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部配管に接続するためのフランジの取り付け・取り外しを容易にしつつ、外部配管を確実に接続することができる安価な流体機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る流体機器の断面図である。
図2図1に示す流体機器の要部正面図である。
図3図1に示す流体機器の接続部を外部配管と接続した状態を示す要部断面図である。
図4】従来の流体機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る流体機器の断面図である。図1に示す流体機器1は、内部に流体の流路11が形成された機器本体である弁箱10と、流路11内に配置された弁体20と、弁体20を回動可能に支持する弁軸30とを備えるバタフライ弁であり、弁体20を弁軸30まわりに回動させることで流路11を開閉することができる。弁箱10は、ステンレスや銅合金等の金属材料によって円筒状に形成されており、弁軸30と直交する軸線方向の両側には、外部配管(図示せず)に接続される接続部40,40を備えている。
【0016】
接続部40は、剛性を有する直管部からなり、外周の周方向に沿って環状の溝部41が形成されている。溝部41には、図2に正面図で示す2つの半円状の分割リング42a,42bが装着されており、これら分割リング42a,42bが全体として環状体42を構成している。分割リング42a,42bは、外周側が接続部40の外周面から突出しており、この突出部分が接続部40の外周面に沿って密着しながら先端側に延びるように形成されることで、分割リング42a,42bの先端側に延出部421a,421bが設けられている。分割リング42a,42bは、例えば炭素鋼等の金属材料から形成することができる。
【0017】
また、接続部40には、環状のフランジ部材44が着脱可能に外嵌されている。フランジ部材44は、内周面に、小径部44aと小径部44aよりも内径が大きい大径部44bとが形成されており、小径部44aが接続部40の外周面に密着して、大径部44bが接続部40の先端側となるように配置されている。小径部44aと大径部44bとは段部44cを介して連接されており、段部44cが分割リング42a,42bの突出部の端面に当接している。また、分割リング42a,42bは、外周面の全体がフランジ部材44の大径部44bに密着しており、延出部421a,421bが、フランジ部材44の大径部44bと接続部40の外周面との間に挟持される。フランジ部材44の先端側の端面44fは、分割リング42a,42bの先端側の端面422a,422bと面一とされている。フランジ部材44の先端側端面44fと反対側の端面の外周部には切欠部44dが形成されており、この外周部に複数のフランジ孔44eを有している。フランジ部材44は流体に接しないため、流体に対する耐腐性を考慮する必要はなく、例えば炭素鋼やアルミ等の金属材料から形成することができる。
【0018】
また、接続部40には、係止部材46が設けられており、フランジ部材44は、切欠部44dが形成された小径部44a側の端面の内周側が、係止部材46によって係止されている。係止部材46は、切れ目を有するリング状の部材であり、接続部40の外周に形成された係止溝47に着脱可能に設けられている。
【0019】
上記の構成を備える流体機器1は、接続部40にフランジ部材44を外嵌して奥まで押し込んだ後、溝部41に分割リング42a,42bを装着してフランジ部材44を引き戻すことにより、フランジ部材44の大径部44bが分割リング42a,42bの外周面に密着すると共に、段部44cが分割リング42a,42bの端面に当接する。この後、係止部材46を接続部40の周囲から係止溝47に嵌め込むことにより、フランジ部材44が固定される。このような作業を2つの接続部40,40のそれぞれに対して行うことで、流路11の両側に外部配管を接続可能にすることができる。接続部と外部配管との接続は、図3に要部断面図で示すように、接続部40に設けられたガスケット当り面45と、外部配管50に設けられたガスケット当り面55とを、ガスケット52を介して接合し、各フランジ部材44,51のフランジ孔44e,51aにボルト53を挿通して、このボルト53の両端にナット54,54を締め込むことにより行うことができる。外部配管50のフランジ部材51は、外部配管50に溶接等により固定してもよく、あるいは、従来のルーズフランジであってもよい。更に、流体機器1のフランジ部材44と同様の構成により、外部配管50にフランジ部材51を設けることも可能である。
【0020】
本実施形態の流体機器1は、フランジ部材44が接続部40に外嵌されるため、弁箱10を通過する流体にフランジ部材44が曝されるおそれがない。したがって、腐食性が高い流体を使用する場合でも、フランジ部材44には炭素鋼等の安価な材料を使用して製造コストの低減を図ることができ、あるいは、フランジ部材44をアルミニウムや樹脂などにより形成して軽量化を図ることができる。また、フランジ部材44が弁箱10とは別体で製作されるため、弁箱とフランジとを鋳物で一体成形する場合に生じるフランジ付け根の鋳造欠陥のおそれがなく、高品質を確保できると共に、この検査費用も不要であることから、製造コストの低減を図ることができる。更に、フランジ部材44は、鍛造品・板材等を機械加工することで製作可能であることから、外部配管50のフランジ51の大きさに合わせたフランジ部材44の寸法変更が容易である。
【0021】
また、溝部41に装着される分割リング42a,42bは、2つに分割されて取り付けや取り外しが容易であるため、フランジ部材44の取付時や交換時の作業性を高めることができる。分割リング42a,42bは、本実施形態では2分割としているが、全体として環状体42を構成可能であれば3つ以上に分割可能な構成であってもよい。
【0022】
更に、本実施形態の流体機器1は、フランジ部材44の内周面に、小径部44aと、小径部44aに段部44cを介して連接された大径部44bとを備えており、段部44cが分割リング42a,42bの端面に当接すると共に、大径部44bが分割リング42a,42bの外周面に密着するように構成しているので、流体機器1の使用時や搬送時に振動や衝撃等が発生しても、フランジ部材44によって分割リング42a,42bを確実に保持することができ、分割リング42a,42bの脱落を防止することができる。一方、フランジ部材44は、内周側が分割リング42a,42bによって拘束されるため、変形が生じ難くなる。これらの結果、外部配管50との確実な接続を維持することができる。また、このような構成によれば、フランジ部材44の先端側の端面44fが、外部配管50のフランジ部材51に必然的に近づくため、フランジ部材44を適宜薄肉化することにより、連結部材であるボルト53の長さを短くすることができる。したがって、温度変化等によるボルト53の軸力低下を抑制することができ、接続状態を良好に維持することができる。
【0023】
フランジ部材44の大径部44bに密着する分割リング42a,42bの外周面は、弁箱10の軸線に沿った一部のみでもよいが、本実施形態のように、分割リング42a,42bの外周面全体がフランジ部材44の大径部44bに密着することが好ましい。更に、本実施形態のように、分割リング42a,42bおよびフランジ部材44の先端側の端面同士を面一にすることで、分割リング42a,42bの脱落防止とフランジ部材44の変形防止をより確実にすることができる。
【0024】
分割リング42a,42bが溝部41から突出する部分の軸線方向長さは、溝部41の幅と同じであってもよいが、本実施形態のように、溝部41から接続部40の外周面に沿って先端側に延びるように延出部421a,421bを設けることで、分割リング42a,42bの外周面とフランジ部材44の内周面との接触面積を容易に増大させることができ、外部配管50との接続をより確実にすることができる。
【0025】
また、本実施形態の流体機器1は、係止部材46によってフランジ部材44が接続部40の先端側に係止されるため、外部配管50との接続時にフランジ部材44が移動するおそれがなく、接続作業を容易にすることができる。係止部材46は、本実施形態では切れ目を有するリング状部材を用いて接続部40の周方向全体に設けているが、周方向の一部のみであってもよく、あるいは、周方向に間隔をあけて複数配置してもよい。なお、係止部材46は本発明において必須のものではなく、係止部材46を設けない構成にすることも可能である。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、流体機器がバタフライ弁の場合について説明したが、気体や液体等の流体が通過、供給または排出される機器本体を外部配管と接続する接続部を備えた各種流体機器に適用可能であり、具体的には、流量計、ポンプ、各種バルブ、アキュムレータ、タンク、熱交換器等を挙げることができる。流体機器が備える接続部は、外部配管との接続を強固に行うことができるように、本実施形態と同様に剛性を有する直管部であることが好ましい。直管部からなる接続部は、流体機器の本体に直接接続してもよく、あるいは、曲管等を介して機器本体に接続してもよい。流体機器が外部配管との接続部を複数備える場合には、全ての接続部が本発明の構成を備えてもよく、あるいは、一部の接続部のみが本発明の構成を備えてもよい。
【0027】
更に、本発明は、流体機器を外部配管と接続するだけでなく、剛性を有する直管部を外部配管に接続する場合にも適用することができる。この場合は、本実施形態の接続部40を、外部配管に接続される配管等の直管部とすることで、本実施形態と同様に構成することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 流体機器
10 機器本体(弁箱)
40 接続部
41 溝部
42a,42b 分割リング
421a,421b
44 フランジ部材
44a 小径部
44b 大径部
44c 段部
46 係止部材
50 外部配管
51 フランジ部材
図1
図2
図3
図4