(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の静翼セグメントでは、複数の静翼がそれぞれ結合部材に溶接されているため、複数の静翼相互間でのガタが極めて少ないものの、静翼に溶接熱が加えられるため、熱応力による静翼の変形や溶接部の割れが生じるおそれがある、という問題点がある。さらに、上記特許文献1に記載の静翼セグメントでは、結合部材に複数の静翼をそれぞれ溶接する必要があるため、静翼セグメントの組立工数がかさむ、という問題点もある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に着目し、複数の静翼相互間のガタを小さくしつつ、静翼の変形や割れを抑え、且つ組立工数を少なくすることができる静翼セグメン
ト、これを備えている軸流流体機械
及びその静翼連結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための発明に係る静翼セグメントは、
静翼環の一部を成し、複数の静翼が周方向に連結されている静翼セグメントにおいて、
前記径方向に延びる静翼本体と、該静翼本体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、前記外側シュラウドに形成され、径方向外側から径方向内側に向かって凹み且つ前記周方向に延びる溝と、を有する静翼と、前記溝に入り込み複数の前記静翼を連結する外側連結部材と、前記外側連結部材に対して、複数の静翼のうちで前記周方向の両端に位置する端静翼を位置決めする位置決め具と、を備え、前記位置決め具は、第一円柱部と、該第一円柱部の中心軸線に対して偏芯している第二円柱部からなる偏心位置決め具であり、
前記偏芯位置決め具が挿入された一方の端静翼は、前記偏心位置決め具の回転により、他方の端静翼側へ移動可能な構成を有することを特徴とする。
【0009】
当該静翼セグメントでは、外側連結部材により、複数の静翼を径方向外側へ相対移動不能に拘束することができる。また、当該静翼セグメントでは、2つの位置決め具により、複数の静翼の外側シュラウドが周方向で密着した状態で、外側連結部材に対する複数の外側シュラウドの周方向の位置を拘束することができる。従って、当該静翼セグメントでは、複数の静翼相互間のガタを極めて小さくすることができる。
【0010】
さらに、当該静翼セグメントでは、複数の静翼それぞれに溶接を施す必要がないため、溶接に起因する静翼の変形や割れを無くすことができると共に、組立工数を削減することができる。
【0011】
ここで、前記静翼セグメントにおいて、
2つの前記端静翼の前記溝に入り込む前記外側連結部材には、前記径方向に貫通し前記位置決め具が挿通される孔が形成されており、前記溝の底には径方向内側に向かって凹み、前記外側連結部材の前記孔に挿通された前記位置決め具が挿入される穴が形成され、2つの前記端静翼の前記穴のうち、少なくとも一方の穴の内径は、前記偏芯位置決め具の前記第一円柱部の外径に対応し、該第一円柱部が挿入可能な内径であり、前記外側連結部材の2つの前記孔のうち、少なくとも一方の該孔の内径は、前記偏芯位置決め具の前記第二円柱部の外径に対応し、該第二円柱部が挿通可能な内径であってもよい。
【0012】
また、前記静翼セグメントにおいて、2つの前記端静翼には、それぞれ、前記径方向拘束部として、前記溝内に入り込んだ前記外側連結部材の径方向外側面に対向する鍔部が形成されていてもよい。
【0013】
当該静翼セグメントでは、複数の外側シュラウドに対して、外側連結部材を径方向外側に相対移動不能に支持する箇所が、外側連結部材の周方向の両端部の2箇所になるため、外側連結部材を安定支持することができる。
【0014】
また、前記静翼セグメントにおいて、2つの前記位置決め具と前記外側連結部材とは溶接されていてもよい。
【0015】
外側連結部材からの2つの位置決め具の抜けを防ぐ方法としては、各種方法が考えられるが、位置決め具を外側連結部材に溶接することで、部品点数を増加さることなく、位置決め具抜けを防ぐことができる。しかも、この溶接は、静翼に対する溶接処理ではないため、静翼に対する溶接熱の悪影響を回避することができる。
【0016】
また、前記静翼セグメントにおいて、複数の前記静翼は、いずれも、前記静翼本体の径方向内側に設けられている内側シュラウドを有し、複数の前記静翼の前記内側シュラウドがそれぞれ係合して、各内側シュラウドを前記径方向へ相対移動不能に拘束する内側連結部材を備えていてもよい。
【0017】
また、上記問題点を解決するための発明に係る軸流流体機械は、複数の前記静翼セグメントで構成された静翼環を備えていることを特徴とする。
さらに、上記問題点を解決するための発明に係る静翼セグメントの静翼連結方法は、静翼環の一部を成し、複数の静翼が周方向に連結されている静翼セグメントにおいて、前記径方向に延びる静翼本体と、該静翼本体の径方向外側に設けられている外側シュラウドと、外側シュラウドに形成され、径方向外側から径方向内側に向かって凹み且つ前記周方向に延びる溝とを有する静翼と、前記溝に入り込み複数の前記静翼を連結する外側連結部材と、前記外側連結部材に対して、複数の静翼のうちで前記周方向の両端に位置する端静翼を位置決めする位置決め具とを備え、前記位置決め具の少なくとも一方は、第一円柱部と、該第一円柱部の中心軸線に対して偏芯している第二円柱部とからなる偏心位置決め具を有しており、前記偏芯位置決め具が挿入された一方の端静翼を、前記偏心位置決め具を回転させることにより、他方の端静翼側へ移動させて、複数の静翼を周方向に連結させるようにする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、複数の静翼相互間のガタを小さくしつつ、静翼の変形や割れを抑え、且つ組立工数を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る軸流流体機械の一実施形態について、
図1〜
図8を参照して詳細に説明する。
【0021】
ガスタービンは、
図1に示すように、外気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機1と、燃料供給源からの燃料を圧縮空気に混合して燃焼させて燃焼ガスを生成する複数の燃焼器6と、燃焼ガスにより駆動するタービン7と、を備えている。
【0022】
圧縮機1及びタービン7は、いずれも軸流流体機械で、回転軸線Arを中心として回転するロータ2,8と、このロータ2,8を覆うケーシング5,9とを有している。圧縮機ロータ2及びタービンロータ8は、同一の回転軸線Arを中心として回転するもので、相互に連結されている。複数の燃焼器6は、回転軸線Arを中心として、周方向Dcに互いに等間隔でタービンケーシング9に固定されている。なお、以下では、回転軸線Arが延びている方向を軸方向Daとし、回転軸線Arに対する径方向を単に径方向Drという。また、軸方向Daであって、タービン7を基準にして圧縮機1側を上流側、圧縮機1を基準にしてタービン7側を下流側という。
【0023】
圧縮機ロータ2は、軸方向Daに延びているロータ本体3と、このロータ本体3の外周に固定され軸方向Daに並んでいる複数の動翼段4と、を有している。圧縮機ケーシング5の内周側には、各動翼段4の上流側の位置に静翼段10が固定されている。
【0024】
1つの静翼段10は、
図2に示すように、複数の静翼20が環状に並んで相互に連結された静翼環として形成されている。この静翼環は、組立の都合上、周方向に分割されている。この周方向に分割された各部分が静翼セグメント11を構成する。この静翼セグメント11は、静翼環を構成する複数の静翼20のうちの一部の複数の静翼20が周方向Dcに並んで相互に連結されたものである。
【0025】
静翼セグメント11は、
図3に示すように、周方向Dcに並んでいる複数の静翼20と、複数の静翼20の径方向内側の部分が装着される連結ホルダ(内側連結部材)40と、複数の静翼20の径方向外側の部分相互を周方向Dcに連結する連結バンド(外側連結部材)50と、を有している。
【0026】
静翼20は、
図5及び
図6に示すように、径方向Drに延びる静翼本体21と、静翼本体21の径方向内側に設けられている内側シュラウド22と、静翼本体21の径方向外側に設けられている外側シュラウド32と、を有している。
【0027】
内側シュラウド22は、静翼本体21の径方向内側に設けられ、周方向Dcの広がっている板状のシュラウド本体23と、シュラウド本体23の上流側部分から径方向内側に延びる上流側脚部24と、この上流側脚部24の径方向内側端から上流側に延びる上流側リップ部25と、シュラウド本体23の下流側部分から径方向内側に延びる下流側脚部26と、この下流側脚部26の径方向内側端から下流側に延びる下流側リップ部27と、を有している。シュラウド本体23と上流側リップ部25との間は、下流側に凹む上流側係合溝28を形成している。また、シュラウド本体23と下流側リップ部27との間は、上流側に凹む下流側係合溝29を形成している。これら係合溝28,29の溝底部は、いずれも、脚部24,26により形成されている。
【0028】
外側シュラウド32は、静翼本体21の径方向外側に設けられ、周方向Dcに広がっている板状のシュラウド本体33と、シュラウド本体33の上流側部分から径方向外側に延びる上流側脚部34と、この上流側脚部34の径方向外側端から上流側に延びる上流側リップ部35と、シュラウド本体33の下流側部分から径方向外側に延びる下流側脚部36と、この下流側脚部36の径方向外側端から下流側に延びる下流側リップ部37と、を有している。上流側脚部34と下流側脚部36との間は、径方向外側から径方向内側に凹み周方向Dcに延びるバンド溝31を形成している。このバンド溝31の溝底部は、シュラウド本体33により形成されている。このバンド溝31には、連結バンド50の周方向Dcの一部が入り込む。
【0029】
静翼セグメント11を構成する複数の静翼20のうち、周方向Dcの両端に位置する端静翼20a,20bの外側シュラウド32aは、
図5に示すように、さらに、上流側脚部34の径方向外側端から下流側に延びる上流側フランジ部(鍔部、径方向拘束部)38と、下流側脚部36の径方向外側端から上流側に延びる下流側フランジ部(鍔部、径方向拘束部)39と、を有している。上流側フランジ部38及び下流側フランジ部39は、いずれも、バンド溝31内に入り込んだ連結バンド50の径方向外側面と対向し、端静翼20a,20bに対してバンド溝31内に入り込んだ連結バンド50を径方向外側へ相対移動不能に拘束する役目を担っている。
【0030】
また、端静翼20a,20bの外側シュラウド32aにおけるバンド溝31には、径方向外側から径方向内側に凹む円柱状の穴31hが形成されている。なお、本実施形態において、端静翼20a,20bを除く他の静翼20cには、
図6に示すように、端静翼20a,20bにおける上流側フランジ部38、下流側フランジ部39、及び穴31hは形成されていない。
【0031】
連結ホルダ40は、周方向Dcに延びるシール保持部43と、シール保持部43の上流側縁に沿って形成され径方向外側に延びる上流側脚部44と、上流側脚部44の径方向外側端から下流側に延びて内側シュラウド22の上流側係合溝28に入り込む上流側フランジ部45と、シール保持部43の下流側縁に沿って形成され径方向外側に延びる下流側脚部46と、下流側脚部46の径方向外側端から上流側に延びて内側シュラウド22の下流側係合溝29に入り込む下流側フランジ部47と、を有している。シール保持部43の径方向内側には、圧縮機ロータ2のロータ本体3(
図1)との間をシールするシール装置48が設けられている。上流側脚部44と下流側脚部46との間は、径方向内側に凹み、周方向Dcに延びるシュラウド収納溝41を形成している。このシュラウド収納溝41の溝底部は、シール保持部43により形成されている。このシュラウド収納溝41には、静翼セグメント11を構成する複数の静翼20が周方向Dcに並んでいる状態で、各静翼20の内側シュラウド22の上流側脚部24、上流側リップ部25、下流側脚部26、及び下流側リップ部27が入り込む。
【0032】
周方向Dcに延びる連結バンド50は、
図7に示すように、外側シュラウド32のバンド溝31に入り込めるよう、その軸方向Daの幅がバンド溝31の軸方向Daの幅に対応している。また、この連結バンド50の周方向Dcの長さは、静翼セグメント11を構成する複数の静翼20が周方向Dcに並んでいる状態で、各静翼20の内側シュラウド22のバンド溝31における周方向Dcの合計長さに対応している。なお、
図7では、静翼セグメント11を構成する複数の静翼20の形状を理解し易く図示するために、周方向Dcを直線の矢印で示す方向で描いている。
【0033】
この連結バンド50には、径方向Drに貫通した円柱状の第一孔51及び第二孔52が形成されている。各孔51,52の周方向Dc及び軸方向Daの位置は、静翼セグメント11を構成する複数の静翼20が周方向Dcに並び、連結バンド50が各静翼20のバンド溝31に入り込んでいる状態で、この連結バンド50中で、各端静翼20a,20bの穴31h,31hに対応する位置である。
【0034】
本実施形態の静翼セグメント11は、さらに、
図7に示すように、連結バンド50の第一孔51に挿通され、且つ一方の端静翼20aの穴31hに挿入される第一位置決め具61と、連結バンド50の第二孔52に挿通され、且つ他方の端静翼20bの穴31hに挿入される第二位置決め具62と、を有している。第一位置決め具61は、
図8に示すように、通常の円柱状のピンである。一方、第二位置決め具62は、偏芯ピンで、第一中心軸線C1を中心として円柱状の第一円柱部63と、第一円柱部63の端部に設けられ、第一中心軸線C1に対して間隔をあけて平行な第二中心軸線C2を中心として円柱状の第二円柱部64と、を有している。第二位置決め具62の第一円柱部63は、端静翼20bの穴31hに挿入される部分であり、第二位置決め具62の第二円柱部64は、連結バンド50の第二孔52に挿通される部分である。
【0035】
第二位置決め具62における第二円柱部64の端部であって第一円柱部63と反対側の端部には、この第二位置決め具62を第二中心軸線C2回りに回転させる工具が係合する工具係合部65が形成されている。この工具係合部65は、例えば、六角レンチが入り込む六角柱状の工具穴であってもよいし、六角ソケットが装着可能な六角柱状のボルト頭であってもよい。
【0036】
2つの端静翼20a,20bの穴31h,31hのうち、一方の端静翼20aの穴31hの内径Dは、第一位置決め具61の外径dに対応し、第一位置決め具61が実質的にガタ無く入り込める内径である。また、他方の端静翼20bの穴31hの内径D1は、第二位置決め具62の第一円柱部63の外径d1に対応し、この第一円柱部63が実質的にガタ無く入り込める内径である。なお、本実施形態では、円柱状の第一位置決め具61の外径dと第二位置決め具62の第一円柱部63の外径d1とは等しい。このため、一方の穴31hの内径Dと他方の穴31hの内径D1とは等しい。したがって、本実施形態では、2つの端静翼20a,20bは、同一形状である。
【0037】
連結バンド50の第一孔51の内径Dは、第一位置決め具61の外径dに対応し、第一位置決め具61が実質的にガタ無く挿通できる内径であって、一方の端静翼20aの穴31hの内径Dと同じである。すなわち、本実施形態では、2つの端静翼20a,20bの各穴31h,31hの内径D,D1と連結バンド50の第一孔51の内径Dは、同一である。
【0038】
また、連結バンド50の第二孔52の内径D2は、第二位置決め具62の第二円柱部64の外径d2に対応し、この第二円柱部64が実質的にガタ無く挿通できる内径である。ところで、第二位置決め具62の第二円柱部64は、その第二中心軸線C2が第一円柱部63の第一中心軸線C1に対して偏芯していれば、基本的にその外径を問題にしない。但し、本実施形態では、第二円柱部64の外径d2は第一円柱部63の外径d1よりも大きい。このため、本実施形態における連結バンド50の第二孔52の内径D2は、2つの端静翼20a,20bの各穴31h,31hの内径D,D1及び連結バンド50の第一孔51の内径Dよりも大きい。
【0039】
次に、以上で説明した静翼セグメント11の製造手順について説明する。
【0040】
まず、
図7に示すように、以上で説明した複数の静翼20、連結ホルダ40、連結バンド50、第一位置決め具61及び第二位置決め具62を準備する。
【0041】
次に、複数の静翼20の内側シュラウド22を連結ホルダ40に装着する。この際、まず、2つの端静翼20a,20bのうち、一方の端静翼20aの内側シュラウド22を連結ホルダ40に装着し、次に、この端静翼20aに周方向Dcで隣接する他の静翼20cの内側シュラウド22を連結ホルダ40に装着する。その後、順次、周方向Dcで隣接する他の静翼20の内側シュラウド22を連結ホルダ40に装着する。
【0042】
静翼20の内側シュラウド22を連結ホルダ40に装着する際には、連結ホルダ40に対して内側シュラウド22を周方向Dcに相対移動させて、連結ホルダ40のシュラウド収納溝41内に内側シュラウド22の上流側脚部24、上流側リップ部25、下流側脚部26、及び下流側リップ部27を入れる。
図5及び
図6に示すように、連結ホルダ40のシュラウド収納溝41内に内側シュラウド22の上流側脚部24、上流側リップ部25、下流側脚部26、及び下流側リップ部27が入ると、内側シュラウド22の上流側係合溝28に連結ホルダ40の上流側フランジ部45が入り込み、内側シュラウド22の下流側係合溝29に連結ホルダ40の下流側フランジ部47が入り込む。
【0043】
この結果、内側シュラウド22のシュラウド本体23における径方向内側の面が連結ホルダ40の上流側フランジ部45及び下流側フランジ部47における径方向外側の面と対向する。また、内側シュラウド22の上流側リップ部25における径方向外側の面が連結ホルダ40の上流側フランジ部45における径方向内側の面と対向し、内側シュラウド22の下流側リップ部27における径方向外側の面が連結ホルダ40の下流側フランジ部47における径方向内側の面と対向する。このため、内側シュラウド22は、連結ホルダ40に対して径方向Drに相対移動不能になる。また、内側シュラウド22の上流側係合溝28における溝底面が連結ホルダ40の上流側フランジ部45における下流側端面と対向し、内側シュラウド22の下流側係合溝29における溝底面が連結ホルダ40の下流側フランジ部47における上流側端面と対向する。このため、内側シュラウド22は、連結ホルダ40に対して軸方向Daに相対移動不能になる。
【0044】
すなわち、静翼20の内側シュラウド22が連結ホルダ40に装着されると、この静翼20は、連結ホルダ40に対して径方向Dr及び軸方向Daに相対移動不能になる。また、複数の静翼20の内側シュラウド22が連結ホルダ40に装着されると、複数の静翼20は、径方向Dr及び軸方向Daの相互の位置が一致して、周方向Dcに並ぶことになる。複数の静翼20が周方向Dcに並ぶと、各静翼20のバンド溝31が周方向Dcに連なった一つの溝30(
図7)が形成される。
【0045】
次に、
図4及び
図7に示すように、各静翼20のバンド溝31が周方向Dcに連なった一つの溝30に、連結バンド50を入れる。この際、各静翼20のバンド溝31に対して、連結バンド50を周方向Dcに相対移動させて、この各バンド溝31に連結バンド50を入れていく。そして、2つの端静翼20a,20bのうちの一方の端静翼20aの穴31hと連結バンド50の第一孔51の位置とが一致し、他方の端静翼20bの穴31hが連結バンド50の第二孔52から臨める位置に至った時点で、連結バンド50がこの溝30に完全に収まったことになる。
【0046】
連結バンド50が溝30に完全に収まると、
図5及び
図6に示すように、連結バンド50の上流側端面が各静翼20の外側シュラウド32の上流側脚部34における下流側の面に対向し、連結バンド50の下流側端面が各静翼20の外側シュラウド32の下流側脚部36における上流側の面に対向する。このため、各静翼20の外側シュラウド32は、連結バンド50に対して軸方向Daに実質的に相対移動不能になる。また、連結バンド50の径方向外側の面が各端静翼20a,20bの上流側フランジ部38及び下流側フランジ部39における径方向内側面に対向する。このため、複数の静翼20の外側シュラウド32に対して、連結バンド50は径方向Drに離れる側(径方向外側)に実質的に相対移動不能になる。このため、複数の静翼20の外側シュラウド32に対して、連結バンド50は径方向Drに近づく側(径方向内側)に実質的に相対移動不能になる。
【0047】
次に、
図8(a)に示すように、第一位置決め具61を連結バンド50の第一孔51に挿通させ、さらに一方の端静翼20aの穴31hに挿入する。この結果、連結バンド50に対して、一方の端静翼20aの外側シュラウド32aの周方向Dcにおける相対位置が定まる。続いて、第二位置決め具62の第一中心軸線C1の位置と他方の端静翼20bの穴31hの中心軸の位置とを一致させてから、第二位置決め具62を連結バンド50の第二孔52に挿通させ、さらに第二位置決め具62の第一円柱部63を他方の端静翼20bの穴31hに挿入する。この過程で、第二位置決め具62の第二円柱部64は、連結バンド50の第二孔52に挿通される。
【0048】
次に、第二位置決め具62の工具係合部65に工具を係合させて、第二位置決め具62を第二円柱部64の第二中心軸線C2回りに回転させる。この第二位置決め具62を第二中心軸線C2回りに回転させると、第二位置決め具62の第二円柱部64に対して偏芯している第一円柱部63が第二中心軸線C2回りに回転して、第二中心軸線C2に対して垂直な方向に移動する。この結果、第二位置決め具62の第一円柱部63が挿入されている他方の端静翼20bの外側シュラウド32aが第二中心軸線C2に対して垂直な方向に移動する。ここで、第二位置決め具62の第一円柱部63が挿入される他方の端静翼20bの穴31hは径方向Drに凹んだ穴であり、第二位置決め具62の第二円柱部64が挿通される連結バンド50の第二孔52は径方向Drに貫通した孔である。したがって、第二位置決め具62の第一円柱部63が他方の端静翼20bの穴31hに挿入されている際の第二位置決め具62の第二中心軸線C2は、径方向Drに延びていることになる。このため、第二位置決め具62の回転により、他方の端静翼20bの外側シュラウド32は径方向Drに対して垂直な方向に移動する。
【0049】
仮に、
図8(a)に示すように、複数の静翼20の各外側シュラウド32が周方向Dcで互いに密着していない場合、第二位置決め具62を回転させることで、同図(b)に示すように、他方の端静翼20bの外側シュラウド32が周方向Dcにおける一方の端静翼20a側に移動して、複数の静翼20の各外側シュラウド32が周方向Dcで互いに密着させることができる。複数の静翼20の各外側シュラウド32が周方向Dcで互いに密着した時点で、複数の静翼20における外側シュラウド32の周方向Dcの位置が定まる。すなわち、第一位置決め具61及び第二位置決め具62により、複数の静翼20における外側シュラウド32の周方向Dcの位置が位置決めされる。
【0050】
次に、第一位置決め具61及び第二位置決め具62を連結バンド50に溶接して、連結バンド50に接合する。
【0051】
以上で、静翼セグメント11を構成する各部材が一体化し、静翼セグメント11が完成する。
【0052】
以上のように、本実施形態では、第二位置決め具62の操作で、複数の静翼20の外側シュラウド32を周方向Dcで互いに密着させることができるので、複数の静翼20相互でのガタを極めて小さくすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、溶接箇所が連結バンド50に対する第一位置決め具61及び第二位置決め具62のみで、溶接箇所が極めて少ない上に、1箇所における溶接量も少ないので、組立工数を削減することができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、静翼20に対しては溶接を施していないため、溶接に起因する静翼20の変形や割れを無くすことができる。
【0055】
また、本実施形態では、第一位置決め具61及び第二位置決め具62中で連結バンド50から突出している部分を切断すれば、静翼セグメント11を部品毎に容易に分解することができる。このため、例えば、静翼セグメント11を構成する複数の静翼20のうち、一の静翼20が損傷しても、この一の静翼20のみを補修することができる、又は他の静翼20に容易に取りかえることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、端静翼20a,20bの外側シュラウド32a,32aのみに上流側フランジ部38及び下流側フランジ部39を形成しているが、複数の静翼20のうち端静翼20a,20bを含む3以上の静翼20の外側シュラウド32に上流側フランジ部38及び下流側フランジ部39を形成してもよい。但し、この場合、本実施形態の静翼セグメント11に比べて製造コストがかさんでしまう。また、端静翼20a,20bを除く他の一の静翼20cの外側シュラウド32のみに上流側フランジ部38及び下流側フランジ部39を形成してもよい。但し、この場合には、複数の静翼20の外側シュラウド32に対して、連結バンド50を径方向外側に相対移動不能に支持する箇所が、連結バンド50の周方向Dcにおける中ほどの1箇所のみとなり、本実施形態に比べて連結バンド50の支持が不安定になる。また、上流側フランジ部38と下流側フランジ部39とのうち、一方のフランジ部のみを形成するようにしてもよい。但し、この場合も、本実施形態に比べて、連結バンド50の支持が不安定になる。
【0057】
したがって、複数の静翼20の外側シュラウド32に対して、連結バンド50を径方向外側に相対移動不能に拘束する径方向拘束部としては、本実施形態で示す例が好ましい。
【0058】
また、本実施形態では、連結バンド50に対して各位置決め具61,62を溶接することで、連結バンド50に対して各位置決め具61,62を径方向Drに相対移動不能にしているが、他の方法で、連結バンド50に対して各位置決め具61,62を径方向Drに相対移動不能にしてもよい。例えば、位置決め具61,62の径方向外側端面に接するピンキャップやピン押え板等を設け、これらピンキャンプやピン押え板等を連結具で連結バンド50に連結するようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、2つの位置決め具61,62のうち、一方の位置決め具62のみが偏芯ピンであるが、両方の位置決め具61,62が偏芯ピンであってもよい。さらに、本実施形態では、第一位置決め具61としてピンを用いているが、この替わりに、例えば、ボルトを用いてもよい。つまり、本発明において、一方の位置決め具は、ピンに限定されない。
【0060】
また、以上では、圧縮機1の静翼セグメント11の例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、タービン等、他の軸流流体機械の静翼セグメントに本発明を適用してもよい。