【実施例1】
【0015】
本発明の鉄道信号電球試験器の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、(a)が鉄道信号電球試験器30だけの正面図、(b)がG形電球10を試験のため一時装着した鉄道信号電球試験器30の正面図、(c)がその回路図である。また、
図2は、判定回路40の判定手法を示すテーブルである。
【0016】
この鉄道信号電球試験器30は、筐体の前面に露出して設けられたソケット31(三端子コンセント)とブザー32(提示手段)と表示部33(提示手段)と操作スイッチ34と、筐体に内蔵された抵抗値検出回路35(第1抵抗値検出回路)と抵抗値検出回路36(第2抵抗値検出回路)とウインドコンパレータ37(第1抵抗確認手段)とウインドコンパレータ38(第2抵抗確認手段)とウインドコンパレータ39(第3抵抗確認手段)と判定回路40(判定手段)と、図示しない電池装着部と電源回路とを具えた携帯用のものである。
【0017】
ソケット31(三端子コンセント)は、鉄道信号電球がG形電球であろうとI形電球であろうと何れであっても着脱することができるよう、既述したG形電球10及びI形電球20に共通する雄の口金に対応した雌のソケットが採用されており、三つの雌形端子MM,SS,CCを筐体表面に露呈させている。そして、信号電球の主線端子Mが端子MMに挿入され、信号電球の副線端子Sが端子SSに挿入され、信号電球の共通端子Cが端子CCに挿入されたときだけ、信号電球が装着されるようになっている。
操作スイッチ34は、指先で押下する等のことで試験の実行を指示するための操作部材であり、操作状態を判定回路40に送出するようになっている。
【0018】
ブザー32(提示手段)は、判定回路40の判定結果を音で作業者に通知するためのものであり、音を外部へ出すことが可能であれば筐体に内蔵されても良く、消費電力が十分に小さければ小型スピーカ等で代替しても良く、振動しても良い。そして、判定回路40の制御に従い、判定結果に対応して音色や長さの異なる音を出すようになっている。
表示部33(提示手段)は、判定回路40の判定結果を光で作業者に通知するためのものであり、低消費電力のLED(発光ダイオード)が好適であるが、小形電球等でも良い。この例では、判定結果の分類数に対応した個数だけLEDが列設されており、各LEDが判定回路40の制御に従って点灯か滅灯するようになっている。各LEDの近くに点灯時の判定内容を示す文字列が添えられているので、各LEDは、発光色が総て同じであっても不都合がないが、文字を読むまでもなく判定結果が分かるよう色分けされている。
【0019】
抵抗値検出回路35(第1抵抗値検出回路)は、ソケット31の端子MMと端子CCとに所定の電圧を印加して電流を計測するか或いは所定の電流を通電して端子間電圧を計測することにより、三端子MM,SS,CCのうちソケット31へのG形電球10の装着時に該電球10のメインフィラメント12の両端に接続される二端子MM,CCについて端子間の抵抗値に対応した物理量を検出するものであり、さらに、その検出結果を第1抵抗検出値Dとしてウインドコンパレータ37,38に送出するようになっている。なお、信号電球を傷めないよう、上記の電圧はG形電球10の定格電圧30VとI形電球20の定格電圧10Vの何れよりも低い例えば5Vであり、上記の電流はG形電球10の定格電流1.5AとI形電球20の定格電流2.8Aの何れよりも低い例えば5mAである。
【0020】
抵抗値検出回路36(第2抵抗値検出回路)は、ソケット31の端子SSと端子CCとに所定の電圧を印加して電流を計測するか或いは所定の電流を通電して端子間電圧を計測することにより、三端子MM,SS,CCのうちソケット31へのG形電球10の装着時に該電球10のサブフィラメント13の両端に接続される二端子SS,CCについて端子間の抵抗値に対応した物理量を検出するものであり、さらに、その検出結果を第2抵抗検出値Jとしてウインドコンパレータ39に送出するようになっている。ここでも、信号電球を傷めないよう、上記の電圧はG形電球10の定格電圧30VとI形電球20の定格電圧10Vの何れよりも低い例えば5Vであり、上記の電流はG形電球10の定格電流1.5AとI形電球20の定格電流2.8Aの何れよりも低い例えば5mAになっている。
【0021】
ウインドコンパレータ37(第1抵抗確認手段)は、第1抵抗検出値DがG形電球10のメインフィラメント12の抵抗値に係る適正範囲に属しているか否かを調べてG形電球主線抵抗確認結果Eを出力するものであり、具体的には、比較範囲の下限値が3Ωより小さい2.4Ωに対応した値に設定されるとともに、比較範囲の上限値が3Ωより大きい3.6Ωに対応した値に設定されていて、第1抵抗検出値Dが下限値以上かつ上限値以下のときには適正範囲に属しているとしてG形電球主線抵抗確認結果Eの値をハイ(正論理では「1」,
図2では「○」)にするが、第1抵抗検出値Dが下限値未満のときや上限値を超えるときには適正範囲に属していないとしてG形電球主線抵抗確認結果Eの値をロー(正論理では「0」,
図2では「×」)にするようになっている。
【0022】
ウインドコンパレータ38(第2抵抗確認手段)は、第1抵抗検出値DがI形電球20のフィラメントの抵抗値に係る適正範囲に属しているか否かを調べてI形電球主線抵抗確認結果Fを出力するものであり、具体的には、比較範囲の下限値が0.5Ωより小さい0.4Ωに対応した値に設定されるとともに、比較範囲の上限値が0.5Ωより大きい0.6Ωに対応した値に設定されていて、第1抵抗検出値Dが下限値以上かつ上限値以下のときには適正範囲に属しているとしてI形電球主線抵抗確認結果Fの値をハイ(正論理では「1」,
図2では「○」)にするが、第1抵抗検出値Dが下限値未満のときや上限値を超えるときには適正範囲に属していないとしてI形電球主線抵抗確認結果Fの値をロー(正論理では「0」,
図2では「×」)にするようになっている。
【0023】
ウインドコンパレータ39(第3抵抗確認手段)は、第2抵抗検出値JがG形電球10のサブフィラメント13の抵抗値に係る適正範囲に属しているか否かを調べてG形電球副線抵抗確認結果Kを出力するものであり、具体的には、比較範囲の下限値が3Ωより小さい2.4Ωに対応した値に設定されるとともに、比較範囲の上限値が3Ωより大きい3.6Ωに対応した値に設定されていて、第2抵抗検出値Jが下限値以上かつ上限値以下のときには適正範囲に属しているとしてG形電球副線抵抗確認結果Kの値をハイ(正論理では「1」,
図2では「○」)にするが、第2抵抗検出値Jが下限値未満のときや上限値を超えるときには適正範囲に属していないとしてG形電球副線抵抗確認結果Kの値をロー(正論理では「0」,
図2では「×」)にするようになっている。
【0024】
判定回路40(判定手段)は、この例ではいわゆるワンチップマイコンで具現化されており、それにインストールされたプログラムの実行によって(
図2参照)、操作スイッチ34が押下される度に、ウインドコンパレータ37(第1抵抗確認手段)から出力されたG形電球主線抵抗確認結果Eと、ウインドコンパレータ38(第2抵抗確認手段)から出力されたI形電球主線抵抗確認結果Fと、ウインドコンパレータ39(第3抵抗確認手段)から出力されたG形電球副線抵抗確認結果Kとを入力して、それらの確認結果がハイ(○)なのかロー(×)なのかに応じて場合分けすることで、ソケット31に装着中の鉄道信号電球が正常なG形電球なのか正常なI形電球なのかその他のものなのかを判定するようになっている。
【0025】
具体的には(
図2参照)、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果KとI形電球主線抵抗確認結果Fがそれぞれ「○」,「○」,「×」のときには、試験対象が正常なG形電球であると判定して、表示部33のうち「G形」文字添付のLEDだけを点灯させるとともに、ブザー32には「ピ」という短い音を出させるようになっている。また、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果KとI形電球主線抵抗確認結果Fがそれぞれ「×」,「○」,「×」のときには、試験対象が主線端子Mの接続先のメインフィラメント12の断芯したG形電球であると判定して、表示部33のうち「G形」文字添付のLEDと「M断」文字添付のLEDとの二つだけを点灯させるとともに、ブザー32には「ブブー・ブブー」という音を繰り返させるようになっている。
【0026】
さらに、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果KとI形電球主線抵抗確認結果Fがそれぞれ「○」,「×」,「×」のときには、試験対象が副線端子Sの接続先のサブフィラメント13の断芯したG形電球であると判定して、表示部33のうち「G形」文字添付のLEDと「S断」文字添付のLEDとの二つだけを点灯させるとともに、ブザー32には「ブブー・ブブー」という音を繰り返させるようになっている。また、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果KとI形電球主線抵抗確認結果Fがそれぞれ「×」,「×」,「○」のときには、試験対象が正常なI形電球であると判定して、表示部33のうち「I形」文字添付のLEDだけを点灯させるとともに、ブザー32には「プ」という短い音を出させるようになっている。
【0027】
また、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果KとI形電球主線抵抗確認結果Fが何れも「×」,「×」,「×」のときには、試験対象が総てのフィラメントの断芯した信号電球であると判定して、表示部33のうち「全断」文字添付のLEDだけを点灯させるとともに、ブザー32には「ブブー・ブブー」という音を繰り返させるようになっている。また、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果KとI形電球主線抵抗確認結果Fが上述したパターン以外のときには、試験対象の信号電球のフィラメントが不所望に消耗していたり或いは混触していたり更には鉄道信号電球試験器30自体が故障していることもありうるので、特定不能な異常状態であると判定して、表示部33のうち「異常」文字添付のLEDだけを点灯させるとともに、ブザー32には「ブブー・ブブー」という音を繰り返させるようになっている。
【0028】
この実施例1の鉄道信号電球試験器30について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。
図1は、(a)が試験対象の信号電球を装着する前の鉄道信号電球試験器30を示し、(b)が試験対象として偶々G形電球10を鉄道信号電球試験器30のソケット31に装着してから操作スイッチ34を指先で押し下げたところを示している。
また、
図1(c)は、鉄道信号電球試験器30の内部回路も含めた電子回路を示し、
図2は、判定回路40による判定の内容を示している。
【0029】
作業者が信号機に鉄道信号電球を取り付ける際に、該当する信号電球がG形電球10かI形電球20である場合、両電球は見た目が酷似しているうえ口金が共通で取り付けの可否でも区別できないので、取り付け前に鉄道信号電球試験器30を用いて取付候補の信号電球を試験し、その信号電球がG形電球10なのかI形電球20なのかを確かめるとともに、断芯等の無い正常なものであることも確認しておく。
【0030】
具体的には、作業者が、電池を装着して動作可能になっている鉄道信号電球試験器30を用意し(
図1(a)参照)、その鉄道信号電球試験器30のソケット31の雌の三端子MM,SS,CCに試験対象の信号電球の口金の雄の三端子M,S,Cを差し込んで、信号電球を鉄道信号電球試験器30に装着し、それから指先で操作スイッチ34を押し下げる(
図1(b)参照)。このような試験作業は、ソケットと口金との端子位置が総て合わないと差し込みが行えない等のことから、薄暗い所でも割と容易に行うことができる。
【0031】
操作スイッチ34が押下されると、後は、鉄道信号電球試験器30によって試験対象の信号電球が自動で試験される。すなわち、先ず(
図1(c)参照)、二端子MM,CC間の抵抗値対応物理量が抵抗値検出回路35によって検出され、それが第1抵抗検出値Dとなってウインドコンパレータ37とウインドコンパレータ38に送出されるとともに、二端子SS,CC間の抵抗値対応物理量が抵抗値検出回路36によって検出され、それが第2抵抗検出値Jとなってウインドコンパレータ39に送出される。
【0032】
次に、第1抵抗検出値DがG形電球10のメインフィラメント12の抵抗値に係る3.0Ω基準の適正範囲に属しているか否かがウインドコンパレータ37によって調べられてそのG形電球主線抵抗確認結果Eが判定回路40に送出されるとともに、第1抵抗検出値DがI形電球20のフィラメントの抵抗値に係る0.5Ω基準の適正範囲に属しているか否かがウインドコンパレータ38によって調べられてそのI形電球主線抵抗確認結果Fが判定回路40に送出され、更に第2抵抗検出値JがG形電球10のサブフィラメント13の抵抗値に係る3.0Ω基準の適正範囲に属しているか否かがウインドコンパレータ39によって調べられてそのG形電球副線抵抗確認結果Kも判定回路40に送出される。
【0033】
それから(
図2参照)、それらの確認結果E,K,Fを入力した判定回路40によって確認結果E,K,Fに応じてソケット31に装着中の鉄道信号電球に係る判定が出され、その判定結果が表示部33とブザー32にて作業者に通知される。その判定について詳述すると、試験対象の信号電球が正常なG形電球であれば、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果Kがハイ「○」になり、I形電球主線抵抗確認結果Fがロー「×」になり、それに応じて判定結果が「G形で正常」となるので、表示部33では「G形」表記のLEDだけが点灯し(
図1(b)参照)、ブザー32は「ピ」と鳴る。
【0034】
また、試験対象の信号電球がG形電球であってメインフィラメント12が断芯していた場合、G形電球主線抵抗確認結果Eがロー「×」になり、G形電球副線抵抗確認結果Kがハイ「○」になり、I形電球主線抵抗確認結果Fがロー「×」になり、それに応じて判定結果が「G形で主線M断芯」となるので(
図2参照)、表示部33では「G形」表記のLEDと「M断」表記のLEDとの二つだけが点灯し、ブザー32は「ブブー・ブブー」と鳴り続ける。さらに、試験対象の信号電球がG形電球であってサブフィラメント13が断芯していた場合、G形電球主線抵抗確認結果Eがハイ「○」になり、G形電球副線抵抗確認結果KとI形電球主線抵抗確認結果Fがロー「×」になり、それに応じて判定結果が「G形で副線S断芯」となるので、表示部33では「G形」表記のLEDと「S断」表記のLEDとの二つだけが点灯し、ブザー32は「ブブー・ブブー」と鳴り続ける。
【0035】
また、試験対象の信号電球がG形電球であってメインフィラメント12もサブフィラメント13も断芯していた場合、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果KとI形電球主線抵抗確認結果Fが総てロー「×」になり、それに応じて判定結果が「全て断芯又は短絡」となるので、表示部33では「全断」表記のLEDだけが点灯し、ブザー32は「ブブー・ブブー」と鳴り続ける。
一方、試験対象の信号電球が正常なI形電球であれば、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果Kがロー「×」になり、I形電球主線抵抗確認結果Fがハイ「○」になり、それに応じて判定結果が「I形で正常」となるので、表示部33では「I形」表記のLEDだけが点灯し、ブザー32は「プ」と鳴る。
【0036】
また、試験対象の信号電球がI形電球であってフィラメントが断芯していた場合、G形電球主線抵抗確認結果EとG形電球副線抵抗確認結果KとI形電球主線抵抗確認結果Fが総てロー「×」になり、それに応じて判定結果が「全て断芯又は短絡」となるので、表示部33では「全断」表記のLEDだけが点灯し、ブザー32は「ブブー・ブブー」と鳴り続ける。確認結果E,K,Fが他の場合は、試験対象の信号電球に想定外の故障が発生しているか鉄道信号電球試験器30が故障しているといった判別不能な状況が考えられ、それに応じて判定結果が「その他の異常」となるので、表示部33では「異常」表記のLEDだけが点灯し、ブザー32は「ブブー・ブブー」と鳴り続ける。
【0037】
こうして、試験対象の信号電球が正常なG形電球なのか正常なI形電球なのかその他のものなのかが判定され、更にその他の場合のうち,G形電球について片方のフィラメントが断芯している状態や,G形電球かI形電球かは別にして総てのフィラメントが断芯している状態については、判別できた範囲内で判定結果が提示される。
そのため、作業者は表示部33やブザー32で通知された判定結果に基づいて直ちに信号電球の試験結果が分かるので、試験した信号電球を信号機に取り付けるべきか否かを容易かつ的確に判断することができる。
【0038】
[その他]
なお、上記実施例では、主線端子M差し込み先の端子MMと副線端子S差し込み先の端子SSとの間の抵抗値を検出するようにはなっていなかったが、二端子MM,SS間の抵抗値まで検出することで冗長度を増して判定の信頼性を高めるようにしても良い。
また、上記実施例では、第1,2,3抵抗確認手段をウインドコンパレータ37,38,39で具現化していたが、判定手段だけでなく抵抗確認手段も、ソフトウェア化が可能であり、例えばA/D変換器と比較プログラムとで抵抗確認手段を具体化しても良い。その場合、下限値未満と上限値超とを区別することで断芯と短絡とを切り分けるといった拡張機能を追加するのも比較的容易に実施することができる。
【0039】
さらに、上記実施例では、鉄道信号電球試験器30に電源スイッチが設けられていなかったが、電力供給を操作する電源スイッチを設けても良く、操作スイッチ34が押下されたときだけ鉄道信号電球試験器30の全回路に動作電力を供給するようにしても良い。
また、判定手段の具現化は、マイクロプロセッサに限られる訳でなく、所望の論理判定を行えるものであれば他の回路でも良く、例えばプログラマブルなシーケンサやゲートアレイ,判定表を書き込んだROM,マルチプレクサを主体とした回路であっても良い。