(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面シート、裏面シート及び該表面シートと該裏面シートとの間に配置された吸収体を備え、該表面シートの長手方向に沿う両側部の位置に、長手方向に延びる防漏壁が配されており、更に該吸収体の長手方向に沿う両側縁から幅方向外方に延出するサイドフラップを有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、高吸収ポリマーを含む吸収性コアを有し、
前記吸収性コアは、ブロック領域と、該ブロック領域の外周に位置する非ブロック領域とを有し、
前記ブロック領域は、坪量が相対的に高い複数の高坪量部と、坪量が相対的に低い低坪量部とからなるブロック構造を有し、各高坪量部それぞれの周囲はその全域にわたって該低坪量部によって囲まれて個々に独立しており、
前記非ブロック領域の厚みが、前記ブロック領域の前記高坪量部の厚みとほぼ同じになっており、
前記サイドフラップに、長手方向に延びるサイドフラップ弾性部材が伸長状態で配されており、
前記ブロック領域が、前記サイドフラップ弾性部材の配された端部を越えて長手方向外方に延在している吸収性物品。
前記防漏壁の自由端に、該防漏壁の長手方向に延びる防漏壁弾性部材が伸長状態で配されており、前記ブロック領域が、該防漏壁弾性部材の端部を越えて長手方向外方に延在している請求項1に記載の吸収性物品。
前記ブロック領域は、その肌当接面側が平坦になっており、かつその非肌当接面側が、前記裏面シート側に向けて突出した凸の形状を有する前記高坪量部と前記裏面シート側から前記表面シート側に向けて凹んだ前記低坪量部とを有している請求項1又は2に記載の吸収性物品。
前記非ブロック領域は、前記吸収性コアの長手方向端部に位置する部位の幅よりも、幅方向端部に位置する部位の幅の方が広くなっている請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の一実施形態の使い捨ておむつが示されている。
図2は、
図1に示すおむつの分解斜視図である。これらの図に示すおむつは、いわゆる展開型の使い捨ておむつである。おむつ10は、長手方向Y及びそれに直交する幅方向Xを有する。
【0011】
以下の説明において「非肌当接面側」とは、吸収体20などの各部材の表裏両側(面)のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に配される側(面)である。「肌当接面側」とれは、各部材の表裏両側(面)のうち、着用時に着用者の肌側に配される側(面)である。また、おむつ10の長手方向に関し、腹側部A側のことを「前側」ともいい、背側部B側のことを「後側」ともいう。
【0012】
おむつ10は、着用者の肌当接面側に配された表面シート21と、非肌当接面側に配された裏面シート23と、これら両シート21,23間に配された縦長の吸収体20とを備えている。表面シート21は液透過性のシートからなり、おむつ10の着用状態において着用者の肌に対向する。裏面シート
23は液不透過性ないし撥水性のシートからなり、着用状態において外方を向いている。
【0013】
おむつ10は、長手方向に延びる長手方向中心線CLに対して左右対称に形成されている。おむつ10は、長手方向の中央域に位置する股下部C、並びに股下部Cから長手方向前方及び後方にそれぞれ延出する腹側部A及び背側部Bを備えている。腹側部Aは、おむつ10の着用時に着用者の腹側に配される。背側部Bは、おむつ10の着用時に着用者の背側に配される。股下部Cは、おむつ10の着用時に着用者の股下に配される。
【0014】
おむつ10は、腹側部Aの左右両側縁及び背側部Bの左右両側縁それぞれが股下部Cの左右両側縁よりも幅方向外方に延出している。股下部Cの左右両側縁は、幅方向内方に向かって円弧状に湾曲しており、全体として長手方向の中央域が内方に括れた形状を有している。表面シート21及び裏面シート23はそれぞれ、吸収体20の左右両側縁及び前後両端縁から外方に延出している。表面シート21及び裏面シート23はそれぞれ、吸収体20の周縁から外方に延出した延出部において直接的に又は他の部材を介在させて互いに接合されており、吸収体20を挟持・固定している。
【0015】
おむつ10は、背側部Bの左右両側縁部に一対のファスニングテープF,Fが設けられている。腹側部Aの外表面(非肌当接面)、すなわち裏面シート23の非肌当接面には、
図2に示すとおりファスニングテープF,Fを止着させるランディングテープLが設けられている。
【0016】
おむつ10の長手方向に沿う両側部それぞれには、長手方向に伸長状態で固定された防漏壁弾性部材161を有する防漏壁形成用シート162が、表面シート21の側部に配されて固定されている。これによっておむつ10の肌当接面側に、おむつ10の長手方向に延びる一対の防漏壁が形成される。防漏壁は固定端と自由端とを有しており、防漏壁弾性部材161は自由端に沿って伸長状態で固定されている。防漏壁弾性部材161は、腹側部A寄りの端部161A及び背側部B寄りの端部161Bを有している。
【0017】
防漏壁の固定端よりも幅方向外方の位置においては、防漏壁形成用シート162と裏面シート23とが接合されており、それによって一対のサイドフラップ24が形成されている。サイドフラップ24は、吸収体20の長手方向に沿う両側縁から幅方向外方に延出し、かつおむつ10の長手方向に延びている。サイドフラップ24には、股下部Cにほぼ対応する部位にレッグギャザー形成用の複数本のサイドフラップ弾性部材163が長手方向に伸長状態で配されている。サイドフラップ弾性部材163は、防漏壁形成用シート162と裏面シート23との間に挟持固定されている。サイドフラップ弾性部材163は、腹側部A寄りの端部163A及び背側部B寄りの端部163Bを有している。サイドフラップ弾性部材163が収縮することによって、おむつ10の股下部Cにはレッグギャザーが形成される。
【0018】
おむつ10の背側部B側の長手方向端部には、ウエストギャザー形成用の弾性シート164が配置されている。弾性シート164は、2枚のシート部材164a,164bの間に、おむつ10の幅方向に延びる複数本の弾性部材165a,165bが伸長状態で挟持固定されて構成されている。
【0019】
弾性シート164においては、複数本の弾性部材165a,165bのうち、ウエスト開口縁W寄りに位置する弾性部材である弾性部材165bは、おむつ10の幅方向における一方の側縁部の近傍の位置から、他方の側縁部の近傍の位置にわたって連続して配置されている。一方、弾性部材165bよりも吸収体寄りに位置する弾性部材である弾性部材165aは、おむつ10の幅方向における左右の両側部にのみ配置されており、幅方向の中央域には弾性部材165aは配置されていない。詳細には、弾性部材165aは、おむつ10の幅方向における側縁部近傍に一端を有する。他端は、おむつ10の幅方向中央域に達する前で終端している。
【0020】
吸収体20は平面視において、おむつ1の長手方向と同方向に延びる縦長の形状をしており、長手方向中心線CLに対して対称形をしている。吸収体20は、おむつ10における腹側部Aから背側部Bまでにわたって配されている。吸収体20はその左右の側縁が、長手方向の中央域、すなわちおむつ10における股下部Cに対応する部位において、幅方向内方へ向けて湾曲している。吸収体20は、高吸収ポリマーを含む吸収性コア22と該吸収性コア22を包む被覆材から構成される。
【0021】
図3には、
図1に示す吸収体20おける、吸収ポリマーを含む吸収性コア22のX−X線断面図が示されている。同図に示すとおり、吸収性コア22は、第1面223A及び第2面223Bを有している。第1面223Aは肌当接面であり、表面シート21又は必要に応じて用いられる中間シート(図示せず)側を向いている。第2面223Bは非肌当接面側であり、裏面シート23側を向いている。
【0022】
吸収性コア22は、相対的に坪量が高く裏面シート側に向けて突出した凸の形状を有する高坪量部234aと、高坪量部234aに隣接し、かつ相対的に坪量が低く裏面シート側から表面シート側に向けて凹んだ低坪量部234bとを有している。高坪量部234aと低坪量部234bとは一体成形されている。吸収性コア22は、その非肌当接面側が凹凸構造となっており、かつ肌当接面側が平坦となっている。吸収性コア22の非肌当接面側を凹凸構造にすると、吸収性コア22の幅方向から加わる外力によって吸収性コア22が柔軟に変形しやすくなる。その結果、おむつ10のフィット性が向上する。「一体成形されている」とは、これらの部位が、接着剤や熱融着等の接合手段を介さずに互いに分離不可能に一体化されており、同一の材料から一体的に形成されていることを意味する。これらの部位が一体成形されていると、体液がスムーズに移動し得る連続性を有するようになる。このような構造の吸収性コア22の製造方法については後で説明する。
【0023】
吸収性コア22は吸液性材料から構成されている。吸液性材料としては、吸収性物品の技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを用いることができる。例えば解繊パルプや、ヒドロゲル材料からなる高吸収性ポリマーを用いることができる。特に最も非肌対向面側に、パルプ単体の層が形成されていると、すなわち高坪量部234aの先端域234a’がパルプのみから構成されていると、おむつ10の非肌当接面において、高吸水ポリマーに起因する硬さを低減できるので好ましい。吸収性コア22はティッシュペーパーや不織布等からなる液透過性シートで被覆されていてもよい。
【0024】
図4には、吸収性コア22を表面シート21側からみた平面図が示されている。同図及び
図1に示すとおり、低坪量部234bは、その複数本が吸収性コア22の長手方向と平行に延びている。また低坪量部234bは、その複数本が吸収性コア22の幅方向にも延びている。その結果、低坪量部234bは、吸収性コア22の長手方向及び幅方向に延びる直交した格子状の形状をしている。そして、低坪量部234bによって形成される格子内に高坪量部234aが位置している。したがって個々の高坪量部234aは低坪量部234bによって区画されており、個々に独立している。各高坪量部234aの形状はほぼ同じであり、平面視して矩形をしており、長手方向の長さが、幅方向の長さよりも大きくなっている。一方、低坪量部234bに関しては、該低坪量部234bが吸収性コア22の長手方向及び幅方向に延びて互いに連結しており連続体となっている。吸収性コア22の長手方向に延びる低坪量部234bの幅と、吸収性コア22の幅方向に延びる低坪量部234bの幅とは同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0025】
以上のとおり、吸収性コア22は、坪量が相対的に高い複数の高坪量部234aと、坪量が相対的に低い低坪量部234bとからなるブロック構造を有しており、かつ各高坪量部234aの周囲はその全域にわたって低坪量部234bによって囲まれて個々に独立しているブロック領域235を備えている。更に、ブロック構造の最外周は、低坪量部234bによって囲まれている。ブロック構造の最外周に位置している低坪量部234bの角部は、外方に向けて凸の曲線を描く丸みを帯びていることが好ましい。
【0026】
高坪量部234aと低坪量部234bとからなるブロック領域235を有することで、吸収性コア22は、その長手方向及び幅方向の双方に柔軟なものとなり、そのことに起因して吸収性コア22は着用者の身体の形状に沿いやすくなる。更に、排泄された液が、厚みの薄い低坪量部に案内されて流れることで、吸収性コア22の長手方向及び幅方向の拡散性を向上させることができる。
【0027】
高坪量部234aの坪量に対する低坪量部234bの坪量は、その下限値が好ましくは20%であり、更に好ましくは30%である。上限値は好ましくは80%であり、更に好ましくは70%である。高坪量部234a自体の坪量は、その下限値が好ましくは300g/m
2であり、更に好ましくは350g/m
2である。上限値は好ましくは900g/m
2であり、更に好ましくは800g/m
2である。低坪量部234bに関しては、その坪量の下限値が好ましくは100g/m
2であり、更に好ましくは150g/m
2である。上限値は好ましくは500g/m
2であり、更に好ましくは400g/m
2である。坪量は、次のようにして測定される。
吸収性コア22における高坪量部234aと低坪量部234bの境界線に沿ってフェザー社製の片刃剃刀を用いて切断する。切断して得られた高坪量部 234aの小片10個をそれぞれ電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定し、高坪量部234aの小片1個の平均重 量を求める。求めた平均重量を高坪量部234aの小片1個当りの平均面積で除して高坪量部234aの坪量を算出する。後述する非ブロック領域236の坪量 も高坪量部234aの坪量と同様にして算出する。
次いで、高坪量部234aと低坪量部234bの縦方向(Y方向)に延びた境界線に沿って、長さ100mm、幅は低坪量部234bの幅の設計寸法に合わせて、フェザー社製の片刃剃刀を用いて、細いストライプ状の低坪量部234bのY方向の小片5個を切り出す。得られた小片5個をそれぞれ電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定し、平均して低坪量部234bの小片1個の平均重量を求める。求めた平均重量を低坪量部234bのY方向の小片1個当たりの平均面積で除して低坪量部
234bのY方向の坪量を算出する。低坪量部234bのX方向についても、低坪量部234bのY方向と同様にして坪量を算出する。
【0028】
高坪量部234aは、低坪量部234bよりも坪量が大きいだけでなく、厚みも大きくなっている。高坪量部234aの厚みに対する低坪量部234bの厚みは、その下限値が好ましくは30%であり、更に好ましくは40%である。上限値は好ましくは90%であり、更に好ましくは80%である。高坪量部234a自体の厚みは、その下限値が好ましくは2mmであり、更に好ましくは3mmである。上限値は好ましくは8mmであり、更に好ましくは7mmである。低坪量部234bに関しては、その厚みの下限値が好ましくは1.5mmであり、更に好ましくは2.5mmである。上限値は好ましくは4.5mmであり、更に好ましくは4mmである。高坪量部234a、低坪量部234b(X方向,Y方向)及び後述する非ブロック領域236の厚みは、次の方法で測定される。所定のサイズにサンプルをカットし、5kPaで測定部位を10分間加圧し、除重後すぐに測定を行う。測定箇所は、1枚
当たり腹側部、股間部、背側部の任意それぞれ1点以上を含む3点以上とし、おむつサンプル2枚(測定箇所6点以上)の平均で厚みを出す。例えばおむつ10を、鋭利なかみそりで、
図1に示す縦方向(Y方向)、又は横方向(X方向)に切断し、この切断されたサンプルの断面を測定する。肉眼にて測定し難い場合には、前記切断されたサンプルの断面を、例えば、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−1000)を用いて20〜50倍の倍率で観察し、測定してもよい。
【0029】
ブロック領域235は、吸収性コア22の腹側部Aから背側部Bまでにわたって配置されている。そしてブロック領域235は、腹側部Aに対応する位置に設けられた腹側部高坪量部群237Aと、背側部Bに対応する位置に設けられた背側部高坪量部群237Bと、股下部Cに対応する位置に設けられた股下部高坪量部群237Cとを有している。各高坪量部群は連結している。各高坪量部群においては、幅方向に沿って配置された高坪量部234aの数が異なっている。詳細には、腹側部高坪量部群237A及び背側部高坪量部群237Bにおける高坪量部234aの配置の数は、股下部高坪量部群237Cにおける高坪量部234aの配置の数よりも多くなっている。例えば
図4に示すとおり、腹側部高坪量部群237A及び背側部高坪量部群237Bにおいては、幅方向に沿って配置された高坪量部234aの数が5個であるのに対して、股下部高坪量部群237Cにおいては、幅方向に沿って配置された高坪量部234aの数が3個である。本実施形態においては、高坪量部234aの寸法は各高坪量部群において同じであるから、腹側部高坪量部群237A及び背側部高坪量部群237Cにおける高坪量部234aの配置の数が、股下部高坪量部群237Bにおける高坪量部234aの配置の数よりも多いことは、すなわち股下部Cにおけるブロック領域235の幅よりも、腹側部A及び背側部Bにおけるブロック領域235の幅の方が大きくなっていることを意味している。
【0030】
吸収性コア22におけるブロック領域235の長手方向外方及び幅方向外方には、非ブロック領域236が配置されている。つまり、吸収性コア22は、高坪量部234a及び低坪量部234bからなるブロック領域235と、非ブロック領域236とから構成されている。非ブロック領域236は、ブロック領域235の外周をその全域にわたって囲んでいる。ブロック領域235と非ブロック領域236とは、ブロック領域235の最外周に位置する低坪量部234bによって区画されている。非ブロック領域236においては、その任意の位置における厚み及び坪量が一定になっている。
【0031】
吸収性コア22のブロック領域235と非ブロック領域236の境界における曲げ剛性(測定法は後述する)を小さくすることで、曲面からなる身体におむつ10を装着したときに、おむつ10が身体の曲面に柔軟に追随するので、おむつ10を装着し易くなるという利点が生じる。かかる点から、吸収性コア22の曲げ剛性は50g以下であることが好ましい。
【0032】
また吸収体20は液吸収後、すみやかに液拡散することが好ましく、かかる判断指標として液拡がり面積(測定法は後述する)は大きいことが好ましい。具体的には、本発明で用いる吸収体20としては、その液拡がり面積が260cm
2以上であることが好ましい。
【0033】
図1に示すとおり、本実施形態においては、非ブロック領域236の厚みは、ブロック領域235の高坪量部234aの厚みとほぼ同じになっている。尤も、非ブロック領域236の厚みと高坪量部234aの厚みとの関係はこれに限られず、非ブロック領域236の厚みの方が大きくてもよく、逆に高坪量部234aの厚みの方が大きくてもよい。具体的には、非ブロック領域236の厚みは、その下限値が好ましくは2mmであり、更に好ましくは3mmである。上限値は好ましくは8mmであり、更に好ましくは7mmである。厚みの測定方法は上述したとおりである。
【0034】
非ブロック領域236は、吸収性コア22の長手方向端部に位置する部位の幅よりも、幅方向端部に位置する部位の幅の方が広くなっていることが好ましい。こうすることで、ギャザー応力に影響されることなくおむつ19の保形性を保つことができ、おむつ10を装着しやすくなるからである。特に、腹側部A及び背側部Bのいずれか一方において、上述の関係を満たしていることが好ましく、腹側部A及び背側部Bの双方において、上述の関係を満たしていることが好ましい。
【0035】
ブロック領域235の高坪量部234a及び低坪量部234bは、先に述べたとおり一体成形されている。これに加えて、高坪量部234a及び低坪量部234bからなるブロック領域235と、その外周に位置する非ブロック領域236とも一体成形されている。一体成形の意味は先に述べたとおりである。
【0036】
図1に示すとおり、吸収性コア22におけるブロック領域235は、腹側部Aにおいて、サイドフラップ弾性部材163の端部163Aを超えて長手方向外方にまで延在している。同様に、吸収性コア22におけるブロック領域235は、背側部Bにおいて、サイドフラップ弾性部材163の端部163Bを超えて長手方向外方にまで延在している。サイドフラップ弾性部材163の端部の位置と、吸収性コア22におけるブロック領域235の配置位置との関係をこのようにすることで、サイドフラップ弾性部材163が収縮したときに、吸収体20が意図しない位置で屈曲することが効果的に防止される。したがって、おむつ10を着用者の身体に装着するときに、おむつ10が変形しづらくなり、おむつ10を着用者の身体に当てやすくなる。これに対して、例えば
図9に示す比較例1のおむつのように、サイドフラップ弾性部材163の端部163Aが、吸収性コア22におけるブロック領域235を越えて長手方向外方にまで延在していると、サイドフラップ弾性部材163が収縮したときに、ブロック領域235と非ブロック領域236との境界部K(この境界部Kはおむつの幅方向に延びている)において吸収性コア22が屈曲しやすくなり、おむつを着用者の身体に装着させづらくなってしまう。
【0037】
サイドフラップ弾性部材163の収縮に起因する吸収性コア22の屈曲を効果的に防止する観点からは、吸収性コア22におけるブロック領域235は、本実施形態のように、サイドフラップ弾性部材163の両端部163A,163Bを超えて長手方向外方にまで延在していることが望ましい。しかし、吸収性コア22におけるブロック領域235が、サイドフラップ弾性部材163の2つの端部163A,163Bのうちの少なくとも一方を越えて長手方向外方にまで延在していれば、本発明の効果は十分に奏される。吸収性コア22におけるブロック領域235が、サイドフラップ弾性部材163の2つの端部163A,163Bのうちの一方を越えて長手方向外方にまで延在している場合には、吸収性コア22におけるブロック領域235が、腹側部A寄りの端部である端部163Aを越えて長手方向外方にまで延在していることが、おむつ10の装着のさせやすさの点から好ましい。
【0038】
ブロック領域235と非ブロック領域236との境界部Kにおける吸収性コア22の屈曲を更に効果的に抑制する観点からは、おむつ10に取り付けられている他の弾性部材である防漏壁弾性部材161に関しても、吸収性コア22におけるブロック領域235が、該防漏壁弾性部材161の端部を超えて長手方向外方にまで延在していることが有利である。詳細には本実施形態においては、
図1に示すとおり、吸収性コア22におけるブロック領域235は、腹側部Aにおいて、防漏壁弾性部材161の端部161Aを超えて長手方向外方にまで延在している。同様に、吸収性コア22におけるブロック領域235は、背側部Bにおいて、防漏壁弾性部材161の端部161Bを超えて長手方向外方にまで延在している。
【0039】
図1に示す実施形態では、吸収性コア22におけるブロック領域235が、防漏壁弾性部材161の両端部161A,161Bを超えて長手方向外方にまで延在しているが、これに代えて、吸収性コア22におけるブロック領域235が、サイドフラップ弾性部材163の2つの端部163A,163Bのうちの少なくとも一方を越えて長手方向外方にまで延在していてもよい。この場合には、吸収性コア22におけるブロック領域235が、腹側部A寄りの端部である端部161Aを越えて長手方向外方にまで延在していることが、おむつ10の装着のさせやすさの点から好ましい。
【0040】
次に、上述したおむつ10の吸収体20の好適な製造方法を説明する。
図5には、吸収体20の製造方法の一実施態様及びそれに用いる製造装置が示されている。以下の説明においては、吸収性コアを符号41で示す。吸収体20の製造装置は、矢印R1方向に回転駆動される回転ドラム50と、回転ドラム50の外周面に吸収性コア41の原料である高吸収性ポリマーを含む吸収性材料45を供給するダクト60と、回転ドラム50の下流側の斜め下方に配置され、矢印R2方向に回転駆動されるトランスファーロール70と、回転ドラム50の周方向におけるダクト60とトランスファーロール70との間に配置されたバキュームボックス65と、バキュームボックス65と回転ドラム50との間及びトランスファーロール70と回転ドラム50との間を通るように配された、シート状の通気性部材であるメッシュベルト75と、トランスファーロール70の下方に配されたバキュームコンベア80とを備えている。
【0041】
回転ドラム50は、
図5に示すとおり円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周面を形成する部材が水平軸回りを回転する。回転ドラム50の内側(回転軸側)の非回転部分には内部を減圧可能な空間56が形成されている。空間56には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間56内を負圧に維持可能である。他方、回転ドラム50の内側(回転軸側)の空間57及び58には、装置外の空気を取り込み可能な配管(図示せず)が接続されている。
【0042】
図5に示すとおり、回転ドラム50の外周面には、製造する吸収性コア41の形状に対応する形状のドラム凹部51が複数個、R1方向に等間隔を空けて形成されている。各ドラム凹部51の底面部には、
図6に示すとおり、多数の細孔が形成されたメッシュプレート52と、金属製又は樹脂製の難通気性部材53とが配されている。ここで、難通気性部材53は、メッシュプレート52上に突出するように設けられており、上述した低坪量部234b,234bの形状及び位置に対応するように配されている。
図6に示すとおり、このように配された難通気性部材53により区画されたメッシュプレート52のみからなる領域54が、高坪量部234a,234aに対応する部分となり、難通気性部材53により区画された部分の外周全域におけるメッシュプレート52のみからなる領域55が、非ブロック部236,236に対応する部分となる。また、ドラム凹部51が形成されていない、回転ドラム50の外周面の部分は、金属製の剛体からなる回転ドラム50のフレーム体からなり、非通気性である。
【0043】
ダクト60は、
図5に示すとおり、その一端側が、負圧に維持される空間56上に位置する回転ドラム50の外周面を覆っており、図示しない他端側には、繊維材料導入装置を有している。繊維材料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプとし、その解繊パルプ(繊維材料)をダクト内に送り込む粉砕器を備え、ダクト60の途中に高吸収性ポリマーを導入する高吸収性ポリマー導入部を備えている。
【0044】
トランスファーロール70は、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部がR2方向に回転する。トランスファーロール70の内側(回転軸側)の非回転部分には、内部を減圧可能な空間71が形成されている。空間71には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間71内を負圧に維持可能である。
【0045】
バキュームボックス65は、回転ドラム50の回転方向R1において、ダクト60の下流側端部61と、トランスファーロール70との間に配置されている。バキュームボックス65は、箱状の形状を有し、回転ドラム50に対向する部位に、回転ドラム50方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス65は、排気管67を介して、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス65内を負圧に維持可能である。
【0046】
メッシュベルト75は、網目を有する帯状の通気性ベルトが無端状に連結されたものであり、複数のフリーロール及びトランスファーロール70に案内されて所定の経路を連続的に移動する。メッシュベルト75は、トランスファーロール70の回転によって駆動される。メッシュベルト75は、バキュームボックス65の前記開口部の前を通過している間は、回転ドラム50の外周面に接触しており、トランスファーロール70と回転ドラム50とが最も接近している最接近部付近で、回転ドラム50の外周面から離れてトランスファーロール70上へと移行する。
【0047】
バキュームコンベア80は、駆動ロール81及び従動ロール82に架け渡された無端状の通気性ベルト83と、通気性ベルト83を挟んでトランスファーロール70と対向する位置に配されたバキュームボックス84とを備えている。
【0048】
次に、上述した吸収体の製造装置を用いて吸収体20(吸収性コア41)を連続的に製造する方法について説明する。先ず、回転ドラム50内の空間56、及びバキュームボックス65内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。空間56内をこのような負圧にすることで、ダクト60内に、吸液性材料45を回転ドラム50の外周面に搬送させる空気流が生じるからである。次に、回転ドラム50及びトランスファーロール70を回転させ、また、バキュームコンベア80を作動させる。そして前記繊維材料導入装置を作動させて、ダクト60内に繊維材料及び高吸収性ポリマーを供給すると、これらの吸液性材料45は、ダクト60内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム50の外周面に向けて供給される。特に、パルプ等の繊維材料を先に供給して、該繊維材料を回転ドラム50の外周面に先に堆積させた後に、繊維材料及び高吸収性ポリマーを供給することで、得られる吸収体における最も非肌対向面側を、パルプ等の繊維材料のみから形成することができる。
【0049】
ダクト60に覆われた部分を搬送されている間に、回転ドラム50のドラム凹部51には、吸液性材料(繊維材料と高吸収性ポリマーとの混合物)45が吸引される。吸液性材料45は、
図7に示すとおり、ドラム凹部51の各領域54及び領域55のメッシュプレート52上に徐々に堆積する。こうして得られた堆積物46においては、難通気性部材53上に吸液性材料45が堆積してなる部位(難通気性部材53対応部)46aが、相対的に吸液性材料45の堆積量が少なく、その他の部位(領域54対応部)46b及び部位(領域55対応部)46cが、相対的に吸液性材料45の堆積量が多くなっており、堆積物46全体として凹凸構造を有するようになる。
【0050】
そして、回転ドラム50が回転して、ドラム凹部51がバキュームボックス65の対向位置にくると、ドラム凹部51内の堆積物46がバキュームボックス65からの吸引によって、メッシュベルト75に吸い付けられた状態となる。ドラム凹部51内の堆積物46は、その状態で、トランスファーロール70と回転ドラム50との最接近部の直前まで搬送され、該最接近部付近で、トランスファーロール70側からの吸引により、メッシュベルト75に吸い付けられた状態のままドラム凹部51より離型し、トランスファーロール70上へと移行する。
【0051】
こうして、メッシュベルト75とともにトランスファーロール70上に移行した凹凸構造を有する堆積物46は、トランスファーロール70上のメッシュベルト75に吸着されたまま、バキュームコンベア80との受け渡し部(トランスファーロール70の最下端部)まで搬送され、該受け渡し部において、バキュームボックス84による吸引によりバキュームコンベア80上へと移行する。
【0052】
本実施形態の吸収体の製造装置においては、
図5に示すように、堆積物46が載置される前のバキュームコンベア80上に、ティッシュペーパーや親水性の不織布からなる被覆材42が導入され、被覆材42上に堆積物46が移行する。そして、更に、折り返し板(図示せず)により被覆材42が折られて堆積物46を被覆材42で包んだ後、被覆材42で包まれた状態の堆積物46を所定の間隔で切断して、吸収体1個分の寸法に切断された吸収体前駆体49を連続的に製造する。
【0053】
そして、本実施形態の吸収体の製造装置においては、こうして得られた吸収体前駆体49を加圧手段90によって圧縮し、吸収体前駆体49を構成する堆積物46の厚みを積極的に減少させて、目的とする吸収体20(吸収性コア41)を得る。加圧手段90は
図5に示すとおり、少なくとも一方が、表面が平滑な一対のロール91,92を備え、ロール91,92間に導入された被加圧物を上下面から加圧して厚み方向に圧縮可能に構成されている。
【0054】
加圧手段90によって吸収体前駆体49を圧縮すると、吸液性材料が相対的に多く厚みの大きい部位(領域54対応部)46b及び部位(領域55対応部)46cは、吸液性材料45が相対的に少なく厚みの小さい部位(難通気性部材53対応部)46aよりも強く圧縮される。その結果、上述した製造装置を用いて製造された吸収体においては、堆積物46における部位(領域54対応部)46b(凸部)及び部位(領域55対応部)46cが、吸収体20(吸収性コア41)において相対的に密度の高い高坪量部234a及び非ブロック領域236となり、堆積物46における部位(難通気性部材53対応部)46a(凹部)が、吸収体41において相対的に密度の低い低坪量部234bとなる。
【0055】
図8(a)及び(b)には、本実施形態のおむつ10に用いられる吸収性コア22の別の実施形態が示されている。
図8(a)及び(b)に示す吸収性コア22A,22Bは、
図1に示す吸収性コア22と同様に、相対的に坪量が高く非肌当接面側に向けて突出した凸の形状を有する高坪量部234aと、高坪量部234aに隣接し、かつ相対的に坪量が低く肌当接面側に向けて凹んだ低坪量部234bとからなるブロック構造を有している。高坪量部234aと低坪量部234bとは一体成形されている。吸収性コア22
A,22Bは、その非肌当接面側が凹凸構造となっており、かつ肌当接面側が平坦となっている。
【0056】
吸収性コア22A,22Bにおけるブロック領域の長手方向外方及び幅方向外方には、非ブロック領域236が配置されている。つまり、吸収性コア22A,22Bは、高坪量部234a及び低坪量部234bからなるブロック領域と、非ブロック領域236とから構成されている。非ブロック領域236は、ブロック領域の周囲をその全域にわたって囲んでいる。
【0057】
吸収性コア22A,22Bにおけるブロック領域は、腹側部Aから背側部Bまでにわたって配置されている。そしてブロック領域は、腹側部Aに対応する位置に設けられた腹側部高坪量部群237Aと、背側部Bに対応する位置に設けられた背側部高坪量部群237Bと、股下部Cに対応する位置に設けられた股下部高坪量部群237Cとを有している。各高坪量部群は連結している。腹側部高坪量部群237A及び背側部高坪量部群237Bにおける高坪量部234aの配置の数は、股下部高坪量部群237Cにおける高坪量部234aの配置の数よりも多くなっている。
図8(a)に示す実施形態では、腹側部高坪量部群237A及び背側部高坪量部群237Bにおいては、幅方向に沿って配置された高坪量部234aの数が5個又は4個であるのに対して、股下部高坪量部群237Cにおいては、幅方向に沿って配置された高坪量部234aの数が3個である。
図8(b)に示す実施形態では、腹側部高坪量部群237A及び背側部高坪量部群237Bにおいては、幅方向に沿って配置された高坪量部234aの数が6個又は4個であるのに対して、股下部高坪量部群237Cにおいては、幅方向に沿って配置された高坪量部234aの数が2個である。このように、各実施形態の吸収性コア22A,22Bはいずれも、股下部Cにおけるブロック領域の幅よりも、腹側部A及び背側部Bにおけるブロック領域の幅の方が大きくなっている。これらの吸収性コア22A,22Bを用いた場合も、
図1に示す吸収性コア22を用いた場合と同様の有利な効果が奏される。
【0058】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の範囲は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態は、本発明の吸収性物品を展開型の使い捨ておむつに適用した例であるが、本発明は展開型の使い捨ておむつ以外の吸収性物品、例えばパンツ型の吸収性物品等にも同様に適用することができる。
【0059】
また前記実施形態においては、吸収性コア22におけるブロック領域235は、肌当接面側が平坦になっており、かつその非肌当接面側が凹凸になっていたが、これに代えて、非肌当接面側を平坦となし、かつその肌当接面側を凹凸にしてもよい。
【0060】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収性物品を開示する。
<1>
表面シート、裏面シート及び該表面シートと該裏面シートとの間に配置された吸収体を備え、該表面シートの長手方向に沿う両側部の位置に、長手方向に延びる防漏壁が配されており、更に該吸収体の長手方向に沿う両側縁から幅方向外方に延出するサイドフラップを有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、吸収ポリマーを含む吸収性コアを有し、
前記吸収性コアは、ブロック領域と、該ブロック領域の外周に位置する非ブロック領域とを有し、
前記ブロック領域は、坪量が相対的に高い複数の高坪量部と、坪量が相対的に低い低坪量部とからなるブロック構造を有し、各高坪量部それぞれの周囲はその全域にわたって該低坪量部によって囲まれて個々に独立しており、
前記サイドフラップに、長手方向に延びるサイドフラップ弾性部材が伸長状態で配されており、
前記ブロック領域が、前記サイドフラップ弾性部材の配された端部を越えて長手方向外方に延在している吸収性物品。
【0061】
<2>
前記防漏壁の自由端に、該防漏壁の長手方向に延びる防漏壁弾性部材が伸長状態で配されており、前記ブロック領域が、該防漏壁弾性部材の端部を越えて長手方向外方に延在している<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記ブロック領域は、その肌当接面側が平坦になっており、かつその非肌当接面側が、前記裏面シート側に向けて突出した凸の形状を有する前記高坪量部と前記裏面シート側から前記表面シート側に向けて凹んだ前記低坪量部とを有している<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記非ブロック領域は、前記吸収性コアの長手方向端部に位置する部位の幅よりも、幅方向端部に位置する部位の幅の方が広くなっている<1>ないし<3>のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【0062】
<5>
前記吸収性コアは、最も非肌対向面側に、パルプ単体の層が形成されている<3>又は<4>に記載の吸収性物品。
<6>
前記物品の長手方向の中央域に位置する股下部、並びに該股下部から長手方向前方及び後方にそれぞれ延出する腹側部及び背側部を備え、
前記腹側部の左右両側縁及び前記背側部の左右両側縁それぞれが、前記股下部の左右両側縁よりも幅方向外方に延出しており、
前記股下部の左右両側縁は、前記物品の幅方向内方に向かって円弧状に湾曲しており、前記物品はその全体として、前記物品の長手方向の中央域が内方に括れた形状を有しており、
前記表面シート及び前記裏面シートがそれぞれ、前記吸収体の左右両側縁及び前後両端縁から外方に延出している<1>ないし<5>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0063】
<7>
前記物品の前記背側部側の長手方向端部に、ウエストギャザー形成用の弾性シートが配置されており、
前記弾性シートにおいては、複数本の弾性部材のうち、ウエスト開口縁寄りに位置する弾性部材が、前記物品の幅方向における一方の側縁部の近傍の位置から、他方の側縁部の近傍の位置にわたって連続して配置されている<1>ないし<6>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記弾性シートにおいては、前記弾性部材よりも前記吸収体寄りに位置する弾性部材が、前記物品の幅方向における左右の両側部にのみ配置されており、幅方向の中央域には該弾性部材が配置されていない<7>に記載の吸収性物品。
【0064】
<9>
前記低坪量部は、前記吸収体の長手方向及び幅方向に延びる直交した格子状の形状をしており、該低坪量部によって形成される格子内に前記高坪量部が位置している<1>ないし<8>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<10>
各高坪量部の形状が同じであり、平面視して矩形をしている<1>ないし<9>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【0065】
<11>
前記高坪量部の坪量に対する前記低坪量部の坪量は、その下限値が20%である<1>ないし<10>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記高坪量部の坪量に対する前記低坪量部の坪量は、その下限値が30%である<11>に記載の吸収性物品。
<13>
前記高坪量部の坪量に対する前記低坪量部の坪量は、その上限値が80%である<1>ないし<12>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<14>
前記高坪量部の坪量に対する前記低坪量部の坪量は、その上限値が70%である<13>に記載の吸収性物品。
【0066】
<15>
前記高坪量部の厚みに対する前記低坪量部の厚みは、その下限値が30%である<1>ないし<14>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<16>
前記高坪量部の厚みに対する前記低坪量部の厚みは、その下限値が40%である<15>に記載の吸収性物品。
<17>
前記高坪量部の厚みに対する前記低坪量部の厚みは、その上限値が90%である<1>ないし<16>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<18>
前記高坪量部の厚みに対する前記低坪量部の厚みは、その上限値が80%である<17>に記載の吸収性物品。
【0067】
<19>
展開型使い捨ておむつである<1>ないし<18>のいずれか1に記載の吸収性物品。
<20>
パンツ型使い捨ておむつである<1>ないし<18>のいずれか1に記載の吸収性物品。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
【0069】
〔実施例1〕
図1ないし
図3に示す構造のベビー用展開型使い捨ておむつを製造した。吸収体の坪量は、高坪量部及び非ブロック領域において570g/m
2、低坪量部において292g/m
2であった。吸収体は、解繊パルプとポリアクリル酸系の高吸収性ポリマーとの混合積繊体からなるものであった。解繊パルプと高吸収性ポリマーとの質量比は7:10であった。このおむつは、これをランディングテープL部において幅方向に延びる折曲線の位置で折曲させたときの曲げ剛性が、以下の表1に示す値であった。この曲げ剛性は、おむつの柔らかさの指標となるものである。このおむつについて、以下の方法でおむつの装着性を評価し、また液拡がり面積を測定した。それらの結果を以下の表1に示す。
【0070】
〔おむつの装着性〕
ベビーモデルにおむつを装着する場合に、ランディングテープ部の折れの状態を観察し、以下の指標に従い、装着性を評価した。
ランディングテープ部がフラットな状態の場合 : A(良い)
ランディングテープ部が内側にカーブしている場合 : B(可)
ランディングテープ部が内側に折れ曲がっている場合 : C(悪い)
【0071】
〔おむつの曲げ剛性〕
ハンドルオ・メーターを用いて測定サンプルの曲げ剛性を測定した。ハンドルオ・メーターの測定値が小さい程、当該測定サンプルは折れ曲がりやすく、柔軟で装着しやすさやフィット性が良好であることを示す。ハンドルオ・メーターによる曲げ剛性の測定方法は次のとおりである。サンプルであるおむつからレッグギャザー及び立体ギャザーを取り除いて吸収体と略同幅の測定サンプルを作製し、該測定サンプルを、幅40mmの溝が刻まれたハンドルオ・メーターの支持台上に、該測定サンプルの長手方向が該溝と直交するように配置する。そして、測定サンプル(吸収体)のランディングテープ部中央を厚み2mmのブレードで押し、該測定サンプルが折れ曲がるのに要する力を測定する。測定サンプルの中央の3点の平均値を測定値とする。ハンドルオ・メーターとしては、例えば大栄科学精機製作所製、風合い試験機(ハンドルオ・メーター法)、HOM−3型を用いることができる。
【0072】
〔液拡がり面積〕
おむつにおける吸収体の中央部からおむつ長手方向腹側へ30mmの位置を注入点とし、注入点に注ぎ口のついた透明アクリル板で8.5g/cm
2の荷重をかけながら、160ccの生理食塩水を注入した。そして、注入10分後に液拡がり面積を測定した。
【0073】
〔実施例2〕
図1ないし
図3に示す構造のベビー用展開型使い捨ておむつを製造した。吸収体の坪量は、高坪量部及び非ブロック領域において460g/m
2、低坪量部において170g/m
2であった。吸収体は、解繊パルプとポリアクリル酸系の高吸収性ポリマーとの混合積繊体からなるものであった。解繊パルプと高吸収性ポリマーとの質量比は10.8:10であった。これ以外は実施例1と同様とした。このおむつについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
【0074】
〔比較例1〕
図9に示すおむつを製造した。このおむつでは、腹側部Aにおいて、吸収性コア22のブロック領域235よりも、サイドフラップ弾性部材163の端部163Aが長手方向外方に延出している。それ以外の構造は実施例1のおむつと同様である。このおむつについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
【0075】
〔比較例2〕
図10に示すおむつを製造した。このおむつでは、吸収性コア22にブロック領域は存在せず、吸収性コア22のどの部位に着目しても厚み及び坪量は同じになっている。それ以外の構造は
比較例1のおむつと同様である。このおむつについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
【0076】
〔比較例3〕
図9に示すおむつを製造した。このおむつは、腹側部Aにおいて、吸収性コア22のブロック領域235よりも、サイドフラップ弾性部材163の端部163Aが長手方向外方に延出しているものであった。それ以外の構造は実施例2のおむつと同様とした。このおむつについて、実施例2と同様の測定及び評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1に示す結果から明らかなとおり、実施例1及び2のおむつ(本発明品)は、装着性を損なうことなく、柔軟かつ液拡がり面積が大きいというブロック領域の利点が発現していることが判る。これに対して比較例1及び3のおむつでは、柔軟かつ液拡がり面積は大きいものの、吸収性コアがブロック領域と非ブロック領域との境界部において屈曲してしまい、そのことに起因して装着性が低下してしまった。比較例2のおむつは、吸収性コアにブロック領域が形成されていないので、吸収体の屈曲やそれに起因する装着性の低下は生じていないが、ブロック領域が形成されていないことに起因して吸収体の曲げモーメントが高くなってしまった。また液拡がり面積を大きくできなかった。