(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面シート、裏面シート及び該表面シートと該裏面シートとの間に配置された吸収性コアを含む吸収性本体と、該吸収性本体における非肌当接面側に位置する不織布製の外装材とを具備する吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、ブロック領域を有し、ブロック領域は、坪量が相対的に高い複数の高坪量部と、坪量が相対的に低い低坪量部とを有し、該低坪量部によって、前記吸収性本体の長手方向に延びる第1線状低坪量部と、該吸収性本体の幅方向に延びる第2線状低坪量部とが形成されており、複数本の第1線状低坪量部と複数本の第2線状低坪量部とが格子状に交差しており、その格子の目の部分が前記高坪量部となっており、
前記外装材に、不織布が溶融固化したシール部が形成されており、該シール部は、第2線状低坪量部と交差して吸収性本体の長手方向に延びている、吸収性物品。
前記外装材は、前記吸収性本体の長手方向における前記吸収性コアの端部の位置より延出して着用者の腰回りに配されるウエスト領域を有し、前記シール部が、該ウエスト領域に延在している請求項1〜5の何れか1項記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつの斜視図が示されている。
図2は、
図1に示すおむつを、そのサイドシール部で開き、平面に展開した状態を表面シート側から見た平面図である。
図3には、
図1のおむつの幅方向に沿う断面図が示されている。
【0010】
図1〜
図3に示すおむつ10は、いわゆるパンツ型のおむつである。おむつ10は、長手方向Y及びそれに直交する幅方向Xを有する。おむつ10は、吸収性本体20と、該吸収性本体20の非肌当接面側に位置する外装体30とを具備する。おむつ10は、長手方向Yの中央域に位置する股下部C及び該股下部Cから長手方向前方及び後方にそれぞれ延出する腹側部A及び背側部Bを有する。腹側部Aは、おむつ10の着用時に着用者の腹側に配される。背側部Bは、おむつ10の着用時に着用者の背側に配される。股下部Cは、おむつ10の着用時に着用者の股下に配される。
【0011】
以下の説明において「非肌当接面側」とは、吸収性本体20などの各部材の表裏両側(面)のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に配される側(面)である。「肌当接面側」とは、各部材の表裏両側(面)のうち、着用時に着用者の肌側に配される側(面)である。また、おむつ10の長手方向に関し、腹側部A側のことを「前側」ともいい、背側部B側のことを「後側」ともいう。
【0012】
吸収性本体20は縦長矩形形状をなし、その長手方向を、おむつ10の長手方向に一致させて、腹側部Aから背側部Bまでにわたるように、ホットメルト型接着剤等の接着剤28により外装体30の幅方向中央部に接合されている。
パターン塗工等、吸収性本体20と外装体30との接合の詳細については後述する。
【0013】
外装体30は、腹側部Aに位置する部分の両側縁部と背側部Bに位置する部分の両側縁部とが、ヒートシール、高周波シール、超音波シール等の公知の接合手段により互いに接合されている。これによりおむつ10には一対のサイドシール部Sが形成されている。また、その接合によって、おむつ10に、ウエスト開口部11及び一対のレッグ開口部12,12が形成されて、外装体30はパンツ型の立体形状となる。
【0014】
吸収性本体20は、表面シート21と、裏面シート23と、両シート間に介在配置された吸収性コア22とを備えている。表面シート21は液透過性のシートからなり、おむつ10の着用状態において着用者の肌に対向する。裏面シート23は液不透過性ないし撥水性のシートからなり、外装体30と対向している。
【0015】
表面シート21及び裏面シート23としては、当該技術分野において従来用いられてきたものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては、液透過性を有する不織布や、穿孔フィルムを用いることができる。裏面シートとしては、合成樹脂製の液不透過性フィルムや、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層不織布等の耐水圧が高い撥水性の不織布を用いることができる。裏面シート23が液不透過性である場合、該裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。防漏性及び通気性の観点から、裏面シート23は、水蒸気透過性を有する合成樹脂製の液不透過性フィルムが好ましい。
【0016】
外装体30は、
図3に示すように、内層シート31及び外層シート32と、これら2枚のシート間に固定された各部の弾性部材とからなる。各部の弾性部材については後述する。外装体30の外縁は、展開状態のおむつ10の輪郭をなしている。内層シート31と外層シート32とは同形である。ただし、外層シート32は、内層シート31の前端縁及び後端縁(この端縁は、ウエスト開口縁Wと一致している。)から長手方向外方に延出する延出部を有する。この延出部は、内層シート31の前端縁及び後端縁から肌当接面側に折り返され、吸収性本体20の長手方向前端域及び後端域を被覆している。
【0017】
内層シート31及び外層シート32は、不織布から構成されている。内層シート31及び外層シート32を構成する不織布、換言すれば、本発明の外装材に用いる不織布としては、各種の製法で製造された不織布を特に制限なく用いることができる。
本発明の外装材に用いる不織布の例としては、高圧水流処理により繊維ウエブの構成繊維同士を交絡させて得られる不織布であるスパンレース不織布、熱風処理により繊維ウエブの構成繊維同士を熱融着させて得られる不織布であるエアスルー不織布、接着剤で繊維ウエブの構成繊維同士を接着させて得られる不織布であるレジンボンド不織布等が挙げられる。これらの不織布の製造に用いる繊維ウエブは、カード機や空気中で繊維を積繊してなるエアレイド法等によって製造することができる。また、スパンボンド不織布や、ヒートボンド不織布、メルトブローン不織布等を用いることもできる。更に、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンドのような多層構造の複合不織布を用いることもできる。多層構造の不織布としては、例えば、SM(スパンボンド/メルトブローン)、SMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)不織布等を用いることもできる。内層シート31と外層シート32とで不織布の種類を異ならせても良い。
【0018】
また、シール部37を形成する不織布(多層の場合は合計の坪量)の坪量は、下限が、好ましくは20g/m
2以上であり、更に好ましくは30g/m
2以上であり、上限が、好ましくは50g/m
2以下であり、更に好ましくは40g/m
2以下である。
【0019】
図4に示すように、外装体30は、腹側部A及び背側部Bの双方における、ウエスト開口縁Wと、吸収性コア22の長手方向の端部の位置との間に位置するウエスト領域Uに、おむつ10の幅方向Xに延びる複数のウエスト弾性部材33が伸長状態で配されている。ウエスト領域Uは、着用時に着用者の腰回りに配される。また、外装体30におけるレッグ開口縁Lには、該開口縁Lに沿ってレッグ弾性部材34が伸長状態で配されている。
【0020】
外装体30は、腹側部A及び背側部Bに双方における、ウエスト領域Uと股下部Cとの間に位置する胴回り部には、おむつ10の幅方向に延びる複数の胴回り弾性部材35が伸長状態で配されている。胴回り弾性部材35は、1本又は複数本配されており、その一端が外装体30の側部の近傍、例えばサイドシール部Sの近傍に位置し、他端がおむつ10の幅方向中央域に達する前で終端している。従って、胴回り部Dのおむつ幅方向Xにおける中央域に、胴回り弾性部材35が弾性伸縮力を発現しない領域が形成されている。
【0021】
図3に示すように、吸収性本体20は、表面シート21と、裏面シート23と、両シート間に介在配置された吸収体22Sとを備えている。吸収体22Sは、吸収性コア22の全体を液透過性のコアラップシート24によって被覆されている。コアラップシートは、コアの形成材料の漏出を防止するものであり、例えば、薄葉紙や透水性の不織布等が用いられる。
【0022】
吸収性コア22は、相対的に坪量が高く非肌当接面側に向けて突出した凸の形状を有する高坪量部22aと、高坪量部22aに隣接し、かつ相対的に坪量が低く肌当接面側に向けて凹んだ低坪量部22bとを有している。高坪量部22aと低坪量部22bとは一体成形されている。吸収性コア22は、その非肌当接面側が凹凸形状を有しており、且つ肌当接面側が平坦となっている。本実施形態のおむつ10における吸収性コア22は、その全体が、高坪量部22aと低坪量部22bとを有するブロック領域となっている。
【0023】
図2に示すとおり、吸収性コア22には、低坪量部22bによって、吸収性本体20の長手方向Yに延びる複数本の第1線状低坪量部2Yと、吸収性本体20の幅方向
Xに延びる複数本の第2線状低坪量部2Xとが形成されている。複数本の第1線状低坪量部2Yと複数本の第2線状低坪量部2Xとは格子状に交差しており、その格子の目の部分に高坪量部22aが位置している。第1線状低坪量部2Yは、複数本の第
2線状低坪量部2
Xと交差して、吸収性本体20の長手方向Yに延びており、第2線状低坪量部2Xも、複数本の第
1線状低坪量部2
Yと交差して、吸収性本体20の幅方向Xに延びている。
【0024】
各高坪量部22aの形状はほぼ同じであり、平面視して矩形をしており、長手方向の長さが、幅方向の長さよりも大きくなっている。また、吸収性コア22は、外周部に位置する高坪量部22a以外の各高坪量部22aは、その周囲がその全域にわたって低坪量部22bによって囲まれており、外周部に位置する高坪量部22aは、2方又は3方が低坪量部22bと接している。
【0025】
本実施形態のおむつ10においては、吸収性本体20の長手方向は、おむつ10の長手方向Y及び吸収性コア22の長手方向と一致しており、吸収性本体20の幅方向は、おむつ10の幅方向X及び吸収性コア22の幅方向と一致している。第1線状低坪量部2Yの幅と、第2線状低坪量部2Xの幅とは、同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。
【0026】
低坪量部22bの坪量は、高坪量部22aの坪量に対しての割合が、その下限値が好ましくは1%であり、更に好ましくは3%であり、上限値は好ましくは80%であり、更に好ましくは70%である。高坪量部22a自体の坪量は、その下限値が好ましくは200g/m
2であり、更に好ましくは300g/m
2である。上限値は好ましくは900g/m
2であり、更に好ましくは800g/m
2である。低坪量部22bに関しては、その坪量の下限値が好ましくは10g/m
2であり、更に好ましくは50g/m
2である。上限値は好ましくは500g/m
2であり、更に好ましくは400g/m
2である。坪量は、下記の方法で測定することができる。
吸収性コア22における高坪量部22aと低坪量部22b(横溝2X,縦溝2Y)の境界線に沿ってフェザー社製片刃剃刀を用いて切断する。切断して得られた高坪量部22aの小片について、重量を電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定する。求めた重量を高坪量部22aの小片の面積で除して小片の坪量を算出する。小片5個の坪量の平均を高坪量部22aの坪量とする。
次いで、高坪量部22aと低坪量部22b(縦溝2Y)の縦方向(Y方向)に延びた境界線に沿って、長さ50mm、幅は低坪量部22b(縦溝2Y)の幅の設計寸法に合わせて、フェザー社製の片刃剃刀を用いて、細いストライプ状の低坪量部22b(縦溝2Y)の小片を切り出す。得られた小片の重量を電子天秤(A&D社製電子天秤GR−300、精度:小数点以下4桁)を用いて測定する。求めた重量を低坪量部22b(縦溝2Y)の小片の面積で除して小片の坪量を算出する。小片5個の坪量の平均を低坪量
部22bの坪量とする。
【0027】
高坪量部22aは、低坪量部22bよりも坪量が大きいだけでなく、厚みも大きくなっている。低坪量部22bの厚みは、高坪量部22aの厚みに対しての割合が、その下限値が好ましくは2%であり、更に好ましくは3%である。上限値は好ましくは80%であり、更に好ましくは70%である。高坪量部22a自体の厚みは、その下限値が好ましくは2.0mmであり、更に好ましくは3.0mmである。上限値は好ましくは15.0mmであり、更に好ましくは12.0mmである。低坪量部22bに関しては、その厚みの下限値が好ましくは0.5mmであり、更に好ましくは0.7mmである。上限値は好ましくは8.0mmであり、更に好ましくは6.0mmである。厚みは、下記の方法で測定することができる。
所定のサイズにサンプルをカットし、5kPaで測定部位を10分間加圧し、除重後すぐに測定を行う。測定箇所は、1枚辺り3点以上とし、サンプル2枚の平均で厚みを求める。
例えばおむつ10を、フェザー社製片刃剃刀で、
図2に示す縦方向(Y方向)、又は横方向(X方向)に切断し、この切断されたサンプルの断面を測定する。肉眼にて測定し難い場合には、前記切断されたサンプルの断面を、例えば、マイクロスコープ(KEYENCE社製VHX−1000)を用いて20〜100倍の倍率で観察し、測定してもよい。
【0028】
先に述べたとおり、高坪量部22a及び低坪量部22bは一体成形されている。「一体成形されている」とは、これらの部位が、接着剤や熱融着等の接合手段を介さずに互いに分離不可能に一体化されており、同一の材料から一体的に形成されていることを意味する。これらの部位が一体成形されていると、体液がスムーズに移動し得る連続性を有するようになる。このような構造の吸収性コアの製造方法については後で説明する。
【0029】
本実施形態のおむつ10における外装材である外装体30には、
図3及び
図4に示すように、不織布が溶融固化したシール部37が形成されている。
本実施形態のおむつ10におけるシール部37は、外装体30を構成する内層シート31と外層シート32とを重ねた状態で、両者にヒートシール、超音波シール又は高周波シール加工を施して形成したものであり、該シール部37においては、両シート31,32間が熱融着により接合されている。また、シール
部37においては、内層シート31及び外層シート32の一方又は両者の不織布が溶融固化して剛性が高められている。
【0030】
おむつ10の外装体30には、
図4に示すように、複数本の帯状のシール部37が、それぞれ、吸収性本体20及び吸収性コア22の全長に亘って延びており、個々のシール部37は、それぞれ、複数本の第2線状低坪量部2Xと交差して吸収性本体20の長手方向Yに延びている。
【0031】
本実施形態のおむつ10によれば、吸収性コア22が、前述した構成のブロック領域を有するため、高い液拡散性能による吸収保持量の向上や、吸収性コアの剛性が低く変形しやすいため着用者の身体にフィットしやすいという効果が奏される。しかし、前述した低坪量部22b、特に第2線状低坪量部2Xの部分の剛性が低いことによって、レッグ弾性部材34や吸収性本体20の側部に配した弾性部材26等による収縮や、着用中における着用者の動き等によって、低坪量部22bや第2線状低坪量部2Xが収縮して、ブロック領域による本来の液の吸収性能が発現されなくなる恐れがあるが、本おむつ10のように、シール部37を、第2線状低坪量部2Xと交差して本体の長手方向Yに延びるように配することで、ブロック領域の収縮を抑制でき、ブロック領域による本来の液の吸収性能が安定して発現される。また、ブロック領域の収縮に起因する皺も生じにくくなり、外観にも優れている。
【0032】
ブロック領域による優れた吸収性能の発現又は皺の発生の防止の観点から、シール部37は、複数本の第2線状低坪量部2Xと交差して本体の長手方向Yに延び得ていることが好ましい。
また、同様の観点から、シール部37の幅Wは、その下限値が好ましくは1.0mmであり、更に好ましくは3.0mmであり、上限値は好ましくは10.0mmであり、更に好ましくは5.0mmである。また、第2線状低坪量部2Xの幅W2に対するシール部37の幅Wの比(W/W2)の割合は、その下限値が好ましくは110%であり、更に好ましくは120%であり、その上限値は好ましくは150%であり、更に好ましくは130%である。
【0033】
また、シール部37は、
図4及び
図5に示すように、第1線状低坪量部2Yとも重なり第1線状低坪量部2Yに沿って延びていることが、吸収性コアの低坪量域2X、2Yが維持される点から好ましい。更にその場合、シール部37は、
図5に示すように、X方向に隣り合う一対の高坪量部22aのそれぞれと一部が重なっていることが好ましい。
また、第1線状低坪量部2Yの幅W1に対するシール部37の幅Wの比(W/W1)の割合は、その下限値が好ましくは110%であり、更に好ましくは120%であり、その上限値は好ましくは150%であり、更に好ましくは130%である。
【0034】
また、シール部37は、
図2に示すように、股下部Cをおむつ長手方向に2等分して、腹側部A寄りの腹側股下部Caと背側部B寄りの背側股下部Cbとに区分したときの腹側股下部Caに、第2線状低坪量部2Xと交差して長手方向Yに延びるシール部37を有することが、排尿ポイントにおける、吸収性コアの幅方向の安定性を高めて、液拡散性に優れた吸収性物品を得る観点から好ましい。
【0035】
本実施形態のおむつ10ににおいては、
図2に示すように、腹側部A及び背側部Bの双方の胴回り部Dにおける、胴回り弾性部材35が弾性伸縮性を発現しない中央域にも、シール部37が延在している。
これにより、胴回り弾性部材35による吸収性本体20の横方向Xの収縮が一層抑制されるので、低坪領域(2Y)が維持され、液の拡散が阻害されることなく吸収性能が安定して発現される。腹側部A及び背側部Bの何れか一方のみが、胴回り部Dの中央域に延在するシール部37を有していても良く、当該一方については同様の効果が得られる。
【0036】
本実施形態のおむつ10の外装体30は、腹側部A及び背側部Bの双方に、吸収性コア22の端部の位置より延出して着用者の腰回りに配されるウエスト領域Uを有し、前述したシール部37が、腹側部A及び背側部Bの双方のウエスト領域Uに延在している。
これにより、ウエスト弾性部材の伸縮による吸収性コア端部の幅方向の収縮を抑制できる。腹側部A及び背側部Bの何れか一方のみが、ウエスト領域Uに延在するシール部37を有していても良く、当該一方については同様の効果が得られる。
【0037】
なお、ブロック領域においては、吸収性コア22の非肌当接面と外装体30との総ての層間が、接着剤28,29等の公知の接合手段により接合されていることが好ましい。層間を接合する接着剤は、平面方向に隙間無く全面塗工されていても良いし、スパイラルパターン、ストライプパターン、ドットパターン等の各種のパターンで部分塗工されていても良い。
【0038】
次に、上述したおむつ10の吸収体22Sにおける吸収性コア22の好適な製造方法を説明する。
図6には、吸収性コア22の製造方法の一実施態様及びそれに用いる製造装置が示されている。吸収性コア22の製造装置は、矢印R1方向に回転駆動される回転ドラム50と、回転ドラム50の外周面に吸収性コア22の原料である吸収ポリマーを含む吸収性材料45を供給するダクト60と、回転ドラム50の下流側の斜め下方に配置され、矢印R2方向に回転駆動されるトランスファーロール70と、回転ドラム50の周方向におけるダクト60とトランスファーロール70との間に配置されたバキュームボックス65と、バキュームボックス65と回転ドラム50との間及びトランスファーロール70と回転ドラム50との間を通るように配された、シート状の通気性部材であるメッシュベルト75と、トランスファーロール70の下方に配されたバキュームコンベア80とを備えている。
【0039】
回転ドラム50は、
図6に示すとおり円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周面を形成する部材が水平軸回りを回転する。回転ドラム50の内側(回転軸側)の非回転部分には内部を減圧可能な空間56が形成されている。空間56には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間56内を負圧に維持可能である。他方、回転ドラム50の内側(回転軸側)の空間57及び58には、装置外の空気を取り込み可能な配管(図示せず)が接続されている。
【0040】
図6に示すとおり、回転ドラム50の外周面には、製造する吸収性コア22の形状に対応する形状のドラム凹部51が複数個、R1方向に等間隔を空けて形成されている。各ドラム凹部51の底面部には、
図7に示すとおり、多数の細孔が形成されたメッシュプレート52と、金属製又は樹脂製の難通気性部材53とが配されている。ここで、難通気性部材53は、メッシュプレート52上に突出するように設けられており、上述した低坪量部22bの形状及び位置に対応するように配されている。
図7に示すとおり、このように配された難通気性部材53により区画されたメッシュプレート52のみからなる領域54が、高坪量部22aに対応する部分となる。また、ドラム凹部51が形成されていない、回転ドラム50の外周面の部分は、金属製の剛体からなる回転ドラム50のフレーム体からなり、非通気性である。
【0041】
ダクト60は、
図6に示すとおり、その一端側が、負圧に維持される空間56上に位置する回転ドラム50の外周面を覆っており、図示しない他端側には、繊維材料導入装置を有している。繊維材料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプとし、その解繊パルプ(繊維材料)をダクト内に送り込む粉砕器を備え、ダクト60の途中に吸収ポリマーを導入する高吸収性ポリマー導入部を備えている。
【0042】
トランスファーロール70は、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部がR2方向に回転する。トランスファーロール70の内側(回転軸側)の非回転部分には、内部を減圧可能な空間71が形成されている。空間71には、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間71内を負圧に維持可能である。
【0043】
バキュームボックス65は、回転ドラム50の回転方向R1において、ダクト60の下流側端部61と、トランスファーロール70との間に配置されている。バキュームボックス65は、箱状の形状を有し、回転ドラム50に対向する部位に、回転ドラム50方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス65は、排気管67を介して、吸気ファン等の公知の排気装置(図示せず)が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス65内を負圧に維持可能である。
【0044】
メッシュベルト75は、網目を有する帯状の通気性ベルトが無端状に連結されたものであり、複数のフリーロール及びトランスファーロール70に案内されて所定の経路を連続的に移動する。メッシュベルト75は、トランスファーロール70の回転によって駆動される。メッシュベルト75は、バキュームボックス65の前記開口部の前を通過している間は、回転ドラム50の外周面に接触しており、トランスファーロール70と回転ドラム50とが最も接近している最接近部付近で、回転ドラム50の外周面から離れてトランスファーロール70上へと移行する。
【0045】
バキュームコンベア80は、駆動ロール81及び従動ロール82に架け渡された無端状の通気性ベルト83と、通気性ベルト83を挟んでトランスファーロール70と対向する位置に配されたバキュームボックス84とを備えている。
【0046】
次に、上述した吸収体の製造装置を用いて吸収性コア22を連続的に製造する方法について説明する。先ず、回転ドラム50内の空間56、及びバキュームボックス65内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。空間56内をこのような負圧にすることで、ダクト60内に、吸液性材料45を回転ドラム50の外周面に搬送させる空気流が生じるからである。次に、回転ドラム50及びトランスファーロール70を回転させ、また、バキュームコンベア80を作動させる。そして前記繊維材料導入装置を作動させて、ダクト60内に繊維材料を供給し、更に高吸収性ポリマーを供給すると、これらの吸液性材料45は、ダクト60内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム50の外周面に向けて供給される。
【0047】
ダクト60に覆われた部分を搬送されている間に、回転ドラム50のドラム凹部51には、吸液性材料(繊維材料と高吸収性ポリマーとの混合物)45が吸引される。吸液性材料45は、
図8に示すとおり、ドラム凹部51の各領域54のメッシュプレート52上に徐々に堆積する。こうして得られた堆積物46においては、難通気性部材53上に吸液性材料45が堆積してなる部位(難通気性部材53対応部)46aが、相対的に吸液性材料45の堆積量が少なく、その他の部位(領域54対応部)46bが、相対的に吸液性材料45の堆積量が多くなっており、堆積物46全体として凹凸構造を有するようになる。
【0048】
そして、回転ドラム50が回転して、ドラム凹部51がバキュームボックス65の対向位置にくると、ドラム凹部51内の堆積物46がバキュームボックス65からの吸引によって、メッシュベルト75に吸い付けられた状態となる。ドラム凹部51内の堆積物46は、その状態で、トランスファーロール70と回転ドラム50との最接近部の直前まで搬送され、該最接近部付近で、トランスファーロール70側からの吸引により、メッシュベルト75に吸い付けられた状態のままドラム凹部51より離型し、トランスファーロール70上へと移行する。
【0049】
こうして、メッシュベルト75とともにトランスファーロール70上に移行した凹凸構造を有する堆積物46は、トランスファーロール70上のメッシュベルト75に吸着されたまま、バキュームコンベア80との受け渡し部(トランスファーロール70の最下端部)まで搬送され、該受け渡し部において、バキュームボックス84による吸引によりバキュームコンベア80上へと移行する。また、公知の手法により、堆積物46の上下面をコアラップシート24で被覆する。
【0050】
このようにして得られた長尺状の堆積物46を所定の間隔で切断して、吸収体前駆体49を連続的に製造する。次いで吸収体前駆体49を加圧手段90によって圧縮し、吸収体前駆体49を構成する堆積物46の厚みを積極的に減少させて、コアラップシート24で被覆された目的とする吸収性コア22を得る。加圧手段90は
図6に示すとおり、一対のロール91,92を備え、ロール91,92間に導入された被加圧物を上下面から加圧して厚み方向に圧縮可能に構成されている。
【0051】
加圧手段90によって吸収体前駆体49を圧縮すると、吸液性材料が相対的に多く厚みの大きい部位(領域54対応部)46bは、吸液性材料45が相対的に少なく厚みの小さい部位(難通気性部材53対応部)46aよりも強く圧縮される。その結果、上述した製造装置を用いて製造された吸収性コアにおいては、堆積物46における部位(領域54対応部)46b(凸部)が、吸収性コア22において相対的に密度の高い高坪量部22aとなり、堆積物46における部位(難通気性部材53対応部)46a(凹部)が、吸収性コア22において相対的に密度の低い低坪量部22bとなる。
【0052】
図9及び
図10は、本発明におけるシール部37の他の形成態様を示す図である。
図9に示す例においては、シール部37が、高坪量部22aの幅方向中央部と重なっており、複数の第2線状低坪量部2Xと交差する一方、第1線状低坪量部2Yとは重なっていない。
図10に示す例においては、シール部37が、吸収性本体の長手方向Yに不連続に形成されている。換言すると、短いシール部37が、長手方向Yに隣り合う2つの高坪量部22a,22aに跨るように形成されているが、長手方向Yに隣り合う2本の第2線状低坪量部2Xどうし間に、シール部37が存在しない部分が生じている。
【0053】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
例えば前記の実施形態においては、吸収性コア22の全域が、ブロック領域であったが、ブロック領域が、吸収性コア22の長手方向又は幅方向の一部のみに存在していても良い。シール部37が
図9又は
図10に示す態様で形成されたブロック領域についても同様である。例えば、ブロック領域の周囲に高坪量部が連続して存在する非ブロック領域を有していてもよい。また、
図5、
図9又は
図10に示すような態様で形成されたシール部37が、腹側部A及び股下部Cのみに形成されていてもよいし、背側部B及び股下部Cのみに形成されていてもよいし、腹側部A及び背側部Bに存在せずに股下部Cのみに存在していても良いし、腹側股下部Caのみに存在していても良い。
【0054】
また、並列する第1線状低坪量部2Y及び並列するシール部37の本数は、4本に限られず、例えば、2本から20本程度のなかから適宜に選択することができる。当該本数は、2本以上が好ましく、3本以上がより好ましく、4本以上が更に好ましく、15本以下が好ましく、10本以下がより好ましい。また、吸収性本体20の長手方向に、第1線状低坪量部2Yの本数及びシール部37の本数が異なる複数の領域を有していても良い。
【0055】
また前記の実施形態においては、吸収性コア22におけるブロック領域は、肌当接面側が平坦になっており、かつその非肌当接面側が凹凸になっていたが、これに代えて、非肌当接面側を平坦となし、かつその肌当接面側を凹凸にしてもよい。また、吸収性コア22は、平面視形状を適宜の形状に変更することができる。また、吸収性コア22として、ブロック領域と同様の構成を有する2枚の吸収性コアを積層したものを用いることもでき、その2枚の吸収性コアは平面視形状は同じでも異なっていても良い。
また、外装材は、一枚の不織布からなるものであっても良く、3枚以上の不織布からなるものであっても良く、外装材が複数の積層した不織布からなる場合、シール部は、その複数枚の不織布の全部に亘るように形成されていてもよいし、一部の不織布のみに形成されていてもよい。また、本発明の吸収性物品は、長手方向に沿う弾性部材を有しないものであっても良く、上述したおむつ10から、レッグ弾性部材34及び吸収性本体20の側部に配した弾性部材26を省略することもできる。なお、おむつ10における弾性部材26は、表面シート21とコアラップシート24の外面との間に伸長状態で固定されているが、コアラップシート24の内面側に固定されていてもよい。
【0056】
また、本発明の吸収性物品は、パンツ型使い捨ておむつに代えて、いわゆる展開型の使い捨ておむつであっても良いし、パンツ型の生理用ナプキン等であっても良い。
【0057】
上述した実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品を開示する。
<1>表面シート、裏面シート及び該表面シートと該裏面シートとの間に配置された吸収性コアを含む吸収性本体と、該吸収性本体における非肌当接面側に位置する不織布製の外装材とを具備する吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、ブロック領域を有し、ブロック領域は、坪量が相対的に高い複数の高坪量部と、坪量が相対的に低い低坪量部とを有し、該低坪量部によって、前記吸収性本体の長手方向に延びる第1線状低坪量部と、該吸収性本体の幅方向に延びる第2線状低坪量部とが形成されており、
前記外装材に、不織布が溶融固化したシール部が形成されており、該シール部は、第2線状低坪量部と交差して吸収性本体の長手方向に延びている、吸収性物品。
【0058】
<2>前記シール部が、複数の前記第2線状低坪量部と交差して吸収性本体の長手方向Yに延びている前記<1>記載の吸収性物品。
<3>前記シール部が、前記吸収性本体の長手方向に不連続に形成されている前記<1>又は<2>記載の吸収性物品。
<4>前記シール部が、前記吸収性本体の長手方向に隣り合う2つの高坪量部に跨るように形成されているが、該吸収性本体の長手方向に隣り合う2本の第2線状低坪量部どうし間に、前記シール部が存在しない部分が生じている前記<3>記載の吸収性物品。
<5>前記シール部が、第1線状低坪量部とも重なり第1線状低坪量部に沿って延びている前記<1>又は<2>記載の吸収性物品。
<6>前記シール部は、前記吸収性本体の幅方向に隣り合う一対の高坪量部のそれぞれと一部が重なっている前記<5>記載の吸収性物品。
<7>第1線状低坪量部の幅に対する前記シール部の幅の比(前記シール部の幅/第1線状低坪量部の幅)の割合は、その下限値が好ましくは110%であり、更に好ましくは120%であり、その上限値は好ましくは150%であり、更に好ましくは130%である前記<1>〜<6>の何れか1記載の吸収性物品。
<8>前記シール部が、高坪量部の幅方向中央部と重なっており、複数の第2線状低坪量部と交差する一方、第1線状低坪量部とは重なっていない前記<1>又は<2>記載の吸収性物品。
<9>前記外装材は、複数枚の不織布を有し、前記シール部においては、複数枚の前記不織布が熱融着により接合されている前記<1>〜<8>の何れか1記載の吸収性物品。
<10>前記ブロック領域は、その肌当接面側が平坦になっており、その非肌当接面側が凹凸形状を有している前記<1>〜<9>の何れか1記載の吸収性物品。
【0059】
<11>前記吸収性コアは、相対的に坪量が高く非肌当接面側に向けて突出した凸の形状を有する高坪量部と、該高坪量部に隣接し、かつ相対的に坪量が低く肌当接面側に向けて凹んだ低坪量部とを有している前記<1>〜<10>の何れか1記載の吸収性物品。
<12>前記外装材は、前記吸収性本体の長手方向における前記吸収性コアの端部の位置より延出して着用者の腰回りに配されるウエスト領域を有し、前記シール部が、該ウエスト領域に延在している前記<1>〜<11>の何れか1記載の吸収性物品。
<13>複数本の帯状の前記シール部が、それぞれ、前記吸収性本体及び前記吸収性コアの全長に亘って延びている前記<5>又は<6>記載の吸収性物品。
<14>前記外装体は、内層シート及び外層シートとからなる前記<1>〜<13>の何れか1記載の吸収性物品。
<15>前記内層シート及び前記外層シートは、不織布から構成されている前記<14>記載の吸収性物品。
<16>吸収性物品は、吸収性物品の長手方向の中央域に位置する股下部及び該股下部から長手方向前方及び後方にそれぞれ延出する腹側部及び背側部を有し、
前記外装体は、腹側部及び背側部の双方における、ウエスト開口縁と、前記吸収性コアの長手方向の端部の位置との間に位置するウエスト領域に、吸収性物品の幅方向に延びる複数のウエスト弾性部材が伸長状態で配されている前記<1>〜<15>の何れか1記載の吸収性物品。
<17>高坪量部と低坪量部とは一体成形されている前記<1>〜<16>の何れか1記載の吸収性物品。
<18>複数本の第1線状低坪量部と複数本の第2線状低坪量部とは格子状に交差している前記<1>〜<17>の何れか1記載の吸収性物品。
<19>高坪量部は、低坪量部よりも厚みが大きくなっている前記<1>〜<18>の何れか1記載の吸収性物品。
<20>低坪量部の厚みに対する高坪量部の厚みの比の割合は、その下限値が好ましくは2%であり、更に好ましくは3%である。上限値は好ましくは80%であり、更に好ましくは70%であり前記<19>記載の吸収性物品。
【0060】
<21>前記ブロック領域においては、前記吸収性コアの非肌当接面と前記外装体との総ての層間が、接着剤等の公知の接合手段により接合されている前記<1>〜<20>の何れか1記載の吸収性物品。
<22>前記吸収性本体は縦長矩形形状をなしている前記<1>〜<21>の何れか1記載の吸収性物品。
<23>前記吸収性コアは、その全体が、液透過性のコアラップシートによって被覆されている前記<1>〜<22>の何れか1記載の吸収性物品。
<24>吸収性物品は、吸収性物品の長手方向の中央域に位置する股下部C及び該股下部Cから長手方向前方及び後方にそれぞれ延出する腹側部及び背側部を有し、
前記外装体は、腹側部に位置する部分の両側縁部と背側部に位置する部分の両側縁部とが互いに接合され、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されている前記<1>〜<23>の何れか1記載の吸収性物品。
<25>吸収性物品は、パンツ型使い捨ておむつである前記<1>〜<24>の何れか1記載の吸収性物品。