(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バスダクトに固定され、前記支持部材上端に当接することにより前記バスダクトの下方への移動を規制する下方振止部材を有することを特徴とする請求項2記載のバスダクト支持構造。
前記第1振止部、若しくは前記第2振止部の何れか一方又は両方が、前記バスダクトの長さ方向への伸縮に応じて、回転可能であることを特徴とする請求項5、又は6記載のバスダクト支持構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、確かに水平方向への移動を規制するものであるが、中間部用案内部材を正確に且つ確実に垂直に立設させる必要があり、多少曲がった状態で立設した場合、バスダクトの熱膨張によるバスダクトの伸び、又はバスダクトの収縮によるバスダクトの縮みによって生じるバスダクトの長さ方向へのスムーズな移動が行われない虞があり、施工する際に細心の注意を払わなければならず、施工時間が長期化する。
【0007】
また、特許文献2に係る発明も、押え金具が、正面視四角形であり(特許文献2の第3図を参照)、バスダクトの耳部に面接触する構成であるため、押え金具を固定するためにボルトを締結した際、押え金具が回転し、押え金具自体がバスダクトの耳部に食い込むという状態が生じる。それにより、バスダクトの熱膨張によるバスダクトの伸び、又はバスダクトの収縮によるバスダクトの縮みによって生じるバスダクト長さ方向への移動がスムーズに行えない虞があり、施工する際に細心の注意を払うため、施工時間の短縮は困難である。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、バスダクトの布設施工を容易とすると共に、多少の施工上の不具合があったとしても、バスダクトの熱膨張及び収縮によるバスダクトの長さ方向へのスムーズな移動を可能とするバスダクト支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のバスダクト支持構造は、構造物に設けた支持装置により布設されたバスダクトを支持するバスダクト支持構造において、前記構造物に固定され、且つ前記バスダクトに略当接する支持部材と、前記支持部材に固定され、少なくとも一部が略円弧状又は略円形に形成された
部分で前記バスダクトと接触可能な振止部材とを備える前記支持装置を有し、前記支持装置が、前記バスダクトの長さ方向への伸縮を規制せず、前記バスダクトの幅方向及び厚さ方向への振れを規制する
位置に設けられていることを特徴とする。
この構成により、バスダクトの施工を容易とすると共に、多少の施工上の不具合があったとしても、バスダクトの熱膨張及び収縮によって生じるバスダクトの長さ方向への伸縮に応じたスムーズな移動が可能である。
【0010】
本発明のバスダクト支持構造は、構造物に設けた支持装置により垂直方向に布設されたバスダクトを支持するバスダクト支持構造において、前記構造物に固定され、且つ前記バスダクトに略当接する支持部材と、前記支持部材に固定され、少なくとも一部が略円弧状又は略円形に形成された
部分で前記バスダクトと接触可能な振止部材とを備える前記支持装置を有し、前記支持装置が、前記バスダクトの長さ方向への伸縮を規制せず、前記バスダクトの幅方向及び厚さ方向への振れを規制する
位置に設けられていることを特徴とする。
この構成により、垂直方向に布設されるバスダクトの施工を容易とすると共に、多少の施工上の不具合があったとしても、バスダクトの熱膨張及び収縮によって生じるバスダクトの長さ方向への伸縮に応じたスムーズな移動が可能である。
【0011】
本発明のバスダクト支持構造は、前記バスダクトに固定され、前記支持部材上端に当接することにより前記バスダクトの下方への移動を規制する下方振止部材を有することを特徴とする。
この構成により、バスダクト自体の荷重により生じるバスダクトの下方への移動を防止することが可能となる。
【0012】
本発明のバスダクト支持構造は、構造物に設けた支持装置により水平方向に布設されたバスダクトを支持するバスダクト支持構造において、前記構造物に固定され、且つ前記バスダクトに略当接する支持部材と、前記支持部材に固定され、少なくとも一部が略円弧状又は略円形に形成された
部分で前記バスダクトと接触可能な振止部材とを備える前記支持装置を有し、前記支持装置が、前記バスダクトの長さ方向への伸縮を規制せず、前記バスダクトの幅方向及び厚さ方向への振れを規制する
位置に設けられていることを特徴とする。
この構成により、水平方向に布設されるバスダクトの施工を容易とすると共に、多少の施工上の不具合があったとしても、バスダクトの熱膨張及び収縮によって生じるバスダクトの長さ方向への伸縮に応じたスムーズな移動が可能である。
【0013】
本発明のバスダクト支持構造は、前記バスダクトの厚さ方向への移動を規制する第1振止部と、前記バスダクトの前記支持部材から離れる方向への移動を規制する第2振止部とを有し、前記第1振止部の外形が略円形であることを特徴とする。
この構成により、振止部材が、バスダクトに対し、円又は円弧で接触するため、バスダクトの熱膨張によるバスダクトの伸び及びバスダクトの収縮によるバスダクトの縮みによって生じるバスダクトの長さ方向のスムーズな移動が可能となる。
【0014】
本発明のバスダクト支持構造は、前記バスダクトは、幅方向両端から外方向にフランジ部が延設形成され、前記フランジ部の端部に前記バスダクトの厚さ方向に延びる補強部が形成され、前記振止部材は、円柱状の第1振止部と、前記第1振止部の外周部から突出するように形成された環状の第2振止部とを有し、前記補強部の外面が前記支持部材と略当接し、一対の前記振止部材は、それぞれの前記第1振止部が前記補強部の側面を左右から挟むと共に、前記第2振止部が前記補強部の内面に当接するように配置され、前記支持部材に固定されることを特徴とする。
この構成により、バスダクトの施工を容易とすると共に、多少の施工上の不具合があったとしても、バスダクトの熱膨張及び収縮によって生じるバスダクトの長さ方向への伸縮に応じたスムーズな移動が可能である。
【0015】
本発明のバスダクト支持構造は、前記第1振止部、若しくは前記第2振止部の何れか一方又は両方が、前記バスダクトの長さ方向への伸縮に応じて、回転可能であることを特徴とする。
この構成により、バスダクトの熱膨張によるバスダクトの伸び及びバスダクトの収縮によるバスダクトの縮みが生じたとしても、バスダクトの長さ方向へのよりスムーズな移動が可能となる。
【0016】
本発明のバスダクト支持構造は、前記振止部材は、基部と前記基部から外方に突出する係止部とを有し、前記係止部の外周面により前記バスダクトの厚さ方向への移動を規制し、前記係止部の突出した面で前記バスダクトの前記支持部材から離れる方向への移動を規制してなり、前記係止部の外形が略円形に形成されていることを特徴とする。
この構成により、係止部が、バスダクトに対し、円又は円弧で接触するため、バスダクトの熱膨張によるバスダクトの伸び及びバスダクトの収縮によるバスダクトの縮みによって生じるバスダクトの長さ方向のスムーズな移動が可能となる。
また、本発明のバスダクト支持構造は、前記バスダクトは、幅方向両端から外方向にフランジ部が延設形成され、前記フランジ部の端部に前記バスダクトの厚さ方向に延びる補強部が形成され、前記振止部材は、基部と、前記基部から外方に突出した外形が略円形の係止部とを有し、一対の前記振止部材は、それぞれの前記係止部が前記フランジ部を左右から挟むと共に、前記係止部が前記補強部の内面に当接することを特徴とする。
【0017】
本発明のバスダクト支持構造は、前記係止部は、前記バスダクトの長さ方向への伸縮に応じて、回転可能であることを特徴とする。
この構成により、バスダクトの熱膨張によるバスダクトの伸び及びバスダクトの収縮によるバスダクトの縮みが生じたとしても、バスダクトの長さ方向へのよりスムーズな移動が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スダクトの布設施工を容易とすると共に、多少の施工上の不具合があったとしても、バスダクトの熱膨張及び収縮によるバスダクトの長さ方向へのスムーズな移動を可能とするバスダクト支持構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は本発明の第1実施形態のバスダクト及び接続部を示す正面図、(b)はその側面図、(c)はその断面図である。
【
図2】(a)は本発明の第1実施形態のバスダクト支持構造において、支持部材を取り付けた状態を示す正面図、(b)はその背面図、(c)はその側面図、(d)はその断面図、(e)は支持部材の斜視図である。
【
図3】(a)は本発明の第1実施形態のバスダクト支持構造において、間隔調整部材を配置した状態を示す正面図、(b)はその背面図、(c)はその側面図、(d)はその断面図、(e)は支持部材の斜視図である。
【
図4】(a)は本発明の第1実施形態のバスダクト支持構造において、振止部材を取り付けた状態を示す正面図、(b)はその背面図、(c)はその側面図、(d)はその断面図、(e)は支持部材の斜視図である。
【
図5】(a)は本発明の第1実施形態のバスダクト支持構造において、下方振止部材を取り付けた状態を示す正面図、(b)はその背面図、(c)はその側面図、(d)はその断面図、(e)は支持部材の分解斜視図である。
【
図6】(a)は第1実施例の第2振止部の平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【
図7】(a)は第1実施例の第1振止部の平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【
図8】(a)は第2実施例の第2振止部の平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【
図9】(a)は第2実施例の第1振止部の平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【
図10】(a)は第3実施例の振止部材の平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図である。
【
図11】(a)は本発明の第2実施形態のバスダクト及び接続部を示す正面図、(b)はその側面図、(c)はその断面図である。
【
図12】(a)は、本発明の第2実施形態のバスダクト支持構造を示す正面図、(b)はその背面図、(c)はその断面図である。
【
図13】(a)は、本発明の第2実施形態のバスダクト支持構造において、バスダクトに振止部材を取り付ける前の状態を示す正面図、(b)はバスダクトに振止部材を取り付けた後の状態を示す正面図である。
【
図14】(a)は本発明の他の例のバスダクト支持構造を示す正面図、(b)はその背面図、(c)はその側面図、(d)はその断面図である。
【
図15】(a)は、本発明の支持部材と反対側の補強部を第2振止部で振れを規制するバスダクト支持構造を示す正面図、(b)はその背面図、(c)はその側面図、(d)はその断面図である。
【
図16】(a)はバスダクトの厚さ方向一端に支持部材を設けた例を示す断面図、(b)はバスダクトの幅方両端に支持部材及び振止部材を設けた例を示す断面図、(c)は複数系統のバスダクトが並設され、バスダクト幅方向両端に支持部材を設け、振止部材は一方が正面、他方が背面に設けた例を示す断面図、(d)は複数系統のバスダクトが並設され、バスダクトの正面に支持部材を設け、バスダクト相互間に存在する振止部材を左右のバスダクトに併用させた例を示す断面図である。
【
図17】(a)は、垂直方向に布設されたバスダクトに対し、複数系統のバスダクトが並設された例を示す断面図、(b)は、複数系統のバスダクトが布設されている場合、隣り合うバスダクト相互間に支持部材を設けた例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のバスダクト支持構造について、図面に沿って説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
【0021】
〔第1実施形態のバスダクト支持構造〕
図1〜
図5は本発明の第1実施形態に係るバスダクトの支持構造を示し、
図1は第1実施形態のバスダクト10及び接続部20を示す図であり、
図2〜
図5は第1実施形態のバスダクト支持構造の施工方法を示す図であり、
図2は支持部材31を取り付けた状態を示す図、
図3は支持部材31に間隔調整部材32を取り付けた状態を示す図、
図4は振止部材33を取り付けた状態を示す図、
図5は下方振止部材34を取り付けた状態を示す図である。
【0022】
図1に示す第1実施形態のバスダクト10は絶縁物にて被覆された3線からなる帯板状の導体11を積層配置し、これら導体11を一対のバスダクトハウジング12が被覆挟持する構成で、所謂絶縁密着型バスダクトである。
【0023】
バスダクトハウジング12は、断面略コ字形で導体11を収容する収容凹部13と、収容凹部13の両端縁にバスダクト10の幅方向Yの外方向に延設形成されたフランジ部14と、フランジ部14・14の端縁に前記バスダクト10の厚さ方向Zに延びる補強部15とを有する。フランジ部14・14相互を図示しないリベット等の締着具により締着し、バスダクト10が形成される。尚、収納凹部13の外側面にはバスダクト10の長さ方向Xに連なるローレット溝(図示しない)が形成され、図示しないローレット溝がバスダクト10の放熱効果を向上させる。
【0024】
補強部15は、断面略矩形状に形成され、具体的にはフランジ部14の端縁から互いに離反するように形成された第1補強部16と、第1補強部16の端縁からフランジ部14と略平行となるように延設された第2補強部17と、第2補強部17の端縁を互いに近接する方向に延設された第3補強部18とを有する。尚、第2補強部17の外端面171と、収納凹部13の外端面131とは面一になるように形成される。
【0025】
バスダクト10が接続部20を介して複数接続されることにより、バスダクト幹線が構成される。接続部20は、接続すべきバスダクト10の導体11端部間を突き合わせ状態に配置し、この同相の導体11端部間に導電性接続部材21を沿わせることにより電気的に接続可能な状態とする。具体的には、異相の導電性接続部材21間及び最外側の導電性接続部材21とダクト側板継板間22に絶縁セパレータ23を沿わせて、これらを図示しない絶縁スリーブに挿通してなる締着具24により一括締着することにより、バスダクト10が電気的に接続される。さらに、接続部20の対応開放面に接続上下板25をバスダクト10にビス止め等し、バスダクト10の接続作業が完了する。
【0026】
上記バスダクト幹線を垂直方向に布設する場合、下記支持構造によってバスダクト10が支持される。支持構造は、構造物の上部側に配置され、バスダクト10を上方へ引っ張る上部支持装置と、構造物の下部側に配置され、バスダクト10を構造物に固定する下部支持装置と、
図2〜
図5に示す第1実施形態のバスダクト支持構造である中間部支持装置30とを備える。中間部支持装置30は、バスダクト10の水平方向への移動を規制する一方、バスダクト10の垂直上方向への移動を許容し、前記前記上部支持装置と前記下部支持装置と共にバスダクト10を支持する。
【0027】
中間部支持装置30は、断面L字形の支持部材(アングル)31と、間隔維持部材32と、振止部材33とを有する。
【0028】
図2に示す支持部材31は、バスダクト10の補強部15の外面である第3補強部18に略当接可能な取付片311を有する。取付片311には、間隔維持部材32と振止部材33とを取り付けるための取付孔312が穿設される。尚、取付孔312は円形状の孔であるが、必ずしも円形状である必要はなく、施工の容易性を向上させるために長孔であっても良い。
【0029】
支持部材31は、垂直方向に布設されたバスダクト10に対し、支持部材31の取付片311をバスダクト10の第3補強部18に略当接するように配置される。尚、支持部材31は、図示しない構造物の壁、柱、床面、又は天井に固定状態で取り付けられる。
【0030】
図3に示す間隔維持部材32は、平板状の鋼板からなり、支持部材31と同様に振止部材33を締着具34で締め付けるための孔321が穿設される。間隔維持部材32は、バスダクト10の第3補強部18と支持部材31との間に配設され、バスダクト10の第3補強部18と支持部材31との間に、振止部材33を取り付けるための所定の間隔を維持する。尚、間隔調整部材32は必須な構成要素ではなく、無くても良い。また、間隔調整部材32は、鋼板ではなく樹脂板等適宜であり、材質、形状は問わない。
【0031】
図4に示す振止部材33は、円柱状に形成された第1振止部331と、第1振止部331の外周部から突出するように形成された環状の第2振止部332と、振止部材33を支持部材31に締着具34により固定するための孔333とを有する。振止部材33は、締着具34によって、支持部材31及び間隔維持部材32に固定されることにより、バスダクト10自体の水平方向への移動が規制される。具体的には、第1振止部331の側面が補強部15の側面である第2補強部17に略当接してバスダクト10の厚さ方向Zへの移動を規制する。また、第2振止部332は、補強部15の内面である第1補強部16に略当接することにより、バスダクト10の幅方向Yの内、バスダクト10の支持部材31から離間する方向への移動を規制する。さらに、バスダクト10の支持部材31側への移動は支持部材31及び間隔維持部材32により規制される。その結果、バスダクト10の長さ方向Xと直交する方向への移動が全て規制される。
【0032】
尚、中間部支持装置30は、
図5に示す下方振止部材35を備えてもよい。下方振止部材35は、断面コ字形に形成された本体部36と、本体部36に外側から取り付けられる断面略C字形の取付部37・37とを有する。本体部36は、平板部分の基部361と、基部361の両端を屈曲して形成された脚部362とから形成される。取付部37は、脚部362の外側から取り付けられる。
【0033】
取付部37が本体部36に取り付けられた下方振止部材35は、バスダクト10を挟むようにバスダクト10の幅方向Yから本体部36の脚部362・362を左右に広げて、バスダクト10に取り付ける。この際、取付部37はバスダクト10のフランジ部14を外側から挟持する位置に配置され、取付部37が第1補強部16と収納凹部13との間に嵌合される。そして、下方振止部材35を構成する本体部36の下端が、間隔調整部材32の上端と当接することにより、バスダクト10の垂直下方向への移動が規制される。尚、下方振止部材35はバスダクト10の垂直上方向への移動を許容する。下方振止部材35がバスダクト10に取り付けられることにより、バスダクト10自体の荷重に対する垂直下方向の移動を防止することが可能となる。
【0034】
第1実施形態の中間部支持装置30は、バスダクト10の熱膨張によるバスダクト10の伸び及びバスダクト10の収縮によるバスダクト10の縮みによって、バスダクト10が長さ方向Xに移動したとしても、円形状に形成された振止部材33は、バスダクト10に対し、円又は円弧で接触する構成であるため、振止部材33がバスダクト10に食い込むことなく、バスダクト10の長さ方向Xのスムーズな移動が可能となる。
【0035】
第1実施形態の中間部支持装置30は、振止部材33の取付工程において、締着具34の締付方向に対して、振止部材33が円形状であるため、締着具34の締付けにより振止部材33が回転したとしても、振止部材33がバスダクト10に対し、適切な位置に容易に施工できるため、施工性が向上するという効果を奏する。
【0036】
第1実施形態の中間部支持装置30は、バスダクト10の一方側(以下、正面側と記す)にのみ支持部材31を設ける構成であり、正面側からの作業で済むため、より施工性が向上するという効果を奏する。
【0037】
また、第1実施形態の振止部材33は、
図6〜
図10に示す構造とすることも可能である。
図6及び
図7に振止部材33の第1変形例を示す。
図6に示す平面面積が小さく、中央に締着具34を挿通可能な孔41が穿設された肉薄の円板形状の部材(第2振止部42)と、
図7に示す平面面積の大きく、中央に締着具34を挿通可能な孔43が穿設された肉厚の円板形状の部材(第1振止部44)を重ね合せた構成の振止部材33としても良く、安価に製造することが可能となる。
【0038】
また、
図8及び
図9に振止部材33の第2変形例を示す。
図8に示す
図6と同様に肉薄の円板形状の部材(第2振止部45)と、
図9に示すような中抜き(中空)に形成した円板形状の部材(第1振止部46)を重ね合わせた構成の振止部材33としても良く、より軽量化及び安価に製造することが可能となる。
【0039】
さらに、
図10に振止部材33の第3変形例を示す。
図10のように中央に締着具34を挿通可能な孔47が穿設された皿状の部材で立上り部を外方に突出させた形状、即ち円板形状の部材を絞り加工した形状としても良く、より安価に製造することが出来ると共に、振止部材33を一つの部材で形成することが可能となると共に、締着具34としてボルトナットを使用した場合、ボルトの頭部が隠れるため、美観に優れた振止部材33を提供することができる。
【0040】
〔第2実施形態のバスダクト支持構造〕
図11〜
図13は本発明に係る第2実施形態のバスダクトの支持構造を示し、
図11は第2実施形態のバスダクト110及び接続部120を示す図、
図12は第2実施形態のバスダクトの支持構造130を示す図、
図13は第2実施形態のバスダクトの支持構造130の取付作業の状態を示す図である。尚、第1実施形態と類似する構成に関しては同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図11に示す第2実施形態のバスダクト110は、絶縁物にて被覆された3線からなる帯板状の導体11を積層配置し、これらをバスダクトハウジング112で被覆してなる密着絶縁型バスダクトである。ここで、バスダクトハウジング112は、断面C字形の一対のバスダクト側板113・113と、断面ロ字形のスペーサ114・114と、ボルトナットの締着具115とを有する。また、バスダクト側板113・113は、導体11側面に当接する平板状の基部116と、基部116の幅方向両端を外方に屈曲延設してなる第1補強部117と、第1補強部117の外端を互いに向き合うように屈曲延設してなる第2補強部118とから形成される。
【0042】
バスダクト110は、バスダクト側板113・113を導体11の外側に配置し、導体11の幅方向側に断面ロ字形のスペーサ114・114を配置し、導体11及びスペーサ114を挟持するようにバスダクト側板113・113相互を締着具115で固定されることにより、構成される。
【0043】
バスダクト110が接続部120を介して複数接続されることにより、バスダクト幹線が構成される。尚、接続部120は第1実施形態の接続部20と略同様な構成であるため、説明を省略する。
【0044】
上述したバスダクト幹線を水平方向に布設した場合、当該バスダクト幹線を構成するバスダクト110を支持する支持構造130は、支持部材131と、振止部材132とを有する。
【0045】
支持部材131は、例えば断面略C字形状のダクターチャンネルであればよく、溝133が上方に向くように配置されており、溝133内にワッシャー134が配置される。ワッシャー134は、溝133上部に形成された折り返し部分135の下面に引っ掛けられ、溝133上に配置された振止部材132とボルトナット136により固定される。
【0046】
振止部材132は、支持部材131の溝133の幅よりも広く、溝133上に配置可能な基部137と、基部137のバスダクト110側を半円弧状に立ち上がるように形成された第1振止部138と、第1振止部138の上端を外方に屈曲延設してなる半円弧状の第2振止部139とを有する。
【0047】
第1振止部138は、バスダクト110の第2補強部118の外面に略当接することにより、バスダクト110の厚さ方向Zへの移動を規制する。また、第2振止部139は、バスダクト110の第2補強部118上端に略当接することにより、バスダクト110の支持部材131側から離間する方向(垂直上方向)への移動を規制する。
【0048】
バスダクト110の支持部材131側(垂直下方向)への移動は支持部材131により規制されており、バスダクト110の長さ方向に直交する方向への移動が全て規制される。即ち、天井等の構造物から吊るされた複数の支持部材131上にバスダクト幹線が配置された場合、支持部材131に取り付けられた振止部材132によりバスダクト110の厚さ方向及び垂直上方向への移動が規制され、支持部材131によりバスダクト110の垂直下方向への移動が規制される。
【0049】
第2実施形態のバスダクト支持構造130は、水平に布設されたバスダクト110に対しても第1実施形態同様の効果を発揮することができる。
【0050】
図13に示す第2実施形態の振止部材132は、予め支持部材131に対し、所定間隔あけて一対の第2振止部139が相互に外側に向くように振止部材132を取り付けた後、バスダクト110を載置する。そして、振止部材132の第2振止部139を相互に向かい合うように回転させることにより、バスダクト110の支持作業が完了する。施工性が向上すると共に、高所での作業を減らすことができる。
【0051】
また、第1振止部138が半円弧状であり、第2振止部119も半円弧状に形成されているため、振止部材132自体を小型化することができ、バスダクト110が複数並設されていたとしても、バスダクト110の布設間隔を狭くすることを可能とし、バスダクト110の設置場所の省スペース化を図ることができる。
【0052】
〔実施形態の変形例等〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は要旨の範囲内において、拡張及び変形が可能であり、各実施形態の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用構成が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、例えば下記のような変形例も包含される。尚、上述した実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明は省略する。
【0053】
上記バスダクト支持構造に支持されるバスダクトは上記実施例に限定されるものではなく、2線式或いは4線式以上のバスダクトや、空気で絶縁するバスダクト、所謂空気絶縁バスダクトや、絶縁物を被覆すると共に、導体を所定間隔離間させて配置させるバスダクト等どのようなバスダクトであっても良い。また、バスダクトハウジングの形状、構成もどのようなものであっても良い。更には、上記実施形態では接続部を介する突き合わせ接続について説明したが、本発明は接続すべきバスダクトの導体相互を重ね合せて接続する所謂重ね合せ接続であっても良い。
【0054】
また、支持部材31、又は支持部材131の構造も断面L字形のアングル、断面C字形のダクターチャンネルに限定されるものではなく、平板状のバーであっても、断面H字形の鋼材、断面コ字形のチャンネルであっても良い。即ち、バスダクトの一部に略当接、つまり何らかの部材(第1実施形態の間隔調整部材32)等を介在させて当接し、バスダクトの振れを規制できるものであれば全て含まれる。
【0055】
振止部材33は、バスダクト10が熱膨張及び収縮する際に、振止部材33の締着具34を中心として回転する構成としても良い。この構成により、バスダクト10の熱膨張によるバスダクト10の伸び及びバスダクト10の収縮によるバスダクト10の縮みが生じることにより、バスダクト10が長さ方向Xに移動する際、バスダクト10の長さ方向Xにおけるスムーズな移動が可能となる。
【0056】
例えば、振止部材33が回転する構成としては、振止部材33を固定するボルトナット等の締着具34を若干緩めにしておく、或いは締着具34のボルトにパイプスペーサ(図示しない)を介在させ、ボルトナットで締め付けても振止部材33自体に力が加わらない(パイプスペーサにより締着具34の締付寸法を規制する)構成としてもよい。尚、第1実施形態の振止部材33は、第1振止部31と第2振止部32との両方が回転する構成としても、又は少なくとも第1振止部31がバスダクト10の熱膨張及び収縮に従い、回転する構成であればよく、第2振止部32は必ずしも回転する必要がない。
【0057】
振止部材33の変形例として、例えば
図14に示す振止部材50が挙げられる。振止部材50は、円柱状(肉厚の円板状)の基部51と、基部51より直径が大きく、基部51から外方へ突出した外形が略円形(肉薄の円板状)の係止部52とを有する。また、必ずしも基部51の外形状が円形である必要はなく、回転してもバスダクト10の第2補強部17に当接しない程度の大きさ及び形状、例えば四角形等の多角形であっても良い。尚、
図14に示す変形例では、バスダクト10の熱膨張及び収縮に従い、少なくとも係止部52が回転すればよく、基部51は必ずしも回転する必要はない。
【0058】
第1実施形態のバスダクト10を支持する場合、振止部材50の係止部52の突出した面は、バスダクト10の第1補強部16に略当接することにより、バスダクト10の支持部材31から離間する方向への移動を規制すると共に、係止部52の外周面がフランジ部14に略当接し、バスダクト10の厚さ方向Zへの移動を規制する。
【0059】
図15に示す振止部材60は、円柱状の第1振止部61と、第1振止部61より直径が大きく、円形状(肉薄の円板状)の第2振止部62とを有する。第1振止部61は、第1実施形態のバスダクトの幅方向の長さとほぼ同程度の長さに形成される。第2振止部62は、支持部材31と当接するバスダクト10の補強部15とは反対側に位置する補強部15の第3補強部18の外側から略当接し、バスダクト10の支持部材31から離間する方向への移動を規制する。尚、ボルト63はパイプスペーサ64が介在されており、第1振止部61が回転する構造となっている。
【0060】
また、第2実施形態に係る支持部材131であるダクターチャンネルは、バスダクト110の下に位置して、バスダクト110を支持する構成であるが、バスダクト110の上下に配置する構成、バスダクト110の上のみに配置する構成等とすることは適宜可能である。バスダクト110の上下に配置する構成の場合、振止部材132は、上下の支持部材131に設けても良く、何れか一方のみであっても良い。即ち、振止部材132は、第1振止部138のみ存在すればよく、単なる円柱状の部材であっても良い。また、バスダクト110の上に配置する場合、上記様々な変形例の振止部材を支持部材131に取り付けることにより対応することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、支持部材31に対してバスダクト10が幅方向Yの一端が略当接する構成について説明したが、
図16(a)に示すように、支持部材31に対してバスダクト10の厚さ方向Zの一端が略当接する構成であっても良く、振止部材70による振止効果がより一層向上する。
【0062】
また、本発明の第1実施形態では、バスダクト10の正面側にのみ支持部材31を設ける構成であるが、必ずしも正面側のみに設ける構成でなくても良く、
図16(b)に示すように他方側(以下、背面側と記す)にも支持部材31を設け、振止部材33を4つ設ける構成であっても良い。尚、振止部材33を3つ設ける構成であっても良いことは言うまでもない。
【0063】
また、複数系統のバスダクト10が並設されている場合、
図16(c)に示すようにバスダクト10の正面側及び背面側に支持部材31を設け、一のバスダクト10は正面側に振止部材33を設ける一方、背面側に振止部材33を設けず、一のバスダクト10に隣り合う他のバスダクト10の正面側には振止部材33を設けず、背面側に振止部材33を設ける構成としても良く、更にはこれを階毎に入れ替える構成であっても良い。これにより、コストを下げることが出来ると共に、バスダクト10が安定した状態で振止効果を発揮し、更にはバスダクト10の布設間隔を狭くすることができる。
【0064】
また、
図16(d)に示すように、バスダクト10の正面側のみに振止部材33を設け、バスダクト10相互間に存在する振止部材33を隣り合うバスダクト10に対しても併用させる構成であっても良い。これにより、バスダクト10の布設間隔を狭くすることができ、バスダクト10の設置場所の省スペース化を図ることが可能となる。
【0065】
さらに、
図17(a)に示すように、垂直方向に布設されたバスダクト10aに対し、複数系統のバスダクト10bが並設されている場合に、構造物に対して支持部材31を固定するのではなく、一のバスダクト10aに対して支持部材31を固定状態とし、一のバスダクト10aに隣り合う他のバスダクト10bに振止部材33を設け、バスダクト10bの振れを防止する構造であっても良い。尚、バスダクト10aとバスダクト10bは、バスダクト10と同じ構成であるため、説明は省略する。
【0066】
また、
図17(b)に示すように、複数系統のバスダクト10が布設されている場合、隣り合うバスダクト10相互間に、構造物に対して固定状態に取り付けられた支持部材31aを設け、支持部材31aに左右のバスダクト10の振れを防止する振止部材70を設けて、左右のバスダクト10の振れを防止する構成であっても良い。ここで、支持部材31aは、バスダクト10の厚さ方向Zの一端が略当接する。これにより、左右のバスダクトの振れを抑えることができ、バスダクトの布設間隔を狭くし、バスダクトの設置場所の省スペース化を図ることができる。