(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受皿の上面は、前記調理台を支持する支持面と、前記支持面より下に形成された前記複数の流出口が形成された流出面と、を有し、シート状で前記複数の流出口と対向する位置に開口が形成された受皿保護材を、前記支持面および前記複数の流出口の開口周縁部の上端とで前記流出面との間に間隔を設けて支持可能としたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
前記受皿の上面と前記受皿の底面とが分離可能に構成され、前記受皿の底面の外側に凸部が形成され、前記流出口と前記凸部とを嵌め合せるように前記受皿保護材を前記受皿の上面と前記受皿の底面とで挟むことで、前記受皿保護材に前記開口を形成することを特徴とする請求項2に記載の加熱調理器。
前記受皿保護材に前記開口が形成されているか否かを検知する開口検知手段と、前記開口検知手段が前記受皿保護材に前記開口が形成されていないことを検知すると前記受皿保護材に前記開口を形成するように報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載の加熱調理器。
前記受皿のいずれかの側面に前記吹出口と連通する流入口が形成され、前記被加熱物を出し入れするスライド式の扉部を備え、前記受皿は前記扉部と一体的に移動し、前記扉部が開いた状態では前記受皿の一部が前記調理室外へ引き出され、前記扉部が閉じた状態では前記流入口は前記吹出口に近接または接触して収納されることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の加熱調理器。
前記扉部が閉じた状態では前記流入口は前記吹出口に近接または接触して収納されるとともに、磁力または弾性力を用いた付勢手段により接触方向に付勢されることを特徴とする請求項9に記載の加熱調理器。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
本実施の形態1に係る加熱調理器を
図1〜
図13を用いて説明する。なお、以下の説明において、正面、背面、上下、左右、前後は、加熱調理器を前面側、つまり使用者が調理動作を行う側から見た場合の方向を意味している。また、
図1及び後述の各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0012】
まず、
図1〜
図3を用いて本実施の形態1に係る加熱調理器全体の構成を説明する。
図1は、この発明を実施するための実施の形態1の加熱調理器全体を示す斜視図である。
図1において加熱調理器の本体1の筐体2に上側には板状の筐体上面3が着脱自在に配置される。筐体上面3は、背面側に吸排気口カバー5、中央にトッププレート4、前面側に操作部6が配置される。
トッププレート4には、前面側右、背面中央、前面左の3ヶ所の載置部8が設けられている。載置部8は鍋などの図示しない被加熱物を載置する際のガイドとなる。また、トッププレート4には、表示部9が設けられており、本体1の動作状態の報知や操作部6からの入力・操作内容等が表示される。
吸排気口カバー5はトッププレート4から物が吸排気口へと落下することを防止する機能を有しながらも通気性があり、冷却風の吸気及び排気や調理室11の排気の気流が通気抵抗少なくスムースに通過する。
【0013】
筐体2の前面側には、中央に調理室扉7が設けられ、調理室扉7のから背面側に配置された調理室11内で調理される被加熱物を調理室11内へ出し入れできるようスライドして開閉する。なお、
図1において調理室扉7の両側にも操作部6が設けられているが、本実施の形態1の調理室11及び、前面側の操作部6の配置は一例であり、これに限るものではなく、調理室11は筐体2のどちらかの側面に寄せて配置したり、操作部6もどちらかの側面に寄せて配置したり、前面側に操作部6がないなどでもよい。また、調理室扉7は調理室11内や調理室扉7自身の清掃等のメンテナンスのため着脱可能となっている。
【0014】
図2は加熱調理器のトッププレート4と吸排気口カバー5を取外した状態の本体1の斜視図である。
筐体上面3の背面側の中央には筐体排気口14が、左右には筐体吸気口13が設けられている。また、筐体排気口14は冷却風排気風路15に接続されており、冷却風排気風路15から筐体2に収容された各部材を冷却した冷却風の排気がおこなわれる。冷却風排気風路15内には調理室排気風路10が配置され、調理室11からの排気も筐体排気口14よりおこなわれる。なお、通常の
図1のように組み立てられた状態においては、筐体排気口14、筐体吸気口13は
図1に示した吸排気口カバー5で覆われている。
【0015】
トッププレート4の載置部8の下方には誘導加熱コイルユニット18が前面側左右、背面側中央の3ヶ所に配置され、トッププレート4上に載置される被加熱物の加熱に使用される。なお、誘導加熱コイルユニット18のいずれかまたは全てをジュール熱で加熱するラジエントヒータと置き換えても良い。
【0016】
誘導加熱コイルユニット18の下方は、調理室収納部19が設けられ、内部には調理室11が配置される。調理室収納部19の両側には基板ケースユニット17が配置されている。基板ケースの吸込口はそれぞれ左右の筐体吸気口13の下方に配置され接続されている。
【0017】
筐体吸気口13から吸込まれた冷却風は接続される基板ケースユニット17の吸込口から流入し基板ケースユニット17内の冷却ファンに吸引・送出され、内部の電子回路基板に実装された部品を冷却した後、基板ケースユニット17の排気口から排気され、誘導加熱コイルユニット18の下方にはチャンバ16に流入する。
チャンバ16は誘導加熱コイルユニット18の下方に配置され、チャンバ16内に流入した冷却風はチャンバ16上面の吹出口から吹出され誘導加熱コイルユニット18に吹き付けられ冷却をおこなう。
【0018】
なお、トッププレート4の上での加熱調理をおこなう機能は必要に応じて備えられれば良く、調理室11内の加熱調理機能だけを備える加熱調理器の場合は誘導加熱コイルユニット18とその駆動手段やラジエントヒータ等は備えられず、外周面は単純な外装となる。
【0019】
図3は、加熱調理器の側面断面図である。
調理室11は加熱調理器に収容されているが、調理室11の外壁と筐体2の調理室収納部19の上面および下面との間は隙間ができるように形成され、該隙間を断熱空間35として、空気層による断熱がおこなわれている。断熱空間35は調理室11からの熱漏洩を抑制して調理室11内の加熱効率を高めるとともに、熱漏洩による周囲に配置される部品の温度上昇を抑制して冷却効率を高めている。
なお本実施の形態においては空気層による断熱をおこなっているが、必要に応じて断熱空間35に冷却風の一部を流入させたり、断熱空間35に変えてグラスウール等の耐熱性のある断熱材を挿入して断熱効果をさらに高めることで、加熱効率や冷却効率を更に高めてもよい。
【0020】
次に、
図4〜
図8を用いて、加熱調理器が有する調理室11の構成について説明する。
図4は、調理室11の外観を示す前面側斜視図である。
図5は、調理室11の調理室上面25を取り外した状態の斜視図である。
図4および
図5に示すように調理室11内の上方には上方加熱手段24が配置されている。上方加熱手段24は抵抗発熱体であるシーズヒータを用いている。なお、本実施の形態1においては、シーズヒータを用いているが、遠赤外線ヒータを用いることや、フラットヒータで天板を加熱手段することや、誘導加熱コイルで天板や抵抗発熱体を発熱させるもの等でもよく、調理室11内の被加熱物の上方より輻射や空気を介した熱伝達で加熱できる手段であればこれに限るものではない。また、調理室11の背面には上方加熱手段24を取付用の開口部が設けられ、上方加熱手段24の端子部は調理室11外の背面に設けられ、基板ケースユニット17内の制御回路基板から配線がおこなわれ制御手段により加熱の有無や加熱量が制御される。
【0021】
調理室11の背面には、調理室吸込口12が設けられ、調理室11の背面にはファンケーシング20が設けられ、ファンケーシング20に連通している。
【0022】
調理室11の側面には上面および底面と同様に断熱空間35が設けられ、空気断熱により調理室11内の熱漏洩を抑制して、調理の加熱効率を高めるとともに、周囲への熱の漏洩により周囲の構造材や基板ケースユニット17内等の電子部品が温度上昇して機能低下・損傷するのを抑制している。本実施の形態においては、断熱空間35は両側面と上面・底面に設けられているが、ファンケーシング20の背面にも断熱空間35を設けることで断熱性をさらに高めてもよい。
【0023】
また、調理室11には調理室扉7の開閉を規制する図示しないロック機構が設けられ、操作部6の操作により調理室11が加熱調理動作中及び加熱調理終了・停止後の所定条件(調理室内温度、ターボファン22の慣性による回転動作中等)の場合は、ロックがかかり調理室扉7を開けることはできない。
また、調理室11は調理室扉7のスライドによる開閉を検知する図示しない開閉検知手段を備えており、調理室扉7が開いている状態では、操作部6の操作をおこなっても調理動作はおこなわれず表示部9に前面扉7が開いているため加熱調理がおこなえないこと、調理室扉7を閉めるよう報知される。開閉検知手段はたとえば磁気的検知手段により調理室扉7内に磁石が内蔵されスライドして閉じた時に本体側の磁気検知手段が調理室扉の磁気を検知して調理室扉7が閉まっていることを検知する。但し、この検知手段は一例であり、光・超音波・電波等の反射や遮断を検知する非接触の検知手段やメカニカルスイッチ等の接触式・機械式の検知手段を用いてもよく、調理室扉7の開閉が検知できる手段を備えていれば検知手段によらず同様の効果は得られる。
また、加熱調理動作中にロック機構が損傷する等で誤って前面扉7が開いてしまった場合は、調理動作中の加熱手段、送風手段の動作が停止され、扉部開口からの輻射や熱風の漏れを抑制する。
【0024】
図6は、調理室11の調理室上面25、上方加熱手段24、調理室扉7に付帯する部品、スライドレールカバー42を取り外した斜視図である。
調理室11の背面の調理室吸込口12の下方に複数の調理室吹出口28が設けられ、調理室吸込口12から吸引された空気の多くは循環気流加熱手段23で加熱され、調理に適した温度となり吹出される。
調理室吹出口28は本実施の形態1においては概同一形状の長方形を5つ並べて構成しているが、形状・数はこれに限るものではなく、受皿27空間の気流の分布や各受皿流出口30の流出量の制御するため形状や数を変更して調整することで良好な調理効果を得ることができる場合もありこれに限るものではない。
【0025】
調理室11背面の調理室吸込口12の上方には、受皿ガイド39が設けられており、受皿27が収納された状態においては、その上面が一部重なるように収納される。
【0026】
調理室11の側面にはスライドレール固定側37が取付けられており、その背面側端は調理室11背面の開口より突出している。調理室11背面から突出したスライドレール固定側は、通常使用状態においては、
図4および
図5に示すようにスライドレールカバー42で覆われており、調理室11背面の貫通用の開口とスライドレールカバー42内は連通しているが、調理室11の気密性は概ね確保される。
【0027】
調理室11の内面には温度センサ32が設けられ、調理室11内の温度を検知可能としている。温度センサ32は白金測温抵抗体・サーミスタ・熱電対等が用いられる。温度センサは必要に応じて複数設けてもよく、配置も壁面に限らず必要に応じて天面や底面、受皿27や調理台26に設けてもよい。また、被加熱物から放射される赤外線量を検知して被加熱物の表面温度を検知する被接触式の温度センサ32を備えてもよい。これらの温度センサ32の出力は基板ケースユニット17内の電子回路基板に実装される制御手段により、操作部6により表示部9に示される調理メニューや加熱条件の設定に従い調理ソフトにより制御され、調理室11内や被加熱物の温度に応じて上方加熱手段24、循環気流加熱手段23、電動機21等の出力や動作がコントロールされる。
【0028】
図7は、調理室11の調理室上面25、上方加熱手段24、調理室扉7に付帯する部品、スライドレールカバー42を取り外した状態を示す背面側斜視図である。
調理室11の背面にはファンケーシング20が設けられ、その背面には、電動機21が配置され電動機21の回転軸にはファンケース20内のターボファン22が取付けられ加熱調時は基板ケースユニット17内の制御手段により回転有無や回転数等が制御される。電動機21は誘導モーターやDCモーターが用いられる。電動機21はその仕様に応じて動作環境と回転軸軸受け寿命との兼ね合い等から必要に応じて冷却され、電動機21の回転軸に冷却用のファンを設けるなどされる。また、ファンケーシング20の背面には、調理室排気風路10が設けられ、ファンケーシング20内部と連通しており、調理室11内から吸引した空気の一部を排気して調理室11内の空気を換気して、調理室11内の空気に加熱調理に伴う煙や臭気成分の滞留を軽減して煙や臭気成分が被加熱物である食材に付着するのを抑制して調理の仕上がり食味を良好としている。
【0029】
ファンケーシング20の左右側面を貫通するように、循環気流加熱手段23が設けられ、ファンケーシング20の外側には動作させるための端子部が設けられ、基板ケースユニット17内の基板に配線され制御手段により加熱の有無や加熱量が制御される。
【0030】
図8は、ファンケーシング20と付帯部品を示す斜視図である。
ファンケーシング20内には、取付けられた電動機21の回転軸に取付けられた送風手段としてのターボファン22が回転自在に収納され、電動機21が動作により回転して遠心ファンの作用により調理室吸込口12から吸引された気流はターボファン22外周側へ送出される。
本実施の形態においてはターボファン22を用いて空気を吸引・送出しているが、調理室吸込口12から調理室11内の空気を吸引でき、ファンケーシング20内に送出できればこれに限るものではなく、ラジアルファンやシロッコファン等の遠心ファンやファンケーシング20を適切な形状とすることで軸流ファンや貫流ファンを用いてもよく送風手段を限定するものではない。
【0031】
ターボファン22の下方には、調理室排気風路10との接続口が設けられており、ターボファン22送出された気流の一部は接続口から調理室排気風路10へ流入して調理室排気風路10の背面側垂直部の上端開口より排気される。排気される風量は触媒体34の圧力損失を含め調理室排気風路10の流路断面積により適切な排気風量となるよう調整され、適切な風量の排気により加熱効率が不要に低下することはなく、同時に調理室11内の換気不足による調理効果・仕上がりを損なうこともない。
【0032】
調理室排気風路10の水平部のファンケーシング20との接続口側には触媒体34が配置されている。触媒体34にはPd、Pt、Mn等の酸化触媒が添着されており、排気が通過するときに油煙や臭気成分等の物質を吸着して酸化分解をおこない排気に含まれる汚染物質の一部を浄化しており調理空間への排気の使用者の不快感を軽減している。
【0033】
ファンケーシング22の下方には両側面に渡り循環気流加熱手段23が配置され、ターボファン22から調理室吹出口28に至る気流はファンケーシング22と循環気流加熱手段23の空間か循環気流加熱手段23と調理室11背面と循環気流加熱手段23の空間のいずれかを通過して循環気流加熱手段23で加熱された直後に調理室吹出口28より送出され、循環気流加熱手段23加熱後の経路を短くして調理室11内側へ戻すことで熱ロスを低減して循環気流を送出することで加熱効率を高め省エネルギーとしている。
【0034】
循環気流加熱手段23はガラス管ヒータ、シーズヒータ、セラミックヒータ等が用いられる。昇温速度の速い石英管ヒータ、ハロゲンランプヒータ、カーボンヒータ等のガラス管ヒータを用いることにより調理時間を短縮することができる。
循環気流加熱手段23の背面側には触媒体34が配置され、触媒体34は通過する排気の熱に加えて循環気流加熱手段23からの輻射により加熱されることでより高い温度となり、反応速度が速くなり触媒活性が高まり排気の浄化をより高めている。
【0035】
次に、
図3および
図9〜
図10を用いて調理室11に収容される各部材について説明する。
図9は、調理室扉7と付帯部品を調理室11から引き出して取り外した状態を示す斜視図である。
図10は、調理室扉7側に保持される部品を示す分解斜視図である。
まず、調理室扉7の構成について説明する。調理室扉7は一定の断熱がなされおり、加熱調理中に取手部等を触るなどしても使用者が火傷をすることはない。なお、調理室扉7には透過部を設け調理室11内を目視できるようにしてもよい。調理室扉7はスライドレール移動側38に着脱自在に係合されており、調理室扉7を取り外して洗浄等のメンテナンスが容易におこなえる構造としている。調理室扉7の調理室11側の外周部には、気密部材33が配置され、調理室扉7が閉められた状態では、調理室11前面開口部の外周に気密部材33接触して調理室扉7との隙間からの調理室11内からの空気に漏れを抑制する。
【0036】
スライドレール移動側38は前述したスライドレール固定側37にスライド自在に固定され、調理室扉7の開閉は、調理室扉7や付帯する保持部31、受皿下部36、受皿27、受皿保護部材40、調理台26を支持しながらスライドしてスライドレール移動側38がスライドレール固定側37を移動することで行う。
使用者が通常使用している場合は、ストッパー(図示せず)によりスライドレール移動側38がスライドレール固定側37から外れることはなく、使用者が調理室扉7を引きだした場合は所定の位置までスライド移動して所定の位置以上のスライドはせず、引き抜ける等の危険な状態にはならない。左右のスライドレール移動側38の間には保持部31が設けられており、受皿27、受皿下部36をガタツキ少なく保持している。保持部31は背面側に垂直面を有するが、受皿下部36の受皿流入口29と調理室吹出口28の接続を妨げない位置・寸法形状としている。
【0037】
スライドレール移動側38の背面側の端部には、磁石41が締結部材により固定されている。また、調理室11の背面にも磁石41がU字型部材を介してスライドレール固定側37の先端に締結部材で固定されている。調理室扉7が閉じた状態において磁石41は調理室11外に配置された固定された磁石41と対向して、接触せず磁力の働く位置となり、スライドレール移動側38は調理室扉7が閉方向に付勢される。
なお、本実施の形態においては、磁石41はU字型部材を介してスライドレール固定側37の先端に固定され、調理室扉7が閉じた状態においては、スライドレール移動側38に取付けられた磁石41と対向する位置に接触せず・引力が働く位置に配置され、磁石41間に磁力による引力が発生することで、スライドレール移動側38は引き込まれ付勢されているが、移動側と固定側の磁石41の取付・配置は一例であり、これに限るものではない。磁石の斥力を使用してスライドレール移動側38を押込むよう付勢するようにスライドレール移動側38の磁石41をより背面側に配置することや、磁石により直接的に受皿下部36に引力を与え付勢するなどしてもよい。
また、付勢手段は磁力以外でもよく,バネ等の弾性体に扉を開方向へ動作させた際に弾性体を変形させ,収納時はその弾性力で受皿流入口29を調理室吹出口28を接触方向へ付勢してもよい。
調理室吹出口28に受皿流入口29が押し当てられ接続される構成・配置であれば他の構成・配置でも同等の効果は得られる。
【0038】
次に、調理室扉7の保持部材31上に保持される各部材について説明する。
図8に示すようにスライドレール移動側38の間の保持部31には、調理台26と受皿27と受皿下部36とが保持されている。受皿27は受皿保護材40で概ね覆われており、受皿保護部材40を介して調理台26が受皿27にて支持され、調理台26に載置される被加熱物も含め調理室扉7と一体的にスライドして所定範囲が調理室11の外部に延出される。これによって被加熱物の載置や搬出、調理台26・受皿27内の保持物の着脱を容易として調理の作業性、清掃性・メンテナンス性を高めている。
調理室扉7が閉じた状態においては、受皿27の上面外周と調理室11背面の受皿ガイド39は上下方向で重なった状態で収納される。閉方向への移動・動作において、受皿ガイド部39は受皿27上面に装着される受皿保護材40の背面側端部と接触し、背面側への移動・動作を止めて受皿保護材40を変形させながら受皿ガイド部39で留めるように作用して調理室11背面27と受皿の間に受皿保護材40が挟まることを抑制して調理室流出口30と受皿流入口29が確実に接合するようにしている。
【0039】
調理台26は上面が載置面となっており、被加熱物が載置される。後述する受皿流出口30からの噴流の多くを被加熱物の下面に直接接触させ効率良く伝熱できるように載置面は高い開口率となっており、たとえば
図8に示すように網状に形成される。また、調理台26の脚部は受皿流出口30からの噴流を妨げない形状・配置となるよう、受皿流出口30の上方に係らない形状・配置としている。
【0040】
受皿保護部材40は、使用者が必要に応じて任意に受皿27の上面に装着するもので、調理台26に載置される被加熱物から滴下する油分や汁気を受け止め、調理後に受皿保護材40を剥がして廃棄することで受皿27の汚れを抑制し清掃を簡易におこなえるようにすることで清掃性・メンテナンス性を高めている。調理台脚部44が受皿保護部材40の外周を押さえることで受皿保護材40の受皿27からの浮き・剥がれを抑制している。
受皿保護材40はたとえばアルミホイル等の耐熱性のある薄膜で容易に使用者が加工をおこなえる材質からなり、受皿27上面の形状に馴染ませて装着・脱着できる。受皿保護材40は受皿流出口30と対向する位置には受皿流出口30からの噴流を妨げないように開口されている。なお開口方法については後述する。なお、温度センサ32は、加熱調理時の温度の変化より、受皿保護材40に受皿流出口30と連通する開口部が設けられていない等の異常を検知する開口検知手段としても用いられる。
【0041】
受皿27は、一番外周の外周面と、外周面の内側に外周面より1段下がって形成され、調理台26の調理台脚部44を支持する支持面と、支持面よりも内側にさらに1段下がって形成され、複数の受皿流出口30が形成された噴出面を有する噴出面とからなる3段構造となっている。
噴出面に形成されている受皿流出口30は噴流を噴出すノズルとして機能し、調理台26に載置された被加熱物に下方より噴流を噴出して、衝突噴流熱伝達により効率良く噴流の熱を被加熱物に熱伝達する。なお受皿保護部材40の外周を押さえる調理台脚部44が受皿流出口30と重なって配置されることはなく、気流の噴き出しを妨げることはない。
また受皿流出口30は開口周縁部が支持面方向に突出して形成されている。これによって、受皿保護部材40を装着しない場合、開口周縁部は受皿27上面に被加熱物から滴下した油脂や汁気を受皿下部36に流下することを抑制するとともに、整流をおこない良好な噴流を形成に寄与している。また、受皿保護材40を装着した状態においては、加熱物から滴下した油脂や汁気は受皿保護材40の撓みにより形成される凹部に支持されるが、受皿保護材40は支持面と開口周縁部の上端とで係止され、噴出面とは間隔を設けて支持される。この間隔が断熱層として作用して、受皿27内部を通過する高温の気体からの伝熱を抑制して、油脂や汁気が加熱され煙や臭気成分の発生を抑制する。
【0042】
受皿下部36の底面には受皿底面凹部45が形成されている。受皿底面凹部45は、受皿流出口30と対向する位置に形成され、受皿流出口30から入った被加熱物から滴下された油分や汁気を収容することで、受皿流入口29から流入する高温の気流が直接接触しないようにして、加熱・揮発を抑制する役割を果たしている。また、受皿下部36の外周面の前側端は下方への突出面が設けられ凹部縦面とで係合部を形成し、支持部31の前面側の縦面とガタツキ少なく係合される。
受皿27の支持面の外周縦面は、受皿下部36底面の外周縦面に気密性良く嵌合・挿入される。挿入された状態では受皿27上面外周の下面と受皿下部36外周の上面は概ね面接触となり、外周縦面間の嵌合との2面で気密性を高めている。同時に、受皿27は受皿流出口30が設けられる上面と受皿下部36を分離できることで清掃性・メンテナンス性が向上しており、受皿流出口30から加熱調理時に被加熱物から油分や汁気が滴下したて受皿流出口30より受皿下部36上に落下した場合も、受皿下部36の清掃性を容易としており、メンテナンス性が向上している。
【0043】
受皿下部36の背面側には受皿流入口29が形成され、受皿流入口29は調理室吹出口28と概気密に接続され、加熱された空気は受皿流入口29より受皿27内に流入する。受皿下部36の受皿流入口29と調理室11背面の調理室吹出口28は、対向する位置にほぼ同形状に設けられ、調理室扉7が閉じた状態(加熱調理がおこなわれる状態)においては気密性良く面接触されにより接続され、ファンケーシング20からの加熱空気を漏れ少なく受皿27空間内に流入させる。調理室扉7が開く場合はスライドレール移動側38の移動により調理室扉7に動作に付帯して移動し、受皿流入口29と調理室吹出口28の接続は解除される。
受皿流入口29と調理室吹出口28の面接触は、磁力により受皿流入口29面が調理室吹出口28に接触する方向に付勢されることでおこなわれる。これは、スライドレール移動側37の背面側に締結部材で固定された磁石41が、調理室11外のスライドレールカバー42内に固定された磁石41に近接すると磁力により引力が生じて閉じる方向に引き込まれ、スライドレール移動側38に保持される受皿下部36も一体的に引き込まれ調理室背面の調理室吹出口28と接続される。このとき、調理室扉7の調理室11内側の気密部材33も調理室11外周面と接触するが、気密部材33の弾性により受皿流入口29と調理室吹出口28の接続を阻害することはない。なお、調理室吹出口28と受皿流入口29外周間に気密性を高める部材(耐熱性シール材、フッ素ゴム・スポンジの弾性体等)を挿入してより気密性を高めてもよい。
【0044】
図11は、調理室11の受皿流出口30、スライドレール固定側37・スライドレール移動側38部分高さの上面断面図を示す。
受皿流出口30は、受皿流入口29に近い側が小さく、遠い側が大きい直径の円形ノズルにより構成されている。円形ノズルの直径を受皿流入口からの距離により可変することで、ノズルからの流速をコントロールして受皿流出口30に係止される受皿保護材40の剥離を抑制するとともに、受皿27上に載置される被加熱物の加熱ムラを軽減して良好な調理効果・仕上がりを得ている。
【0045】
次に、
図12〜
図13を用いて受皿保護材40を開口する方法について説明する。
図12は受皿保護材40の加工時を示す分解斜視図である。
図13は受皿保護材40の加工時を示す側面断面図である。
受皿保護材40はアルミホイル等の耐熱性のシート状の素材でロール状に巻かれ市販され、加熱調理においては入手性良く汎用的に用いられる。
図10では受皿保護材40を所定の大きさで切り出したシートの状態を示しているが、使用者が受皿保護材を入手した状態では、受皿流出口30と連通する穴等は加工されていない可能性が高い。これは、加工済みの専用の保護材等を消耗品として使用者へ供給しても良いが、入手性や使用者の費用負担を勘案すると汎用品を用いる方が入手性良く安価であるためである。
そこで本実施の形態では、受皿保護材40の開口を簡単に行うために、受皿27および受皿下部36の挟み込みにより開口を形成する。具体的には、受皿27上面の上方より、受皿保護材40を装着して、保持面に受皿保護材40が密着するようにした後、上方より受皿下部36の底面が下面になるように前後方向の向きを合わせて受皿27上面に押し当てることで、受皿流出口30の部分に連通する開口が形成される。受皿27上面に受皿保護材40を装着して、受皿下部36を上方より押し当てた状態においては、受皿下部36の受皿底面凸部46が受皿流出口30に挿入され、受皿保護材40に穴が加工されるとともに、受皿流出口30の先端内周面に受皿保護材40が密着し係止される。
【0046】
次に、
図14〜
図18を用いて、本実施の形態に係る受け皿の構成の変形例を説明する。
図14は、調理室扉7と付帯部品を調理室11から引き出して取り外した状態を示す斜視図である。
図15は、調理室扉7側に保持される部品を示す分解斜視図である。
受皿37上面の受皿流出口30の流路断面形状は位置によらずほぼ同じであり、受皿保護材40の受皿流出口30と連通する開口も同様に位置によらず同じとなっている。
【0047】
受皿下部36の底面は、前側が高くなる、言い換えると受皿27の流出面と受皿下部36の底面との間の間隔が受皿流入口29から遠くなるほど狭く構成されている。底面に設けられた受皿底面凹部45の大きさは上方の受皿流出口30からの油分・汁気の流入に相応の大きさで、十分に油分や汁気を収容できる。
【0048】
図16は受皿保護材40の加工時を示す分解斜視図である。
受皿保護材40を受皿27上面に装着して受皿下部36を上方から押し当てて開口を形成するのは同様であるが、受皿底面凸部46は前側が高くなる面で構成されており、受皿底面凸部46が配置される面と受皿保護材40・受皿流出口30の先端が接触する角度で押し当てられる。
【0049】
図17は受皿保護材40の加工時を示す側面断面図である。
受皿27上面に受皿保護材40を装着して、受皿下部36を上方より押し当てた状態においては、受皿下部36の受皿底面凸部46が受皿流出口30に挿入され、受皿保護材40に穴が加工されるとともに、受皿流出口30の先端内周面に受皿保護材40が密着し係止される。本実施の形態においては、受皿底面凸部46が配置される面は前側が高くなる平面としているが、受皿底面凸部46が受皿流出口30に挿入される面であれば平面である必要はなく曲面でもよい。また、全ての受皿底面凸部46が同時に受皿流出口30に挿入される必要はなく、押し当てる角度を変化させながら受皿底面凸部46を順番に受皿流出口30に挿入して開口を加工してもよい。
【0050】
図18は、加熱調理器の側面断面図である。
受皿下部36の底面は背面側の一部に概水平面があり、その先に前面側の高さが高くなる面を形成しており、受皿流入口29からの流路断面を変化させることで各受皿流出口30からの流出量を制御して被加熱物の加熱ムラを軽減して良好な調理効果・仕上がりを得るとともに、前面側が高くなる面とすることで背面側から前面側に流れる気流に上方向に向か流れの成分を持たせ、受皿流出口30から上方に噴出す噴流の形成を良好として加熱効率を高めている。また、受皿流出口30内の流速も調整され、受皿流出口30の先端内面に係止される受皿保護材40の剥離・浮きを軽減している。
【0051】
受皿下部36の底面には過熱水蒸気調理をおこなうための水を貯水してもよく、使用者の選択により、過熱水蒸気を利用した加熱調理をおこなう場合に調理前に使用者が所定量の水を受皿27内に注水するものである。水を貯水しない場合は通常の加熱調理がおこなわれ、表示部9の表示に従い操作部6より使用者が選択・入力をおこない調理動作の指示をおこなう。調理動作中においては操作部6からの動作指示に応じた制御シーケンスにより温度センサ32等の検知手段により水48の有無を検知して調理制御がおこなわれる。
【0052】
受皿下部36は、背面側が低く前面側が高い面形状であるため、水は背面側に貯水される。受皿下部36の背面には受皿流入口が設けられており、循環気流加熱手段23で加熱されたばかりの高温の空気が流入することで、水の加熱・気化が促進され、過熱水蒸気による加熱が有効な被加熱物の表面温度が100℃未満である調理初期の水蒸気発生量を高めることで調理時間を短縮できるとともに、調理の中盤以降は貯水された水は蒸発して無くなり、調理室11内の排気により過剰な水蒸気は排気され通常の加熱調理となり、被加熱物の表面をパリッと香ばしく調理することができ、良好な調理効果・仕上がりを得ることができる。このように受皿を構成することで過熱水蒸気調理において良好な調理効果・仕上がりを得られる。
【0053】
次に、
図19〜
図23を用いて、本実施の形態に係る受け皿の構成の別の変形例を説明する。
図19は、調理室扉7と付帯部品を調理室11から引き出して取り外した状態を示す斜視図である。
図20は、調理室扉7側に保持される部品を示す分解斜視図である。
受皿27上面の受皿流出口30が形成された流出面は、外周面との間隔が前側ほど低くなる、言い換えると受皿27の流出面と受皿下部36の底面との間の間隔が受皿流入口29から遠くなるほど狭く構成されている。受皿流出口30の外周凸部の配置面からの高さは前側が高くなり、各凸部先端の高さ位置は概ね同一で、受皿27上面と外周平面と概ね平行となる。受皿下部36の底面は、概水平な平面で、底面に設けられた受皿底面凹部45の大きさは上方の受皿流出口30からの油分・汁気の流入に相応の大きさで、十分に油分や汁気を収容できる。
なお、本実施の形態では調理台脚部44の形状は一様であったが、
図19に示すように、調理台26には調理台脚部44の脚部間を渡す部材を設けてもよい。この部材は受皿流出口30の間に設けられ、受皿流出口30や受皿保護材40の受皿流出口30と連通する開口と重なるようなことはない。
【0054】
図21は受皿保護材40の加工時を示す分解斜視図である。
受皿保護材40を受皿27上面に装着して受皿下部36を上方から押し当てて開口を形成するのは、同様であるが、受皿底面凸部46が配置される面と、受皿保護材40、受皿流出口30の外周凸部先端が平行となる角度で押し当てられる。
【0055】
図22は受皿保護材40の加工時を示す側面断面図である。
受皿27上面に受皿保護材40を装着して、受皿下部36を上方より押し当てた状態においては、受皿下部36の受皿底面凸部46が受皿流出口30に挿入され、受皿保護材40に穴が加工されるとともに、受皿流出口30の内周面に受皿保護材40が密着し係止される。なお、
図22では受皿流出口30が配置される面は前側が低くなる平面としているが、受皿流出口30外周凸部先端の高さ位置が概同一で、受皿底面凸部46が受皿流出口30に挿入され開口が加工できれば、平面である必要はなく曲率が変化する曲面や複数の傾斜面を組み合わせた面でもよい。
【0056】
図23は、本体1の側面断面図である。
受皿27上面の受皿流出口30が形成された流出面は、外周面との間隔が前側ほど低くなるように構成されているため、受皿27の流出面と受皿下部36の底面との間隔で形成される受皿27内部空間の流路断面は前方側ほど狭くなる形状となっている。この上面の傾斜と流路断面の変化で各受皿流出口30からの噴流による加熱を調整・設定することで被加熱物下方の加熱ムラを軽減し良好な調理効果を得ている。また、この変形例では受皿流出口30配置面の形状により受皿流出口30からの噴流による加熱を調整しているが、実施の形態1のように受皿流出口30の流路断面の面積を変更することや、実施の形態2のように受皿下部36の底面の形状を変化させることを組み合わせて、各受皿流出口30からの噴流による加熱を調整・設定してもよい。また、前側が低くなる形状であれば曲面でも概ね同様な効果がえられ、各受皿流出口30からの噴流による加熱が等しくなるように傾斜や曲率を変更してもよい。
また、受皿27の上面の受皿流出口30が配置される面は前側が低くなる面で形成したことにより、受皿保護材40を装着しない場合、被加熱物から滴下した油脂・汁気は前面側へ流れ溜まることから、受皿流入口29から遠い側である前側は受皿27内部空間を流れる気流の温度や風速が低くなることなどからの油脂・汁気の加熱が軽減され油脂・汁気の気化が抑制され煙や臭気成分の発生が低減される。
【0057】
次に、本実施の形態に係る加熱調理器の調理室11内で行われる加熱動作について説明する。
使用者が操作部6を操作することにより、基板ケースユニット17内の電子回路基板からトッププレート4下方の誘導加熱コイルユニット18や調理室11の上方加熱手段24や循環気流加熱手段23や電動機21が駆動され、加熱調理がおこなわれる。調理室11における加熱調理は、表示部9の表示と操作部6の操作により、調理モード、調理メニュー、加熱条件等を選択・入力することで、調理のシーケンスが指示・設定され、それに対応した制御シーケンスが記憶手段より呼び出され調理のための各加熱手段や送風手段等の制御がおこなわれる。
【0058】
次に、魚や肉等の被調理物を調理台26に直接載置して加熱する両面焼き調理モードを例に加熱調理の制御・動作を説明する。
調理の初期においては、調理台26に載置された被加熱物の上側は、上方加熱手段24からの輻射により短時間で70℃程度まで上昇して表層部のタンパク質を凝固させ内部の水分等の揮発を抑制して内部のジューシーさを保持するように高い出力となるに制御される。
【0059】
次に、被加熱物の下側を加熱する動作について説明する。
上方加熱手段24からの伝熱により加熱された調理室11内の空気はターボファン22が電動機21の動作・回転により調理室吸込口12からファンケーシング20内へ吸引され、調理室吹出口28に至る過程に循環気流加熱手段23の周囲を通過して調理に適した温度に加熱される。加熱された空気は循環気流として調理室吹出口28から受皿27内の空間へ受皿流入口29より流入する。ターボファン22からファンケーシング20内へ送出された空気の一部は、排気風路接続口43より調理室排気風路10へ流入して、触媒体34を通過する際に空気に含まれる油煙や臭気成分の一部が吸着・分解されたのち、筐体排気口14から本体1外へ排気される。
【0060】
受皿27内の空間へ流入した循環気流は、受皿27上面に複数設けられた受皿流出口30より、調理台26下方に向けて噴き出される。受皿流出口30はノズルとして機能し、噴流を形成する。なお受皿流出口30の上端内周面には受皿保護材40が密着・係止されているが、噴流による被加熱物への衝突噴流熱伝達への影響は少なくその有無によらず同様に加熱調理はおこなわれる。
受皿流出口30より噴出された高温の噴流は、受皿27の載置部に載置された被加熱物の下方に衝突して調理室11内へ拡散しながら流れていく過程で被加熱物に衝突噴流熱伝達をおこない加熱調理をおこなった後、調理室吸込口12から再度吸引され排気される一部を除き調理室11内を循環する。
なお本実施の形態においては受皿流出口30を円形ノズルの形状としているが、適切な噴流を形成でき被加熱物に衝突噴流熱伝達をおこなえればこれに限るものではなく、スリット状のノズル等を用いてもよい。
【0061】
被加熱物の下側においても、初期においては急速に表層部の温度を上昇させてタンパク質を凝固させることは上側同様で、循環気流加熱手段23の出力は大きく調理過程では最大となり、電動機21の回転数も高く制御されターボファン22の風量が増え受皿流出口30からの噴出する流速も速まり、被加熱物下側の受熱量も多く急速に加熱・昇温する制御がなされる。
【0062】
そして初期における調理室11内の温度の変化等を温度センサ32にて検出することで、被加熱物の量や初期の温度を制御手段にて算出して調理時間等のシーケンスが設定され以降はそれに従い制御される。初期における被加熱物表側の加熱がおこなわれた後は、上方加熱手段、循環気流加熱手段とも調理室内が所定の温度で維持されるように温度センサ32の出力より比較的低い出力となるとともにon/offによる制御もおこなわれ調理室内の余熱による調理もおこなわれる。電動機21においても食材内の水分等の揮発を抑制するため比較的低い回転数に制御されるとともに、必要に応じて回転は停止される。
また、回転数を制御して風量を変化させ受皿流出口30からの噴出し流速を変化させることで調理室11内の気流の流れを変化させ気流の淀みを移動・変化させることで抑制して調理室内の温度ムラを軽減することで焼きムラを軽減して調理効果・仕上がりの均一性を高める制御もおこなわれる。
【0063】
調理の終盤においては、上方加熱手段24の出力を高くして食材の表面に適切な(美味しそうな)焼色をつけるとともに表面の水分を揮発させパリッとさせることで、見た目も食味も良好な調理効果・仕上がりとなるよう制御される。
所定のシーケンスが完了すると加熱手段の調理動作は停止し調理室扉7のロッック解除条件が満たされると、表示部9に調理完了を報知するとともにブザーや音声による報知もおこなわれ、調理室扉7のロックが解除され開閉可能となる。
【0064】
以上のように、本実施の形態に係る加熱調理器によれば、受皿下部36の底面の内側の受皿流出口30と対向する位置に受皿底面凹部45を設けて被加熱物からの油脂や汁気を収容、保持することで、受皿流出口30から被加熱物からの油脂や汁気が入った場合も、受皿27内を流れる気流と直接的に接触しないため油脂分の過熱を抑制でき、そのため調理室11内での煙や臭気成分の発生が抑制される。これによって良好な調理効果・仕上がりと快適な調理空間・環境を得ることができる。
【0065】
また、本実施の形態では受皿流出口30と対向する位置に開口が形成された受皿保護材40を受皿27の上面に使用者が容易に装着をおこなえることから、受皿27上面に滴下する油分・汁気を受皿保護材40が受け止めることで、受皿27の上面が汚れにくく、調理後に受皿保護材40を着脱することで受皿27の清掃が簡便となり、清掃性・メンテナンス性の優れた加熱調理器を得ることができる。また、受皿27の保持面および受皿流出口30の開口周縁部の上端とで前記流出面との間に間隔を設けて受皿保護材40を支持することにより、高温になっている受皿27上面から空気層を挟んだ受皿保護材40に油分・汁気が保持されるため、保持された油分・汁気の過熱が抑制され、そのため煙や臭気成分の発生が抑制され、良好な調理効果・仕上がりが得られるとともに、良好な調理作業空間・環境が得られる加熱調理器とすることができる。
【0066】
また、受皿27を上面および底面が分離できる二つの部品から構成し、受皿下部36の底面の外側に受皿底面凸部46を設け、受皿流出口30と受皿保護材40を間に挟んで嵌め合せることで、受皿保護材40に穴を形成することができる。
また、受皿を分解できる構成としたことで受皿流出口30から受皿27内部に滴下した被加熱物からの油脂や汁気を容易に清掃でき清掃性・メンテナンスが向上して清潔性が高く長寿命の加熱調理器を得られる。また、接合部に概気密性をもたせることで組立時に接合部からの加熱された空気の漏れが少なくなり、受皿27内部の空間に流入した高温の空気のほとんどは受皿流出口30より噴出されることで加熱効率が高まり、調理時間が短縮でき高い調理能力を備えるとともに省エネで環境負荷の低い加熱調理器を得ることができる。
【0067】
また、受皿27内部の受皿下部36の受皿底面凹部45と受皿底面凸部46を重ねて形成したことにより、底面の厚さを薄くでき、材料コストが安価となり低コストの加熱調理器とすることがきる。また、受皿27の重さを軽くでき、調理や清掃時の取扱いが軽微となり、調理作業性・清掃性・メンテナンス性の優れた加熱調理器を得ることができる。また、受皿27を薄くできることから、高さ方向のスペースに余裕ができ調理室11の有効調理高さ寸法が拡大され厚みのある厚い被加熱物の加熱調理をおこなえ、調理能力の高い加熱調理器とすることができる。
【0068】
また、受皿流出口30の開口径を、受皿流入口29から近い側は小さく遠い側は大きく形成することで、受皿流入口29からの距離による流速(風量)及び衝突噴流熱伝達により伝熱量の不均一が軽減され、調理台26上の被加熱物の加熱ムラが軽減される。また、受皿流入口29に近い側の流路断面を小さくし流速を遅くしたことから、受皿流出口30の先端内周に係止される受皿保護材40の剥がれ・浮きが抑制され、受皿保護材40による油分・汁気を確実に受けとめ保持することから、良好な調理効果・仕上がりが得られるとともに、良好な調理作業空間・環境が得られる加熱調理器とすることができる。
なお実施の形態においては、受皿27上面の受皿流出口30の開口の大きさのみを変更して加熱ムラが軽減をおこなっているが、受皿流出口30の配置密度と開口の大きさの両方を場所により変更することで加熱ムラを軽減してもよい。
【0069】
また、受皿27の流出面と受皿下部36の底面との間隔が受皿流入口29から遠くなるほど狭くなるように受皿下部36の底面を受皿流入口29から遠くなるほど低く構成することで、各受皿流出口30からの流出量を適切に調整・設定でき被加熱物への伝熱量の不均一を軽減でき、被加熱物の加熱ムラが抑制され、良好な調理効果・仕上がりを得られる加熱調理器とすることができる。
また、底面の形状により受皿27内部の空間の気流に上向きの流速成分を付与でき、受皿流出口30から上方へ噴き出される噴流を良好に形成でき被加熱物への衝突噴流熱伝達を向上することができ加熱効率が向上して短時間調理ができるとともに省エネで環境負荷の低い加熱調理器とすることがきる。
また、過熱水蒸気調理に用いる水48は受皿下部36の受皿流入口29側に貯水されることから、より高温の加熱空気と接触することで効率良く気化され調理初期に多くの水蒸気を発生させることができ、良好な加熱水蒸気調理効果と短時間調理が可能な加熱調理器を得ることができる。
また、各受皿流出口30からの流速を適切にしたことにより、受皿流出口30の先端内周に係止される受皿保護材40の剥がれ・浮きが抑制され、受皿保護材40による油分・汁気を確実に受けとめ保持することから、良好な調理効果・仕上がりが得られるとともに、良好な調理作業空間・環境が得られる加熱調理器とすることができる。
【0070】
また、受皿27の流出面と受皿下部36の底面との間隔が受皿流入口29から遠くなるほど狭くなるように受皿27の流出面を受皿流入口29から遠くなるほど低く構成することで、各受皿流出口からの噴流による加熱を調整・設定され被加熱物下方の加熱ムラが軽減され良好な調理効果・仕上がりを得られる加熱調理器とすることができる。
また、受皿保護材を装着しない場合においても、受皿流入口29から遠い側に油脂・汁気が溜まることで油脂・汁気の気化が抑制され煙や臭気成分の発生が低減されることから、良好な調理作業空間・環境を提供する加熱調理器を得ることができる。
また、各受皿流出口30からの流速が適切となり、受皿流出口30の先端内周に係止される受皿保護材40の剥がれ・浮きが抑制され、受皿保護材40による油分・汁気を確実に受けとめ保持することから、良好な調理効果・仕上がりが得られるとともに、良好な調理作業空間・環境が得られる加熱調理器とすることができる。
【0071】
また、受皿の流入口は調理室の吹出口と着脱自在に接続され、受皿は調理室扉部より筐体外へ搬出可能にするとともに、受皿保護材の装着を容易にしたことから、受皿及び調理室内部のメンテンス性・清掃性を高める効果がある。
【0072】
また、調理室扉7が、スライドレール移動側37とスライドレール固定側38のスライド自在な機構により開閉し、受皿27は調理室扉7とともにスライドレール移動側37と一体的に移動して、調理室扉7が開いた状態において、受皿27の少なくとも一部は調理室11外へ引き出され、調理室扉7が閉じた状態では、調理室吹出口28と受皿流入口29は概気密に接合されるとともに、調理室11背面の受皿ガイド39と重なるように受皿27は収納されることから、調理室扉7の開閉と調理室吹出口28と受皿流入口29の着脱が連動され、使用者が調理をおこなうためにダクト等の風路の接続をする必要なく接続ミス等もおこりにくく容易に確実に衝突噴流熱伝達を利用した調理がおこなえるとともに、調理室扉7が開いた状態においては、受皿27を調理室吹出口28から取り外すことや直接調理室11内から引き出す必要がなく、調理室11外へ引き出された状態から容易に取り外してシンク等の清掃場所へ移動して、受皿27で受け止めた油脂や汁気の清掃をおこなえることから、調理操作が容易で信頼性が高く、清掃性・メンテナンス性に優れた加熱調理器とすることができる。
また、収納時に受皿ガイド39により受皿保護材40が調理室吹出口28と受皿流入口29の間に挟まり気密性を下げることを抑制できることから、接合部での加熱された空気の漏れが抑制され、加熱効率が高まり、調理時間が短縮でき高い調理能力を備えるとともに省エネで環境負荷の低い加熱調理器を得ることができる。
【0073】
また、スライドレールカバー42内の固定された磁石41とスライドレール移動側38に固定された磁石41の間に働く磁力により、調理室吹出口28へ受皿流入口29を接合方向へ付勢したことにより、調理室吹出口28へ受皿流入口29の接合部の気密性が高まりターボファン22から送出され循環気流加熱手段23で加熱された空気が漏れ少なく、受皿27内部の空間に流入して受皿流出口30より噴出されることで加熱効率が高まり、調理時間が短縮でき高い調理能力を備えるとともに省エネで環境負荷の低い加熱調理器を得ることができる。また、接合方向への付勢により、閉方向動作時に受皿ガイド39が受皿保護材40に接触して受皿保護材40を変形させながら収納する際の使用者の閉方向への動作負荷が軽減され、容易に確実に収納されるとともに、調理室吹出口28へ受皿流入口29の接合が確実に行われ、操作性に優れるとともに加熱効率に優れた加熱調理器を得ることができる。
【0074】
また、操作部6と表示部9を設け、受皿保護材40の開口の有無を検知する検知手段の一つとして温度センサ32を用い、操作部6からの動作指示を出した場合に受皿保護材40の開口の検知により受皿保護材40が開口されていなければ加熱調理をおこなわず、受皿保護材40に開口部を設けるよう表示部9への表示や音声等による報知を行うので、意図しない調理をおこなわず確実に加熱調理がおこなえとともに、循環気流加熱手段23や電動機21・ターボファン22等の送風手段に過度の負担がかからず、適切な調理がおこなえるとともに、安全性が高く長寿命の加熱調理器を得ることができる。
【0075】
また、被加熱物を受皿流出口30から噴出される衝突噴流の熱伝達により加熱するので加熱効率が高く短時間調理ができエネルギー効率が高まる。また、被加熱物からの油脂や汁気を調理室11底面に落下するのを受皿27で防止するとともに、受皿27を調理室11外へ搬出できることから、調理室11底面の防汚性が高まり、受皿の清掃性・メンテナンス性が高まるので、省エネで調理能力が高く清潔で長寿命な環境負荷の低い加熱調理を得ることができる。
【0076】
また、調理台26の調理台脚部44を受皿流出口30間の重ならない位置に配置して、受皿保護材40を受皿27と調理台26の間に配置したことにより、少なくとも受皿保護材40の外周近傍の一部を押さえられることで、受皿保護材40の全体の浮きを押さえるとともに、受皿流出口30間を押さえることで、受皿流出口30の先端内周に係止される受皿保護材40の浮き・剥がれを抑制するとともに、受皿流出口30の先端から浮き・剥がれが生じた場合でも、受皿保護材40の浮きを場所近傍のみとすることができ、受皿保護材40による油分・汁気を確実に受けとめ保持することから、良好な調理効果・仕上がりが得られるとともに、良好な調理作業空間・環境が得られる加熱調理器とすることができる。
【0077】
また、被加熱物の下方に加熱手段を配置しないので、被加熱物からの油脂分が下方加熱手段に接触することがなく、また受皿に溜まった油脂分も下方加熱手段に直接加熱されることがないので、発煙・発火を軽減することができ、良好な調理効果・仕上がりが得られるとともに高い安全性を得ることができ、製品寿命を長くする効果がある。
また、被加熱物の下方に加熱手段を設置するスペースを必要としないので、高さ方向のスペースに余裕ができ調理室11の有効調理高さ寸法が拡大され厚みのある厚い被加熱物の加熱調理をおこなえ、調理能力の高い加熱調理器とすることができる。
また、調理室11下方に加熱手段が無いことから、調理室11内の下方壁面・底面の清掃時に加熱手段が障害となることがないとともに、下方に加熱手段が無いことで調理室11内のスペースに余裕ができ、容易に手を挿入して清掃できることから、清掃性・メンテナンス性の良好で清潔性が高く長寿命な加熱調理器とすることができる。