特許第6012281号(P6012281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012281
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】脱泡方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 19/00 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   B01D19/00 101
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-134901(P2012-134901)
(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公開番号】特開2013-255907(P2013-255907A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】391021330
【氏名又は名称】株式会社荒井鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100066061
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100143340
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 美良
(74)【代理人】
【識別番号】100177437
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 英子
(72)【発明者】
【氏名】荒井 孝一
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−033924(JP,A)
【文献】 特開昭58−214307(JP,A)
【文献】 特開2011−074373(JP,A)
【文献】 特表2010−534127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 19/00−02
C02F 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含泡液体を多数の丸孔や長孔などの小孔を有する壁面に向けて加圧移送させる移送処理工程と、前記壁面の小孔内で気泡を集合拡大させる気泡拡大工程と、前記壁面の小孔を通過した含泡液体を減圧容器内で気泡を吸引排気する脱気吸排処理工程と、脱泡処理された液体を取り出す取出工程とより成り、前記気泡拡大工程の前段に壁面表面を摺動する気泡引掻処理工程及び裏ごし貯溜工程を設けて成ることを特徴とする脱泡方法。
【請求項2】
含泡液体を加圧送給する含泡液体供給機構と、多数の丸孔や長孔などの小孔を穿った気泡拡大機能を備えた脱気処理機構と、含泡液体中の気泡を吸引排気する減圧容器機構と、脱泡液体を吸引移送する液体移送機構とより成り、前記脱気処理機構の壁面には表面を引掻する気泡処理機構及び裏ごし貯溜機構を介装して成ることを特徴とする脱泡装置。
【請求項3】
脱気処理機構は、板厚0.3mm〜10mmの平面板に多数の丸孔又は長孔などの小孔を有する筒状の脱気拡大エレメントであって、通過する液体中の気泡を集合合体させて増大できるようにして成ることを特徴とする請求項2記載の脱泡装置。
【請求項4】
脱気処理機構は、両端を開口した円筒状,円錐状のうちの一つの構成を備えたことを特徴とする請求項2または3記載の脱泡装置。
【請求項5】
脱気処理機構の脱気拡大エレメントは、小孔表面を引掻摺動するスクレーパ片を配設して成ることを特徴とする請求項3または4記載の脱泡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルク、豆乳、果汁などの各種食品、健康補助食品又は栄養剤、ドリンク剤等の医薬品或は、美顔液、洗髪料等の化粧品、更には塗料、バッテリーペースト、その他高分子樹脂等の粘性のある液状体を含む種々の液状体中に混在する気泡を排除する脱泡方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体状の各種食品、化成品、医薬品等の製造過程における気泡の混入は製品の容量の誤差、品質低下、劣化等の多くの弊害を伴い、製造過程中に気体を除去する消気、脱気等の処理工程が組み込まれている。
【0003】
上記液体製品の製造過程に混入ないし発生する気泡は、有効に排除するもので、数多くの構成、装置が知られている。
【0004】
例えば、サイクロンないし遠心分離方式と呼ばれる脱泡装置や方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−27012号公報
【特許文献1】特開平10−43293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1,2は、いずれも含泡液体を容器内へ導入するに際し、円周方向に旋回させてその旋回流通路に塞板として網板を配設して気泡を分離させていたり、中央に設けた円筒状の濾過体を配設して気泡を分離させて液体分と分離させて脱泡しており、単に網の目や濾過体の目の大きさによって脱気分が規制されるという問題は避けられない。
【0007】
本発明は、叙上の点に着目して成されたもので、単に網とか濾過体の目ではなく、多数の丸孔や長孔などの小孔を備えたエレメントを配設して、多数の丸孔や長孔などの小孔での含泡液体の通過時に気体を合体,拡大させて気泡の大きさを拡大させて通過時の減圧吸気手段によって効率よく脱気できるようにした新規な脱泡方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は下記の構成を備えることにより上記課題を解決できるものである。
【0009】
(1)含泡液体を多数の丸孔や長孔などの小孔を有する壁面に向けて加圧移送させる移送処理工程と、前記壁面の小孔内で気泡を集合拡大させる気泡拡大工程と、前記壁面の小孔を通過した含泡液体を減圧容器内で気泡を吸引排気する脱気吸排処理工程と、脱泡処理された液体を取り出す取出工程とより成り、前記気泡拡大工程の前段に壁面表面を摺動する気泡引掻処理工程及び裏ごし貯溜工程を設けて成ることを特徴とする脱泡方法。
【0010】
(2)含泡液体を加圧送給する含泡液体供給機構と、多数の丸孔や長孔などの小孔を穿った気泡拡大機能を備えた脱気処理機構と、含泡液体中の気泡を吸引排気する減圧容器機構と、脱泡液体を吸引移送する液体移送機構とより成り、前記脱気処理機構の壁面には表面を引掻する気泡処理機構及び裏ごし貯溜機構を介装して成ることを特徴とする脱泡装置。
【0011】
(3)脱気処理機構は、板厚0.3mm〜10mmの平面板に多数の丸孔又は長孔などの小孔を有する筒状の脱気拡大エレメントであって、通過する液体中の気泡を集合合体させて増大できるようにして成ることを特徴とする前記(2)記載の脱泡装置。
【0012】
(4)脱気処理機構は、両端を開口した円筒状,円錐状のうちの一つの構成を備えたことを特徴とする前記(2)または(3)記載の脱泡装置。
【0013】
(5)脱気処理機構の脱気拡大エレメントは、小孔表面を引掻摺動するスクレーパ片を配設して成ることを特徴とする前記(3)または(4)記載の脱泡装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各種液体中の気泡は、液体の種類や粘度の大きさによって、中々脱気できないが、多数の丸孔や長孔などの小孔を通過させることにより、液体中の気泡は重なり重合拡大して通過できると共に、気泡の拡大が促進され、減圧環境によって上方への気化作用が速まり、液中の気泡分は急速に気化排気される。
【0015】
脱気拡大エレメントは円筒状、円錐状等を呈し、含泡液体を内−外又は外−内の異なるタイプの移送に形成でき、含泡液体の種類に応じていずれかのタイプのものを利用でき、更にスクレーパ片を設けることに小孔表面を引掻摺接させて気泡の小孔への押入ないし大きな気泡の分割裁断により気泡の小形化を促して小孔への進入を有効に行わせることができるなどの効果を奏すると共に、併せて濾過処理が行えて裏ごし作用も奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る脱泡装置の基本的構成である外−内タイプの一例を示す縦断説明図
図2図1のII−II線断面図
図3】本発明に係る脱泡装置の基本的構成である内−外タイプの一例を示す縦断説明図
図4図3のIV−IV線断面図
図5】本発明の脱泡装置に用いられる脱気拡大エレメントの斜面図で、(a)は丸孔、(b)は長孔構成を示す。
図6図5の脱気拡大エレメントの丸孔ないし長孔構成を示す小孔の一部の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0018】
図1及び図2に本発明の代表的な外−内タイプの脱泡装置の一実施例を示す。
【0019】
1は、含泡液体をポンプ等で加圧供給できる含泡液体供給機構を示し、好みの供給圧を以って含泡液体を供給できる。
【0020】
2は、前記含泡液体供給機構1の後段に接続される脱気処理機構を示し、筒状の脱気拡大エレメント3を備える。この脱気拡大エレメント3は、好みの金属ないしは硬質合成樹脂材料の板厚0.3mm〜10mmの平面板にレーザ加工で多数の丸孔ないし、長孔などの小孔4を穿ち、円筒状に曲折加工を施して形成するのが一般的であるが、引抜き鋼管による加工製作など、その製作加工は好みの方法で差し支えない。
【0021】
したがって、小孔4の長さは0.3mm〜10mmとなり含泡液体の粘調度合に応じて、板厚の大きさを決定できる。但し、板厚の大きさは上記数値には限定されない。そして、上下部分が同一径の正円筒体とするか又は上下部分の径を異にした切截した円錐状に形成することも可能である。
【0022】
5は、前記脱気処理機構2の脱気拡大エレメント3を配設した減圧容器機構であって、上部には減圧機能を有する減圧ポンプ6を配設すると共に、脱気拡大エレメント3の下側には脱気された液体を移送する移送機構7を接続してある。
【0023】
8は、前記含泡液体供給機構1内において、脱気処理機構2の脱気拡大エレメント3の外周を摺動する気泡処理機構であって、具体的にはスクレーパ片9を備え、円筒状の脱気拡大エレメント3の外周面を回転して小孔4の周面に臨まれる液体中の気泡を小孔4に押入させたり、液体中の大きな気泡を細分化して小孔4への押入を効率的に行わせることができるように働く。なお、図示ではスクレーパ片9が直状形状であるが、円弧状ないしスパイラル状など好みの長さで屈曲させて形成することもできる。
【0024】
10は、前記スクレーパ片9を支持する枠、11はこの枠10を回転させるための中空状の回転軸、12はこの回転軸11の端部を設けた大歯車、13に前記大歯車12と噛合する小歯車を示し、モータ14により駆動させることができる。15は、中空状の回転軸11に配設されるベアリングを示す。16は減圧容器機構5の上端を構成する蓋部で、中央に導気管部17を備え、前記ベアリング15を配設してある。
【0025】
叙上の構成に基づいて作用を説明する。
【0026】
予め製出又は製造過程中の所望の含泡液体を、ポンプ等の加圧手段を用いて含泡液体供給機構1に供給し、次段の脱気処理機構2に向けて供給する。
【0027】
この脱気処理機構2の脱気拡大エレメント3には、その外周にスクレーパ片9を配設し、モータ14により回転作用が与えられているので、脱気拡大エレメント3の外周面、即ち小孔4の開口側はスクレーパ片9によって摺動され、これにより、液体中の気泡は液体と共に小孔4内に強制的に押入されると共に、スクレーパ片9の回転作用により、小孔4を通過し難い液体中の大きな気泡は、截断されて小形化され同様に小孔4に押入される。
【0028】
そして、小孔4内に押入された気泡は、他の気泡と合体し、小孔4の流通中に拡大し、減圧容器機構5内に入るや否や液体と遊離して上方に気化して脱気拡大エレメント3の内周面より速やかに脱気処理される。
【0029】
脱気された液体は、減圧容器機構5内に貯溜して、次段の液体の移送機構7より脱気処理された好みの液体を得ることができる。
【0030】
なお、図において、符号18は、脱気処理機構2に入る前の含泡液体供給機構1に設けた小孔4で除去された固形分などを収容する裏ごし貯溜部、19は含泡液体導入部を示す。
【0031】
次に、図3及び図4において、本発明に係る他の代表的な内−外タイプの脱泡装置の実施例を示す。
【0032】
なお、図1及び図2と同一の構成については同一の符号を符し、説明の詳細は省く。
【0033】
基本的に含泡液体供給機構1、脱気処理機構2、減圧容器機構5及び液体移送機構7は図1及び図2と同一である。
【0034】
両者の相違点は、脱気拡大エレメント3に対する含泡液体の流通が図1及び図2の小孔4の作用機構が外−内から内−外へ流通している点であり、それ以外はすべて同一の構成作用である。また、回転軸11aは中空状でなく通常の構造を示している。
【0035】
次に、スクレーパ片9aは、脱気拡大エレメント3の内周面を摺動しているので、このスクレーパ片9aを支持回転する枠10aは、脱気拡大エレメント3の中心軸上に設けた回転軸11aの上下に一対に設けて、スクレーパ片9aの上下を固定させてある。スクレーパ片9aの形状,構成は図1及び図2と同一であって異なる処はない。
【0036】
なお、図示しないが図1図2の構成と図3図4のスクレーパ片9,9aは上下方向の幅員を大きくしたり、捻回したスパイラル羽根状として含泡液体全体を旋回流動させて、小孔4への含泡液体を有効かつ高速に流通させることもできる。
【0037】
更に、図示では装置全体が上下方向の縦型構成で示されているが、斜め方向での構成配置も同様に実施できる。
【0038】
また、脱気拡大エレメント3は円筒状であるが、両端部分を切截した円錐状とすることも可能である。
【0039】
この種の脱泡方法及び脱泡装置は、ジュースなどの飲料,醤油,ソースなどの食品調味料,薬液などの食品用としては勿論のこと、化学薬品などの液体製品、その他化粧材料液体製品などの広範な液状製品の脱泡処理作業に広く実施できる。
【符号の説明】
【0040】
1 含泡液体供給機構
2 脱気処理機構
3 脱気拡大エレメント
4 小孔
5 減圧容器機構
6 減圧ポンプ
7 移送機構
8 気泡処理機構
9,9a スクレーパ片
10,10a 枠
11,11a 回転軸
12 大歯車
13 小歯車
14 モータ
15 ベアリング
16 蓋部
17 導気管部
18 裏ごし貯溜部
19 含泡液体導入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6