【文献】
笠井芳夫、坂井悦郎,新 セメント・コンクリート用混和材料,日本,2007年 1月15日,第115頁〜第120頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記セメント及び前記シリカフュームの合計量を基準として、前記シリカフュームを3〜30質量%含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高靱性・高強度モルタル組成物。
前記セメント及び前記シリカフュームの合計量100質量部に対して、前記水を10〜25質量部、前記減水剤を0.5〜6.0質量部含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の高靱性・高強度モルタル組成物。
前記セメント及び前記シリカフュームの合計量100質量部に対して、前記細骨材を10〜60質量部、前記無機質微粉末を10〜60質量部含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の高靱性・高強度モルタル組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既存の技術では、コンクリートの超高強度化を実現するためには、60℃を超える熱養生を必要とする場合が多いため、コンクリートの製造箇所が限定され、製造品の運搬が必要である。また、コンクリート製品の形状や大きさは、材料の流動性、型枠や養生装置の形状等により制約を受けるため、超高強度材料は施工や設計の自由度が制限される。一方、ひび割れ抑制効果を備えた高靱性セメント系材料は、現場施工が可能であるが、強度は通常のコンクリートと同程度しか得られていない。
【0006】
そこで、本発明は、施工性に優れ、かつ、60℃以下の加熱養生で早期に高い圧縮強度を発現できる高強度モルタル組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の鉱物組成及び粒度分布を有するセメントと、特定の粒度を有する細骨材及び無機質微粉末と、特定の粒度を有する瓦とを、シリカフューム、減水剤、消泡剤及び水と組み合わせることで、モルタル組成物の流動性を向上でき、かつ、60℃以下の加熱養生でモルタル組成物の強度を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、セメントと、シリカフュームと、水と、減水剤と、消泡剤と、細骨材と、無機質微粉末と、瓦と、を含む高強度モルタル組成物であって、セメントは、C
3Sを40.0〜75.0質量%及びC
3Aを2.7質量%未満含有し、かつ、45μmふるい残分が25.0質量%未満であり、細骨材と無機質微粉末とを混合したときに、その混合物は、粒径0.15mm以下の粒群を40〜80質量%、かつ、粒径0.075mm以下の粒群を30〜80質量%含有し、無機質微粉末は、石灰石粉、珪石粉及び砕石粉からなる群より選ばれる1種以上の微粉末であり、瓦は、粒径が1mm以下であり、かつ、含有量がセメント及びシリカフュームの合計量100質量部に対して1〜20質量部である、高強度モルタル組成物を提供する。このようなモルタル組成物は、施工性に優れ、かつ、60℃以下の加熱養生で早期に高い圧縮強度を発現することができる。
【0009】
無機質微粉末のブレーン比表面積が3000〜5000cm
2/gであると、高強度モルタル組成物の流動性をより一層向上できる。
【0010】
上記シリカフュームのBET比表面積が15〜25m
2/gであると、モルタル組成物の強度を更に向上することができる。そして、モルタル組成物の高い圧縮強度及び高い流動性を確保する観点から、本発明の高強度モルタル組成物は、セメント及びシリカフュームの合計量を基準として、シリカフュームを3〜30質量%含むことが好ましい。
【0011】
本発明の高強度モルタル組成物は、セメント及びシリカフュームの合計量100質量部に対して、水を10〜25質量部、減水剤を0.5〜6.0質量部含むことが好ましい。これにより、モルタル組成物の強度がより一層向上する。
【0012】
また、本発明の高強度モルタル組成物は、セメント及びシリカフュームの合計量100質量部に対して、細骨材を10〜60質量部、無機質微粉末を10〜60質量部含むことにより、流動性が更に向上し、施工性に一層優れるものとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、施工性に優れ、かつ、60℃以下の加熱養生で早期に高い圧縮強度を発現できるモルタル組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態を以下に説明する。
【0016】
本実施形態の高強度モルタル組成物は、特定の鉱物組成及び粒度分布を有するセメントと、特定の粒度を有する細骨材及び無機質微粉末と、特定の粒度を有する瓦と、シリカフューム、減水剤、消泡剤及び水とを含むものである。
【0017】
セメントの鉱物組成は、C
3S量が40.0〜75.0質量%であり、C
3A量が2.7質量%未満である。セメントのC
3S量は、好ましくは45.0〜73.0質量%、より好ましくは48.0〜70.0質量%であり、更に好ましくは50.0〜68.0質量%である。C
3A量は好ましくは2.3質量%未満であり、より好ましくは2.1質量%未満であり、更に好ましくは1.9質量%未満である。C
3S量が40.0質量%未満では圧縮強度が低くなる傾向があり、75.0質量%を超えるとセメントの焼成自体が困難となる傾向がある。また、C
3A量が2.7質量%以上では流動性が悪くなる。なお、C
3A量の下限値は特に限定されないが、0.1質量%程度である。
【0018】
また、セメントのC
2S量は好ましくは9.5〜40.0質量%、より好ましくは10.0〜35.0質量%であり、更に好ましくは12.0〜30.0質量%であり、特に好ましくは14.0〜25.0質量%である。C
4AF量は好ましくは9.0〜18.0質量%、より好ましくは10.0〜15.0質量%であり、更に好ましくは11.0〜15.0質量%であり、特に好ましくは12.0〜15.0質量%である。このようなセメントの鉱物組成の範囲であれば、モルタル組成物の高い圧縮強度及び高い流動性をより確保しやすくなる。
【0019】
また、セメントの粒度は、45μmふるい残分が、上限で25.0質量%未満であり、好ましくは20.0質量%であり、より好ましくは18.0質量%であり、更に好ましくは16.0質量%である。45μmふるい残分の下限は0.0質量%であり、好ましくは1.0質量%であり、より好ましくは2.0質量%であり、更に好ましくは3.0質量%である。セメントの粒度がこの範囲であれば、高い圧縮強度を確保でき、また、このセメントを使用して調製したモルタルスラリーは適度な粘性があるため、繊維を添加した場合には、十分な分散性が確保できる。
【0020】
セメントのブレーン比表面積は、好ましくは2500〜4800cm
2/g、より好ましくは2800〜4000cm
2/g、更に好ましくは3000〜3600cm
2/gであり、特に好ましくは3100〜3500cm
2/gである。セメントのブレーン比表面積が2500cm
2/g未満ではモルタル組成物の強度が低くなる傾向があり、4800cm
2/gを超えると低水セメント比での流動性が低下する傾向がある。
【0021】
本実施形態に係るセメントの製造にあたっては、通常のセメントと特に異なる操作を行う必要は無い。上記セメントは、石灰石、珪石、スラグ、石炭灰、建設発生土、高炉ダスト等の原料の調合を目標とする鉱物組成に応じて変え、実機キルンで焼成した後、得られたクリンカーに石膏を加えて所定の粒度に粉砕することによって製造することができる。焼成するキルンには、一般的なNSPキルンやSPキルン等を使用することができ、粉砕には一般的なボールミル等の粉砕機が使用可能である。また、必要に応じて、2種以上のセメントを混合することもできる。
【0022】
シリカフュームは、金属シリコン、フェロシリコン、電融ジルコニア等を製造する際に、発生する排ガス中のダストを集塵して得られる副産物であり、主成分は、アルカリ溶液中で溶解する非晶質のSiO
2である。シリカフュームのBET比表面積は、好ましくは15〜25m
2/g、より好ましくは16〜22m
2/g、更に好ましくは17〜21m
2/g、特に好ましくは17〜20m
2/gである。このようなシリカフュームを用いることで、モルタル組成物の高い圧縮強度及び高い流動性をより確保しやすくなる。
【0023】
本発明の高強度モルタル組成物において、セメント及びシリカフュームの合計量を基準としたシリカフューム含有量は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは10〜18質量%、特に好ましくは10〜15質量%である。また、モルタル1m
3当たりのシリカフュームの単位量は、好ましくは35〜380kg/m
3、より好ましくは58〜253kg/m
3、更に好ましくは116〜228kg/m
3、特に好ましくは145〜203kg/m
3である。シリカフュームの含有量、単位量が上記範囲であることで、モルタル組成物の高い圧縮強度及び高い流動性をより確保しやすくなる。
【0024】
減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、アミノスルホン酸系、ポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤等を使用することができる。低水セメント比での流動性確保の観点から、減水剤として、ポリカルボン酸系の減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を用いることが好ましく、ポリカルボン酸系の高性能減水剤を用いることがより好ましい。本実施形態のモルタル組成物において、セメントとシリカフュームの合計量100質量部に対して、減水剤は、好ましくは0.5〜6.0質量部、より好ましくは1.0〜4.0質量部、更に好ましくは1.8〜3.0質量部、特に好ましくは1.8〜2.5質量部である。また、モルタル1m
3当たりの減水剤の単位量は、好ましくは7〜86kg/m
3、より好ましくは13〜58kg/m
3、更に好ましくは18〜43kg/m
3、特に好ましくは23〜38kg/m
3である。
【0025】
消泡剤としては、特殊非イオン配合型界面活性剤、ポリアルキレン誘導体、疎水性シリカ、ポリエーテル系等が挙げられる。この場合、セメントとシリカフュームの合計量100質量部に対して、消泡剤を好ましくは0.01〜2.0質量部、より好ましくは0.02〜1.5質量部、更に好ましくは0.03〜1.0質量部、特に好ましくは0.04〜0.5質量部である。また、モルタル1m
3当たりの消泡剤の単位量は、好ましくは0.13〜29kg/m
3、より好ましくは0.26〜22kg/m
3、更に好ましくは0.39〜15kg/m
3、特に好ましくは0.52〜8kg/m
3である。
【0026】
細骨材としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、石灰石骨材、高炉スラグ細骨材、フェロニッケルスラグ細骨材、銅スラグ細骨材、電気炉酸化スラグ細骨材等を使用することができる。なお、細骨材の粒度は、10mmふるいを全部通り、5mmふるいを85質量%以上通過するものが好ましい。
【0027】
また、無機質微粉末としては、石灰石粉、珪石粉、砕石粉等を使用することができる。無機質微粉末は、石灰石粉、珪石粉又は砕石粉を粉砕又は分級した微粉末を含むものであり、細骨材の微粒分を補う目的で配合され、モルタル組成物の流動性を改善することができる。無機質微粉末のブレーン比表面積は3000〜5000cm
2/gであることが好ましく、3200〜4500cm
2/gであることがより好ましく、3400〜4300cm
2/gであることが更に好ましく、3600〜4300cm
2/gであることが特に好ましい。
【0028】
本実施形態に係る細骨材と無機質微粉末との混合物は、細骨材と無機質微粉末とを混合したときに得られるものであり、その混合物は、粒径0.15mm以下の粒群を40〜80質量%、好ましくは45〜80質量%、より好ましくは50〜75質量%、特に好ましくは50〜70質量%含む。また、上記混合物は、粒径0.075mm以下の粒群を30〜80質量%、好ましくは35〜70質量%、より好ましくは40〜65質量%、特に好ましくは40〜60質量%含む。粒径0.15mm以下の粒群が40質量%未満、又は、粒径0.075mm以下の粒群が30質量%未満では、モルタルスラリーの粘性が低すぎるため材料分離を生じる恐れがある。また、粒径0.15mm以下の粒群又は粒径0.075mm以下の粒群が80質量%を超えると、微粉量が多すぎて粘性が高くなり、所定のフローを出すためには水セメント比を増やす必要があるため強度低下に繋がる恐れがある。
【0029】
本実施形態の高強度モルタル組成物における瓦は、粒径が1mm以下である。これにより、一層高い圧縮強度を得ることができる。粒径が1mmを超えると、瓦自身が硬化体中の弱点箇所となり、高い圧縮強度を発現しにくくなる。より好ましい粒度は0.8mm以下であり、更に好ましくは0.6mm以下であり、特に好ましくは0.4mm以下である。また、瓦としては、粘土瓦製造時の不良品や家屋の解体時に発生する廃材である廃瓦がリサイクルの観点からも好適に使用でき、粘土を加熱して破砕したシャモットも好適に使用できる。
【0030】
瓦の含有量は、セメント及びシリカフュームの合計量100質量部に対して1〜20質量部である。瓦の含有量は、1質量部未満であると、高い圧縮強度を発現する効果が不十分となり、20質量部を超えると効果が頭打ちとなるか低下する。このため、好ましい含有量は、セメント及びシリカフュームの合計量100質量部に対して2〜10質量部であり、より好ましくは2〜6質量部であり、更に好ましくは2〜4質量部である。また、モルタル1m
3当たりの瓦の単位量は、好ましくは10〜300kg/m
3、より好ましくは20〜200kg/m
3、更に好ましくは30〜100kg/m
3、特に好ましくは30〜60kg/m
3である。瓦の単位量は、10kg/m
3未満であると、高い圧縮強度を発現する効果が不十分となりやすく、300kg/m
3を超えると効果が頭打ちとなりやすく、又は低下しやすくなる。
【0031】
セメント及びシリカフュームの合計量100質量部に対して、細骨材を10〜60質量部、無機質微粉末を10〜60質量部含むことが好ましく、細骨材を15〜50質量部、無機質微粉末を15〜50質量部含むことがより好ましく、細骨材を15〜30質量部、無機質微粉末を15〜30質量部含むことが更に好ましく、細骨材を15〜25質量部、無機質微粉末を15〜25質量部含むことが特に好ましい。また、モルタル1m
3当たりの細骨材及び無機質微粉末の単位量は、好ましくは140〜980kg/m
3、より好ましくは300〜900kg/m
3、更に好ましくは600〜900kg/m
3、特に好ましくは600〜750kg/m
3である。
【0032】
本実施形態に係るモルタル組成物は、高張力繊維を更に含むことができる。高張力繊維としては、金属繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられる。金属繊維として、鋼繊維、ステンレス繊維、アモルファス合金繊維等を使用することができる。高張力繊維の繊維径は0.05〜1.20mmが好ましく、0.08〜0.70mmがより好ましく、0.10〜0.35mmが更に好ましく、0.12〜0.20mmが特に好ましい。高張力繊維の繊維長は3〜60mmが好ましく、5〜35mmがより好ましく、7〜20mmが更に好ましく、9〜15mmが特に好ましい。高張力繊維のアスペクト比(繊維長/繊維径)は40〜250が好ましく、50〜200がより好ましく、60〜170が更に好ましく、70〜140が特に好ましい。高張力繊維の引張強度は100〜10000N/mm
2が好ましく、500〜5000N/mm
2より好ましく、2000〜3000N/mm
2が更に好ましく、1500〜2500N/mm
2が特に好ましい。高張力繊維の密度は、1〜20g/cm
3が好ましく、3〜15g/cm
3がより好ましく、5〜10g/cm
3が更に好ましく、7〜10g/cm
3が特に好ましい。このような高張力繊維を用いることで、モルタル組成物に高い靱性、高い圧縮強度、高い引張強度及び高い流動性を付与しやすくなる。
【0033】
また、本実施形態に係るモルタル組成物は、モルタル組成物に対して外割りで(すなわち、モルタル組成物における、高張力繊維を除いた組成物100体積%に対して)高張力繊維を好ましくは0.3〜5.0体積%、より好ましくは0.5〜3.0体積%、更に好ましくは1.0〜2.5体積%、特に好ましくは1.5〜2.5体積%含むことによって、高い靱性が得られる。なお、5.0体積%を超えるとモルタルの練混ぜが困難になる場合がある。また、モルタル1m
3に対する高張力繊維の配合量は、好ましくは23〜393kg、より好ましくは39〜236kg、更に好ましくは79〜196kg、特に好ましくは118〜196kgである。
【0034】
また、本実施形態に係るモルタル組成物は、セメントとシリカフュームの合計量100質量部に対して、水を好ましくは10〜25質量部、より好ましくは12〜20質量部、更に好ましくは13〜18質量部、特に好ましくは14〜17質量部含む。モルタル1m
3当たりの単位水量は、好ましくは180〜280kg/m
3、より好ましくは190〜270kg/m
3、更に好ましくは200〜250kg/m
3、特に好ましくは210〜240kg/m
3である。
【0035】
本実施形態に係るモルタル組成物には、必要に応じて、膨張材、収縮低減剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、増粘剤、ガラス繊維、有機繊維、合成樹脂粉末、ポリマーエマルジョン、ポリマーディスパージョン等を1種以上添加してもよい。
【0036】
さらに、上記本実施形態に係るモルタル組成物に、粗骨材を適量組み合わせることにより、コンクリートを調製してもよい。粗骨材の量や、水の量は、目標圧縮強度、靱性、目標スランプに応じて適時変えればよい。粗骨材としては、砂利、砕石、石灰石骨材、高炉スラグ粗骨材、電気炉酸化スラグ粗骨材等を使用することができる。また、5mmの篩いに85質量%以上留まる粗骨材がより好ましい。
【0037】
本実施形態に係るモルタル組成物の製造方法は、特に限定されないが、水及び減水剤以外の材料の一部又は全部を予め混合しておき、次に、水、減水剤を添加してミキサに入れて練り混ぜてもよい。また、繊維を配合する場合は、モルタルを製造した後にミキサに添加し、更に練り混ぜてもよい。モルタルの練混ぜに使用するミキサは特に限定されず、モルタル用ミキサ、二軸強制練りミキサ、パン型ミキサ、グラウトミキサ等を使用することができる。
【0038】
本実施形態の高強度モルタル組成物は、高強度が求められるPC梁、高耐久性パネル、ブロック耐震壁などに有効である。また、高張力繊維を添加することによって、橋梁等の鉄筋量を減らすことが可能となる。さらに、本実施形態の高強度モルタル組成物は、橋梁の補修・補強等にも有効である。
【0039】
本実施形態の高強度モルタル組成物は、60℃以下の加熱養生で早期に高い圧縮強度を発現できる。養生する際の加熱温度は、55℃以下でもよく、50℃以下でもよく、45℃以下でもよい。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0042】
[使用材料の準備]
実施例及び比較例のモルタル組成物を作製するために、以下に示す材料を準備した。
【0043】
(1)セメント(C)
石灰石、珪石、スラグ、石炭灰、建設発生土、銅ガラミ等の原料を調合し、キルンで焼成した後、石膏を加えて粉砕することによりセメントを調製した。得られたセメントの化学成分を、JIS R 5202−2010「セメントの化学分析方法」に従って測定し、鉱物組成を下記のボーグ式により算出した。得られたセメントの鉱物組成を表1に示す。
【0044】
C
3S量=(4.07×CaO)−(7.60×SiO
2)−(6.72×Al
2O
3)−(1.43×Fe
2O
3)−(2.85×SO
3)
C
2S量=(2.87×SiO
2)−(0.754×C
3S)
C
3A量=(2.65×Al
2O
3)−(1.69×Fe
2O
3)
C
4AF量=3.04×Fe
2O
3
【0045】
また、得られたセメントの45μmふるい残分をセメント協会標準試験方法 JCAS K−02「45μm網ふるいによるセメントの粉末度試験方法」に準じて、ブレーン比表面積をJIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に準じて測定した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
(2)シリカフューム(SF):BET比表面積18m
2/g
シリカフュームのBET比表面積は、JIS R 1626「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準拠し、吸着ガスとして窒素を用い、定容法により測定した吸着等温線にBET式を適用することで求めた。ここで、試料の前処理は、窒素雰囲気下において120℃で30分間加熱して行った。
【0048】
(3)細骨材(S)
砕砂:安山岩砕砂、表乾密度2.62g/cm
3、粗粒率2.80
(4)無機質微粉末(L)
石灰石微粉末、密度2.71g/cm
3、ブレーン比表面積4280cm
2/g
(5)瓦(T)
瓦チップ((株)桜本瓦工業製):2.0mm以下品、0.3mm以下品
【0049】
上記細骨材及び無機質微粉末の粒度を、JIS A 1102−2006「骨材のふるい分け試験方法」を参考として測定した。次いで、細骨材及び無機質微粉末を等量混合して所定の粒度になるように調整した。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
(6)減水剤(SP)
ポリカルボン酸系高性能減水剤(固形分濃度25質量%)
(7)消泡剤(DF)
特殊非イオン配合型界面活性剤
【0052】
図1は、上記消泡剤を重メタノールに溶解し、NMR測定装置(BRUKER製、商品名「AVANCE」)を用いて測定した
1H−NMRスペクトルである。上記消泡剤の構造単位である、ポリオキシプロピレン(以下、「POP」と略記する)の構造単位、ポリオキシエチレン(以下、「POE」と略記する)の構造単位及びアルキル鎖の構造単位のモル比を、POP中のメチル基に由来するシグナル(A)の積分値を基準に算出した。この内、POPに対するPOEのモル比は、3.5ppm付近に現れるPOPのメチル基以外の炭化水素基に由来するシグナル及びPOEの炭化水素基に由来するシグナル(Bの領域)の積分値から、POPのメチル基以外の炭化水素基に由来するシグナルの積分値を差し引くことにより算出した。また、
図1中、Cはアルキル鎖、Dは重メタノール(測定溶媒)、Eは水に由来するシグナルを示す。
【0053】
消泡剤中のPOP、POE及びアルキル鎖の構造単位のモル比を表3に示す。
【表3】
【0054】
(8)練混ぜ水(W):上水道水
【0055】
[モルタル組成物の作製]
モルタル組成物の作製を、表4及び表5の配合組成に基づき、以下の通りに行った。
【0056】
セメント、シリカフューム、細骨材、無機質微粉末、瓦及び消泡剤をモルタル用ホバートミキサに加え、減水剤を含む練混ぜ水をミキサ内に投入して10分間撹拌し、モルタル組成物を作製した。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
[モルタル組成物の評価]
(評価方法)
(1)モルタル0打フロー試験
作製したモルタル組成物を用いて、モルタル0打フローを測定した。モルタル0打フローは、JIS R 5201−1997「セメントの物理試験方法」に準じ、落下無しの条件で測定した。
【0060】
(2)強度試験
JIS A 1132−2006「コンクリートの強度試験用供試体の作り方」に準じて5cm×10cmの円柱供試体を作製し、JIS A 1108−2006「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準じて圧縮強度試験を行った。供試体の養生方法は40℃封緘養生とし、材齢7日で圧縮強度を測定した。
【0061】
(評価結果)
表6に、モルタル0打フロー試験及び強度試験の結果を示す。所定の粒度を有する瓦を添加した実施例1のモルタル組成物は、流動性が高く、かつ、瓦を無添加とした比較例1や、粒度の大きい瓦を添加した比較例2よりも高い圧縮強度を示した。
【0062】
【表6】
【0063】
以上のことから、本発明のモルタル組成物によれば、流動性が十分に高く施工性に優れ、かつ、60℃以下の加熱養生で早期に高い圧縮強度を発現できることが確認された。