特許第6012305号(P6012305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012305
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】移動通信方法及び無線基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20161011BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20161011BHJP
【FI】
   H04W74/08
   H04W52/02 111
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-152309(P2012-152309)
(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公開番号】特開2014-17583(P2014-17583A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100117064
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 市太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】ウリ アンダルマワンティ ハプサリ
(72)【発明者】
【氏名】内野 徹
(72)【発明者】
【氏名】清嶋 耕平
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】青柳 健一郎
【審査官】 高野 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−504021(JP,A)
【文献】 NTT DOCOMO, INC.,Problem caused by DRX UE in congested network,3GPP TSG-RAN2#78, R2-122543,2012年 5月
【文献】 Nokia Siemens Networks, Motorola, NTT DOCOMO Inc.,Addition of Empty BSR-PHR MAC control element[online],3GPP TSG-RAN Meeting #67 R2-094213,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_67/Docs/R2-094213.zip>,2009年 8月
【文献】 NTT DOCOMO, INC.,CR to 36.321 on introduction of UL suspend Command MAC CE[online],3GPP TSG-RAN WG2 #79bis R2-124587,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_79bis/Docs/R2-124587.zip>,2012年10月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠受信状態の移動局が、発信処理を行うために連続受信状態に復帰する際に、無線基地局との間でランダムアクセス手順を実行する移動通信方法であって、
前記ランダムアクセス手順において、前記無線基地局が、前記移動局に対して、前記発信処理に係る呼種別を通知するように要求する呼種別要求信号を送信する工程Aと、
前記ランダムアクセス手順において、前記移動局が、前記呼種別要求信号に応じて、前記無線基地局に対して、前記呼種別を通知する工程Bと、
前記ランダムアクセス手順において、前記無線基地局が、前記呼種別に基づいて、前記復帰を許可するか否かについて決定する工程Cとを有することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
前記工程Aにおいて、前記無線基地局は、ランダムアクセス応答信号と共に、前記呼種別要求信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項3】
前記工程Bにおいて、前記移動局は、「Message3」に前記呼種別を含めて送信することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項4】
移動局が、間欠受信状態から連続受信状態に復帰する際に、該移動局との間でランダムアクセス手順を実行するように構成されているランダムアクセス手順実行部と、
前記復帰を許可するか否かについて決定するように構成されている決定部とを具備しており、
前記ランダムアクセス手順実行部は、前記ランダムアクセス手順において、前記移動局に対して、前記移動局の発信処理に係る呼種別を通知するように要求する呼種別要求信号を送信するように構成されており、
前記決定部は、前記ランダムアクセス手順において、前記移動局によって前記呼種別要求信号に応じて通知された前記呼種別に基づいて、前記復帰を許可するか否かについて決定するように構成されていることを特徴とする無線基地局。
【請求項5】
前記ランダムアクセス手順実行部は、ランダムアクセス応答信号と共に、前記呼種別要求信号を送信するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の無線基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)方式の移動通信システムでは、コアネットワークのシグナリングの負荷を減らすために、RRC_CONNECTED状態(接続状態)の移動局UEを、RRC_IDLE状態(アイドル状態)に遷移させること無くDRX(Discontinuous Reception)状態(間欠受信状態)に保つことができるように構成されている。
【0003】
ここで、災害時やコンサートや花火等の際、多数のDRX状態の移動局UEが、発信処理を試みるため、バーストトラフィックが生じる。
【0004】
なお、DRX状態の移動局UEは、発信処理を行うためにnon-DRX状態(連続受信状態)に復帰する際には、無線基地局eNBとの間でRA(ランダムアクセス)手順(RA procedure)、具体的には、「Contention based RA procedure」を実行するように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS36.300
【非特許文献2】3GPP TS36.211
【非特許文献3】3GPP TS36.213
【非特許文献4】3GPP TS36.321
【非特許文献5】3GPP TS36.331
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のLTE方式の移動通信システムでは、DRX状態の移動局UEが、発信処理を行うためにnon-DRX状態に復帰する際には、発信処理に係る呼種別のチェックが行われないように構成されている。
【0007】
したがって、DRX状態の移動局UEからの緊急呼の発信処理やDRX状態の優先端末からの発信処理が失敗してしまう可能性があるという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、混雑時においても、DRX状態の移動局UEからの緊急呼の発信処理やDRX状態の優先端末からの発信処理を成功させる確率を向上させることができる移動通信方法及び無線基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、間欠受信状態の移動局が、発信処理を行うために連続受信状態に復帰する際に、無線基地局との間でランダムアクセス手順を実行する移動通信方法であって、前記ランダムアクセス手順において、前記無線基地局が、前記移動局に対して、前記発信処理に係る呼種別を通知するように要求する呼種別要求信号を送信する工程Aと、前記ランダムアクセス手順において、前記移動局が、前記呼種別要求信号に応じて、前記無線基地局に対して、前記呼種別を通知する工程Bと、前記ランダムアクセス手順において、前記無線基地局が、前記呼種別に基づいて、前記復帰を許可するか否かについて決定する工程Cとを有することを要旨とする。
【0010】
本発明の第2の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局が、間欠受信状態から連続受信状態に復帰する際に、該移動局との間でランダムアクセス手順を実行するように構成されているランダムアクセス手順実行部と、前記復帰を許可するか否かについて決定するように構成されている決定部とを具備しており、前記ランダムアクセス手順実行部は、前記ランダムアクセス手順において、前記移動局に対して、前記発信処理に係る呼種別を通知するように要求する呼種別要求信号を送信するように構成されており、前記決定部は、前記ランダムアクセス手順において、前記移動局によって前記呼種別要求信号に応じて通知された前記呼種別に基づいて、前記復帰を許可するか否かについて決定するように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、混雑時においても、DRX状態の移動局UEからの緊急呼の発信処理やDRX状態の優先端末からの発信処理を成功させる確率を向上させることができる移動通信方法及び無線基地局を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信されるMAC-CEの一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信されるMAC-CEの一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信されるMAC-CEの一例を示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信される「RACH-ConfigCommon」の一例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局によって送信される「RACH-ConfigCommon」の一例を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図10】本発明の変更例1に係る無線基地局によって用いられるRNTIの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図9を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0014】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTE方式をサポートするものであって、図1に示すように、無線基地局eNBと、移動局UEとを具備している。
【0015】
図2に示すように、本実施形態に係る無線基地局eNBは、RA手順実行部11と、決定部12とを具備している。
【0016】
RA手順実行部11は、移動局UEとの間で、RA手順を行うように構成されている。
【0017】
例えば、移動局UEが、発信処理を行うために、DRX状態からnon-DRX状態に復帰する際に、或いは、RRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する際に、RA手順実行部11は、かかる移動局UEとの間でRA手順を実行するように構成されている。
【0018】
ここで、移動局UEがDRX状態からnon-DRX状態に復帰する際のRA手順、及び、RRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する際のRA手順は、異なる。
【0019】
また、RA手順実行部11は、上述のRA手順において、移動局UEに対して、上述の発信処理に係る「Call Identification」を通知するように要求する「Call Identification Request」を送信するように構成されている。
【0020】
ここで、RA手順実行部11は、「Random Access Response」と共に、「Call Identification Request」を送信するように構成されていてもよい。
【0021】
例えば、RA手順実行部11は、「Random Access Response」内で「Call Identification Request」を送信するように構成されていてもよい。
【0022】
或いは、RA手順実行部11は、「Random Access Response」と共に送信する新規のMAC-PDUによって「Call Identification Request」を送信するように構成されていてもよい。
【0023】
例えば、RA手順実行部11は、「Random Access Response」と共に送信する新規のMAC-PDUとして、図3に示す新規のMAC-CE(Media Access Control-Control Element)を用いて、「Call Identification Request」を送信するように構成されていてもよい。
【0024】
なお、かかる新規のMAC-CEに付与されるLCID(Logical Channel ID)は、例えば、図4に示すように、「11010」となるように構成されていてもよい。
【0025】
決定部12は、移動局UEがDRX状態からnon-DRX状態に復帰する際のRA手順において、かかる復帰を受け付けるか否かについて決定するように構成されている。
【0026】
具体的には、決定部12は、上述のRA手順において、移動局UEによって「Call Identification Request」に応じて通知された「Call Identification」に基づいて、上述の復帰を許可するか否かについて決定するように構成されていてもよい。
【0027】
例えば、決定部12は、「Call Identification」に基づいて、上述のRA手順に係る呼種別が「緊急呼」や「優先呼」であると判断した場合、すなわち、上述のRA手順のトリガとなった発信処理が移動局UEからの緊急呼の発信処理や優先端末からの発信処理であると判断した場合には、上述の復帰を許可すると決定するように構成されていてもよい。
【0028】
一方、決定部12は、「Call Identification」に基づいて、上述のRA手順に係る呼種別が「一般呼」であると判断した場合、すなわち、上述のRA手順のトリガとなった発信処理が移動局UEからの緊急呼の発信処理や優先端末からの発信処理以外であると判断した場合には、上述の復帰を拒絶すると決定するように構成されていてもよい。
【0029】
また、例えば、決定部12は、無線アクセスネットワークの輻輳状態や所定のオペレータルール等に基づいて、かかる決定を行うことができるように構成されていてもよい。
【0030】
また、RA手順実行部11は、かかる復帰を拒絶する場合、すなわち、決定部12によって当該復帰が拒絶された場合、上述のRA手順において、移動局UEから受信したMAC-CEに対して、所定のMAC-CEを送信するように構成されていてもよい。
【0031】
なお、かかる場合、RA手順実行部11は、移動局UEから受信したMAC-CEによって通知されたC-RNTIを用いたPDCCHを送信する代わりに、所定のMAC-CEを送信するように構成されていてもよいし、かかるC-RNTIを用いたPDCCHに加えて、所定のMAC-CEを送信するように構成されていてもよい。
【0032】
ここで、所定のMAC-CEは、新規のMAC-CEであってもよいし、既存の「DRX Command MAC Control Element」であってもよい。
【0033】
また、RA手順実行部11は、所定のMAC-CEによって、移動局UEがRA手順を再度試みることができるまでの待機時間を通知するように構成されていてもよい。
【0034】
かかる場合、例えば、新規MAC-CEは、図5に示すように、移動局UEがRA手順を再度試みることができるまでの待機時間を示す「Wait timer」を通知することができるように構成されていてもよい。例えば、「Wait timer」に設定される単位は、「秒」や「分」等であってもよい。
【0035】
或いは、RA手順実行部11は、RRCメッセージ(個別シグナリング)、例えば、RRCコネクション確立時に送信される「RACH-ConfigCommon」によって、移動局UEがRA手順を再度試みることができるまでの待機時間を通知するように構成されていてもよい。
【0036】
かかる場合、例えば、「RACH-ConfigCommon」は、図6及び図7に示すように、移動局UEがRA手順を再度試みることができるまでの待機時間を示す「waitTime」を通知することができるように構成されていてもよい。例えば、「waitTime」に設定される単位は、「秒」や「分」等であってもよい。
【0037】
或いは、RA手順実行部11は、RRCコネクション再設定(RRC Connection Reconfiguration)の際に、RRCメッセージ(個別シグナリング)によって、移動局UEがRA手順を再度試みることができるまでの待機時間を通知するように構成されていてもよい。
【0038】
或いは、RA手順実行部11は、SIB(System Information Block)の「RACH Config IE」によって、移動局UEがRA手順を再度試みることができるまでの待機時間を通知するように構成されていてもよい。
【0039】
さらに、RA手順実行部11は、上述の復帰を拒絶する場合、上述のRA手順において、移動局UEから受信したMAC-CEに対して、「RRC Connection Release」を送信するように構成されていてもよい。
【0040】
ここで、RA手順実行部11は、「RRC Connection Release」によって、移動局UEをRRC_IDLE状態に遷移させるように構成されていてもよい。なお、RRC_IDLE状態では、ネットワークが、RRC_IDLE状態用のACBを適用してもよい、すなわち、ACB情報を報知してもよい。
【0041】
図8に示すように、移動局UEは、状態管理部21と、RA手順実行部22とを具備している。
【0042】
状態管理部21は、移動局UEの状態、例えば、DRX状態や、non-DRX状態(RRC_CONNECTED状態)や、RRC_IDLE状態を管理するように構成されている。
【0043】
RA手順実行部22は、無線基地局eNBとの間で、RA手順を行うように構成されている。
【0044】
例えば、移動局UEが、発信処理を行うために、DRX状態からnon-DRX状態に復帰する際に、或いは、RRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態に遷移する際に、RA手順実行部22は、無線基地局eNBとの間でRA手順を実行するように構成されている。
【0045】
ここで、RA手順実行部22は、かかるRA手順において、無線基地局eNBから受信した「Call Identification Request」に応じて、無線基地局eNBに対して「Call Identification」を通知するように構成されている。
【0046】
かかる場合、RA手順実行部22は、無線基地局eNBに対して、「Message3」と共に、「Call Identification」を通知するように構成されていてもよい。
【0047】
例えば、RA手順実行部22は、「Message3」内で「Call Identification」を通知するように構成されていてもよい。
【0048】
或いは、RA手順実行部22は、「Message3」と共に送信する新規のMAC-PDUによって「Call Identification」を通知するように構成されていてもよい。
【0049】
例えば、RA手順実行部22は、「Message3」と共に送信する新規のMAC-PDUとして、図3に示す新規のMAC-CEを用いて、「Call Identification」を送信するように構成されていてもよい。
【0050】
なお、かかる新規のMAC-CEに付与されるLCIDは、例えば、図4に示すように、「11001」となるように構成されていてもよい。
【0051】
RA手順実行部22が、DRX状態からnon-DRX状態に復帰する際のRA手順において、無線基地局eNBから、無線基地局eNBに対して送信したMAC-CEによって通知したC-RNTIを用いたPDCCHの代わりに、所定のMAC-CEを受信した場合に、状態管理部21は、DRX状態からnon-DRX状態に復帰することなく、DRX状態に留まることを決定するように構成されている。
【0052】
また、RA手順実行部22は、上述のRA手順において、所定のMAC-CEによって「Wait timer」が通知された場合、かかる「Wait timer」が経過するまでの期間は、上述のRA手順を試みないように構成されていてもよい。
【0053】
或いは、RA手順実行部22は、上述のRA手順において、所定のMAC-CEを受信した場合で、かつ、「RACH-ConfigCommon」によって「waitTtime」が通知されている場合、かかる「waitTime」が経過するまでの期間は、上述のRA手順を試みないように構成されていてもよい。
【0054】
或いは、RA手順実行部22は、上述のRA手順において、所定のMAC-CEを受信した場合には、一定期間、例えば、既存の「Backoff timer」の最大値(960ms)の10倍(9600ms)の期間、上述のRA手順を試みないように構成されていてもよい。
【0055】
さらに、RA手順実行部22は、上述のRA手順において、無線基地局eNBから「RRC Connection Release」を受信した場合に、状態管理部21は、RRC_IDLE状態に遷移するように構成されていてもよい。
【0056】
ここで、RA手順実行部22は、「RRC Connection Release」によって「waitTime」が通知された場合、かかる「waitTime」が経過するまでの期間は、上述のRA手順を試みないように構成されていてもよい。
【0057】
以下、図9を参照して、本実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0058】
図9に示すように、移動局UEは、発信処理を行うために、DRX状態からnon-DRX状態に復帰することを決定すると、ランダムアクセス手順(Contention Based RA procedure)を開始するために、ステップS1001において、無線基地局eNBに対して、「Random Access Preamble(RAプリアンブル)」を送信する。
【0059】
ステップS1002において、無線基地局eNBは、移動局UEに対して、「Random Access Response」を送信する。
【0060】
ここで、無線基地局eNBは、移動局UEに対して、「Random Access Response」と共に「Call Identification Request」を送信する。
【0061】
ステップS1003において、移動局UEは、無線基地局eNBに対して、「Message3」として、移動局UEのC-RNTIを通知するMAC-CEのみを送信する。
【0062】
ここで、移動局UEは、無線基地局eNBに対して、「Message3」と共に「Call Identification」を送信する。
【0063】
無線基地局eNBは、「Call Identification」に基づいて、上述の復帰を許可するか否かについて決定する。
【0064】
ここで、無線基地局eNBは、上述の復帰を拒絶すると決定した場合には、ステップS1004において、移動局UEに対して、「Message4」として、MAC-CEに対して、上述の所定のMAC-CEや「RRC Connection Release」等を送信する。
【0065】
本実施形態に係る発明によれば、無線基地局eNBは、DRX状態からnon-DRX状態に復帰する際のRA手順において、移動局UEから取得した「Call Identification」に基づいて、かかる復帰を許可するか否かについて判定することができるため、DRX状態の移動局UEによる発信処理が多発する場合であっても、優先端末による発信処理や緊急呼の発信処理を成功させる確率を向上させることができる。
【0066】
(変更例1)
以下、図10を参照して、本発明の変更例1に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムの相違点に着目して説明する。
【0067】
本実施形態に係る移動通信システムでは、無線基地局eNBのRA手順実行部11は、移動局UEのDRX状態からnon-DRX状態への復帰を拒絶する場合、上述のRA手順において、移動局UEから受信したMAC-CEによって通知されたC-RNTIを用いたPDCCHを送信する代わりに、所定のRNTIを用いたPDCCHを送信するように構成されている。
【0068】
かかる場合には、RA手順実行部11は、例えば、図10に示すように、かかる所定のRNTIとして、現在使用されていないReserveビットである「FFFFC」を用いるように構成されていてもよい。
【0069】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0070】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、DRX(間欠受信)状態の移動局UEが、発信処理を行うためにnon-DRX(連続受信)状態に復帰する際に、無線基地局eNBとの間でRA(ランダムアクセス)手順を実行する移動通信方法であって、かかるRA手順において、無線基地局eNBが、移動局UEに対して、上述の発信処理に係る「Call Identification(呼種別)」を通知するように要求する「Call Identification Request(呼種別要求信号)」を送信する工程Aと、かかるRA手順において、移動局UEが、「Call Identification Request」に応じて、無線基地局eNBに対して、「Call Identification」を通知する工程Bと、かかるRA手順において、無線基地局eNBが、かかる「Call Identification」に基づいて、上述の復帰を許可するか否かについて決定する工程Cとを有することを要旨とする。
【0071】
本実施形態の第1の特徴において、工程Aにおいて、無線基地局eNBは、「Random Access Response(ランダムアクセス応答信号)」と共に、「Call Identification Request」を送信してもよい。
【0072】
本実施形態の第1の特徴において、工程Bにおいて、移動局UEは、「Message3」に上述の呼種別を含めて送信してもよい。
【0073】
本実施形態の第2の特徴は、無線基地局eNBであって、移動局UEが、DRX状態からnon-DRX状態に復帰する際に、移動局UEとの間でRA手順を実行するように構成されているRA(ランダムアクセス)手順実行部11と、上述の復帰を許可するか否かについて決定するように構成されている決定部12とを具備しており、RA手順実行部11は、上述のRA手順において、移動局UEに対して、上述の発信処理に係る「Call Identification」を通知するように要求する「Call Identification Request」を送信するように構成されており、決定部12は、上述のRA手順において、移動局UEによって「Call Identification Request」に応じて通知された「Call Identification」に基づいて、上述の復帰を許可するか否かについて決定するように構成されていることを要旨とする。
【0074】
本実施形態の第2の特徴において、RA手順実行部11は、「Random Access Response」と共に、「Call Identification Request」を送信するように構成されていてもよい。
【0075】
なお、上述の移動局UEや無線基地局eNBの動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0076】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0077】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、移動局UEや無線基地局eNB内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして移動局UEや無線基地局eNB内に設けられていてもよい。
【0078】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0079】
UE…移動局
eNB…無線基地局
11、22…RA手順実行部
12…決定部
21…状態管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10