特許第6012313号(P6012313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012313電力制御装置、電力制御方法、及び電力制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012313
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】電力制御装置、電力制御方法、及び電力制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20161011BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20161011BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H02J13/00 311T
   H04Q9/00 301A
   H04M11/00 301
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-156006(P2012-156006)
(22)【出願日】2012年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-17792(P2014-17792A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 大和
(72)【発明者】
【氏名】中山 琢
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−153347(JP,A)
【文献】 特開2007−020260(JP,A)
【文献】 特開2011−234570(JP,A)
【文献】 特開2003−116219(JP,A)
【文献】 特開2002−320327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H04M 11/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家の保有する負荷機器それぞれに対する複数の制御指示と、該制御指示に各々対応付けられた電力削減予測量とを含む制御指示効果情報を格納する記憶部と、
電力削減指示をEMSサーバから取得する指示取得部と、
前記制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量に基づき、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成する制御指示作成部と、
前記組合せに係る複数の制御指示を実行し、前記制御指示を実行したことによる電力削減量の実績に基づいて前記電力削減予測量を更新し、更新した前記電力削減予測量を含む前記制御指示効果情報を前記EMSサーバに送信する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記負荷機器の駆動状態又は消費電力量に関する測定値を取得し、前記測定値を前記EMSサーバに送信する、電力制御装置。
【請求項2】
前記指示取得部が、いずれかの負荷機器に対する具体的動作指示をEMSサーバから取得した場合、指定された負荷機器に対し、指定された動作に応じた制御を行うよう指示することを特徴とする、請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記制御指示効果情報はさらに、前記制御指示に各々対応付けられた応答時間を含み、
前記制御指示作成部はさらに、前記指示取得部が前記電力削減指示を取得した時間から算出されるデマンド残り時間と、前記制御指示効果情報に含まれる応答時間とに基づき、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記電力制御装置は、前記制御指示効果情報を前記EMSサーバから取得して前記記憶部に記憶することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電力制御装置。
【請求項5】
それぞれの制御指示には優先順位が付されており、
前記制御指示作成部はさらに、稼働中の負荷機器に関する制御指示のうち、前記優先順位の上位のものの組合せから、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電力制御装置。
【請求項6】
需要家の保有する負荷機器それぞれに対する複数の制御指示と、該制御指示に各々対応付けられた電力削減予測量とを含む制御指示効果情報を格納する記憶ステップと、
電力削減指示をEMSサーバから取得する指示取得ステップと、
前記制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量に基づき、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成する制御指示作成ステップと、
前記組合せに係る複数の制御指示を実行し、前記制御指示を実行したことによる電力削減量の実績に基づいて前記電力削減予測量を更新し、更新した前記電力削減予測量を含む前記制御指示効果情報を前記EMSサーバに送信するステップと、
前記負荷機器の駆動状態又は消費電力量に関する測定値を取得し、前記測定値を前記EMSサーバに送信するステップと、
を含む電力制御方法。
【請求項7】
電力制御装置と、EMSサーバとを備える電力制御システムであって、
前記EMSサーバは、電力削減指示を生成し、
前記電力制御装置は、需要家の保有する負荷機器それぞれに対する複数の制御指示と、該制御指示に各々対応付けられた電力削減予測量とを含む制御指示効果情報を格納し、
前記電力制御装置はさらに、前記電力削減指示を前記EMSサーバから取得し、前記制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量に基づき、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成し、
前記電力制御装置はさらに、前記組合せに係る複数の制御指示を実行し、前記制御指示を実行したことによる電力削減量の実績に基づいて前記電力削減予測量を更新し、更新した前記電力削減予測量を含む前記制御指示効果情報を前記EMSサーバに送信し、
前記電力制御装置はさらに、前記負荷機器の駆動状態又は消費電力量に関する測定値を取得し、前記測定値を前記EMSサーバに送信することを特徴とする電力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EMSサーバからの制御指示に基づいて、負荷機器を制御する電力制御装置、電力制御方法、及び電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを介して、遠隔地から多様な機器を制御するシステムが提案されている(特許文献1参照)。インターネットなどのネットワークを介した機器の制御においてサーバが機器を直接制御するためには、制御対象の機器を一意に特定するグローバルIPアドレスなどの固有の識別番号が機器に割当てられる必要がある。制御対象となる機器の数に対して固有の識別番号は有限であり、すべての制御機器に固有の識別番号を割当てると、識別番号が枯渇するおそれがある。
【0003】
そこで、インターネットなどのネットワークを介して機器を制御する際に、ローカルの制御装置からサーバにアクセスしてサーバからの制御指示を読取り、読取った制御指示に基づいて、ローカルの電力制御装置が負荷機器の制御を行うシステムが提案されている(特許文献2参照)。このようなポーリングによる制御指示を取得してローカルの制御装置が機器の制御を行う構成によれば、機器毎への固有の識別番号の割当が不要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−336180号公報
【特許文献2】特開2009−260913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来は、EMSサーバが、各電力制御装置に最適な制御指示の組合せを作成し、当該制御指示の組合せに基づき、電力制御装置が負荷機器の制御を行っている。そのため、例えばEMSサーバの管理地域内の電力を一律に削減する場合等、複数の電力制御装置に属する各負荷機器の制御を同時に行う場合、EMSサーバの処理負荷が増大し、処理遅延が生じるおそれがあった。
【0006】
また、EMSサーバから各電力制御装置に送信する情報に複数の制御指示の組合せを含むため、通信量が増大し、通信による処理の遅延が生じるおそれがあった。
【0007】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、例えばEMSサーバの管理地域内の電力を一律に削減する場合等、複数の電力制御装置に属する各負荷機器の制御を同時に行う場合に、EMSサーバの処理負荷の増大を抑制し、また、EMSサーバ及び電力制御装置間の通信量の増大を抑制することのできる電力制御装置、電力制御方法、及び電力制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る電力制御装置は、
需要家の保有する負荷機器それぞれに対する複数の制御指示と、該制御指示に各々対応付けられた電力削減予測量とを含む制御指示効果情報を格納する記憶部と、
電力削減指示をEMSサーバから取得する指示取得部と、
前記制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量に基づき、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成する制御指示作成部と、
前記組合せに係る複数の制御指示を実行し、前記制御指示を実行したことによる電力削減量の実績に基づいて前記電力削減予測量を更新し、更新した前記電力削減予測量を含む前記制御指示効果情報を前記EMSサーバに送信する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記負荷機器の駆動状態又は消費電力量に関する測定値を取得し、前記測定値を前記EMSサーバに送信することを特徴とする。
【0009】
また本発明に係る電力制御装置は、
前記指示取得部が、いずれかの負荷機器に対する具体的動作指示をEMSサーバから取得した場合、指定された負荷機器に対し、指定された動作に応じた制御を行うよう指示することを特徴とする。
【0010】
また本発明に係る電力制御装置は、
前記制御指示効果情報がさらに、前記制御指示に各々対応付けられた応答時間を含み、
前記制御指示作成部はさらに、前記指示取得部が前記電力削減指示を取得した時間から算出されるデマンド残り時間と、前記制御指示効果情報に含まれる応答時間とに基づき、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成することを特徴とする。
【0011】
また本発明に係る電力制御装置は、
前記電力制御装置は、前記制御指示効果情報を前記EMSサーバから取得して前記記憶部に記憶することを特徴とする。
【0012】
また本発明に係る電力制御装置は、
それぞれの制御指示には優先順位が付されており、
前記制御指示作成部はさらに、稼働中の負荷機器に関する制御指示のうち、前記優先順位の上位のものの組合せから、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る電力制御方法は、
需要家の保有する負荷機器それぞれに対する複数の制御指示と、該制御指示に各々対応付けられた電力削減予測量とを含む制御指示効果情報を格納する記憶ステップと、
電力削減指示をEMSサーバから取得する指示取得ステップと、
前記制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量に基づき、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成する制御指示作成ステップと、
前記組合せに係る複数の制御指示を実行し、前記制御指示を実行したことによる電力削減量の実績に基づいて前記電力削減予測量を更新し、更新した前記電力削減予測量を含む前記制御指示効果情報を前記EMSサーバに送信するステップと、
前記負荷機器の駆動状態又は消費電力量に関する測定値を取得し、前記測定値を前記EMSサーバに送信するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る電力制御システムは、
電力制御装置と、EMSサーバとを備える電力制御システムであって、
前記EMSサーバは、電力削減指示を生成し、
前記電力制御装置は、需要家の保有する負荷機器それぞれに対する複数の制御指示と、該制御指示に各々対応付けられた電力削減予測量とを含む制御指示効果情報を格納し、
前記電力制御装置はさらに、前記電力削減指示を前記EMSサーバから取得し、前記制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量に基づき、前記電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成し、
前記電力制御装置はさらに、前記組合せに係る複数の制御指示を実行し、前記制御指示を実行したことによる電力削減量の実績に基づいて前記電力削減予測量を更新し、更新した前記電力削減予測量を含む前記制御指示効果情報を前記EMSサーバに送信し、
前記電力制御装置はさらに、前記負荷機器の駆動状態又は消費電力量に関する測定値を取得し、前記測定値を前記EMSサーバに送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明における電力制御装置、電力制御方法、及び電力制御システムによれば、例えばEMSサーバの管理地域内の電力を一律に削減する場合等、複数の電力制御装置に属する各負荷機器の制御を同時に行う場合に、EMSサーバの処理負荷の増大を抑制し、また、EMSサーバ及び電力制御装置間の通信量の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る電力制御システムの概略構成を示す図である。
図2】ある同一のLAN内に存在する機器の機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電力制御装置の機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る制御指示効果情報の例である。
図5】本発明の一実施形態に係る電力制御装置の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る制御指示効果情報の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(実施の形態)
まず、本発明の一実施形態に係る電力制御システムについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電力制御システムの概略構成を示す通信システム構成図である。
【0019】
図1に示すように、電力制御システムは、複数の電力制御装置10a〜10cと、複数のユーザ端末11a〜11cと、EMS(Energy Management System)サーバ20とを有する。図1においては、電力制御装置及びユーザ端末がそれぞれ3台ずつある例を示しているがこれに限られず、それぞれ2台であってもよく、4台以上であってもよい。
【0020】
インターネット30は、複数の電力制御装置10a〜10c、複数のユーザ端末11a〜11c、およびEMSサーバ20を接続し、データおよび制御指示などの信号を通信する。また電力制御装置10a及びユーザ端末11a、電力制御装置10b及びユーザ端末11b、及び電力制御装置10c及びユーザ端末11cはそれぞれ独立したLAN(Local Area Network)40a〜40c内に存在する。
【0021】
電力制御装置10a〜10cは、例えばEMS Gatewayである。電力制御装置10a〜10cは、後述するセンサが検出する消費電力量などの測定値を、定期的にEMSサーバ20に送信する。また、電力制御装置10a〜10cは、ポーリングによりEMSサーバ20から、自己の属するLAN40a〜40c内に存在する負荷機器の制御指示を取得する。電力制御装置10a〜10cは、EMSサーバ20から受信した制御指示に基づいて、自己の属するLAN40a〜40c内に存在する負荷機器を制御する。
【0022】
ユーザ端末11a〜11cはディスプレイを有し、自己の属するLAN40a〜40c内に存在するセンサが測定した測定値及びLAN40a〜40cに存在する負荷機器の運転状態を表示可能である。ユーザ端末11a〜11cは、測定値及び制御状態を表示するときには、EMSサーバ20にHTTPによりデータを取得し、ユーザ端末11a〜11cのウェブブラウザが測定値表示ページを形成する。また、ユーザ端末11a〜11cにおいて、自己の属するLAN40a〜40c内に存在する負荷機器の制御指示を発行する。制御指示の発行はウェブブラウザが構成する機器制御ページ上におけるユーザの操作の検出に基づく。ユーザ端末11a〜11cは、発行した制御指示をEMSサーバ20に送信する。
【0023】
EMSサーバ20は電力制御装置10a〜10cから送信される測定値を受信し、記憶する。また、EMSサーバ20は、ユーザ端末11a〜11cが発行した制御指示を受付ける。また、EMSサーバ20は、各負荷機器の制御指示を作成する。受付けた制御指示または作成した制御指示を、各電力制御装置10a〜10cがポーリングにより読出す。また、EMSサーバ20は、各LAN40a〜40c内に存在するセンサ情報の登録を受付け、また更新をする。
【0024】
さらにEMSサーバ20は、例えばEMSサーバの管理地域内の電力を一律に削減する場合に、各負荷機器の制御指示の替わりに、各LAN40a〜40c内にて削減すべき電力総量の指示(以下、電力削減指示)を作成する。電力削減指示は、例えば“2kW以上削減”等である。当該電力削減指示を、各電力制御装置10a〜10cがポーリングにより読出す。
【0025】
EMSサーバ20は、データコレクタ201と、コントローラ202と、コントロールキュー203と、メモリ204とを有する。
【0026】
データコレクタ201は、測定値およびセンサの登録情報を定期的に収集し、記憶又は更新する。
【0027】
コントローラ202は、多様な目的を達成するように、多様なアルゴリズムで各負荷機器の制御指示を作成する。さらにコントローラ202は、電力削減指示を作成する。コントロールキュー203は、ユーザ端末11a〜11cから受付けた制御指示、コントローラ202が作成した制御指示、及び電力削減指示を保管する。
【0028】
メモリ204はコントローラ202が制御指示を作成するために用いる多様なデータを記憶する。例えばメモリ204は、各制御指示に各々対応付けられた電力削減予測量とを含む制御指示効果情報を記憶する。当該制御指示効果情報に基づき、コントローラ202は、適切な制御指示の組合せを作成することが可能である。各制御指示に対応する電力削減予測量は、制御指示に対する過去の電力削減値の実績を電力制御装置10a〜10cから受信して作成及び更新する。
【0029】
次に、電力制御装置10a〜10cによる測定値の送信および負荷機器の制御について説明する。図2は、LAN40aに存在する機器、デマンド監視装置17及び電力計18の機能ブロック図である。LAN40b、40cに存在する機器、デマンド監視装置及び電力計の機能ブロック図については、LAN40aに存在する機器、デマンド監視装置17及び電力計18の機能ブロック図と同様構成であるため説明は省略する。
【0030】
LAN40a内には、第1のセンサ12と、センサ管理部13と、第2のセンサ14と、第3のセンサ19と、負荷機器15〜16と、電力制御装置10aと、ユーザ端末11aとが存在する。また、電力制御装置10aは、デマンド監視装置17を介して電力計18と接続する。図2では負荷機器が2台存在する例を示しているがこれに限られず、負荷機器は、1台であってもよく、3台以上であってもよい。
【0031】
第1のセンサ12は、例えば電流センサ、電力センサ、温度センサ、または照度センサなどの任意のセンサであって、LAN40a内に存在する負荷機器15及び16の駆動状態に関する測定値を検出する。
【0032】
センサ管理部13は第1のセンサ12から測定値を検出する。センサ管理部13は例えばZigBee(登録商標)のSEP2.0(Smart Energy Profile 2.0)およびEchonet(登録商標)などの標準のプロトコルによって電力制御装置10aと定期的に通信する。
【0033】
第2のセンサ14は、例えば電流センサ、電力センサ、温度センサ、または照度センサなどの任意のセンサであって、LAN40a内に存在する負荷機器15〜16の駆動状態に関する測定値を検出する。また、第1のセンサ12と異なり、第2のセンサは独自のプロトコルによって電力制御装置10aと通信する。
【0034】
第3のセンサ19は、例えば電流センサ、電力センサ、温度センサ、または照度センサなどの任意のセンサであって、LAN40a内に存在する負荷機器15〜16の駆動状態に関する測定値を検出する。また、第1のセンサ12および第2のセンサ14と異なり、第3のセンサ19は、例えばSEP2.0およびEchonet(登録商標)などの標準のプロトコルによって電力制御装置10aと直接通信を行う。
【0035】
負荷機器15〜16は、例えばエアコン、灯具、冷蔵庫などの電力に基づいて駆動する機器である。負荷機器15〜16は、温度調整、照度調整などの運転状態の調整が可能であり、これらの調整により負荷機器15〜16の消費電力が変動する。負荷機器15〜16は、SEP2.0およびEchonet(登録商標)などの標準のプロトコルによって電力制御装置10aと通信する。
【0036】
前述のように電力制御装置10aは、センサ管理部13および第2のセンサ14と通信可能であり、第1のセンサ12および第2のセンサ14の測定値を、定期的にインターネット30を介してEMSサーバ20に送信する。また、前述のように、電力制御装置10aはポーリングによりEMSサーバ20から、自己が属するLAN40aに存在する負荷機器15〜16の制御指示を取得し、当該制御指示に基づいて、負荷機器15〜16の運転状態を制御する。
【0037】
また、電力制御装置10aは、デマンド監視装置17の出力からデマンド時限の始期を認識する。また、電力制御装置10aは、後述するように、デマンド監視装置17の出力から現時点のデマンド時限におけるLAN40a内の全負荷機器(負荷機器15〜16を含む)の消費電力の現在値を取得する。
【0038】
前述のようにユーザ端末11aは、自己の属するLAN40a内に存在する第1のセンサ12および第2のセンサ14の測定値を表示し、各負荷機器15〜16の運転状態を表示する。また、前述のように、ユーザ端末11aにおいて、各負荷機器15〜16の直接的な制御指示、例えば温度そのものの設定、照度そのものの設定の指示が可能である。
【0039】
電力計18は、デマンド時限における店舗毎の累積消費電力(以下、デマンド電力(使用電力)という。)を測定する。デマンド時限とは、店舗などを運営する事業者(需要家)および電力会社の契約電力の取決めに用いられる基準時間である。例えば、デマンド時限が30分で契約電力が300kWである場合に、任意のデマンド時限において消費電力が一時的に300kWを超えても30分間の平均値が300kW未満であれば契約が履行されたことを意味する。電力計18は、デマンド時限の始期にデマンド電力をリセットし、デマンド時限の始期から現在までのデマンド電力を測定する。デマンド時限の終期における消費電力を測定することにより、当該デマンド時限におけるデマンド電力を測定可能である。デマンド監視装置17は、電力計18が出力するパルスを読出し、電力制御装置10aに出力する。なお、電力計18およびデマンド監視装置17は、LAN40a内の電力制御装置10aに対してだけでなく、LAN40b、40c内の電力制御装置にも設けられる。
【0040】
図3は、本発明の一実施形態に係る電力制御装置10aの機能ブロックを詳細に示した図である。電力制御装置10b〜10cは同一構成であるため説明は省略する。
【0041】
電力制御装置10aは、記憶部101と、指示取得部102と、制御指示作成部103と、制御部104とを備える。
【0042】
記憶部101は、複数の制御指示と、該制御指示に各々対応付けられた電力削減予測量とを含む制御指示効果情報を記憶する。当該制御指示効果情報は、EMSサーバ20のメモリ204に記憶されている制御指示効果情報と同一である。電力制御装置10aは、定期的にEMSサーバ20から制御指示効果情報を取得し、記憶部101に格納する。
【0043】
図4に、制御指示効果情報の例を示す。図4ではテーブルの形式にて制御指示効果情報を示している。例えば制御指示効果情報には、制御指示“エアコンの設定温度をx℃上げる”と、当該制御指示による電力削減予測量“400W”が含まれる。
【0044】
指示取得部102は、ポーリングにより制御指示又は電力削減指示をEMSサーバ20から取得する。制御指示作成部103は、指示取得部102がポーリングにより電力削減指示を取得した場合、制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量に基づき、EMSサーバ20から取得した電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成する。例えば電力削減指示が“2kW以上削減”であった場合、制御指示作成部103は、図4に示す制御指示効果情報に基づき、制御指示を抽出し、電力削減予測量の合計が2kW以上となる組合せを作成する。例えば制御指示作成部103は、制御指示“エアコンの設定温度をz℃上げる”と、“灯具の照度を下げる”と、“冷蔵庫の設定温度を下げる”との組合せを作成する。これらの制御指示による電力削減予測量の合計は2.2kW(1200W+500W+500W)であり、電力削減指示を満たす。ここで、制御指示の抽出自体はランダムであってもよいが、需要家における影響の少ない順に、制御指示にはそれぞれ優先順位が付されており、この順に抽出して電力削減指示を満たすことが望ましい。そして制御指示作成部103は、各負荷機器が稼働中か否かも判別し、稼働中の負荷機器に関する制御指示であって、優先順位の上位のものを抽出し、要求された電力削減量を充足する最低限の組み合わせを決定する、という処理を有していると良い。
【0045】
制御部104は、電力制御装置10aに係る各種制御を行う。具体的には制御部104は、指示取得部102がポーリングにより取得したデータが電力削減指示であるか否かを判定する。電力削減指示である場合に制御部104は、制御指示作成部103に制御指示の組合せを作成させる。また制御部104は、ポーリングにより取得した制御指示を実行する。また制御部104は、制御指示作成部103が作成した制御指示の組合せに係る複数の制御指示を実行する。
【0046】
次に、本発明の一実施形態に係る電力制御装置10aについて、図5に示すフローチャートによりその動作を説明する。電力制御装置10b〜10cの動作は、電力制御装置10aの動作と同一であるため説明は省略する。電力制御装置10aは定期的にEMSサーバ20から制御指示効果情報を取得しており、記憶部101には予め制御指示効果情報が格納されているものとして説明する。
【0047】
はじめに指示取得部102は、ポーリングにより制御指示又は電力削減指示をEMSサーバ20から取得する(ステップS1)。
【0048】
続いて制御部104は、指示取得部102がポーリングにより取得したデータが電力削減指示であるか否かを判定する(ステップS2)。ポーリングにより取得したデータが電力削減指示でない場合、ステップS3に進み、ポーリングにより取得したデータが電力削減指示である場合、ステップS4に進む。
【0049】
ポーリングにより取得したデータが電力削減指示でない場合、つまり取得したデータが負荷機器を直接指定しており、指定した負荷機器に対する具体的な動作(設定温度の値や電源のオンオフなど)を指示する制御指示である場合、制御部104は、ポーリングにより取得した制御指示を実行する(ステップS3)。すなわち、指定された負荷機器に対して、指定された動作に応じた制御を行うよう指示する。そして処理が終了する。
【0050】
一方、ポーリングにより取得したデータが電力削減指示である場合、制御部104は、制御指示作成部103に制御指示の組合せを作成させる。制御指示作成部103は、制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量に基づき、EMSサーバ20から取得した電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成する(ステップS4)。
【0051】
続いて制御部104は、制御指示作成部103が作成した制御指示の組合せに係る複数の制御指示を実行する(ステップS5)。そして処理が終了する。
【0052】
このように本発明によれば、電力制御装置10aが、EMSサーバ20から電力削減指示を取得した場合に、自律的に制御指示を作成するため、例えばEMSサーバの管理地域内の電力を一律に削減する場合等、複数の電力制御装置に属する各負荷機器の制御を同時に行う場合に、EMSサーバの処理負荷の増大を抑制することができる。さらに、電力制御装置10aとEMSサーバ20との間の通信が、電力削減指示のみでもよく、この場合、EMSサーバ及び電力制御装置間の通信量の増大を抑制することができる。
【0053】
ここで、ステップS5の後に、制御部104は、制御指示を実行したことによる電力削減量に基づき、記憶部101に格納された制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量を更新してもよい。このようにすることにより、制御指示作成部103が、より新しい制御指示効果情報に含まれる電力削減予測量に基づき、EMSサーバ20から取得した電力削減指示を満たすより精度の高い制御指示の組合せを作成する。
【0054】
さらに制御部104は、このようにして更新した制御指示効果情報を、EMSサーバ20に送信してもよい。このようにすることにより、より新しい制御指示効果情報に基づきEMSサーバ20がより精度の高い制御指示を作成することができる。
【0055】
ここで、記憶部101に格納される制御指示効果情報は、EMSサーバ20のメモリ204に記憶されている制御指示効果情報の一部であってもよい。具体的には例えばEMSサーバ20のメモリ204に記憶されている制御指示効果情報のうち直近2週間以内に記録されたもののみを、記憶部101に記憶してもよい。さらに、この場合には、直近2週間以内に記録されたものに加えて、適宜、効果の大きい制御指示に係る制御指示効果情報を格納してもよい。また、台風等、特別のイベント期間中に生じ得る指示情報に係る制御指示効果情報等を格納してもよい。
【0056】
また本実施の形態においては、制御指示効果情報を電力制御装置10aがEMSサーバ20から定期的に取得する例を示したがこれに限られない。電力制御装置10aが制御指示を実行した場合に、制御指示を実行したことによる電力削減量に基づき、電力制御装置10aが制御指示効果情報を作成及び更新してもよい。
【0057】
また本実施形態においては、制御指示効果情報は制御指示と、該制御指示に各々対応付けられた電力削減予測量とを含むものを示したが、これに限られない。制御指示効果情報はさらに、制御指示に各々対応付けられた応答時間を含んでもよい。図6に、応答時間を含む制御指示効果情報の例を示す。図6に示すとおり、制御指示効果情報には、例えば制御指示“エアコンの設定温度をx℃上げる”、電力削減予測量“400W”、及び応答時間“1分”が含まれる。
【0058】
具体的にはこの場合、制御部104は、前記指示取得部が前記電力削減指示を取得した時間と、デマンド監視装置17の出力からデマンド時限の始期に基づき、デマンド残り時間を算出する。そして制御指示作成部103は、当該デマンド残り時間と、制御指示効果情報に含まれる応答時間とに基づき、電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成する。例えばデマンド残り時間が2分未満である場合には、制御指示“エアコンをOFFにする”、“冷蔵庫の設定温度を下げる”等の制御指示はデマンド残り時間中に実行しても効果が間に合わないため、制御指示作成部103は、これらの制御指示を除外して、電力削減指示を満たす制御指示の組合せを作成する。
【0059】
このように構成することにより、電力制御装置10aは、制御指示の応答期間も考慮したうえで、電力削減指示を満たすより精度の高い制御指示の組合せを作成することができる。
【0060】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段及びステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
10a〜10c 電力制御装置
101 記憶部
102 指示取得部
103 制御指示作成部
104 制御部
105 記録部
11a〜11c ユーザ端末
12 第1のセンサ
13 センサ管理部
14 第2のセンサ
15〜16 負荷機器
17 デマンド監視装置
18 電力計
19 第3のセンサ
20 EMSサーバ
30 インターネット
40a〜40c LAN
201 データコレクタ
202 コントローラ
203 コントロールキュー
204 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6