(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記管理装置は、作物の生育環境の測定履歴を記憶する環境データベースと、作物の栽培作業の進捗履歴を記憶する実績データベースとを備えることを特徴とする請求項1に記載の作物生育管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載のシステムでは、栽培容器に植えた作物を、所要の栽培区画に設置したり、別の栽培区画に移動させたりする際に、作物を設置した栽培区画の情報を手入力しているため、栽培区画の誤入力によって、実際に作物が設置された栽培区画と、システムで管理する栽培区画との間に食い違いが生じる事があり、作物を不適切な環境下においてしまったり、作物の収穫や出荷時に混乱をきたすおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来構成に比べて、栽培容器に植えた作物の設置場所を正確に管理可能な作物生育管理システム及び作物の生育管理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、農園にあって、栽培容器に植えられた作物がどの栽培区画に設置されているかを管理する作物生育管理システムであって、栽培容器ごとに取り付けられ、該栽培容器に植えられた作物の固有情報を記録した作物識別タグと、栽培区画ごとに取り付けられ、当該栽培区画の固有情報を記録した区画識別タグと、各作物がどの栽培区画に設置されているかを記憶する作物データベースを具備する管理装置と、作物識別タグ及び区画識別タグに記録された情報を読取可能であり、かつ、前記管理装置と通信可能な携帯端末とを備え、栽培容器に植えられた作物を栽培区画に設置する際に、前記携帯端末が当該栽培容器の作物識別タグから読み取った作物の固有情報と、該携帯端末が当該栽培区画の区画識別タグから読み取った栽培区画の固有情報とに基いて、作物データベースに含まれる当該作物が設置される栽培区画の情報を更新する処理を行うことを特徴とする作物生育管理システムである。ここで、本発明に係る「農園」は、作物を栽培容器で栽培するものであれば、その他の形態は限定されない。例えば、作物を露地栽培するものでもよいし、閉鎖環境で生育条件をコントロールして栽培するものであってもよい。
【0007】
かかる構成にあっては、作物データベースに含まれるの作物の位置情報を更新する際に、携帯端末が作物識別タグと区画識別タグから読み取った、作物と栽培区画の固有情報を用いることができるから、作物を栽培区画に設置したり、移し替えたりする際に、作物データベースに誤った情報を登録するおそれがなくなり、作物の設置場所を正確に管理することが可能となる。
【0008】
また、本発明にあって、前記管理装置は、作物の生育環境の測定履歴を記憶する環境データベースと、作物の栽培作業の進捗履歴を記憶する実績データベースとを備えることが提案される。
【0009】
かかる構成にあっては、実績データベースに記憶される作物の栽培作業の進捗履歴と、環境データベースに記憶される生育環境(温度、湿度、日照時間、降水量、CO
2濃度、pHなど)の測定履歴とを比較することによって、作物がどのような過程で生育したのか把握できるようになり、生育環境の違いによる成長率(収率)の傾向把握が可能となる。この傾向把握により、収穫可能日と予想収穫量の算定及び次作業着手日の算定、生育環境の適性基準値(生育期間や生育環境)算出などに利用でき、次の効率的な一手を予測できる。例えば、作物が枯れてしまった時に、作物生育の進捗履歴と生育環境の測定履歴から原因を探ることができる。
【0010】
また、本発明にあって、作物識別タグは、データを読み書き可能なRFIDタグであって、栽培容器に植えられた作物の固有情報に加えて、当該作物の栽培作業の進捗状況も記憶するものであり、前記携帯端末は、作物の栽培作業の進捗状況を、作物識別タグに書き込む処理と、前記管理装置を介して実績データベースに書き込む処理とを備えていることが提案される。
【0011】
かかる構成にあっては、各作物の栽培作業の進捗状況を実績データベースと、作物識別タグとに記憶させることができるため、携帯端末を管理装置と通信できない状態でも、作物識別タグを読み取ることによって、当該作物の栽培作業の進捗状況を確認することが可能となる。
【0012】
また、本発明の別の態様は、農園にあって、栽培容器に植えられた作物がどの栽培区画に設置されているかを管理する作物の生育管理方法であって、栽培容器に植えられた作物を栽培区画に設置する際に、当該栽培容器に取り付けられた作物識別タグに記録された作物の固有情報を携帯端末で読み取るステップと、当該栽培区画に取り付けられた区画識別タグに記録された栽培区画の固有情報を前記携帯端末で読み取るステップと、該携帯端末が読み取った作物と栽培区画の固有情報に基いて、各作物が設置される栽培区画の情報を記憶するデータベースを更新するステップとを実行することを特徴とする作物の生育管理方法である。
【0013】
かかる方法によれば、各作物が設置される栽培区画を記憶するデータベースを更新する際に、作物と栽培区画の固有情報を手入力せずに更新作業を行うことができるため、作物の設置場所を正確に管理することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上に述べたように、本発明によれば、従来構成に比べて、農園において作物の設置場所を正確に管理可能となるから、実際に作物が設置された栽培区画と、管理情報の栽培区画との食い違いによって、作物を不適切な環境下においてしまったり、作業対象の作物を取り違えたりすることがなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0017】
まず、実施例の作物生育管理システムを適用する農園について説明する。実施例の農園は、屋内に設けられた植物工場であり、
図1に示すように、作物を生育する栽培室1を備えている。栽培室1には、複数の栽培棚2が配設されており、該栽培棚2に作物を植えた栽培容器3a〜3cが設置される。また、図示は省略するが、栽培室1には、温度、湿度などの生育条件を制御する空調装置や、自動給水装置、照明装置が配設される。また、各栽培棚2には、温度、湿度、水温、水質をラックごとに計測するための測定装置(図示省略)が設けられる。
【0018】
栽培棚2は、
図2に示すように、三段四列に区画されており、各区画4に栽培容器3a〜3cを二つまで設置可能となっている。かかる農園では、この栽培棚2の各区画4が栽培容器3a〜3cを設置する単位区画として管理される。すなわち、栽培棚2の各区画4は、本発明の栽培区画に相当するものである。
【0019】
図3は、栽培容器3a〜3cの概略図である。
図3に示すように、農園では、作物の生育段階に合わせて三種類の栽培容器3a〜3cが用いられる。具体的には、作物は、第一の栽培容器3aに播種されて、収穫までに第二の栽培容器3b、第三の栽培容器3cへと植え替えられる。ここで、
図3に示すように、通常、定植時には、植替え元の栽培容器3a,3bの作物が、複数の栽培容器3b,3cに分割される。また、各栽培容器3a〜3cには、後述する作物識別タグ6が一つずつ取り付けられる。
【0020】
図4は、農園での作物生育の作業工程を示すフローチャートである。時系列で説明すると、まず、播種作業では、第一の栽培容器3aに所要品種の播種を行う。播種した第一の栽培容器3aは栽培棚2の一区画4に設置され、管理された条件下で生育される。経過観察作業では、定期的に作物の生育状況を確認する。そして、作物が所定サイズに生育すると第一回定植作業を実行する。第一回定植作業では、作物を第一の栽培容器3aから第二の栽培容器3bに植え替える。第二の栽培容器3bに植え替えられた作物は、栽培棚2に戻し、定期的に経過観察しながら生育させる。その後、第二の栽培容器3bの作物の生育が進行して所定サイズに達すると、第二回定植作業を実行する。第二回定植作業では、作物を第三の栽培容器3cに植え替えて、栽培棚2に戻す作業を行う。第三の栽培容器3cに植え替えた作物は、定期的に経過観察しながら生育させ、当該作物が、所定レベルにまで生育したと認められると、当該作物を「出荷許可」の状態とする。出荷許可の状態にした作物は、所要のタイミングで収穫作業を行い出荷する。また、農園では、
図4に示す作業工程の他に、栽培棚2の空き状況に応じて、栽培容器3a〜3cの移替え作業を行う。
【0021】
図5は、本実施例の作物生育管理システムの構成図である。この作物生育管理システムは、上記農園に設置されて、作物の播種から収穫までの作業工程を管理するものである。具体的には、作物生育管理システムは、管理用コンピュータ10と、外部記憶装置11と、作業者が携帯する携帯端末12と、農園内に敷設される有線LAN13と、携帯端末12を有線LAN13に接続するための無線LANアクセスポイント14と、有線LAN13に接続されるプリンタ15と、栽培棚2の各区画4に貼付される前記区画識別タグ5と、栽培容器3a〜3cに取り付けられる前記作物識別タグ6とを備えてなる。
【0022】
管理用コンピュータ10は、汎用のパソコンによって構成されるものであり、有線LAN13に接続され、インストールされたプログラムにしたがって、作物の生育状態を統括的に管理する。
【0023】
外部記憶装置11は、有線LAN13に接続されたハードディスクである。外部記憶装置11は、栽培棚2の使用状況を記憶する棚データベースと、作物の状況を記憶する作物データベースと、作物の栽培作業の進捗履歴を記憶する実績データベースと、作物の生育環境の測定履歴を記憶する環境データベースとを記憶しており、各データベースの情報を、管理用コンピュータ10によって参照・更新し得るよう構成されている。すなわち、本発明に係る管理装置は、管理用コンピュータ10と外部記憶装置11とによって構成される。
【0024】
具体的には、棚データベースは、
図6に示すように、栽培棚2の各区画4の固有情報(棚番+棚段+棚列)と、対応する区画4の状況(使用中、使用不可など)を記憶している。また、作物データベースは、
図7に示すように、栽培容器3a〜3cに植えた作物の固有情報(品番+ロット番号)や、当該作物の生育状況や、当該作物の栽培容器3a〜3cの設置された区画4などの情報を記憶する。そして、実績データベースは、
図8に示すように、各作物を生育する過程で行った作業履歴を処理日時とともに蓄積記憶するものである。この実績データベースに記憶されるデータを時系列に並べて参照することで、工程管理を簡単に行うことが可能となる。対象作物の固有情報や、作業の進捗区分、処理日時などを記憶する。また、環境データベースは、
図9に示すように、温度や湿度等の生育環境の測定結果を測定日時とともに蓄積記憶するものである。なお、環境データベースには、栽培棚2ごとの測定結果が記憶される。
【0025】
携帯端末12は、既存のハンディターミナルによって構成されるものであり、RFIDタグに記憶されるデータを読み書きする読取書込装置と、無線LANアクセスポイント14を介して管理用コンピュータ10と通信するための通信装置とを備えている。後述するように、この携帯端末12は、
図4に示した各作業工程において、区画識別タグ5や作物識別タグ6が記憶するデータを参照・更新し、また、管理用コンピュータ10を介して上述の各データベースの情報を参照・更新するのに用いられる。
【0026】
区画識別タグ5は、シート状基材にRFIDインレットを埋設してなる非接触式のRFIDタグ(パッシブタグ)であり、
図2に示すように、栽培棚2の各区画4に一枚ずつ貼付される。区画識別タグ5の表面には、栽培棚2の各区画4の位置を示す固有情報が記憶される。例えば、栽培棚2の左上の区画の区画識別タグ5には「A−1−1」という固有情報が印刷されるが、これは、当該区画4が、棚番号「A」の栽培棚2の上から「1」段目、左から「1」列目にあることを示している。また、
図10(a)に示すように、区画識別タグ5のRFIDインレットのICチップには、栽培棚2の区画4の固有情報を記憶する領域が設けられており、当該固有情報を携帯端末12によって読み取り得るように構成されている。
【0027】
作物識別タグ6は、棒状基材にRFIDインレットを埋設してなる非接触式のRFIDタグ(パッシブタグ)であり、
図3に示すように、栽培容器3a〜3cごとに一本ずつ取り付けられる。
図10(b)に示すように、作物識別タグ6のRFIDインレットのICチップには、栽培容器3a〜3cで生育される作物の固有情報や、当該作物の数量や進捗状況などの情報を記憶する領域が設けられており、これらの情報を携帯端末12によって読み書きし得るよう構成されている。なお、区画識別タグ5や作物識別タグ6に埋設されるRFIDタグは、汎用品を好適に用い得るため、それらの構造に関する説明は省略する。
【0028】
本実施例の作物生育管理システムでは、作物に対して作業を行う度に、携帯端末12を用いて作業者にデータベースの情報を更新させることにより、栽培作業の進捗状況や、作物の設置場所を統括的に管理するものである。以下、
図4に示した各作業工程に対する作物生育管理システムの運用方法を説明する。
【0029】
まず、播種作業では、第一の栽培容器3aに播種を行った後に、作業者は、当該栽培容器3aに新しい作物識別タグ6を取り付け、携帯端末12に播種処理を実行させる。
図11に示すように、播種処理では、まず、播種した作物の「品番」と「数量」を携帯端末12に入力し(ステップS11)、次に、管理用コンピュータ10と通信して、新規の「ロット番号」を取得する(ステップS12)。ここで得られた品番とロット番号の組み合わせが、播種した作物の固有情報となる。そして、これらの情報を作物識別タグ6に書き込むとともに(ステップS13)、管理用コンピュータ10を介して作物データベースと実績データベースを更新する(ステップS14)。そして、作業者が、当該栽培容器3aを栽培棚2に設置するのに合わせて、後述の容器設置処理(ステップS15)を実行すると、播種処理が終了する。
【0030】
経過観察作業では、作業者は携帯端末12に経過観察処理を実行させる。
図12に示すように、経過観察処理では、まず、経過観察する栽培容器3a〜3cに取り付けられた作物識別タグ6の読取りを行い、観察対象の作物を特定し(ステップS21)、管理用コンピュータ10を介して当該作物に関する情報を作物データベースから取得する(ステップS22)。そして、当該作物を目視確認した上で、当該作物の生育状態を選択する。生育状態の選択肢は携帯端末12の表示画面に表示される(ステップS23)。ここで、栽培容器3a〜3cの作物の数量を変更すべき場合は、その理由とともに変更後の数量を入力する(ステップS24)。そして、これらの経過観察の結果情報について作物識別タグ6のデータを更新し(ステップS25)、さらに管理用コンピュータ10を介して作物データベースと実績データベースを更新すると(ステップS26)、経過観察処理が終了する。
【0031】
第一回定植作業及び第二回定植作業では、作物の植替えを終了すると、作業者は、携帯端末12に定植処理を実行させる。
図13に示すように、定植処理では、まず、植替え元の栽培容器3a,3bの作物識別タグ6の記憶データを読取り(ステップS31)、管理用コンピュータ10を介して作物データベースに記憶された関連情報を取得する(ステップS32)。続いて、植替え先の栽培容器3b,3cの作物識別タグ6の記憶データを読取り(ステップS33)、当該栽培容器3a,3bに植え替えた作物の数量を入力し(ステップS34)、当該作物識別タグ6に植替え元の作物の固有情報や、植え替えた数量等を書き込むとともに(ステップS35)、作物データベースと実績データベースを更新する(ステップS36)。ここで、植替え先の栽培容器3b,3cが複数ある場合には、未処理の栽培容器3b,3cの有無を確認し(ステップS37)、未処理の栽培容器3b,3cが無くなるまでステップS33〜S36を繰り返す。植替え先の栽培容器3b,3cを全て処理した後は、植替え元栽培容器3a,3bの作物識別タグ6に書込みを行うとともに、作物データベースと実績データベースを更新する。そして、作業者が、当該栽培容器3a〜3cを栽培棚2に設置するのに合わせて、後述の容器設置処理(ステップS15)を実行すると、定植処理が終了する。
【0032】
栽培した作物を「出荷許可」の状態にする場合は、作業者は、携帯端末12を用いて出荷許可処理を実行する。
図14に示すように、出荷許可処理では、まず、対象の栽培容器3cの作物識別タグ6の読取りを行い(ステップS41)、棚データベースと作物データベースから関連情報を取得する(ステップS42)。そして、当該作物識別タグ6に出荷許可に関する情報を書き込むとともに(ステップS43)、作物データベースをと実績データベース更新する(ステップS44)。
【0033】
作物の収穫作業では、作業者は、作物収穫後に、携帯端末12に収穫処理を実行させる。
図15に示すように、収穫処理では、まず、収穫する栽培容器3cの作物識別タグ6を読み取り(ステップS51)、収穫した数量を入力する(ステップS52)。そして、作物識別タグ6の記憶情報を更新するとともに(ステップS53)、作物データベースと実績データベースを更新する(ステップS54)。ここで、栽培容器3cの作物を全量収穫したかを確認し(ステップS55)、全量収穫した場合は、そのまま収穫処理を終了し、未収穫の作物がある場合は、作業者が、当該栽培容器3cを栽培棚2に設置するのに合わせて、後述の容器設置処理(ステップS15)を実行し、収穫処理を終了する。
【0034】
上述の容器設置処理では、
図16に示すように、まず、栽培棚2に設置する栽培容器3a〜3cの作物識別タグ6の読取りを行う(ステップS61)。続いて、栽培容器3a〜3cを設置する区画4に貼付された区画識別タグ5の読取りを行い(ステップS62)、棚データベースから当該区画4に関する情報を取得する(ステップS63)。そして、当該区画4の状況区分を確認し(ステップS64)、「使用中」である場合には、混載である旨を報知するメッセージを表示する。そして、管理用コンピュータ10を介して作物データベース、実績データベース及び棚データベースを更新すると(ステップS65)、容器設置処理が終了する。
【0035】
また、栽培容器3a〜3cの設置場所を移動させた場合には、作業者は、携帯端末12を用いて容器移動処理を実行する。上述の容器移動処理では、
図17に示すように、まず、栽培棚2に設置する栽培容器3a〜3cの作物識別タグ6の読取りを行う(ステップS71)。続いて、栽培容器3a〜3cを設置する区画4に貼付された区画識別タグ5の読取りを行い(ステップS72)、棚データベースから当該区画4に関する情報を取得する(ステップS73)。そして、当該区画4の状況区分を確認し(ステップS74)、「使用中」である場合には、混載である旨を報知するメッセージを表示する。そして、管理用コンピュータ10を介して作物データベース、実績データベース及び棚データベースを更新すると(ステップS75)、容器移動処理が終了する。
【0036】
また、本実施例の作物生育管理システムでは、管理用コンピュータ10で、環境データベースを更新する環境登録処理が定期的に実行される。具体的には、環境登録処理では、
図18に示すように、管理用コンピュータ10は、栽培室1の内部の生育環境の測定結果(温度と湿度)を環境データベースに登録し(ステップS81)、続いて、栽培棚2ごとの生育環境の測定結果(温度、湿度、CO
2濃度、水温、水質)を環境データベースに登録する(ステップS82)。
【0037】
このように、本実施例では、各作業工程において、携帯端末12を用いてデータベースの更新を行うため、栽培作業の進捗状況や作物の設置場所を効率よく管理できる。特に、本実施例では、作物を植えた栽培容器3a〜3cと、該栽培容器3a〜3cを設置する栽培棚2の各区画4とに識別タグ5,6を設け、各作業工程において、それらの識別タグ5,6を携帯端末12に読み取らせることによって、作業対象の作物や区画4を識別しているため、作物や区画4の取り違えが起き難いという利点がある。
【0038】
例えば、本実施例では、栽培容器3a〜3cを栽培棚2に設置したり、栽培容器3a〜3cの設置場所を変更したりする際に、区画識別タグ5と作物識別タグ6から、作物と区画4の固有情報を携帯端末12で読み取って、当該固有情報に基いて作物データベースを更新するようにしているため、作物データベースにおいて、作物を植えた栽培容器3a〜3cの設置される区画4を正確に管理できるという利点がある。
【0039】
また、本実施例では、栽培容器3a〜3cの作物の情報(数量、進捗、状態など)を作物識別タグ6にも記憶させ、各作業工程において、作物識別タグ6の記憶するデータを携帯端末12で更新しているため、携帯端末12と管理用コンピュータ10との通信に不具合が生じた場合でも、作物識別タグ6を読み取ることによって、各作物についての各種情報を携帯端末12で確認できるという利点がある。
【0040】
また、本実施例では、作物に対して作業を行う度に実績データベースを更新し、実績データベースに各作物の栽培作業の進捗履歴を蓄積記憶するとともに、定期的に環境データベースを更新し、作物の生育環境の測定履歴を蓄積記憶している。そして、本実施例にあっては、実績データベースと環境データベースを比較することによって、作物の成長率(終了)と生育環境の相関を把握することができ、かかる相関関係に基いて収穫可能日や予想収穫量を正確に推測したり、より好ましい生育環境を推測できるという利点がある。
【0041】
なお、本発明は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【0042】
例えば、上記実施例では、区画識別タグ5がシート状をなし、作物識別タグ6が棒状をなしているが、各識別タグの形状はこれに限定されず、種々変更可能である。具体的には、作物識別タグをシート状にして、栽培容器の表面に貼付するようにしてもよい。また、園芸用のネームプレートのように、作物識別タグを栽培容器の内部の培地(土やスポンジ)に突き刺して取り付ける形状にしてもよい。また、上記実施例では、区画識別タグ5及び作物識別タグ6がRFIDタグによって構成されていたが、本発明に係る区画識別タグ及び作物識別タグは、バーコードやQRコード(登録商標)などの光学読取式タグで構成することもできる。
【0043】
また、上記実施例の作物生育管理システムでは、管理用コンピュータ10と携帯端末12とを、LAN13,14を介して通信させていたが、本発明に係る管理装置と携帯端末は、公衆通信回線を介して通信させることもできる。
【0044】
また、上記実施例では、本発明に係る管理装置を一台の管理用コンピュータ10と外部記憶装置11とで実現しているが、本発明に係る管理装置は、クライアントPCとサーバとからなる複数台のコンピュータで構成することも可能である。
【0045】
また、上記実施例では、本発明を植物工場に適用した例を説明したが、本発明は、閉鎖環境で作物を栽培する農園に限らず、作物を露地栽培する農園にも適用可能である。露地栽培の農園に本発明を適用する場合は、本発明に係る環境データベースに、日照時間や気温、降水量などの測定履歴を記憶させることが提案される。また、上記実施例では、栽培棚2の各区画4が、本発明に係る栽培区画に相当しているが、本発明に係る栽培区画は、棚で仕切られた区画に限らず、耕地を平面的に仕切った区画であってもよい。