【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の課題は、請求項1に記載した方法によって解決される。この方法では、基板の表面に画像が形成され、この画像がバーコードを含む少なくとも1つの画像領域を有している。
【0021】
基板は任意の印刷材料であり、たとえばロール紙、枚葉紙である。ここではとりわけ厚い枚葉紙、たとえばボール紙その他の包装材料またはフィルム印刷材料とすることができる。基板はさらに印刷方法の中間製品、たとえば印刷版とすることができる。
【0022】
基板表面での挿絵の実行および画像の形成のために本発明では第1のコンピュータにより、基板に挿絵するための電子原稿を含むデータセットが形成される。
【0023】
ここで電子原稿はカラーで実施することができる。したがって電子原稿は、完成した印刷製品のために設けられた個々の色分解版またはすべての色分解版の重ね合わせに対応する。原稿は、完成印刷製品には現れない領域を有することができる。この領域は原稿の縁部領域に形成され、印刷材料の挿絵過程の後に切り取られる。またはこの領域は引き続く印刷方法では印刷材料上に塗布されないように印刷版に提供される。
【0024】
しかしバーコードが形成される画像領域は、適用事例に応じて最終印刷製品上で可視となる画像内に置くこともできる。
【0025】
データセットはページ記述言語(PDL)で形成される。現在、印刷製品の形成で通常のページ記述言語はたとえばPDFである。データセットは好ましくはこのフォーマットで形成される。しかし他のページ記述言語も可能である。
【0026】
このデータセット内で第1の領域には第1のセグメントがファイルされ、このセグメントは第1のバーコードを記述するデータを含んでいる。とりわけここでは、バーコードをグラフィック表示で、たとえばビットマップまたは所定のフォントのテキストとして格納することができる。
【0027】
さらにデータセット内では第1の領域全体を識別エレメントによって一時的に識別できるようにすることができる。このような識別エレメントは、本発明の改善形態ではたとえフォームX−Objectとすることができる。このX−Objectは第1の領域全体を含み、または記述する。
【0028】
第1の領域と第1のバーコードを含む第1のセグメントとを備えるデータセットが形成された後、このデータセットは記憶媒体に記憶される。またはデータ流としてたとえばネットワークまたはインターネットを介して第2のコンピュータに送信される。記憶媒体はたとえばハードディスク、フラッシュメモリ、CDまたはDVDとすることができる。
【0029】
次にこの記憶されたまたは送信されたデータセットは、第1または第2のコンピュータで開かれる。
【0030】
設けられた識別エレメントによって、データセットの第1の領域が識別される。とりわけ第1のバーコードはこの識別エレメントを使用してモニタまたは他のディスプレイに表示される。
【0031】
この第1のバーコードにアクセスされ、個々のパラメータの変更および/または第1のバーコードの内容の変更が行われる。アクセスは、たとえばモニタまたは他のディスプレイにおいて選択手段を介して行うことができる。そのために第1のセグメントからのバーコードが復号され、ディスプレイに表示される。ここで選択手段は、ディスプレイのタッチ操作、またはマウスポインタであり、これらによってバーコードが選択される。このようにして選択された、またはアクセスされた第1のバーコードで変更を実施することができる。変更の実施はもっぱら、第2のセグメントにバーコード自体とは別個にこれに割り当てられ格納された個々のパラメータで行うことができる。
【0032】
このように変更されたパラメータおよび/またはバーコードの内容によって、データセット内の第1の領域が内容的に変更される。ここでは第1の領域を補充もしくは変更するか、または好ましい実施形態では変更されたパラメータおよび/または内容によって第1の領域を新たに形成し、データセットに格納することができる。
【0033】
次に変更された第1の領域を備えるデータセットに基づいて、基板に挿絵される。挿絵は挿絵装置で行われる。挿絵装置は、基板に応じてたとえば印刷版露光器、インクジェットプリンタ、電子写真フォトプリンタ、または他のデジタル印刷機またはオフセット印刷機であり、印刷材料が版下に基づいて挿絵され、形成された印刷版によりバーコードが画像として枚葉紙に取り付けられる。
【0034】
本発明によれば、基板には変更されたパラメータおよび/または変更された内容を考慮してバーコードが少なくとも1つの画像領域に物理的に形成される。そしてバーコードはスキャンされ、読み出されたデータに基づいて、すなわちこのデータに依存して、基板をたとえばさらなる処理ステップに送ることができる。
【0035】
有利な実施形態では、データセットの第1の領域内に少なくとも1つの第2のセグメントが置かれる。この第2のセグメント内にはバーコードを記述するためのメタ情報が格納される。このメタ情報は、バーコードを記述する情報である。メタ情報には、たとえば背景色、前景色、文字の太さ、モジュールの高さ、モジュールの幅、バーコードの形式、印刷材料上のまたはレイアウト内の位置、可能な色規則、特定のまたは選択すべきフレームの設置、スペースマーク定義、すなわちどのスペースマークを設けることができるか、あるいはスペースマークが設けられているのか、どのような文字集合であるのか、どのような文字サイズがバーコードの個々の領域に設けられているのか、全体としてどのようなテキスト内容が作成されたのか、が含まれる。このメタ情報を作成することにより、データセット内のすべての情報がページ記述言語でファイルされ、さらなる方法ステップで別のプログラムまたは別のコンピュータ上に前記すべての情報が提供される。そして第1のバーコードが開かれ、個々のパラメータまたは内容だけがさらなる要求に適合される。ここでデータセット自体はページ記述言語で格納されており、メタ情報は、専用データセット情報の第2のセグメントのプライベート領域に格納することができる。
【0036】
そしてこの適合に基づいて、データセット内に内容的に変更された第1の領域が形成され、このデータセットに基づいて基板に挿絵装置で挿絵される。このときパラメータ変更および/または内容変更を考慮して、バーコードが少なくとも1つの挿絵領域に物理的に形成される。
【0037】
本方法の有利な改善形態では、第1のセグメント内にバーコードがグラフィック表示で格納され、第2の節面とにはバーコードを記述するためのメタ情報が格納される。すでに述べたように、メタ情報は専用のデータセット情報に格納することができ、ここではPDLコーディングが不要である。したがって領域内のメタ情報は、いわゆるデータセットのプライベートセグメントであり、これはPDLの特別の仕様に対応する必要がない。
【0038】
本発明の方法によれば、可及的に簡単に処理することのできるバーコードがワークフロー内に実現される。このことは、第1のステップでまず第1の領域を備えるデータセットを形成し、次に第2のステップで形成されたデータセットを第2のコンピュータまたは第1のコンピュータで新たに開き、第3のステップで、メタデータおよび/または第1のセグメントのグラフィックデータを変更または置換し、これにより第2のメタデータおよび/または第2のバーコードを形成し、このときに、第2のメタデータを第2のバーコードの形成の基礎として用い、そしてデータセットの第1の領域を第2の領域により置換し、このときに第2の領域が、変更された第2のバーコードを備える変更された第1のセグメントを含み、第2の領域が、変更されたメタデータを備える変更された第2のセグメントをさらに含むことによって可能となる。ここで第2のセグメントは、ユーザの入力および/またはすでに基板において実行されたもしくは実行すべき作業ステップに依存する。
【0039】
このように形成された変更されたデータセットは、基板上に第2のバーコードを挿絵するために使用される。
【0040】
有利にはこの方法により、バーコード自体をダイナミックなマークのように使用することができる。そのために、第3のセグメントが第1の領域内に形成される。この第3のセグメントは、第2のセグメントの一部とすることもできる。
【0041】
この第3のセグメント内には、メタ情報には直接対応しないが、第2のバーコードの内容に影響する別のデータが格納される。このデータは好ましくはプレイスマークの形のデータである。そのために、ダイナミックなマーク、すなわちプレイスマークを有するテーブルをメモリのメモリ領域にファイルすることができる。
【0042】
第2のバーコードを基板上に形成するために、さらなるステップでプレイスマークが所定の値により置換される。プレイスマークはたとえばマーク$Color$であり、第2のバーコードを形成する前にこのダイナミックなマークを、挿絵すべき色分解版の対応する値、たとえばシアンにより置換することができる。第2および第3のセグメントのデータに基づいて、第2のバーコードがまず第1のセグメントに、または直接基板に形成される。プレイスマークはとりわけ、どの色の色分解版であるかという値、印刷ジョブのID、顧客ID、プレートのID、プレートの番号、または日付もしくは時刻とすることができる。
【0043】
本発明の有利な実施形態では、第1の領域がPDFデータセットの第1のフォームxObjectsの形で形成される。これによりPDFデータセットから既知のエレメントを第1の領域の識別のために使用することができる。
【0044】
このフォームxObjectsは、グラフィックエレメントの形のバーコードを第1のセグメント内に、メタ情報を第2のセグメント内に含む。ここでメタ情報は、PDFに対して使用されるプログラム言語からのオブジェクト内に、または一般的にODLからのオブジェクト内に格納する必要はない。格納された少なくとも1つのメタ情報は、量、形式、位置、レイアウト固有の位置、相対位置決定、モジュールの高さと幅、ラインリダクション、背景色、前景色、色規則、フレーム、スペースマーク定義、符合セット、符合サイズ、および第2のセグメント内のバーコードのテキスト内容からなることができる。複数のメタ情報を使用する際には、これらメタ情報の少なくとも1つが使用される。このようにして、PDFデータセットを備えるフォームxObjects内のバーコードの特別のまたは必要な特性を、記憶手段からたとえば第1のコンピュータのワークメモリから第1のコンピュータのハードディスクメモリに、または第1のコンピュータから第2のコンピュータに伝送することができる。この第2の個所では新たにバーコードにアクセスし、アクセスの際に特定のまたは必要なすべてのメタ情報を獲得することができる。
【0045】
別の有利な実施形態では、第1のステップで第1の領域の第1のセグメント内に新に使用すべきバーコードが形成されない。ここではまず、とくに内容のないダミーバーコードが第1の領域または第1のセグメント内に形成される。このように準備された第1の領域を備え、第2のセグメントには形成すべきバーコードに対するメタ情報をすでに格納しておくことのできるデータセットを、印刷製品製造のワークフロー内でさらに処理することができる。第1の領域として上に述べたようにフォームxObjectsを使用することができる。
【0046】
次に基板に挿絵する前に、ダミーバーコードが第2のセグメントのメタ情報および/または第3のセグメントのデータを使用して所定のバーコードと置換される。そのために上に述べたダイナミックマークも使用することができる。その際、メタデータは所定のバーコードのテキストを基準にして適切に適合される。
【0047】
このように形成されたバーコードに基づいて、所定のバーコードを備える2の領域または第2のフォームxObjectが作成される。ここで第2のセグメントには適合されたメタ情報が格納され、データセットまたは第1の領域内の第1のフォームxObjectが第2の領域または第2のフォームxObjectにより指定される。
【0048】
このようにしてデータセットが変更され、所属のメタ情報を備える特定のバーコードが格納される。このときにバーコード自体を識別および符号化ないし復号するための特別のコストは必要ない。
【0049】
印刷会社が外部の顧客からバーコードを備えた対応する版下を入手してみると、バーコードがいかなる情報も含んでいないか、または予定の印刷方法での概念では十分に適切に製造できないことがある。このように出荷されたオリジナルデータセットは、オリジナルバーコードとともに第1のコンピュータに伝送される。次にこのオリジナルバーコードはオリジナルデータセット内で、それが可能であればPDLの適切な手段により除去されるかまたは消去される。このオリジナルデータセットに基づいて、第1の領域を備えるデータセットが形成され、第1の領域はオリジナルデータセットの前記除去された領域に格納される。第1の領域は第1のセグメントに第1のバーコードを含んでおり、第1のバーコードは少なくとも内容的にオリジナルバーコードに対応する。さらなる処理および第1のバーコード内での可用性のためのメタ情報は、第1の領域の第2のセグメントに格納される。
【0050】
さらに上に説明した方法を実施するために使用されるコンピュータプログラムを記憶するデータ担体に対する保護が請求される。
【0051】
本発明のさらなる課題は、装置の観点から基板に画像を挿絵するための装置によって解決され、形成すべき画像はバーコードを含む少なくとも1つの画像領域を有する。この装置は、印刷版用の挿絵装置および/または印刷機と、バーコードを形成するための少なくとも1つの第1のコンピュータとを有する。
【0052】
第1のコンピュータは少なくとも1つの入力機構とディスプレイを有する。さらにデータセットとページ記述言語(PDL、好ましくはPDF)を解釈するためのインタプリタモジュールが含まれる。このインタプリタモジュールは、データセットを挿絵方法で使用するために解釈し、挿絵すべき領域をディスプレイ上にグラフィック表示するのに適する。
【0053】
さらに第1のコンピュータは、少なくとも1つの入力モジュールを有する。この入力モジュール自体がバーコードのメタ情報を入力するための入力エレメントを有する。メタ情報の入力は、第1のコンピュータの少なくとも1つの入力機構を介して行うことができる。この入力機構は、たとえばキーボード、マウス、トラックボールまたはディスプレイのタッチスクリーン領域とすることができる。
【0054】
本発明によれば、インタプリタモジュールと入力モジュールが情報では相互に接続されている。インタプリタモジュールは、データセットの第1の領域の第1のセグメントから情報を読み出すことのできる第1の読み出しエレメントを有している。このインタプリタモジュールは読み出された情報に基づいてバーコードのグラフィック構成、すなわちバーコードがディスプレイ上にどのように再現されるかを求め、ディスプレイを対応して制御することができる。
【0055】
インタプリタモジュールは、データセットの第1の領域の第2のセグメントからバーコードのメタ情報を読み出すことのできる第2の読み出しエレメントを有する。入力モジュール、インタプリタモジュールおよびディスプレイの間の接続は、インタプリタモジュールにより読み出されるメタ情報が入力モジュールの入力エレメントに引き渡され、ディスプレイ上に表示されるよう構成されている。
【0056】
第1のコンピュータの対応する入力手段によって、表示されるメタ情報を変更することができる。
【0057】
さらに少なくとも1つのバーコード形成モジュールが設けられており、このバーコード形成モジュールは、入力エレメントに入力されたメタ情報または変更されたメタ情報に基づいて第2のバーコードを形成することができる。
【0058】
さらに、メタ情報の入力または変更を第2のセグメントに登録する書き込みモジュールが設けられている。この書き込みモジュールまたは択一的もしくは付加的な書き込みモジュールは、バーコードでの対応する変更をグラフィック形式で第1の領域の第1のセグメント内に形成することもできる。
【0059】
さらに記憶手段を含んでおり、この記憶手段では変更された第1および/または第2のセグメントを備えるデータセットが第1の領域内に記憶される。
【0060】
本発明が限定されるものではなく、本発明のさらなる特徴も生じ得る本発明の実施例を、図面に基づいて以下に説明する。