(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012350
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】熱交換器の解体方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/30 20060101AFI20161011BHJP
G21C 19/02 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
G21F9/30 531E
G21C19/02 Y
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-202600(P2012-202600)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-59149(P2014-59149A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛
(72)【発明者】
【氏名】濱本 智元
(72)【発明者】
【氏名】中野 俊英
【審査官】
後藤 孝平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−292063(JP,A)
【文献】
特開2004−279230(JP,A)
【文献】
特許第0373521(JP,B2)
【文献】
特開昭61−221700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30
G21F 9/00
G21C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧部と当該円弧部の両端から延在する直線部とからなり、当該直線部の前記円弧部とは反対側の端部が管板に固定された複数の伝熱管を胴部内の管支持板で挿通支持する熱交換器の解体方法において、
前記伝熱管の円弧部を除去する工程と、
前記伝熱管の直線部と前記管板との接続を切断する工程と、
前記伝熱管の直線部を、当該直線部の延在方向に沿って前記熱交換器の前記胴部内の前記管支持板から引抜く工程と、
を有することを特徴とする熱交換器の解体方法。
【請求項2】
前記伝熱管の直線部を前記熱交換器の胴部から引き抜きながら、当該直線部の引き抜かれた部分を折り曲げ加工する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の解体方法。
【請求項3】
前記伝熱管の直線部を前記熱交換器の胴部から引き抜きながら、当該直線部の引き抜かれた部分を平坦状に圧縮加工する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の解体方法。
【請求項4】
前記伝熱管の直線部を前記熱交換器の胴部から引き抜きながら、当該直線部の引き抜かれた部分を平坦状に圧縮加工し、続けて折り曲げ加工する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器の解体方法。
【請求項5】
円弧部と当該円弧部の両端から延在する直線部とからなり、当該直線部の前記円弧部とは反対側の端部が管板に固定された複数の伝熱管を胴部内に有する熱交換器の解体方法において、
前記伝熱管の円弧部を除去する工程と、
前記伝熱管の直線部と前記管板との接続を切断する工程と、
前記伝熱管の直線部を、当該直線部の延在方向に沿って前記熱交換器の胴部から引抜く工程と、
前記伝熱管の直線部を前記熱交換器の胴部から引き抜きながら、当該直線部の引き抜かれた部分を折り曲げ加工する工程と、
を有することを特徴とする熱交換器の解体方法。
【請求項6】
円弧部と当該円弧部の両端から延在する直線部とからなり、当該直線部の前記円弧部とは反対側の端部が管板に固定された複数の伝熱管を胴部内に有する熱交換器の解体方法において、
前記伝熱管の円弧部を除去する工程と、
前記伝熱管の直線部と前記管板との接続を切断する工程と、
前記伝熱管の直線部を、当該直線部の延在方向に沿って前記熱交換器の胴部から引抜く工程と、
前記伝熱管の直線部を前記熱交換器の胴部から引き抜きながら、当該直線部の引き抜かれた部分を平坦状に圧縮加工し、続けて折り曲げ加工する工程と、
を有することを特徴とする熱交換器の解体方法。
【請求項7】
前記伝熱管の直線部を引き抜くとともに、当該直線部内の介在物を検査する工程と、当該検査結果に応じて前記加工のトルクを調整する工程とを含むことを特徴とする請求項2〜6の何れか1つに記載の熱交換器の解体方法。
【請求項8】
前記伝熱管の前記直線部内の介在物を渦流探傷検査によって検査することを特徴とする請求項7に記載の熱交換器の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の胴部内に配置されている伝熱管を解体するための熱交換器の解体方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)に用いられる熱交換器としての蒸気発生器は、逆U字形状に形成された多数の伝熱管を有している。伝熱管は、その両端部が、蒸気発生器の筒状の胴部の下側に固定された管板に対して挿入固定され、管板下の入口側水室と出口側水室とにそれぞれ連通されている。また、伝熱管は、その直線部が、蒸気発生器の胴部側に固定された複数の管支持板に挿通支持されている。この蒸気発生器は、原子炉から加圧された高温の一次冷却水が入口側水室から導入され、伝熱管内部を流れて出口側水室から原子炉に戻される。そして、伝熱管内部に一次冷却水が流れることで当該伝熱管が加熱されるため、蒸気発生器の胴部内に導入された二次冷却水を加熱し蒸気とする。
【0003】
この蒸気発生器は、交換時や原子炉の廃炉の際に取り外される。蒸気発生器は、上述したように、伝熱管の内部を原子炉からの一次冷却水が通過するため、伝熱管は放射線に曝されており放射能を含む。そのため、一般に、取り外された蒸気発生器は、放射性廃棄物として、原子力発電設備内の保管庫にそのままの形で保管されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、蒸気発生器は、例えば、外径4.5m、長さ(高さ)21m、重量300tと大型のものであり、今後保管する蒸気発生器の数が増えると、今よりも大型の保管庫を用意する必要がある。しかしながら、現存する原子力発電設備内において、さらなる保管庫の場所を確保することは困難な状況にある。
【0005】
このため、蒸気発生器を解体し、放射性廃棄物と非放射性廃棄物とを分けることで、放射性廃棄物の保管に必要な容積を低減することが検討されている。蒸気発生器において、放射能を含む廃棄物としては、例えば、伝熱管や水室が挙げられる。ここで、従来、蒸気発生器から伝熱管を取り除く方法が提案されている。この方法では、伝熱管が、胴部の内部に位置した状態で、伝熱管が管板に近接した部分で切断される。そして、上胴部の先端部分を開口し、開口部に圧延ロール装置およびプレス装置を設置し、引き抜き装置によって伝熱管のU字形状の湾曲部を掴んで引き抜き、圧延ロール装置によって予備圧縮し、次に、プレス装置によって当該伝熱管を押し潰す。押し潰された伝熱管は、切断装置によって所定長さに切断され、保管箱に保管される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−43577号公報
【特許文献2】特許第3732521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
蒸気発生器の伝熱管のU字形状の湾曲部(円弧部)には、一次冷却水が各伝熱管内を通過する際に発生し得る流体励起振動を抑制するための振止部材が設けられている。従って、上述した特許文献2に示す方法のように、伝熱管のU字形状の湾曲部を掴んで引き抜く場合、振止部材が邪魔になって伝熱管の引き抜きを阻害することを防止するため、伝熱管を引き抜く前に振止部材を伝熱管層の間から1つずつ引き抜いて取り除く作業が必要となる。また、特許文献2に示す方法のように、伝熱管のU字形状の湾曲部を掴んで引き抜く場合、蒸気発生器の管板に固定されている伝熱管の両端部を予め切断しておかなければならない。
【0008】
また、特許文献2に示す方法のように、伝熱管のU字形状の湾曲部を掴んで引き抜き、プレス装置によって当該伝熱管を押し潰す場合、中央部に纏めるように引き抜き、湾曲部を潰すことになるため、伝熱管を管支持板から引き抜く抵抗が増大し、場合によっては伝熱管が管支持板の挿入穴の縁に食い込んで引き抜けなくなったり、伝熱管が切れてしまったりするおそれがある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、伝熱管の取り外しを容易に行うことのできる熱交換器の解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、第1の発明の熱交換器の解体方法は、円弧部と当該円弧部の両端から延在する直線部とからなり、当該直線部の前記円弧部とは反対側の端部が管板に固定された複数の伝熱管を胴部内に有する熱交換器の解体方法において、前記伝熱管の円弧部を除去する工程と、前記伝熱管の直線部と前記管板との接続を切断する工程と、前記伝熱管の直線部を、当該直線部の延在方向に沿って前記熱交換器の胴部から引抜く工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
この熱交換器の解体方法によれば、伝熱管の円弧部が除去され、伝熱管の直線部と管板との接続を切断することで、伝熱管の直線部のみが熱交換器の胴部内に直線部の軸方向に沿って移動可能な状態で配置される。このため、円弧部が除去された側から伝熱管の直線部をその延在方向に沿って引き抜けば、熱交換器から伝熱管を容易に取り出すことができる。特に、この熱交換器の解体方法によれば、伝熱管の円弧部を除去することから、振動抑制のために円弧部に取り付けられている部材を同時に除去可能なため、その部材により伝熱管の引き抜きが阻害される事態を防ぐことができる。また、この熱交換器の解体方法によれば、伝熱管の円弧部を除去することから、円弧部で連結されていた伝熱管の各直線部を独立して引き抜くことができる。その結果、管板から絶縁されたものから順次引き抜くことが可能となり、伝熱管の両端部を切断する手間が必要ない。
【0012】
また、第2の発明の熱交換器の解体方法は、第1の熱交換器の解体方法において、前記伝熱管の直線部を前記熱交換器の胴部から引き抜きながら、当該直線部の引き抜かれた部分を折り曲げ加工する工程を含むことを特徴とする。
【0013】
この熱交換器の解体方法によれば、伝熱管の引き抜きに伴い、伝熱管の差し渡し寸法を小さくするように伝熱管を折り曲げ加工することで、伝熱管を全て引き抜いてから加工を行う方法と比較して、解体設備を小型化することができる。しかも、伝熱管を容易に取り出すことが可能であることから、引き続き行う折り曲げ加工も容易に行うことができる。
【0014】
また、第3の発明の熱交換器の解体方法は、第1の熱交換器の解体方法において、前記伝熱管の直線部を前記熱交換器の胴部から引き抜きながら、当該直線部の引き抜かれた部分を平坦状に圧縮加工する工程を含むことを特徴とする。
【0015】
この熱交換器の解体方法によれば、伝熱管の引き抜きに伴い、伝熱管の体積を減らすように伝熱管を圧縮加工することで、伝熱管を全て引き抜いてから加工を行う方法と比較して、解体設備を小型化することができる。しかも、伝熱管を容易に取り出すことが可能であることから、引き続き行う圧縮加工も容易に行うことができる。
【0016】
また、第4の発明の熱交換器の解体方法は、第1の熱交換器の解体方法において、前記伝熱管の直線部を前記熱交換器の胴部から引き抜きながら、当該直線部の引き抜かれた部分を平坦状に圧縮加工し、続けて折り曲げ加工する工程を含むことを特徴とする。
【0017】
この熱交換器の解体方法によれば、伝熱管の引き抜きに伴い、伝熱管の体積を減らすように伝熱管を圧縮加工することで、伝熱管を全て引き抜いてから加工を行う方法と比較して、解体設備を小型化することができる。さらに、この熱交換器の解体方法は、伝熱管の圧縮加工に続き、伝熱管の差し渡し寸法を小さくするように伝熱管を折り曲げ加工することで、解体設備をより小型化することができる。しかも、伝熱管を容易に取り出すことが可能であることから、引き続き行う圧縮加工および折り曲げ加工も容易に行うことができる。
【0018】
また、第5の発明の熱交換器の解体方法は、第2〜第4の何れか1つの熱交換器の解体方法において、前記伝熱管の直線部を引き抜くとともに、当該直線部内の介在物を検査する工程と、当該検査結果に応じて前記加工のトルクを調整する工程とを含むことを特徴とする。
【0019】
この熱交換器の解体方法によれば、加工前に伝熱管の直線部の内部を非破壊検査などにより検査し、介在物の有無を調べ、検査結果に応じて加工のトルクを調整するため、例えば、伝熱管内部にプラグやスリーブなどが発見された場合、加工のトルクを増大させることで、加工不良の発生を防ぐことができる。
【0020】
また、第6の発明の熱交換器の解体方法は、第5の熱交換器の解体方法において、前記伝熱管の前記直線部内の介在物を渦流探傷検査によって検査することを特徴とする。
【0021】
この熱交換器の解体方法によれば、前記伝熱管の前記直線部の内部を、超音波探傷(UT)検査などよりも薄肉部の検査に優れた渦流探傷(ECT)検査にて検査するため、伝熱管内部にプラグやスリーブなどの介在物の有無を特定することが容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、伝熱管の取り外しを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】
図2は、蒸気発生器の伝熱管の一部拡大断面図である。
【
図3】
図3は、蒸気発生器の伝熱管の一部拡大斜視図である。
【
図4】
図4は、蒸気発生器の解体手順を示す工程図である。
【
図5】
図5は、蒸気発生器の解体手順を示す工程図である。
【
図6】
図6は、蒸気発生器の解体手順を示す工程図である。
【
図7】
図7は、蒸気発生器の解体手順を示す工程図である。
【
図8】
図8は、蒸気発生器の解体手順を示す工程図である。
【
図9】
図9は、蒸気発生器の解体手順を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0025】
図1は、蒸気発生器の概略側断面図であり、
図2は、蒸気発生器の伝熱管の一部拡大断面図であり、
図3は、蒸気発生器の伝熱管の一部拡大斜視図である。熱交換器としての蒸気発生器1は、例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)に用いられる。加圧水型原子炉は、原子炉冷却材および中性子減速材として軽水を使用している。加圧水型原子炉は、軽水を炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水としての一次冷却水を蒸気発生器1に送る。蒸気発生器1では、高温高圧の一次冷却水の熱を二次冷却水に伝え、二次冷却水に水蒸気を発生させる。そして、この水蒸気によりタービン発電機が回されて発電する。
【0026】
蒸気発生器1は、上下方向に長尺に延在され、かつ密閉された中空円筒形状をなす胴部2を有している。胴部2は、上半部に対して下半部が若干小径とされ、下半部をなす下部胴2a、上半部をなす上部胴2b、下部胴2aと上部胴2bとの間を繋ぐほぼ円錐台形状の円錐胴2c、および上部胴2bの上端に設けられた上部鏡2dで構成されている。
【0027】
蒸気発生器1は、下部胴2aの内部に、内壁面と所定間隔をもって配置された円筒形状を成す管群外筒3が設けられている。この管群外筒3は、その下端部が、下部胴2aの下端部に配置された管板4の近傍まで延設されている。管群外筒3内には、伝熱管群5Aが設けられている。伝熱管群5Aは、逆U字形状で上下方向に長尺とされた複数の伝熱管5からなる。各伝熱管5は、円弧部5aと、当該円弧部5aの各端部から直線状に延在する直線部5bとでU字形状に形成されている。そして、伝熱管5は、円弧部5aを上方に向けて配置され、各直線部5bの端部が管板4の管穴4aに挿通固定されているとともに、直線部5bにおける長手方向の複数箇所が各管支持板6を介して管群外筒3に支持されている。管支持板6は、多数の伝熱管挿通穴6aが形成されており、この伝熱管挿通穴6aに各伝熱管5が挿通されることで各伝熱管5を支持する。
【0028】
蒸気発生器1は、管板4の下に水室鏡7が設けられ、この水室鏡7の内部が隔壁8により入口側水室7Aと出口側水室7Bとに区画されている。入口側水室7Aは、各伝熱管5の一方の直線部5bの端部が連通され、出口側水室7Bは、各伝熱管5の他方の直線部5bの端部が連通されている。また、入口側水室7Aは、胴部2の外部に通じる入口ノズル7Aaが形成され、出口側水室7Bは、胴部2の外部に通じる出口ノズル7Baが形成されている。そして、入口ノズル7Aaは、加圧水型原子炉から一次冷却水が送られる冷却水配管(図示せず)が連結され、出口ノズル7Baは、熱交換された後の一次冷却水を加圧水型原子炉に送る冷却水配管(図示せず)が連結される。
【0029】
蒸気発生器1は、上部胴2bの内部に、給水を蒸気と熱水とに分離する気水分離器9、および分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする湿分分離器10が設けられている。また、上部胴2bの下部であって、気水分離器9と伝熱管群5Aとの間には、外部から下部胴2a内に二次冷却水の給水を行う給水管11が挿入されている。また、蒸気発生器1は、下部胴2aの内部に、給水管11から下部胴2a内に給水された二次冷却水を、下部胴2aと管群外筒3との間を流下させて管板4にて折り返させ、伝熱管群5Aに沿って上昇させる給水路12が形成されている。さらに、蒸気発生器1は、上部鏡2dに、蒸気排出口13が形成されている。なお、蒸気排出口13は、タービンに蒸気を送る冷却水配管(図示せず)が連結され、給水管11は、タービンで使用された蒸気が復水器(図示せず)で冷却された二次冷却水を供給するための冷却水配管(図示せず)が連結される。
【0030】
この蒸気発生器1では、加圧水型原子炉で加熱された一次冷却水は、入口側水室7Aに送られ、多数の伝熱管5内を通って循環して出口側水室7Bに至る。一方、復水器で冷却された二次冷却水は、給水管11に送られ、胴部2内の給水路12を通って伝熱管群5Aに沿って上昇する。このとき、胴部2内で、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われる。そして、冷やされた一次冷却水は出口側水室7Bから加圧水型原子炉に戻される。一方、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行った二次冷却水は、胴部2内を上昇し、気水分離器9で蒸気と熱水とに分離される。そして、分離された蒸気は、湿分分離器10で湿分が除去されてから蒸気排出口13からタービンに送られる。
【0031】
ところで、複数のU字形状の伝熱管5からなる伝熱管群5Aは、上述したように、その上端部に伝熱管5の円弧部5aが配置されている。伝熱管群5Aは、
図2に示すように、中央から外側に向けて円弧部5aの径が大きくなるように伝熱管5を配列した伝熱管層5Aaを形成し、かつ該配列した伝熱管層5Aaを、
図3に示すように、側方に重ねつつ最外周伝熱管5の円弧部5aの径を変えることで、上端部を半球形状に形成している。この伝熱管群5Aは、一次冷却水が各伝熱管内を通過する際に発生し得る流体励起振動を抑制するため、振止部材14が設けられている。振止部材14は、
図2および
図3に示すように、伝熱管5の円弧部において、重ねられた伝熱管層5Aaの間に挿入されている。振止部材14は、ほぼV字形状に折り曲げて形成され、重ねられた各伝熱管層5Aaにおける同径の部位(所定位置)に屈曲部が配置される。そして、振止部材14は、最も大きい径の伝熱管5の円弧部5aの外側に両端部14aが突出され、伝熱管群5Aの半球形状の円弧に沿って一列に並んで配置される。また、振止部材14は、伝熱管群5Aの半球形状の円弧に沿って一列に並んで配置される各端部14aが、棒状の保持部材16に固定されており、この保持部材16が、最外周の伝熱管5の円弧部5aとその内側の伝熱管5の円弧部5aとの間に挿入されたほぼコ字形状の取付部(図示せず)を介して伝熱管群5Aに取り付けられる。このように、振止部材14は、伝熱管層5Aaの間の所定位置に挿入された形態で伝熱管群5Aに配設されている。
【0032】
このような蒸気発生器1は、上述したように、伝熱管5の内部を原子炉からの一次冷却水が通過するため、伝熱管5は放射線に曝されており放射能を含む。そのため、一般に、一次冷却系統内から取り外された蒸気発生器1は、放射性廃棄物として、原子力発電設備内の保管庫にそのままの形で一定期間保管される。その後、蒸気発生器1は、解体され、放射性廃棄物の容積が低減された形態で処分される。
【0033】
図4〜
図9は、蒸気発生器の解体手順を示す工程図である。
図4に示すように、蒸気発生器1は、処理設備100の床上に、支持架台101によって横置きとされた状態で解体される。なお、本実施形態では、横置きとされた蒸気発生器1において、使用時の上下方向に相当する長手方向を軸方向といい符号Lで示し、上下方向を符号Hで示す。そして、このように処理設備100の床上に横置きとされた蒸気発生器1は、解体に際し、その全体をグリーンハウス102によって覆われる。グリーンハウス102は、天井に開閉可能な開口部が設けられ、当該開口部から天井クレーンの荷役フック104が挿入される。
【0034】
蒸気発生器1の解体において、まず、
図4に示すように、蒸気発生器1が横置きとされた状態で、入口側水室7A内、出口側水室7B内、および伝熱管5内を、例えば、ブラスト除染によって除染する。
【0035】
続いて、
図5に示すように、上部胴2bを内部部材(気水分離器9や湿分分離器10)とともに円錐胴2cから切り離す。
【0036】
続いて、
図6に示すように、円錐胴2cを下部胴2aから切り離す。これにより、伝熱管群5Aの円弧部側があらわれる。続いて、下部胴2aおよび管群外筒3の管板4側の一部を切り離す。これにより、伝熱管群5Aの管板4側があらわれる。
【0037】
続いて、伝熱管群5A(伝熱管5)を解体する。伝熱管5の解体において、
図7に示すように、伝熱管5の円弧部5a、および管板4に固定されている伝熱管5の直線部5bの管板4側の端部を切断する。伝熱管5の円弧部は、上述したように振止部材14やこの振止部材14を保持する保持部材16が設けられているが、これらは伝熱管5の円弧部5aの切断に伴い同時に除去される。このため、残された伝熱管5は、直線部5bのみが管支持板6に真っ直ぐ挿通支持され、軸方向Lに沿って移動可能な状態で配置される。
【0038】
次に、伝熱管5の解体において、
図8に示すように、グリーンハウス102内であって、伝熱管5の円弧部5aが除去された側に、伝熱管処理装置20を設置する。伝熱管処理装置20は、フレーム21、検査部22、圧縮部23、および折曲部24を含む。フレーム21は、グリーンハウス102に固定されるものである。検査部22は、フレーム21に設けられており、伝熱管5を非破壊で検査するものである。非破壊の検査は、例えば、渦流探傷検査がある。検査項目としては、伝熱管5の補修で設けられたプラグやスリーブなどを発見する。圧縮部23は、例えば、
図8に示すように、一対のローラの間で伝熱管5を平坦状に圧縮して潰すものである。つまり、圧縮部23は、伝熱管5を潰すことで、管状の伝熱管5から体積を減らす。なお、圧縮部23は、伝熱管5を圧縮する圧縮力の強弱を一対のローラの間隔を変えることで調整可能に設けられている。折曲部24は、伝熱管5を曲げたり折ったりして変形させるものである。具体的に、折曲部24により伝熱管5を曲げる変形は、
図8に示すように、伝熱管5の端部を保持する回転軸を回転させることで伝熱管5を渦巻状に巻き取るようにする。なお、折曲部24は、伝熱管5を曲げる折り曲げ力の強弱を回転軸の回転トルクを変えることで調整可能に設けられている。また、折曲部24により伝熱管5を折る変形は、図には明示しないが、伝熱管5を通過させる案内路を回転させることで伝熱管5を多角形状(矩形状や三角形状など)に巻き取る、または図には明示しないが、伝熱管5を通過させる案内路を反転させることで伝熱管5を折返し状に重ねるようにする。つまり、折曲部24は、伝熱管5を曲げたり折ったりして変形させることで、直線状の伝熱管5から最大差し渡し寸法を小さくする。なお、折曲部24は、伝熱管を折る折り曲げ力の強弱を案内路の移動トルクを変えることで調整可能に設けられている。また、検査部22、圧縮部23、および折曲部24は、各伝熱管5における直線状の中間部の延長線上に配置されるようにフレーム21に対して上下方向Hで移動可能に構成されている。また、検査部22、圧縮部23、および折曲部24は、伝熱管5側から、各伝熱管5における直線状の中間部の延長線上で、検査部22、圧縮部23、折曲部24の順で配置される。
【0039】
そして、伝熱管5の解体において、
図8に示すように、伝熱管5の円弧部5aが除去された側から、伝熱管5の直線部5bを、その延在方向(軸方向L)に沿って蒸気発生器1の胴部2から直線状のまま引き抜く。伝熱管5の直線部5bの引き抜きは、例えば、伝熱管5の円弧部5aが除去された直線部5bの端部にワイヤの先端を固定し、当該ワイヤを引っ張ることで行われる。ここでは、折曲部24にワイヤの基端が固定され、当該折曲部24によりワイヤを引っ張るように構成される。そして、引き抜かれた伝熱管5の直線部5bは、検査部22を通過して非破壊検査され、圧縮部23を通過して圧縮され、折曲部24を通過して折り曲げられる。このようにされた伝熱管5の直線部5bは、一次冷却水に接触して放射線に曝されているため、放射線の漏洩を防止された保管容器(図示せず)に収容する。そして、全ての伝熱管5の直線部5bについて同様に引き抜いて加工する。また、検査部22による非破壊検査により伝熱管5内にプラグやスリーブなどが発見された場合、圧縮部23における圧縮力や、折曲部24における折り曲げ力を増加調整する。
【0040】
伝熱管5の解体後、続いて、残された下部胴2a、管群外筒3、および管支持板6を切り離す。そして、最後に、管板4および水室鏡7を切り離す。
【0041】
なお、胴部2の上部胴2b、上部胴2bの内部部材(気水分離器9や湿分分離器10)、円錐胴2c、下部胴2a、管群外筒3、および管支持板6などは、一次冷却水に接触せず放射線に曝されていないが、クリアランス装置で検査した後、荷役フック104を用いてグリーンハウス102の外部に搬出し、別途用意された解体場所において解体され、保管容器(図示せず)に収容する。また、管板4および水室鏡7は、伝熱管群5Aとともに一次冷却水に接触して放射線に曝されているため、グリーンハウス102内において、放射線の漏洩を防止された保管容器(図示せず)に入る大きさに解体して収容する。
【0042】
このように、本実施形態の熱交換器の解体方法は、円弧部5aと当該円弧部5aの両端から延在する直線部5bとからなり、当該直線部5bの円弧部5aとは反対側の端部が管板4に固定された複数の伝熱管5を胴部2内に有する熱交換器(蒸気発生器1)の解体方法において、伝熱管5の円弧部5aを除去する工程と、伝熱管5の直線部5bと管板4との接続を切断する工程と、次に、伝熱管5の直線部5bを、当該直線部5bの延在方向に沿って蒸気発生器1の胴部2から引抜く工程と、を有する。
【0043】
この熱交換器の解体方法は、伝熱管5の円弧部5aが除去され、伝熱管5の直線部5bと管板4との接続を切断することで、伝熱管5の直線部5bのみが蒸気発生器1の胴部1内に直線部5bの軸方向Lに沿って移動可能な状態で配置される。このため、円弧部5bが除去された側から伝熱管5の直線部5bをその延在方向に沿って引き抜けば、蒸気発生器1から伝熱管5を容易に取り出すことが可能である。特に、この熱交換器の解体方法によれば、伝熱管5の円弧部5aを除去することから、振動抑制のために円弧部5aに取り付けられている振止部材14を同時に除去可能なため、その振止部材14により伝熱管5の引き抜きが阻害される事態を防ぐことが可能になる。また、この熱交換器の解体方法によれば、伝熱管5の円弧部5aを除去することから、円弧部5aで連結されていた伝熱管5の各直線部5bを独立して引き抜くことができる。その結果、管板5から絶縁されたものから順次引き抜くことが可能となり、単体の伝熱管5における各直線部5bの端部を管板5から揃えて切断する手間が必要ない。
【0044】
また、本実施形態の熱交換器の解体方法は、伝熱管5の直線部5bを蒸気発生器1の胴部2から引き抜きながら、当該直線部5bの引き抜かれた部分を折り曲げ加工する工程を含む。
【0045】
この熱交換器の解体方法は、伝熱管5の引き抜きに伴い、伝熱管5の差し渡し寸法を小さくするように伝熱管5を折り曲げ加工することで、伝熱管5を全て引き抜いてから加工を行う方法と比較して、解体設備を小型化することが可能になる。しかも、伝熱管5を容易に取り出すことが可能であることから、引き続き行う折り曲げ加工も容易に行うことが可能である。
【0046】
また、本実施形態の熱交換器の解体方法は、伝熱管5の直線部5bを蒸気発生器1の胴部2から引き抜きながら、当該直線部5bの引き抜かれた部分を平坦状に圧縮加工する工程を含む。
【0047】
この熱交換器の解体方法は、伝熱管5の引き抜きに伴い、伝熱管5の体積を減らすように伝熱管5を圧縮加工することで、伝熱管5を全て引き抜いてから加工を行う方法と比較して、解体設備を小型化することが可能になる。しかも、伝熱管5を容易に取り出すことが可能であることから、引き続き行う圧縮加工も容易に行うことが可能である。
【0048】
また、本実施形態の熱交換器の解体方法は、伝熱管5の直線部5bを蒸気発生器1の胴部2から引き抜きながら、当該直線部5bの引き抜かれた部分を平坦状に圧縮加工し、続けて折り曲げ加工する工程を含む。
【0049】
この熱交換器の解体方法は、伝熱管5の引き抜きに伴い、伝熱管5の体積を減らすように伝熱管5を圧縮加工することで、伝熱管5を全て引き抜いてから加工を行う方法と比較して、解体設備を小型化することが可能になる。さらに、この熱交換器の解体方法は、伝熱管5の圧縮に続き、伝熱管5の差し渡し寸法を小さくするように伝熱管5を折り曲げ加工することで、解体設備をより小型化することが可能になる。しかも、伝熱管5を容易に取り出すことが可能であることから、引き続き行う圧縮加工および折り曲げ加工も容易に行うことが可能である。
【0050】
また、本実施形態の熱交換器の解体方法は、伝熱管5の直線部5bを引き抜くとともに、当該直線部5b内の介在物を検査する工程と、当該検査結果に応じて前記加工のトルクを調整する工程とを含む。
【0051】
この熱交換器の解体方法は、加工前に伝熱管5の直線部5bの内部を非破壊検査などにより検査し、介在物の有無を調べ、検査結果に応じて加工のトルクを調整するため、例えば、伝熱管5内部にプラグやスリーブなどが発見された場合、加工のトルクを増大させることで、加工不良の発生を防ぐことが可能になる。
【0052】
また、本実施形態の熱交換器の解体方法は、伝熱管5の直線部5b内の介在物を渦流探傷検査によって検査することが好ましい。
【0053】
この熱交換器の解体方法は、伝熱管5の直線部5bの内部を、超音波探傷(UT)検査などよりも薄肉部の検査に優れた渦流探傷(ECT)検査にて検査するため、伝熱管5内部にプラグやスリーブなどの介在物の有無を特定することが容易となる。
【符号の説明】
【0054】
1 蒸気発生器(熱交換器)
2 胴部
4 管板
5 伝熱管
5a 円弧部
5b 直線部
20 伝熱管処理装置
21 フレーム
22 検査部
23 圧縮部
24 折曲部