【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る微粉炭吹き込み装置は、高炉本体の羽口から、加熱および圧縮された吹き込み空気と共に微粉炭を吹き込むように構成された微粉炭吹き込み装置であって、前記微粉炭の原料として、低品位炭から改質され
、原炭からなる微粉炭と混合された場合に、前記原炭からなる微粉炭に含まれる水分を乾燥させることができる程度の自己発熱性を有する改質炭を使用することを特徴とする。
【0009】
この微粉炭吹き込み装置によれば、高炉本体の内部に補助燃料として吹き込む微粉炭の原料として、一般に用いられている瀝青炭等の原炭よりも格段に廉価な改質炭が用いられるため、補助燃料の価格を低下させて高炉設備の稼働コストを低減させ、銑鉄の製造コストダウンを図ることができる。
また、改質炭の熱を、熱を必要とする他の部位に有効利用して省エネルギー化に貢献することができる。
【0010】
また、本発明に係る微粉炭吹き込み装置は、上記構成において、前記改質炭の自己発熱作用による熱を、熱を必要とする部位に移送する熱移送手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
上記構成とした場合、改質炭の自己発熱作用による熱が、熱移送手段によって、熱を必要とする部位に移送されるため、当該部位で熱を発生させるために費やされていた燃料や電力等を削減し、これによって高炉設備の稼働コストを低減させ、ひいては銑鉄の製造コストダウンを図ることができる。
また、改質炭の熱が熱移送手段によって移送されることで改質炭が冷却されるため、改質炭の自然発火を防止することができる。
【0012】
また、本発明に係る微粉炭吹き込み装置は、上記構成において、前記熱移送手段が、圧縮される前の前記吹き込み空気を前記改質炭と熱交換させるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、吹き込み空気が、専用の加熱手段によって加熱される前に改質炭と熱交換されることで適度に加熱される。このため、吹き込み空気をさらに加熱させるためのエネルギーを節約することができる。特に、圧縮前の冷たい吹き込み空気を改質炭と熱交換させるようにしたため、改質炭の冷却効果を高めるとともに、吹き込み空気の圧縮熱の発生率を高くし、これによって吹き込み空気の加熱に要するエネルギーをより低減させることができる。
【0014】
また、本発明に係る微粉炭吹き込み装置は、上記構成において、前記熱移送手段は、前記低品位炭を改質する改質装置に、前記改質炭の熱を移送するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、低品位炭を改質する改質装置において必要とされる熱の一部が、改質炭の熱によって賄われるため、改質装置において消費されるエネルギーを節約することができる。
【0016】
また、本発明に係る微粉炭吹き込み装置は、上記構成において、前記改質炭を、その自己発熱作用が所定量残る程度に不活性化する不活性化手段を備えたことを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、改質炭の自己発熱作用が弱められるため、改質炭が自然発火しないように窒素雰囲気中で搬送する必要性が少なくなり、窒素供給装置の使用率を低下させることができる。このため、高炉設備の稼働コストを低減し、ひいては銑鉄の製造コストダウンを図ることができる。
【0018】
また、本発明に係る微粉炭吹き込み装置は、上記構成において、前記改質炭からなる微粉炭と、一般に用いられている原炭からなる微粉炭とを混合する混合部を備え、該混合部およびその下流側で、前記改質炭の自己発熱作用により前記原炭からなる微粉炭を乾燥させることを特徴とする。
【0019】
上記構成とした場合、改質炭よりも水分含有率が高い原炭からなる微粉炭が、改質炭からなる微粉炭と混合されることにより、自己発熱性を持つ改質炭の熱によって原炭からなる微粉炭が乾燥される。このため、原炭の乾燥工程を一部省略、もしくは簡素化することができる。これにより、乾燥工程に関わる設備、エネルギー、人員等を削減して高炉設備の稼働コストを低減し、銑鉄の製造コストダウンを図ることができる。
【0020】
また、本発明に係る高炉設備は、上記いずれかの構成の微粉炭吹き込み装置を備えたことを特徴とする。
【0021】
この高炉設備によれば、高炉本体の内部に補助燃料として吹き込む微粉炭として廉価な改質炭が使用されるため、補助燃料の価格を低下させて高炉設備の稼働コストを低減させ、銑鉄の製造コストダウンを図るとともに、改質炭が自己発熱する際の熱を有効に利用することができる。
【0022】
また、本発明に係る微粉炭供給方法は、高炉本体の羽口から、加熱および圧縮された吹き込み空気と共に微粉炭を吹き込む際の微粉炭供給方法であって、前記微粉炭の原料として、低品位炭
から改質
され、原炭からなる微粉炭と混合された場合に、前記原炭からなる微粉炭に含まれる水分を乾燥させることができる程度の自己発熱性を有する改質炭を使用し、該改質炭の自己発熱作用による熱を、熱を必要とする部位に移送して利用することを特徴とする。
【0023】
この微粉炭供給方法によれば、高炉本体の内部に補助燃料として吹き込む微粉炭が廉価な改質炭になるために、補助燃料の価格を低下させて銑鉄の製造コストダウンを図ることができる。しかも、改質炭の自己発熱作用による熱を、熱を必要とする部位に移送して有効利用し、当該部位で熱を発生させるために費やされていた燃料や電力等を削減して高炉設備の稼働コストを低減させ、ひいては銑鉄の製造コストダウンを図ることができる。
【0024】
また、本発明に係る微粉炭供給方法は、上記の方法において、前記改質炭を、その自己発熱作用が所定量残る程度に不活性化することを特徴とする。
【0025】
上記方法によれば、改質炭の自己発熱作用が弱められるため、改質炭が自然発火しないように窒素雰囲気中で搬送する必要性が少なくなり、窒素の供給装置の使用率を低下させることができる。このため、高炉設備の稼働コストを低減し、ひいては銑鉄の製造コストダウンを図ることができる。
【0026】
また、本発明に係る微粉炭供給方法は、高炉本体の羽口から、加熱および圧縮された吹き込み空気と共に微粉炭を吹き込む際の微粉炭供給方法であって、低品位炭
から改質
され、原炭からなる微粉炭と混合された場合に、前記原炭からなる微粉炭に含まれる水分を乾燥させることができる程度の自己発熱性を有する改質炭からなる微粉炭と、一般に用いられている原炭からなる微粉炭とを混合し、前記改質炭の自己発熱作用により、前記原炭からなる微粉炭を乾燥させることを特徴とする。
【0027】
上記微粉炭供給方法によれば、改質炭よりも水分含有率が高い原炭からなる微粉炭が、改質炭からなる微粉炭と混合されることにより、自己発熱性を持つ改質炭の熱によって原炭からなる微粉炭が乾燥させられるため、原炭の乾燥工程を一部省略、もしくは簡略化することができる。これにより、乾燥工程に関わる設備、エネルギー、人員等を削減して高炉設備の稼働コストを低減し、銑鉄の製造コストダウンを図ることができる。