(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012361
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】過電圧保護回路
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20161011BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20161011BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/06 311B
H01L27/06 311A
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-207339(P2012-207339)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-63834(P2014-63834A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 真吾
【審査官】
小堺 行彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−009163(JP,A)
【文献】
特開平07−202009(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0008563(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0263218(US,A1)
【文献】
特開昭58−210676(JP,A)
【文献】
特開2000−286391(JP,A)
【文献】
特開2007−250846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常動作時に正の電源電圧が供給される電源配線と出力端子との間に接続され、前記出力端子を駆動するPMOSトランジスタと、前記出力端子と通常動作時にグランド電圧が供給されるグランド配線との間に接続され、前記出力端子を駆動するNMOSトランジスタとの、少なくとも一方を出力トランジスタとして備えた最終出力段に設けられ、前記出力端子に印加される過電圧から該出力トランジスタを保護する過電圧保護回路であって、前記出力トランジスタのドレインと前記出力端子との間に、前記出力端子を駆動する電流に対して順方向に接続された第1のダイオードと、該第1のダイオードと並列に接続された抵抗素子と、前記出力トランジスタのドレインとソースとの間に、前記出力端子を駆動する電流に対して逆方向に接続された第2のダイオードとを備えることを特徴とする過電圧保護回路。
【請求項2】
前記第2のダイオードが、前記出力トランジスタのドレインとバックゲートとの間の寄生ダイオードであることを特徴とする請求項1記載の過電圧保護回路。
【請求項3】
通常動作時に、前記出力トランジスタがオフ状態からオン状態に遷移すると、前記出力トランジスタと、前記第1のダイオードおよび前記抵抗素子を介して前記出力端子を駆動し、前記第1のダイオードがオフ状態になった後は、前記出力トランジスタと前記抵抗素子を介して前記出力端子を駆動し、
前記出力トランジスタが前記PMOSトランジスタである場合には前記電源電圧よりも高く、前記出力トランジスタがNMOSトランジスタである場合には前記グランド電圧よりも低い過電圧が、前記出力端子に印加された時に、前記第2のダイオードと前記抵抗素子を介して、該過電圧による電流を前記電源配線もしくは前記グランド配線に流すことを特徴とする請求項1または2記載の過電圧保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の入出力端子(入力端子、出力端子、双方向端子を含む)に印加される過電圧から最終出力段の出力トランジスタを保護する過電圧保護回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の入出力端子には、EOS(Electrical OverStress)やESD(Electro-Static Discharge)によって、半導体装置の通常動作範囲であるグランド電圧から電源電圧の範囲を超える過電圧や、過電流が印加される場合がある。そのため、半導体装置の入出力端子には、過電圧や過電流によって内部回路が破壊されるのを防止するための保護回路が設けられている。
【0003】
ここで、EOSは、電気的過剰ストレスであり、本明細書では、過電圧が入出力端子に印加されることを意味するものとする。
ESDは、静電気放電であり、静電気による過電流が入出力端子に流れることを意味する。ESDは、広義にはEOSの一種であるが、本明細書では両者を区別して使用する。
ESDは、人体などに帯電した静電気が半導体集積回路の接続端子に印加される現象であり、数Aオーダーのサージ電流が1μs以下の短時間で半導体集積回路内に流れる現象である。一方EOSは、例えば半導体集積回路の出荷テストにおいて、半導体集積回路のグランドとテスタのグランドとが異なる等に起因して、例えば3.3Vの電源電圧で動作する半導体集積回路に対して、電源電圧が立ち上がる際に電源電圧に対して遙かに高い電圧(例えば10V)や反対にグランド電圧に対して低い電圧(例えば−10V)といった電圧が、数msec〜数secの比較的長い期間、半導体集積回路の接続端子に印加される現象である。
ESDは、電荷の急激な放電に起因し、電圧の立ち上がりがEOSに比べて短いパルス状である。一方、EOSは、立ち上がり時間がESDに比べて長く、電圧が継続する時間も長い。
したがって、ESDの特性に合わせたESD保護回路に対してEOSが印加された場合には、ESD保護素子がオンしてしまうと、数msec〜数secの間アンペアオーダーの電流が流れてしまう。その場合、短いパルスを効率よく流すことに特化したESD保護素子では、EOSの電流には耐えられず破壊される虞がある。つまり、ESD保護回路をEOS保護回路に兼用・転用することは難しく、それぞれに専用の保護回路を設けることが適切となる。
【0004】
半導体装置の入力端子に印加される電圧は、例えば、入力端子に接続された信号配線を介して入力初段のMOSトランジスタのゲートに直接供給される。入力端子からは、入力初段のMOSトランジスタのゲートに寄生ダイオードや寄生バイポーラトランジスタが見えないため、入力端子に過電圧が印加されたとしても、入力端子から電源端子またはグランド端子に電流が流れる経路は存在しない。
【0005】
一方、出力端子に印加される電圧は、例えば、出力端子に接続された信号配線を介して最終出力段のMOSトランジスタのドレインに直接印加される。出力端子からは、最終出力段のMOSトランジスタに寄生ダイオードや寄生バイポーラトランジスタが見えるため、出力端子に過電圧が印加されると、出力端子から寄生ダイオード等を介して電源端子またはグランド端子に電流が流れる経路が存在する。
【0006】
従って、出力端子(オープンドレインタイプの出力端子、双方向端子を含む)に過電圧が印加されると、出力端子から寄生ダイオード等を介して流れる電流によって、最終出力段のMOSトランジスタが破壊されるという問題があった。
【0007】
これに対し、本出願人は、特許文献1に開示の過電圧保護回路を提案している。
特許文献1に開示の過電圧保護回路34は、入力またはオープンドレイン用の保護回路である。
図10に示すように、外部接続端子PADを駆動する最終出力段のN型MOSトランジスタ(NMOS)14を、外部接続端子PADに印加される過電圧から保護するものであり、過電圧検出回路36と、放電回路38とを備えている。
【0008】
過電圧検出回路36は、抵抗素子40と、P型MOSトランジスタ(PMOS)42と、NMOS44と、抵抗素子46とを備えている。
また、放電回路38は、ダイオード48と、抵抗素子50とを備えている。
【0009】
以下、従来の過電圧保護回路34の動作を説明する。
【0010】
通常動作の場合、外部接続端子PADにHレベル(例えば、5V)もしくはLレベル(例えば、0V)の信号が印加されるが、ダイオード48はオン(ブレークダウン)しない。従って、抵抗素子50に電流が流れず、抵抗素子50による電圧降下が発生しないため、PMOS42のゲートとソース間の電圧Vgsは0Vであり、PMOS42はオフ状態である。
【0011】
また、信号配線26とグランド配線28との間に最終出力段のNMOS14と直列に接続されたNMOS52のゲートには、このNMOS52のゲート容量等と共に時定数回路を構成する抵抗素子46を介して、抵抗素子46の高電位側電源線から、例えば、3.3Vの電圧が供給され、NMOS52はオン状態である。
【0012】
従って、通常動作の場合、外部接続端子PADから入力される信号が抵抗素子50を介して、図示していない内部回路に入力され、内部回路から出力される出力信号の反転信号が最終出力段のトランジスタにより外部接続端子PADから出力される。
【0013】
続いて、EOS動作の場合、
図11に示すように、例えば、電源端子に3.3Vまたは0Vの電源電圧が供給され、電源端子の電圧に対してプラスの過電圧V
EOSが外部接続端子PADに印加される。
【0014】
外部接続端子PADに印加されたEOSによるプラスの過電圧V
EOSがダイオード48の逆バイアス電圧を超えると、ダイオード48がオンして電流が流れ、抵抗素子50による電圧降下によりPMOS42のゲートとソース間の電圧VgsがこのPMOS42のしきい値電圧以下となってPMOS42がオンする。これにより、外部接続端子PAD、信号配線26、抵抗素子40、PMOS42、NMOS44、抵抗素子46、抵抗素子46の高電位側電源線の経路でEOSのプラスの過電圧V
EOSによる電流I
EOSが流れる。
【0015】
ここで、NMOS14,52には、EOSのプラスの過電圧V
EOSが直接印加される。従って、NMOS14,52のブレークダウン電圧をV
NBD、NMOS14のソースとNMOS52のドレインとの間に印加される電圧をV
NMOSとすると、
図11に示すように、V
NMOS=V
EOSであり、V
NMOS(=V
EOS)<V
NBDであるとすると、NMOS14,52には、EOSのプラスの過電圧V
EOSによる電流I
EOSは流れない。
【0016】
また、ESD印加時に保護素子がオンする電圧をV
ESDTRIGとすると、V
EOS<V
ESDTRIGであるとする。
【0017】
従来技術はオープンドレインタイプに対応するが、仮に出力用のPMOSトランジスタ(PMOS12)が設置された場合が
図11である。PMOS12には、EOSのプラスの過電圧V
EOSが直接印加される。従って、PMOS12のブレークダウン電圧をV
PBD、ソースとドレインとの間に印加される電圧をV
PMOSとすると、
図11に示すように、ワーストケースではVDD=0VでEOSが印加され、V
PMOS=V
EOSであり、V
PMOS(=V
EOS)>V
PBDであるとすると、PMOS12が、EOSのプラスの過電圧V
EOSによって破壊される虞がある。つまり、従来技術では出力用のIOはEOSから保護できない。
【0018】
最後に、ESD動作の場合、ESDによる過電流が外部接続端子PADに印加される。この場合、同様に、ダイオード48がオンしてPMOS42がオンし、外部接続端子PAD、信号配線26、抵抗素子40、PMOS42、NMOS44、抵抗素子46、抵抗素子46の高電位側電源線の経路で電流が流れるが、時定数回路の時定数がESDの立ち上がり時間よりも大きく設定されているため、NMOS52のゲート電圧が上がりきらないうちに外部接続端子PADの電圧とNMOS52のゲート電圧との間の電位差が大きくなって、NMOS52,14の寄生バイポーラトランジスタがオンし、外部接続端子PAD、信号配線26、NMOS52,14の寄生バイポーラトランジスタ、グランド配線を介してグランド端子GNDにESDによる電流が流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2010−278419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特許文献1の構成の過電圧保護回路34では、例えば、外部接続端子PADに過電圧が印加された場合、最終出力段のNMOS14は、
図10に示す過電圧保護回路34によって保護されるが、最終出力段PMOSが配置されていた場合には、PMOSを保護する手段はなかった。仮にPMOSを保護回路を設けず配置していた場合、最終出力段のPMOSに直接EOSの過電圧が印加され、MOSトランジスタの基板に形成される寄生ダイオード等がオンすることによって破壊される虞があるという問題があった。
【0021】
EOSからデバイスを護るためには、対象のデバイスとPADノードとの間に直列に保護素子を入れ、IRドロップによってEOSの電圧を低下させ、対象のデバイスに直接EOSが印加されないようにする対策が考えられる。
そこで例えば、
図12に示すように、PMOS12のドレインと、PADノードとの間に抵抗素子22を挿入することでPMOS12のドレインにかかる電圧を下げ、EOSによる破壊を回避することができる。
しかしながら挿入した抵抗素子22は、通常動作においては抵抗成分そのものとなり、出力の動作速度など、本来の特性を悪化させる要因となる。つまり、本来の特性を維持したままEOSの保護回路を適用することはできなかった。
【0022】
本発明の目的は、半導体装置の出力端子に印加される過電圧から、最終出力段の出力トランジスタを保護することができる過電圧保護回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、本発明は、通常動作時に正の電源電圧が供給される電源配線と出力端子との間に接続され、前記出力端子を駆動するPMOSトランジスタと、前記出力端子と通常動作時にグランド電圧が供給されるグランド配線との間に接続され、前記出力端子を駆動するNMOSトランジスタとの、少なくとも一方を出力トランジスタとして備えた最終出力段に設けられ、前記出力端子に印加される過電圧から該出力トランジスタを保護する過電圧保護回路であって、前記出力トランジスタのドレインと前記出力端子との間に、前記出力端子を駆動する電流に対して順方向に接続された第1のダイオードと、該第1のダイオードと並列に接続された抵抗素子と、前記出力トランジスタのドレインとソースとの間に、前記出力端子を駆動する電流に対して逆方向に接続された第2のダイオードとを備えることを特徴とする過電圧保護回路を提供するものである。
【0024】
ここで、前記第2のダイオードが、前記出力トランジスタのドレインとバックゲートとの間の寄生ダイオードであることが好ましい。
【0025】
また、通常動作時に、前記出力トランジスタがオフ状態からオン状態に遷移すると、前記出力トランジスタと、前記第1のダイオードおよび前記抵抗素子を介して前記出力端子を駆動し、前記第1のダイオードがオフ状態になった後は、前記出力トランジスタと前記抵抗素子を介して前記出力端子を駆動し、
前記出力トランジスタが前記PMOSトランジスタである場合には前記電源電圧よりも高く、前記出力トランジスタがNMOSトランジスタである場合には前記グランド電圧よりも低い過電圧が、前記出力端子に印加された時に、前記第2のダイオードと前記抵抗素子を介して、該過電圧による電流を前記電源配線もしくは前記グランド配線に流すことが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、出力端子に印加される過電圧を、抵抗素子および第2のダイオード介して流すことができる。これにより、最終出力段の出力トランジスタが、過電圧によって破壊されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の過電圧保護回路の構成を表す一実施形態の回路図である。
【
図2】
図1に示す過電圧保護回路の動作を表す概念図である。
【
図3】第1の比較例の過電圧保護回路の構成を表す回路図である。
【
図4】
図3に示す過電圧保護回路の動作を表す概念図である。
【
図5】第2の比較例の過電圧保護回路の構成を表す回路図である。
【
図6】
図5に示す過電圧保護回路の動作を表す概念図である。
【
図7】EOS印加電圧と最終出力段のPMOSのソースとドレインとの間の電圧Vdsとの関係を表すグラフである。
【
図8】外部接続端子PADに出力される出力信号の遷移タイミングを表すグラフである。
【
図9】本発明の過電圧保護回路の構成を表す別の実施形態の回路図である。
【
図10】従来の過電圧保護回路の構成を表す一例の回路図である。
【
図11】
図10に示す過電圧保護回路の動作を表す概念図である。
【
図12】最終出力段のPMOSの保護回路の構成を表す一例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の過電圧保護回路を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の過電圧保護回路の構成を表す一実施形態の回路図である。同図に示す過電圧保護回路10は、半導体装置の外部接続端子(出力端子)PADを駆動する最終出力段の出力トランジスタであるPMOS12を、外部接続端子PADに印加される、電源端子VDDに供給される電源電圧よりも高いプラスの過電圧から保護するものであり、第1および第2のダイオード16,18と、抵抗素子20とによって構成されている。
【0030】
電源端子VDD、外部接続端子PADには、それぞれ、電源配線24、信号配線26が接続されている。電源配線24には、通常動作時に電源端子VDDから正の電源電圧が供給される。
【0031】
最終出力段の出力トランジスタであるPMOS12のソースおよびバックゲートは電源配線24に接続されている。PMOS12のゲートには、図示していない半導体装置の内部回路から出力される出力信号が入力されている。
【0032】
過電圧保護回路10の第1のダイオード16は、PMOS12のドレインと信号配線26、つまり、外部接続端子PADとの間に、外部接続端子PADを駆動する電流に対して順方向に接続(第1のダイオード16のアノードがPMOS12のドレイン、カソードが信号配線26に接続)され、第2のダイオード18は、PMOS12のドレインとソースとの間に、外部接続端子PADを駆動する電流に対して逆方向に接続されている。また、抵抗素子20は、第1のダイオード16と並列に接続されている。
【0033】
以下、本実施形態の過電圧保護回路10の動作を説明する。
【0034】
通常動作時に、PMOS12がオフ状態からオン状態に遷移すると、電源端子VDD、電源配線24、PMOS12、オン状態の第1のダイオード16および抵抗素子20、信号配線26を介して、外部接続端子PADがチャージアップ(駆動)される。この場合、外部接続端子PADは、第1のダイオード16および抵抗素子20の両方を介してチャージアップされるが、主として第1のダイオード16を介して高速にチャージアップされる。
【0035】
そして、外部接続端子PADがチャージアップされるにつれて、第1のダイオード16のアノードとカソードとの間の差電圧が第1のダイオード16のしきい値電圧を下回って、第1のダイオード16がオフ状態となった後は、電源端子VDD、電源配線24、PMOS12、抵抗素子20、信号配線26を介して、外部接続端子PADがチャージアップ(駆動)される。この場合、外部接続端子PADは、抵抗素子20のみを介して(電源電圧−第1のダイオード16のしきい値電圧)から電源電圧まで緩やかにチャージアップされる。
【0036】
なお、抵抗素子20のIRドロップによる降下電圧は、第1のダイオード16のしきい値電圧と比べて無視できる程度の大きさである。
【0037】
続いて、EOS動作の場合、
図2に示すように、例えば、電源端子VDDに3.3Vまたは0Vの電源電圧が供給され、電源電圧よりも高いプラスの過電圧V
EOSが外部接続端子PADに印加される。
【0038】
EOSによるプラスの過電圧V
EOSが外部接続端子PADに印加されると、
図2に示すように、外部接続端子PADから、信号配線26、抵抗素子20、第2のダイオード18、電源配線24を介して、電源端子VDDにEOSのプラスの過電圧V
EOSによる電流I
EOSが流れる。なお、EOS動作の場合、PMOS12はオン状態であってもオフ状態であってもよい。
【0039】
ここで、PMOS12のブレークダウン電圧をV
PBD、ソースとドレインとの間に印加される電圧をV
PMOSとすると、たとえV
EOS>V
PBDであったとしても、抵抗素子20によるIRドロップにより、V
PMOS<V
PBDとなり、かつ、電流I
EOSを小さく抑えることができる。そのため、PMOS12を、EOSのプラスの過電圧V
EOSによる破壊から保護することができる。
【0040】
例えば、電源端子VDDに3.3Vが供給され、外部接続端子PADに10Vが印加された場合に、抵抗素子20および第2のダイオード18を介して、EOSのプラスの過電圧V
EOSによる電流I
EOSがx[A]流れたとする。この場合、抵抗素子20のIRドロップによる降下電圧は、抵抗素子20の抵抗値をRとすると、xRとなり、PMOS12のソースとドレインとの間に印加される電圧は、(10−3.3)−xR[V]となる。例えば、PMOSの破壊を回避するため、PMOSのドレインに印加される電圧を6V以下にする必要があると仮定すると、xRによって0.7V以上を実現すれば良い。
【0041】
このように、本実施形態の過電圧保護回路10では、外部接続端子PADに印加されるEOSのプラスの過電圧V
EOSによる電流I
EOSを、外部接続端子PAD、信号配線26、抵抗素子20、第2のダイオード、電源配線24を介して電源端子VDDに流すことができる。これにより、最終出力段のPMOS12が、EOSのプラスの過電圧によって破壊されることを防止することができる。
【0042】
次に、
図1に示す本実施形態の過電圧保護回路10の比較例について説明する。
【0043】
図3は、第1の比較例の過電圧保護回路の構成を表す回路図である。同図に示す過電圧保護回路30は、
図1に示す過電圧保護回路10から第1のダイオード16を取り除き、第2のダイオード18および抵抗素子20のみを備えるものである。
【0044】
以下、第1の比較例の過電圧保護回路30の動作を説明する。
【0045】
通常動作の場合、PMOS12がオフ状態からオン状態に遷移すると、電源端子VDD、電源配線24、PMOS12、抵抗素子20、信号配線26を介して、外部接続端子PADが電源電圧まで緩やかにチャージアップされる。ただし、過電圧保護回路30は、第1のダイオード16がないため、外部接続端子PADを高速にチャージアップすることができない。
【0046】
EOS動作の場合、外部接続端子PADにEOSによるプラスの過電圧V
EOSが印加されると、
図4に示すように、外部接続端子PADから、信号配線26、抵抗素子20、第2のダイオード18、電源配線24を介して、電源端子VDDにEOSのプラスの過電圧V
EOSによる電流I
EOSが流れる。つまり、過電圧保護回路30は、過電圧保護回路10と同様に動作する。
【0047】
次に、
図5は、第2の比較例の過電圧保護回路の構成を表す回路図である。同図に示す過電圧保護回路32は、
図1に示す過電圧保護回路10から第2のダイオード18および抵抗素子20を取り除き、第1のダイオード16のみを備えるものである。
【0048】
以下、第2の比較例の過電圧保護回路32の動作を説明する。
【0049】
通常動作の場合、PMOS12がオフ状態からオン状態に遷移すると、電源端子VDD、電源配線24、PMOS12、第1のダイオード16、信号配線26を介して、外部接続端子PADが高速にチャージアップされる。ただし、過電圧保護回路32は、抵抗素子20がないため、外部接続端子PADを、(電源電圧−第1のダイオード16のしきい値電圧)までしかチャージアップできない。
【0050】
EOS動作の場合、外部接続端子PADにEOSによるプラスの過電圧V
EOSが印加されると、
図6に示すように、外部接続端子PADからみて第1のダイオード16が逆方向に接続されているため、EOSのプラスの過電圧V
EOSによる電流I
EOSは流れない。従って、V
PMOS<<V
PBDとなり、PMOS12を、EOSのプラスの過電圧V
EOSによる破壊から保護することができる。
【0051】
上記の通り、第1および第2の比較例の過電圧保護回路30,32のEOS動作は、過電圧保護回路10と同様の効果を得ることができるが、通常動作に悪影響を及ぼすという欠点がある。
【0052】
次に、本実施形態の過電圧保護回路10、第1および第2の比較例の過電圧保護回路30,32、従来の過電圧保護回路34の特性の違いについて説明する。
【0053】
図7は、EOS印加電圧と最終出力段のPMOSのソースとドレインとの間の電圧Vdsとの関係を表すグラフである。このグラフの縦軸は電圧[V]、横軸は時間[μs]である。このグラフは、それぞれの過電圧保護回路10,30,32,34ついて、100μs毎に、次第に高電圧となるEOSのプラスの過電圧を外部接続端子PADに印加した場合のPMOS12のソースとドレインとの間の電圧Vdsのシミュレーション結果を表したものである。
【0054】
このグラフに示すように、EOSのプラスの過電圧を外部接続端子PADに印加した場合、PMOS12のソースとドレインとの間に印加される電圧Vdsは、従来の過電圧保護回路34の場合が最も高くなっている。
【0055】
これに対し、第1の比較例の過電圧保護回路30および本実施形態の過電圧保護回路10の場合、PMOS12のソースとドレインとの間に印加される電圧Vdsは、抵抗素子20により従来の過電圧保護回路34の場合の数分の1に削減されていることが分かる。
【0056】
また、第2の比較例の過電圧保護回路32の場合、PMOS12のソースとドレインとの間に印加される電圧Vdsは、逆方向に接続された第1のダイオード16によりほぼ0になっている。
【0057】
続いて、
図8は、外部接続端子PADに出力される出力信号の遷移タイミングを表すグラフである。このグラフの縦軸は電圧[V]、横軸は時間[μs]である。このグラフは、それぞれの過電圧保護回路10,30,32,34ついて、最終出力段のPMOS12に入力される出力信号と、外部接続端子PADから出力される出力信号の立ち上がりの遷移タイミングのシミュレーション結果を表したものである。PMOS12は4mA相当の負荷を外部接続端子PADに接続して駆動する能力のトランジスタを使用している。
【0058】
このグラフに示すように、最終出力段のPMOS12のゲートに入力される出力信号が、HレベルからLレベルに遷移すると、外部接続端子PADから出力される出力信号は、LレベルからHレベルに遷移する。
【0059】
従来の過電圧保護回路34の場合、PMOS12により外部接続端子PADが直接チャージアップされるため、LレベルからHレベルに高速に遷移する。
【0060】
第1の比較例の過電圧保護回路30の場合、第1のダイオード16がなく、抵抗素子20を介して外部接続端子PADがチャージアップされるため、高速にチャージアップすることができず、電源電圧まで緩やかにチャージアップされる。
【0061】
第2の比較例の過電圧保護回路32の場合、第1のダイオードにより、(電源電圧−第1のダイオード16のしきい値電圧)までは高速にチャージアップされるが、電源電圧までチャージアップすることができない。
【0062】
本実施形態の過電圧保護回路10の場合、第1のダイオード16により、(電源電圧−第1のダイオード16のしきい値電圧)までは高速にチャージアップされる。そして、第1のダイオード16がオフ状態となった後は、抵抗素子20により、外部接続端子PADが(電源電圧−第1のダイオード16のしきい値電圧)から電源電圧まで緩やかにチャージアップされる。
【0063】
なお、本発明の過電圧保護回路を最終出力段のPMOS12に適用する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、
図9に示すように、最終出力段のNMOS14に適用することも可能である。
【0064】
図9は、本発明の過電圧保護回路の構成を表す別の実施形態の回路図である。同図に示す過電圧保護回路54は、半導体装置の外部接続端子PADを駆動する最終出力段の出力トランジスタであるNMOS14を、外部接続端子PADに印加される、グランド端子GNDに供給されるグランド電圧に対して低いマイナスの過電圧から保護するものであり、第1および第2のダイオード56,58と、抵抗素子60とによって構成されている。例えばグランド端子が0Vのとき、PADに−10VといったEOS印加から保護するものである。
【0065】
過電圧保護回路54の第1のダイオード56は、信号配線26、つまり、外部接続端子PADとNMOS14のドレインとの間に、外部接続端子PADを駆動する電流に対して順方向に接続(第1のダイオード56のアノードが信号配線26、カソードがNMOS14のドレインに接続)され、第2のダイオード58は、NMOS14のドレインとソースとの間に、外部接続端子PADを駆動する電流に対して逆方向に接続されている。グランド配線28には、通常動作時にグランド端子GNDからグランド電圧が供給される。また、抵抗素子60は、第1のダイオード56と並列に接続されている。
【0066】
なお、上記以外の構成は、
図1に示す過電圧保護回路10の場合と同様である。また、
図9に示す過電圧保護回路54の動作も、
図1に示す過電圧保護回路10の場合と同様であるから、繰り返しの説明を省略する。
【0067】
また、特許文献1のEOS回路はプラスのEOSに対する保護のみ対応していたが、
図9の過電圧保護回路54を用いることによって、マイナスのEOS印加に対するNMOSの保護も可能となる。さらに、
図1に示す過電圧保護回路10と、
図9に示す過電圧保護回路54を同時に使用することも可能である。
【0068】
すなわち、
図1に示す本実施形態の過電圧保護回路10をPMOS12に適用し、かつ、
図10に示す従来の過電圧保護回路34をNMOS側に適用することも可能である。
【0069】
最後に、ESD動作の場合、ESDによる過電流が外部接続端子PADに印加される。この場合、例えば、ESD保護回路を外部接続端子PADとグランド端子GNDとの間に別途設ける。これにより、ESD動作時にESD保護回路がオンし、外部接続端子PAD、信号配線26、ESD保護回路、グランド配線28を介してグランド端子GNDにESDによる電流が流れる。これにより、最終出力段のPMOS12およびEOS保護回路である抵抗素子20とダイオード16,18を、ESDの過電流による破壊から保護することができる。
【0070】
また、第2のダイオード18は、PMOS12の基板に形成される寄生ダイオード、つまり、PMOS12のドレインとバックゲートとの間の寄生ダイオードを利用することができるため、必須の構成要素ではない。しかし、EOS動作の場合、EOSのプラスの過電圧による電流が第2のダイオード18を介して流れる。従って、EOSのプラスの過電圧による電流の影響をPMOS12に与えないようにするためには、PMOS12とは別に第2のダイオード18を設けることが望ましい。
【0071】
抵抗素子20の抵抗値は、半導体装置の仕様によって規定される、外部接続端子PADから出力される出力信号の動作速度、EOSの規格によって規定されるEOS印加電圧等に得応じて適宜決定されるべきものである。抵抗素子20の抵抗値は、例えば、PMOS12のサイズ、オン抵抗、製造プロセス等を考慮した回路シミュレーション等により、PMOS12を、EOS印加電圧から保護することができ、かつ、外部接続端子PADから出力される出力信号の動作速度を満足させることができる範囲に適宜決定される。
【0072】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0073】
10,30,32,34,54 過電圧保護回路
12,42 PMOS
14,44,52 NMOS
16,18,48,56,58 ダイオード
20,22,40,46,50,60 抵抗素子
24 電源配線
26 信号配線
28 グランド配線
36 過電圧検出回路
38 放電回路
VDD 電源端子
PAD 外部接続端子
GND グランド端子