(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の絶縁シート(25・26)のうち、伝熱部(14)と正対する側の絶縁シート(26)の厚みが、他方の絶縁シート(25)の厚みより大きく設定してある請求項1から3のいずれかひとつに記載の加熱ヘッドを備えた美容器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の美容器具によれば、湾曲中央の長いまつ毛を第1整形面でカールし、目頭や目尻寄りの短いまつ毛を第2整形面でカールすることができる。しかし、ヒーター線を加熱要素にして、これを細い棒状の整形ヘッドの内部に折返し配置する必要があるので、ヒーター線を各整形面の内部に組込む作業が煩わしく組付けに時間がかかるのを避けられない。また、ヒーター線を加熱要素にするので、各整形面のヒーター線に近い位置と、ヒーター線から離れた位置とで温度状態にばらつきを生じやすく、まつ毛をカールするときの処理時間や仕上がり状態に個人差が表れやすい。
【0005】
本発明者等は、上記のような温度状態のばらつきを解消するために、加熱要素として均一な発熱状態を発揮できる面状ヒーターを使用することを検討した。また、面状ヒーターを熱源にしたまつ毛整形具を試作して、その効果を検証した。面状ヒーターは、プラスチック製の絶縁シートの上面に発熱素子を固定し、その上面を別の絶縁シートで覆う構造とした。発熱素子は、ステンレス箔にエッチング加工を施して形成した。
【0006】
図13は、上記の面状ヒーターを試作したまつ毛成形用の加熱ヘッドに組付けた状態を示している。加熱ヘッド60は、左ケース60aと右ケース60bとを蓋合わせ状に接合して構成してあり、両ケース60a・60bの接合部の間に設けた挟持部61・62で、面状ヒーター63の対向周縁部を挟持して、その発熱面を右ケース60bに開口した加熱窓64に臨ませるようにした。加熱窓64は、一定間隔おきに設けた櫛歯65の間に開口してある。挟持部61・62に固定された面状ヒーター63は、
図13に想像線で示すように左ケース60aと右ケース60bの接合面と平行になるように支持した。
【0007】
試作した上記のまつ毛整形具をテストした結果、加熱窓64を通過するまつ毛を概ね均等に加熱できることを確認した。しかし、さらに検討を加えた結果、通電状態における面状ヒーター63が、加熱窓64から遠ざかる向きへ内凹み状に膨張変形する可能性のあることが判明した。因みに、面状ヒーター63が内凹み状に膨張変形した状態では、加熱窓64を通過するまつ毛に対して充分に熱を伝えることができず、まつ毛の整形に時間がかかることが予想される。
【0008】
本発明は上記の知見に基づき提案されたものであって、加熱対象を効果的に加熱することができる加熱ヘッドを備えた美容器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る美容器具は、本体ケース1と、本体ケース1で支持される加熱ヘッド2とを備えており、加熱ヘッド2の伝熱部14に加熱対象を加熱する面状ヒーター15が配置してある。面状ヒーター15は、一対の絶縁シート25・26と、両絶縁シート25・26の間に配置された発熱素子27とを含んで構成されて、伝熱部14の内部に設けた固定部19・20に固定されている。固定部19・20に固定された面状ヒーター15は、伝熱部14へ向かって外突状に湾曲していることを特徴とする。本発明における固定部19・20とは、面状ヒーター15を一対の固定部19・20で機械的に挟持固定する場合と、面状ヒーター15を少なくともいずれか一方の固定部19・20に接着固定する場合と、機械的な挟持作用と接着作用とを併用して、面状ヒーター15を固定部19・20に固定する場合のいずれをも含む概念である。
【0010】
面状ヒーター15は、一対の絶縁シート25・26の周縁どうしを接合固定して構成する。接合固定されたヒーター周縁部29を固定部19・20で固定する。
【0011】
ヒーター周縁部29に凹周縁部34と凸周縁部35とを形成し、凸周縁部35を固定部19・20で固定する。
【0012】
一対の絶縁シート25・26のうち、伝熱部14と正対する側の絶縁シート26の厚みを、他方の絶縁シート25の厚みより大きく設定する。
【0013】
一対の絶縁シート25・26の間に配置した発熱素子27は、いずれか一方の絶縁シート25に粘着シート28を介して接着固定する。粘着シート28のシート基材は熱硬化性を備えたプラスチックシートで形成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、面状ヒーター15を一対の絶縁シート25・26と、両絶縁シート25・26の間に配置される発熱素子27などで構成し、伝熱部14の内部に設けた挟持部19・20で固定して、面状ヒーター15を伝熱部14へ向かって外突状に湾曲させるようにした。このように、面状ヒーター15を伝熱部14へ向かって外突状に湾曲させると、加熱対象を面状ヒーター15に直接接触させて効果的に加熱することができ、あるいは伝熱部14を通過する加熱対象を面状ヒーター15の放射熱で加熱できるので、加熱対象を短時間で加熱することができる加熱ヘッドを備えた美容器具を提供できる。例えば、本発明を適用したまつ毛整形具の場合には、まつ毛を面状ヒーター15に確実に接触させ、さらに面状ヒーター15の放射熱でまつ毛を確実に加熱して、効果的にまつ毛をカールすることができる。
【0015】
一対の絶縁シート25・26の周縁どうしを接合固定して面状ヒーター15を構成し、接合固定されたヒーター周縁部29を固定部19・20で固定する美容器具によれば、ヒーター周縁部29を除く面状ヒーター15の面壁が撓むことで熱膨張を吸収して、ヒーター周縁部29に無理な力が掛かるのを防止できる。また、熱膨張によって発熱素子27が外面側の絶縁シート26や粘着シート28に対してずれ動くのを確実に防止できる。また、発熱素子27の熱が、左右の固定部19・20の側へ伝導しようとするのをヒーター周縁部29で阻止して、発熱素子27による加熱対象の加熱を効果的に行なうことができる。
【0016】
ヒーター周縁部29に凹周縁部34と凸周縁部35とを形成し、凸周縁部35を固定部19・20で固定すると、ヒーター周縁部29と固定部19・20との接触面積を小さくできる。これに伴い発熱素子27の熱がヒーター周縁部29から左右の固定部19・20の側へ伝導しようとするのをさらに確実に防止して、面状ヒーター15による加熱対象の加熱をさらに効果的に行なうことができる。
【0017】
一対の絶縁シート25・26のうち、伝熱部14と正対する側の絶縁シート26の厚みが他方の絶縁シート25の厚みより大きく設定してあると、発熱素子27を発熱させた状態では、厚みが大きな絶縁シート26の熱膨張量を大きくできる。従って面状ヒーター15の外突湾曲形状を厚みが大きな絶縁シート26の熱膨張作用で保持して、面状ヒーター15が内凹み状に湾曲するのを確実に防止できる。
【0018】
発熱素子27を一方の絶縁シート25に粘着シート28を介して接着固定する場合に、粘着シート28のシート基材を熱硬化性のプラスチックシートで形成すると、粘着シート28を加熱した状態において、基材シートを外突湾曲形状のままで熱硬化させることができる。従って、粘着シート28を熱硬化させたのちに、面状ヒーター15が平坦な形状や、内凹み状に変形するのを粘着シート28で規制して、面状ヒーター15の外突湾曲形状をさらに確実に保持し続けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施例)
図1ないし
図6は本発明をまつ毛整形具に適用した実施例を示す。
図2においてまつ毛整形具は、グリップを兼ねる中空筒状の本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けたまつ毛整形用の加熱ヘッド2と、想像線で示すヘッドキャップ3とで構成してある。本体ケース1の下端にはケースキャップ4がねじ込み装着してあり、ケースキャップ4を本体ケース1から取外した状態において、電池5をケース内部に出入れできる。本体ケース1の前面には、電池5と後述する面状ヒーター15との間の通電状態をオン・オフするスイッチノブ6が設けてある。
【0021】
図1に示すように、加熱ヘッド2は、左右のヘッドケース2a・2bを接合して中空枠状に形成してあり、右ヘッドケース2bの外側面にまつ毛を整形する整形部11が設けてある。整形部11には、まつ毛を梳くための櫛歯12が上下方向へ一定間隔おきに形成してあり、各櫛歯12の間に加熱窓13が開口してある。各櫛歯12は伝熱部14を前後に横切る状態で設けられて、右ヘッドケース2bの前後壁どうしを橋絡している。加熱窓13を含む各櫛歯12に挟まれた空間が伝熱部14を構成しており、この伝熱部14に臨む状態で面状ヒーター15が配置してある。まつ毛は伝熱部14を通過する間に面状ヒーター15で加熱される。
【0022】
左ヘッドケース2aの前後に設けた接合面17を、右ヘッドケース2bの前後に設けた接合面18で受止め、これら両者を接着することにより、左右のヘッドケース2a・2bを一体化している。両ヘッドケース2a・2bで面状ヒーター15を固定保持するために、各接合面17・18に連続して面状ヒーター15を挟持する挟持段部(固定部)19・20を形成している。また、左ヘッドケース2aの挟持段部19に連続して凹部21を形成し、その前後中央に、面状ヒーター15を伝熱部14の側へ向かって外突状に湾曲させるためのリブ壁22を形成している。リブ壁22の突端面は、左ヘッドケース2a側の挟持段部19を通る平面より外側に位置させてある。面状ヒーター15は、その前後縁が伝熱部14の内部に設けた挟持段部19・20で厚み方向へ挟持されて、前後、左右、上下へ移動不能に固定される。
【0023】
図4ないし
図6に示すように、面状ヒーター15は、一対の絶縁シート25・26と、両絶縁シート25・26の間に配置される発熱素子27および粘着シート28とで構成する。両絶縁シート25・26のうち、左ヘッドケース2a側の挟持段部19で支持される絶縁シート25は、厚みが188μmのPET樹脂シートで形成してある。また、右ヘッドケース2b側の挟持段部20で支持される絶縁シート26は、厚みが80μmのポリエステル樹脂シート26aを3枚重ねにし、積層されたポリエステル樹脂シート26aどうしを接着して形成してある(
図4参照)。粘着シート28は、そのシート基材を熱硬化性を備えたプラスチックシート、例えば熱硬化エポキシ樹脂シートで形成し、シート基材の片面に粘着材を塗布した粘着シートからなる。
【0024】
発熱素子27は、ステンレス箔にエッチング処理を施して形成してあり、一対の四角形状の端子部31・31に連続して波形の発熱パターン部32・32を形成し、両発熱パターン部32・32の端部どうしを橋絡部33で連続させて形成する。発熱素子27の厚みは150μmとした。得られた発熱素子27は、端子部31、発熱パターン部32、および橋絡部33が同一平面状で面一状に連続しており、発熱パターン部32が先の平面上で波形に蛇行することで、発熱面が面状になるように形成してある。このように、発熱素子27を面一状に形成することにより、面状ヒーター15の薄型化に寄与でき、さらに発熱パターン部32の発熱密度が高い分だけ発熱量を向上できる。なお、発熱素子27は、ステンレス以外にアルミニウム、銅などの金属箔または金属シートで形成してあってもよい。
【0025】
面状ヒーター15は、例えば以下の要領で組むことができる。先の粘着シート28を左ヘッドケース2a側の絶縁シート25の中央に接着したのち、粘着シート28の上面に発熱素子27を載置して、その端子部31を絶縁シート25の短辺部の外に露出させる。さらに、右ヘッドケース2b側の絶縁シート26を絶縁シート25に被せつけた状態で、両絶縁シート25・26の周縁を熱溶着することにより、発熱素子27および粘着シート28を間に挟み固定した面状ヒーター15のブランクを形成できる。上記のように、一対の絶縁シート25・26の周縁を熱溶着すると、ヒーター周縁部29を除く面状ヒーター15の面壁が撓むことで熱膨張を吸収して、ヒーター周縁部29に無理な力が掛かるのを防止できる。また、発熱素子27が外面側の絶縁シート26で押え保持されて同シート26に密着するので、熱膨張によって発熱素子27が外面側の絶縁シート26や粘着シート28に対してずれ動くのを確実に防止できる。また、発熱素子27の熱が、左右の挟持段部19・20の側へ伝導しようとするのを熱溶着されたヒーター周縁部29で阻止できる。
【0026】
ヒーター周縁部29どうしを接合固定して得られたブランクを型抜きすることにより、
図5に示すように、面状ヒーター15の周縁に凹周縁部34と凸周縁部35を交互に形成する。ヒーター周縁部29どうしを熱溶着する過程では、発熱素子27の周囲に空気が閉じ込められることがあり、発熱素子27が発熱するとき、閉じ込められた空気が膨張するおそれがある。このような事態を解消するために、一部の凹周縁部34に空気の出入口を形成しておくことができる。また、ヒーター周縁部29の一部を未溶着のままにして、微細な空気通路を設けることができる。両絶縁シート25・26の熱溶着部分を、
図5に交差ハッチングで示しており、粘着シート28の周縁は、熱溶着部分の内縁より内側に位置させてある。
【0027】
得られた面状ヒーター15を右ヘッドケース2bの内面に組付け、その凸周縁部35を挟持段部20にはめ込んだのち、左ヘッドケース2aを右ヘッドケース2bに組付けて、両ヘッドケース2a・2bの接合面17・18どうしを接合して一体化する。この状態の面状ヒーター15は
図1に示すように、その凸周縁部35が内外に対向する挟持段部19・20で挟持固定され、さらに、前後中央がリブ壁22で受止められるので、面状ヒーター15の全体は伝熱部14の側へ向かって外突状に湾曲する。また、まつ毛整形具の組み立てが完了したのち、発熱素子27を発熱させて粘着シート28を加熱すると、粘着シート28の基材シートが外突湾曲形状のまま熱硬化する。従って、粘着シート28が熱硬化したのちに、外突湾曲形状が平坦に戻ったり、内凹み状に湾曲することはない。加えて、伝熱部14に臨む絶縁シート26の厚みが、リブ壁22で受止められている絶縁シート25の厚みより大きく設定してある。そのため、発熱素子27を発熱させた状態では、伝熱部14に臨む絶縁シート26の熱膨張量が大きくなるので、このことによっても面状ヒーター15の外突湾曲形状を保持することができる。
【0028】
以上のように構成したまつ毛整形具は、片手で本体ケース1を握り、スイッチノブ6をオン状態にして面状ヒーター15を発熱させた状態で使用する。具体的には、整形部11が上部に位置する状態でまつ毛整形具を概ね水平に保持し、整形部11をまつ毛の湾曲中央部分にあてがってこの状態を保持し、まつ毛を面状ヒーター15で加熱しながらすくいあげて上向きにカールする。このとき、まつ毛を櫛歯12で捕捉して、まつ毛が横移動するのを規制できるので、隣接する櫛歯12の間に捕捉されたまつ毛の一群を適正にくせ付けすることができる。同様にして、目頭や目尻の部分のまつ毛をカールすることができる。
【0029】
まつ毛をカールする際には、面状ヒーター15の外突湾曲面の近傍をまつ毛が通過するので、まつ毛を面状ヒーター15に確実に接触させ、あるいは面状ヒーター15の放射熱でまつ毛を確実に加熱することができるので、効果的にまつ毛をカールすることができる。また、凸周縁部35のみを挟持段部19・20で挟持固定するので、発熱素子27の熱が、ヒーター周縁部29から左右の挟持段部19・20の側へ伝導しようとするのをさらに確実に防止して、面状ヒーター15によるまつ毛の加熱を効果的に行なうことができる。
【0030】
図7は本発明をリップクリーム等の塗伸ばし器具に適用した実施例を示す。そこでは、円筒状に形成した本体ケース1の上端に加熱ヘッド2を設けている。加熱ヘッド2は、本体ケース1の上端に設けたヒーター装着部40と、同装着部40に外嵌装着した塗伸ばしキャップ41と、これら両者40・41の間に配置した面状ヒーター15とで構成してある。ヒーター装着部40は、上向きに突出するリング状の筒壁42と、筒壁42に外嵌装着されるリング状のヒーターキャップ43とで構成する。筒壁42で囲まれた凹部21の内部には、リング状のリブ壁44が筒壁42と同心状に突設され、リブ壁44の中央にヒーター支持突起45が突設してある。筒壁42の上端面が挟持段部19になっている。ヒーターキャップ43は、筒壁42に外嵌するキャップ周壁46と、キャップ周壁46の上端から内向きに張出される押圧壁47を一体に備えており、押圧壁47の内面が挟持段部20になっている。
【0031】
塗伸ばしキャップ41は、ヒーターキャップ43に外嵌するキャップ筒壁50と、キャップ筒壁50の上部に連続する部分球面状の塗伸ばし面51とを一体に備えた金属製のキャップからなる。塗伸ばし面51は研削加工とめっき処理とが施されて、滑らかに仕上げてある。この実施例における伝熱部14は、塗伸ばし面51と、同面51に近接する周囲空間とで構成される。
【0032】
この実施例における面状ヒーター15は、基本的に先の実施例で説明した面状ヒーター15と同様にして形成するが、その外形が円形に形成してある点と、全体が上突の部分球面状に塑性変形してある点が、先の実施例と異なっている。また、面状ヒーター15の外形を円形に形成するのに伴って、凹周縁部34と凸周縁部35を面状ヒーター15の円弧状のヒーター周縁部29に沿って交互に形成する点が、先の実施例と異なっている。面状ヒーター15をヒーターキャップ43の内面に装着したのち、ヒーターキャップ43を筒壁42に外嵌固定することにより、面状ヒーター15の下面側をリブ壁44とヒーター支持突起45とで支持して、面状ヒーター15を外突湾曲状に保持することができる。さらに、塗伸ばしキャップ41をヒーターキャップ43に外嵌装着することにより、塗伸ばし面51の内面に面状ヒーター15の上面を密着させることができる。他は、先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0033】
以上のように構成した塗伸ばし器具によれば、面状ヒーター15の熱の大半を塗伸ばし面51側へ伝導して、唇に塗布したリップクリームやリップグロスなどを好適に塗り伸ばし、あるいは熱で溶けたリップクリームなどをひび割れ内に塗込むことができる。なお、
図7で説明した塗伸ばし器具は、美容用の温熱マッサージ器として使用することができ、その場合には、図示していないスイッチノブ6を複数段に切換えて、面状ヒーター15の発熱量を変更することができる。
【0034】
図8および
図9は、まつ毛整形具の別の実施例を示す。そこでは、
図1で説明した加熱ヘッド2と同様に、伝熱部14の内部に面状ヒーター15を配置するが、以下の各点が先の実施例と異なる。第1の相違点は、櫛歯12を省略して、整形部11の上下方向の全体にわたって加熱窓13を開口することにある。このように櫛歯12を省略して、面状ヒーター15を加熱窓13から露出させると、加熱ヘッド2の全体厚みを薄くすることができる。また、加熱窓13から露出する面状ヒーター15の表面にまつ毛を当接させてまつ毛を整形するので、まつ毛を効果的に加熱することができる。
【0035】
第2の相違点は、面状ヒーター15を、内外一対の樹脂シート製の絶縁シート25・26と、両絶縁シート25・26の間に配置した金属製の発熱素子27とで構成し、リブ壁22で支持される側の絶縁シート25の厚みを、伝熱部14に臨む側の絶縁シート26の厚みより大きく設定することにある。このように、伝熱部14に臨む側の絶縁シート26の厚みを小さくすると、発熱素子27で発生した熱をまつ毛に対して効率よく伝導できるので、まつ毛のカールをさらに効果的に行なうことができる。また、挟持段部19・20で挟持固定した状態の面状ヒーター15の全体は、
図9に示すように平坦に支持することができ、その場合でも、リブ壁22で面状ヒーター15の片面を支持することにより、面状ヒーター15が内凹み状に湾曲するのを防止することができる。なお、加熱ヘッド2以外の本体ケース1を含む全体構造は、
図1から
図6で説明したまつ毛整形具と同じ構造に構成してある。
【0036】
図1から
図6で説明したまつ毛整形具、および
図8、
図9で説明したまつ毛整形具は、以下の態様で実施することができる。
本体ケース1と、本体ケース1で支持される加熱ヘッド2とを備えており、
加熱ヘッド2の伝熱部14の少なくとも一側に加熱窓13が開口されており、
伝熱部14の内部に、加熱対象を加熱する面状ヒーター15が配置されて、同ヒーター15の外表面が前記加熱窓13から露出させてあり、
面状ヒーター15は、一対の絶縁シート25・26と、両絶縁シート25・26の間に配置された発熱素子27とで構成されており、
前記加熱窓13から露出する面状ヒーター15の表面にまつ毛を当接させてまつ毛を整形するまつ毛整形具。
【0037】
上記のまつ毛整形具においては、加熱窓13に露出する面状ヒーター15の表面は、外突湾曲状に保形してあってもよく、加熱窓13の窓開口面と平行に保形してあっても良い。
【0038】
上記のまつ毛整形具において、一対の絶縁シート25・26のうち、まつ毛に当接する側の絶縁シート26の厚みを、他方の絶縁シート25の厚みより小さく設定する。
【0039】
図10は面状ヒーター15の別の実施例を示す。そこでは、下側の絶縁シート25に粘着シート28を接着し、さらに上側の絶縁シート26に粘着シート28を接着し、両粘着シート28・28の間に発熱素子27を挟み込んで、面状ヒーター15をサンドイッチ構造状に構成した。この場合には、両絶縁シート25・26の周縁部を挟持段部19・20で挟持して、面状ヒーター15を伝熱部14の内部に固定する。このように、一対の粘着シート28の間に発熱素子27を配置すると、熱硬化性のプラスチックシートで形成してある粘着シート28の保形作用を強化して、面状ヒーター15の外突湾曲形状をさらに確実に保持できる。この実施例から理解できるように、両絶縁シート25・26の周縁は必ずしも熱溶着する必要はない。
【0040】
図11は面状ヒーター15のさらに別の実施例を示す。そこでは、一対の絶縁シート25・26の長辺部のみを熱溶着して、短辺部が開口する袋状に形成し、その内部に発熱素子27を差込んで面状ヒーター15を構成した。この場合にも、リブ壁22で面状ヒーター15の片面を支持することにより、面状ヒーター15を外突湾曲形状に保持することができる。熱溶着されたヒーター周縁部29は、挟持段部19・20で挟持固定される。なお、この実施例に係る面状ヒーター15においては、袋状に形成した絶縁シート25・26の短辺部が開口してあるので、発熱素子27が発熱するのに伴って熱膨張する袋内の空気を先の短辺部から逃がすことができる。
【0041】
図12は面状ヒーター15の固定構造を変更した別の実施例を示す。そこでは、左右一対の挟持段部19・20を、面状ヒーター15の湾曲形状に沿って外すぼまり状に傾斜させるようにした。このように、各接合面17・18に連続する左右の挟持段部19・20が外すぼまり状に傾斜させてあると、面状ヒーター15の凸周縁部35を挟持段部20にはめ込んだのち、挟持段部19・20で挟持するだけで面状ヒーター15を外突湾曲状に保持することができるので、組立時に面状ヒーター15を湾曲変形する手間を省くことができる。
【0042】
面状ヒーター15の構造に関して、絶縁シート25・26は樹脂シートで形成する必要はなく、例えば、アルミニウムやステンレスなどの金属製のシートで形成することができる。アルミニウムシートを素材とする場合には、シート表面のうち、少なくとも発熱素子27と密着する側のシート面に陽極酸化処理を施して絶縁皮膜を形成することができる。また、ステンレスシートを素材とする場合には、シート表面のうち、少なくとも発熱素子27と密着する側のシート面にアルミニウムを蒸着したのち、陽極酸化処理を施して絶縁皮膜を形成することができる。
【0043】
一対の絶縁シート25・26のうち、伝熱部14に臨む側の絶縁シート26を金属製のシートで形成し、リブ壁22で支持される側の絶縁シート25を樹脂シートで形成すると、後者の絶縁シート25の断熱作用で、発熱素子27の熱が凹部21の側へ逃げるのを防止できる点で好ましい。しかし、必要があれば、一対の絶縁シート25・26のそれぞれを、金属製のシートで形成することができる。以上のように、伝熱部14に臨む側の絶縁シート26を金属製のシートで形成すると、絶縁シート26が樹脂シートで形成してある場合に比べて、発熱素子27の熱を効率よく伝導できる。従って、まつ毛の整形をさらに効果的に行うことができる。以上の面状ヒーター15は、
図1から
図9で説明した美容器具のいずれにも適用できる。
【0044】
上記のように、絶縁シート25・26を金属製のシートで形成する場合には、発熱素子2と金属製の絶縁シート25・26との間に樹脂製の絶縁フィルムを配置して、面状ヒーター15の絶縁性を向上することができる。絶縁フィルムとしては、シリコン樹脂や、ポリウレタン樹脂などの絶縁性に富む樹脂で形成することができ、その場合の絶縁フィルムの厚みは、絶縁シート25・26あるいは発熱素子27の厚みより薄くすることができる。
【0045】
図1から
図9で説明した美容器具は、以下の各態様で実施することができる。
【0046】
(態様1)
本体ケース1と、本体ケース1で支持される加熱ヘッド2とを備えており、
加熱ヘッド2の内部に、加熱対象を加熱する面状のヒーター15が配置されており、
面状のヒーター15は、一対の絶縁シート25・26と、両絶縁シート25・26の間に配置された発熱素子27とで構成されており、
一対の絶縁シート25・26のうち、少なくとも加熱対象を加熱する側の絶縁シート26が金属製のシートで構成してある美容器具。
【0047】
上記のように、少なくとも加熱対象側の絶縁シート26を金属製のシートで構成すると、発熱素子27の熱を絶縁シート26で効率よく伝導できるので、例えばまつ毛などの加熱対象を効果的に加熱することができる。
【0048】
(態様2)
本体ケース1と、本体ケース1で支持される加熱ヘッド2とを備えており、
加熱ヘッド2の内部に、加熱対象を加熱する面状のヒーター15が配置されており、
面状のヒーター15は、一対の絶縁シート25・26と、両絶縁シート25・26の間に配置された発熱素子27とで構成されており、
一対の絶縁シート25・26のうち、加熱対象を加熱する側の絶縁シート26が金属製のシートで構成され、他方の絶縁シート25が樹脂シートで構成してある美容器具。
【0049】
上記のように、一対の絶縁シート25・26のうち、加熱対象側の絶縁シート26を金属製のシートで構成し、他方の絶縁シート25を樹脂シートで構成すると、発熱素子27の熱を絶縁シート26で効率よく伝導できるので、例えばまつ毛などの加熱対象を効果的に加熱することができる。さらに、後者の絶縁シート25の断熱作用で、発熱素子27の熱が後者の絶縁シート25を介して伝導し、あるいは放熱されるのを抑止できるので、加熱対象をさらに効果的に加熱することができる。
【0050】
(態様3)
本体ケース1と、本体ケース1で支持される加熱ヘッド2とを備えており、
加熱ヘッド2の少なくとも一側に加熱窓13が開口されており、
加熱ヘッド2の内部に、加熱対象を加熱する面状のヒーター15が配置されて、同ヒーター15の外表面が加熱窓13から露出させてあり、
面状のヒーター15は、一対の絶縁シート25・26と、両絶縁シート25・26の間に配置された発熱素子27とで構成されており、
一対の絶縁シート25・26のうち、加熱対象を加熱する側の絶縁シート26が金属製のシートで構成され、他方の絶縁シート25が樹脂シートで構成されており、
加熱窓13から露出する絶縁シート26の表面に加熱対象を当接させて美容処理する美容器具。
【0051】
上記のように、一対の絶縁シート25・26のうち、加熱対象側の絶縁シート26を金属製のシートで構成し、他方の絶縁シート25を樹脂シートで構成すると、発熱素子27の熱を絶縁シート26で効率よく伝導できるので、例えばまつ毛などの加熱対象を効果的に加熱することができる。また、後者の絶縁シート25の断熱作用で、発熱素子27の熱が後者の絶縁シート25を介して伝導し、あるいは放熱されるのを抑止できるので、加熱対象をさらに効果的に加熱することができる。さらに、熱伝導作用に優れた金属製の絶縁シート26に直接加熱対象を当接できるので、加熱対象をさらに効果的に加熱して美容処理を好適に行なうことができる。
【0052】
上記の実施例では、凹部21に設けたリブ壁22で面状ヒーター15の片面を受け止めて、面状ヒーター15を外突湾曲状に保形したが、その必要はない。例えば、左右のヘッドケース2a・2bに組付ける過程で、面状ヒーター15を外突湾曲状に弾性変形させて、ヒーター周縁部29を挟持段部19・20で挟持固定することができる。また、面状ヒーター15を予め外突湾曲状に塑性変形させておいてもよい。
【0053】
左ヘッドケース2aと右ヘッドケース2bのそれぞれに挟持段部19・20を設けたがその必要はなく、左右のヘッドケース2a・2bのいずれか一方にのみ挟持段部を形成して、他方の挟持部は接合面と面一に形成することができる。一対の絶縁シート25・26の周縁どうしは熱溶着する必要はなく、接着により接合固定することができる。
図1に示す加熱ヘッド2において、加熱窓13を省略して整形部11の全体を壁面で覆い、その内部に面状ヒーター15を密着配置することができる。