【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、多層シートを光起電力モジュールの裏面カバーとして用いる使用であって、前記多層シートが、以下の層:
a)ソーラーセルに向かい合った、成形材料からなる層であって、該成形材料が、成形材料全体に対してそれぞれ、少なくとも35質量%の、好ましくは少なくとも40質量%の、特に有利には少なくとも45質量%の、殊に好ましくは少なくとも50質量%の、より特に好ましくは少なくとも55質量%のポリアミド割合を有する前記層と、
c)成形材料からなる中間層であって、該成形材料が、成形材料全体に対してそれぞれ、少なくとも35質量%の、好ましくは少なくとも40質量%の、特に好ましくは少なくとも45質量%の、殊に好ましくは少なくとも50質量%の、より特に好ましくは少なくとも55質量%の熱可塑性ポリエステルの割合を有する前記層と、
e)外側に向かって配置された、成形材料からなる層であって、該成形材料が、成形材料全体に対してそれぞれ、少なくとも35質量%の、好ましくは少なくとも40質量%の、特に好ましくは少なくとも45質量%の、殊に好ましくは少なくとも50質量%の、より特に好ましくは少なくとも55質量%のポリアミド割合を有する前記層と、
を有し、かつ前記a)とc)の層間の付着並びに前記c)とe)の層間の付着は、以下の1.、2.、3.から選択される措置:
1. ポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーを、前記a)の層もしくは前記e)の層中で、その都度の成形材料に対して、それぞれ0.1〜60質量%の、好ましくはそれぞれ1〜50質量%の、特に好ましくはそれぞれ3〜40質量%のポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーが含まれる量でこれらの層に添加する措置、
2. ポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーを、前記c)の層へと、この層中で、成形材料に対して、0.1〜30質量%の、好ましくは1〜20質量%のポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーが含まれる量で添加する措置、
3. 付着媒介層b)を、前記a)とc)の層間へと、及び/又は付着媒介層d)を、前記c)とe)の層間へと導入する措置、
その際、前記の一方の付着媒介層もしくは両方の付着媒介層は、以下の成分:
I. 0.1〜100質量%の、好ましくは1〜75質量%の、特に好ましくは3〜50質量%の、殊に好ましくは4〜40質量%のポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーと、
II. 0〜99.9質量%の、好ましくは12.5〜99質量%の、特に好ましくは25〜97質量%の、殊に好ましくは30〜96質量%のポリアミドと、
III. 0〜99.9質量%の、好ましくは12.5〜99質量%の、特に好ましくは25〜97質量%の、殊に好ましくは30〜96質量%の熱可塑性ポリエステルと、
IV. 0〜40質量%の、好ましくは0.1〜30質量%の、衝撃強さを与えるゴム及び通常の助剤もしくは添加剤から選択される添加剤と、
を含有する成形材料からなり、そのパーセント表記は、それぞれ成形材料全体に対するものである、
によって引き起こされるが、但し、前記ポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーは、以下のモノマー:
a)該グラフトコポリマーに対して、0.5〜25質量%の、好ましくは1〜20質量%の、特に好ましくは1.5〜16質量%の、少なくとも4個の、好ましくは少なくとも8個の、特に好ましくは少なくとも11個の窒素原子を有するポリアミンと、
b)ラクタム、ω−アミノカルボン酸及び/又はジアミンとジカルボン酸との等モルの組み合わせから選択されるポリアミド形成性モノマーと、
を使用して製造される、前記使用によって解決される。
【0012】
従って、種々の実施形態が考えられる:
第一の実施形態においては、多層シートは、順次直接的に重なって、前記a)、c)、そしてe)の層を有する。前記a)の層の成形材料も、前記e)の層の成形材料も、措置1.に相当する量のポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーを含有する。
【0013】
第二の実施形態においては、多層シートは、順次直接的に重なって、前記a)、c)、そしてe)の層を有する。前記c)の層の成形材料は、措置2.に相当する量のポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーを含有する。
【0014】
第三の実施形態においては、多層シートは、順次直接的に重なって、前記a)、b)、c)、d)、そしてe)の層を有する。前記b)とd)の層は、前記措置3.に示される組成を有する付着媒介層である。
【0015】
第四の実施形態においては、多層シートは、順次直接的に重なって、前記a)、c)、d)、そしてe)の層を有する。前記a)の層の成形材料は、措置1.に相当する量のポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーを含有する。前記d)の層は、前記措置3.に示される組成を有する付着媒介層である。
【0016】
第五の実施形態においては、多層シートは、順次直接的に重なって、前記a)、b)、c)、そしてe)の層を有する。前記e)の層の成形材料は、措置1.に相当する量のポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーを含有する。前記b)の層は、前記措置3.に示される組成を有する付着媒介層である。
【0017】
以下のより詳細な説明は、特に記載がない限り、前記の全ての実施形態に同様に当てはまる。
【0018】
前記ポリアミドは、部分晶質ポリアミド、例えばPA6、PA66、PA610、PA612、PA10、PA810、PA106、PA1010、PA11、PA1011、PA1012、PA1210、PA1212、PA814、PA1014、PA618、PA512、PA613、PA813、PA914、PA1015、PA11、PA12などのポリアミド又は部分芳香族ポリアミド、いわゆるポリフタルアミド(PPA)であってよい。(ポリアミドの符号は国際規格に相応しており、その際、1つ以上の最初の数字は出発ジアミンのC原子数を示し、1つ以上の最後の数字はジカルボン酸のC原子数を示す。数字が1つだけ挙げられている場合、これは、α,ω−アミノカルボン酸から、もしくはα,ω−アミノカルボン酸から誘導されたラクタムから出発していることを意味し;その他の点はH.Domininghaus,Die Kunststoffe und ihre Eigenschaften,第272頁以降,VDI−Verlag,1976を参照のこと)。
【0019】
好適なPPAは、例えばPA66/6T、PA6/6T、PA6T/MPMDT(MPMDは、2−メチルペンタメチレンジアミンを表す)、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA14T並びに最後のタイプと、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸との又はω−アミノカルボン酸もしくはラクタムとの共重縮合物である。部分晶質ポリアミドは、ISO 11357によるDSC法で2回目の昇温時に融解ピークの積分により測定される25J/gより高い溶融エンタルピーを有する。
【0020】
しかしながら、そのポリアミドは、半晶質のポリアミドであってもよい。半晶質ポリアミドは、ISO 11357によるDSC法で2回目の昇温時に融解ピークの積分により測定される4〜25J/gの溶融エンタルピーを有する。好適な半晶質ポリアミドのための例は、
− 1,10−デカン二酸もしくは1,12−ドデカン二酸と4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとからなるポリアミド(PA PACM10及びPA PACM12)であって、35〜65%のトランス,トランス−異性体割合を有する4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンに由来するもの;
− 上述の部分晶質ポリアミドを基礎とするコポリマー;並びに
− 上述の部分晶質ポリアミドと、それと相容性の非晶質ポリアミドとからなるブレンド
である。
【0021】
そのポリアミドは、非晶質のポリアミドであってもよい。非晶質ポリアミドは、ISO 11357によるDSC法で2回目の昇温時に融解ピークの積分により測定される4J/gより低い溶融エンタルピーを有する。非晶質ポリアミドのための例は、
− テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンからなる異性体混合物とからのポリアミド、
− イソフタル酸と1,6−ヘキサメチレンジアミンからのポリアミド、
− テレフタル酸/イソフタル酸と1,6−ヘキサメチレンジアミンとからなる、場合により4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタンとの混合物における混合物からのコポリアミド、
− テレフタル酸及び/又はイソフタル酸、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びラウリンラクタムもしくはカプロラクタムからのコポリアミド、
− 1,12−ドデカン二酸もしくはセバシン酸、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及び場合によりラウリンラクタムもしくはカプロラクタムからの(コ)ポリアミド、
− イソフタル酸、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン及びラウリンラクタムもしくはカプロラクタムからのコポリアミド、
− 1,12−ドデカン二酸と、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(低いトランス,トランス異性体割合で)とからのポリアミド、
− テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、アルキル置換されたビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン同族体とからの、場合によりヘキサメチレンジアミンとの混合物での(コ)ポリアミド、
− ビス(4−アミノ−3−メチル−5−エチル−シクロヘキシル)メタンと場合により一緒の更なるジアミンと、イソフタル酸と場合により一緒の更なるジカルボン酸とからなるコポリアミド、
− m−キシリレンジアミン及び更なるジアミン、例えばヘキサメチレンジアミンと、イソフタル酸と場合により一緒の更なるジカルボン酸、例えばテレフタル酸及び/又は2,6−ナフタリンジカルボン酸などのジカルボン酸との混合物からのコポリアミド、
− ビス(4−アミノ−シクロヘキシル)メタン及びビス(4−アミノ−3−メチル−シクロヘキシル)メタンと、8〜14個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸との混合物からのコポリアミド、並びに
− 1,14−テトラデカン二酸と、芳香族の、芳香脂肪族のもしくは脂環式のジアミンとを含む混合物からのポリアミドもしくはコポリアミド
である。
【0022】
これらの例は、更なる成分(例えばカプロラクタム、ラウリンラクタム又はジアミン/ジカルボン酸の組み合わせ)を添加することによって又は出発成分を別の成分に部分的にもしくは完全に置き換えることによって非常に広範囲に変更することができる。
【0023】
前記ポリアミドは、また、ポリエーテルエステルアミド又はポリエーテルアミドであってもよい。ポリエーテルエステルアミドは、例えばDE−A−2523991号及びDE−A−2712987号から公知であり、それらは、コモノマーとしてポリエーテルジオールを含む。ポリエーテルアミドは、例えばDE−A−3006961号から公知であり、それらは、コモノマーとしてポリエーテルジアミンを含む。
【0024】
ポリエーテルジオールもしくはポリエーテルジアミンでは、そのポリエーテル単位は、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール又は1,3−ブタンジオールを基礎としうる。ポリエーテル単位は、また混合型の構成であってもよく、例えばジオールに由来する単位のランダム分布もしくはブロック状分布で構成されていてよい。ポリエーテルジオールもしくはポリエーテルジアミンのモル質量の質量平均は、200〜5000g/モル、好ましくは400〜3000g/モルであり、そのポリエーテルエステルアミドもしくはポリエーテルアミドの割合は、好ましくは4〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。好適なポリエーテルジアミンは、相応のポリエーテルジオールを、還元的アミノ化又はアクリルニトリルへのカップリングと引き続いての水素化によって転化させることによって得られ、それらは、例えばHuntsman Corp.によるJEFFAMIN(登録商標)D型もしくはED型又はELASTAMINE(登録商標)型の形で、又はBASF SEによるポリエーテルアミンDシリーズの形で市販されている。より少量で、ポリエーテルトリアミンを一緒に使用してもよく、例えば分枝鎖状のポリエーテルアミドが使用されるべき場合にはJEFFAMIN(登録商標)T型のものを使用してよい。好ましくは、ポリエーテルジアミンもしくはポリエーテルトリアミンであって、エーテル酸素原子1個当たりに平均して少なくとも2.3個の炭素原子が鎖中に含まれるものが使用される。本発明によれば、ポリエーテルアミドが、より良好な耐加水分解性のため好ましい。
【0025】
熱可塑性のポリエステルとしては、直鎖状に構成された熱可塑性のポリエステルが該当する。これらは、ジオールとジカルボン酸もしくはそのポリエステル形成性の、ジメチルエステルなどの誘導体との重縮合によって製造される。好適なジオールは、式HO−R−OHを有し、その式中、Rは、2〜40個の、好ましくは2〜12個の炭素原子を有する、二価の、分枝鎖状のもしくは非分枝鎖状の、脂肪族の及び/又は脂環式の基を表す。好適なジカルボン酸は、式HOOC−R′−COOHを有し、その式中、R′は、6〜20個の、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する、二価の、芳香族の基を意味する。
【0026】
ジオールのための例としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール並びにC
36−ジオールの二量体ジオールが挙げられる。該ジオールは、単独でもしくはジオール混合物として使用できる。上述のジオールの25モル%までは、以下の一般式
【化1】
[式中、R′′は、2〜4個の炭素原子を有する二価の基を意味し、かつxは、2〜50の値をとりうる]を有するポリアルキレングリコールによって置き換えられてよい。
【0027】
芳香族のジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−、1,5−、2,6−もしくは2,7−ナフタリンジカルボン酸、ジフェン酸及びジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸が該当する。前記のジカルボン酸の30モル%までは、脂肪族のもしくは脂環式のジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸もしくはシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの酸によって置き換えられていてよい。
【0028】
好適なポリエステルのための例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレン−2,6−ナフタレート及びポリブチレン−2,6−ナフタレートである。
【0029】
前記のポリエステルの製造は、技術水準に該当する(DE−OS 2407155号、同第2407156号;ウールマンの工業化学事典(Ullmans Encyclopaedie der technischen Chemie),第4版,第19巻,第65頁以降、Chemie出版,Weinheim,1980)。
【0030】
ポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーのポリアミンとしては、例えば以下の物質クラスを使用できる:
− ポリビニルアミン(レンプ化学事典(Roempp Chemie Lexikon),第9版,第6巻,第4921頁,Georg Thieme出版 シュトゥットガルト 1992)、
− 交互の複数のポリケトンから製造されるポリアミン(DE−OS 19654058号)、
− デンドリマー、例えば
【化2】
又はトリス(2−アミノエチル)アミン、N,N−ビス(2−アミノエチル)−N′,N′−ビス[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−1,2−エタンジアミン、3,15−ビス(2−アミノエチル)−6,12−ビス[2−[ビス(2−アミノエチル)アミノ]エチル]−9−[2−[ビス[2−ビス(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]エチル]−3,6,9,12,15−ペンタアザヘプタデカン−1,17−ジアミン(J.M.Warakomski,Chem.Mat.1992,4,1000−1004)などのデンドリマー、
− 4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾールの重合と、引き続いての加水分解とによって製造できる、直鎖状のポリエチレンイミン(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,第E20巻,第1482〜1487頁,Georg Thieme出版 シュトゥットガルト,1987)、
− アジリジンの重合によって得られる分枝鎖状のポリエチレンイミン(Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie,第E20巻,第1482〜1487頁,Georg Thieme出版 シュトゥットガルト,1987)であって、一般に以下のアミノ基分布:
25〜46%の第一級アミノ基と、
30〜45%の第二級アミノ基と、
16〜40%の第三級アミノ基と、
を有するポリエチレンイミン。
【0031】
該ポリアミンは、好ましい場合には、最大で20000g/モルの、特に好ましくは最大で10000g/モルの、殊に好ましくは最大で5000g/モルの数平均分子量Mnを有する。
【0032】
ポリアミド形成性のモノマーとして使用されるラクタムもしくはω−アミノカルボン酸は、4〜19個の、特に6〜12個の炭素原子を有する。特に好ましくは、カプロラクタム、ω−アミノカプロン酸、カプリルラクタム、ω−アミノカプリル酸、ラウリンラクタム、ω−アミノドデカン酸及び/又はω−アミノウンデカン酸が使用される。
【0033】
ジアミンとジカルボン酸との組み合わせは、例えばヘキサメチレンジアミン/アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン/ドデカン二酸、オクタメチレンジアミン/セバシン酸、デカメチレンジアミン/セバシン酸、デカメチレンジアミン/ドデカン二酸、ドデカメチレンジアミン/ドデカン二酸及びドデカメチレンジアミン/2,6−ナフタリンジカルボン酸である。しかしながら、その他にも、デカメチレンジアミン/ドデカン二酸/テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸/テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸/カプロラクタム、デカメチレンジアミン/ドデカン二酸/ω−アミノウンデカン酸、デカメチレンジアミン/ドデカン二酸/ラウリンラクタム、デカメチレンジアミン/テレフタル酸/ラウリンラクタム又はドデカメチレンジアミン/2,6−ナフタリンジカルボン酸/ラウリンラクタムなどのあらゆる別の組み合わせも使用できる。
【0034】
好ましい一実施態様においては、該グラフトコポリマーは、付加的に、他のポリアミド形成性のモノマーの合計に対してそれぞれ、0.015〜約3モル%のジカルボン酸と、0.01〜約1.2モル%のトリカルボン酸とから選択されるオリゴカルボン酸を使用して製造される。この関連において、ジアミンとジカルボン酸の当量の組み合わせの場合に、これらのモノマーのそれぞれは個別に考えられる。このように、ポリアミド形成性のモノマーは、全体として軽く過剰のカルボキシル基を有する。ジカルボン酸が使用される場合には、好ましくは0.03〜2.2モル%、特に好ましくは0.05〜1.5モル%、殊に好ましくは0.1〜1モル%、特に0.15〜0.65モル%が添加され、トリカルボン酸が使用される場合には、好ましくは0.02〜0.9モル%、特に好ましくは0.025〜0.6モル%、殊に好ましくは0.03〜0.4モル%、特に0.04〜0.25モル%と見なされる。オリゴカルボン酸を併用することによって、耐加水分解性と、耐応力亀裂性は、明らかに改善される。
【0035】
オリゴカルボン酸としては、6〜24個の炭素原子を有するあらゆる任意のジカルボン酸もしくはトリカルボン酸、例えばアジピン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、トリメシン酸及び/又はトリメリト酸を使用できる。
【0036】
付加的に、所望であれば、脂肪族の、脂環式の、芳香族の、アラルキルの、及び/又はアルキルアリール置換された、3〜50個の炭素原子を有するモノカルボン酸、例えばラウリン酸、不飽和脂肪酸、アクリル酸もしくは安息香酸などのカルボン酸を調節剤として使用することができる。この調節剤を用いて、分子形態を変えずに、アミノ基の濃度を低下させることができる。付加的に、このようにして、二重結合もしくは三重結合などの官能基を導入することができる。しかしながら、該グラフトコポリマーは、アミノ基の実質的な割合を有することが望ましい。好ましい一実施形態においては、該グラフトコポリマーのアミノ基濃度は、100〜2500ミリモル/kgの範囲であり、特に好ましくは150〜1500ミリモル/kgの範囲であり、殊に好ましくは250〜1300ミリモル/kgの範囲であり、殊に好ましくは300〜1100ミリモル/kgの範囲である。アミノ基とは、ここと以下においては、アミノ末端基のみならず、場合により存在する、ポリアミンの第二級もしくは第三級のアミン官能基も意味する。
【0037】
本発明によるグラフトコポリマーは、種々の方法に従って製造することができる。
【0038】
一つの手法は、ラクタムもしくはω−アミノカルボン酸及びポリアミンを一緒に予め入れて、重合もしくは重縮合を実施することにある。オリゴカルボン酸は、反応の最初にもしくは反応の過程で添加してもよい。
【0039】
しかしながら、一つの好ましい方法は、二段階のプロセスにおいて、まず、ラクタム開裂と予備重合を水の存在で実施し(選択的に、相応のω−アミノカルボン酸もしくはジアミン及びジカルボン酸は直接的に使用され、予備重合される)、第二工程でポリアミンを添加し、その一方で、場合により併用するオリゴカルボン酸を、該予備重合の前に、その間にもしくはその後に計量供給することにある。次いで、200〜290℃の温度で放圧し、そして窒素流もしくは真空中で重縮合する。
【0040】
更なる好ましい一つの方法は、ポリアミドを加水分解により分解してプレポリマーとし、それと同時にもしくはそれに引き続いてポリアミンと反応させることにある。好ましくは、末端基の差が、近似的にゼロであるか、又は場合により併用されるオリゴカルボン酸が、既に重合導入されているポリアミドが使用される。しかしながら、該オリゴカルボン酸は、分解反応の始めに又は分解反応の過程で添加することもできる。
【0041】
この方法によって、40ミリモル/kg未満の、好ましくは20ミリモル/kg未満の、特に好ましくは10ミリモル/kg未満の酸価を有する超高分岐型のポリアミドが製造できる。既に1時間ないし5時間の反応時間の後でも、200〜290℃の温度では、ほぼ完全な転化が達成される。
【0042】
所望であれば、更なる方法工程において、複数時間の真空段階を引き続き行うことができる。この時間は、200〜290℃で、少なくとも4時間、好ましくは少なくとも6時間、特に好ましくは少なくとも8時間である。複数時間の誘導期の後に、次いで、溶融粘度の増大が観察される。これは、アミノ末端基の互いの反応がアンモニア脱離と鎖結合のもとに行われることに起因すると思われる。これによって、分子量は更に高まる。これは、特に押出成形材料のためには好ましい。
【0043】
該反応を、溶融物中で終わらせたくないのであれば、超高分岐型のポリアミドは、技術水準に従って固相においても後縮合させることができる。
【0044】
前記a)の層の成形材料は、上述のポリアミドの1つを又は複数を混合物として含んでよい。更に、成形材料の全ポリマー割合に対して、40質量%までは、別の熱可塑性樹脂が含まれていてよく、例えば衝撃強さを与えるゴム又はポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのポリオレフィンが含まれていてよい。場合により含まれるゴム又はポリオレフィンは、好ましくは、技術水準に相応して、ポリアミドマトリクスとの相容性が得られる官能基を含む。更に、ポリアミドに慣用の助剤及び添加剤、特に光安定剤及び/又は熱安定剤が、又は好ましくはまた光反射性の充填剤、例えば二酸化チタンなどの充填剤(WO2011066595号)が含まれていてよい。第一の実施形態及び第四の実施形態においては、要求に応じたポリアミド割合には、ポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーのポリアミド割合も含まれることを顧慮すべきである。
【0045】
前記c)の層の成形材料は、上述のポリエステルの1つを又は複数を混合物として含んでよい。更に、該成形材料の全ポリマー割合に対してそれぞれ50質量%まで、好ましくは40質量%までは、別の熱可塑性樹脂が含まれていてよく、例えば衝撃強さを与えるゴム又はポリエチレンもしくはポリプロピレンなどのポリオレフィン、又は第二の実施形態の場合にはポリアミン−ポリアミド−グラフトコポリマーが含まれていてよい。場合により含まれるゴム又はポリオレフィンは、好ましくは、技術水準に相応して官能基を有し、それに加えて又はその代わりに、相容性媒介剤を添加してよい。更に、ポリエステルに慣用の助剤及び添加剤、特に光安定剤及び/又は熱安定剤、光反射性の充填剤、例えば二酸化チタンなどの充填剤並びに補強性充填剤、例えばガラス繊維、ウォラストナイトもしくは雲母などの充填剤が含まれていてよい。
【0046】
前記e)の層の成形材料のためには、前記a)の層の成形材料と同じものが当てはまり、同様に充填剤に関しては、前記c)の層の成形材料と同じものが当てはまる。更に、前記e)の層の成形材料は、着色されていてよく、かつ/又は艶消し剤を有してよい。
【0047】
個々のシート層は、一般に、以下の厚さを有する:
・ 前記a)の層と前記e)の層: 15〜100μm、好ましくは25〜50μm
・ 前記c)の層: 100〜500μm、好ましくは150〜400μm
・ 前記b)の層と前記d)の層: 3〜40μm、好ましくは5〜25μm
【0048】
本発明により使用される多層シートは、先行技術のあらゆる方法、例えば同時押出又は積層によって製造することができる。該シートは、ソーラーセルが埋め込まれているシール層と、例えば積層又は接着によって結合される。前記a)の層中のポリアミド割合のため、積層に際して、該シール層に対して良好な付着性が得られる。シール層としては、先行技術により一般に用いられているあらゆる材料を使用できる。
【0049】
本発明の対象は、また、特許請求の範囲に記載の多層シートを使用して製造した光起電力モジュールである。
【0050】
本発明を以下で例示的に詳説する。このために、以下の成形材料を製造した。その際、"部"は、常に質量部である。