【実施例】
【0051】
つぎに本発明の第1の実施例による弾性体ローラー、弾性体ローラーによる帯状部材の移送方法および貼付け方法を、前記プラテンローラー17(
図10)と同様に、サーマルプリンター8におけるプラテンローラー20(ラベル用弾性体ローラー)として構成した場合を例に取って
図1ないし
図5にもとづき説明する。ただし、
図9および
図10と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、プラテンローラー20(ラベル用弾性体ローラー)の斜視図、
図2は、プラテンローラー20の側面図、
図3は、
図2のIII−III線断面図である。
プラテンローラー20は、ローラーシャフト21と、このローラーシャフト21の周囲に取り付けるとともに一体的に回転可能な弾性材22と、を有するとともに、この弾性材22にラベル(たとえば前述の台紙なしラベル1、
図9)を接触させて移送するものである。
【0052】
弾性材22は、ローラーシャフト21の外周に設けた内層側弾性材23と、この内層側弾性材23の外周に一体的に設けて台紙なしラベル1に接触する外層側弾性材24と、を有する。
【0053】
図示のように、内層側弾性材23は、その外周が凹凸形状を呈している。
すなわち、内層側弾性材23の凹凸形状は、ローラーシャフト21の径方向において、不規則な断面形状(ただし、図示の例では、ローラーシャフト21の軸方向において規則的な断面形状)であり、たとえば内層側弾性材23の凹凸形状は、ローラーシャフト21の径方向断面において、内層側弾性材23の直径を可変としている。
より具体的には、内層側弾性材23の凹凸形状は、ローラーシャフト21の径方向に沿ったその断面形状が星形であり、この断面形状は、ローラーシャフト21のどの軸方向位置においても同じ星形である。この星形は、図示の例では、八個の山部23Aと、山部23Aの間に位置する八個の谷部23Bと、を有する。尚、星形とは、星の輝きを図案化した形状で、多角形を基本とし、その頂点を膨隆させた突出部を有する形であれば良い。
【0054】
さらに、外層側弾性材24から内層側弾性材23にかけてローラーシャフト21の軸方向に沿って、かつ軸方向に直角な方向に円周をめぐって、複数本のスリット25(
図2では、点線で示している)を切り込み形成することにより、弾性材22を互いに独立変位可能な複数個のユニット弾性部22A、22B、22C、・・・に分割している(
図4)。
スリット25は、図示の例では、ローラーシャフト21の軸方向に沿って、互いに隣り合うスリット25どうしのスリット間隔W(
図3)を均一としている。
たとえば、スリット25は、そのスリット間隔Wが0.50〜1.00mmである。
もちろん、スリット25は、ローラーシャフト21の軸方向に沿って、その隣り合うスリット25どうしのスリット間隔Wを不均一とすることもできる。
なお、スリット間隔Wが1.00mmをこえると、ユニット弾性部22A、22B、22C、・・・が、
図4および
図5にもとづいて後述するような独立変位を起こしにくくなって、台紙なしラベル1に対するプラテンローラー20の剥離効果が低下する。
スリット間隔Wが0.50mm未満では、プラテンローラー20全体としての強度を保ちにくくなる。
【0055】
スリット25は、外層側弾性材24を介して内層側弾性材23の一部まで切り込んでいる。図示の例では、スリット25は、弾性材22において均一な深さで上記星形の凹凸形状を有する内層側弾性材23の山部23Aまで切り込んでおり、その谷部23Bまでには達していない。
プラテンローラー20の材料あるいはその直径などにもよるが、スリット25は、弾性材22の外表面から内方に向かってそのスリット深さD(
図3)を、たとえば、プラテンローラー20全体の直径が10〜30mm程度の場合に、1.00〜3.00mmとすることができる。
【0056】
もちろん、このスリット深さDは任意であって、スリット25は、外層側弾性材24から内層側弾性材23を通して、最深でローラーシャフト21に至る直前の深さまで切り込むこともできる。
また、スリット深さDは、ローラーシャフト21の軸方向におけるそれぞれのスリット25について、これを不均一に設けることもできるし、均一にすることもできる。
さらに、ローラーシャフト21の径方向においても、スリット深さDを不均一に設けることもできるし、均一にすることもできる。
【0057】
なお、スリット深さDとスリット間隔Wとの比D:Wは、6:1〜1:3の範囲とすることができ、3:1〜1:2の範囲とすることが望ましい。
比D:Wが6:1をこえた場合、すなわち、スリット25をより深く形成し、互いの間の間隔を狭めても、ユニット弾性部22A、22B、22C、・・・の深部は押圧された場合の変形量が少ないために剥離効果の向上を望むことができないとともに、プラテンローラー20が損傷しやすくなる不具合が生ずる。
一方、比D:Wが1:3未満になると、スリット25を形成したことによる剥離効果を得にくくなる。
【0058】
内層側弾性材23のA硬度(JIS K6253規格に規定するデュロメータータイプAによるゴム硬度)は、外層側弾性材24のA硬度よりこれを低く(柔らかく)形成し、内層側弾性材23が外層側弾性材24より大きく弾性変形することが必要である。
すなわち、複数本のスリット25により形成されたそれぞれのユニット弾性部22A、22B、22C、・・・には、サーマルヘッド16からの押圧力(印字圧力)に対してより強い弾性反発力が発生し、プラテンローラー20に接触しつつ移送されてゆく台紙なしラベル1をプラテンローラー20の表面からはがすように作用することが必要である。
プラテンローラー20の主要構成材である内層側弾性材23および外層側弾性材24は、上記A硬度が、下記のような範囲にある合成樹脂材料を使用することができる。
たとえば、内層側弾性材23のA硬度は、10〜30度、好ましくは20〜30度であり、外層側弾性材24のA硬度は、30〜80度、好ましくは50〜60度である。
内層側弾性材23のA硬度が10度未満の場合には、内層側弾性材23が柔らかくなりすぎてそれぞれのユニット弾性部22A、22B、22C、・・・が必要な弾性力ないし反発力を得にくく、30度をこえると、逆に硬くなって、ユニット弾性部22A、22B、22C、・・・が同じく必要な反発力を得にくい。
外層側弾性材24のA硬度が30度未満の場合には、台紙なしラベル1との接触摩擦力が過剰となって、プラテンローラー20としての移送機能に支障が生じ、80度をこえると、台紙なしラベル1に反発力を伝達しにくく、また、台紙付きラベルを装填した場合に台紙付きラベルとの接触摩擦力が低減して、移送および印字機能が低下する。
【0059】
内層側弾性材23および外層側弾性材24は、これを熱可塑性弾性部材から構成することができる。
また、内層側弾性材23および外層側弾性材24は、これを同系列のシリコーンゴムなどの熱硬化性弾性材料から構成することができる。
内層側弾性材23および外層側弾性材24を構成する合成樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブデン、結晶性ポリブタジエン、ポリブタジエン、スチレンブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビリニデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、アイオノマー、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、1,2−ポリブタジエン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂を使用することができる。
また、たとえば、熱硬化性のシリコーンゴム、一液型RTV(Room Temperature Vulcanizing)ゴム、二液型RTVゴム、LTV(Low Temperature Vulcanizable)シリコーンゴム、耐油性熱硬化性ゴムなどの熱硬化性弾性材料を用いることができる。
【0060】
こうした構成のプラテンローラー20による前記台紙なしラベル1(
図9)の移送作用を
図4および
図5にもとづき説明する。
図4は、サーマルプリンター8(
図10)においてサーマルヘッド16とプラテンローラー20との間に台紙なしラベル1を挟持した状態のローラーシャフト21の軸方向拡大断面図、
図5は、同、ローラーシャフト21の径方向拡大断面図である。ただし、
図4において、星形の内層側弾性材23における山部23Aの部分および谷部23Bの部分について、同じ図面上に区分けして図示している。
【0061】
図4および
図5に示すように、台紙なしラベル1はサーマルヘッド16とプラテンローラー20とに挟まれ、その粘着剤層3が所定の印字圧力(押圧力)でプラテンローラー20に押し付けられ、一時的に貼り付けられたと同等の状態になる。
【0062】
しかして、プラテンローラー20には複数のスリット25が形成されているため、それぞれのスリット25により、互いに隣り合うように分割された独立変位可能なユニット弾性部22A、22B、22C、22D、22E、22F(
図4中、右側に位置している)、およびユニット弾性部22G、22H、22I、22J、22K(
図4中、左側に位置している)、..は、それぞれ独立した挙動を示す。
すなわち、それぞれのユニット弾性部22A〜22F、22G〜22Kは、内層側弾性材23および外層側弾性材24から構成されているが、内層側弾性材23の体積がそれぞれわずかずつ異なっているため、その弾性変形量が異なって同一形状には撓まない。
また、印字が終了した台紙なしラベル1がサーマルヘッド16から離れたときに、撓んだユニット弾性部22A〜22F、22G〜22Kそれぞれが互いに隣接接触しているためわずかな摩擦力に差があり、もとの形状に戻るときに、全く同じタイミングで同一状態には戻らず、各ユニット弾性部22A〜22F、22G〜22Kが、それぞれの復元力にもとづいてバラバラに、台紙なしラベル1をプラテンローラー17から離すように押し出すことになる。
なお、内層側弾性材23にまでスリット25が達していないユニット弾性部22G〜22Kは、その基部(内方側)では隣り合うユニット弾性部22G〜22Kと一体的ではありながら、その端部(外方側)では別体であり、反発力自体は低下するものの、それぞれ互いに連携はしつつ異なる復元作用を起こして、同じく、台紙なしラベル1をプラテンローラー17から離すように押し出す機能を発揮する。
【0063】
さらに、内層側弾性材23が星形の凹凸形状となっているので、単一のユニット弾性部22A〜22F、22G〜22Kにおいても、プラテンローラー20の回転にともなってサーマルヘッド16から離れるときの剥離機能が確実になる。
すなわち、
図4および
図5に示すように、比較的A硬度が小さい内層側弾性材23の体積が大きなユニット弾性部22A〜22Fと、内層側弾性材23の体積が小さなユニット弾性部22G〜22Kとでは、プラテンローラー20から受ける押圧力が同等であっても、プラテンローラー20が台紙なしラベル1を移送するように回転すると、ユニット弾性部22G〜22Kに対してユニット弾性部22A〜22Fの方が、相対的に大きな反発力を発生する。
内層側弾性材23の体積が大きいユニット弾性部22A〜22Fと、体積が小さいユニット弾性部22G〜22Kとに生じた反発量ないし復元量の違いが台紙なしラベル1を剥がれ易いように作用し、台紙なしラベル1がプラテンローラー20に貼り付くことはない。
このように各ユニット弾性部22A、22B、22C、・・・、22G、・・・22Kが台紙なしラベル1をバラバラに押し戻すことによりプラテンローラー20の非粘着性および剥離性が向上され、台紙なしラベル1がプラテンローラー20に貼り付いたまま巻き込まれたり、進行方向が曲がってラベル詰まりが発生することがない。
【0064】
かくして、台紙なしラベル1あるいは台紙付きラベルなど多層構造を有する印字媒体をサーマルプリンター8に装填して印字する場合に、外層側弾性材24の外周面は平滑な曲面であって、プラテンローラー20がサーマルヘッド16の全面に印字媒体を安定して接触させることができるとともに、安定した移送印字作用を保障することができ、台紙なしラベル1のみならず、台紙付きラベルの移送についても安定した機能を保障することができる。
【0065】
なお、
図4および
図5において、プラテンローラー20のうちユニット弾性部22A〜22Fを内層側弾性材23の体積が大きいユニット弾性部とし、ユニット弾性部22G〜22Kを体積が小さいユニット弾性部として説明したが、それは、サーマルヘッド16による押圧を受けている瞬間的に生じた状態であって、体積の大小はプラテンローラー20の回転に伴って次々に変化して行く。
たとえば、
図5においてプラテンローラー20が図示の状態からわずかに反時計方向に回転した時点では、内層側弾性材23の山部23Aは台紙なしラベル1の移送方向下流側に位置をずらしており、台紙なしラベル1に対して印字圧が発生しているサーマルヘッド16との接触部位には、ユニット弾性部22A〜22F、22G〜22Kにおける内層側弾性材23の体積がより小さくなる外層側弾性材24の周面が至り、それぞれのユニット弾性部22A〜22F、22G〜22Kによる上述したような弾性反発力が変化してゆくことになる。
換言すれば、台紙なしラベル1との接触部分から下流側にかけて、それぞれのユニット弾性部22A〜22F、22G〜22Kの表面が細かく脈を打つように独立に稼働するので、プラテンローラー20の表面に貼り付いた状態の台紙なしラベル1をその移送方向および幅方向において不均一な剥離力が作用して、台紙なしラベル1をプラテンローラー20から自律的に、かつ強制的に引きはがす結果、ラベル詰まりを発生することなく適正に移送することができる。
【0066】
つぎに本発明による弾性体ローラー、弾性体ローラーによる帯状部材の移送方法および貼付け方法においては、既述のプラテンローラー20(第1の実施例、
図1)に限らず、その内層側弾性材23の凹凸形状は、ローラーシャフト21の軸方向において、不規則な断面形状であってもよい(第1の実施例によるプラテンローラー20では、内層側弾性材23の凹凸形状は、ローラーシャフト21の径方向においては、ローラー構成部材としては一般的な円形状とは異なる不規則な、たとえば星形の断面形状であるが、軸方向においては規則的な断面形状である)。
あるいは、内層側弾性材23の凹凸形状は、ローラーシャフト21の軸方向断面において、内層側弾性材23の直径を可変とすることもできる。
もちろん、内層側弾性材23の凹凸形状は、ローラーシャフト21の径方向において、規則的な断面形状を有するように構成することもできる。
要するに、
図4、
図5にもとづき上述したような各ユニット弾性部22A〜22F、22G〜22Kが、表面に貼り付いた状態の台紙なしラベル1に対して、その幅方向および移送方向において独立かつバラバラで、脈動的な反発作用を起こすような内層側弾性材23の凹凸形状を採用すればよい。
【0067】
たとえば、
図6は、本発明の第2の実施例による弾性体ローラー(プラテンローラー30)の斜視図であり、プラテンローラー30は、その弾性材31が、内層側弾性材32および外層側弾性材33を有し、内層側弾性材32の凹凸形状として、ローラーシャフト21の軸方向において、内層側弾性材32の直径を周期的に可変とするように、曲面状の山部32Aおよび谷部32Bを交互に繰り返した、いわば串刺し団子状の形状である。また、ローラーシャフト21の径方向断面において、内層側弾性材32の直径はそれぞれ一定である。
さらに、弾性材31における内層側弾性材32および外層側弾性材33には、既述したような所定のスリット深さDおよびスリット間隔Wで複数本のスリット25を切り込むことにより、複数個のユニット弾性部31A、31B、31C、・・・を分割形成している。
【0068】
こうした構成のプラテンローラー30を用いて、サーマルプリンター8(
図10)におけるサーマルヘッド16との間に台紙なしラベル1を所定印字圧力で挟持する。
印字圧力の負荷状態におけるプラテンローラー30の回転にともなって、既述のプラテンローラー20(
図1ないし
図5)の場合と同様に、それぞれのユニット弾性部31A、31B、31C、・・・の内部では、内層側弾性材32の弾性反発力が個別かつ独立に発生し、プラテンローラー30自体がその表面部(外層側弾性材33の表面)を細かく脈動させるので、台紙なしラベル1がプラテンローラー30の表面から強制的に剥離されるように移送され、プラテンローラー30の非粘着性および剥離性を確保することができる。
【0069】
ただし、このプラテンローラー30の場合には、既述のプラテンローラー20の場合とは異なって、それぞれのユニット弾性部31A、31B、31C、・・・の内部において弾性反発力を発生させる内層側弾性材32の体積は、ローラーシャフト21の軸方向において可変であり、径方向においては一定である。
【0070】
つぎに
図7は、本発明の第3の実施例による弾性体ローラー(プラテンローラー40)の斜視図であり、プラテンローラー40は、その弾性材41が、内層側弾性材42および外層側弾性材43を有し、内層側弾性材42の凹凸形状としては、ローラーシャフト21の径方向に沿ったその断面形状が星形であり、この星形断面形状をローラーシャフト21の軸方向のまわりにおいてねじりを加えた形状である。
すなわち、ローラーシャフト21の径方向断面および軸方向断面において、内層側弾性材32の直径をともに可変とするように、その山部42Aおよび谷部42Bをローラーシャフト21の軸線のまわりにねじりを加えた、いわば、ねじ山を形成した形状である。
さらに、弾性材41における内層側弾性材42および外層側弾性材43には、既述したような所定のスリット深さDおよびスリット間隔Wで複数本のスリット25を切り込むことにより、複数個のユニット弾性部41A、41B、41C、・・・を分割形成している。
【0071】
こうした構成のプラテンローラー40を用いて、サーマルプリンター8におけるサーマルヘッド16との間に台紙なしラベル1を所定印字圧力で挟持する。
印字圧力の負荷状態におけるプラテンローラー40の回転にともなって、既述のプラテンローラー20(
図1ないし
図5)およびプラテンローラー30(
図6)の場合と同様に、それぞれのユニット弾性部41A、41B、41C、・・・の内部では、内層側弾性材42の弾性反発力が個別かつ独立に発生し、プラテンローラー30自体がその表面部(外層側弾性材43の表面)を細かく脈動させるので、台紙なしラベル1がプラテンローラー40の表面から強制的に剥離されるように移送され、プラテンローラー30の非粘着性および剥離性を確保することができる。
【0072】
ただし、このプラテンローラー40の場合には、既述のプラテンローラー20(
図1)やプラテンローラー30(
図6)の場合とは異なって、それぞれのユニット弾性部41A、41B、41C、・・・の内部において弾性反発力を発生させる内層側弾性材42の体積は、ローラーシャフト21の軸方向および径方向においてともに可変である。
【0073】
さらに
図8は、本発明の第4の実施例による弾性体ローラー(プラテンローラー50)の平面図であって、プラテンローラー50は、その弾性材51が、内層側弾性材52および外層側弾性材53を有し、内層側弾性材52の凹凸形状として、その円柱状本体52Aから大小あるいは所定形状ないし高さの複数個のイボ状突起54を所定の密度で突出させた形状を採用している。これらのイボ状突起54は、円柱状本体52Aの表面において縦、横、斜めその他任意の方向に向かう所定の列をなしていてもよく、不規則であってもかまわない。
すなわち、ローラーシャフト21の軸方向において、内層側弾性材52の直径を不規則に可変とするとともに、ローラーシャフト21の径方向断面においても、内層側弾性材52の直径を不規則に可変としている。
さらに、弾性材51における内層側弾性材52および外層側弾性材53には、既述したような所定のスリット深さDおよびスリット間隔Wで複数本のスリット25を上記イボ状突起54まで切り込むことにより、複数個のユニット弾性部51A、51B、51C、・・・を分割形成している。
【0074】
こうした構成のプラテンローラー50を用いて、サーマルプリンター8(
図10)におけるサーマルヘッド16との間に台紙なしラベル1を所定印字圧力で挟持する。
印字圧力の負荷状態におけるプラテンローラー50の回転にともなって、既述のプラテンローラー20(
図1ないし
図5)、プラテンローラー30(
図6)およびプラテンローラー40(
図7)の場合と同様に、それぞれのユニット弾性部51A、51B、51C、・・・の内部では、内層側弾性材52の弾性反発力が個別かつ独立に発生し、プラテンローラー50自体がその表面部(外層側弾性材53の表面)を細かく脈動させるので、台紙なしラベル1がプラテンローラー50の表面から強制的に剥離されるように移送され、プラテンローラー50の非粘着性および剥離性を確保することができる。
【0075】
ただし、このプラテンローラー50の場合には、既述のプラテンローラー20の場合とは異なって、それぞれのユニット弾性部51A、51B、51C、・・・の内部において弾性反発力を発生させる内層側弾性材52の体積は、ローラーシャフト21の軸方向および径方向において可変である。
【0076】
なお本発明による弾性体ローラーは、たとえば、コーターや印刷機において、裏面側に粘着剤層あるいは接着剤層を有する紙やフィルムベースの帯状部材を移送あるいは案内する際にも、非粘着性、あるいは剥離性(離型性)に優れた移送ローラーとして使用することができる。
【0077】
さらに本発明による弾性体ローラーは、台紙なしラベル1を任意の被貼付け体、たとえば段ボール箱の蓋に機械的に押し付けて貼り付けるような場合や、一般的な台紙付きラベルの台紙からラベルを剥離し、剥離されたラベルを押し付けて貼り付けるような場合にも、貼付けローラーとして使用することができる。
すなわち、台紙なしラベル1あるいは台紙付きラベルであっても、その裏面側に位置する粘着剤層3とは反対の表面側から、本発明による弾性体ローラーを貼付けローラーとしてラベルを押し付けることとなる。
当該貼付けローラー(弾性体ローラー)による押圧作用により、粘着剤層3の粘着剤は、台紙なしラベル1あるいは台紙付きラベルの側面あるいは先頭端面および後尾端面から、側方さらには表面側に徐々にはみ出しても、この貼付けローラーは、既述の実施例の場合と同様に貼付けローラーに台紙なしラベル1あるいは台紙付きラベルが貼り付くことなく、ラベル巻込み現象を回避して、安定した貼付け操作を実行可能である。
【0078】
なお本発明における内層側弾性材の凹凸形状は、図示は省略するが、上述のような構成以外にも、ローラーシャフトの径方向あるいは軸方向における規則性を完全に排除した任意の形状、さらには、曲面あるいは平面の組み合わせによるその他任意の形状を採用することも可能であって、プラテンローラーその他の弾性体ローラーとして、押圧力が作用している状態でその回転にともないその表面が脈動的ないし不規則に変化して台紙なしラベルなどの帯状部材を積極的にローラー表面からはがしてゆくような機能を付与することができる。