(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012419
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】保冷コースター
(51)【国際特許分類】
A47G 23/03 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
A47G23/03
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-249439(P2012-249439)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-97114(P2014-97114A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】391065220
【氏名又は名称】清水 潤一
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】清水 潤一
【審査官】
伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−318677(JP,A)
【文献】
特開平09−108088(JP,A)
【文献】
特開2003−245183(JP,A)
【文献】
実開昭55−074638(JP,U)
【文献】
特表2010−537708(JP,A)
【文献】
実開昭50−113688(JP,U)
【文献】
特開平09−193940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/00−23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部及び該底板部の外周部に沿って一体形成された周壁部とで形成されたケーシングと、該ケーシング内で前記底板部に載置された断熱材と、該断熱材上に載置された保冷材と、前記ケーシングを閉鎖する上蓋部とを有し、該上蓋部の下面中央に前記保冷材の押圧体を固設し、該押圧体を前記上蓋部への冷橋とし、前記断熱材の上面に複数の結露水排出溝を刻設し、前記周壁部の下部に排水孔を形成したことを特徴とする保冷コースター。
【請求項2】
保冷材の下方の冷温を上方側へ伝える冷橋体を設けたことを特徴とする請求項1記載の保冷コースター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラス、ビン、缶等に入った冷えた飲料物の温度を長時間持続可能にした保冷コースターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かかる保冷コースターにあっては、外縁を立設して形成したケーシング内に断熱シート、保冷材、薄い銅版の順で収容した構造のものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3120974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、保冷材の表面に付着した結露水が断熱シートとの間に留まって氷結し徐々に厚さを増していって、保冷材を徐々に押し上げてしまうため、薄い銅版であれば変形してしまう可能性を否定出来ないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、保冷材と断熱材との間に留まった結露水が氷結し厚くなってしまう課題に鑑み、底板部及び該底板部の外周部に沿って一体形成された周壁部とで形成されたケーシングと、該ケーシング内で前記底板部に載置された断熱材と、該断熱材上に載置された保冷材と、前記ケーシングを閉鎖する上蓋部とを有し、該上蓋部の下面中央に前記保冷材の押圧体を固設し、該押圧体を前記上蓋部への冷橋とし、前記断熱材の上面に複数の結露水排出溝を刻設することによって、保冷材の表面に付着した結露水が前記結露水排出溝内に流れ込んで該結露水排出溝内を流下させて、保冷材と断熱材との間に留まらせない様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、底板部及び該底板部の外周部に沿って一体形成された周壁部とで形成されたケーシングと、該ケーシング内で前記底板部に載置された断熱材と、該断熱材上に載置された保冷材と、前記ケーシングを閉鎖する上蓋部とを有し、該上蓋部の下面中央に前記保冷材の押圧体を固設し、該押圧体を前記上蓋部への冷橋としたので、この保冷コースターの上に冷えた飲料物が入ったグラス、ビン、缶等を載置すると、上蓋部が押圧体を介して保冷材により冷却されるため、グラス、ビン、缶等の温度上昇が抑止され、その中の冷えた飲料物の温度上昇も抑えられて、適温を維持することが出来る。
そして、前記断熱材の上面に複数の結露水排出溝を刻設したので、保冷材の表面に付着した結露水が前記結露水排出溝内に流れ込み流下して、保冷材と断熱材との間に留まらないため、当該部位での結露水の氷結を防止することが出来る。
【0007】
保冷材の下方の冷温を上方側へ伝える冷橋体を設けたので、保冷材における温度が低いままの下層側の冷温が上層側に伝わり融解速度が遅くなることで、全体的に略均等にゆっくりと融解させることが出来るため、冷温状態を更に長時間維持することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る保冷コースターの平面図である。
【
図3】冷橋体を設けた保冷コースターの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
本発明に係る保冷コースターにあっては、基本的に、底板部1及び該底板部1の外周部に沿って一体形成された周壁部2とで形成されたケーシング3と、該ケーシング3内で底板部1上に載置された断熱材4と、該断熱材4上に載置された保冷材5と、ケーシング3を閉鎖する上蓋部6とを有し、上蓋部6の下面中央に保冷材5の押圧体9を固設し、該押圧体9を上蓋部6への冷橋とし、断熱材4の上面に複数本の結露水排出溝7、7a…を刻設している。
又、ケーシング3における周壁部2の下部に複数の排水孔8、8a…を形成している。
【0010】
ケーシング3は、プラスチック製とするのが好ましく、底面に滑止め10を設け、図面上、平面視円形状であるが、矩形板その他の形状であっても良い。
【0011】
断熱材4は、ケーシング3における周壁部2との間に隙間を介在させて配置され、結露水排出溝7、7a…は中央より放射状に配置され、且つ底面が中央より外周へ下方傾斜している。
【0012】
保冷材5は、高吸水性ポリマー11を密閉袋12内に充填したもので、ケーシング3における周壁部2との間に隙間を介在させて配置されている。
【0013】
上蓋部6は、金属製又はプラスチック製とし、望ましくは上面に滑り止め、吸水処理を施し、下面に一体化された押圧体9は、熱伝導性に優れ、保冷材5の上面中央を凹ませて、該保冷材5を断熱材4側に押し付けている。
又、上蓋部6に温度表示部13を設け、該温度表示部13は、温度により色が変わる処理が施されたシールであったり、埋設された小さな温度計など、要するに簡単な構造で上蓋部6の温度が目視確認可能であれば良い。
【0014】
保冷材5の下方の冷温を上方側へ伝える冷橋体14を設けても良く、該冷橋体14は、
図3に示す様に、熱伝導性に優れた材質で、保冷材5と断熱材4との間に位置する下方部材15と、該下方部材15の端部に一体形成された立上部材16と、該立上部材16の上端に一体形成された上方部材17とを有しているが、保冷材5における密閉袋12の内面にアルミニウムを蒸着させて形成されたアルミニウム層を冷橋体14としても良い。
【0015】
次に、本発明に係る保冷コースターの作用について説明する。
冷凍庫から取り出して、テーブル上に載置し、その上に冷えた飲料物が入ったグラス、ビン、缶等を載置すると、上蓋部6が押圧体9を介して保冷材5により冷却されているために、グラス、ビン、缶等の温度上昇が抑止されて、その中の冷えた飲料物の温度上昇も抑えられる。
そして、保冷材5に結露水が付着するが、下面側の結露水は保冷材5と断熱材4との間に留まらずに、結露水排出溝7、7a…内に流れ込んで該結露水排出溝7、7a…内を流下し、最終的には排水孔8、8a…から外部排出される。
【0016】
又、保冷材5は上層側より徐々に融解を始めるが、冷橋体14があれば、温度が低いままの下層側の冷温が上層側に伝わって、融解速度が遅くなって、全体的に略均等にゆっくりと融解する。
【符号の説明】
【0017】
1 底板部
2 周壁部
3 ケーシング
4 断熱材
5 保冷材
6 上蓋部
7、7a… 結露水排出溝
9 押圧体
14 冷橋体