特許第6012428号(P6012428)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012428
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】止血用バルーンユニット
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20161011BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   A61M25/10
   A61M25/01
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-254185(P2012-254185)
(22)【出願日】2012年11月20日
(65)【公開番号】特開2014-100303(P2014-100303A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】512299392
【氏名又は名称】木村 正
(73)【特許権者】
【識別番号】512299716
【氏名又は名称】澤田 健二郎
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 正
(72)【発明者】
【氏名】澤田 健二郎
(72)【発明者】
【氏名】塚越 良一
(72)【発明者】
【氏名】矢部 学
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−137346(JP,A)
【文献】 特表2001−526572(JP,A)
【文献】 特表2003−517324(JP,A)
【文献】 特表2004−526481(JP,A)
【文献】 米国特許第5624399(US,A)
【文献】 米国特許第5935098(US,A)
【文献】 米国特許第6080129(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00,25/01,25/10,29/00−29/04
A61B 17/42−17/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するチューブの先端部に止血用バルーンが設けられ、該チューブの基端部にコネクタが設けられた止血用バルーンカテーテルと、該止血用バルーンカテーテルの基端部に着脱自在に取り付けられるコネクタカバーとによって構成される止血用バルーンユニットであって、
前記チューブは、その内部に、前記止血用バルーンよりも先端側で開口する第1通路と、前記止血用バルーンに連通する第2通路とを備え、
前記コネクタは、前記第1通路に連通する第1端子と、前記第2通路に連通して該第1端子の付け根部分から第1角度をもって分岐する第2端子とを備えると共に、第1端子と第2端子との少なくとも一方の付け根部分が可撓性を有することにより屈曲可能に構成され、
前記コネクタカバーは、前記第1端子と前記第2端子とが前記第1角度より鋭角な第2角度となるように屈曲させた状態で収納可能に構成された端子収納部を備えることを特徴とする止血用バルーンユニット。
【請求項2】
請求項1記載の止血用バルーンユニットにおいて、
前記コネクタカバーは、形状を変形させた状態で保持することが可能な形状保持部材を備えることを特徴とする止血用バルーンユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の止血用バルーンユニットにおいて、
前記コネクタカバーの前記端子収納部は、前記第1端子と前記第2端子とを前記第2角度から圧縮させた状態で収納可能に構成されていることを特徴とする止血用バルーンユニット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の止血用バルーンユニットにおいて、
前記第1通路及び第1端子は、前記チューブの形状を保持するためのスタイレットを挿通可能に構成され、
前記コネクタカバーは、前記スタイレットの基端が固定される又は前記スタイレットの基端部に備えられたスタイレットハンドルを嵌合可能に構成されたスタイレット収納部を有することを特徴とする止血用バルーンユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の止血用バルーンユニットにおいて、
前記チューブは、前記チューブの形状を保持するためのスタイレットを挿通可能に構成された第3通路を備え、
前記コネクタカバーは、前記スタイレットの基端が固定される又は前記スタイレットの基端部に備えられたスタイレットハンドルを嵌合可能に構成されたスタイレット収納部を有することを特徴とする止血用バルーンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮内で出血が生じた際に、圧迫止血を行うための止血用バルーンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食道静脈瘤硬化治療等において穿刺部位の止血を行う際に用いられる止血用バルーンカテーテルが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
当該止血用バルーンカテーテルは、可撓性樹脂からなるチューブの先端近傍に止血用バルーンを備え、基端にコネクタを備えている。前記チューブは、体液を体外へ排出する必要があるため、先端部の排液孔から長軸方向に第1通路が連通され、また、前記止血用バルーンを拡張するため、止血用バルーンから長軸方向に第2通路が連通されている。また、前記コネクタは、前記第1通路と連通された第1端子と前記第2通路と連通された第2端子とがY字状に分岐している。
【0004】
当該止血用バルーンカテーテルは、分娩の際、子宮内から所定量以上の出血が発生した場合に、圧迫止血をするのに用いることもできる。具体的には、前記止血用バルーンを膣部から挿入し、子宮内に配置したうえで、バルーンに空気又は水を注入してバルーンを膨らませることにより、前記出血を圧迫止血する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】機械器具(51)医療用嘴管及び体液誘導管 管理医療機器 食道静脈瘤硬化療法用止血バルーン トップ止血用バルーン JMDN70234000 (バリオキャスカフ:止血用バルーン)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記止血方法においては、前記止血用バルーン及び前記止血用チューブが、不潔領域である膣部を通り、清潔領域である子宮内に挿入されることになるので、膣部内の病原菌を腹腔内に運んでしまい、感染症のリスクが生じうるという問題がある。
【0007】
また、膣部を経由して子宮内に前記止血用バルーンを挿入する方法では、止血を完了するまでに時間がかかってしまう問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、かかる不都合を解消して、子宮内の出血を感染症のリスクを生じさせることなく迅速に止血できる止血用バルーンユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明は、可撓性を有するチューブの先端部に止血用バルーンが設けられ、該チューブの基端部にコネクタが設けられた止血用バルーンカテーテルと、該止血用バルーンカテーテルの基端部に着脱自在に取り付けられるコネクタカバーとによって構成される止血用バルーンユニットであって、前記チューブは、その内部に、前記止血用バルーンよりも先端側で開口する第1通路と、前記止血用バルーンに連通する第2通路とを備え、前記コネクタは、前記第1通路に連通する第1端子と、前記第2通路に連通して該第1端子の付け根部分から第1角度をもって分岐する第2端子とを備えると共に、第1端子と第2端子との少なくとも一方の付け根部分が可撓性を有することにより屈曲可能に構成され、前記コネクタカバーは、前記第1端子と前記第2端子とが前記第1角度より鋭角な第2角度となるように屈曲させた状態で収納可能に構成された端子収納部を備えることを特徴とする。
【0010】
発明者は、鋭意研究の結果、帝王切開を行った患者の切開部分から、止血用バルーンカテーテルのコネクタを子宮内に挿入し、膣部を通じて患者の体外にコネクタを出すと共に、止血用バルーンを子宮内に配置する方法を見出した。
【0011】
しかしながら、従来の止血用バルーンカテーテルでは、一対の端子を備えるためにチューブの途中がY字状に分岐しているため、前記切開部分から膣部を通じてコネクタを配置するときに挿入抵抗が大きいという問題がある。
【0012】
この点、本発明の止血用バルーンユニットでは、止血用バルーンカテーテルのコネクタの第1端子及び第2端子の少なくとも一方の付け根部分が可撓性を有するので、第1端子と第2端子とでなす角度を、第1角度よりも鋭角となる第2角度に屈曲させることができる。即ち、第1端子と第2端子とを互いに近接させて束ねた状態とすることができる。
【0013】
そして、本発明の止血用バルーンユニットのコネクタカバーは、前記コネクタの第1端子及び第2端子を前記第2角度に屈曲させ互いに近接させた状態で(束ねた状態で)、端子収納部に収納することができる。
【0014】
この結果、本発明の止血用バルーンユニットによれば、帝王切開を行った患者の切開部分から前記コネクタを挿入する際の前記挿入抵抗を小さくすることができ、子宮内の出血を感染症のリスクを生じさせることなく迅速に止血することができる。
【0015】
また、本発明の止血用バルーンユニットにおいて、前記コネクタカバーは、形状を変形させた状態で保持することが可能な形状保持部材を備えることが好ましい。
【0016】
当該構成を備える止血用バルーンユニットによれば、前記コネクタカバーの形状を患者に合わせて変形することができるため、前記コネクタを挿入する際の前記挿入抵抗をより小さくすることができ、迅速に止血することができる。
【0017】
また、本発明の止血用バルーンユニットにおいて、前記コネクタカバーの前記端子収納部は、前記第1端子と前記第2端子とを前記第2角度から圧縮させた状態で収納可能に構成されていることが好ましい。
【0018】
当該構成を備える止血用バルーンユニットによれば、より止血用バルーンユニットの径を小さくすることができるため、前記コネクタを挿入する際の前記挿入抵抗をより小さくすることができ、迅速に止血することができる。
【0019】
また、本発明の止血用バルーンユニットにおいて、前記第1通路及び第1端子は、前記チューブの形状を保持するためのスタイレットを挿通可能に構成され、前記コネクタカバーは、前記スタイレットの基端が固定される又は前記スタイレットの基端部に備えられたスタイレットハンドルを嵌合可能に構成されたスタイレット収納部を有することが好ましい。
【0020】
当該構成を備える止血用バルーンユニットでは、第1通路にスタイレットを挿通させた状態で、コネクタカバーでカバーされたコネクタを子宮内から膣部を通じ体外に配置できるため、操作性を向上させることができる。そして、前記コネクタカバーのスタイレット収納部は、前記スタイレットの基端部に備えられたスタイレットハンドルに嵌合されているため、前記コネクタカバーを抜去する際に、併せて前記スタイレットを抜去することができる。
【0021】
この結果、当該構成を備える止血用バルーンユニットによれば、手技の時間をより短縮できるため、より迅速に止血することができる。
【0022】
なお、前記スタイレットの基端部にスタイレットハンドルを備えることなく、前記スタイレットの基端を前記コネクタカバーに直接固定してもよい。また、前記第1通路及び第1端子をスタイレットが挿通可能なように構成することに換えて、スタイレットを挿通可能に構成される前記第3通路をさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】コネクタカバーを断面図とした止血用バルーンユニットの一部断面図。
図2】止血用バルーンカテーテルの説明図
図3】コネクタカバーの説明図
図4】コネクタカバーの使用状態の説明図
図5】コネクタカバーの第1変形例の説明図
図6】コネクタカバーの第2変形例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の止血用バルーンユニット1は、止血用バルーンカテーテル2と、当該止血用バルーンカテーテル2の基端部をカバーするコネクタカバー3とスタイレット4とを備える。
【0026】
図2に示すように、止血用バルーンカテーテル2は、可撓性を有するチューブ21を備えている。チューブ21の先端部には、止血用バルーン23が設けられており、止血用バルーン23よりも先端側には排液孔22(開口)が形成されている。チューブ21の先端は、先端チップ(図示せず)により閉塞されている。先端チップは、X線不透過材料により形成されている。
【0027】
なお、本明細書では、図面に向かって左の止血用バルーン23の存在する方向を先端方向、図面に向かって右のコネクタ24の存在する方向を基端方向として説明する。
【0028】
チューブ21は、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーなどの合成樹脂製により形成されている。チューブ21は、長軸方向に、排液孔22と連通する第1通路、止血用バルーン23と連通する第2通路及び第3通路の3つの通路を有する(いずれも図示せず)。
【0029】
コネクタ24は、メインポート25(第1端子)と、逆止弁26を備えたバルーンポート27(第2端子)とを有する。メインポート25とバルーンポート27とは、角度α(第1角度)でY字状に分岐している。
【0030】
コネクタ24は、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーなどの合成樹脂製により形成されている。ここで、メインポート25は、肉厚1〜6mmからなる。一方、メインポート25と分岐するバルーンポート27の付け根部分は、バルーンポート27の基端部(逆止弁26近傍)が肉厚1〜3mmであるのに対して、肉厚1〜6mmからなる。
【0031】
コネクタ24は、チューブ21と接続されており、メインポート25は第1通路と連通し、バルーンポート27は第2通路と連通している。
【0032】
その結果、第1通路は、排液孔22から入った血液や洗浄液等の液体を、メインポート25から体外へ排出させることができるように構成されている。
【0033】
また、第2通路は、バルーンポート27から送気又は送水することで止血用バルーン23を膨張させることができるように構成されている。また逆に、第2通路は、止血用バルーン23を膨張させた状態から、逆止弁26のロックを解除することにより、逆方向に送気又は送水することで、止血用バルーン23を収縮させることができる。
【0034】
さらに、第3通路には、硫酸バリウム等のエックス線不透過ラインが埋め込まれている。
【0035】
図3(a)に示すように、コネクタカバー3は、中腹部が湾曲した鞘形状に形成されている。コネクタカバー3は、コネクタ24を収納する先端方向より、基端方向の方が細くなっている。また、コネクタカバー3の基端部は、丸く形成されている。
【0036】
コネクタカバー3は、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーなどの合成樹脂製により形成されている。また、図示しないが、コネクタカバー3の内部には、長軸方向に沿って心金(形状保持部材)が埋め込まれている。
【0037】
図3(b)に示すように、コネクタカバー3は、本発明における端子収納部として、メインポート25を収納可能に構成されたメインポート収納部31と、バルーンポート27を収納可能に構成されたバルーンポート収納部32とを有する。また、図3(c)に示すように、コネクタカバー3は、メインポート収納部31に連通したスタイレット収納部33を有している。スタイレット収納部33は、後述するスタイレット4の基端部に備えられたスタイレットハンドル41を収納した状態で嵌合可能に構成されている。更に、コネクタカバー3は、基端側が棒状に延びた形状を有している。
【0038】
本実施形態の止血用バルーンユニット1の使用のための準備について説明する。
【0039】
まず、止血用バルーンカテーテル2のメインポート25を介して、第1通路にスタイレット4が、スタイレットハンドル41の先端部がメインポート25の基端部に接触するまで挿入される。この際、スタイレット4の先端が止血用バルーンカテーテル2の先端から突出しないように、スタイレット4は止血用バルーンカテーテル2より若干短く設計される。なお、本実施形態では、第1通路にスタイレット4が挿入可能に構成されているが、排液用を兼ねる第1通路以外に、スタイレット4を挿入専用に通路を別途設けてもよい。
【0040】
次に、図4(a)に示すように、止血用バルーンカテーテル2にスタイレット4が挿入された状態で、コネクタ24をコネクタカバー3でカバーすることにより、止血用バルーンユニット1が構成される。具体的には、スタイレット収納部33にスタイレットハンドル41が収納され、メインポート収納部31にメインポート25が収納され、バルーンポート収納部32にバルーンポート27が収納される。
【0041】
図2で説明したように、コネクタカバー3でカバーされていない通常の状態においては、メインポート25とバルーンポート27とは、角度αでY字状に分岐している。この状態では、メインポート25とバルーンポート27とを、メインポート収納部31とこれに隣接するバルーンポート収納部32とにそれぞれ同時に収納することはできない。そのため、コネクタ24をコネクタカバー3に収納をする場合には、バルーンポート27の根元部分を屈曲させた状態で、メインポート25をメインポート収納部31に、バルーンポート27をバルーンポート収納部32にそれぞれ収納する。この同時収納を可能とさせる、角度αより鋭角な分岐の角度を角度β(第2角度)と定義する。
【0042】
本実施形態の止血用バルーンユニット1の具体的使用方法について説明する。
【0043】
まず、止血用バルーンユニット1の全体に潤滑剤を塗布する。そして、子宮内からの出血が確認された患者に対して、適切な方法で帝王切開を行う。次いで、コネクタカバー3の基端側の棒状に延びた部分(延出部)から止血用バルーンユニット1を、前記帝王切開した開腹部分に挿入する。さらに、止血用バルーンユニット1を子宮から膣部を通じて、コネクタカバー3が体外へ出るまで挿入する。
【0044】
次に、体外に出たコネクタカバー3を操作することにより、止血用バルーン23が子宮内に入るように位置調整をする。
【0045】
そして、当該位置調整が完了した場合には、図4(b)に示すように、コネクタカバー3をコネクタ24から抜去する。
【0046】
このときスタイレットハンドル41は、コネクタカバー3のスタイレット収納部33に嵌合されていることから、コネクタカバー3を抜去すると、同時にスタイレットハンドル41も引っ張られ、スタイレット4はチューブ2の第1通路から引き抜かれる。
【0047】
次に、エックス線不透過の前記先端チップ及びエックス線不透過ラインを利用して、バルーンが子宮内にあることを確認する。そして、バルーンポート27から送気又は送水することで止血用バルーン23を膨張させる。
【0048】
次に、必要に応じて、メインポート25に排液バック(図示せず)を接続したうえで、必要な手技を行う。
【0049】
最後に、子宮内からの止血を確認後、止血用バルーン23から気体又は液体を抜き収縮させたうえで、コネクタ24側から止血用バルーンカテーテル2を抜去する。
【0050】
以上説明したとおり、本実施形態の止血用バルーンユニット1によれば、清潔領域である子宮内から不潔領域である膣部に挿入できるため、感染症のリスクを低減させることができる。また、コネクタカバー3がその基端側の棒状に延びた部分(延出部)を有することで、子宮内から膣部への挿入操作が極めて円滑に行える。
【0051】
また、本実施形態の止血用バルーンユニット1によれば、コネクタ24の角度αのY字状分岐を角度βにしたうえで、コネクタカバー3によってカバーすることができるため、前記挿入の際の挿入抵抗を小さくし、より迅速に止血することができる。
【0052】
また、本実施形態の止血用バルーンユニット1のコネクタカバー3は、中腹部が湾曲しているため、帝王切開側の子宮内から膣部への挿入が容易であり、より迅速に止血することができる。また、コネクタカバー3は、コネクタ24を収納する先端方向より基端方向の方が細くなっており、また、基端部は丸く形成されているので、帝王切開側の子宮内から膣部への挿入が容易であり、より迅速に止血することができる。
【0053】
さらに、コネクタカバー3は、患者の子宮及び膣の形状に合わせて、心金(形状保持部材)により中腹部の湾曲を変形できるため、前記挿入抵抗をより小さくすることができ、迅速に止血することができる。
【0054】
また、本実施形態の止血用バルーンユニット1によれば、第1通路にスタイレット4を挿通させた状態で、コネクタを子宮内から膣部を通じて体外に配置できるため、操作性を向上させ、より迅速に止血することができる。
【0055】
そして、本実施形態の止血用バルーンユニット1によれば、エックス線不透過の前記先端チップ及びエックス線不透過ラインを利用して、止血用バルーン23の位置調整ができるため、容易に止血用バルーン23を子宮内にセットすることができ、より迅速に止血することができる。
【0056】
さらに、本実施形態の止血用バルーンユニット1によれば、コネクタカバー3をコネクタ24から抜去する際に、同時にスタイレット4をチューブ2の第1通路から抜去することができるので、手技の時間をより短縮できるため、より迅速に止血することができる。
【0057】
なお、本実施形態の止血用バルーンユニット1は、主に帝王切開した患者が子宮内出血を起こした場合に用いられるが、通常分娩時の出血でも、膣部を経由した挿入より迅速かつ感染症のリスクなく止血できることから、止血用バルーンユニット1を用いることが好ましい。また、本実施形態の止血用バルーンユニット1は、従来通り、止血用バルーン23側から膣部を通じて子宮内に挿入する手技に用いることもできる。
【0058】
本実施形態の第1変形例の止血用バルーンユニット11について、図5を用いて説明する。なお、止血用バルーンユニット11において、前述した止血用バルーンユニット1と同様の構成を有する部分については、これまでと同じ符号を用いて説明し、重複する内容については説明を省略する。
【0059】
止血用バルーンユニット11のコネクタカバー35は、図5(a)に示すように、基端方向から先端方向からまで、ほぼ同一径の細い鞘形状に形成されている。
【0060】
図5(b)及び図5(c)に示すように、コネクタカバー35は、メインポート25とバルーンポート27とを収納可能に構成された収納部36を有する。
【0061】
図5(d)に示すように、止血用バルーンカテーテル2にスタイレット4が挿入された状態で、コネクタ24をコネクタカバー35でカバーすることにより、止血用バルーンユニット11が構成される。具体的には、収納部36にメインポート25及びバルーンポート27が収納される。
【0062】
収納部36にメインポート25及びバルーンポート収納部32を収納する場合には、バルーンポート27の根元部分を屈曲させた角度βの状態から、さらに、メインポート25及びバルーンポート27を圧縮させたうえで収納する。
【0063】
止血用バルーンユニット11によれば、より径を小さくすることができるため、帝王切開側の子宮内から膣部へ挿入する際の前記挿入抵抗をより小さくすることができ、迅速に止血することができる。
【0064】
本実施形態の第2変形例の止血用バルーンユニット12について、図6を用いて説明する。なお、止血用バルーンユニット12において、前述した止血用バルーンユニット1と同様の構成を有する部分については、これまでと同じ符号を用いて説明し、重複する内容については説明を省略する。
【0065】
図6(a)に示すように、止血用バルーンユニット12のスタイレット4には、スタイレットハンドルが設けられておらず、また、コネクタカバー37には、スタイレット収納部が設けられておらず、スタイレット4の基端部は、コネクタカバー37のメインポート収納部31の後端側面に直接埋め込まれ固定されている。
【0066】
この結果、止血用バルーンユニット12によれば、部品点数を減らしたうえで、コネクタカバー37をコネクタ24から抜去する際に、図6(b)に示すように、同時にスタイレット4をチューブ21の第1通路から抜去することができるので、手技の時間をより短縮できるため、より迅速に止血することができる。
【符号の説明】
【0067】
1,11,12…止血用バルーンユニット、2…止血用バルーンカテーテル、3,35,37…コネクタカバー、4…スタイレット、22…排液孔(開口)、21…チューブ、23…止血用バルーン、24…コネクタ、25…メインポート(第1端子)、 27…バルーンポート(第2端子)、31…メインポート収納部、32…バルーンポート収納部、33…スタイレット収納部、36…収納部、41…スタイレットハンドル、 α…第1角度、β…第2角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6