(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012434
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】通線器誘導器具
(51)【国際特許分類】
H02G 1/08 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
H02G1/08 030
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-259885(P2012-259885)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-107985(P2014-107985A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100080285
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 俊實
(74)【代理人】
【識別番号】100087963
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀章
(72)【発明者】
【氏名】福山 洋平
(72)【発明者】
【氏名】池田 学
【審査官】
石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−223972(JP,A)
【文献】
特開平11−243613(JP,A)
【文献】
実開平03−060814(JP,U)
【文献】
特開2000−270432(JP,A)
【文献】
特開2005−080379(JP,A)
【文献】
特開平07−274334(JP,A)
【文献】
特開平10−066216(JP,A)
【文献】
特開平11−146524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状の通線器本体の先端部に取り付けられ、前記通線器本体の進行方向の障害物を乗り越え可能な障害物乗り越え部材を備え、
前記障害物乗り越え部材は、先端結合部と、前記通線器本体の先端部に取り付けられる後端結合部と、前記先端結合部と前記後端結合部との間に配設され、弾性変形可能な複数の線条体によって全体的にほぼボール状に湾曲形成された弾性変形可能な本体部とを有し、
前記通線器本体は、管体によって形成され、かつ前記本体部の湾曲形状を変形させる湾曲形状変形手段を有し、
前記湾曲形状変形手段は、前記通線器本体の前記管体内に挿通され、先端部が前記先端結合部に固定された軸状の操作部材と、
前記通線器本体の基端部側に設けられ、前記操作部材を軸線方向に移動操作する操作手段とを有することを特徴とする通線器誘導器具。
【請求項2】
前記線条体は、ワイヤーの単線、または複数のワイヤーを撚り合わせたケーブルのいずれかで形成され、
前記本体部は、複数の線条体の各中間部を前記先端結合部に横方向から貫通させて結合し、前記線条体の両端部を前記後端結合部に束ねて結束させることで前記複数の線条体がそれぞれほぼ弓状に湾曲形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の通線器誘導器具。
【請求項3】
前記操作手段は、前記通線器本体の基端部側に前記通線器本体に対して軸回り方向に回転可能に支持された取っ手と、
前記取っ手の回転を前記操作部材の軸線方向の進退動作に変換する送りねじ機構とを有することを特徴とする請求項1に記載の通線器誘導器具。
【請求項4】
前記操作手段は、前記通線器本体の基端部側に設けられた取っ手と、
前記取っ手の外周面に前記操作部材の軸線方向と直交する方向に延設されたねじ穴と、
前記ねじ穴に螺挿される雄ねじ部材を有し、前記通線器本体内で軸線方向に進退動作可能な前記操作部材を軸線方向の任意の位置で前記雄ねじ部材のねじ込みにより固定する固定部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の通線器誘導器具。
【請求項5】
前記先端結合部は、蛍光素材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の通線器誘導器具。
【請求項6】
前記先端結合部は、先端面がほぼ球状、またはほぼ楕円球状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の通線器誘導器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きなビル等の天井内や、床下などの配線作業時に使用される通線器誘導器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気コードや、光ファイバケーブルなどの種々の線材を家屋の床下あるいは天井裏などに通線する作業のために通線工具である通線器が用いられる。通線作業は、例えば床下や天井裏、あるいは所定のパイプ内に電線等の線材を通す場合、まず通線すべき空間にピアノ線などの通線工具を挿通させ、その通線工具の一端部に通線すべき線材を係着する。その後、通線工具を他端側に引き抜くことにより、その空間に線材を通すようにしている。
【0003】
特許文献1には、通常状態で、長尺のテープ状リード線が収納ケース内に巻回された状態で収納され、テープ状リード線の先端側が前記開口部から突出した状態となっている通線工具が示されている。これにより、コンパクトにまとめられたまま通線動作あるいは持ち運びを行うことができる構成の通線工具になっている。
【0004】
また、配管設備の無い場所、例えば狭い天井裏などに配線する通線作業時には、点検口などを利用してスチル製のワイヤーや、釣竿型の通線器などを狭い空間に通して天井裏への点検口と点検口との間の通線作業に用いることが行われている。特許文献2には、このような通線作業で使用される通線ワイヤーの一例が示されている。ここでは、複数のスチル製のワイヤー等を組合せた腰の強い通線ワイヤーが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−66216号公報
【特許文献2】特開平11−146524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2のような従来の通線器や、釣竿型の通線器などを使用して天井裏などの狭い空間に通線する作業時には、通線距離が長い場合、通線器の長さも長くなるので、通線器の先端側が自重で垂れ下がる。そのため、天井内の凹凸や障害物、例えば天井裏などに既に設置されている梁の部分などの構造物に通線器の先端部分が突き当たり、行き詰る可能性がある。また、例えば耐火壁等の小さな隙間に通線器の先端部分が通り抜けることができずに行き詰る可能性がある。
【0007】
このような場合は、通線器を前へ進ませるために通線器の手元側で上下方向に揺さぶりながら、通線器の先端部分を障害物に乗り越えさせたり、小さな隙間を潜り抜けて上下の隙間に押し進めたりするなどの面倒な作業が必要になる。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、通線距離が長い場合や、天井内の凹凸や障害物がある場合でも障害物を乗り越えたり、小さな隙間を通過して先に進めることができ、通線作業を容易に行なうことができる通線器誘導器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面の態様は、軸状の通線器本体の先端部に取り付けられ、前記通線器本体の進行方向の障害物を乗り越え可能な障害物乗り越え部材を備え、前記障害物乗り越え部材は、先端結合部と、前記通線器本体の先端部に取り付けられる後端結合部と、前記先端結合部と前記後端結合部との間に配設され、弾性変形可能な複数の線条体によって全体的にほぼボール状に湾曲形成された弾性変形可能な本体部とを
有し、前記通線器本体は、管体によって形成され、かつ前記本体部の湾曲形状を変形させる湾曲形状変形手段を有し、前記湾曲形状変形手段は、前記通線器本体の前記管体内に挿通され、先端部が前記先端結合部に固定された軸状の操作部材と、前記通線器本体の基端部側に設けられ、前記操作部材を軸線方向に移動操作する操作手段とを有することを特徴とする通線器誘導器具である。
【0009】
そして、上記構成では、建物の天井裏等にある、梁(壁)等の障害物に障害物乗り越え部材が突き当たった場合は軸状の通線器本体を押し込むだけでほぼボール状の本体部が障害物を乗り越えることができるとともに、障害物乗り越え部材を障害物乗り越え部材の外径よりも小さな隙間に押し込むことにより、本体部の各線条体の弾性変形により小さな隙間に潜り込み、出口となる点検口まで到達し、通線できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通線距離が長い場合や、天井内の凹凸や障害物がある場合でも障害物を乗り越えたり、小さな隙間を通過して先に進めることができ、通線作業を容易に行なうことができる通線器誘導器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の通線器誘導器具の全体の概略構成を示す斜視図。
【
図2】第1の実施の形態の通線器誘導器具の作用を説明するもので、(A)は通線器誘導器具の先端部分が天井裏の梁の部分などの構造物を乗り越える状態を示す図、(B)は通線器誘導器具の先端部分の形状よりも高い壁を通線器誘導器具の先端部分が乗り越える状態を示す図。
【
図3】第1の実施の形態の通線器誘導器具の先端部分が天井裏の小さな隙間を通り抜ける状態を示す図。
【
図4】本発明の第2の実施の形態の通線器誘導器具を示すもので、(A)は通線器誘導器具の障害物乗り越え部材を外径が小さい状態に変形させた状態を示す斜視図、(B)は通線器誘導器具の障害物乗り越え部材を外径が大きい状態に変形させた状態を示す斜視図。
【
図5】第2の実施の形態の湾曲形状変形手段の操作機構の一例を示す平面図。
【
図6】第2の実施の形態の湾曲形状変形手段の操作機構の変形例を示す平面図。
【
図7】通線器誘導器具の先端部分の変形例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1乃至
図3は、本発明の第1の実施の形態を示す。
図1は、例えば主に大きなビル等の天井裏への点検口と点検口との間の通線に用いる通線器誘導器具1の全体の概略構成を示す斜視図である。
本実施の形態の通線器誘導器具1は、軸状の通線器本体2の先端部に通線器本体2の進行方向の障害物を乗り越え可能な障害物乗り越え部材3を備えている。通線器本体2は、例えば釣竿のシャフトのような適度の剛性と弾力性を備えた軸体によって形成されている。この通線器本体2の先端部には障害物乗り越え部材3を着脱可能に取り付ける図示しない例えばねじ穴が形成されている。
【0013】
障害物乗り越え部材3は、先端結合部4と、通線器本体2の先端部に取り付けられる後端結合部5と、先端結合部4と後端結合部5との間に配設され、弾性変形可能な複数の線条体6によって全体的にほぼボール状に湾曲形成された本体部7とを有する。本実施の形態では線条体6は、例えば複数の金属ワイヤーを撚り合わせた金属ケーブルで形成されている。なお、線条体6は、例えばピアノ線などの金属ワイヤーの単線、あるいは硬質なプラスチックの線材を撚り合わせたケーブルで形成されていてもよい。
【0014】
先端結合部4は、例えば円筒状の筒体によって形成されている。この先端結合部4の筒体の外周面には、径方向に貫通する複数の貫通孔4aが形成されている。本実施の形態では、3本の線条体6が使用されている。そして、障害物乗り越え部材3の本体部7は、3本の線条体6の各中間部を先端結合部4の貫通孔4aに横方向から貫通させて結合し、各線条体6の両端部を後端結合部5に束ねて結束させることで6本の線条体6がそれぞれほぼ弓状に湾曲形成されたものである。ここで、先端結合部4の筒体の内部には接着剤などが充填されており、3本の線条体6の各中間部が先端結合部4の貫通孔から動かないように固定された状態で結合されている。これにより、障害物乗り越え部材3の本体部7は、6本の線条体6がそれぞれほぼ弓状に湾曲形成されて弾力性のあるほぼラグビーボールや、泡立て器型に成形されている。
【0015】
また、後端結合部5の先端部には、3本の線条体6のそれぞれの両端部、すなわち6本の線条体6の端部が束ねて結束されている。この後端結合部5の後端部には、通線器本体2の先端部のねじ穴に螺合する雄ねじ部が形成されている。後端結合部5の後端部の雄ねじ部が通線器本体2の先端部のねじ穴に螺合することで通線器本体2の先端部に障害物乗り越え部材3が着脱可能に取り付けられている。
【0016】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の通線器誘導器具1の使用時には、例えば天井裏への点検口から本実施の形態の通線器誘導器具1が天井裏の作業空間内に挿入される。このとき、通線器誘導器具1の通線器本体2を押し込むことで通線器本体2の先端部を真っ直ぐ前進させる。
【0017】
図2(A)に示すように天井8内に梁(壁)等の障害物9の凹凸がある場合は、通線器本体2の先端部の障害物乗り越え部材3が障害物9に突き当たる場合がある。本実施の形態の通線器誘導器具1では、障害物乗り越え部材3が弾力性のある金属ケーブルでほぼラグビーボールや、泡立て器の形状になっているので、障害物9に突き当たった障害物乗り越え部材3がその形状を変形させながら梁等の障害物9を乗り越えて進行させることができる。また、
図2(B)に示すように天井8内の梁(壁)等の障害物9が、障害物乗り越え部材3より高さのある高段差の障害物9Bの場合であっても、高段差の障害物9Bに突き当たった障害物乗り越え部材3がそのまま通線器本体2を押し込むことでその形状を弾性変形させながら同様に高段差の障害物9Bを乗り越えて進行させることができる。
【0018】
また、
図3に示すように天井8内に例えば耐火壁10等の小さな隙間11があり、この隙間11の上下の間隔L1が障害物乗り越え部材3の非変形時(自然状態)のボール形状の外径寸法L2よりも小さい場合がある。この場合、本実施の形態の通線器誘導器具1では、障害物乗り越え部材3の先端を隙間11の内部に挿入した状態で、通線器誘導器具1の通線器本体2を押し込む。このときの通線器本体2の押し込み圧力により、天井8内の耐火壁10等の小さな隙間11の上下面間に障害物乗り越え部材3が圧入される。このとき、障害物乗り越え部材3の各線条体6は、障害物乗り越え部材3のボール形状を収縮させる状態に弾性変形する。そのため、通線器本体2の押し込みにより、障害物乗り越え部材3のボール形状の外径寸法がL2よりも小さくなるように障害物乗り越え部材3のボール形状を収縮させる状態に弾性変形させながら障害物乗り越え部材3を天井8内の耐火壁10等の小さな隙間11の上下面間に通過させることができる。
【0019】
このような通線器誘導器具1の通線器本体2を押し込む作業により、出口となる点検口まで通線器誘導器具1の先端を到達させる。その後、取出した通線器誘導器具1の先端へケーブル又は、呼び線を縛付け、それを引き込むことで、天井内の配線を行うことができる。
【0020】
(効果)
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の通線器誘導器具1では、通線器本体2の先端部に通線器本体2の進行方向の障害物を乗り越え可能な障害物乗り越え部材3を設けている。この障害物乗り越え部材3を6本の線条体6がそれぞれほぼ弓状に湾曲形成されて弾力性のあるほぼラグビーボールや、泡立て器型に成形したので、
図2(A)に示すように天井8内に梁(壁)等の障害物9の凹凸がある場合や、
図2(B)に示すように障害物乗り越え部材3よりも高さのある高段差の障害物9Bでも、そのまま通線器本体2を押し込むことで障害物乗り越え部材3を弾性変形させながらそれらの障害物9や、高段差の障害物9Bを乗り越えて進行させることができる。さらに、天井8内に例えば耐火壁10等の小さな隙間11がある場合でもその小さな隙間11でも潜り抜けることが可能となる。したがって、本実施の形態では通線距離が長い場合や、天井8内の凹凸や障害物9がある場合でも障害物9や、高段差の障害物9Bを乗り越えたり、小さな隙間11を通過して先に進めることができ、通線作業を容易に行なうことができる通線器誘導器具1を提供することができる。
【0021】
[第2の実施の形態]
(構成)
図4(A),(B)および
図5は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(
図1乃至
図3参照)の通線器誘導器具1の構成を次の通り変更した変形例である。なお、
図4(A),(B)および
図5中で、
図1乃至
図3と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0022】
すなわち、本実施の形態の通線器本体2は、
図5に示すように管体21によって形成されている。さらに、通線器本体2は、障害物乗り越え部材3の本体部7の湾曲形状を変形させる湾曲形状変形手段22を有する。本実施の形態の湾曲形状変形手段22は、通線器本体2の管体21内に挿通され、先端部が先端結合部4に固定された軸状の操作部材23と、通線器本体2の基端部側に設けられ、操作部材23を軸線方向に移動操作する操作手段24とを有する。
【0023】
操作部材23は、例えば送りねじ機構25のねじ軸26によって形成されている。このねじ軸26には雄ねじ状のねじ溝が形成されている。操作手段24は、通線器本体2の基端部側に通線器本体2に対して軸回り方向に回転可能に支持されたほぼリング状の取っ手27を有する。この取っ手27の内周面には、ねじ軸26と螺合するねじ穴部28が形成されている。この取っ手27のねじ穴部28とねじ軸26のねじ溝とが螺合することにより、この取っ手27の回転を操作部材23のねじ軸26の軸線方向の進退動作に変換する送りねじ機構25が形成されている。
【0024】
(作用)
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の通線器誘導器具1では、操作手段24の取っ手27を正逆回転方向のいずれか一方に回転させることにより、ねじ軸26が軸線方向に進退動作する。例えば、取っ手27を正回転方向に回転させると、
図4(A)に示すようにねじ軸26が通線器本体2の管体21の先端側に引き出される前進方向に移動する。これにより、障害物乗り越え部材3の本体部7の湾曲形状を収縮させる状態(障害物乗り越え部材3の本体部7のボール形状の外径寸法L2が縮小する状態)に弾性変形させることができる。
【0025】
また、取っ手27を逆回転方向に回転させると、
図4(B)に示すようにねじ軸26が通線器本体2の管体21の後端側に引き戻される後進方向に移動する。これにより、障害物乗り越え部材3の本体部7の湾曲形状を拡張させる状態(障害物乗り越え部材3の本体部7のボール形状の外径寸法L2が拡大する状態)に弾性変形させることができる。
【0026】
(効果)
そこで、本実施の形態では、第1実施形態の効果に加え、通線器本体2に障害物乗り越え部材3の本体部7の湾曲形状を変形させる湾曲形状変形手段22を設けたので、操作手段24の取っ手27を正逆回転方向のいずれか一方に回転させる操作により、障害物乗り越え部材3の本体部7の湾曲形状・大きさを変形させることができる。そのため、障害物9の大きさに合わせて先端部の障害物乗り越え部材3の本体部7の湾曲形状を
図4(B)に示す拡張状態に変形させることで、より大きな障害物9の乗り越えを行なうことができる。また、天井8内の隙間11の大きさに合わせて先端部の障害物乗り越え部材3の本体部7の形状を
図4(A)に示す収縮状態に変化させることで、より小さな隙間11への通過が可能となる。
【0027】
[変形例]
(構成)
図6は、第2の実施の形態(
図4(A),(B)および
図5参照)の通線器誘導器具1の変形例である。本変形例では、操作部材23は、例えば丸棒31によって形成されている。操作手段24には、通線器本体2の基端部側に一体に設けられたリング状の取っ手32が設けられている。この取っ手32の外周面には操作部材23の軸線方向と直交する方向に延設されたねじ穴33が形成されている。さらに、取っ手32にはねじ穴33に螺挿される雄ねじ部材34を有する固定部材35が装着されている。そして、通線器本体2内で軸線方向に進退動作可能な操作部材23を例えば手動で、軸線方向の任意の位置に移動した状態で、固定部材35を雄ねじ部材34のねじ込み方向に回転操作することにより、雄ねじ部材34の先端を操作部材23に圧接させることで、操作部材23を軸線方向の任意の位置に固定することができる。
【0028】
(作用効果)
そこで、本変形例でも障害物乗り越え部材3の本体部7の湾曲形状を変形させることができる。したがって、本変形例でも第2の実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、本変形例では、操作部材23は、例えば丸棒31によって形成することができるので、構成を簡素化することができる。
【0029】
図7は、第1の実施の形態(
図1乃至
図3参照)の通線器誘導器具1の先端部分の変形例である。本変形例では、先端結合部4は、先端面がほぼ球状、またはほぼ楕円球状の球状部41が形成されている。
(作用効果)
そこで、本変形例では第1実施形態の効果に加え、先端結合部4をほぼ球状、またはほぼ楕円球状の球状部41にすることで、障害物9に対して、スムーズに乗り越え・通過が可能となる効果がある。
【0030】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、
図7の先端結合部4は、蛍光素材で形成されている構成にしてもよい。このように、先端結合部4を蛍光素材にすることで、屋根裏の暗闇にて、わずかな光で先端がどこまで進行しているか判別できる。さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
2…通線器本体、3…障害物乗り越え部材、4…先端結合部、5…後端結合部、6…線条体、7…本体部、9…障害物。