【実施例1】
【0014】
図1ないし
図3は、本発明の実施例1による車両用デフロスタ装置のダクト構造を説明するための図である。
【0015】
図において、1は自動車のインストルメントパネル(以下、インパネと略記する)2内に配設されたデフロスタ装置を示している。このデフロスタ装置1は、空調機器3と、デフロスタダクト4とを備えている。
【0016】
前記デフロスタダクト4は、ブロー成形により製造されたもので、大略扇形状をなすダクト本体8と、該ダクト本体8の基部8aから車幅方向左,右外方に延びる円筒形状のサイドダクト9,9とを一体に形成した構造を有する。
【0017】
前記左,右のサイドダクト9は、前記インパネ2の左,右端部に形成された不図示の空気吹き出し口に接続されており、該各吹き出し口は不図示のサイドウインドガラス,ドアウインドガラスに指向している。
【0018】
前記ダクト本体8の左,右前端部及び上,下中央部には、それぞれ取付け部8b,8b及び8c,8cが形成されており、この各取付け部8b,8cを介してダクト本体8は前記インパネ2に取り付け固定されている。
【0019】
前記ダクト本体8は、前記基部8aから車幅方向外方に扇状をなすよう拡開しており、該ダクト本体8の前側に配設されたフロントウインドガラス6の下辺部に沿って延びている。
【0020】
前記デフロスタダクト4のダクト本体8は、前記空調機器3からの空気が導入される空気導入口4aと、前記フロントウインドガラス6に指向する左,右一対の空気吹き出し口4b,4bと、該各空気吹き出し口4bと前記空気導入口4aとを連通接続する中空状の空気流路4cとを有する。前記左,右の空気吹き出し口4bは、前記インパネ2に形成された開口2cに接続されており、該開口2cからフロントウインドガラス6に向かって空気が吹き付けられる。
【0021】
前記空気導入口4aには、前記左,右のサイドダクト9が連通接続されている。また前記空気導入口4aには、中間ダクト11を介在させて前記空調機器3が接続されている。
【0022】
前記デフロスタダクト4のダクト本体8の中央上部には、前記空気流路4cを左,右に分岐する分岐壁4dが形成されている。この分岐壁4dは、ダクト本体8の上縁部から下方に大略V字形状なすよう形成されており、これにより空気導入口4aに導入された空気の一部は、前記分岐壁4dに沿って左,右の空気吹き出し口4bに流れる。
【0023】
前記インパネ2の車幅方向中央部の前記デフロスタダクト4に望む部分には、メータユニット13が配設されている。このメータユニット13には、コネクタ14を介してワイヤハーネス15が接続されている。
【0024】
前記ワイヤハーネス15は、前記デフロスタダクト4の上方を通って、該デフロスタダクト4の下方に車幅方向に延びるよう配設されたハーネス幹線部材16内に配索されている。
【0025】
前記メータユニット13は、前記インパネ2に形成された収容凹部2a内に収容され、該インパネ2に取り付け固定されている。この収容凹部2aには、組み付開口2bが形成されており、該組付け開口2bを介して前記ワイヤハーネス15が配索されている。詳細には、メータユニット13を組み付けるには、ワイヤハーネス15を収容凹部2aの下方から組み付け開口2bを通して後方に引き出し、この引き出したワイヤハーネス15のコネクタ14をメータユニット13に接続し、この状態でメータユニット13を収容凹部2a内に嵌め込んで取り付ける。
【0026】
そして前記デフロスタダクト4の分岐壁4d部分には、内方膨出部4eが形成されている。この内方膨出部4eは、前記デフロスタダクト4のダクト上壁面4fの車幅方向中央部を前記空気流路4c内に膨出するよう凹ませることにより形状されている。
【0027】
前記内方膨出部4eは、車両中心線Lより車幅方向左の助手席側に少し偏位した位置に配置されている(
図3参照)。これは、運転席側に配設された不図示のステアリングシャフトや各操作ペダルとの干渉を防止するめに、空調機器3を助手席側に偏位させて配置しているためである。
【0028】
前記内方膨出部4eは、デフロスタダクト4の空気導入口4aから前記分岐壁4dより前方の左,右の空気吹き出し口4bの内端部に延びるよう形成されている。
【0029】
前記内方膨出部4eの車幅方向左,右側壁部4g,4hは、前記空気導入口4a側から前記空気吹き出し口4a側にいくほど高さhが徐々に低くなるように形成されている。これにより前記内方膨出部4e部分の流路の高さは上流側から下流側にかけて略同じとなっている。一方、前記内方膨出部4eの左,右外方に位置する空気流路4cの高さは、上流側が高く、下流側が徐々に低くなっている。
【0030】
そして前記内方膨出部4eの左,右側壁部4g,4hは、平面視で車幅方向外方に膨出する大略水滴形状をなしており、該水滴形状の最大膨出部4g′,4h′は、前記空気導入口4a側寄りに位置している(
図3の斜線部分参照)。詳細には、前記左,右側壁部4g,4hは、空気導入口4aから前記最大膨出部4g′,4h′まで車幅方向外側に徐々に拡開しつつ延び、該最大膨出部4g′,4h′から左,右の空気吹き出し口4bの内端部に向かって内側に徐々に狭まるように形成されている。これにより前記左,右の最大膨出部4g′,4h′は、内方膨出部4eの車両前後方向中心線L′より空気導入口4a側に位置している。
【0031】
本実施例によれば、デフロスタダクト4の分岐部4dに空気流路4c内に膨出する内方膨出部4eを形成したので、内方膨出部4eから空気流路4cに流入する空気の流速を高めることができる。
【0032】
そして前記内方膨出部4eを、その左,右側壁部4g,4hが車幅方向外方に膨出する水滴形状とするとともに、該水滴形状の最大膨出部4g′,4h′を空気導入口4a寄りに位置させたので、該空気導入口4aから導入された空気は、前記水滴形状の空気導入口4a寄りに位置する最大膨出部4g′,4h′から高い流速でもって左,右の空気流路4cの空気導入口4a寄り部分内に分岐されて流れ易くなる。そのため空気吹き出し口4bの車幅方向外側部分から吹き出される空気量が増加し、これによりフロントウインドガラス6の左,右下端部の曇りや凍結を確実に除去することができ、視界を確保できる。
【0033】
また前記導入された空気の一部は、内方膨出部4eの左,右側壁部4g,4hに沿って流れることから、フロントウインドガラス6の中央部の除曇性能が低下することはない。
【0034】
また前記内方膨出部4eの左,右側壁部4g,4hを、空気導入口4a側から前記空気吹き出し口4a側にいくほど高さhが徐々に低くなるように形成したので、つまりワイヤハーネス15の配設スペースが必要な部分の凹みは大きく、配設スペースの不要な部位の凹みは小さくしたので、空気の流路抵抗が必要以上に大きくなるのを回避できる。
【0035】
また、デフロスタダクト4の内方膨出部4eを利用して該デフロスタダクト4に干渉することなくワイヤハーネス15を配索することができ、車載部品の配索経路を確保することができる。
【0036】
また前記内方膨出部4eの上方空間を利用することにより、上述のメータユニット13を組み付ける際のワイヤハーネス15の結線作業や配索作業を容易に行うことができ、作業性を向上できる。