(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タッチパネルの一方の電極に対するパルス駆動制御を行うと共に前記一方の電極と容量結合関係を有する他方の電極に現れるタッチ信号の検出制御を行なうタッチパネルコントローラと、前記タッチパネルコントローラの制御を行うプロセッサと、表示パネルの駆動制御を行う表示ドライバと、を有する半導体装置であって、
前記プロセッサは、所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰して前記タッチパネルコントローラにタッチ有無の検出動作をさせ、タッチ有りの判別結果を取得できないときは再度スリープ状態に遷移して所定時間の経過を待つ、半導体装置。
請求項1において、前記プロセッサは、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチ有りの判別結果を取得したとき、外部に対応させるための処理を行って、前記タッチパネルコントローラによるタッチスキャンの活性化指示を待ち、前記表示ドライバは活性化指示を待つ、半導体装置。
請求項1において、前記タッチパネルコントローラは、前記タッチパネルの複数の駆動電極に接続される複数の駆動端子と、前記駆動端子から駆動パルスを出力する第1駆動回路と、前記タッチパネルの複数の検出電極に接続される複数の検出端子と、前記検出端子に駆動パルスを出力する第2駆動回路と、前記駆動パルスの変化に同期して前記検出端子から複数回入力される信号を積み上げて検出データを生成する検出回路と、前記第1駆動回路、第2駆動回路及び検出回路を用いてタッチ検出動作を制御するタイミング制御回路と、を有し、
前記タイミング制御回路は、前記第1駆動回路から出力される前記駆動パルスの変化に同期して前記検出端子から複数回入力される信号を前記検出回路で積み上げて検出データを生成する第1タッチ検出モードと、
偶数番目又は奇数番目の何れか一方のグループの前記検出端子を介して前記第2駆動回路から出力される前記駆動パルスの変化に同期して偶数番目又は奇数番目のいずれか他方のグループの前記検出端子から複数回入力される信号を前記検出回路で積み上げて検出データを生成する第2タッチ検出モードとを有する、半導体装置。
請求項5において、前記プロセッサが所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチパネルコントローラに動作させる前記タッチ有無の検出動作は、前記第2タッチ検出モードによる動作である、半導体装置。
請求項6において、前記プロセッサは、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチ有りの判別結果を取得したとき、外部に割り込みを要求して前記タッチパネルコントローラによるタッチスキャンの活性化指示を待ち、前記表示ドライバは活性化指示を待ち、
前記タッチスキャンの活性化指示に応答するタッチ検出動作は前記第1タッチ検出モードによる動作である、半導体装置。
請求項7において、前記第2タッチ検出モードで前記プロセッサがタッチ有りと判別するタッチの状態はタッチ位置を複数検出することができるタッチの状態である、半導体装置。
請求項5において、前記タイミング制御回路は前記第1タッチ検出モード又は前記第2タッチ検出モードの何れを選択するかを指示する指示データを書き換え可能に格納するモードレジスタを有する、半導体装置。
請求項5において、前記タイミング制御回路は偶数番目又は奇数番目の何れのグループの前記検出端子を駆動パルスの出力にするか検出信号の入力にするかを指示する指示データを書き換え可能に格納するモードレジスタを有する、半導体装置。
請求項5において、前記第2駆動回路は、レベルの異なる電圧を交互に選択可能な電圧選択スイッチ回路と、前記電圧選択スイッチ回路から出力される電圧を検出端子に出力可能なバッファアンプとから成る、半導体装置。
請求項13において、前記プロセッサは、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチ有りの判別結果を取得したとき、前記ホストプロセッサに対応させるための処理を行って、前記タッチパネルコントローラによるタッチスキャンの活性化指示を待ち、前記表示ドライバは前記ホストプロセッサからの活性化指示を待つ、電子機器。
請求項13において、前記タッチパネルコントローラは、前記タッチパネルの複数の駆動電極に接続される複数の駆動端子と、前記駆動端子から駆動パルスを出力する第1駆動回路と、前記タッチパネルの複数の検出電極に接続される複数の検出端子と、前記検出端子に駆動パルスを出力する第2駆動回路と、前記駆動パルスの変化に同期して前記検出端子から複数回入力される信号を積み上げて検出データを生成する検出回路と、前記第1駆動回路、第2駆動回路及び検出回路を用いてタッチ検出動作を制御するタイミング制御回路と、を有し、
前記タイミング制御回路は、前記第1駆動回路から出力される前記駆動パルスの変化に同期して前記検出端子から複数回入力される信号を前記検出回路で積み上げて検出データを生成する第1タッチ検出モードと、
偶数番目又は奇数番目の何れか一方のグループの前記検出端子を介して前記第2駆動回路から出力される前記駆動パルスの変化に同期して偶数番目又は奇数番目のいずれか他方のグループの前記検出端子から複数回入力される信号を前記検出回路で積み上げて検出データを生成する第2タッチ検出モードとを有する、電子機器。
請求項17において、前記プロセッサが所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチパネルコントローラに動作させる前記タッチ有無の検出動作は、前記第2タッチ検出モードによる動作である、電子機器。
請求項18において、前記プロセッサは、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチ有りの判別結果を取得したとき、外部に割り込みを要求して前記タッチパネルコントローラによるタッチスキャンの活性化指示を待ち、前記表示ドライバは前記ホストプロセッサからの活性化指示を待ち、
前記タッチスキャンの活性化指示に応答するタッチ検出動作は前記第1タッチ検出モードによる動作である、電子機器。
請求項19において、前記第2タッチ検出モードで前記プロセッサがタッチ有りと判別するタッチの状態はタッチ位置を複数検出することができるタッチの状態である、電子機器。
請求項17において、前記タイミング制御回路は前記第1タッチ検出モード又は前記第2タッチ検出モードの何れを選択するかを指示する指示データを前記ホストプロセッサから受け取って書き換え可能に格納するモードレジスタを有する、電子機器。
請求項17において、前記タイミング制御回路は偶数番目又は奇数番目の何れのグループの前記検出端子を駆動パルスの出力にするか検出信号の入力にするかを指示する指示データを前記ホストプロセッサから受け取って書き換え可能に格納するモードレジスタを有する、電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される実施の形態について概要を説明する。実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0014】
〔1〕<スリープ状態解除でタッチ有りの検出結果がないときスリープ状態に復帰>
半導体装置(101,101m)は、タッチパネル(1)の一方の電極に対するパルス駆動制御を行うと共に前記一方の電極と容量結合関係を有する他方の電極に現れるタッチ信号の検出制御を行なうタッチパネルコントローラ(3)と、前記タッチパネルコントローラの制御を行うプロセッサ(5)と、表示パネルの駆動制御を行う表示ドライバ(4)と、を有する。前記プロセッサは、所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰して(S1)前記タッチパネルコントローラにタッチ有無の検出動作をさせ(S3)、タッチ有りの判別結果を取得できないときは(DTa)再度スリープ状態に遷移して所定時間の経過を待つ(S5)。
【0015】
これによれば、プロセッサが定期的にスリープ状態から動作状態に復帰したときタッチ有無の検出動作をさせるから、表示ドライバの動作停止中に常時タッチ検出を行う場に比べて低消費電力になる。その検出動作はタッチ有無の検出であり、座標位置を演算するためのタッチスキャンであることを要さず、簡易的又は低速の検出動作で足り、この点で、表示ドライバを動作停止状態から動作可能な状態に復帰させるためのタッチ検出動作における電力消費も低減される。
【0016】
〔2〕<スリープ状態解除でタッチ有りを検出したとき割込み等を要求して次の活性化指示を待つ>
項1において、前記プロセッサは、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰して(S1)タッチ有りの判別結果を取得したとき(DTb)、外部に対応させるための処理(割り込み要求、又は、外部から参照可能にされるフラグのセットなどの処理)を行って(S6)前記タッチパネルコントローラによるタッチスキャンの活性化指示を待ち(S8)、前記表示ドライバは活性化指示を待つ(S7)。
【0017】
これによれば、半導体装置を外部のホストプロセッサの制御を受ける一つの周辺回路として位置付けた場合のタッチ検出と表示制御における低消費電力化に好適である。例えば、プロセッサがスタンバイ状態から動作可能状態への復帰とスタンバイ状態への再設定との制御を自ら行う場合でも、表示パネルの表示には外部から表示データを受け取ることが必要であるから、前記表示ドライバが外部から活性化指示を待てば無駄な動作時間を省くことができる。
【0018】
〔3〕<タッチ有と判別するタッチの状態>
項2において、前記プロセッサがタッチ有りと判別するタッチの状態はタッチ位置を複数検出することができるタッチの状態である(
図6参照)。
【0019】
これによれば、誤検出又は誤操作で無駄にスリープ状態が解除されることを防止することができる。
【0020】
〔4〕<タッチスキャンによるタッチ検出信号に対するタッチ位置の座標演算>
項3において、前記タッチスキャンの活性化指示は前記所定時間よりも短い時間毎にタッチスキャンを開始させる指示を含む。前記タッチスキャンの活性化指示を受けた前記プロセッサはタッチパネルによるタッチ検出信号に基づいてタッチ位置の座標演算を行う。
【0021】
これによれば、タッチスキャンによる検出動作とタッチ有無の検出動作とを明確に切り分けて動作させることができ、この点でも半導体装置の低消費電力に寄与する。
【0022】
〔5〕<相互容量方式によるタッチ検出動作と擬似相互容量方式によるタッチ検出動作>
項1において、前記タッチパネルコントローラは、前記タッチパネルの複数の駆動電極に接続される複数の駆動端子(PY1〜PYM)と、前記駆動端子から駆動パルスを出力する第1駆動回路(300)と、前記タッチパネルの複数の検出電極に接続される複数の検出端子(PX1〜PXN)と、前記検出端子に駆動パルスを出力する第2駆動回路(311)と、前記駆動パルスの変化に同期して前記検出端子から複数回入力される信号を積み上げて検出データを生成する検出回路(301)と、前記第1駆動回路、第2駆動回路及び検出回路を用いてタッチ検出動作を制御するタイミング制御回路(308)と、を有する。前記タイミング制御回路は、前記第1駆動回路から出力される前記駆動パルスの変化に同期して前記検出端子から複数回入力される信号を前記検出回路で積み上げて検出データを生成する第1タッチ検出モードと、偶数番目又は奇数番目の何れか一方のグループの前記検出端子を介して前記第2駆動回路から出力される前記駆動パルスの変化に同期して偶数番目又は奇数番目のいずれか他方のグループの前記検出端子から複数回入力される信号を前記検出回路で積み上げて検出データを生成する第2タッチ検出モードとを有する。
【0023】
これによれば、第2タッチ検出モードを選択することにより、検出電極を用いた簡易的なタッチ検出動作によってタッチ有無の検出を行う事ができる。半分の検出電極を駆動する簡易的な検出動作であるから、これによる検出動作の電力消費を小さくすることができる。
【0024】
〔6〕<第2タッチ検出モードをタッチ有無の検出用途とする>
項5において、前記プロセッサが所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチパネルコントローラに動作させる前記タッチ有無の検出動作は、前記第2タッチ検出モードによる動作である。
【0025】
これによれば、第2タッチ検出モードは単なるタッチ有無の検出に用いるだけであるから、駆動電極の走査を要せず、偶数番目又は奇数番目の何れか一方のグループの前記検出端子の駆動をタッチパネル全体で並列的に駆動することも可能であり、検出動作時間を短縮できるという点で低消費電力に寄与する。
【0026】
〔7〕<第1タッチ検出モードをタッチスキャン用途とする>
項6において、前記プロセッサは、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチ有りの判別結果を取得したとき、外部に割り込みを要求して前記タッチパネルコントローラによるタッチスキャンの活性化指示を待ち、前記表示ドライバは活性化指示を待つ。前記タッチスキャンの活性化指示に応答するタッチ検出動作は前記第1タッチ検出モードによる動作である。
【0027】
これによれば、項2と同様に半導体装置を外部のホストプロセッサの制御を受ける一つの周辺回路として位置付けた場合のタッチ検出と表示制御における低消費電力化に好適である。さらに、前記タッチスキャンでは前記第1タッチ検出モードを用いるので高精度のタッチ検出を行う事ができる。
【0028】
〔8〕<タッチ有と判別するタッチの状態>
項7において、前記第2タッチ検出モードで前記プロセッサがタッチ有りと判別するタッチの状態はタッチ位置を複数検出することができるタッチの状態である。
【0029】
これによれば項3と同様の作用効果を得る。
〔9〕<タッチスキャンによるタッチ検出信号に対するタッチ位置の座標演算>
項8において、前記タッチスキャンの活性化指示は前記所定時間よりも短い時間毎にタッチスキャンを開始させる指示を含む。前記タッチスキャンの活性化指示を受けた前記プロセッサはタッチパネルによるタッチ検出信号に基づいてタッチ位置の座標演算を行う。
【0030】
これによれば項4と同様の作用効果を得る。
【0031】
〔10〕<第1タッチ検出モード又は前記第2タッチ検出モードの切り替え>
項5において、前記タイミング制御回路は前記第1タッチ検出モード又は前記第2タッチ検出モードの何れを選択するかを指示する指示データを書き換え可能に格納するモードレジスタ(320のTPC_SCANM)を有する。
【0032】
これによれば、前記プロセッサのソフトウェアを介して前記第1タッチ検出モードと前記第2タッチ検出モードの切り替えを容易に行う事ができる。
【0033】
〔11〕<第2タッチ検出モードにおける偶数番目と奇数番目の検出端子の用途切り替え>
項5において、前記タイミング制御回路は偶数番目又は奇数番目の何れのグループの前記検出端子を駆動パルスの出力にするか検出信号の入力にするかを指示する指示データを書き換え可能に格納するモードレジスタ(320のTPC_RXMODE_OE)を有する。
【0034】
これによれば、前記プロセッサのソフトウェアを介して第2タッチ検出モードにおける駆動用と検出用の検出端子グループの切り替えを容易に行う事ができる。
【0035】
〔12〕<第2駆動回路の例>
項5において、前記第2駆動回路は、レベルの異なる電圧を交互に選択可能な電圧選択スイッチ回路(SW4_ODD,SW4_EVEN,SW5_ODD,SW5_EVEN)と、前記電圧選択スイッチ回路から出力される電圧を検出端子に出力可能なバッファアンプ(311_1〜311_N)とから成る。
【0036】
これによれば、駆動パルスの幅や間隔を必要に応じて自由に制御することが容易である。
【0037】
〔13〕<スリープ状態解除でタッチ有りの検出結果がないときスリープ状態に復帰>
電子機器(100)は、ホストプロセッサ(6)と、複数の駆動電極(PY1〜PYM)と複数の検出電極(PX1〜PXN)とを有し、電極間に容量成分(Cxy,Crx−rx)が形成されたタッチパネル(2)と、前記タッチパネルの一方の電極に対するパルス駆動制御を行うと共に前記一方の電極と容量結合関係を有する他方の電極に現れるタッチ信号の検出制御を行なうタッチパネルコントローラ(3)と、前記ホストプロセッサに接続され、前記タッチパネルコントローラを制御するプロセッサ(5)と、表示パネル(2)と、前記ホストプロセッサに接続され、表示パネルの駆動制御を行う表示ドライバ(4)と、を有する。前記プロセッサは、所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰して(S1)前記タッチパネルコントローラにタッチ有無の検出動作をさせ(S3)、タッチ有りの判別結果を取得できないときは(DTa)再度スリープ状態に遷移して所定時間の経過を待つ(S5)。
【0038】
これによれば、項1と同様の作用効果を奏する。したがって電子機器が低消費電力になる。
【0039】
〔14〕<スリープ状態解除でタッチ有りを検出したとき割り込みを要求して次の活性化指示を待つ>
項13において、前記プロセッサは、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰して(S1)タッチ有りの判別結果を取得したとき(DTb)、前記ホストプロセッサに対応させるための処理(割り込み要求、又は、外部から参照可能にされるフラグのセットなどの処理)を行って(S6)前記タッチパネルコントローラによるタッチスキャンの活性化指示を待ち(S8)、前記表示ドライバは前記ホストプロセッサからの活性化指示を待つ(S7)。
【0040】
これによれば、項2と同様の作用効果を奏する。したがって電子機器が低消費電力になる。
【0041】
〔15〕<タッチ有と判別するタッチの状態>
項14において、前記プロセッサがタッチ有りと判別するタッチの状態はタッチ位置を複数検出することができるタッチの状態である(
図6参照)。
【0042】
これによれば、項3と同様の作用効果を奏する。
【0043】
〔16〕<タッチスキャンによるタッチ検出信号に対するタッチ位置の座標演算>
項15において、前記タッチスキャンの活性化指示は前記所定時間よりも短い時間毎にタッチスキャンを開始させる指示を含む。前記タッチスキャンの活性化指示を受けた前記プロセッサはタッチパネルによるタッチ検出信号に基づいてタッチ位置の座標演算を行う。
【0044】
これによれば、項4と同様の作用効果を奏する。したがって電子機器が低消費電力になる。
【0045】
〔17〕<相互容量方式によるタッチ検出動作と擬似相互容量方式によるタッチ検出動作>
項13において、前記タッチパネルコントローラは、前記タッチパネルの複数の駆動電極(Y1〜YM)に接続される複数の駆動端子(PY1〜PYM)と、前記駆動端子から駆動パルスを出力する第1駆動回路(300)と、前記タッチパネルの複数の検出電極(X1〜XN)に接続される複数の検出端子(PX1〜PXN)と、前記検出端子に駆動パルスを出力する第2駆動回路(311)と、前記駆動パルスの変化に同期して前記検出端子から複数回入力される信号を積み上げて検出データを生成する検出回路(301)と、前記第1駆動回路、第2駆動回路及び検出回路を用いてタッチ検出動作を制御するタイミング制御回路(308)と、を有する。前記タイミング制御回路は、前記第1駆動回路から出力される前記駆動パルスの変化に同期して前記検出端子から複数回入力される信号を前記検出回路で積み上げて検出データを生成する第1タッチ検出モードと、偶数番目又は奇数番目の何れか一方のグループの前記検出端子を介して前記第2駆動回路から出力される前記駆動パルスの変化に同期して偶数番目又は奇数番目のいずれか他方のグループの前記検出端子から複数回入力される信号を前記検出回路で積み上げて検出データを生成する第2タッチ検出モードとを有する。
【0046】
これによれば、項5と同様の作用効果を奏する。したがって電子機器が低消費電力になる。
【0047】
〔18〕<第2タッチ検出モードをタッチ有無の検出用途とする>
項17において、前記プロセッサが所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチパネルコントローラに動作させる前記タッチ有無の検出動作は、前記第2タッチ検出モードによる動作である。
【0048】
これによれば、項6と同様の作用効果を奏する。
【0049】
〔19〕<第1タッチ検出モードをタッチスキャン用途とする>
項18において、前記プロセッサは、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチ有りの判別結果を取得したとき、外部に割り込みを要求して前記タッチパネルコントローラによるタッチスキャンの活性化指示を待ち、前記表示ドライバは前記ホストプロセッサからの活性化指示を待つ。前記タッチスキャンの活性化指示に応答するタッチ検出動作は前記第1タッチ検出モードによる動作である。
【0050】
これによれば、項7と同様の作用効果を奏する。したがって電子機器が低消費電力になる。
【0051】
〔20〕<タッチ有と判別するタッチの状態>
項19において、前記第2タッチ検出モードで前記プロセッサがタッチ有りと判別するタッチの状態はタッチ位置を複数検出することができるタッチの状態である。
【0052】
これによれば項3と同様の作用効果を得る。
【0053】
〔21〕<タッチスキャンによるタッチ検出信号に対するタッチ位置の座標演算>
項20において、前記タッチスキャンの活性化指示は前記所定時間よりも短い時間毎にタッチスキャンを開始させる指示を含む。前記タッチスキャンの活性化指示を受けた前記プロセッサはタッチパネルによるタッチ検出信号に基づいてタッチ位置の座標演算を行う。
【0054】
これによれば項4と同様の作用効果を得る。
【0055】
〔22〕<第1タッチ検出モード又は前記第2タッチ検出モードの切り替え>
項17において、前記タイミング制御回路は前記第1タッチ検出モード又は前記第2タッチ検出モードの何れを選択するかを指示する指示データを前記ホストプロセッサから受け取って書き換え可能に格納するモードレジスタ(320のTPC_SCANM)を有する。
【0056】
これによれば項10と同様の作用効果を得る。
【0057】
〔23〕<第2タッチ検出モードにおける偶数番目と奇数番目の検出端子の用途切り替え>
項17において、前記タイミング制御回路は偶数番目又は奇数番目の何れのグループの前記検出端子を駆動パルスの出力にするか検出信号の入力にするかを指示する指示データを前記ホストプロセッサから受け取って書き換え可能に格納するモードレジスタ(320のTPC_RXMODE_OE)を有する。
【0058】
これによれば項11と同様の作用効果を得る。
【0059】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0060】
《携帯情報端末》
図1には本発明に係る電子機器の一例である携帯情報端末100が例示される。この携帯情報端末100は例えば携帯電話機やスマートフォンなどとして実現される。携帯情報端末100は、タッチパネル(TP)1、表示パネルの一例である液晶パネル(DP)2、タッチパネルコントローラ(TPC)3、表示ドライバの一例である液晶ドライバ(DPC)4、サブプロセッサ(SMPU)5、及びホストプロセッサ(HMPU)6及び前記ホストプロセッサ6に接続されたそれぞれ図示を省略する通信装置や周辺装置を備えて構成される。
【0061】
タッチパネルコントローラ3、液晶ドライバ4、及びサブプロセッサ5は半導体装置の一例であるコントローラデバイス101を構成し、例えば、CMOS集積回路製造技術などによって単結晶シリコンなどの1個の半導体基板に形成され、又はそれら回路がマルチチップで1個のパッケージに封止されモジュール部品として形成される。
【0062】
タッチパネル1の詳細については特に図示はしないが、ここではマルチタッチ検出を可能にする相互容量方式のタッチパネルを一例とする。タッチパネル1は、複数の駆動電極(Y電極)と複数の検出電極(X電極)によって形成された複数の交差部を備える。交差部には容量成分が形成されている。タッチパネルコントローラ3はタッチパネル1の駆動電極に対するパルス駆動制御と前記駆動電極に容量結合される検出電極に現れるタッチ信号の検出制御とを行なう。すなわち、駆動電極に順次駆動パルスを供給し、これによって検出電極から順次得られる信号を積分して各交差部における容量成分の変動に応ずる検出データを得る。サブシステム用のマイクロプロセッサであるサブプロセッサ5はタッチパネルコントローラ3の制御と共に、タッチパネル1によるタッチの検出信号に基づいてタッチ位置の座標演算を行う。すなわち、タッチパネルコントローラ3が取得した検出データに対してディジタルフィルタ演算を行い、これによってノイズが除去されたデータに基づいて容量変動が生じた交差部の位置座標を演算する。要するに、交差部のどの位置で浮遊容量が変化したか、即ち、交差部のどの位置で指が近接したか(タッチされたか、接触イベントが発生したか)を示すために、接触イベントが発生したときの位置座標を演算する。
【0063】
タッチパネル1は透過性(透光性)の電極や誘電体膜を用いて構成され、例えば液晶パネル2の表示面に重ねて配置される。タッチパネル1と液晶パネル2の組み合わせの形態は別部品としてのタッチパネルを液晶パネルに外付けする外着け形態、及び、液晶パネルにタッチパネルを作り込んだインセル形態に大別され、何れであってもよい。
【0064】
ホストプロセッサ6は携帯情報端末100の全体的な制御を行い、コントローラデバイス101に対してタッチパネル1によるタッチ検出のためのコマンドや液晶パネル2の表示コマンドを発行し、また、コントローラデバイス101から受け取ったタッチ検出位置座標のデータを受け取って、タッチ検出位置と表示画面との関係から、タッチパネル1の操作による入力を解析する。
【0065】
液晶パネル2の詳細については特に図示はしないが、ゲート電極とドレイン電極がマトリクス状に配置され、その交差部分には、TFT(Thin Film Transistor)スイッチが形成される。TFTスイッチのソース側にはサブピクセルとなる液晶容量の液晶画素電極が接続され、その液晶容量の反対側の電極は共通電極になっている。ドレイン電極には例えば液晶ドライバ4から出力されるRGBの階調電圧が供給され、ゲート電極には例えば電極の配列順に走査パルスが供給される。
【0066】
サブプロセッサ5の詳細については図示を省略するが、例えば、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、割り込みコントローラ、外部インタフェース回路、及びタイマカウンタなどを有し、それらが内部バスで接続される。外部インタフェース回路はホストプロセッサ6からタッチパネルの動作を指示するためのコマンドを受け取り、CPUがそのタッチパネル動作指示コマンドコマンドを実行することによりタッチパネルコントローラ3にタッチパネルを駆動させて検出信号を取得させ、検出信号をディジタル変換してフレーム単位の検出データを取得させる。フレーム単位の検出データはCPUによって座標演算に用いられ、演算されたタッチ位置の座標データがホストプロセッサ6に与えられる。
【0067】
タッチパネルコントローラ3によるタッチパネル1の動作制御の内容は第一義的にはホストプロセッサ6からサブプロセッサ5に与えられるコマンドによって決まる。コマンドには例えばタッチ検出コマンド、演算コマンド、低消費電力コマンドなどがあり、夫々のコマンドパラメータによって動作の詳細が規定される。
【0068】
液晶ドライバ4の詳細についても図示を省略するが、例えばホストインタフェース、レジスタ回路、タイミングジェネレータ、チャージポンプを用いた電源回路、及び液晶パネル2に駆動電圧及び階調電圧を供給する駆動回路を有する。ホストインタフェースはホストプロセッサ6に接続され、ホストプロセッサ6から液晶パネル2を駆動制御するための制御データを受け取り、受け取った制御データはレジスタ回路に格納される。レジスタ回路に対してはサブプロセッサ5もアクセス可能にされ、サブプロセッサ5がその制御データを参照してタッチパネル1の制御に利用し、また、タッチパネル1の状態に整合させるように制御データをレジスタ回路に書き込み可能になる。更にホストインタフェースはホストプロセッサ5から表示データを入力して、駆動回路に与える。タイミングジェネレータは上記制御データの指示に従った動作態様で液晶パネル2の走査電極の駆動順序や駆動タイミングを制御し、且つ、表示データに応じた階調電圧を走査電極の駆動タイミングに合わせて表示電極に供給するタイミング制御を行う。電源回路は昇圧回路で昇圧された階調電圧及び走査駆動電圧を駆動回路などに与える。液晶ドライバ4による液晶パネル2の動作制御内容は第一義的にはホストプロセッサ5からレジスタ回路に書き込まれる制御データによって決まる。
【0069】
図2にはタッチパネル1の電極構成が例示される。タッチパネル1は横方向に形成された多数の駆動電極(Y電極)Y1〜YMと、縦方向に形成された多数の検出電極(X電極)X1〜XNとが相互に電気的に絶縁されて構成される。各電極は、例えばその延在方向の途中が方形状に成形されて容量電極を構成する。X電極とY電極の交差部には各電極の容量電極を介して交点容量が形成される。交点容量に指などの物体が近接すると、当該物体を容量電極とする浮遊容量が前記交点容量に加わることになる。Y電極Y1〜YMは、例えばその配列順にタッチパネルコントローラ3から駆動パルスが印加されて駆動される。
【0070】
図3にはディスプレイパネル2の電極構成が例示される。同図に示されるディスプレイパネル2の表示サイズは例えば480RGB×640の規模とされる。ディスプレイパネル2は横方向に形成された走査電極としてのゲート電極G1〜G640と縦方向に形成された信号電極としてのドレイン電極D1〜D1440とが配置され、その交点部分には選択端子が対応する走査電極に接続され、入力端子が対応する信号電極に接続された多数の表示セルが配置される。ゲート電極G1〜G640は、例えばその配列順にディスプレイコントローラ4から走査パルスが印加されて駆動される。
【0071】
《タッチパネルコントローラ》
図4にはタッチパネルコントローラ3の全体的な構成が例示される。タッチパネルコントローラ1は駆動回路(YDRV)300、検出回路(XDTC)310、アナログ・ディジタル変換回路(ADC)304、RAM305、バスインタフェース回路(BIF)306、及び制御回路としてのシーケンス制御回路(SQENC)308を有する。検出回路310は、例えば積分回路(INTGR)301、サンプルホールド回路(SH)302、及びセレクタ(SLCT)303などによって構成される。ここでは検出回路310に対する校正用の回路は図示を省略してある。アナログ・ディジタル変換回路を単にAD変換回路とも記す。
【0072】
駆動回路300はタッチ検出のためにY電極Y1〜YMに駆動パルスを順次出力する動作を所定タイミングで繰返す。Y電極毎に供給される駆動パルスは一定の複数パルス数に制御される。駆動パルスの立ち上がりエッジではY電極Ymに容量結合するX電極Xnの電位が上昇される。
【0073】
積分回路301は駆動パルスに同期してX電極X1〜XNに生ずる電位変化を駆動パルスの立ち上がりエッジに同期して積分する。積分された信号は検出電極毎にサンプルホールド回路302に保持され、保持された検出信号はセレクタ303で選択され、選択された検出信号はAD変換回路304で検出データに変換される。変換された検出データはRAM305に蓄積される。RAM305に蓄積された検出データはバスインタフェース回路306を介してサブプロセッサ5に供給され、ディジタルフィルタ演算及び座標演算に供される。
【0074】
シーケンス制御回路308は制御信号Csig1〜Csig6を用いて駆動回路300、積分回路301、サンプルホールド回路302、セレクタ303、AD変換回路304及びバスインタフェース回路306の動作を制御し、また、制御信号Csig7によってRAM305のアクセス制御を行う。特に制限されないが、駆動回路300がY電極に出力する駆動パルスのパルス電圧Vbst、積分回路301が入力するX電極の初期化電圧(プリチャージ電圧)VHSP、及びその他の電源電圧VCIはタッチパネルコントローラ3の外部から供給される。コントロールレジスタ320にはタッチパネル2の駆動及び検出動作の動作モードなどを指示するための指示データがサブプロセッサ5によって設定される。尚、シーケンス制御回路308は、タッチパネル1と液晶パネル2を時分割で駆動するときのために液晶パネル2の垂直同期信号Vsyncとリファレンスタイミング信号Trefを入力する。リファレンスタイミング信号Trefは駆動電極Ymの駆動タイミングの生成に用いるタイミング信号であり、例えば液晶パネル2の水平同期信号Hsyncをリファレンスタイミング信号Trefとして用いる。
【0075】
《コントローラデバイスのスリープ解除とタッチ検出動作に関する低電力化》
図5にはコントローラデバイスのスリープ設定及解除の動作フローが例示される。コントローラデバイス101に対するスリープはサブプロセッサのCPUがスリープ命令を実行することによって行われる。スリープの解除はCPUに対する外部割り込みや事前に設定したタイマカウンタよるアウト割り込みの発生に起因して行われる。サブプロセッサ5のスリープ状態ではタッチパネルコントローラの動作が不可能になる。表示ドライバ4に対するスリープの設定と解除はホストプロセッサ6又はサブプロセッサ5によるレジスタ回路(
図4参照)へのスリープ指示データのセット、スリープ指示データのクリアによって行われる。表示ドライバ4がスリープ状態にされると液晶パネル2は非表示状態にされる。スリープ指示データがクリアされると、液晶パネル2は階調データが供給されるまで全面が黒表示とされる。
【0076】
低電力化の前提として、タッチパネル3によるタッチ検出によるタッチ有りの判別結果を得る頻度が閾値以下になったときホストプロセッサ6は液晶ドライバ4にスリープ指示データをセットし、サブプロセッサ5にスリープ命令を実行させる。この状態を便宜上コントローラデバイス101のスリープ状態と称する。
【0077】
コントローラデバイスのスリープ状態においてサブプロセッサ5のタイマカウンタはタイマ動作を行い、例えば50m秒の経過によってCPUにタイムアウト割り込みを要求してスリープ状態を解除する(S1)。スリープが解除されて動作可能な状態に復帰されたサブプロセッサ5は、液晶ドライバ4のスリープ指示データをクリアし(S2)、更に、タッチパネルコントローラ3にタッチ有無の検出動作をさせる(S3)。これによってサブプロセッサ5がタッチ有りの判別結果を取得できないときは、液晶ドライバ4にスリープ指示データをセットし(S4)、且つ、自ら再度スリープ状態に遷移してタイマカウント動作による上記50m秒の経過を待つ(S5)。これによれば、サブプロセッサ5が定期的にスリープ状態から動作状態に復帰したときタッチ有無の検出動作をさせるから、液晶ドライバ4の動作停止中に常時タッチ検出を行う場に比べて低消費電力になる。その検出動作はタッチ有無の検出であり、座標位置を演算するためのタッチスキャンであることを要さず、簡易的又は低速の検出動作で足り、この点で、表示ドライバの動作停止状態から動作可能な状態に復帰させるためのタッチ検出動作における電力消費も低減される。
【0078】
サブプロセッサ5は、スリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチ有りの判別結果(DT1)を取得したときは、ホストプロセッサ6に割り込みを要求して(S6)、前記タッチパネルコントローラ3によるタッチスキャンの活性化指示(S8)を待ち、前記表示ドライバ4は活性化指示(S7)を待つ。これによれば、コントローラデバイス101をホストプロセッサ6の制御を受ける一つの周辺回路として位置付けた場合のタッチ検出と表示制御における低消費電力化に好適である。例えば、サブプロセッサ5がスリープ状態から動作可能状態への復帰(S1)とスリープ状態への再設定(S5)との制御を自ら行う場合でも、表示パネル2の表示にはホストプロセッサ6から表示データ(階調データ)を受け取ることが必要であるから、前記表示ドライバ4がホストプロセッサ6から活性化指示(S7)を待てば液晶ドライバ4の無駄な動作時間を省くことができる。
【0079】
前記タッチスキャンの活性化指示(S8)には前記50m秒よりも短い例えば8m秒毎にタッチスキャンを開始させる指示を含む。これによって、サブプロセッサ5のCPUはタイマカウンタにタイムアウト時間を8m秒に設定し、それによるタイムアウト毎にタッチスキャンをタッチパネル1のタッチフレームに対して行う。これによれば、タッチスキャンによる検出動作とタッチ有無の検出動作をと明確に切り分けて動作させることができ、この点でもコントローラドライバ101の低消費電力に寄与する。サブプロセッサ5のCPUはタッチフレーム単位でタッチスキャンによるタッチ検出データを用いたタッチ位置の座標演算を行う。検出データがタッチに係るデータか非タッチに係るデータかは検出データの値が閾値以上か否かによって判別する。位置座標は駆動電極と検出電極の配置に対して駆動電極の駆動方向と検出データの検出位置を勘案して演算される。
【0080】
なお、タッチ有りの判別基準は、タッチ点数が1点としても良いし、2点、あるいは2点以上としても良い。判定基準をタッチ点数2点以上に設定すると、誤検出又は誤操作で無駄にスリープ状態が解除されることを防止することができる。
【0081】
図6にはコントローラデバイスのスリープ設定及解除の別の動作フローが例示される。
図5との相違点はホストプロセッサ6に対して割り込みを発生させる(S6)条件を単なるタッチの有無(DTa)ではなく、タッチ位置を時間的に複数検出することができるタッチの状態を定義した点である。時間的に複数検出する場合の例としては、起動のための判定基準をタッチパネル2のなぞり動作のような特定のジェスチャー(DTb)とした点が
図5との相違点である。これによれば、誤検出又は誤操作で無駄にスリープ状態が解除されることを防止することができる。その他の点は
図5と同様であるから同様のステップには同じ参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0082】
図7にはコントローラデバイスのスリープ設定及解除の更に別の動作フローが例示される。
図7は
図6に対して、低頻度のタッチ検出期間即ち、スリープ解除(S1)からスリープ再設定(S5)のような期間において、液晶ドライバ4をスリープ状態に維持するようにした点が相違される。
図7では、タッチありと判定した場合には、液晶ドライバ4は一旦液晶パネル2の低電力状態である黒表示に遷移し、タッチパネルコントローラ3は
図6と同様に連続したタッチ検出を実施する。この連続したタッチ検出の結果、特定のジェスチャー、例えば、センサパネルのなぞり動作を検出した場合に(DTb)、ホストプロセッサ6に対して割り込みを発生させて(S6)、液晶ドライバ4は液晶パネル2を通常の階調表示可能とし、タッチパネルコントローラ3はタッチパネルを高頻度、例えば8m秒毎のインターバルでタッチ検出を実施する。その他の点は
図6と同様であるから同様のステップには同じ参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0083】
図8には駆動電極Ym(m=1〜M)に駆動パルスを線順次で入力する相互容量検出方式におけるタッチ検出期間T1が示される。タッチスキャンによるタッチ検出期間T1を8m秒とする。上記タッチ検出の頻度制御によれば、例えば低頻度時の検出頻度条件を50m秒毎とすれば、タッチ検出のための回路の動作率は8m秒/50m秒となり、平均電流を低減することが可能になる。そして、これに対応して、
図5乃至
図7に示したフローチャートに従って、ホストプロセッサ6、液晶ドライバ4、タッチパネルコントローラ3をスリープ状態に遷移させることでさらに低電力化を図ることができる。
【0084】
《相互容量方式によるタッチ検出動作と擬似相互容量方式によるタッチ検出動作》
図9には相互容量方式によるタッチ検出動作と擬似相互容量方式によるタッチ検出動作を可能とするタッチパネルコントローラ3mを備えた別のコントローラデバイス101mの全体的な構成が例示される。
図4のコントローラデバイス101との相違点は検出電極X1〜XNをパルス駆動する駆動回路(XDRV)311を追加して擬似相互容量方式によるタッチ検出動作を可能にした点である。すなわち、
図9のタッチパネルコントローラ3は、
図5と同様に、タッチパネル1の複数の駆動電極Y1〜YMに接続される複数の駆動端子PY1〜PYMと、前記タッチパネル1の複数の検出電極X1〜XNに接続される複数の検出端子PX1〜PXNとを有し、駆動端子PY1〜PYMから駆動パルスを出力する第1駆動回路(YDRV)300の他に、前記検出端子PX1〜PXNに駆動パルスを出力する第2駆動回路(DRV)311を有する。第1駆動回路300又は第2駆動回路311からの駆動パルスに対してはその変化に同期して検出端子X1〜XNから複数回入力される信号を前記検出回路310で積み上げて検出データを生成する。タイミング制御回路としてのシーケンス制御回路308mが第1駆動回路300、第2駆動回路311及び検出回路310を用いてタッチ検出動作を制御する。シーケンス制御回路308mは第1タッチ検出モードと第2タッチ検出モードを有する。第1タッチ検出モードは第1駆動回路300から出力される前記駆動パルスの変化に同期して前記検出端子X1〜XNから複数回入力される信号を前記検出回路310で積み上げて検出データを生成する動作モードである。第2タッチ検出モードは、偶数番目の検出端子X2j(j=1〜N/2)又は奇数番目の検出端子X2j−1のいずれか一方のグループの検出端子を介して前記第2駆動回路311から出力される前記駆動パルスの変化に同期して、偶数番目の検出端子X2j又は奇数番目の検出端子X2j−1いずれか他方のグループの検出端子に複数回入力される信号を前記検出回路310で積み上げて検出データを生成する動作モードモードである。
【0085】
図10には第2駆動回路311及び検出回路310における積分回路301の具体例とタッチパネル1の等価回路が例示される。タッチパネル1において、駆動電極Y1〜YMと検出電極X1〜XN電極の交差部に第一義的な結合容量(相互容量)Cxyが形成される。ここではそのほかに、検出電極X1〜XNの隣接電極間の第二義的な結合容量(擬似相互容量)Crx−rxについても着目する。
【0086】
積分回路301はX電極X1〜XNに対応して積分器301_1〜301_Nを備え、奇数番目の検出端子X2j−1にはプリチャージスイッチSW2_ODD、偶数番目の検出端子X2jにはプリチャージスイッチSW2_EVENが接続される。プリチャージスイッチSW2_ODD,SW2_EVENはX電極X1〜XNをチャージするためのプリチャージ電圧VHSPをX電極X1〜XNへ選択的に供給するためのスイッチである。積分器301_1〜301_Nは、非反転入力端子(+)にプリチャージ電圧VHPSが供給され反転入力端子(−)に対応するX電極Xn(n=1〜N)が接続されるオペアンプAMPit_ODD,AMPit_EVEN、積分容量Cs、及び積分容量CsをリセットするためのスイッチSW1によって構成される。
【0087】
第2駆動回路311はX電極X1〜XNに対応してバッファアンプ(ボルテージフォロアアンプ)311_1〜311_Nを備える。奇数番目の検出端子X2n−1にはスイッチSW3_ODDを介して対応するバッファアンプの出力が供給され、偶数番目の検出端子X2nにはスイッチSW3_EVENを介して対応するバッファアンプの出力が供給される。奇数番目のバッファアンプ311_1,311_3,…にはスイッチSW4_ODD,SW5_ODDを介してローレベルVL、ハイレベルVHが選択的に供給されることにより駆動パルスを生成可能にされる。同様に、偶数番目のバッファアンプ311_2,311_4,…にはスイッチSW4_EVEN,SW5_EVENを介してローレベルVL、ハイレベルVHが選択的に供給されることにより駆動パルスを生成可能にされる。特に図示はしないが、スイッチSW3_ODD,SW3_EVEN,SW4_ODD,SW4_EVEN,SW5_ODD,SW5_EVENのスイッチ制御信号はシーケンス制御回路308mが生成する。奇数番目の検出端子PX2j−1に接続する回路を単に奇数チャネル、偶数番目の検出端子PX2jに接続する回路を単に偶数チャネルと称する。
【0088】
図11には第1タッチ検出モードでのタッチ検出動作タイミングが例示される。第1タッチ検出モードでは第1駆動回路300で駆動電極Y1〜YMを駆動して相互容量Cxyに着目したタッチ検出(相互容量方式のタッチ検出)を行い、このとき、スイッチSW3_ODD,SW3_EVEN、SW4_ODD,SW4_EVEN,SW5_ODD,SW5_EVENは常時オフにされ、検出端子の偶数、奇数位置で制御は相違されない。
【0089】
X電極Xnの電圧波形の電圧と、オペアンプAMPitの出力端子Vout1〜VoutNの電圧波形における初期電圧はVHSPとされる。スイッチSW1,SW2_*(*=ODD及びEVEN)、動作基準クロックclkに同期して制御され、その制御信号はシーケンス制御回路308mで生成される。Y電極Ymに供給する駆動パルスのハイレベル幅、ローレベル幅、周期はシーケンス制御回路308のコントロールレジスタ320の設定によって可変可能にされている。
【0090】
期間aは積分容量Csのリセット期間であり、且つ、X電極Xnに対するプリチャージ電圧VHSPによるプリジャージ期間である。期間bは、Y電極Ymに対する駆動パルスの立ち上がりエッジを使用した検出期間である。期間cはタッチ検出の待ち受け期間である。
【0091】
まず、期間aでスイッチSW2_*をオン状態にし、積分回路301の入力及びタッチセンサ2のX電極X1〜XNに所定の電圧レベルVHSPを印加し、リセット状態にする。その後、スイッチSW2_*をオフにして積分回路301をタッチ信号の待ち受け状態とする。この検出待受状態では、X電極Xnは、プリチャージ電圧VHSPに接続されない状況になるが、仮想接地の構成である積分回路301の反転入力端子(−)の電圧レベルはそのまま保持される。
【0092】
検出待受状態に遷移した後、先ず、Y電極Y1に駆動パルスとして振幅Vyの立ち上がりパルスを入力する(他のY電極Y2〜YMはローレベルに固定)。その結果、Y電極Y1上の交点容量Cxyを介してX電極Xn(X1〜XN)に電荷(=Vy×Cxy)が移動し、これを反転入力端子(−)に受けるオペアンプAMPitの出力電圧Voutnがその移動電荷に応ずる電圧分だけ低電圧側に遷移する。特定の交点容量Cxyの近傍に指あればそれによる浮遊容量によって当該交点容量Cxyの合成容量値が減少する。例えばX電極X2とY電極Y1との交差部で交点容量Cxyの容量値が容量値Cfだけ減少したとすれば、X電極X2のオペアンプAMPitに入力される電荷はVy×(Cxy−Cf)となり、検出電極PX2のオペアンプAMPit_EVENの出力Vout2のレベル低下が、当該交差部に指がない場合に比べて小さくなる。この動作はY電極Y1に与えられる駆動パルスの複数回のパルス変化における立ち上がりエッジに同期して複数回繰返され、これによって、各検出電極のオペアンプAMPit_ODD,AMPit_EVENの出力電圧Voutnは
図11の波形に例示されるように積み上げられていく。
【0093】
図12には第2タッチ検出モードでのタッチ検出動作タイミングが例示される。第2タッチ検出モードでは第2駆動回路311で偶数番目又は奇数番目の一方のグループの検出電極を駆動して擬似相互容量Crx−rxに着目したタッチ検出(擬似相互容量方式のタッチ検出)を行い、このとき、第1駆動回路300は動作させず、スイッチSW2_*は奇数側(ODD)又は偶数側(EVEN)の何れか一方を常時オフ、スイッチSW3_*,SW4_*,SW5_*は奇数側(ODD)又は偶数側の何れか他方を常時オフにして利用される。
【0094】
図12では奇数チャネルの検出電極X2j−1を駆動部に設定し、偶数チャネルの検出電極PX2jを検出部に設定して利用する場合を一例とする。制御信号AMPitONは、積分アンプAMPitのオン/オフ制御信号であり、偶数チャネルの検出部における積分アンプAMPit_EVENはオン固定、奇数チャネルの駆動部における積分アンプAMPitはオフ固定とされる。この制御によって積分アンプAMPit_*の定常消費電流が低減される。
【0095】
第2タッチ検出モードにおいて、検出電極X2j−1には上に凸のパルスが印加され、スイッチSW2_EVENが連動してスイッチ制御されることにより、積分アンプAMPit_EVENの出力Vout2jは、階段状に遷移し、容量Crx−rxの検出結果を積み上げることができる。一方、積分アンプAMPit_ODDは非活性にされるのでその出力Vout2j−1は高インピーダンス(Hi-Z)となる。
【0096】
図13には第2タッチ検出モード(擬似相互容量検出方式)におけるタッチ検出期間T2が示される。上記擬似相互容量検出方式では、
図8に例示されるように相互容量検出方式の如く線順次に駆動パルスを入力する必要がなく、検出電極Xnの線間容量Crx−rxの変化の有無を判定するだけで、積分回数が同一であれば、検出時間は相互容量検出方式に比べて大凡1/Mに短くすることが可能である。これは、タッチ検出時間を短くし、低電力化に寄与する。
【0097】
図14には第2タッチ検出モードでの別のタッチ検出動作タイミングが例示される。ここでは、
図12に対して奇数チャネルと偶数チャネルで、駆動部と検出部の役割を入れ替えた場合を例示する。
図12の場合と同様に機能する。
【0098】
図15には駆動パルス数を4パルスとした場合で、非タッチ時とタッチ時の積分アンプAMPit_*の出力電圧Voutnの電圧遷移波形が例示される。図の上段にはタッチ時の容量変化が小さい場合を示し、下段にはタッチ時の容量変化が大きい場合を示してある。尚、本図は、4パルスで表したが、通常は、4パルス以上、例えば32パルスで検出動作を実施する。また、相互容量検出方式(第1タッチ検出モード)は、駆動電極Ymから駆動パルスを入力し、擬似相互容量検出方式は、例えば、奇数チャネルの検出電極から駆動パルスを入力するが、検出動作を用いる検出電極側の回路動作は、いずれの検出方式においても同様であり、非タッチ時とタッチ時の積分アンプの出力波形の傾向も同様になる。
【0099】
以上説明した第2タッチ検出モード(擬似相互容量検出方式)を選択することにより、検出電極を用いた簡易的なタッチ検出動作によってタッチ有無の検出を行う事ができる。半分の検出電極を駆動する簡易的な検出動作であるから、この点でも検出動作の電力消費を小さくすることができる。
【0100】
前記サブプロセッサ5が所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチパネルコントローラ3に動作させる前記タッチ有無の検出動作として、第2タッチ検出モードを採用することが望ましい。こうすると、第2タッチ検出モードは単なるタッチ有無の検出に用いるだけであるから、
図8のような駆動方式による電極駆動の走査を要せず、
図13の如く偶数番目又は奇数番目の何れか一方のグループの前記検出端子の駆動をタッチパネル全体で並列的に駆動することも可能であり、検出動作時間を短縮できるという点で低消費電力に寄与する。
【0101】
サブプロセッサ5は、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰してタッチ有りの判別結果を取得したとき、外部に割り込みを要求して前記タッチパネルコントローラ3によるタッチスキャンの活性化指示を待ち、前記表示ドライバは活性化指示を待つが、このタッチスキャンの活性化指示に応答するタッチ検出動作は前記第1タッチ検出モードによる動作とすることが望ましい。こうすれれば、タッチスキャンによるタッチ検出では高精度のタッチ検出を行う事ができる。
【0102】
図16は第1タッチ検出モード(相互容量検出方式)と第2タッチ検出モード(擬似相互容量検出方式)をレジスタ設定で切り替え可能にした場合の真理値表である。
図11と
図12で代表されるように検出回路を構成するスイッチの制御を異ならせることで、第1タッチ検出モード(相互容量検出方式)と第2タッチ検出モード(擬似相互容量検出方式)との動作を切り替えることができる。前記制御レジスタ320の検出モードビット(TPC_SCANM)の論理値を0に設定すれば第1タッチ検出モード(相互容量検出方式)による検出動作が可能にされ、検出モードビット(TPC_SCANM)の論理値を1に設定すれば第2タッチ検出モード(擬似相互容量検出方式)による検出動作が可能にされる。検出モードビット(TPC_SCANM)はサブプロセッサ5が自発的に、或いはホストプロセッサ6からの指示にサブプロセッサ5がプログラマブルに書き換え可能にされる。
【0103】
これによれば、前記プロセッサのソフトウェアを介して前記第1タッチ検出モードと前記第2タッチ検出モードの切り替えを容易に行う事ができる。
【0104】
図17は第2タッチ検出モード(擬似相互容量検出方式)が設定された場合において偶数チャネルと奇数チャネルの間で駆動部と検出部をレジスタ設定で切り替え可能にした場合の真理値表である。
図12と
図14で代表されるように、スイッチ制御で検出電極の役割を切り替えることが可能である。制御レジスタ320の駆動/検出切り替えビット(TPC_RXMODE_OE)の論理値を0に設定すれば奇数チャネルを駆動用に、偶数チャネルを検出用に割り当てて検出動作が可能にされ、駆動/検出切り替えビット(TPC_RXMODE_OE)の論理値を1に設定すれば偶数チャネルを駆動用に、奇数チャネルを検出用に割り当てて検出動作が可能にされる。即ち、駆動/検出切り替えビット(TPC_RXMODE_OE)の値にしたがってシーケンス制御回路308がスイッチSW2_*、SW3_*,SW4_*,SW5_*、及びアンプ活性化制御信号AMPitON_*の状態が切り替えられる。
【0105】
これによれば、前記プロセッサのソフトウェアを介して第2タッチ検出モードにおける駆動用と検出用の検出端子グループの切り替えを容易に行う事ができる。
【0106】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0107】
例えば、前述のとおり、タッチパネルコントローラ3と液晶ドライバ4を1チップ化し、さらにはタッチパネルコントローラ3、液晶ドライバ4及びサブプロセッサ5を1チップ化することができる。コントロールレジスタ320に対する設定項目が多くなることを考慮すれば、後者の1チップ構成が便宜である。タッチパネル1と液晶パネル2は、別構成になっていても、或いは双方が一体化されたインセル構成でも構わないし、タッチパネル1と上面に設置されるカバーガラスとが一体化されたカバーガラス一体化構成であっても構わない。
【0108】
また、スリープ状態において前記所定時間の経過毎にスリープ状態から動作可能状態に復帰して、タッチ有りの判別結果を取得したとき、プロセッサがホストプロセッサに対して、割り込みを要求することを前提に説明したが、タッチ有りの判別結果を取得した時に、値が”1”になるフラグを用意しておき、ホストプロセッサが定期的にフラグを参照して(ポーリング)、その後の動作を決定しても構わない。この場合は、フラグが”1”に遷移していることを確認したら、ホストプロセッサがタッチスキャンの活性化指示を送出し、表示ドライバの活性化指示を送出すればよい。
【0109】
さらに、タッチパネル2は電極形状が
図2に例示される菱型に限定されず、格子型でも構わない。
【0110】
図3では液晶パネル2の解像度をVGA (480RGB×640)でa−Si(amorphous silicon:アモルファスシリコン)タイプを前提に説明したが、液晶パネル2の解像度はVGA以外でも構わないし、a−Siタイプに限らず、LTPS(Low-temperature Poly Silicon:低温ポリシリコン)タイプであってもよい。さらに、表示パネルは液晶パネル2に限定されず、電圧レベルで階調制御を実施する表示パネル、例えば有機EL(OLED)であっても構わない。
【0111】
また、
図5乃至
図7で説明したサブプロセッサ5のスリープ解除後にタッチパネルコントローラが行うタッチ有無の検出動作は上記第2タッチ検出モードを用いることに限定されない。この観点の発明において検出回路が上記第2タッチ検出モード及びそのための回路構成を持つことは必須ではない。第1検出モードだけを持つタッチパネルコントローラであってもよい。