(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された回転圧入杭の施工方法では、基本的に、全旋回機によって回転圧入杭を下方へ押圧しながら回転させることにより、回転圧入杭を地盤に回転圧入するものである。このため、回転圧入杭を回転圧入するときには、全旋回機あるいは全旋回機が搭載される架台に、前記回転圧入杭の回転と逆方向の回転反力並びに上方への押圧反力がくわわる。したがって、これら反力に対抗するように、全旋回機あるいは全旋回機が搭載される架台を支持する必要がある。
【0005】
施工場所が陸上であると、全旋回機や全旋回機が搭載される架台の自重を利用できるため、それら反力に対抗できるものの、施工場所が水中である場合浮力を受けるため、十分な反力をとることが難しい。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、施工場所が海底地盤あるいは湖底地盤のときであっても、回転圧入杭を回転圧入する際に十分な反力をとることができ、回転圧入杭を支障なく回転圧入することができる回転圧入杭の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、請求項1の回転圧入杭の施工方法は、先端に螺旋羽根を有する回転圧入杭を下方へ押圧しながら回転させることにより、該回転圧入杭を地盤に回転圧入する回転圧入杭の施工方法であって、
前記回転圧入杭を地盤に回転圧入する回転圧入杭回転圧入装置と、先端に螺旋羽根を有し前記回転圧入杭よりも小型の反力杭を地盤に回転圧入する反力杭回転圧入装置とが、共通の架台に取り付けられ、前記反力杭回転圧入装置が、前記回転圧入杭回転圧入装置を中心としてその周りに複数個取り付けられ、前記反力杭を地盤に回転圧入する反力杭回転圧入工程と、
前記反力杭の前記共通の架台に対する相対的な高さ位置を個々に変えることによって、前記共通の架台の傾きを調整する共通の架台傾き調整工程と、回転反力及び上方への押圧反力を前記反力杭によりとることによって前記回転圧入杭を回転圧入する回転圧入杭回転圧入工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、先端に螺旋羽根を有しする小型の反力杭を地盤に回転圧入する。そして、この小型の反力杭の地盤への定着力を利用することによって、回転圧入杭を地盤に回転圧入する際の回転反力及び上方への押圧反力をとる。したがって、たとえ、施工場所が海底地盤あるいは湖底地盤であって、水による浮力を受けるため装置の自重等を反力として利用しにくい場合であっても、回転圧入杭を地盤に回転圧入することができる。
【0010】
この発明によれば、回転圧入杭を地盤に回転圧入する際、回転反力及び上方への押圧反力が共通の架台に作用する。ところが、共通の架台は反力杭によって地盤に定着される。このため、共通の架台を通して、反力杭の定着力を、回転圧入杭を地盤に回転圧入する際の回転反力及び上方への押圧反力に利用することができる。したがって、回転圧入杭を支障なく、地盤に回転圧入することができる。
【0012】
この発明によれば、回転圧入杭を地盤に回転圧入する際、回転反力及び上方への押圧反力を、回転圧入杭回転圧入装置を中心としてその周りに配置した複数の反力杭の地盤への定着力によって得ることができる。このように、反力杭を回転圧入杭回転圧入装置の周りにバランスよく配置するので、特定の反力杭に大きな反力が加わるのを回避でき、個々の反力杭を比較的小さな反力に対抗できる構造とすれば足りる。このため、個々の反力杭を小型化することができ、かつ、反力杭の地盤への侵入深さを比較的浅く設定することができる。
【0014】
この発明によれば、反力杭の前記共通の架台に対する相対的な高さ位置を個々に変えることによって、共通の架台の傾きを調整することができる。つまり、共通の架台に取り付けた回転圧入杭回転圧入装置の姿勢を調整することができる。したがって、当該回転圧入杭回転圧入装置によって、回転圧入する回転圧入杭の地盤への圧入角度を任意に調整することができ、このため、回転圧入杭を地盤表面に対して垂直に圧入することも、また、地盤表面がたとえ傾斜している場合であっても、回転圧入杭を鉛直方向に圧入することも可能である。
【0015】
請求項
2の回転圧入杭の施工方法は、前記回転圧入杭を水底地盤に回転圧入する回転圧入杭の施工方法であって、前記共通の架台を搭載して水上の所定位置まで運搬する施工船にG
PS装置を取り付けて該施工船の絶対的な位置を測定するとともに、所定位置まで運搬した前記施工船から水底地盤まで吊り下げられる前記共通の架台に位置情報発信器を取り付け、該位置情報発信器から発せられる信号を前記施工船に取り付けた受信器で受信することにより前記共通の架台の前記施工船に対する相対的な位置を測定して、前記共通の架台の絶対的な位置を測定することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、海底地盤や湖底地盤に回転圧入杭を回転圧入する場合であって、その圧入位置の測定が困難な場合であっても、施工船に取り付けたGSP装置によって施工船の絶対的な位置を測定することができ、また、共通の架台に取り付けた位置情報発信器から発せられる信号を施工船に取り付けた受信器で受信することにより共通の架台の施工船に対する相対的な位置を測定することができ、これによって、共通の架台の絶対的な位置、すなわち、回転圧入杭の施工位置を正確に知ることができる。
【0017】
請求項
3の回転圧入杭の施工方法は、
先端に螺旋羽根を有する回転圧入杭を下方へ押圧しながら回転させることにより、該回転圧入杭を地盤に回転圧入する回転圧入杭の施工方法であって、先端に螺旋羽根を有し前記回転圧入杭よりも小型の反力杭を地盤に回転圧入する反力杭回転圧入工程と、回転反力及び上方への押圧反力を前記反力杭によりとることによって前記回転圧入杭を回転圧入する回転圧入杭回転圧入工程と、前記
回転圧入杭を地盤に回転圧入する回転圧入杭回転圧入装置を取り付けた第1の架台と前記
反力杭を地盤に回転圧入する反力杭回転圧入装置を取り付けた第2の架台とを反力伝達バーで連結する連結工程
と、を備え
、前記連結工程は、前記反力杭回転圧入工程の後で、かつ、前記回転圧入杭回転圧入工程の前に実施され、前記連結工程は、前記第1の架台から延長するように設けた前記反力伝達バーの先端に複数のピン孔を形成しておき、該ピン孔に前記第2の架台に植設した複数のピンをそれぞれ挿入嵌合させるピン挿入嵌合工程を備えることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、回転圧入杭を地盤に回転圧入する際の反力を、回転圧入杭回転圧入装置を取り付けた第1の架台から離間して配置された第2の架台にセットされる反力杭の地盤への定着力によって得ている。ここで、第1の架台と第2の架台との離間距離が長くなればなるほど、反力杭に作用する回転反力は小さくなる。このため、第1の架台と第2の架台との離間距離を適宜設定することで、反力杭の小型化や反力杭の地盤への侵入深さを浅くすることができ、しかも、反力杭の本数を少なくできる。
【0020】
この発明によれば、反力伝達バーの先端に形成した複数のピン孔に第2の架台に植設した複数のピンをそれぞれ挿入嵌合させるピン挿入嵌合工程を備えているので、回転圧入杭を回転圧入する際に、反力伝達バーを介して第1の架台に加わる回転反力に伴う回転モーメントを第2の架台に伝達することができる。その分、反力杭の小型化や反力杭の地盤への侵入深さを浅くすることができる。
【0021】
請求項
4の回転圧入杭の施工方法は、前記第1の架台に設けた複数のジャッキによって該第1の架台の傾きを調整する第1の架台傾き調整工程を備えることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、複数のジャッキの個々の高さを変えることによって、第1の架台の傾きを調整することができる。つまり、第1の架台に取り付けた回転圧入杭回転圧入装置の姿勢を調整することができる。したがって、当該回転圧入杭回転圧入装置によって、回転圧入する回転圧入杭の地盤への圧入角度を任意に調整することができ、このため、回転圧入杭を地盤表面に対して垂直に圧入することも、また、地盤表面がたとえ傾斜している場合であっても、回転圧入杭を鉛直方向に圧入することも可能である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、小型の反力杭の地盤への定着力を利用することによって、回転圧入杭を地盤に回転圧入する際の回転反力及び上方への押圧反力をとることができ、このため、たとえ、施工場所が海底地盤あるいは湖底地盤であって、水による浮力を受けるため装置の自重等を反力として利用しにくい場合であっても、回転圧入杭を地盤に回転圧入することができる。
【0024】
請求項
1の発明によれば、回転圧入杭を地盤に回転圧入する際、回転反力及び上方への押圧反力が共通の架台に作用することとなるが、共通の架台は反力杭によって地盤に定着されるため、共通の架台を通して、反力杭の定着力を、回転圧入杭を地盤に回転圧入する際の回転反力及び上方への押圧反力に利用することができ、この結果、回転圧入杭を支障なく、地盤に回転圧入することができる。
【0025】
請求項
1の発明によれば、反力杭を回転圧入杭回転圧入装置の周りにバランスよく配置しているので、特定の反力杭に大きな反力が加わるのを回避できる。個々の反力杭は比較的小さな反力に対抗できれば足りる。このため、個々の反力杭を小型化することができ、かつ、反力杭の地盤への侵入深さを比較的浅く設定することができる。
【0026】
請求項
1の発明によれば、共通の架台に取り付けた回転圧入杭回転圧入装置の姿勢を調整することができ、したがって、当該回転圧入杭回転圧入装置によって、回転圧入する回転圧入杭の地盤への圧入角度を任意に調整することができ、このため、回転圧入杭を地盤表面に対して垂直に圧入することも、また、地盤表面がたとえ傾斜している場合であっても、回転圧入杭を鉛直方向に圧入することも可能である。
【0027】
請求項
2の発明によれば、共通の架台の絶対的な位置、すなわち、回転圧入杭の施工位置を正確に知ることができる。
【0028】
請求項
3の発明によれば、回転圧入杭を地盤に回転圧入する際の反力を、回転圧入杭回転圧入装置を取り付けた第1の架台から離間して配置された第2の架台にセットされる反力杭の地盤への定着力によって得ることができ、第1の架台と第2の架台との離間距離を適宜設定することで、反力杭の小型化や反力杭の地盤への侵入深さを浅くすることができ、しかも、反力杭の本数を少なくできる。
【0029】
請求項
3の発明によれば、回転圧入杭を回転圧入する際に、反力伝達バーを介して第1の架台に加わる回転反力に伴う回転モーメントを第2の架台に伝達することができ、その分、反力杭の小型化や反力杭の地盤への侵入深さを浅くすることができる。
【0030】
請求項
4の発明によれば、第1の架台に取り付けた回転圧入杭回転圧入装置の姿勢を調整することができ、したがって、当該回転圧入杭回転圧入装置によって、回転圧入する回転圧入杭の地盤への圧入角度を任意に調整することができ、このため、回転圧入杭を地盤表面に対して垂直に圧入することも、また、地盤表面がたとえ傾斜している場合であっても、回転圧入杭を鉛直方向に圧入することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態を示す概略側面図である。
【
図2】同第1実施形態を実施する施工装置の全体を示す斜視図である。
【
図6】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態を説明する工程説明図である。
【
図7】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態を説明する工程説明図である。
【
図8】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態を説明する工程説明図である。
【
図9】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態を説明する工程説明図である。
【
図10】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態の詳細を説明する工程説明図である。
【
図11】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態の詳細を説明する工程説明図である。
【
図12】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態の詳細を説明する工程説明図である。
【
図13】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態の詳細を説明する工程説明図である。
【
図14】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態の詳細を説明する工程説明図である。
【
図15】本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態の詳細を説明する工程説明図である。
【
図16】本発明の回転圧入杭の施工方法の第2実施形態を説明する工程説明図である。
【
図17】本発明の回転圧入杭の施工方法の第2実施形態を説明する工程説明図である。
【
図18】本発明の回転圧入杭の施工方法の第2実施形態を説明する工程説明図であり(a)は概略側面図(b)は要部の平面図である。
【
図19】本発明の回転圧入杭の施工方法の第2実施形態を説明する工程説明図である。
【
図20】本発明の回転圧入杭の施工方法の第2実施形態を説明する工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〈第1実施形態〉
以下、本発明の第1実施形態を
図1〜
図15を参照して説明する。
図1は本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態を示す概略側面図、図
2は同第1実施形態を実施する施工装置の全体を示す斜視図、
図3は同施工装置の要部を示す断面図、
図4は
図3のIV−IV線に沿う断面図、
図5は
図3のV−V線に沿う断面図である。
【0033】
本発明の回転圧入杭の施工方法の第1実施形態を説明する前に、同施工方法を実施するための回転圧入杭の施工装置について説明する。
図1において符号1は回転圧入杭の施工装置であり、この回転圧入杭の施工装置1は、先端に螺旋羽根Paを備えた回転圧入杭Pを地盤に回転させながら圧入するものである(
図3参照)。
【0034】
この実施形態では、海底地盤Gに回転圧入杭Pを回転圧入する場合の例であり、ここでは、回転圧入杭の施工装置1は、施工船2に搭載されたクレーン3によってロープ4を介して海中に吊り下げられる。
回転圧入杭の施工装置1は、基盤10と、基盤10上の中央部に取り付けられて回転圧入杭Pを海底地盤Gに回転圧入するための全旋回機11と、基盤10を海底地盤Gの所定位置に固定するとともに全旋回機11により回転圧入杭Pを海底地盤Gに回転圧入するときにその反力を受けるための反力杭45を海底地盤Gに回転圧入する反力杭回転圧入装置12とを備える。圧力杭回転圧入装置12は、基盤10の周辺部に複数個(例えば、全旋回機11の周りに4個)周方向90度置きに取り付けられている。
すなわち、この実施形態では、全旋回機11と反力杭回転圧入装置12とが共通の架台である基盤10に取り付けられている。
【0035】
また、施工船2にはGPS装置13が備えられ、施工船2の正確な位置が把握される。また、回転圧入杭の施工装置1には位置情報を発信する位置情報発信器であるトランスポンダ14が取り付けられ、ここから発せられる信号が、施工船2に備えられた受信器であるレスポンダ15によって受信される。これにより、回転圧入杭の施工装置1の施工船2に対する相対的な位置関係が把握され、前記施工船2に備えられたGPS装置13と相まって、回転圧入杭の施工装置1の正確な位置情報が把握できる。
【0036】
全旋回機11について説明すると、
図3〜
図5に示すように、前記基盤10は全旋回機11のフレームを兼ねており、基盤10の中央には回転圧入杭Pを挿通するための孔10aが形成されている。また、基盤10にはフレームを兼ねる支柱20が孔10aを中心としてその周りに4本それぞれ周方向に等間隔をあけて立設されている。支柱20にはメインチャック22を昇降自在に支持する昇降機構例えば油圧シリンダ21が取り付けられ、これら油圧シリンダ21の出力側基部21Aには回転圧入杭Pを着脱可能に把持するメインチャック22がベアリング23を介して回転可能に取り付けられている。
【0037】
メインチャック22は、前記ベアリング23を介して回転可能に取り付けられたリング状の水平下板24と、水平上板の上側に配置されたリング状の水平上板25とを備える。水平上板25は、油圧シリンダ21の出力側基部21Aにチャックカラー昇降シリンダ26を介して昇降可能に取り付けられた連結板27に、ベアリング28によって回転可能に支持されている。
水平下板24の上側には円筒体29が取り付けられ、円筒体29の上部内周は上方に向かうに従い漸次拡径するテーパー面29aが形成されている。一方、水平上板25の下側には複数のカラー支持ブロック30が水平上板25の中心から放射状に延びるように設けられており、これらカラー支持ブロック30はそれぞれリンク31を介して該リンク31の支持位置の真下よりも水平上板25の中心側(回転圧入杭Pが配置される側)に位置するように、しかも、鉛直面に沿って回転可能に取り付けられている。カラー支持ブロック30の外側(回転圧入杭Pに対向する側とは反対側)は傾斜面30aとされ、この傾斜面30aは前記円筒体のテーパー面29aに対応する。また、カラー支持ブロック30の内側(回転圧入杭Pに対向する側)にはメインチャックカラー32が取り付けられ、このメインチャックカラー32のさらに内側には複数の高摩擦部材32aが上下方向に間隔をあけて取り付けられている。
【0038】
そして、このメインチャック22では、チャックカラー昇降シリンダ26が短縮するように操作されると、各カラー支持ブロック30が円筒体29に案内されてそれぞれ下降する。このとき、カラー支持ブロック30の傾斜面30aが円筒体29のテーパー面29aに沿って下方にスライドし、同時に水平上板25の径方向内方へ移動する。したがって、カラー支持ブロック30に取り付けられているメインチャックカラー32もカラー支持ブロック30と一体になって同径方向内方へ移動し、基盤10の中央に配置される回転圧入杭Pを高摩擦部材32aを介して把持する。
一方、チャックカラー昇降シリンダ26が伸長するように操作されると、各カラー支持ブロック30がそれぞれ上昇する。このとき、カラー支持ブロック30の傾斜面30aが円筒体29のテーパー面29aによる押圧を解除されるため、自重によって水平上板25の径方向外方へ移動する。したがって、カラー支持ブロック30に取り付けられているメインチャックカラー32もカラー支持ブロック30と一体になって同径方向外へ移動し、回転圧入杭Pへの把持を解除する。
すなわち、メインチャック22では、チャックカラー昇降シリンダ26が短縮操作あるいは伸長操作されることによって、メインチャックカラー32による回転圧入杭Pの把持及びその解除が行なえるようになっている。
【0039】
なお、
図3に示す例では、リンク31によってカラー支持ブロック30を、リンク31の支持位置の真下よりも水平上板25の中心側に位置するように支持しており、チャックカラー昇降シリンダ26が伸長した際、カラー支持ブロック30を自重によって水平上板25の径方向外方へ移動するように構成しているが、これに代わって、カラー支持ブロック30を図示せぬバネによって水平上板25の径方向外方へ移動するように付勢する構成にしてもよい。
【0040】
前記支柱20等のフレームまたは油圧シリンダ21と前記メインチャック22との間には、回転圧入杭Pを把持した状態でメインチャック22を回転させる回転機構35が設けられている。回転機構35は、例えば、フレームまたは油圧シリンダ21に取り付けられた回転源であるモータと、このモータの回転力を伝える伝達系とを備え、この伝達系の出力部の回転が水平下板24または水平上板25に伝達される構成になっている。
【0041】
メインチャック22の上側に上部サブチャック40が、またメインチャックの下側には下部サブチャック41がそれぞれ配設されている。上部サブチャック40は、油圧シリンダの上端に、把持対象となる回転圧入杭Pが配置される位置を中心にそれぞれ放射状に取り付けられている。下部サブチャック41は、フレームを構成する支柱20に、把持対象となる回転圧入杭Pが配置される位置を中心にそれぞれ放射状に取り付けられている。
上部サブチャック40または下部サブチャック41は、例えば、油圧シリンダまたはエアーシリンダにより構成される。
また、上部サブチャック40の内端、つまり把持対象となる回転圧入杭に対向する端部には、回転圧入杭を把持しながら同時に回転圧入杭Pの相対的な上下動を可能とするローラが取り付けられている。
【0042】
前記反力杭回転圧入装置12は、基本的に前記全旋回機11とほぼ同様な構成であり、異なる点は、上部サブチャック及び下部サブチャックを有しないこと、メインチャック、メインチャックを回転させる回転機構、メインチャックを昇降させる昇降機構がそれぞれ、前述した全旋回機11のそれよりも小型であること、並びに、当該反力杭回転圧入装置12によって回転圧入する対象が先端に螺旋羽根45aを有する反力杭45(小型の回転圧入杭)である点である。
【0043】
次に、上記構成の回転圧入杭の施工装置を用いて海底地盤Gに回転圧入杭を回転圧入する回転圧入杭の施工方法について、
図1並びに
図6〜
図15に基づき説明する。
図1に示すように、回転圧入杭の施工装置1を施工船2に積み込んだ後、施工船2によって海上の所定位置まで運搬する。そして、施工船2が海上の所定位置まで到達すると、施工船2に搭載したクレーン3により回転圧入杭の施工装置1をロープ4を介して海底まで吊り降ろす。ここで、回転圧入杭の施工装置1に予め回転圧入杭Pを組みつけておく。またこのとき、回転圧入杭Pの当該施工装置1への仮固定は、上部サブチャック40及び下部サブチャック41による把持、またはメインチャック22による把持によって行なっても良く、さらにはそれら上部サブチャック40及び下部サブチャック41による把持とメインチャック22による把持とを併用することにより行なっても良い。
【0044】
ここで、施工船2の位置は、施工船2自体が風の影響を受ける関係上、正確に把握することが難しいものの、施工船2に搭載したGPS装置13よってリアルタイムで正確に知ることができる。また、施工船2からロープ4を介して回転圧入杭の施工装置1を吊り下げた際に、潮流の影響を受けて回転圧入杭の施工装置1が水平方向へ移動するが、回転圧入杭の施工装置1の施工船2に対する相対的な位置は、該回転圧入杭の施工装置1に取り付けたトランスポンダ14から発信される位置信号を施工船2のレスポンダ15によって受信することにより正確に知ることができる。したがって、回転圧入杭の施工装置1の位置、ひいてはこれから回転圧入しようとする回転圧入杭Pの位置は、これらGPS装置13、トランスポンダ14及びレスポンダ15からなる位置把握システムによって正確に知ることができる。
【0045】
回転圧入杭の施工装置1が海底地盤Gに届いた時点で、該回転圧入杭の施工装置1の位置が所望位置であるかを判断し、その位置が所望位置からずれている場合には、ロープ4を介して回転圧入杭の施工装置1を引き上げ、施工船2を移動させて、再度回転圧入杭の施工装置1の位置が所望位置になるように調整する。
【0046】
そして、回転圧入杭の施工装置1の位置が海底地盤G上の所望位置に至った時点で、回転圧入杭の施工装置1を海底地盤Gに定着する。
図6〜
図8は本発明の実施形態の基盤の定着方法を示す工程説明図である。
図6、
図7に示すように、まず、反力杭回転圧入装置12によってそれぞれの反力杭45を海底地盤G中に回転圧入する(反力杭回転圧入工程)。反力杭45の回転圧入については、後述する全旋回機11を使用した方法とほぼ同様であり、ここではその説明を省略する。
なお、反力杭を回転する際の反力は、自重によりとってもよいが、回転方向を逆にすることによって反力を相殺する。
ここで、海底地盤Gの表面が
図6、
図7に示すように斜めに傾斜している場合には、反力杭45を海底地盤G中所定深さまで回転圧入した後、基盤10に予め搭載された水準器から発せられる傾斜情報に基づき、反力杭回転圧入装置12に組み込まれた昇降機構によって、基盤10に対する反力杭45の個々の相対的な高さ位置(深さ位置)を調整する。これにより、
図8に示すように基盤10が水平面に沿うように調整する(共通の架台傾き調整工程)。この調整は、施工船からの遠隔操作によって行なう。
【0047】
図9は本発明の実施形態の回転圧入杭の施工装置を用いた回転圧入杭の施工方法を示す工程図、
図10〜
図15は、同回転圧入杭の施工方法の詳細を示す工程説明図である。
反力杭回転圧入装置12による基盤10の定着並びに基盤10の姿勢調整が完了した後、
図9に示すように、全旋回機11を用いて回転圧入杭Pを海底地盤Gに回転圧入する。
具体的には、
図10に示すように、まず、チャックカラー昇降シリンダ26を短縮操作し、円筒部材のテーパー面29aを介してカラー支持ブロック30を水平上板25の中心側、すなわち、回転圧入杭Pへ接近するように移動させ、最終的にメインチャックカラー32及び高摩擦部材32aを介して回転圧入杭Pを把持させる。
【0048】
このように、メインチャック22により回転圧入杭Pを把持させた状態で上部サブチャック40及び下部サブチャック41による回転圧入杭Pの把持を解除し、
図11に示すように、予め伸長状態にあった油圧シリンダ21を短縮操作して回転圧入杭Pに下方への押圧力を与えるとともに、回転機構35によりメインチャック22を所定方向へ回転させる。すると、回転圧入杭Pの先端に取り付けた螺旋羽根45aが下方へ押圧されながら所定方向へ回転されることにより、そのネジ作用によって、回転圧入杭Pが海底地盤G中を下方へ回転圧入される(回転圧入杭回転圧入工程)。
このとき、基盤10には回転圧入杭Pを回転圧入するときの反力が加わるが、反力杭回転圧入装置12によって回転圧入された反力杭45がその反力に対抗する。つまり、反力杭45によって、基盤10が海底地盤Gに定着されているので、基盤10が海底地盤Gから離間するのを、また、回転圧入杭Pの回転と逆方向へ回転するのをそれぞれ防止できる。
【0049】
そして、油圧シリンダ21による短縮限界位置に達すると、油圧シリンダ21の短縮操作を停止させると同時に前記回転機構35による回転を停止させる。その後、
図12に示すように、上部サブチャック40及び下部サブチャック41を駆動させて回転圧入杭Pを把持させる。この状態で、
図13に示すように、チャックカラー昇降シリンダ26を伸長操作し、メインチャック22による回転圧入杭Pの把持を解除する。
【0050】
次いで、
図14に示すように、油圧シリンダ21を伸長操作し、回転圧入杭Pの把持を解除したメインチャック22を上昇させる。
このとき、上部サブチャック40を油圧シリンダ21の出力側に取り付けている関係上、上部サブチャック40もメインチャックと一体的に上昇する。ここで、上部サブチャック40の先端の回転圧入杭Pに当接する部分にローラーを取り付けているので、上部サブチャック40の先端は、回転圧入杭Pの外周面にローラーを介して転がりながら、当該回転圧入杭Pを把持することとなる。つまり、上部サブチャック40は、回転圧入杭Pに対し、当接位置を変えながら回転圧入杭Pを把持することができる。
【0051】
メインチャック22を上方限界位置まで移動させた後、油圧シリンダ21を停止させる。そして、
図15に示すように、上部サブチャック40及び下部サブチャック41による回転圧入杭の把持を継続したまま、チャックカラー昇降シリンダ26を短縮操作し、メインチャック22による回転圧入杭Pの把持を行なう。そして、メインチャック22による把持が完了すると、上部サブチャック40及び下部サブチャック41による回転圧入杭Pの把持を解除する(盛り替え工程)。
以下、
図10、
図11に示す回転圧入杭回転圧入工程と、
図12〜
図15に示す盛り替え工程を繰り返し行うことにより、回転圧入杭Pを所定深さまで到達させることができる。
【0052】
ここで、メインチャック22による回転圧入杭Pの把持位置を変えるときつまり盛り替えのときに、メインチャック22の上側及び下側にそれぞれ配置した上部サブチャック40と下部サブチャック41により回転圧入杭Pを把持させるので、回転圧入杭Pの芯が回転圧入杭の施工装置1に対してずれることがない。つまり、施工場所が海底地盤Gあるいは湖底地盤のときであって、潮流や水流の影響を受けるときでも、また、回転圧入杭Pを斜めに傾斜した状態で回転圧入する場合であって、回転圧入杭Pに自重による傾斜モーメントが作用する場合であっても、回転圧入杭Pの芯が該施工装置1の芯からずれるのを防止することができる。
また、クレーンを用いることなく回転圧入杭Pの回転圧入が行なえるので、従来行なわれたような、施工後に回転圧入杭からシャックルを取り外す手間も不要になる。
【0053】
〈第2実施形態〉
以下、本発明の第2実施形態を
図16〜
図20を参照して説明する。
前記第1実施形態では、回転圧入杭回転圧入装置である全旋回機11と反力杭回転圧入装置12とを共通の架台である基盤10に取り付けていたが、この第2実施形態では、全旋回機11と反力杭回転圧入装置12とをそれぞれ別々の架台に取り付け、それら架台を反力伝達バーで連結している。
すなわち、第2実施形態では、
図18に示すように、全旋回機11を第1の架台51に取り付け、反力杭回転圧入装置12を第2の架台52に取り付け、第1の架台51と第2の架台52とを反力伝達バー53で連結している。
【0054】
具体的な施工方法について説明すると、
図16に示すように、まず、反力杭45が予め組み込まれた反力杭回転圧入装置12を備える第2の架台52を、施工船によって運搬し、クレーンから延びるロープにより海底地盤G上の所定位置に吊り降ろす。第2の架台52の下面には、下端が尖って地盤に突き刺さるスパイク部材54が複数取り付けられている。また、第2の架台52の上面には、反力杭回転圧入装置12の他に、この反力杭回転圧入装置の周りに複数個(例えば2個)一組のガイドピン55が複数組周方向90度置きに取り付けられている。なお、第2の架台52には、当該第2の架台52の位置情報を発信するトランスポンダ(図示略)がセットされている。
【0055】
前述したように第2の架台52を海底地盤G上の所定位置に吊り降ろした後、
図17に示すように、該第2の架台52上の反力杭回転圧入装置12を用いて反力杭45を、把持機構により把持した状態で昇降機構により下方へ押圧しながら回転機構により回転させて、海底地盤Gに回転圧入する。このときの回転反力はスパイク部材54によりとり、また、上方への押圧反力は第2の架台及び反力杭回転圧入装置12の自重によりとる。
反力杭45の所定深さまでの回転圧入が完了すると、次に、
図18に示すように、回転圧入杭Pが予め組み込まれた全旋回機11を備える第1の架台51を、クレーンから延びるロープにより海底地盤G上の所定位置に吊り降ろす。
【0056】
このとき、全旋回機11の側部からは反力伝達バー53が延びており、この反力伝達バー53の先端拡径部には、複数(例えば2個)のピン孔53aが反力伝達バー53の長手方向に直交するように並んで形成されている。ここでは、複数のピン孔53aに第2の架台52のガイドピン55がそれぞれ挿入するように、前記第1の架台51を海底地盤G上に位置決めしながら吊り降ろす(連結工程・ピン挿入嵌合工程)。なお、このときの位置決めは、例えば、反力伝達バー53の先端に設けた図示せぬカメラにより、ガイドピン55のピン孔53aへの挿入状況を監視しながら行なう。
【0057】
なお、反力伝達バー53には、当該反力伝達バー53自身の長さを調整する長さ調整手段56、並びに反力伝達バー53の基端側に対する先端の角度を調整する回転手段57がそれぞれ取り付けられている。また、全旋回機11の反力伝達バー53が取り付けられ側とは逆側の側部にはカウンタ58が取り付けられている。
【0058】
上記のように第1の架台51を海底地盤G上に吊り下ろした後、
図19に示すように、第1の架台51の下面に取り付けた複数のジャッキ59のそれぞれの長さを調整することにより、第1の架台51の傾きを例えば水平面に沿うように調整する(第1の架台傾き調整工程)。
第1の架台51の傾き調整が終了した後、前記第1実施形態で説明したように、回転圧入杭Pを、全旋回機11を用いて海底地盤Gに回転圧入する。
このとき、回転圧入杭Pを海底地盤Gに回転圧入する際の反力は、第2の架台52に取り付けた反力杭45の定着力によって反力伝達バー53を介して得ている。ここで、第1の架台51と第2の架台52との離間距離が長くなればなるほど、反力杭45に作用する回転反力は小さくなる。このため、第1の架台51と第2の架台52との離間距離を適宜設定することで、反力杭45の小型化や反力杭45の地盤への侵入深さを浅くすることができ、しかも、反力杭45の本数を少なくできる。例えば、第2実施形態のように、第2の架台52によって取り付ける反力杭45の本数をただ1本とすることができる。勿論、反力杭45を2本以上としても良い。
【0059】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、回転圧入杭の施工装置1を用いて海底に回転圧入杭を回転圧入する例を示したが、これに限られることなく、陸上の地盤に回転圧入杭Pを回転圧入する場合でも本発明は適用可能である。
また、前記実施形態では、共通の基盤10あるいは第1の架台51を水平面に沿うように、それら架台の傾きを調整しているが、これに限られることなく、傾斜地盤に対して、その地盤に直交するように架台の傾きを調整しても良い。
また、前記第2実施形態では、第2の架台52の上面にガイドピン55を植設するとともに、全旋回機11から延びる反力伝達バー53の先端にピン孔53aを設け、ガイドピン55をピン孔53aに挿入させる構成としているが、これに限られることなく、ガイドピン55に代わり例えば平面視多角形状(例えば6角形状)の棒を設けるとともに、ピン孔の代わりに多角形状(例えば6角形状)の嵌合穴を設け、これらを嵌合する構成にしてもよい。
また、前記第2実施形態では、一つの全旋回機に対して反力杭を有する反力杭回転圧入装置12を只一つ設けているが、これに限られることなく、一つの全旋回機に対して反力杭を有する反力杭回転圧入装置12を複数設けても良い。