【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本発明は、金属リン酸塩を含む新規な複合無機粒子を見出すことによって、上記で議論した困難性及び問題点の幾つかに対処するものである。この複合無機粒子は、それらを懸濁状態に長時間維持することを可能にする粒径及び粒径分布を有する。更に、この複合無機粒子は、粒子の表面上に均一に分配されている所望量の利用可能な金属リン酸塩を与える組成及び構造を有する。新規な複合無機粒子は、通常は多孔質又は非多孔質の金属酸化物粒子であり、耐腐食剤、充填剤、硬化剤、表面変性剤などとして用いることができる。新規な複合無機粒子は、耐腐食被覆、塗料、生物活性表面被覆、保護被覆、歯科インプラント用の充填剤、セラミクス用の充填剤、眼鏡用ドープ剤などにおいて用いるのに特に好適である。
【0006】
[0006]1つの代表的な態様においては、本発明の複合無機粒子の粉末は金属リン酸塩及び金属酸化物を含み、粒子は、金属酸化物コア、及び金属酸化物コアの上の金属リン酸塩の被覆を有する。
【0007】
[0007]他の代表的な態様においては、本発明の複合無機粒子の粉末は、中央粒径が約50μm未満であるような粒径分布を有する金属酸化物及び金属リン酸塩の粒子を含む。中央粒径は、約40μm以下、約30μm以下、又は約20μm以下であってよい。中央粒径は、約0.001μm〜約50μm、約0.001μm〜約40μm、又は約0.001μm〜約30μmの範囲であってよい。
【0008】
[0008]更なる代表的な態様においては、本発明の複合無機粒子の粉末は金属リン酸塩及び金属酸化物を含み、液体と混合した後に、少なくとも6ヶ月間安定した状態を保つ分散液を形成する。別の態様においては、分散液は少なくとも約1年間安定した状態を保つ。
【0009】
[0009]1つの代表的な態様においては、本発明の複合無機粒子の分散液は金属リン酸塩及び金属酸化物を含み、粒子は金属酸化物コア及び金属酸化物コアの上の金属リン酸塩の被覆を有する。
【0010】
[0010]更なる代表的な態様においては、本発明の複合無機粒子の分散液は金属リン酸塩及び金属酸化物を含み、分散液は少なくとも6ヶ月間安定した状態を保つ。別の態様においては、分散液は少なくとも約1年間安定した状態を保つ。
【0011】
[0011]本発明はまた、複合無機粒子を製造する方法にも関する。本発明による他の代表的な態様においては、複合無機粒子の製造方法は、金属酸化物粒子を与え、金属酸化物粒子上に金属リン酸塩の被覆を形成することを含む。
【0012】
[0012]本発明による他の代表的な態様においては、複合無機粒子の製造方法は、金属酸化物粒子を与え、金属酸化物粒子の上に金属リン酸塩の被覆を形成することを含む。複合無機粒子は、中央粒径が約50μm未満であるような粒径分布を有していてよい。
【0013】
[0013]本発明による1つの代表的な態様においては、複合無機粒子の製造方法は、金属酸化物粒子を与え、金属酸化物粒子の上に金属リン酸塩の被覆を形成することを含む。分散液は少なくとも6ヶ月間、更には1年間超まで安定した状態を保つことができる。
【0014】
[0014]本発明は更に、複合無機粒子を使用する方法に関する。複合無機粒子を使用する1つの代表的な方法においては、この方法は、金属リン酸塩及び金属酸化物を含む複合無機粒子の粉末を与え;粉末を液体と混合して分散液を形成し;分散液を基材に適用する;ことを含み、粒子は金属酸化物コア及び金属酸化物コアの上の金属リン酸塩の被覆を有する。
【0015】
[0015]複合無機粒子を使用する他の代表的な方法においては、この方法は、液体並びに金属リン酸及び金属酸化物を含む複合無機粒子の分散液を与え;分散液を基材に適用する;ことを含み、粒子は金属酸化物コア及び金属酸化物コアの上の金属リン酸塩の被覆を有する。
【0016】
これに限定されるものではないが、本発明は以下の態様の発明を包含する。
[1]液体;
金属リン酸塩及び金属酸化物を含む粒子;
を含み、少なくとも6ヶ月間安定した状態を保つ、複合無機粒子の分散液。
[2]分散液が少なくとも1年間安定した状態を保つ、[1]に記載の分散液。
[3]金属リン酸塩が、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、及びこれらの混合物を含む、[1]に記載の分散液。
[4]金属酸化物が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、及びこれらの混合物を含む、[1]に記載の分散液。
[5]金属酸化物がナノ粒子を含む、[1]に記載の分散液。
[6]複合無機粒子が、約0.001〜約0.5の金属酸化物の重量に対する金属の重量の比を有する、[1]に記載の分散液。
[7]液体;
金属リン酸塩及び金属酸化物を含む粒子;
を含み、粒子が、その上に金属リン酸塩が形成されている金属酸化物コアを含む、複合無機粒子の分散液。
[8]金属リン酸塩が、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、及びこれらの混合物を含む、[7]に記載の分散液。
[9]金属酸化物が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、及びこれらの混合物を含む、[7]に記載の分散液。
[10]金属酸化物がナノ粒子を含む、[7]に記載の分散液。
[11]複合無機粒子が、約0.001〜約0.5の金属酸化物の重量に対する金属の重量の比を有する、[7]に記載の分散液。
[12]金属リン酸塩及び金属酸化物を含む粒子;
を含み、粒子が、その上に金属リン酸塩が形成されている金属酸化物コアを含む、複合無機粒子の粉末。
[13]金属リン酸塩が、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、及びこれらの混合物を含む、[12]に記載の粉末。
[14]金属酸化物が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、及びこれらの混合物を含む、[12]に記載の粉末。
[15]金属酸化物がナノ粒子を含む、[12]に記載の粉末。
[16]複合無機粒子が、約0.001〜約0.5の金属酸化物の重量に対する金属の重量の比を有する、[12]に記載の粉末。
[17]その上に金属リン酸塩が形成されている金属酸化物コア;
を含み、粒子が、中央粒径が約50μm未満であるような粒径分布を有する複合無機粒子。
[18]金属リン酸塩が、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、及びこれらの混合物を含む、[17]に記載の無機粒子。
[19]金属酸化物が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、及びこれらの混合物を含む、[17]に記載の無機粒子。
[20]粒径分布が、中央粒径が約0.001μm〜約40μmの範囲であるようなものである、[17]に記載の無機粒子。
[21]粒径分布が、中央粒径が約0.001μm〜約30μmの範囲であるようなものである、[17]に記載の無機粒子。
[22]金属酸化物がナノ粒子を含む、[17]に記載の無機粒子。
[23]複合無機粒子が、約0.001〜約0.5の金属酸化物の重量に対する金属の重量の比を有する、[17]に記載の無機粒子。
[24](a)金属酸化物粒子の分散液を与え;
(b)金属リン酸塩前駆体の溶液を与え;
(c)金属リン酸塩前駆体の溶液を金属酸化物粒子と混合し;そして
(d)金属リン酸塩を金属リン酸塩前駆体から金属酸化物上に堆積させて複合無機粒子を形成する;
工程を含む複合無機粒子の製造方法。
[25]金属リン酸塩が、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、及びこれらの混合物を含む、[24]に記載の複合無機粒子の製造方法。
[26]金属酸化物が、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、及びこれらの混合物を含む、[24]に記載の複合無機粒子の製造方法。
[27]分散液が少なくとも6ヶ月間安定した状態を保つ、[24]に記載の複合無機粒子の製造方法。
[28]分散液が少なくとも12ヶ月間安定した状態を保つ、[24]に記載の複合無機粒子の製造方法。
[29]金属酸化物がナノ粒子を含む、[24]に記載の複合無機粒子の製造方法。
[30]複合無機粒子が、約0.001〜約0.5の金属酸化物の重量に対する金属の重量の比を有する、[24]に記載の複合無機粒子の製造方法。
[31][24]に記載の方法によって形成される複合無機粒子。
[0016]本発明のこれらの及び他の特徴並びに有利性は、開示された態様の以下の詳細な記載及び特許請求の範囲を検討した後に明らかになるであろう。