(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記傾斜部位の後端近傍に、前記駆動源により、前記傾斜部位の下面側に溜まった草を落下させるように駆動可能な草落下機構が、配設されていることを特徴とする請求項3に記載の除草機。
前記回転除草部及び前記カバーを、前記支持枠部に対して上下方向の位置を調節可能な位置調節機構が、配設されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の除草機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の除草機は、除草部材が、左右方向に沿った長尺状とされていることから、左右に広いエリアの雑草を一挙に引き抜くことができるものの、回転軸が露出して配置されていることから、引き抜かれた雑草が回転軸に巻きつき、定期的に回転軸に巻きついた雑草を取り除く作業が必要となっていた。また、上記特許文献2に記載の除草機は、除草部材を上下させて、雑草を除去していることから、除草部材を回転させる場合と比較して、除草効率が良好ではなかった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、効率よく除草を行うことができ、かつ、メンテナンスも容易な除草機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る除草機は、車輪を有して、手動若しくは自動で走行可能な除草機であって、
進行方向に沿った前後両側の少なくとも下部側の領域と、下方と、を開口させて構成されるとともに、左右両側に、車輪を配置させた支持枠部と、
支持枠部の下端近傍において、接地面に近接するように配置されるとともに、進行方向に対して直交するように左右方向に略沿って配置されて、両端側を、支持枠部側に軸支され、駆動源により車輪の回転方向に沿って回転可能とされる回転除草部と、
回転除草部の外周側を覆うように配置されるカバーと、
を備える構成とされて、
回転除草部が、駆動源の駆動時に回転可能とされる回転軸と、板金製とされるとともに回転軸の軸方向に沿って複数配置されてそれぞれ回転軸に連結される除草部本体と、を備え、
各除草部本体が、回転軸の周方向に沿って略放射状に複数配置されて、回転軸の回転時に草を引き抜き可能とされる引抜片を、有する構成とされて、
カバーが、回転除草部の上方を覆う上側部位と、回転除草部の下方を覆う下側部位と、を有するとともに、下側部位に、回転する除草部本体における引抜片の部位を、下方に突出可能とされるスリットを、配設させて構成され、
スリットが、開口幅寸法を、引抜片の厚さ寸法よりも、わずかに大きく設定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の除草機では、回転除草部が、回転軸の軸方向(左右方向)に沿って、複数の除草部本体を備えており、各除草部本体は、回転軸の周方向に沿って略放射状に複数配置される引抜片を、備えて構成されている。そのため、本発明の除草機では、走行時に、左右方向に沿って複数配置される除草部本体を、同時に回転させ、各除草部本体に形成される引抜片の回転方向の前方側となる前縁に草を引っ掛けるようにして、草を引き抜くことができることから、左右に広いエリアの草を略同時に引き抜くことができ、また、各除草部本体には、放射状に複数の引抜片が形成されていることから、各除草部本体によって、効率よく草を引き抜くことができる。また、本発明の除草機では、回転除草部は、外周側をカバーにより覆われており、カバーにおいて回転除草部の下方を覆う下側部位には、引抜片を下方に突出させるスリットが形成されている。すなわち、本発明の除草機では、回転除草部における引抜片のみがスリットを介してカバーから露出される構成であり、回転軸は、カバーによって外周側を略全面にわたって覆われている。また、スリットは、開口幅寸法を、引抜片の厚さ寸法よりわずかに大きく設定されていることから、スリットの周縁部位と引抜片との間に大きな隙間が生じ難く、引き抜かれた草がこのスリットの部位からカバー内に進入することも、抑制できる。そのため、本発明の除草機では、走行時に、回転軸に草が巻きつくことを、的確に防止することができる。
【0009】
したがって、本発明の除草機では、効率よく除草を行うことができ、かつ、メンテナンスも容易である。
【0010】
また、本発明の除草機において、除草部本体を、回転軸に連結される円板部と、円板部の外周縁から部分的に突出するように形成される引抜片と、を備える構成とし、
円板部の外周縁側の部位を、スリットから下方に突出させるように、構成することが、好ましい。
【0011】
除草機を上記構成とすれば、引抜片間の領域においても、スリットが、円板部の外周縁側の部位によって、大部分を閉塞されるような態様となることから、引き抜かれた草がスリットの部位からカバー内に進入することを、極力抑制できて、好ましい。
【0012】
さらに、上記構成の除草機において、下側部位の後端近傍に、後上方に延びるような傾斜部位を、配置させ、
引抜片において、回転方向の前方側となる前縁を、先端側を回転方向の後側に位置させ、元部側を回転方向の前側に位置させるように、傾斜させて構成することが、好ましい。
【0013】
上記構成の除草機では、引抜片は、回転方向の前方側となる前縁を、元部側を回転方向の前側に位置させるように傾斜させて形成されており、換言すれば、カバーの下側部位に形成される傾斜部位の前側に位置した状態では、引抜片の回転方向側の前縁は、元部側を傾斜部位側に位置させるように傾斜している。そのため、回転除草部の回転時に、引抜片の前縁側の部位は、下側部位の後端近傍において後上がりに傾斜して配置される傾斜部位に配置されるスリットの部位に、元部側から、順次挿通されるようにして、カバー内に進入することとなる。そして、引抜片がこの傾斜部位に配置されるスリットの部位に挿通される際に、この傾斜部位におけるスリットの周縁部位によって、引抜片の前縁側に絡まっている草を押えられ、引抜片が、元部側から、順次草を抜き取られるような態様となって、引抜片から抜き取られた草が、下方に落下することとなる。そのため、上記構成の除草機では、走行時に、引抜片の前縁側の部位によって引き抜かれた草を、自動的に、引抜片から抜き取って下方の接地面に落下させることができる。
【0014】
さらにまた、上記構成の除草機において、傾斜部位の後端近傍に、駆動源により、傾斜部位の下面側に溜まった草を落下させるように駆動可能な草落下機構を配設させる構成とすれば、仮に、引き抜いた草が、落下せず、傾斜部位の下面側に溜まることとなっても、この溜まった草を、草落下機構によって落下させることができて、好ましい。
【0015】
さらにまた、上記構成の除草機において、回転除草部及びカバーを支持枠部に対して上下方向の位置を調節可能な位置調節機構を、配設させる構成とすれば、草の生え方や、地面の状態に応じて、回転除草部、すなわち、引抜片の上下の位置を微調節することが可能となって、好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、手動で走行させる構成の除草機1を例に採り、説明する。
図1に示す除草機1は、除草機本体7と、除草機本体7を走行させるための車輪3と、使用時に把持する操作ハンドル4と、を備えている。
【0018】
操作ハンドル4は、実施形態の場合、左右方向に沿って延びる把手4aと、把手4aから進行方向の前下方に向かって延びて先端を支持枠部8の左右両側に配置される車輪3の車軸に連結される連結部4bと、を備えている。そして、実施形態の除草機1は、標準的な体格の大人を使用者として設計されており、操作ハンドル4の接地面Gからの高さ寸法は、把手4aを使用者の腰から胸程度の範囲内に配置させるような寸法に、設定されている。車輪3は、実施形態の場合、支持枠部8の後述する外壁部13L,13Rの左右の外方向に配置されるもので、車軸に連結される回転中心を、除草機本体7より僅かに前方に位置させるように、除草機本体7の前側半分程度の領域の側方に、配置されている。
【0019】
また、実施形態の除草機1では、除草機本体7から後方に突出して下面側を接地面Gに接触可能なストッパ5が、配設されている。このストッパ5を配置させることにより、使用時に、操作ハンドル4の上下によって引抜片21の接地面Gとの間の間隔が増減することを防止でき、引抜片21と接地面Gとの間の間隔を略一定に保つことができる。そのため、使用者が操作ハンドル4の上下の位置を略一致させるようにして、走行させなくとも、安定して引抜片21により草を引き抜くことができて、使用者の負担を軽減させることができる。また、ストッパ5により、除草機1は、不使用時に安定して立てておくことができる。このストッパ5は、実施形態の場合、図示しない調節機構を有して、外壁部13L,13Rに対する上下の位置を調節可能とされた状態で、外壁部13L,13Rから後方に突出するように、配置されている。
【0020】
除草機本体7は、
図2,3に示すように、支持枠部8と、支持枠部8に軸支される回転除草部17と、回転除草部17を駆動させる駆動源としてのモータ15と、回転除草部17の外周側を覆うカバー25と、草落下機構32と、位置調節機構36と、を備えている。
【0021】
支持枠部8は、回転除草部17やカバー25を保持させる保持枠9と、保持枠9の左右の側方に配置される外壁部13L,13Rと、を備えている。保持枠9は、実施形態の場合、進行方向に沿った前後両側と、下方と、を開口させるように構成されるもので、板金製として、長手方向を左右方向に略沿わせた略長方形状の天井壁10と、天井壁10の左右両端側から下方に延びる左側壁11,右側壁12と、を備えている。左側壁11及び右側壁12は、前後方向の中央付近における下端近傍の部位で、回転除草部17の回転軸18を軸支している。また、左側壁11及び右側壁12において、回転軸18の配置位置の前方となる位置には、位置調節機構36を構成する旋回軸37を挿通可能な挿通孔11a,12aが、形成されている。外壁部13L,13Rは、それぞれ、保持枠9における左側壁11の左方と、右側壁12の右方と、に配置されるもので、保持枠9の左右の側方を全面にわたって覆うとともに、上下の幅寸法を、保持枠9より大きくして、保持枠9より上下に延びるように、構成されている。実施形態の場合、外壁部13L,13Rは、保持枠9より上側に突出している部位を、上方にかけて狭幅とされる略台形状として、上端側を、操作ハンドル4における連結部4bの中間部位に、連結させて構成されている(
図1参照)。また、実施形態の場合、保持枠9は、回転軸18の前側において左右方向に沿って配置される旋回軸37を、左側壁11及び右側壁12に形成される挿通孔11a,12aに挿通させ、この旋回軸37を、外壁部13L,13Rに連結させることにより、外壁部13L,13Rと連結されている。そして、保持枠9は、旋回軸37を回転中心として、外壁部13L,13Rに対して回動可能とされており、この旋回軸37は、位置調節機構36を構成している。
【0022】
回転除草部17を回転させる駆動源としては、電動のモータ15が使用されている。モータ15は、回転軸18を回転可能に回転軸18に連結されるとともに、実施形態の場合、草落下機構32を駆動させるように、草落下機構32にも連結されている。また、実施形態の場合、モータ15は、天井壁10の下面側であって、回転除草部17の直上となる位置に、固定されている(
図2参照)。
【0023】
回転除草部17は、支持枠部8における保持枠9の下端近傍に配置されるもので、進行方向に対して直交するように左右方向に略沿って配置されて、両端側を、保持枠9の左側壁11,右側壁12に、軸支されている。この回転除草部17は、モータ15の駆動時に、
図1,2に示すように、車輪3の回転方向に沿って、回転するように、構成されている。実施形態の場合、回転除草部17は、モータ15の駆動時に回転可能とされる回転軸18と、回転軸18に連結される除草部本体19と、を備えている。
【0024】
回転軸18は、左右方向に沿って配置されて、両端側を保持枠9の左側壁11,右側壁12に軸支されている。除草部本体19は、板金製として、回転軸18の軸方向(左右方向)に沿って、複数配置されて、それぞれ、回転軸18に連結されている。実施形態の場合、除草部本体19は、
図3に示すように、左右方向に沿って14個配置されている。各除草部本体19は、略円板状の円板部20と、円板部20の外周縁から部分的に突出するように形成される引抜片21と、を備えている。円板部20は、回転軸18の軸方向に略直交するようにして(前後及び上下に略沿うようにして)、回転軸18に取り付けられている。実施形態の場合、円板部20は、外径寸法を、カバー25における下側部位27の内径寸法より大きく設定されて、外周縁側となる周縁部位20aを、スリット28を介して、下側部位27より外方に突出させるように、構成されている(
図3参照)。引抜片21は、円板部20の外周縁から連なりつつ、部分的に突出するように形成されるもので、実施形態の場合、外形形状を、先端側にかけて狭幅とした略台形状とされるとともに、回転軸18の周方向(円板部20の周方向)に沿って略放射状に、4個形成されている。引抜片21は、詳細には、回転軸18の回転方向の前方となる前縁22(
図2の下側に配置されている引抜片21の後側の縁)を、先端22a側を回転方向の後側に位置させ、元部22b側を回転方向の前側に位置させるように、傾斜させて、構成されている。さらに詳細には、実施形態の場合、この引抜片21の前縁22は、元部22b近傍の部位で、カバー25の下側部位27における傾斜部位29と交差させた状態で、傾斜部位29との交差角度を90°程度とするように、構成されている(
図6のA参照)。なお、実施形態では、各除草部本体19は、引抜片21の配置位置を側方から見て略一致させるようにして、回転軸18に取り付けられている。
【0025】
カバー25は、板金製とされるもので、回転除草部17の上方を覆う上側部位26と、回転除草部17の下方を覆う下側部位27と、を備えている。上側部位26は、
図2に示すように、軸方向を左右方向に略沿わせた略半円筒形状とされるもので、中心軸を回転軸18と略一致させるようにして、回転除草部17の上部外周側を覆うように、配置されている。この上側部位26は、回転除草部17の上部外周側全体を覆い可能に、内径寸法を、除草部本体19の外形寸法、すなわち、除草部本体19において対向する引抜片21,21の先端間の離隔距離よりも、大きく設定されている。また、上側部位26は、前下端側の部位を、略円弧状に湾曲させつつ、下側部位27との連結部位より下方に延ばして、下側部位27の前方を覆うように、構成されている(
図2参照)。この上側部位26の前下端側の延設部26aは、下側部位27の前方を略全域にわたって覆うように構成されるもので、走行時に、背丈の高い草を倒して、引抜片21により、草を引き抜きやすくするために配置されている。
【0026】
下側部位27は、内径寸法を、上側部位26の内径寸法よりも小さく設定されて、軸方向を左右方向に略沿わせた略半円筒形状とされている。この下側部位27は、各除草部本体19に対応した位置に、略全周にわたって、除草部本体19における引抜片21と円板部20の周縁部位20aとを下方に突出させるように挿通可能なスリット28を、配設させて構成されている(
図2,3参照)。すなわち、下側部位27は、上述した如く、内径寸法を、円板部20の外径寸法より小さく設定されている。そして、スリット28は、
図4に示すように、開口幅寸法を、引抜片21及び円板部20を円滑に回転移動可能に、引抜片21及び円板部20(除草部本体19)の厚さ寸法よりも、わずかに大きく設定されている。この下側部位27は、中心軸を回転軸18と略一致させるようにして配置されるもので、進行方向の前端側を、水平面に略沿って前方に延ばすようにして、上側部位26の内周面と当接されている。スリット28は、下側部位27におけるこの水平面に略沿って配置される部位にも、形成されている。下側部位27の後端近傍には、後上方に延びるような傾斜部位29が、形成されている。この傾斜部位29は、実施形態の場合、円板部20の接線方向(下側部位27の接線方向)に略沿わせるようにして、水平面に対する傾斜角度を、70°以上に設定されるもので、上側部位26の後下端の後方まで延びて、上面側に、上側部位26の後下端側を当接させている。スリット28は、この傾斜部位29の領域においても、形成されるが、引抜片21の先端22aが通る領域まで形成され、引抜片21より後方となる後側部29b(詳細には、上側部位26の後下端側より後方となる部位)には、スリット28は、形成されていない。
【0027】
実施形態の場合、上側部位26と下側部位27とは、所定箇所でボルト等の締結手段により、相互に連結されており、メンテナンス時等において、下側部位27を上側部位26に対して取り外し可能とされている。また、上側部位26と下側部位27との左右の側方は、別体の蓋部材(図符号省略)により、閉塞されている。そして、実施形態の除草機1では、使用時に、各除草部本体19に形成される引抜片21の回転方向の前方側となる前縁22側の部位に草を引っ掛けるようにして、草を引き抜く構成であり、引抜片21の前縁22側の部位に草が絡まっている場合、回転移動する引抜片21が傾斜部位29を通過する際に、引抜片21の前縁22側の部位に絡まっている草が、スリット周縁部位29aによって押され、引抜片21から抜き取られるような態様となる。
【0028】
草落下機構32は、
図2に示すように、傾斜部位29の後端近傍に配置されている。草落下機構32は、実施形態の場合、傾斜部位29の下面側において傾斜部位29に沿わせるように配置されて、傾斜部位29に沿って前後方向に移動可能なシャッタ部材33を備えるもので、モータ15の駆動により前後に移動可能とされている。詳細には、草落下機構32は、
図2,3に示すように、シャッタ部材33と、モータ15に連結されて回転除草部17の回転方向に沿って回転可能とされる回転軸34と、回転軸34に連結されてシャッタ部材33を前後移動させる移動部材35と、を備えている。また、シャッタ部材33は、図示しないばねにより、常時前進移動方向側に付勢されている。移動部材35は、回転軸34の軸方向に略直交するようにして、回転軸34に取り付けられるもので、外方に突出する4つの突起35aを、放射状に配設させている。この突起35aは、回転方向の前方側となる前縁側の先端近傍で、シャッタ部材33の後端から上方に延びるように形成される突出片33aと、当接可能に構成されている。そして、モータ15の駆動時に、前進移動しているシャッタ部材33の突出片33aに、回転する移動部材35の突起35aが当接すれば、この突起35aが、突出片33aを後方に押圧して、シャッタ部材33を傾斜部位29に沿うように後方移動させることとなり、移動部材35の回転に伴って、突出片33aと突起35aとの当接状態が解除されれば、シャッタ部材33は、図示しないばねの付勢力により、傾斜部位29に沿うように前方移動することとなる。そして、移動部材35の回転に伴って、シャッタ部材33の傾斜部位29に沿った前後移動が繰り返されることとなる。また、草落下機構32には、シャッタ部材33の傾斜部位29に沿った移動をガイドする図示しないガイド部材が、配置されている。そして、実施形態では、回転軸34の回転速度が、回転軸18の回転速度と略同一に設定されて、草落下機構32は、動作を回転除草部17の回転に同期させるように、構成されており、シャッタ部材33は、
図6のBに示すように、引抜片21が傾斜部位29を完全に通過した際に、前方移動して、傾斜部位29の下面側に溜まった草を落下させ、次の引抜片21が傾斜部位29に到達する前に、
図6のCに示すように、後方移動して、回転移動する引抜片21と干渉しないように、構成されている。
【0029】
位置調節機構36は、回転除草部17及びカバー25の支持枠部8に対しての上下方向の位置を調節するもので、実施形態の場合、回転除草部17及びカバー25を保持させている保持枠9ごと、外壁部13L,13Rに対して上下方向の位置を調節可能とすることにより、回転除草部17及びカバー25の外壁部13L,13Rに対しての上下方向の位置を調節させる構成とされている。
【0030】
位置調節機構36は、詳細には、上述した如く保持枠9を左右に貫通して左右両端側を外壁部13L,13Rに連結される旋回軸37と、保持枠9の後側における左上側に配置されて、前方に延びるねじ棒38aを有した操作ハンドル38と、ねじ棒38aを貫通可能とされるととともに左右方向に沿った棒状として左右両端側を外壁部13L,13Rに連結される固定軸部39と、固定軸部39の前側においてねじ棒38aに螺合可能な雌ねじ部を有するとともに左右方向に沿った棒状として左右両端側を保持枠9の左側壁11,右側壁12に連結される可動軸部40と、を備えている(
図2,5参照)。固定軸部39は、操作ハンドル38との離隔距離を一定とするように、前後に設けられたストッパ(図符号省略)によりねじ棒38aに対する位置を固定されつつ、周方向に回動可能に、左右両端側を外壁部13L,13Rに連結されている(
図5参照)。可動軸部40は、操作ハンドル38の操作時に、ねじ棒38aに対する位置を移動可能とし、かつ、周方向に回動可能に、左右両端側を保持枠9の左側壁11,右側壁12に連結されている(
図5参照)。
【0031】
そして、実施形態の位置調節機構36では、可動軸部40を固定軸部39から離隔させるように、操作ハンドル38を操作すれば、可動軸部40は、固定軸部39から離隔するようにねじ棒38aを前方に向かって移動しようとするものの、可動軸部40と旋回軸37との離隔距離が一定であることから、
図7のAに示すように、可動軸部40は、ねじ棒38aを、前端を上方に向けるように傾斜させるようにして、固定軸部39から離隔しつつ相対的に上方移動することとなり、このとき、可動軸部40の両端側を連結させている保持枠9全体も旋回軸37を回転中心として回動されるように、外壁部13L,13Rに対して上方移動することとなって、引抜片21の外壁部13L,13Rからの突出量が小さくなる。逆に、可動軸部40を固定軸部39に接近させるように、操作ハンドル38を操作すれば、可動軸部40は、
図7のBに示すように、ねじ棒38aを、前端を下方に向けるように傾斜させるようにして、固定軸部39に接近しつつ相対的に下方移動することとなり、このとき、保持枠9全体も旋回軸37を回転中心として回転移動されるように、外壁部13L,13Rに対して下方移動することとなって、引抜片21の外壁部13L,13Rからの突出量が大きくなる。なお、この位置調節機構36による保持枠9の外壁部13L,13Rに対する上下の移動は、回転除草部17の上下の位置、すなわち、引抜片21の上下の位置の調節であって、引抜片21の外壁部13L,13Rからの突出量を調節するためのものであり、実施形態の場合、保持枠9を最上方まで移動させた状態でも、引抜片21は、先端側を外壁部13L,13Rから下方に突出させるように構成され、また、保持枠9を最下方まで移動させた状態でも、引抜片21のみを外壁部13L,13Rから下方に突出させ、円板部20は突出させないように構成されている。
【0032】
実施形態の除草機1は、接地面Gに設置させて、モータ15を駆動させつつ、前進移動させれば、回転する除草部本体19の各引抜片21が、接地面Gを浅く掘りつつ、接地面Gに生えている草を引き抜くこととなり、引抜片21により引き抜かれた草は、引抜片21の前縁22側に絡まっていても、引抜片21の傾斜部位29通過時に、スリット周縁部位29aによって押され、引抜片21から抜き取られて、接地面Gに落下することとなる。また、モータ15の駆動時には、草落下機構32も、シャッタ部材33を除草部本体19の回転に同期させるようにして、前後移動するように動作されることから、仮に、引抜片21から抜き取られた草が傾斜部位29の下面側に溜まることとなっても、シャッタ部材33により、自動的に接地面Gに落下することとなる。
【0033】
そして、実施形態の除草機1では、回転除草部17が、回転軸18の軸方向(左右方向)に沿って、複数の除草部本体19を備えており、各除草部本体19は、回転軸18の周方向に沿って略放射状に複数配置される引抜片21を、備えて構成されている。そのため、実施形態の除草機1では、走行時に、左右方向に沿って複数配置される除草部本体19を、同時に回転させ、各除草部本体19に形成される引抜片21の回転方向の前方側となる前縁22に草を引っ掛けるようにして、草を引き抜くことができることから、左右に広いエリアの草を略同時に引き抜くことができ、また、各除草部本体19には、放射状に複数の引抜片21が形成されていることから、各除草部本体19によって、効率よく草を引き抜くことができる。また、実施形態の除草機1では、回転除草部17は、外周側をカバー25により覆われており、カバー25において回転除草部17の下方を覆う下側部位27には、引抜片21を下方に突出させるスリット28が形成されている。すなわち、実施形態の除草機1では、回転除草部17における引抜片21のみがスリット28を介してカバー25から露出される構成であり、回転軸18は、カバー25によって外周側を略全面にわたって覆われている。また、スリット28は、開口幅寸法を、引抜片21の厚さ寸法よりわずかに大きく設定されていることから、スリット28の周縁部位と引抜片21との間に大きな隙間が生じ難く、引き抜かれた草がこのスリット28の部位からカバー25内に進入することも、抑制できる。そのため、実施形態の除草機1では、走行時に、回転軸18に草が巻きつくことを、的確に防止することができる。
【0034】
したがって、実施形態の除草機1では、効率よく除草を行うことができ、かつ、メンテナンスも容易である。
【0035】
また、実施形態の除草機1では、除草部本体19が、回転軸18に連結される円板部20と、円板部20の外周縁から部分的に突出するように形成される引抜片21と、を備えて、円板部20の外周縁側となる周縁部位20aを、スリット28から下方に突出させるように、構成していることから、引抜片21間の領域においても、スリット28が、円板部20の周縁部位20aによって、大部分を閉塞されるような態様となり、引き抜かれた草がスリット28の部位からカバー25内に進入することを、極力抑制できる。勿論、このような点を考慮しなければ、円板部として、外周縁側をスリットから突出させないような外径寸法のものを使用してもよく、さらには、除草部本体として、円板部を配置させない構成のものを使用してもよい。しかしながら、スリット28からの草の進入を防止するためには、実施形態の如く、円板部20の周縁部位20aを、スリット28から突出させるように構成することが望ましい。
【0036】
さらに、実施形態の除草機1では、下側部位27の後端近傍に、後上方に延びるような傾斜部位29を、配置させ、引抜片21において、回転方向の前方側となる前縁22を、先端22a側を回転方向の後側に位置させ、元部22b側を回転方向の前側に位置させるように、傾斜させている。すなわち、実施形態の除草機1では、カバー25の下側部位27に形成される傾斜部位29の前側に位置した状態において、引抜片21の回転方向側の前縁22は、元部22b側を傾斜部位29側に位置させるように傾斜している。そのため、回転除草部17の回転時に、引抜片21の前縁22側の部位は、下側部位27の後端近傍において後上がりに傾斜して配置される傾斜部位29に配置されるスリット28の部位に、元部22b側から、順次挿通されるようにして、カバー25内に進入することとなる。そして、引抜片21がこの傾斜部位29に配置されるスリット28の部位に挿通される際に、この傾斜部位29におけるスリット周縁部位29aによって、引抜片21の前縁22側に絡まっている草を押えられ、引抜片21が、元部22b側から、順次草を抜き取られるような態様となって、引抜片21から抜き取られた草が、下方に落下することとなる。そのため、実施形態の除草機1では、走行時に、引抜片21の前縁22側の部位によって引き抜かれた草を、自動的に、引抜片21から抜き取って下方の接地面に落下させることができる。
【0037】
特に、実施形態の除草機では、傾斜部位29の傾斜状態と、引抜片21の前縁22の傾斜状態と、が、引抜片21の前縁22を、元部22b近傍の部位で、傾斜部位29と交差させた状態で、前縁22と傾斜部位29との交差角度を90°程度とするように、設定されている。そのため、引抜片21の前縁22側に絡まっている草を、適度な押圧力で押えることができて、引抜片21の通過時に、スリット周縁部位29aによって、引抜片21から円滑に草を抜き取ることができる。例えば、前縁22と傾斜部位29との交差角度が小さすぎれば、引抜片21が傾斜部位29に到達した際に、スリット周縁部位29aによる押圧力が大きすぎて、多量の草が引抜片21の前縁22側に絡まっている場合に、引抜片21から草を抜き取れない場合が生じ、逆に、前縁22と傾斜部位29との交差角度が大きすぎては、引抜片21が傾斜部位29に到達した際に、スリット周縁部位29aによる押圧力が小さすぎて、引抜片21から草を抜き取れない場合が生じるためである。
【0038】
さらにまた、実施形態の除草機1では、傾斜部位29の後端近傍に、駆動源としてのモータ15により、傾斜部位29の下面側に溜まった草を落下させるように駆動可能な草落下機構32を配設させていることから、仮に、引き抜いた草が、落下せず、傾斜部位29の下面側に溜まることとなっても、この溜まった草を、草落下機構32によって落下させることができる。勿論、このような点を考慮しなければ、除草機に、草落下機構を配設させない構成としてもよい。
【0039】
さらにまた、実施形態の除草機1では、回転除草部17及びカバー25を支持枠部8に対して上下方向の位置を調節可能な位置調節機構36を、配設させていることから、草の生え方や、地面の状態に応じて、回転除草部17、すなわち、引抜片21の上下の位置を微調節することが可能となる。詳細には、実施形態の場合、位置調節機構36により、引抜片21の外壁部13L,13Rからの突出量を調節可能としている。勿論、このような点を考慮しなければ、除草機に、位置調節機構を配設させない構成としてもよい。
【0040】
なお、実施形態では、車輪をモータに連結させず、手動で前進移動させる構成の除草機を例に採り説明しているが、本発明を適用可能な除草機は、これに限られるものではなく、例えば、実施形態の除草機の車輪をモータに連結させて、モータを用いて車輪を駆動させるような半自走式としてもよく、さらには、
図8に示すように、別途自走手段を有する自走式の除草機1Aにも、本発明の除草機を適用できる。