【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、複数の有機EL発光パネルが面状に広がりをもって敷設されて1つの発光平面を形成する有機EL発光システムにおいて、前記有機EL発光パネルは、基材上に、2層の電極層と、前記2層の電極層に有機発光層が挟まれた断面構造を備えるものであり、以下の(1)又は(2)の条件を満たすことを特徴とする有機EL発光システムである。
(1)各有機EL発光パネルに定格電流を流した場合に、前記発光平面を形成する有機EL発光パネルのうち、最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が500K以下であり、各有機EL発光パネルに定格電流の1/20の電流を流した場合に、最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が700K以上である。
(2)各有機EL発光パネルに定格電流を流した場合に、前記発光平面を形成する有機EL発光パネルのうち、最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が700K以上であり、各有機EL発光パネルに定格電流の1/20の電流を流した場合に、最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が500K以下である。
【0011】
ここでいう「有機EL発光パネル」とは、2つの電極と有機発光層を備えた有機ELパネルのことであり、タンデム構造(多層構造)の有機ELパネルを含み、さらに、パッシブマトリクス駆動方式やアクティブマトリクス駆動方式が可能な有機ELマトリクスを含む概念である。
ここでいう「色温度」とは、青紫光と赤色光の相対的な強さであり、黒体軌跡上の点である色温度だけではなく、黒体軌跡上の点の近傍の点を表す相関色温度も含む。
ここでいう「定格電流」とは、有機EL発光パネルの使用を保証し得る駆動電流の最大値であり、設計仕様の項目の一つである。そのため、たとえ定格電流以上の電流が一瞬有機EL発光パネルに流れたとしても、有機EL発光パネルを破壊してしまうほどの高い電流値でない限り、使用上の問題はない。
一般的には、照明装置として使用される光源は、輝度が比較的に高輝度(例えば、3000cd/m
2)となるように定格電流を設定する場合が多いが、有機EL装置は、高輝度に合わせて設定する場合の他に、同様の有機EL装置を使用した場合でも、低輝度(例えば、100cd/m
2)の場合に合わせて定格電流を規定する場合もある。すなわち、定格電流が変動すると、定格電流の1/20の電流も同様に変動する。
例えば、3000cd/m
2に合わせて設定した定格電流の値がAとすると、定格電流の1/20の電流の値は、A/20とすることとなる。また、例えば、100cd/m
2に合わせて設定した定格電流の値がBとすると、定格電流の1/20の電流の値は、B/20とすることとなる。
本発明において、定格電流における、好ましいシステム全体の平均色温度は2000K以上4000K以下であり、より好ましくは2500K以上3500K以下である。この範囲で発光色の見え方の違いは大きく、装飾効果が高い。
本発明において、定格電流における、好ましいシステム全体の平均輝度は2000cd/m
2以上4000cd/m
2以下であり、より好ましくは2500cd/m
2以上3500cd/m
2以下である。この範囲での輝度とその1/20以下の電流での輝度との差が、照明としての発光色の見え方の違いが鮮やかに視認される差であり、装飾効果が高い。
【0012】
本発明の構成によれば、上記した(1)又は(2)の条件を具備している。
以下、各条件について説明する。
(1)の条件の構成によると、各有機EL発光パネルに定格電流を流した場合(高輝度状態)に、前記発光平面を形成する有機EL発光パネルのうち、最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が500K以下である。すなわち、定格電流を流した場合には色温度差(青紫光と赤色光の比率の差)が小さいため、有機EL発光パネル間の発光色の見え方の違い(濃淡差)が小さく、通常の照明と同様、発光平面を形成する全ての有機EL発光パネルがほぼ同色の色に発光しているように見える。
また、(1)の条件の構成によれば、各有機EL発光パネルに定格電流の1/20の電流を流した場合(定格電流の場合に比べて低輝度状態)に、最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が700K以上である。すなわち、各有機EL発光パネルに定格電流の1/20の電流を流した場合には、色温度差(青紫光と赤色光の比率の差)が大きいため、有機EL発光パネル間の発光色の見え方の違い(濃淡差)が大きく、有機EL発光パネル間で発光色の濃淡が明確にでる。言い換えると、所定の有機EL発光パネルは、他の有機EL発光パネルに対して青紫光又は赤色光の強度が強く出る。
(2)の条件の構成によれば、各有機EL発光パネルに定格電流を流した場合に、前記発光平面を形成する有機EL発光パネルのうち、最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が700K以上である。すなわち、各有機EL発光パネルに定格電流を流した場合には、色温度差(青紫光と赤色光の比率の差)が大きいため、有機EL発光パネル間の発光色の見え方の違い(濃淡差)が大きく、有機EL発光パネル間で発光色の濃淡が明確にでる。言い換えると、所定の有機EL発光パネルは、他の有機EL発光パネルに対して青紫光又は赤色光の強度が強く出る。
また、(2)の条件の構成によると、各有機EL発光パネルに定格電流の1/20の電流を流した場合に、最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が500K以下である。すなわち、定格電流の1/20の電流を流した場合には色温度差(青紫光と赤色光の比率の差)が小さいため、有機EL発光パネル間の発光色の見え方の違い(濃淡差)が小さく、通常の照明と同様、発光平面を形成する全ての有機EL発光パネルがほぼ同色の色に発光しているように見える。
以上のように、本発明の構成によれば、電流値の違いによって、使用者からの見え方が異なり、例えば、各電流値における見え方の違いを利用して模様等を形成することで、当該模様等が浮き上がっているかのように使用者に印象づけることができる。
【0013】
ところで、上記したように、有機EL発光パネル(有機EL装置)は、電気的に励起された電子と正孔との再結合のエネルギーによって発光するため、電流密度によって、電子と正孔の結合位置が異なり、配線構造によっては、同一種類のパネル間であっても色調が異なる場合がある。同一種類のパネル間であまりにも色調が異なり過ぎると、ベースとなる模様等が崩れてしまい、所望の装飾効果が得られない可能性がある。
【0014】
そこで、請求項2に記載の発明は、色調の電流依存性が相違する複数種類の有機EL発光パネルから形成されるものであって、当該複数種類の有機EL発光パネルのうち、少なくとも1種類の有機EL発光パネルは、2枚以上存在し、当該2枚以上の有機EL発光パネル間における最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が、定格電流を流した場合及び定格電流の1/20の電流を流した場合において、ともに500K以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL発光システムである。
【0015】
ここでいう「色調の電流依存性」とは、供給する電流によってコントラスト比や色の見え方が異なる性質のことをいう。
【0016】
本発明の構成によれば、少なくとも1種類の有機EL発光パネル間における最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が、定格電流を流した場合に500K以下であって、かつ、定格電流の1/20の電流を流した場合においても500K以下である。すなわち、定格電流を流した場合及び定格電流の1/20の電流を流した場合において、同一種類の有機EL発光パネル間の色温度の差が小さく、発光色の見え方の違いが小さい。そのため、他の種類の有機EL発光パネルとの組み合わせにより、模様等をはっきりと形成することができ、装飾効果が大きい。
【0017】
ところで、有機EL発光システムを一般照明として機能させるためには、全面がほぼ同じ色調で発光する通常状態を具備していることが好ましく、当該通常状態と、面内で色調が分布し装飾として機能する状態を切り替えられることが好ましい。
【0018】
そこで、請求項3に記載の発明は、色調の電流依存性が相違する複数種類の有機EL発光パネルから形成されるものであって、少なくとも同一種類の有機EL発光パネルを2以上有する有機EL発光システムであって、各有機EL発光パネルに定格電流を流した場合において、前記発光平面を形成する有機EL発光パネルのうち、最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が500K以下であり、当該複数種類の有機EL発光パネルのうち、少なくとも1種類の有機EL発光パネルは、2枚以上存在し、当該2枚以上の有機EL発光パネル間における最大色温度を有する有機EL発光パネルと最小色温度を有する有機EL発光パネルとの間の色温度の差が500K以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL発光システムである。
【0019】
本発明の構成によれば、各有機EL発光パネルに定格電流を流した場合において、前記発光平面を形成する有機EL発光パネルの色温度の差が500K以下であり、少なくとも1種類の有機EL発光パネルの色温度の差も500K以下である。すなわち、定格電流を流した場合において、発光平面全体がほぼ単色となり、同一色に見える。そのため、全面がほぼ同じ色温度で発光する全灯状態と、有機EL発光パネル間で色温度が分布し装飾として機能する状態を切り替えられることができる。それ故に、定格電流の1/20の電流を流した場合(低輝度状態)において現れる図面等が定格電流を流した場合(高輝度状態)において、図面等が消えて、あたかも魔鏡のような装飾効果を得ることができる。
【0020】
請求項1乃至3のいずれかに記載の有機EL発光システムにおいて、定格電流を流した場合における発光平面内の有機EL発光パネル間の色温度の差と、定格電流値の1/20の電流を流した場合における発光平面内の有機EL発光パネル間の色温度の差を利用して、図形、模様、文字の群から選ばれる少なくとも1種を表示することが好ましい(請求項4)。