特許第6012502号(P6012502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日野自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6012502-エンジン模擬試験方法 図000002
  • 特許6012502-エンジン模擬試験方法 図000003
  • 特許6012502-エンジン模擬試験方法 図000004
  • 特許6012502-エンジン模擬試験方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012502
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】エンジン模擬試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 15/00 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   G01M15/00
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-29717(P2013-29717)
(22)【出願日】2013年2月19日
(65)【公開番号】特開2014-159966(P2014-159966A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田上 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】浦野 保則
(72)【発明者】
【氏名】星谷 賢介
【審査官】 北川 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−186377(JP,A)
【文献】 特開昭56−007035(JP,A)
【文献】 特開2004−340878(JP,A)
【文献】 特開昭61−116636(JP,A)
【文献】 特開昭56−064636(JP,A)
【文献】 特開2007−285931(JP,A)
【文献】 特開昭57−160042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 15/00
G01M 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台上ベンチに載せたエンジンの出力軸を動力計と連結し、該動力計により前記エンジンに走行時の負荷条件を与えながらアクセル開度を制御して実車の走行状態を模擬するエンジン模擬試験方法であって、実車から得られた時系列の目標車速データを元に車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して車両の走行抵抗を算出し、その算出された走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データ通りに車速が再現されるようにアクセル開度を制御した時のトルクの推移を第一トルク推移として求める一方、前記目標車速データの計測時に併せてエンジンの回転数とアクセル開度を計測しておき、これら目標車速データの計測時におけるエンジンの回転数とアクセル開度が同時に再現されるようにアクセル開度を制御し且つ動力計により負荷条件を制御した時のトルクの推移を第二トルク推移として求め、この第二トルク推移と前記第一トルク推移とを比較して差分を求め、そのトルク推移の差分を補正負荷分として走行抵抗の差分に置き換え、この走行抵抗の差分を前記目標車速データを元に算出した走行抵抗に加算して実車相当の走行抵抗に補正し、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データの車速が再現されるようにアクセル開度を制御することを特徴とするエンジン模擬試験方法。
【請求項2】
前記目標車速データを元に別の車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して車型違いの場合の走行抵抗を算出し、その算出された走行抵抗に前記補正負荷分を加算して車型違いの場合についての実車相当の走行抵抗を求め、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データの車速が再現されるようにアクセル開度を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジン模擬試験方法。
【請求項3】
第二トルク推移と第一トルク推移との差分を補正負荷分として走行抵抗の差分に置き換えるにあたり、走行している任意の区間毎に走行抵抗の差分に平均処理を施して平滑化することを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン模擬試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実車での運転状態を模擬的に再現しながらエンジンの性能及び信頼性試験を実施するためのエンジン模擬試験方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のエンジンを開発する場合には、該エンジンを搭載した試験車両を実際に走行させて試験を行う替わりに、エンジンを台上ベンチに載せて実車での運転状態を模擬的に再現しながら性能及び信頼性試験を実施することが行われており、開発されたエンジンが所定の性能を備えているかどうかを効率良く評価できるようにしている。
【0003】
図4は台上ベンチでエンジンの性能及び信頼性試験を実施するための台上試験装置の一例を示すもので、図4中における符号の1は台上ベンチ(図示省略)に載せられたエンジン、2は該エンジン1の出力軸1aを接続されて実車の負荷条件を再現するように前記エンジン1のトルクを制御する動力計、3は前記エンジン1の運転状態を制御するエンジン制御装置、4は該エンジン制御装置3にアクセル開度の情報を与えるアクセル開度センサ、5は該アクセル開度センサ4を運転者のアクセルペダル操作に替えて操作するアクチュエータ、6は該アクチュエータ5及び前記動力計2の作動を制御し且つ該動力計2で検出された前記エンジン1のトルクの情報を取り込む模擬運転制御装置である。
【0004】
而して、実車から得られた時系列の目標車速データを元に模擬運転制御装置6にて車両の走行抵抗を算出し、これを動力計2の負荷とエンジン1の回転数とに置き換えてアクチュエータ5及び前記動力計2の作動を制御すると、該動力計2により負荷条件がエンジン1に与えられる一方、前記アクチュエータ5によりアクセル開度センサ4が操作されてエンジン制御装置3により燃料噴射量が制御され、目標車速に対応したエンジン1の運転状態が模擬されることになる。
【0005】
尚、この種の模擬運転制御装置に関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−285931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、実車から得られた時系列の目標車速データを元に模擬運転制御装置6にて車両の走行抵抗を算出するにあたり、正確な積載状況や路面勾配等の計測データまでは測定できていない場合が多く、積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して車両の走行抵抗を算出するようにしていたため、模擬運転制御装置6で算出された走行抵抗と実車での走行抵抗との間に乖離が生じ、台上試験装置にて実車の車速を目標に走行しても、アクセル開度に差が生じる結果となり、実車の走行状態を正確に再現することが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、実車の走行状態を正確に再現し得るエンジン模擬試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、台上ベンチに載せたエンジンの出力軸を動力計と連結し、該動力計により前記エンジンに走行時の負荷条件を与えながらアクセル開度を制御して実車の走行状態を模擬するエンジン模擬試験方法であって、実車から得られた時系列の目標車速データを元に車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して車両の走行抵抗を算出し、その算出された走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データ通りに車速が再現されるようにアクセル開度を制御した時のトルクの推移を第一トルク推移として求める一方、前記目標車速データの計測時に併せてエンジンの回転数とアクセル開度を計測しておき、これら目標車速データの計測時におけるエンジンの回転数とアクセル開度が同時に再現されるようにアクセル開度を制御し且つ動力計により負荷条件を制御した時のトルクの推移を第二トルク推移として求め、この第二トルク推移と前記第一トルク推移とを比較して差分を求め、そのトルク推移の差分を補正負荷分として走行抵抗の差分に置き換え、この走行抵抗の差分を前記目標車速データを元に算出した走行抵抗に加算して実車相当の走行抵抗に補正し、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データの車速が再現されるようにアクセル開度を制御することを特徴とするものである。
【0010】
而して、実車から得られた時系列の目標車速データを元に車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して車両の走行抵抗を算出し、その算出された走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データ通りに車速が再現されるようにアクセル開度を制御すると、実車と同じ走行抵抗が得られていないことからエンジンに対し実車と同じ負荷条件を与えることができず、前記目標車速データ通りに車速を再現しても、アクセル開度が実車の場合と異なり、この時に計測されるトルクの推移(第一トルク推移)は、実車の負荷条件に対応したものとはならないが、前記目標車速データの計測時に併せて計測されていたエンジンの回転数とアクセル開度が同時に再現されるようにアクセル開度を制御し且つ動力計により負荷条件を制御すれば、その時に計測されるトルクの推移(第二トルク推移)が実車の負荷条件に対応したものとなる。
【0011】
このため、第二トルク推移と第一トルク推移とを比較して差分を求め、そのトルク推移の差分を補正負荷分として走行抵抗の差分に置き換え、この走行抵抗の差分を前記目標車速データを元に算出した走行抵抗に加算すれば、この走行抵抗は実車の負荷条件に対応したものとなり、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データの車速が再現されるようにアクセル開度を制御すれば、実車の走行状態が正確に再現されることになる。
【0012】
更に、本発明においては、前記目標車速データを元に別の車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して車型違いの場合の走行抵抗を算出し、その算出された走行抵抗に前記補正負荷分を加算して車型違いの場合についての実車相当の走行抵抗を求め、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データの車速が再現されるようにアクセル開度を制御することも可能である。
【0013】
即ち、先に求めた補正負荷分には、積荷重量の変化と路面勾配が大きく寄与しており、同じ道路を同じ運行条件(積荷重量の変化)で走行する限り、大きく変化することなく同じように加わる負荷分であると考えられるので、車型違いの場合であっても、その車型に応じた車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して算出した走行抵抗に加算すれば、同じ道路を同じ運行条件(積荷重量の変化)で走行した時の実車相当の走行抵抗が求められ、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データの車速が再現されるようにアクセル開度を制御すれば、車型違いの場合における実車の走行状態が正確に再現されることになる。
【0014】
また、本発明においては、第二トルク推移と第一トルク推移との差分を補正負荷分として走行抵抗の差分に置き換えるにあたり、走行している任意の区間毎に走行抵抗の差分に平均処理を施して平滑化しておくことが好ましく、このようにすれば、極端な負荷変動を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
上記した本発明のエンジン模擬試験方法によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0016】
(I)正確な積載状況や路面勾配等の計測データが測定できていなくても、実車から得られた時系列の目標車速データを元に不明な車両諸元情報を仮値として算出した走行抵抗を実車相当の走行抵抗に補正することができるので、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データの車速が再現されるようにアクセル開度を制御することにより実車の走行状態を正確に再現することができる。
【0017】
(II)前記目標車速データを元に別の車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して車型違いの場合の走行抵抗を算出し、その算出された走行抵抗に前記補正負荷分を加算して車型違いの場合についての実車相当の走行抵抗を求め、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計によりエンジンに与えながら前記目標車速データの車速が再現されるようにアクセル開度を制御すれば、車型違いの場合における実車の走行状態を正確に再現することができ、車両諸元情報の変更点の性能及び信頼性への影響を確認することができる。
【0018】
(III)第二トルク推移と第一トルク推移との差分を補正負荷分として走行抵抗の差分に置き換えるにあたり、走行している任意の区間毎に走行抵抗の差分に平均処理を施して平滑化しておくようにすれば、極端な負荷変動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に用いられる目標車速データの一例を概略的に示すグラフである。
図2】第一トルク推移と第二トルク推移について示すグラフである。
図3】計算して求めた走行抵抗と実車相当の走行抵抗を示すグラフである。
図4】台上試験装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1図3は本発明を実施する形態の一例を示すもので、本発明のエンジン模擬試験方法を実施するために用いられる台上試験装置については、先に背景技術の説明に用いた図4の構成のものと特に変わるところがないため、本形態例の説明においても、台上試験装置の各構成要素に関連して述べた部分については図4を参照することとする。
【0022】
先ず、本形態例では、台上ベンチに載せたエンジン1の出力軸1aを動力計2と連結し、該動力計2により前記エンジン1に走行時の負荷条件を与えながらアクセル開度を制御して実車の走行状態を模擬するに際し、模擬運転制御装置6において、実車から得られた時系列の目標車速データS1図1参照)を元に車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して車両の走行抵抗を算出する。
【0023】
ここで、目標車速データS1を元に車両の走行抵抗を算出するにあたっては、例えば、下記の式(1)に示されるような一般的な走行抵抗演算式を使用すれば良く、不明な車両諸元情報については仮値を代入して計算すれば良い。
【0024】
尚、ここでは説明を判り易くする観点から比較的シンプルな走行抵抗演算式を用いた場合で例示しているが、エンジントルクマップやトランスミッションの変速位置情報等を加味して更に複雑な走行抵抗演算式を用いることも可能である。
[数1]
F(走行抵抗)=Ra+Rc+Rr+Re…(1)

Ra(空気抵抗)=λSV2
λ:空気抵抗係数(仮値)
S:車両前面投影面積(仮値)
V:車速(目標車速データS1の時系列値)
Rc(加速抵抗)=b/g(W+ΔW)
b:車両加速度(車速Vから求めた加速度)
g:重力加速度(定数)
W:車両総重量(カタログ値)
ΔW:回転部慣性重量=空車重量×0.07(仮値)
Rr(ころがり抵抗)=Wμ
μ:タイヤ摩擦抵抗係数
Re(勾配抵抗)=W・sinθ(ここでは0として計算)
θ:勾配角度
【0025】
そして、この式(1)により算出された走行抵抗を負荷条件として動力計2によりエンジン1に与えながら前記目標車速データS1通りに車速S2図1参照)が再現されるようにアクチュエータ5によりアクセル開度センサ4を操作してアクセル開度を制御し、この時のトルクの推移を第一トルク推移T1図2参照)として模擬運転制御装置6に記録しておく。
【0026】
一方、前記目標車速データS1の計測時に併せてエンジン1の回転数とアクセル開度を計測しておき、これら目標車速データS1の計測時におけるエンジン1の回転数とアクセル開度が同時に再現されるようにアクセル開度をアクチュエータ5によりアクセル開度センサ4を介して制御し且つ動力計2により負荷条件を制御した時のトルクの推移を第二トルク推移T2図2参照)として模擬運転制御装置6に記録する。
【0027】
そして、前記模擬運転制御装置6内において、第二トルク推移T2と第一トルク推移T1とを比較して差分を求め、そのトルク推移の差分を補正負荷分として走行抵抗の差分に置き換え、図3に示す如く、この走行抵抗の差分を前記目標車速データS1を元に算出した走行抵抗F1に加算して実車相当の走行抵抗F2に補正し、この実車相当の走行抵抗F2を負荷条件として動力計2によりエンジン1に与えながら前記目標車速データS1の車速が再現されるようにアクセル開度を制御する。
【0028】
尚、第二トルク推移T2と第一トルク推移T1との差分を補正負荷分として走行抵抗の差分に置き換えるにあたっては、走行している任意の区間毎に走行抵抗の差分に平均処理を施して平滑化しておくことが好ましく、このようにすれば、極端な負荷変動を抑えることが可能となる。
【0029】
而して、前述したように、実車から得られた時系列の目標車速データS1を元に車両の走行抵抗F1を不明な車両諸元情報を仮値として算出し、その算出された走行抵抗F1を負荷条件として動力計2によりエンジン1に与えながら前記目標車速データS1通りに車速S2が再現されるようにアクセル開度を制御すると、実車と同じ走行抵抗が得られていないことからエンジン1に対し実車と同じ負荷条件を与えることができず、前記目標車速データS1通りに車速S2を再現しても、アクセル開度が実車の場合と異なり、この時に計測されるトルクの推移(第一トルク推移T1)は、実車の負荷条件に対応したものとはならないが、前記目標車速データS1の計測時に併せて計測されていたエンジン1の回転数とアクセル開度が同時に再現されるようにアクセル開度をアクチュエータ5によりアクセル開度センサ4を介して制御し且つ動力計2により負荷条件を制御すれば、その時に計測されるトルクの推移(第二トルク推移T2)が実車の負荷条件に対応したものとなる。
【0030】
このため、第二トルク推移T2と第一トルク推移T1とを比較して差分を求め、そのトルク推移の差分を補正負荷分として走行抵抗の差分に置き換え、この走行抵抗の差分を前記目標車速データS1を元に算出した走行抵抗F1に加算すれば、その走行抵抗の差分を加算された走行抵抗F2は実車の負荷条件に対応したものとなり、この実車相当の走行抵抗F2を負荷条件として動力計2によりエンジン1に与えながら前記目標車速データS1の車速が再現されるようにアクセル開度を制御すれば、実車の走行状態が正確に再現されることになる。
【0031】
従って、上記形態例によれば、正確な積載状況や路面勾配等の計測データが測定できていなくても、実車から得られた時系列の目標車速データS1を元に不明な車両諸元情報を仮値として算出した走行抵抗F1を実車相当の走行抵抗F2に補正することができるので、この実車相当の走行抵抗F2を負荷条件として動力計2によりエンジン1に与えながら前記目標車速データS1の車速が再現されるようにアクセル開度を制御することにより実車の走行状態を正確に再現することができる。
【0032】
また、本形態例においては、前記目標車速データS1を元に別の車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して車型違いの場合の走行抵抗を算出し、その算出された走行抵抗に前記補正負荷分を加算して車型違いの場合についての実車相当の走行抵抗を求め、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計2によりエンジン1に与えながら前記目標車速データS1の車速が再現されるようにアクセル開度を制御することも可能である。
【0033】
即ち、先に求めた補正負荷分には、積荷重量の変化と路面勾配が大きく寄与しており、同じ道路を同じ運行条件(積荷重量の変化)で走行する限り、大きく変化することなく同じように加わる負荷分であると考えられるので、車型違いの場合であっても、その車型に応じた車両諸元情報を使用し且つ積荷重量の変化と路面勾配が無いものと仮定して算出した走行抵抗に加算すれば、同じ道路を同じ運行条件(積荷重量の変化)で走行した時の実車相当の走行抵抗が求められ、この実車相当の走行抵抗を負荷条件として動力計2によりエンジン1に与えながら前記目標車速データS1の車速が再現されるようにアクセル開度を制御すれば、車型違いの場合における実車の走行状態を正確に再現することができ、車両諸元情報の変更点の性能及び信頼性への影響を確認することができる。
【0034】
尚、本発明のエンジン模擬試験方法は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
1 エンジン
1a 出力軸
2 動力計
3 エンジン制御装置
4 アクセル開度センサ
5 アクチュエータ
6 模擬運転制御装置
図1
図2
図3
図4