特許第6012572号(P6012572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012572
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】過給機
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/16 20060101AFI20161011BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   F02B39/16 Z
   F02B39/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-198637(P2013-198637)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-63955(P2015-63955A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】荒川 広之
【審査官】 稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−033704(JP,U)
【文献】 特開昭52−072915(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0095796(US,A1)
【文献】 特開平10−110622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/16
F02B 39/00
F04D 29/42
F04D 29/42
F16J 12/00
F17C 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮するためのインペラと、
前記インペラを収容し前記空気を案内するための空気案内筒と、
前記空気案内筒の周りに巻かれた少なくとも1本のワイヤロープと、
を有し、
前記インペラの軸方向における少なくとも一部の範囲において、
前記少なくとも1本のワイヤロープが前記インペラの半径方向に積み重なる高さは、前記空気案内筒内を前記空気が流れる方向において上流側に向かうにつれて高くなる過給機。
【請求項2】
前記空気案内筒を通過した前記空気を外部へ案内するためのスクロール室を形成するスクロール室フレームを更に備え、
前記少なくとも1本のワイヤロープの少なくとも一部は、前記空気案内筒と前記スクロール室フレームとの間に設けられる請求項1に記載の過給機。
【請求項3】
前記少なくとも1本のワイヤロープの前記少なくとも一部は、前記インペラの軸方向において前記インペラの翼の存在範囲内に位置する請求項2に記載の過給機。
【請求項4】
前記インペラの軸方向における前記インペラの翼の存在範囲のうちの少なくとも一部の範囲において、
前記少なくとも1本のワイヤロープが前記インペラの半径方向に積み重なる高さは、前記空気案内筒内を前記空気が流れる方向において上流側に向かうにつれて高くなる請求項3に記載の過給機。
【請求項5】
前記少なくとも1本のワイヤロープの一端部と他端部とをかしめる少なくとも1つのかしめ部材を更に有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の過給機。
【請求項6】
前記ワイヤロープは複数本設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に用いられる過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関に供給する空気を圧縮するための過給機として、空気を圧縮するためのインペラと、インペラを収容し空気を案内するための空気案内筒とを有するものが用いられている。
特許文献1に記載の過給機には、インペラの一部がバーストして外方に飛散した際に、ジャーナル軸受を潤滑するための潤滑油のヘッドタンクが破損してオイル漏れが発生しないように、コンプレッサのディフューザとヘッドタンクとの間に衝撃吸収隔壁が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−132465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、インペラが破断してもインペラ破片が過給機の外部に飛散しないように、インペラを過給機の内部に格納した状態を維持する性能(インペラの格納性)が過給機に対して求められている。
この点に関し、特許文献1には、上述のようにインペラの一部が飛散した際に、過給機の内部で潤滑油ヘッドタンクを破損させないための構成は記載されているものの、インペラ破片が過給機の外部に飛散しないように、インペラを過給機の内部に格納した状態を維持するための構成については開示されていない。
【0005】
本発明の幾つかの実施形態の目的は、インペラの破断時にインペラ破片が過給機の外部へ飛散することを効果的に抑制し、インペラを過給機の内部に格納した状態をより確実に維持できる過給機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの実施形態に係る過給機は、
(1)空気を圧縮するためのインペラと、
前記インペラを収容し前記空気を案内するための空気案内筒と、
前記空気案内筒の周りに巻かれた少なくとも1本のワイヤロープと、
を有する。
【0007】
過給機においてインペラが破断した場合に、インペラ破片がインペラの半径方向外側に向かって飛散して、空気案内筒を突き破ってしまう可能性がある。
この点に関し、上記(1)に記載の過給機においては、インペラ破片が飛散して空気案内筒を突き破ったとしても、インペラ破片は空気案内筒の周りに巻かれた少なくとも1本のワイヤロープに衝突する。ワイヤロープは、複数のワイヤを縒って形成されているため、インペラ破片の衝突時にワイヤロープ自体の変形によってインペラ破片の運動エネルギーを効果的に吸収して、インペラ破片を受け止めることができる。したがって、インペラの破断時にインペラ破片が過給機の外部へ飛散することを効果的に抑制し、インペラを過給機の内部に格納した状態をより確実に維持することができる(インペラの格納性を向上することができる)。
また、上記(1)に記載の過給機の構成は、既存の過給機に対してインペラを収容する空気案内筒の周りに少なくとも1本のワイヤロープを巻くことで実現しうる。すなわち、あらたに全ての構成を調達せずとも、既存の過給機に対して付加的に少なくとも1本のワイヤロープを設ければ製造できるという生産容易性の観点でのメリットもある。
【0008】
幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の過給機において、
(2)前記空気案内筒を通過した空気を外部へ案内するためのスクロール室を形成するスクロール室フレームを更に備え、
前記少なくとも1本のワイヤロープの少なくとも一部は、前記空気案内筒と前記スクロール室フレームとの間に設けられる。
【0009】
従来の過給機において空気案内筒とスクロール室フレームとの間にはデッドスペースが存在しており、このデッドスペースは十分に活用されていなかった。これに対し、上記(2)に記載の過給機によれば、少なくとも1本のワイヤロープの少なくとも一部をこのデッドスペースに設けることにより、過給機の空気案内筒を肉厚化することなく、インペラ破片が過給機の外部に飛散することを効果的に抑制することができる。
【0010】
幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の過給機において、
(3)前記少なくとも1本のワイヤロープの前記少なくとも一部は、前記インペラの軸方向において前記インペラの翼の存在範囲内に位置する。
【0011】
上記(3)に記載の過給機によれば、インペラが破断した際にインペラ破片が飛散する可能性が高い位置にワイヤロープが位置するため、ワイヤロープによってインペラ破片を効果的に受け止めることができる。
【0012】
幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の過給機において、
(4)前記インペラの軸方向における前記インペラの翼の存在範囲のうちの少なくとも一部の範囲において、
前記少なくとも1本のワイヤロープが前記インペラの半径方向に積み重なる高さは、前記空気案内筒内を前記空気が流れる方向において上流側に向かうにつれて高くなる。
【0013】
インペラの翼高さは、空気案内筒内を空気が流れる方向において上流側に向かうにつれて高くなる。そこで、インペラの翼高さに応じた空気案内筒の損傷予測に基づいて、インペラの半径方向にワイヤロープが積み重なる高さ(空気案内筒の表面からインペラの半径方向におけるワイヤロープの外端までの距離、或いはインペラの半径方向へのワイヤロープの巻き数)を調節することで、インペラ破片が過給機外部に飛散することを効率的に抑制することができる。
【0014】
幾つかの実施形態では、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の過給機において、
(5)前記少なくとも1本のワイヤロープの一端部と他端部とをかしめる少なくとも1つのかしめ部材を更に有する。
【0015】
上記(5)に記載の過給機によれば、簡易な構成でワイヤロープを空気案内筒の周りに設置することができる。したがって、インペラが破断した場合であっても、インペラを過給機の内部に格納した状態を、簡易な構成でより確実に維持することができる。
【0016】
幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の過給機において、
(6)前記ワイヤロープは複数本設けられている。
【0017】
空気案内筒の周りに巻かれた1本のワイヤロープが切断された場合、当該ワイヤロープの張力が減少し、当該ワイヤロープによって吸収可能なインペラ破片の運動エネルギーが減少してしまう。
これに対し、上記(6)に記載の過給機によれば、インペラ破片の衝突によって1本のワイヤロープが切断されたとしても、切断されたワイヤロープとは別のワイヤロープの張力は維持される。すなわち、1本のワイヤロープが切断されたとしても、他のワイヤロープによってインペラ破片の運動エネルギーを効果的に吸収することができる。したがって、インペラの破断時にインペラ破片が過給機の外部へ飛散することを効果的に抑制し、インペラを過給機の内部に格納した状態をより確実に維持することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の幾つかの実施形態によれば、インペラの破断時にインペラ破片が過給機の外部へ飛散することを効果的に抑制し、インペラを過給機の内部に格納した状態をより確実に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】幾つかの実施形態に係る内燃機関システムの全体構成を示す概略図である。
図2】幾つかの実施形態に係る過給機の一部を示す概略断面図である。
図3】幾つかの実施形態に係るワイヤロープの構造を示す図である。
図4】幾つかの実施形態に係るかしめ部材の構造を示す図である。
図5】幾つかの実施形態に係る過給機の一部を示す概略断面図である
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】
図1は、幾つかの実施形態に係る内燃機関システム100の全体構成を示す概略図である。図1に示す内燃機関システム100は、内燃機関2と、内燃機関2への吸気を加圧する過給機4と、過給機4が有するタービン6によって駆動される発電機8とを備える。
【0022】
図1に示す過給機4は、内燃機関2への吸気を加圧する遠心式のコンプレッサ10と、コンプレッサ10と回転軸12を介して連結され内燃機関2の排気により駆動されるタービン6とを備えている。
図1に示す過給機4では、このように、内燃機関2の排気により駆動されるタービン6によってコンプレッサ10を駆動する排気タービン式の過給機(所謂ターボチャージャ)を用いている。他の実施形態に係る過給機4では、内燃機関2の出力軸からベルト等を介して取り出した動力によってコンプレッサ10を駆動する機械式の過給機(所謂スーパーチャージャ)を用いてもよい。また、内燃機関2としては、例えばディーゼルエンジンやガソリンエンジン等を適宜選択することができる。
【0023】
次に、過給機4の具体的構成例について図2を用いて以下に説明する。
【0024】
図2は、幾つかの実施形態に係る過給機4の一部を示す概略断面図である。図2に示すコンプレッサ10は、空気を圧縮するためのインペラ14と、インペラ14を収容し空気を案内するための空気案内筒16と、空気案内筒16の周りに巻かれたワイヤロープ18と、を含む。インペラ14は、ハブ19とハブの周りに設けられた複数の翼20とを含む。
【0025】
過給機4においてインペラ14が破断した場合に、インペラ破片(例えばインペラ14の翼20の一部)がインペラ14の半径方向外側に向かって飛散して、空気案内筒16を突き破ってしまう可能性がある。
【0026】
この点に関し、図2に示す過給機4の空気案内筒16の周りにはワイヤロープ18が巻かれているため、インペラ破片が飛散して空気案内筒16を突き破ったとしても、インペラ破片は空気案内筒16の周りに巻かれたワイヤロープ18に衝突する。ワイヤロープ18は、複数のワイヤ22を縒って形成されている(図3参照)ため、インペラ破片の衝突時にワイヤロープ18自体の変形によってインペラ破片の運動エネルギーを効果的に吸収して、インペラ破片を受け止めることができる。したがって、インペラ14の破断時にインペラ破片が過給機4の外部へ飛散することを効果的に抑制し、インペラ14を過給機4の内部に格納した状態をより確実に維持することができる(インペラ14の格納性を向上することができる)。
【0027】
なお、ワイヤロープ18の材料は、必要な強度に応じて適宜選択すればよく、例えばステンレス等を用いればよい。ワイヤロープ18の太さも、必要な強度に応じて適宜選択すればよく、例えば直径1〜24mm程度のものを用いてもよい。ただし、ワイヤロープ18の材料及び太さはこれに限らない。
【0028】
図2に例示する実施形態では、過給機4は、空気案内筒16を通過した空気を外部へ案内するためのスクロール室24を形成するスクロール室フレーム25を更に備え、ワイヤロープ18の少なくとも一部は、空気案内筒16とスクロール室フレーム25との間に設けられている。
【0029】
従来の過給機4において空気案内筒16とスクロール室フレーム25との間にはデッドスペースが存在しており、このデッドスペースは十分に活用されていなかった。これに対し、ワイヤロープ18の少なくとも一部をこのデッドスペースに設けることにより、過給機4の空気案内筒16を肉厚化することなく、インペラ破片が過給機4の外部に飛散することを効果的に抑制することができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、図2に示すように、ワイヤロープ18の少なくとも一部は、インペラ14の軸方向(回転軸12の軸線方向)においてインペラ14の翼20の存在範囲W内に位置する。
【0031】
このように、インペラ14が破断した際にインペラ破片が飛散する可能性が高い位置にワイヤロープ18が位置するため、ワイヤロープ18によってインペラ破片を効果的に受け止めることができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、図2に示すように、インペラ14の軸方向におけるインペラ14の翼20の存在範囲Wのうちの少なくとも一部の範囲において、ワイヤロープ18がインペラ14の半径方向に積み重なる高さ(空気案内筒16の表面からインペラ14の半径方向におけるワイヤロープ18の外端までの距離)は、空気案内筒16内を空気が流れる方向において上流側に向かうにつれて高くなる。
【0033】
インペラ14の翼20の高さは、空気案内筒16内を空気が流れる方向において上流側に向かうにつれて高くなる。よって、インペラ14の軸方向におけるインペラ14の翼20の存在範囲Wにおいては、空気案内筒16内を空気が流れる方向Pにおいて上流側に向かうにつれて、インペラ14が破断した際に発生するインペラ破片が大きくなる可能性が高い。
【0034】
したがって、インペラ14の半径方向にワイヤロープ18が積み重なる高さを上記のようにリスクに応じた高さに設定することで、ワイヤロープ18を必要以上に使用することなく、インペラ14を過給機4の内部に格納した状態をより確実に維持することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、図4に示すように、過給機4は、ワイヤロープ18の一端部28と他端部30とをかしめるかしめ部材32を含む。これにより、簡易な構成でワイヤロープ18を空気案内筒16の周りに設置することができる。したがって、インペラ14が破断した場合であっても、インペラ14を過給機4の内部に格納した状態を、簡易な構成でより確実に維持することができる。
【0036】
ところで、図2に示す過給機4において空気案内筒16の周りに巻かれたワイヤロープ18が切断された場合、ワイヤロープ18の張力が減少し、ワイヤロープ18によって吸収可能なインペラ破片の運動エネルギーが減少してしまう。
【0037】
これに対し、図5に例示する実施形態では、過給機4は、空気案内筒16の周りに巻かれた複数のワイヤロープ34〜37を有している。図5は、過給機4における空気案内筒16周辺を拡大して示している。複数のワイヤロープ34〜37の材料及び直径は、図2を用いて説明したワイヤロープ18と同様の材料及び直径を採用可能である。
【0038】
図5に示す過給機4では、インペラ破片の衝突によってワイヤロープ34が切断されたとしても、ワイヤロープ35〜37の張力に対して基本的に影響を及ぼさない。したがって、ワイヤロープ34が切断されたとしても、ワイヤロープ34の上に順に重なるワイヤロープ35〜37によってインペラ破片の運動エネルギーを効果的に吸収することができる。したがって、インペラ14の破断時にインペラ破片が過給機4の外部へ飛散することを効果的に抑制し、インペラ14を過給機4の内部に格納した状態をより確実に維持することができる。
【0039】
図5に例示する実施形態では、複数のワイヤロープ34〜37の少なくとも一部は、空気案内筒16とスクロール室フレーム25との間に設けられている。
【0040】
複数のワイヤロープ34〜37の少なくとも一部を空気案内筒16とスクロール室フレーム25との間のデッドスペースに設けることにより、過給機4の空気案内筒16を肉厚化することなく、インペラ破片が過給機4の外部に飛散することを効果的に抑制することができる。
【0041】
図5に示す過給機4において、複数のワイヤロープ34〜37の少なくとも一部は、インペラ14の軸方向においてインペラ14の翼20の存在範囲W内に位置する。
このように、インペラ14が破断した際にインペラ破片が飛散する可能性が高い位置にワイヤロープ34〜37が位置するため、ワイヤロープ34〜37によってインペラ破片を効果的に受け止めることができる。
【0042】
図5に示す過給機4において、インペラ14の軸方向におけるインペラ14の翼20の存在範囲Wのうちの少なくとも一部の範囲において、複数のワイヤロープ34〜37がインペラ14の半径方向に積み重なる高さは、空気案内筒16内を空気が流れる方向Pにおいて上流側に向かうにつれて高くなる。
【0043】
インペラ14の翼20の高さは、空気案内筒16内を空気が流れる方向Pにおいて上流側に向かうにつれて高くなる。したがって、インペラ14の軸方向におけるインペラ14の翼20の存在範囲Wにおいては、空気案内筒16内を空気が流れる方向において上流側に向かうにつれて、インペラ14が破断した際に発生するインペラ破片が大きくなる可能性が高い。
【0044】
したがって、インペラ14の半径方向に複数のワイヤロープ34〜37が積み重なる高さを上記のようにリスクに応じた高さに設定することで、ワイヤロープを必要以上に使用することなく、インペラ14を過給機4の内部に格納した状態をより確実に維持することができる。
【0045】
複数のワイヤロープ34〜37は、それぞれの一端部と多端部とをかしめるかしめ部材(図4に示したかしめ部材32と同様のもの)によってかしめられている。このようにかしめ部材を設けることにより、簡易な構成でワイヤロープ34〜37を空気案内筒16の周りに設置することができる。したがって、インペラ14が破断した場合であっても、インペラ14を過給機4の内部に格納した状態を、簡易な構成でより確実に維持することができる。
【符号の説明】
【0046】
2 内燃機関
4 過給機
6 タービン
8 発電機
10 コンプレッサ
12 回転軸
14 インペラ
16 空気案内筒
18,34〜37 ワイヤロープ
19 ハブ
20 翼
22 ワイヤ
24 スクロール室
25 スクロール室フレーム
28 一端部
30 他端部
32 かしめ部材
100 内燃機関システム
P 空気案内筒内を空気が流れる方向
W インペラの軸方向におけるインペラの翼の存在範囲


図1
図2
図3
図4
図5