特許第6012582号(P6012582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012582
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】巻線切換型回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20161011BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20161011BHJP
   H02K 21/16 20060101ALI20161011BHJP
【FI】
   H02K5/22
   H02K3/28 J
   H02K21/16 M
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-242044(P2013-242044)
(22)【出願日】2013年11月22日
(65)【公開番号】特開2015-104191(P2015-104191A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】柳生 寿美夫
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 一人
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−115041(JP,A)
【文献】 特開2009−81954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00− 5/26
H02K 3/00− 3/28
H02K 21/00−21/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の外周に永久磁石が設けられ、回転自在に保持された回転子と、
前記回転子の外側の全周にギャップを隔ててコイル巻線を有する固定子と、を具備する回転電機において、
前記回転電機の側方に対称に設けられ、固定子コイル巻線を切換える第1,第2のターミナルボックスを具備し、
前記固定子の固定子巻線は、180°単位の2つのブロックで形成されたものであり、
前記第1,第2のターミナルボックスは、前記2つのブロックの固定子巻線をY接続とダブルY接続とのいずれかとなるように接続するものである巻線切換型回転電機。
【請求項2】
前記回転電機は、前記回転子に永久磁石が埋め込まれたIPMモータである請求項1記載の巻線切換型回転電機。
【請求項3】
前記第1,第2のターミナルボックスは、前記固定子巻線の180°単位の2つのブロックの境界位置に設けられたものである請求項1又は2記載の巻線切換型回転電機。
【請求項4】
前記回転電機の固定子巻線は、集中巻き又は分布巻きのいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の巻線切換型回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は永久磁石型モータ等の巻線切換型回転電機に関し、特に農業機械や産業機械の原動機に適した巻線切換型回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドシステムは乗用車だけでなく農業機械や建設機械、レクリエーショナル用など多目的用途用の車両(ユーティリティビークル、以下UVという)等においても使用が検討されつつある。ハイブリッドシステム用のモータとしては、高効率であることからロータに永久磁石を用いた同期式永久磁石モータが用いられることが多い。バッテリーを使用しないシリーズハイブリッド車両とは異なり、パラレルハイブリッド車両では、永久磁石モータは電池システムと接続して使用される。永久磁石モータは使用する電池の電圧によって回転数の上限が規定されるため、使用用途に応じたモータを設計することが必要となる。特に電源電圧は電池の価格やモータあるいは発電機の特性に大きな影響を与える。例えば高電圧型のモータであれば高回転数を得ることができる。又低電圧モータであれば回転数は低いが、高トルク型とすることができる。従ってこのような特性を切換えるために従来より巻線を切換えて特性を変化させるモータが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、モータの固定子の巻線を直列と並列とのいずれかに切換えることによって高速低トルク型と低速高トルク型の特性を選択できるようにした巻線切換型回転電機が提案されている。又特許文献2には外部に出力される6つの巻線のうち3本の導電ピンをY字接続にした3つの巻線に接続し、他の3つの巻線を夫々両端から出力して9本の導電ピンを外部に出力した巻線切換型回転電機の構成が示されている。又運転中にスイッチングによってこのような巻線切換えを行えるようにした装置についても提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−205573号公報
【特許文献2】特開2011−229221号公報
【特許文献3】特開2012−227980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらこのような従来の巻線切換型回転電機においては、巻線を切換えるための切換回路や切換スイッチが1箇所に設けられている。従って各端子をその切換回路に導く必要があり、構造が複雑になるという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであって、簡単な構造で特性を切換えることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の巻線切換型回転電機は、円柱状の外周に永久磁石が設けられ、回転自在に保持された回転子と、前記回転子の外側の全周にギャップを隔ててコイル巻線を有する固定子と、を具備する回転電機において、前記回転電機の側方に対称に設けられ、固定子コイル巻線を切換える第1,第2のターミナルボックスを具備し、前記固定子の固定子巻線は、180°単位の2つのブロックで形成されたものであり、前記第1,第2のターミナルボックスは、前記2つのブロックの固定子巻線をY接続とダブルY接続とのいずれかとなるように接続するものである。
【0008】
ここで前記回転電機は、前記回転子に永久磁石が埋め込まれたIPMモータとしてもよい。
【0009】
ここで前記第1,第2のターミナルボックスは、前記固定子巻線の180°単位の2つのブロックの境界位置に設けられたものとしてもよい。
【0010】
ここで前記回転電機の固定子巻線は、集中巻き又は分布巻きのいずれかとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
このような特徴を有する本発明によれば、2つのターミナルボックスを用いているため、固定子コアに巻かれるコイル端部の配線ライン長を短くすることができる。そしてターミナルボックス内で接続を変化させ、直列接続(Y接続)とすることによって高圧用モータ又は発電機として使用したり、低速駆動モータ又は発電機として使用することができる。又並列接続(ダブルY接続)とすることによって低圧用モータ又は発電機として使用したり、高速駆動モータ又は発電機として使用することができる。そのためモータ自体の機種数を少なくして種々の用途に切換えて使用することができるという効果が得られる。例えば農業機械や建設機械では低速高トルク型モータが用いられることが多く、レクリエーション用途等のUVでは低トルクであっても高速のモータが求められることが多く、機種の数も多くなる。本発明によれば車両に搭載する電池の電圧に応じて切換えることができるという効果が得られる。又ターミナルボックスを第1,第2のコイル巻線のブロックの境界位置に設けるようにすれば、配線ライン長をより短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の実施の形態によるIPMモータの正面図及び断面図である。
図2図2は本実施の形態によるIPMモータのターミナルボックスの正面図である。
図3図3は本実施の形態によるIPMモータの固定子のコアとスロットを示す図である。
図4図4は本実施の形態によるIPMモータの巻線パターンの第1の例を示す概念図である。
図5図5は直列接続する場合のターミナルボックスの結線図及びコイルの接続図である。
図6図6は並列接続する場合のターミナルボックスの結線図及びコイルの接続図である。
図7図7は本実施の形態によるIPMモータの巻線パターンの第2の例を示す概念図である。
図8図8は本実施の形態によるIPMモータの巻線パターンの第3の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施の形態による回転電機について説明する。本実施の形態はロータ内に永久磁石が埋め込まれて形成された同期式のIPMモータ10とする。図1(a)はその正面図であり、図1(b)はその断面図である。これらの図に示すようにこのモータ10は円柱状の外周部に多数のボルトを介してハウジング11が固定されている。シャフト12に一対のベアリング13,14を介して円柱状の回転子20が回転自在に形成されている。回転子20の外周部分には一定の角度間隔で永久磁石が埋め込まれている。回転子20の外側には所定のギャップを介して固定子30がハウジング11に固定されている。固定子30は例えば24の環状に形成された固定子コアとその間のスロットが外周から回転子20の中心軸に向かって形成されている。各固定子コアには後述するように3相のコイル巻線が形成されている。
【0014】
そしてこの実施の形態によるIPMモータ10には、図1に示すようにハウジング11の左右の対称な位置に第1のターミナルボックス41,第2のターミナルボックス42が設けられている。ターミナルボックス41,42は固定子のコイル巻線を直列及び並列のいずれかに切換えることによって、電池電圧やモータの所望の特性に対応したY接続又はダブルY接続となるように切換えて結線するためのものである。図2はターミナルボックス41,42の正面図を示している。
【0015】
次に固定子のコイル巻線のパターンを示す概念図について説明する。図3は24スロットの場合の固定子のスロットとコアを示しており、図4は巻線パターンの一例である集中巻きを示す概念図である。これらの図において1〜24の数字はスロットの番号を示している。図4に示すようにU巻線ではスロット1〜5の間の4つの固定子コアに対して夫々集中してコイル巻線が形成されており、その両端部をU1及びU2とする。そしてスロット5〜9の間の4つの固定子コアに対して同様にW巻線のコイルが形成されており、その両端部をW1,W2とする。又スロット9〜13の間の4つの固定子コアに対して同様にV巻線のコイル巻線が形成されており、その両端部をV1,V2とする。こうしてスロット1〜13の間の固定子コアに対して180°分の第1のブロックの巻線が形成される。又スロット13〜24の間の固定子コアに対しても同様に、U巻線ではスロット13〜17の間に4つのコアに対して集中してコイル巻線が形成されており、その両端部をU3及びU4とする。そしてスロット17〜21の4つのコアに対して同様にW巻線のコイルが形成されており、その両端部をW3,W4とする。又スロット21〜24の間の4つのコアに対して同様にV巻線のコイル巻線が形成されており、その両端部をV3,V4とする。そして図示のようにU巻線ではU1〜U4、V巻線ではV1〜V4、W巻線ではW1〜W4の端子が引き出される。こうしてスロット13〜1の間の残りの固定子コアに対して180°分の第2のブロックの巻線が形成される。
【0016】
さて本実施の形態のIPMモータ10では、コイル巻線の端子のうち端子U1,V1,W1とU4,W4,V4とはターミナルボックス41に導かれる。その他の端子である端子U2,V2,W2とU3,V3,W3とはターミナルボックス42に導かれる。これらのターミナルボックス41,42は、配線ライン長を短くするため図1及び図3に示すように対称で第1,第2のブロックの境界となる位置に設けられる。
【0017】
そして固定子コイルの結線を直列接続とする場合には、図5(a)に示すようにターミナルボックス41では端子U4,V4,W4を接続し、端子U1,V1,W1を外部の図示しないインバータから三相交流電力を供給する電源線UVWに接続する。ターミナルボックス42では端子U2とU3、端子V2とV3、端子W2とW3とを夫々接続する。このように端子を接続した場合に図5(b)に示すような直列のY接続となる。
【0018】
直列のY接続の方法では、IPMモータ10に高電圧を供給することができ、高速型のモータとすることができる。又低速で駆動する場合にはモータの駆動電圧は低くてもよい。従ってインダクタンスが高くなる直列Y接続にしてモータを駆動することができる。
一方発電機として用いた場合には、高圧で駆動して高電圧の発電機として用いることができる。又低速で駆動して発電する場合にはインダクタンスが高くなる直列のY接続として発電機を駆動することができる。
【0019】
次に固定子コイルの結線を並列接続とする場合には、図6(a)に示すようにターミナルボックス41では端子U1とU4、端子V1とV4、端子W1とW4とを接続し、端子U1,V1,W1を外部の図示しないインバータから三相交流電力を供給する電源線UVWに接続する。そしてターミナルボックス42では図示のように端子U2,V2,W2を接続すると共に、端子U3,V3,W3を接続する。このように端子を接続した場合には、図6(b)に示すように並列のダブルY接続となる。
【0020】
この並列のダブルY接続の方法では、IPMモータ10に供給する電圧を低くして低速型モータとすることができる。又高速運転であれば必要となる駆動電圧も高くなるので、並列にしてインダクタンスを低くすることによって同じ電圧でもモータを高速で駆動することができる。
一方発電機として用いた場合には、低圧で駆動して低電圧の発電機として用いることができる。又高速で駆動して発電する場合には、インダクタンスが低くなる並列のダブルY接続として発電機を駆動することができる。
【0021】
このように本実施の形態ではモータあるいは発電機の固定子巻線を180°単位の大きな2ブロックで構成し、離れた位置に2箇所のターミナルボックスを設置している。そしてこのターミナルボックスにおいて巻線の接続を変化させることによってY接続又はダブルY接続として結線することができる。この場合にはコイルに両端のラインを最短距離でターミナルボックスに接続し、モータ電流が流れるラインの距離を短くすることができる。又ターミナルボックスはモータの両端の対称な位置に設けているため、モータ全体の重量バランスを向上させることができる。そして1つの機種のモータを用いて接続を変化させることによって、高圧用の高回転型モータとして使用したり、低圧用の低回転型モータとしても使用することができる。そのためモータ自体の機種数を少なくして例えば農業機械やレジャー用の高速車両などの種々の用途に1つのモータで切換えて使用することができるという効果が得られる。
【0022】
この実施の形態ではコイルの巻き方について集中巻きについて説明しているが、コイルの配線については180°毎に2つのブロックで巻線を形成するものであればよく、集中巻きの接続に限定されるものではない。例えば図8に示すように1スロット飛びにコイル巻線を形成して巻く分布巻きとしてもよく、又図9に示すように2スロット飛び毎にコイル巻線を形成して分布巻きとしてもよい。
【0023】
又この実施の形態ではIPMモータについて説明しているが、永久磁石がロータの表面に配置されるSPMモータについても本発明を適用することができる。
【0024】
又この実施の形態では永久磁石モータについて説明しているが、永久磁石がロータの表面に配置される発電機についても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は機種数を少なくしても異なった特性を有するモータや発電機として用いることができ、種々の車両や発電装置に対応させることができる。
【符号の説明】
【0026】
10 IPMモータ
11 ハウジング
12 シャフト
13,14 ベアリング
20 回転子
30 固定子
41,42 ターミナルボックス
U1,U2,U3,U4,V1,V2,V3,V4,W1,W2,W3,W4 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8