【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書によると、添付の請求項に記載されるように、光起電力(PV)素子を作製するために好適である、シリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を所望のテクスチャに修飾するための方法であって、
基板または蒸着された層を可動搬送装置上に配置するステップと、
基板または蒸着された層を予加熱するステップと、
基板または蒸着された層を、外部周囲環境からパージガス封込めカーテンを通して開放大気リアクタの中まで、エッチングするために連続的に移動させるステップと、
リアクタ内側のエッチング液送達特徴の中をまたはそれを通して、基板を連続的に移動させるステップと、
適用されるエッチング液ガスの流量および角度を制御することによって、基板上に所望のテクスチャを生成するように、リアクタ内の基板または蒸着された層に、ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を適用するステップと、
開放大気リアクタから、さらなるまたは同一の組のパージガス封込めカーテンを通して、外部周囲環境へと、基板または蒸着された層をエッチングするために連続的に移動させるステップと
を備え、少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を備える群から選択される、方法が、提供される。
【0016】
解決された技術的問題は、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を使用するエッチングプロセスを支援するために、プラズマまたは真空を必要とせず、大気圧で行われる、高生産性ドライエッチング法の提供である。これまでに使用されている他のエッチング液のいずれよりも有意に低い結合エネルギーを有するフッ素原子の使用は、フッ素原子をそのエッチングラジカルに分解するために、遥かに低い電力エネルギー源の使用を可能にする。この方法は、大気圧で実行することができ、一組のパージガス封込めカーテンを利用することができるため、エッチングゾーン内およびそれを通して、ワークピースの連続移動を可能にし、PV業界によって必要とされる、遥かに高い生産性をもたらす。基板のドライエッチングのために、大気圧におけるプラズマの支援を伴わないフッ素元素または分子の使用は、基板または蒸着された層の制御されたエッチングのための単純かつ効果的プロセスを提供し、基板材料上に所定のテクスチャおよび構造の生成をもたらす。達成することができる、単純性およびテクスチャのタイプにわたっての高レベル制御は、全体的電池製造プロセスの最適化を可能にし、特定のテクスチャを電池設計に整合するように選択させる。
【0017】
一実施形態では、エッチング液は、任意のプラズマの支援を伴うことなく、熱的に活性化される。
【0018】
一実施形態では、エッチングは、他のプロセスステップと容易に統合することができる、すなわち、容易に不動態化され、光捕集能力における向上をもたらすことができる、所定のテクスチャを基板上にもたらすように制御されてもよい。ここで、我々は、基板と相互作用するのに伴って、エッチング液の流量を変化させることによって、エッチング速度を制御することができることを見出した。ガス流量およびエッチング液ガス送達モジュールの幾何学形状を変動させることによって、約0.1から3m/秒までの速度が達成される。異なる幾何学形状パラメータとして、約2−40mmの範囲の基板とエッチング液送達ハードウェアとの間の間隙が挙げられる。エッチング液ガス流の角度は、通過に伴って、基板の方向および速度によって最適化することができる。流動の角度は、エッチングされる基板表面に対して、約0−180度変動させることができる。これらのパラメータを慎重に調節することによって、異なるエッチング速度が達成され、異なるテクスチャを生成することができる。
【0019】
一実施形態では、結果として生じたテクスチャの特徴サイズは、エッチング速度を変動させることを通して、制御することができる。達成される典型的エッチング速度範囲は、約2−40μm/分であって、特徴を有する送達テクスチャは、約0.1μmから5μmまでのサイズを有する。
【0020】
一実施形態では、ガス送達モジュールは、一組のノズルを備える。
【0021】
一実施形態では、ガス送達モジュールは、一組のパターンの複数の開口を有する平板を備える。
【0022】
一実施形態では、ガス送達モジュールは、異なるまたは同一の長さの一組あるいは一列の開口を備える。好ましい実施形態では、開口は、細隙または間隙開口部を備える。
【0023】
一実施形態では、ガス送達モジュールは、細隙を備える。
【0024】
一実施形態では、単一リアクタは、基板をエチングするために、1つ以上のタイプのガス送達システムを有してもよい。ガス送達システムは、それぞれ、基板上に同一または異なるテクスチャを送達するように、配設することができる。
【0025】
一実施形態では、異なるガス送達モジュールは、同一基板上において、順々に、後続エッチングステップを行うように配設され、それによって、既にテクスチャ加工された表面上にさらなるテクスチャをもたらし得る。
【0026】
一実施形態では、プロセスは、連続通過プロセスとして行われる。
【0027】
一実施形態では、プロセスは、基板が、リアクタゾーン内で停止することなく、行われる。
【0028】
一実施形態では、プロセスは、基板がリアクタゾーン内で1回または数回、停止することができるように行われる。
【0029】
一実施形態では、エッチングされる基板は、リアクタゾーン内に送達され、エッチングプロセスが完了すると、基板は、次いで、送達された方向において、リアクタから移動される。
【0030】
一実施形態では、基板の片側が、反対側をエッチングすることなく、エッチングされてもよい。
【0031】
一実施形態では、エッチング液は、大気圧下、基板または蒸着された層に適用される。
【0032】
一実施形態では、リアクタの反応領域は、ガスカーテンをパージすることによって、密閉される。
【0033】
一実施形態では、予加熱ゾーンは、パージガスカーテン内側に位置する。
【0034】
一実施形態では、結果として生じた基板の表面テクスチャは、その反射率を減少させ、吸収される光を増加させるように、粗面である。
【0035】
一実施形態では、結果として生じた基板の表面テクスチャは、平滑である。
【0036】
一実施形態では、エッチング液ガスは、フッ素分子または原子、あるいは熱活性化を可能にするエネルギー結合値を伴う、任意の他のシリコンエッチングガスである。フッ素濃度は、約5から100%までの範囲内の任意の濃度であることができる。
【0037】
一実施形態では、フッ素含有ガスは、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化カルボニル、六フッ化硫黄、三フッ化窒素、二フッ化キセノン、およびフッ素元素を備える群から選択されてもよい。
【0038】
一実施形態では、塩素系化合物は、テトラクロロメタン、トリクロロシランと水素の混合物、および塩化水素を備える群から選択されてもよい。
【0039】
各エッチングガスは、エッチングラジカル形成のその独自の方法を有してもよい。
【0040】
一実施形態では、エッチングのための基板は、太陽光電池、シリコンウエハ、または、例えば、ガラス、AlTiC(アルミニウムチタンカーボン)、ITO(インジウムスズ酸化物)、およびFR4積層(耐燃性である、エポキシ樹脂粘結剤を伴う、織布繊維ガラス布)等の基板上に蒸着された層を備える群から選択されてもよい。
【0041】
別の実施形態では、この大気ドライエッチング技術は、レーザマイクロマシニングプロセスと併用されてもよい。レーザ機械加工/掘削が、切断される材料の領域を損傷し、ドライエッチングが、損傷された領域を除去/修復するための機械加工/掘削プロセス後またはその間に、行われてもよい。
【0042】
別の実施形態では、この方法は、容量感知タッチスクリーンの製造において使用されてもよく、微笑孔の基質が、ITOおよびFR4繊維ガラス補強エポキシ積層およびPCB(印刷回路基板)にエッチングされる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態によると、光起電力(PV)素子を作製するために好適である、ガスのみ使用して、制御可能な様式において、シリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を修飾するための装置であって、
(i)筐体と、
(ii)大気リアクタと、
(iii)少なくとも1つのエッチング液ガス排気プレナムと、
(iv)基板または蒸着された層を可動搬送装置上に配置するための手段と、
(v)基板または蒸着された層を予加熱するための手段と、
(vi)大気リアクタを通して、エッチングするために、基板または蒸着された層を連続的に移動させるための手段と、
(vii)リアクタ内の基板または蒸着された層に、圧力下、ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を適用するに際して、リアクタ内側のエッチング液送達モジュール下において、基板を連続的に移動させるための手段と、
(viii)プロセスのエッチング速度を制御する手段と
を備え、少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を備える群から選択される装置が提供される。
【0044】
本発明の別の側面によると、基板をドライエッチングするための装置であって、
(i)筐体と、
(ii)エッチング液ガス送達リアクタと、
(iii)少なくとも1つのエッチング液ガス排気プレナムと、
(iv)大気圧において、エッチング液ガスを筐体に送達するための手段と
を備える装置が提供される。
【0045】
一実施形態では、大気リアクタ内のエッチング液ガスは、塩基ラジカルを生成するように加熱され、ドライエッチングを行ってもよい。
【0046】
一実施形態では、大気リアクタは、約室温と450℃との間の温度まで加熱されてもよい。本明細書では、RTと略される、用語「室温」は、約20℃と約25℃と(約68°Fと約77°Fと)の間の温度を意味すると理解されたい。
【0047】
本発明のさらなる側面では、前述の方法によってエッチングされる基板を備える、素子が、提供される。
【0048】
一実施形態では、素子は、太陽光電池、シリコンウエハ、ガラス基板、ウエハ基板(非晶質シリコン、SiNx、SiOx)上に蒸着された層を備える群から選択されてもよい。
【0049】
別の実施形態では、その表面構造を修飾する、または制御された厚さを除去するために、基板または蒸着された層をドライエッチングするための方法であって、
(i)支持基板上にエッチングのための基板を配置するステップと、
(ii)基板を予加熱するステップと、
(iii)エッチングのための基板をエッチングチャンバに送達するステップと、
(iv)チャンバ内の基板に、圧力下、ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を適用するステップと
を備え、少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を備える群から選択される方法が提供される。好ましくは、圧力は、大気圧であってもよい。
(項目1)
シリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を、光起電力(PV)素子を作製するために好適である、所望のテクスチャに修飾するための方法であって、
該方法は、
該基板または蒸着された層を可動搬送装置上に配置するステップと、
該基板または蒸着された層を予加熱するステップと、
該基板または蒸着された層を、外部周囲環境からパージガス封込めカーテンを通して開放大気リアクタの中に、エッチングするために連続的に移動させるステップと、
該基板を、該リアクタ内側のエッチング液送達特徴の中にまたはそれを通して、連続的に移動させるステップと、
該適用されるエッチング液ガスの流量および角度を制御することによって該基板上に該所望のテクスチャを生成するように、該リアクタの中で、ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を該基板または蒸着された層に適用するステップと、
該基板または蒸着された層を、該開放大気リアクタから、さらなるまたは同一の組のパージガス封込めカーテンを通して該外部周囲環境まで、エッチングするために連続的に移動させるステップと
を含み、
該少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を含む群から選択される、方法。
(項目2)
前記エッチング液は、いかなるプラズマの必要もなく、熱的に活性化される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記プロセスは、連続通過プロセスとして行われる、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記ガス形態のエッチング液ガスは、大気圧下において、前記基板または蒸着された層に適用される、項目1〜3のうちのいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記リアクタの反応領域は、パージガスカーテンによって密閉される、項目1〜4のうちのいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記予加熱ゾーンは、前記パージガスカーテンの内側に位置する、項目5に記載の方法。
(項目7)
結果として生じた基板の表面テクスチャは、その反射率を減少させ、吸収される光を増加させるように、粗面である、項目1〜6のうちのいずれかに記載の方法。
(項目8)
結果として生じた基板の表面テクスチャは、平滑である、項目1〜6のうちのいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記エッチング液ガスは、フッ素分子もしくは原子、または熱活性化を可能にするエネルギー結合値を有する任意の他のシリコンエッチングガスである、項目1〜8に記載の方法。
(項目10)
前記フッ素含有ガスは、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化カルボニル、六フッ化硫黄、三フッ化窒素、二フッ化キセノン、およびフッ素元素を含む群から選択される、項目1〜9に記載の方法。
(項目11)
前記塩素系化合物テトラクロロメタン、トリクロロシランと水素の混合物、および塩化水素を含む群から選択される、項目1〜10に記載の方法。
(項目12)
酸素またはオゾンが、前記テクスチャ加工プロセスを向上させるために付加的に提供される、項目1〜11に記載の方法。
(項目13)
エッチングのための前記基板は、太陽光電池、シリコンウエハ、またはガラス、AlTiC、ITO、およびFR4積層を含む群から選択される基板上に蒸着された層を含む群から選択される、項目1〜12に記載の方法。
(項目14)
プラズマの不在下において行われる、項目1〜13に記載の方法。
(項目15)
光起電力(PV)素子を作製するために好適である、ガスのみ使用して制御可能な方式でシリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を修飾するための装置であって、、
該装置は、
(i)筐体と、
(ii)大気リアクタと、
(iii)少なくとも1つのエッチング液ガス排気プレナムと、
(iv)該基板または蒸着された層を可動搬送装置上に配置するための手段と、
(v)該基板または蒸着された層を予加熱するための手段と、
(vi)該エッチング液ガスを加熱するための手段と、
(vii)該大気リアクタを通してエッチングするために、該基板または蒸着された層を連続的に移動させるように適応されたコンベヤと、
(viii)ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を該リアクタ内の該基板または蒸着された層に適用するに際して、該リアクタ内側のエッチング液送達モジュール下にある該コンベヤを使用して該基板を連続的に移動させるための手段と
(ix)プロセスのエッチング速度を制御する手段と
を含み、
該少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を含む群から選択される、装置。
(項目16)
前記大気リアクタの中のエッチング液ガスは、前記ドライエッチングを行うための塩基ラジカルを産生するように加熱される、項目15に記載の装置。
(項目17)
前記大気リアクタは、約室温と約450℃との間の温度まで加熱される、項目15または項目16に記載の装置。
(項目18)
ガス形態の前記エッチング液は、大気圧下において、前記基板または蒸着された層に適用される、項目15〜17のいずれかに記載の装置。
(項目19)
前記プロセスのエッチング速度を制御する手段は、前記適用されるガス形態のエッチング液の流量および角度を制御することを含む、項目15〜18のいずれかに記載の装置。
(項目20)
項目1〜14のいずれかに記載の方法によってエッチングされた基板を含む、素子。
(項目21)
光起電力太陽電池、シリコンウエハ、ガラス基板、またはウエハ基板(非晶質シリコン、SiNx、SiOx)上に蒸着された層を含む群から選択される、項目20に記載の素子。
【0050】
本発明は、添付図面を参照して、一例としてのみ与えられる、その実施形態の以下の説明から、より明白に理解されるであろう。