特許第6012597号(P6012597)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6012597光起電力電池素子のためのシリコンウエハの表面テクスチャ修飾を制御する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6012597
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月25日
(54)【発明の名称】光起電力電池素子のためのシリコンウエハの表面テクスチャ修飾を制御する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20161011BHJP
【FI】
   H01L21/302 201A
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-509564(P2013-509564)
(86)(22)【出願日】2011年5月11日
(65)【公表番号】特表2013-527611(P2013-527611A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】EP2011057633
(87)【国際公開番号】WO2011141516
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年4月11日
(31)【優先権主張番号】1021693.5
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】S2010/0287
(32)【優先日】2010年5月11日
(33)【優先権主張国】IE
(73)【特許権者】
【識別番号】512286060
【氏名又は名称】ウルトラ ハイ バキューム ソリューションズ リミテッド ティー/エー ナインズ エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ダッフィー, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】クロシャート ローレン
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−045833(JP,A)
【文献】 特開2009−099880(JP,A)
【文献】 特開2003−197940(JP,A)
【文献】 特開2003−209096(JP,A)
【文献】 特開2005−191275(JP,A)
【文献】 特開2004−296729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板または基板上に蒸着されたシリコン層の表面構造を所望のテクスチャに修飾するための方法であって、該所望のテクスチャは、光起電力(PV)素子を作製するために好適である、該方法は、
可動搬送装置上に該基板を配置するステップと、
予加熱ゾーン内で該基板を予加熱するステップと、
外部周囲環境からパージガス封込めカーテンを通して開放大気リアクタの中に、エッチングするために該基板を連続的に移動させるステップと、
該リアクタ内側のエッチング液送達特徴の中にまたはそれを通して該基板を連続的に移動させるステップと、
適用される少なくとも1つのエッチング液ガスの流量および角度を制御することによって該基板上に該所望のテクスチャを生成するように、該リアクタの中で、少なくとも1つのエッチング液ガスを該基板に適用するステップと、
該開放大気リアクタから、さらなるまたは同一の組のパージガス封込めカーテンを通して該外部周囲環境まで、エッチングするために該基板を連続的に移動させるステップと
を含み、
該少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスであり、該エッチング液ガスは、プラズマを必要とすることなく熱的に活性化され、該エッチング液ガスは、大気圧下で該基板に適用される、方法。
【請求項2】
前記方法は、連続通過プロセスとして行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リアクタ内側の前記エッチング液送達特徴は、パージガスカーテンによって密閉される、請求項1〜2のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記予加熱ゾーンは、前記パージガスカーテンの内側に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板の表面テクスチャは、その反射率を減少させ、吸収される光を増加させるように、粗面である、請求項1〜4のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記エッチング液ガスは、フッ素分子もしくは原子、または、熱活性化を可能にするエネルギー結合値を有する任意の他のシリコンエッチングガスである、請求項1〜5のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記フッ素含有ガスは、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化カルボニル、六フッ化硫黄、三フッ化窒素、二フッ化キセノン、フッ素元素を含む群から選択される、請求項1〜6のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
酸素またはオゾンが、前記シリコン基板または前記蒸着されたシリコン層の表面構造を所望のテクスチャに修飾するための前記方法を向上させるために付加的に提供される、請求項1〜7のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
エッチングのための前記基板は、太陽光電池、シリコンウエハ、または、ガラス、AlTiC、ITO、FR4積層を含む群から選択される基板上に蒸着された層を含む群から選択される、請求項1〜8のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
光起電力(PV)素子を作製するために好適である、ガスのみ使用して制御可能な方式でシリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を修飾するための装置であって、該装置は、
(i)筐体と、
(ii)大気リアクタと、
(iii)少なくとも1つのエッチング液ガス排気プレナムと、
(iv)可動搬送装置上に基板または蒸着された層を配置するための手段と、
(v)該基板または該蒸着された層を予加熱するための手段と、
(vi)該エッチング液ガスを加熱するための手段と、
(vii)該大気リアクタを通してエッチングするために、該基板または該蒸着された層を連続的に移動させるように適合されたコンベヤと、
(viii)少なくとも1つのエッチング液ガスを該リアクタ内の該基板または該蒸着された層に適用することによって、該リアクタ内側のエッチング液送達モジュール下にある該コンベヤを使用して該基板を連続的に移動させるための手段と、
(ix)該少なくとも1つのエッチング液ガスを該リアクタ内の該基板または該蒸着された層に適用する速度を制御する手段と
を含み、
該少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスから選択され、該大気リアクタ内の該エッチング液ガスは、ドライエッチングを行うための塩基ラジカルを産生するように加熱され、該エッチング液ガスは、大気圧下で該基板または該基板上に蒸着された層に適用される、装置。
【請求項11】
前記大気リアクタは、約室温と約450℃との間の温度まで加熱される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのエッチング液ガスを前記基板または前記蒸着された層に適用する速度を制御する手段は、適用される該少なくとも1つのエッチング液ガスの流量および角度を制御することを含む、請求項10または請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、シリコン系光起電力(PV)素子のドライ化学テクスチャ加工のための方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、活性エッチング液種を生成するために、プラズマ放電を使用することなく、大気圧において、インライン連続通過ドライ化学エッチングのための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽光を電気に変換する光起電力(PV)半導体素子である。太陽光からの光子が、その原子から放たれる電子に衝突し、材料を介して電流を発生させる。これらの光起電力半導体は、単一結晶シリコン(単結晶)、多重結晶(多結晶)シリコン、非晶質シリコン、または他の化合物半導体材料から作製されてもよい。簡単に言えば、電気P−N接合が、PV材料または基板、すなわち、シリコンウエハ内に生成される。次いで、この材料は、正および負電極によって発生させられる。太陽光に晒されると、光起電力効果に起因して、PV材料の中に電流が生成される。
【0003】
PV太陽電池を製造するために使用される種々の処理方法が存在し、いくつかの製造プロセスステップが必要とされる。本発明のために特に着目すべきは、エッチングステップであって、制御された量の材料が、基板および蒸着された層から除去される必要があり、ウエハ損傷除去、清浄、テクスチャ加工、研磨、および副産物(PSG)除去を含む。
【0004】
基板材料のテクスチャ加工、より具体的には、このテクスチャ加工の制御は、達成が困難である。異なるテクスチャは、異なる太陽電池基板および設計に対して、異なる向上特性を有することが示されている。ほとんどの太陽電池設計では、光捕集パターンが、ウエハの太陽側の開始基板上にテクスチャ加工されると、電池効率の増加が観察される。基板の表面のテクスチャ加工は、表面積を拡大させ、基材の反射率を低下させ、したがって、表面に当たる光のより多くを捕捉するであろう。しかしながら、テクスチャは、太陽電池製造プロセスにおける後続ステップと良好に統合されるように、慎重に制御および最適化される必要がある。形成されるテクスチャは、容易にドープおよび不動態化される必要があり、ベースシリコン基板の担体寿命に損傷を及ぼしてはならない。PV太陽電池製造のためのテクスチャに関するこれらの要求は、従来利用可能であるものよりも、プロセスにわたって遥かに高いレベルの制御を必要とする。先行技術では、例えば、ウェット化学物質エッチングの使用は、エッチング機構がエッチングされる基板の結晶学的構造によって規定されるので、異なる電池設計に対して最適化されたテクスチャを達成することができない。また、基板の真の片面エッチングはもたらされない。ウェット化学エッチングの代替として、いくつかの方法が、半導体素子製造に対して周知の反応性イオンエッチングおよび他のプラズマ系シリコンエッチング技法を含め、提案されている。これらのプラズマ系技法は、ベースシリコンの担体寿命に悪影響を及ぼし得、ある場合には、容易に不動態化されることができる、テクスチャをもたらさない。
【0005】
ウェット化学エッチングは、PV太陽電池製造のための最先端技術である。現在、これらのステップは、ウェット化学プロセスを介して行われており、シリコン基板は、基板の表面上に不均衡パターンを形成するために、一定時間の間、加熱された酸性またはアルカリ溶液内に浸漬される。
【0006】
以下は、結晶太陽電池生産のためのウェット化学エッチングと関連付けられた問題である。
1.非常に大量の水および他の化学物質が、これらのウェット化学エッチングステップの際に消耗される。
2.ウェットエッチングプロセスは、より薄いウエハ(<160μm)に対して適切ではない。
3.より安価な多結晶シリコン太陽電池の従来のアルカリウェット化学エッチングによるテクスチャ加工は、満足のゆく反射防止特性をもたらさない。これは、多結晶シリコン基板の異方性性質によるものである。
4.多結晶シリコン太陽電池製造のための確実なプロセスは、酸性溶液、例えば、HFおよびHNO3の混合を使用した、付加的ウェットエッチングステップの使用である。本「混酸テクスチャ加工」は、多結晶基板上の従来の異方性エッチングより低い反射率をもたらす。しかしながら、ポイント1に概略されるように、単結晶基板上の従来のアルカリエッチングと同一結果をもたらさない。これは、多結晶シリコン太陽電池の全体的電池変換効率に、より高価な単結晶シリコン太陽電池の変換効率から後れを取らせる。
5.ウェットエッチング機器は、非常に大型であり得(ある場合には、長さが最大17m)、制限されたプロセス生産性能力を有する。
6.ウェットエッチング効率は、ウエハの結晶学的構造に非常に依存し、単または多Siウエハに対して、異なる化学物質配合を必要とする。
7.限定された片側のウェットプロセスは、分離表面処理を提供しない。
8.ウェットエッチングは、作用するために、ウエハ内にいくつかの欠陥を必要とする。平滑表面からは作用しない。
【0007】
プラズマを用いないドライエッチングプロセスは、最近、真空チャンバ清浄用途のために使用されている。例えば、特許文献1に説明されるように、フッ素分子(F2)が、化学真空蒸着(CVD)チャンバ内の窒化ケイ素(SiNx)の清浄のために使用されている。不活性ガス中に予希釈されたフッ素が、真空チャンバ内に送達され、フッ素は、チャンバを230℃と565℃との間の温度に加熱することによって、熱的に解離される。望ましくない窒化ケイ素は、化学反応によって、内側チャンバの表面から除去される。本真空チャンバ清浄プロセスは、プロセスにわたっての汚染を防止するために、必要とされる。
【0008】
特許文献2は、酸化ケイ素または窒化ケイ素をエチングすることなく、電子素子上のシリコンを選択的にエッチングする、ドライエッチングプロセスについて説明している。この仕様は、真空チャンバの内部に基板を保持し、大気圧(260ミリトル(mT))未満において、エッチングガスを同一チャンバに供給するように、非常に制限されている。
【0009】
PV太陽電池のドライエッチングは、しばらくの間、開発中であった。従来の真空系プラズマエッチング技法を使用した多数の刊行物が存在する。これらの方法に関する主要な問題は、エッチングプロセスの際、プラズマからのイオンによって生じる、PV材料の損傷である。いくつかの進歩が、このプラズマ損傷問題に関して見られたが、そのような溶液の市販化は、真空系システムのコストが非常に高価あり、低い生産性が大規模な太陽PV電池製造に適していないので、実現可能性が低い。
【0010】
また、種々の基板の表面を処理、清浄、ある場合には、修飾するために使用される、大気プラズマに関する研究もある。特許文献3では、大気プラズマ放電を利用して、大気圧で基板を処理する方法について、説明している。同様に、特許文献4は、プラズマ放電を使用して、有機含有層を除去する方法について、説明している。
【0011】
特許文献5では、結晶太陽ウエハの裏面にドープされた表面層を除去するための大気プラズマエッチング装置について、説明している。同様に、特許文献6は、プラズマ系プロセスを使用して、拡散プロセスの間に形成される、リン珪酸ガラス(PSG)を選択的にエッチングするための装置について説明している。この最先端技術はすべて、プラズマ放電技術を利用して、およびプラズマを使用して、基板に作用するために必要とされる活性種を発生させる研究に基づく。
【0012】
特許文献7は、非プラズマ技法を利用する、薄膜非晶質SiPV膜の蒸着およびPV基板の表面処理のための装置について開示している。特許文献7は、表面上のテクスチャまたは「結晶粒粗大化」に影響を及ぼし、光吸収を支援するためのFの使用を参照している。また、接続されるが、プロセス領域がパージガスカーテンによって分離される、チャンバのアレイについて説明している。この装置は、ローラ上で運搬され、回収されることができる可撓性基板との併用に限定されるロールツーロール法を利用する。パージカーテンの使用は、全プロセスチャンバとともに、送達および回収ローラチャンバを格納する、より大きな封入されたシステム内のプロセス反応空間の分離に限定される。プロセスチャンバ間において、基板を自由に移動させる能力があっても連続生産は行われない。プロセスが完了すると、展開および回収ロールは両方とも交換され、システムは、説明されていない、ある方法で開放される必要があるであろう。Fの使用によってもたらされる結晶粒粗大化は、任意の方法で制御または最適化されるように請求されていない。説明される流量レベルおよび圧力は、このプロセスが、真空、すなわち、1.5トルで30SCCMにおいて生じることを示す。しかしながら、この方法は、ウエハを処理するために好適ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/142046号明細書
【特許文献2】米国特許第6,500,356号明細書
【特許文献3】欧州特許第0690479号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0000497号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0305643号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2010/0062608号明細書
【特許文献7】米国特許第4803947号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、前述の問題を克服する結晶シリコン太陽光電池ウエハのドライエッチング/テクスチャ加工および制御のためのプロセスならびに装置を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本明細書によると、添付の請求項に記載されるように、光起電力(PV)素子を作製するために好適である、シリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を所望のテクスチャに修飾するための方法であって、
基板または蒸着された層を可動搬送装置上に配置するステップと、
基板または蒸着された層を予加熱するステップと、
基板または蒸着された層を、外部周囲環境からパージガス封込めカーテンを通して開放大気リアクタの中まで、エッチングするために連続的に移動させるステップと、
リアクタ内側のエッチング液送達特徴の中をまたはそれを通して、基板を連続的に移動させるステップと、
適用されるエッチング液ガスの流量および角度を制御することによって、基板上に所望のテクスチャを生成するように、リアクタ内の基板または蒸着された層に、ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を適用するステップと、
開放大気リアクタから、さらなるまたは同一の組のパージガス封込めカーテンを通して、外部周囲環境へと、基板または蒸着された層をエッチングするために連続的に移動させるステップと
を備え、少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を備える群から選択される、方法が、提供される。
【0016】
解決された技術的問題は、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を使用するエッチングプロセスを支援するために、プラズマまたは真空を必要とせず、大気圧で行われる、高生産性ドライエッチング法の提供である。これまでに使用されている他のエッチング液のいずれよりも有意に低い結合エネルギーを有するフッ素原子の使用は、フッ素原子をそのエッチングラジカルに分解するために、遥かに低い電力エネルギー源の使用を可能にする。この方法は、大気圧で実行することができ、一組のパージガス封込めカーテンを利用することができるため、エッチングゾーン内およびそれを通して、ワークピースの連続移動を可能にし、PV業界によって必要とされる、遥かに高い生産性をもたらす。基板のドライエッチングのために、大気圧におけるプラズマの支援を伴わないフッ素元素または分子の使用は、基板または蒸着された層の制御されたエッチングのための単純かつ効果的プロセスを提供し、基板材料上に所定のテクスチャおよび構造の生成をもたらす。達成することができる、単純性およびテクスチャのタイプにわたっての高レベル制御は、全体的電池製造プロセスの最適化を可能にし、特定のテクスチャを電池設計に整合するように選択させる。
【0017】
一実施形態では、エッチング液は、任意のプラズマの支援を伴うことなく、熱的に活性化される。
【0018】
一実施形態では、エッチングは、他のプロセスステップと容易に統合することができる、すなわち、容易に不動態化され、光捕集能力における向上をもたらすことができる、所定のテクスチャを基板上にもたらすように制御されてもよい。ここで、我々は、基板と相互作用するのに伴って、エッチング液の流量を変化させることによって、エッチング速度を制御することができることを見出した。ガス流量およびエッチング液ガス送達モジュールの幾何学形状を変動させることによって、約0.1から3m/秒までの速度が達成される。異なる幾何学形状パラメータとして、約2−40mmの範囲の基板とエッチング液送達ハードウェアとの間の間隙が挙げられる。エッチング液ガス流の角度は、通過に伴って、基板の方向および速度によって最適化することができる。流動の角度は、エッチングされる基板表面に対して、約0−180度変動させることができる。これらのパラメータを慎重に調節することによって、異なるエッチング速度が達成され、異なるテクスチャを生成することができる。
【0019】
一実施形態では、結果として生じたテクスチャの特徴サイズは、エッチング速度を変動させることを通して、制御することができる。達成される典型的エッチング速度範囲は、約2−40μm/分であって、特徴を有する送達テクスチャは、約0.1μmから5μmまでのサイズを有する。
【0020】
一実施形態では、ガス送達モジュールは、一組のノズルを備える。
【0021】
一実施形態では、ガス送達モジュールは、一組のパターンの複数の開口を有する平板を備える。
【0022】
一実施形態では、ガス送達モジュールは、異なるまたは同一の長さの一組あるいは一列の開口を備える。好ましい実施形態では、開口は、細隙または間隙開口部を備える。
【0023】
一実施形態では、ガス送達モジュールは、細隙を備える。
【0024】
一実施形態では、単一リアクタは、基板をエチングするために、1つ以上のタイプのガス送達システムを有してもよい。ガス送達システムは、それぞれ、基板上に同一または異なるテクスチャを送達するように、配設することができる。
【0025】
一実施形態では、異なるガス送達モジュールは、同一基板上において、順々に、後続エッチングステップを行うように配設され、それによって、既にテクスチャ加工された表面上にさらなるテクスチャをもたらし得る。
【0026】
一実施形態では、プロセスは、連続通過プロセスとして行われる。
【0027】
一実施形態では、プロセスは、基板が、リアクタゾーン内で停止することなく、行われる。
【0028】
一実施形態では、プロセスは、基板がリアクタゾーン内で1回または数回、停止することができるように行われる。
【0029】
一実施形態では、エッチングされる基板は、リアクタゾーン内に送達され、エッチングプロセスが完了すると、基板は、次いで、送達された方向において、リアクタから移動される。
【0030】
一実施形態では、基板の片側が、反対側をエッチングすることなく、エッチングされてもよい。
【0031】
一実施形態では、エッチング液は、大気圧下、基板または蒸着された層に適用される。
【0032】
一実施形態では、リアクタの反応領域は、ガスカーテンをパージすることによって、密閉される。
【0033】
一実施形態では、予加熱ゾーンは、パージガスカーテン内側に位置する。
【0034】
一実施形態では、結果として生じた基板の表面テクスチャは、その反射率を減少させ、吸収される光を増加させるように、粗面である。
【0035】
一実施形態では、結果として生じた基板の表面テクスチャは、平滑である。
【0036】
一実施形態では、エッチング液ガスは、フッ素分子または原子、あるいは熱活性化を可能にするエネルギー結合値を伴う、任意の他のシリコンエッチングガスである。フッ素濃度は、約5から100%までの範囲内の任意の濃度であることができる。
【0037】
一実施形態では、フッ素含有ガスは、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化カルボニル、六フッ化硫黄、三フッ化窒素、二フッ化キセノン、およびフッ素元素を備える群から選択されてもよい。
【0038】
一実施形態では、塩素系化合物は、テトラクロロメタン、トリクロロシランと水素の混合物、および塩化水素を備える群から選択されてもよい。
【0039】
各エッチングガスは、エッチングラジカル形成のその独自の方法を有してもよい。
【0040】
一実施形態では、エッチングのための基板は、太陽光電池、シリコンウエハ、または、例えば、ガラス、AlTiC(アルミニウムチタンカーボン)、ITO(インジウムスズ酸化物)、およびFR4積層(耐燃性である、エポキシ樹脂粘結剤を伴う、織布繊維ガラス布)等の基板上に蒸着された層を備える群から選択されてもよい。
【0041】
別の実施形態では、この大気ドライエッチング技術は、レーザマイクロマシニングプロセスと併用されてもよい。レーザ機械加工/掘削が、切断される材料の領域を損傷し、ドライエッチングが、損傷された領域を除去/修復するための機械加工/掘削プロセス後またはその間に、行われてもよい。
【0042】
別の実施形態では、この方法は、容量感知タッチスクリーンの製造において使用されてもよく、微笑孔の基質が、ITOおよびFR4繊維ガラス補強エポキシ積層およびPCB(印刷回路基板)にエッチングされる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態によると、光起電力(PV)素子を作製するために好適である、ガスのみ使用して、制御可能な様式において、シリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を修飾するための装置であって、
(i)筐体と、
(ii)大気リアクタと、
(iii)少なくとも1つのエッチング液ガス排気プレナムと、
(iv)基板または蒸着された層を可動搬送装置上に配置するための手段と、
(v)基板または蒸着された層を予加熱するための手段と、
(vi)大気リアクタを通して、エッチングするために、基板または蒸着された層を連続的に移動させるための手段と、
(vii)リアクタ内の基板または蒸着された層に、圧力下、ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を適用するに際して、リアクタ内側のエッチング液送達モジュール下において、基板を連続的に移動させるための手段と、
(viii)プロセスのエッチング速度を制御する手段と
を備え、少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を備える群から選択される装置が提供される。
【0044】
本発明の別の側面によると、基板をドライエッチングするための装置であって、
(i)筐体と、
(ii)エッチング液ガス送達リアクタと、
(iii)少なくとも1つのエッチング液ガス排気プレナムと、
(iv)大気圧において、エッチング液ガスを筐体に送達するための手段と
を備える装置が提供される。
【0045】
一実施形態では、大気リアクタ内のエッチング液ガスは、塩基ラジカルを生成するように加熱され、ドライエッチングを行ってもよい。
【0046】
一実施形態では、大気リアクタは、約室温と450℃との間の温度まで加熱されてもよい。本明細書では、RTと略される、用語「室温」は、約20℃と約25℃と(約68°Fと約77°Fと)の間の温度を意味すると理解されたい。
【0047】
本発明のさらなる側面では、前述の方法によってエッチングされる基板を備える、素子が、提供される。
【0048】
一実施形態では、素子は、太陽光電池、シリコンウエハ、ガラス基板、ウエハ基板(非晶質シリコン、SiNx、SiOx)上に蒸着された層を備える群から選択されてもよい。
【0049】
別の実施形態では、その表面構造を修飾する、または制御された厚さを除去するために、基板または蒸着された層をドライエッチングするための方法であって、
(i)支持基板上にエッチングのための基板を配置するステップと、
(ii)基板を予加熱するステップと、
(iii)エッチングのための基板をエッチングチャンバに送達するステップと、
(iv)チャンバ内の基板に、圧力下、ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を適用するステップと
を備え、少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を備える群から選択される方法が提供される。好ましくは、圧力は、大気圧であってもよい。
(項目1)
シリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を、光起電力(PV)素子を作製するために好適である、所望のテクスチャに修飾するための方法であって、
該方法は、
該基板または蒸着された層を可動搬送装置上に配置するステップと、
該基板または蒸着された層を予加熱するステップと、
該基板または蒸着された層を、外部周囲環境からパージガス封込めカーテンを通して開放大気リアクタの中に、エッチングするために連続的に移動させるステップと、
該基板を、該リアクタ内側のエッチング液送達特徴の中にまたはそれを通して、連続的に移動させるステップと、
該適用されるエッチング液ガスの流量および角度を制御することによって該基板上に該所望のテクスチャを生成するように、該リアクタの中で、ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を該基板または蒸着された層に適用するステップと、
該基板または蒸着された層を、該開放大気リアクタから、さらなるまたは同一の組のパージガス封込めカーテンを通して該外部周囲環境まで、エッチングするために連続的に移動させるステップと
を含み、
該少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を含む群から選択される、方法。
(項目2)
前記エッチング液は、いかなるプラズマの必要もなく、熱的に活性化される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記プロセスは、連続通過プロセスとして行われる、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記ガス形態のエッチング液ガスは、大気圧下において、前記基板または蒸着された層に適用される、項目1〜3のうちのいずれかに記載の方法。
(項目5)
前記リアクタの反応領域は、パージガスカーテンによって密閉される、項目1〜4のうちのいずれかに記載の方法。
(項目6)
前記予加熱ゾーンは、前記パージガスカーテンの内側に位置する、項目5に記載の方法。
(項目7)
結果として生じた基板の表面テクスチャは、その反射率を減少させ、吸収される光を増加させるように、粗面である、項目1〜6のうちのいずれかに記載の方法。
(項目8)
結果として生じた基板の表面テクスチャは、平滑である、項目1〜6のうちのいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記エッチング液ガスは、フッ素分子もしくは原子、または熱活性化を可能にするエネルギー結合値を有する任意の他のシリコンエッチングガスである、項目1〜8に記載の方法。
(項目10)
前記フッ素含有ガスは、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、フッ化カルボニル、六フッ化硫黄、三フッ化窒素、二フッ化キセノン、およびフッ素元素を含む群から選択される、項目1〜9に記載の方法。
(項目11)
前記塩素系化合物テトラクロロメタン、トリクロロシランと水素の混合物、および塩化水素を含む群から選択される、項目1〜10に記載の方法。
(項目12)
酸素またはオゾンが、前記テクスチャ加工プロセスを向上させるために付加的に提供される、項目1〜11に記載の方法。
(項目13)
エッチングのための前記基板は、太陽光電池、シリコンウエハ、またはガラス、AlTiC、ITO、およびFR4積層を含む群から選択される基板上に蒸着された層を含む群から選択される、項目1〜12に記載の方法。
(項目14)
プラズマの不在下において行われる、項目1〜13に記載の方法。
(項目15)
光起電力(PV)素子を作製するために好適である、ガスのみ使用して制御可能な方式でシリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を修飾するための装置であって、、
該装置は、
(i)筐体と、
(ii)大気リアクタと、
(iii)少なくとも1つのエッチング液ガス排気プレナムと、
(iv)該基板または蒸着された層を可動搬送装置上に配置するための手段と、
(v)該基板または蒸着された層を予加熱するための手段と、
(vi)該エッチング液ガスを加熱するための手段と、
(vii)該大気リアクタを通してエッチングするために、該基板または蒸着された層を連続的に移動させるように適応されたコンベヤと、
(viii)ガス形態の少なくとも1つのエッチング液を該リアクタ内の該基板または蒸着された層に適用するに際して、該リアクタ内側のエッチング液送達モジュール下にある該コンベヤを使用して該基板を連続的に移動させるための手段と
(ix)プロセスのエッチング速度を制御する手段と
を含み、
該少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を含む群から選択される、装置。
(項目16)
前記大気リアクタの中のエッチング液ガスは、前記ドライエッチングを行うための塩基ラジカルを産生するように加熱される、項目15に記載の装置。
(項目17)
前記大気リアクタは、約室温と約450℃との間の温度まで加熱される、項目15または項目16に記載の装置。
(項目18)
ガス形態の前記エッチング液は、大気圧下において、前記基板または蒸着された層に適用される、項目15〜17のいずれかに記載の装置。
(項目19)
前記プロセスのエッチング速度を制御する手段は、前記適用されるガス形態のエッチング液の流量および角度を制御することを含む、項目15〜18のいずれかに記載の装置。
(項目20)
項目1〜14のいずれかに記載の方法によってエッチングされた基板を含む、素子。
(項目21)
光起電力太陽電池、シリコンウエハ、ガラス基板、またはウエハ基板(非晶質シリコン、SiNx、SiOx)上に蒸着された層を含む群から選択される、項目20に記載の素子。
【0050】
本発明は、添付図面を参照して、一例としてのみ与えられる、その実施形態の以下の説明から、より明白に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、本発明のドライエッチングプロセスを例示する流れ図である。
図2図2は、本発明のドライエッチング装置の断面図を例示する。
図3図3は、大気圧における、基板の連続インライン処理のための本発明のプロセスのレイアウトを例示する。
図4図4は、本発明の別の実施形態による、ドライエッチング装置の別の断面図を例示する。
図5図5a−dは、エッチングを変動させることによって、達成することができる、種々のテクスチャを実証する、<100>−n−型研磨Cz−シリコンウエハの画像のSEM画像を例示する。
図6図6は、異なるエッチングパラメータによって、単一<100>−n−型研磨Cz−シリコンウエハ上に生成される、異なるテクスチャの反射データを例示する。
図7図7は、エッチングガス流蒸気のために必要とされる角度設定を達成するための異なる機構を例示する。
図8図8は、エッチングガス流蒸気のために必要とされる角度設定を達成するための代替選択肢を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は、新規ドライエッチング化学を使用し、エッチングは、エッチングされる表面の結晶構造によって限定されない。エッチング液は、制御可能にガス状形態で送達され、圧力下においてエッチングされる表面に適用される。真空チャンバ内に含有されるエッチングゾーンに対する要件は存在しない。
【0053】
図1は、図2〜6に関連して、より詳細に説明される光起電力(PV)素子を作製するために好適である、ガスのみ使用して、制御可能な態様において、シリコン基板または蒸着されたシリコン層の表面構造を修飾するための本発明の方法の一般的流れ図を例示する。
【0054】
図2および3に例示されるように、本発明の方法を行うために装置が提供される。装置は、本発明の一実施形態によると、概して、参照番号1で呼ばれる。装置は、壁4、カバー6、およびカバー6に対して反対側のおよび平行な面における支持部8を有する筐体2を備える。筐体2内には、壁4に近接してネスト化されるパージガス保持カーテン10、11が位置する。リアクタゾーンは、カーテン10、11内の領域によって画定される。このゾーン内側にあって、筐体2の中心に向かって設置されるのは、それぞれ、カーテン10、11に並置されるエッチング液ガス排気プレナム14、15である。排気プレナム14、15は、シュート19を介して筐体2内側から外側に排ガスを還流させる配管17、18を介して相互に接続される。
【0055】
プレナム14、15の間に位置するのは、エッチング液ガス送達リアクタ20である。送達リアクタ20は、リアクタ20の基部26において、開口24から、ガス22のカーテンを放出する。次いで、エッチング液ガスは、開口24から、基板30上に放出される。実施形態に概略されるように、異なるエッチングパラメータに対して設定することができるいくつかの異なる設定および構成が存在する。図6は、この点に関するさらなる詳細を示し、以下により詳細に論じられる。
【0056】
使用時において、図3に例示されるように、基板30の複数のレーンがコンベヤベルト32上に設置され、加熱デバイス34に送達される。基板は、装置1内への通過に先立って、約室温と約450℃との間の温度に予加熱される。基板30は、装置1のチャンバ40内において加熱されたエッチング液ガスに暴露される。基板30が、所定の時間の間、エッチング液ガスに暴露されると、コンベヤベルト32は、装置1を通ってエッチングされた基板30を移動させ、エッチングされる次の基板が、エッチング液ガスに暴露される。
【0057】
本発明の好ましい実施形態では、送達リアクタ20内での単純加熱によって分解または励起されるフッ素Fガスを使用して、フッ素系ラジカルを産生し、基板30の表面上でエッチング行う。
【0058】
図4を参照すると、本発明の方法を行うように適応された大気リアクタ101が、例示される。基板(または、蒸着された層)103は、反応エリア109内側にある加熱ゾーン107に、基板103を送達するために、連続的に移動するように適応される可動搬送装置105、例えば、基板コンベヤ上に設置される。加熱ゾーンはまた、反応エリア外側にあることができる。反応エリア109は、入口および出口において、パージカーテン111、112によって密閉される。予加熱ゾーン107は、パージカーテンによって画定される周縁境界内側に設置される。予加熱ゾーンはまた、それらの画定された周縁境界外側に設置されてもよい。基板または蒸着された層103は、加熱器115によって予加熱され、続いて、連続コンベヤ105によって化学リアクタゾーン119に送達される。コンベヤは、リアクタ内側のエッチング液送達特徴117の下において、ガス形態の少なくとも1つのエッチング液が、リアクタ内の基板または蒸着された層に、大気圧下で適用されるように制御された態様において、反応エリア109を通って基板を移動させる。少なくとも1つのエッチング液ガスは、フッ素含有ガスおよび塩素系化合物を含む群から選択される。
【0059】
次に、図5a−dを参照すると、5aおよび5bは両方とも、同一バッチから得られ、本発明の方法を使用して、異なるパラメータでエッチングされた<100>−n−型研磨Cz−シリコンウエハのSEM画像を例示する。画像は、本発明のエッチングパラメータを変動させることによって、種々のテクスチャを達成することができることを明白に実証する。約0.1−0.2μmの範囲内の微細テクスチャを有する構造が、図5bに示され、約3−4μmの範囲内のより粗いテクスチャのピラミッド形構造が、図5aに示される。図5aおよび5bに例示されるそれらのウエハの場合、変動されたパラメータは、ガス流量およびガスが基板に衝突する角度である。他のパラメータはすべて一定のままである、すなわち、大気圧、温度(350℃)、およびF濃度15%である。5cおよび5dに例示されるSEM画像は、異なるパラメータを使用してエッチングされる、2つの異なる<100>−n−型研磨Cz−シリコンウエハから得られた。調節されたパラメータは、ガス流量およびガスが基板に衝突する角度であった。結果として生じたテクスチャは、より微細であって、結果として生じた構造は、非常に「非晶質」であって、概して、不動態化が困難であるタイプである。
【0060】
本発明の装置の反応ゾーン内でエッチングされる基板へのガス送達を変動および制御するために、異なる機構を使用することができる。図7には、201aおよび201bと標識される2つの異なる機構が例示されている。基板204aおよび204b、基板204aおよび205bをそれぞれ搬送するためのコンベヤ205aおよび205b、ならびにエッチングガス送達モジュール202aおよび202bもまた、それぞれ、機構201aおよび201bに対して例示されている。また、コンベヤ205aおよび206bに内蔵された基板を加熱する方法も示され、それぞれ、参照番号206aおよび206bが与えられている。図7は、エッチングガス203aおよび203bを、それぞれ、エッチングされる基板204aおよび204b上に指向することができる異なる方法を示す。201aにおいて、コンベヤ205a、続いて、基板204aを、ガス送達モジュール202aに対して異なる角度「θ」に配設することができる。201bにおいて、ガス流リアクタ、ひいては、ガス送達モジュール202bを、異なるテクスチャを達成するために、種々の角度「θ」に配設することができる。201aおよび201bの両方の場合において、基板とガス送達モジュール202aおよび202bとの間の間隙は、それぞれ、種々の高さ「h」に設定することができる。
【0061】
図8は、エッチングガスが送達される角度を設定するための代替選択肢を例示する。図8に示されるように、基板302は、ガス送達モジュール303および304の下を通過する。ガス送達モジュール303および304は両方とも、図8に示されるように、平面図および側面図に示される。ガス送達モジュール304は、一連のプレート308を備え、それぞれ、パターン化された複数の開口309を有する。プレート308は、ウエハ表面に平行である平面において、相互に対して移動することができる。このように、開口309の整列によって生成されるガス送達チャネルの角度は、必要に応じて修正および設定することができる。ガス306が、基板302に衝突する角度が例示されている。同一概念は、ガス送達モジュール303に対して実証されており、モジュール303は、プレート310のアレイを備え、それぞれ、細隙の形態の開口を有する。プレート310は、ウエハ表面に平行な平面において、相互に対して自由に移動し、したがって、前述のように、ガス送達モジュール304のための所望のガス送達角度を設定する。
【0062】
本明細書では、用語「comprise、comprises、comprised、およびcomprising」またはそれらの任意の変形例、ならびに用語「include、includes、included、およびincluding」またはそれらの任意の変形例は、完全に互換可能であると見なされ、すべて、最も広範な可能性として考えられる解釈を与えられるべきであって、逆もまた同様である。
【0063】
本発明は、前述の実施形態に限定されず、構造および詳細の両方において、可変であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7
図8